健康・医療BCGワクチン

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BCGワクチンによって、結核による重篤な感染症の予防ができます。生後5か月になったら1回接種を行います。

疾病の性質

結核の概要

 結核は、結核菌によって発生するわが国の主要な感染症の一つです。
 結核菌は主に肺の内部で増えるため、咳、痰、発熱、呼吸困難等、風邪のような症状を呈することが多いですが、肺以外の臓器が冒されることもあり、腎臓、リンパ節、骨、脳など身体のあらゆる部分に影響が及ぶことがあります。特に、小児では症状が現れにくく、全身に及ぶ重篤な結核につながりやすいため、注意が必要です。

※より詳しい情報については下記リンクをご参照ください。
結核とは(NIID)

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ワクチンの効果

 BCGは結核を予防するために接種するワクチンです。その効果について、多くの文献を総合的に評価した結果、乳幼児期にBCGを接種することにより、結核の発症を52~74%程度、重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64~78%程度予防することができると報告されています(Colditz et al, 1995)。また、一度BCGワクチンを接種すれば、その効果は10~15年程度続くと考えられています。

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接種の対象者とスケジュール

 生後5か月~8か月の期間に1回の接種を行います。

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使用するワクチン

 BCGワクチンを使用します。

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ワクチンの安全性

 予防接種は感染症を防ぐために重要なものですが、稀に副反応が発生することがあります。
 1%以下の割合で、接種した後に局所の潰瘍やリンパ節の腫脹がみられると報告されています。また、発生頻度は不明ですが、接種後に「アナフィラキシー」、「全身播種性BCG感染症」、「骨炎・骨髄炎」、「皮膚結核様病変」等が発生したという報告があります。

 定期の予防接種は、各市町村が実施主体となっていますので、お住まいの市町村での実施方法など、詳細については、市町村の予防接種担当課にお問い合わせください。

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接種を受けられない方

 以下の方は、接種を受けることができません。

  • BCGワクチンの成分によりアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな方
  • 予防接種やけがなどによるケロイドの認められる方
  • 免疫機能に異常が出る疾患を持っている方および免疫を抑える治療を受けている方
  • 結核の既往のある方
  • その他、予防接種を行うことが不適当な状態にあると医師が判断する方

 また、以下のような場合は接種を受けることができませんので、治ってから受けるようにしてください。​

  • 発熱している。​
  • 重篤な急性疾患にかかっている。

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接種に注意が必要な方

 以下の方は、接種にあたって注意が必要なので、あらかじめ医師に相談してください。

  • 心臓、腎臓、肝臓、血液の病気や発育障害がある方
  • これまでに、予防接種を受けて2日以内に発熱や全身の発疹などのアレルギー症状があった方
  • けいれんを起こしたことがある方
  • 免疫不全と診断されている方や、近親者に先天性免疫不全症の方がいる方
  • BCGワクチンの成分でアレルギーを起こすおそれのある方
  • 過去に結核患者との長期の接触がある方や、その他結核に感染している疑いのある方

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Q&A

がついたタイトル部分を押下で回答が閲覧できます。

結核

2024年9月30日版

ワクチンについて

Q1 BCGってなんですか?

BCGは結核を予防するワクチンの通称であり、このワクチンを開発したフランスのパスツール研究所の研究者の名前を冠した菌:Bacille Calmette-Guerin(カルメットとゲランの菌)の頭文字をとったものです。
この菌は、本来牛に感染する牛型結核菌を時間をかけて弱めたものであり、1921年に初めて新生児に投与されました。以後、1924年には日本にも菌がもたらされ、わが国においても長い歴史があります。また、1965年には日本の菌(Tokyo 172 strain)からつくられたBCGワクチンがWHOの国際参照品に指定されています。

Q2 BCGワクチンにはどのような効果がありますか?

BCGは結核を予防するために接種するワクチンです。その効果について、多くの文献を総合的に評価した結果、乳幼児期にBCGを接種することにより、結核の発症を52~74%程度、重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64~78%程度予防することができると報告されています(Colditz et al, 1995)。また、一度BCGワクチンを接種すれば、その効果は10~15年程度続くと考えられています。
日本の結核患者の発生率は米国の4倍程あるにも関わらず、小児に限ると米国の小児の患者の発生率を下回っており、その一因は米国で広く接種されていないBCG接種の効果ではないかと言われています。

Q3 腕にBCGワクチンの痕が残るのが嫌なので、目立たない所に接種することはできませんか?

BCGワクチンは、上腕外側のほぼ中央部に接種するものとされており、その他の場所への接種は、医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律(薬機法)上認められていません。また、肩の部分に接種を行うと、ケロイドを生じやすいことが報告されています。定められた場所への接種をお願いします。

Q4 BCGワクチンを接種することで、どのような副反応が起こりますか?

BCGは長きに渡り、世界中で安全に使用されてきたワクチンです。リンパ節の腫れや局所・全身の皮膚症状などの比較的軽度な局所反応は一定の頻度でみられますが、骨炎や全身性のBCG感染症、アナフィラキシーなどの重大な副反応の報告は稀です。
2013年度は約90万人が接種されていますが、厚生労働省に届けられた定期のBCGワクチン接種に関する副反応報告数は174件で、リンパ節の腫れが74件と最も多く、次いで皮膚症状が40件報告されています。比較的重い疾患としては骨炎が10件、全身性のBCG感染症が2件報告されています。

Q5 BCGワクチン接種後に、接種した場所がジクジクになってしまいましたが、病院に行った方がいいですか?

BCGワクチンを接種してから2週間くらい経つと、針の痕に一致して発赤や硬結が生じ、その後化膿してかさぶたを作ることがあります。このような反応は、BCGワクチン接種後には一般的にみられるものであり、特に接種後5~6週頃に最も強く現れるとされています。
通常は、接種した場所を清潔に保つことでこれらの症状は治りますが、数か月以上に渡りジクジクしている場合や、針の痕が互いに癒合して大きな潰瘍になってしまった場合には、稀に治療をすることもありますので医療機関を受診してください。

Q6 コッホ現象ってなんですか?

Q5のような症状は、接種してから5~6週頃に最も強く現れるとされていますが、結核に感染している人にBCGワクチンを接種した場合、接種してから1週間~10日以内(多くの場合は3日以内)に同じような症状がみられることがあります。一種のアレルギー反応によるものと考えられていますが、このような現象を「コッホ現象」と呼びます。
コッホ現象は結核菌に似た菌(非結核性酸菌)に感染した場合でも発生することがあるので、必ずしも結核に感染していることを意味するわけではありませんが、このような症状が発現した場合には、速やかに接種医療機関を受診してください。
なお、2005~2009年度に厚生労働省にコッホ現象として報告された814例を検証した結果、コッホ現象に伴う重大な障害は認められなかったと報告されています。

Q7 BCGワクチン接種後の骨炎はどのような病気ですか?どれくらい発生しているのですか?

BCGワクチンは弱毒化した生きた菌を接種しているので、極めて稀ながら菌が骨に感染した場合には、骨炎を起こしてしまう可能性があります。大腿や上腕の骨に発生することが多く、局所の痛みや腫れ、歩行への影響などで気付かれることが多いです。一般に、後遺症を残す確率などは高くありませんが、抗結核薬投与の他、外科的な施術が必要な場合もあります。国際的には、BCGワクチン接種後に骨炎等が発生するリスクは3,300~108回接種して1回程度であるとされています。日本における報告は2014年度において10件(2014年度接種数:約90万回)であり、その発生率は国際的に想定される範囲を超えるものではありません。

接種スケジュールや接種方法

Q8 BCGワクチンの接種はいつ行えばよいですか?

2012年度まで、BCGワクチンの接種は生後6か月に至るまでに接種することとなっていましたが、2013年度以降は生後1歳に至るまでの間に接種することと変更されました。なお、標準的な接種は生後5か月から8か月の間に行うこととされています(ただし、地域における結核の発生状況等の事情を勘案する必要がある場合は、必ずしもこの通りではありません)。

Q9 BCGワクチンの接種時期はなぜ変わったのですか?

BCGワクチンの接種は、2005年までは4歳未満の児童を対象に行われていましたが、世界保健機関(WHO)の勧告等を受け、乳幼児の結核予防効果を高めることを目的として、2005年に生後6か月までの接種に対象が変更されました。
しかし、乳児期に接種するワクチンの数が増え、全てのワクチンを接種できる十分な期間を設ける必要が生じたことから、生後1歳までの接種とすることと変更されました。また、2005年以降多くの接種が生後3~4か月に行われるようになり、髄膜炎などの重大な乳幼児の結核が減った一方、これら生後3~4か月のお子さんを中心に、BCGによる骨炎の副反応報告が増えてきました*。このような報告数の増加が本当に骨炎の発生が増加したことによるのか、診断技術の進歩等により骨炎が発見し易くなったためなのか、現在のところはっきりしていません。
また、仮に、本当に骨炎の発生が増加していたとして、BCGワクチンを接種する時期を早めたことが骨炎の増加に繋がったのか、その因果関係もはっきりしていません。しかしながら、比較的、免疫能が未熟な乳児早期でのBCGワクチン接種が、骨炎の増加に影響を与えている可能性も否定できず、生後5~8か月を標準的な期間として接種することとなりました。
なお、結核の発生状況により乳幼児が結核に罹るリスクは変わってきますので、生後5~8か月という標準的な接種期間に関しましては、地域の実情に応じて異なることがあります。
* 骨炎・骨髄炎の副反応報告数:
  2001~2004年:1.25件/年
  2005~2011年:4.14件/年
 (2005年以降、BCGは毎年約90~100万回接種しています)

Q10 私の自治体では、生後5~8か月よりも早い時期にBCGワクチンを接種することが勧められていますが、何故ですか?

BCGワクチンの接種時期は、2005年に4歳未満から6か月未満に変更されましたが、これは乳幼児の結核予防効果を高めることが目的であり、接種時期が早められるとともに髄膜炎などの重大な乳幼児の結核は減りました。
標準的な接種期間は生後5~8か月となっていますが、結核の発生状況により乳幼児が結核に罹るリスクは変わってきますので、地域の実情に応じ、それ以前に接種を行う場合もあります。お住まいの自治体からの案内に沿って、確実にBCGワクチン接種を受けることが重要です。

Q11 長期に渡る入院等により、1歳までに接種できなかった場合はどうなるのですか?

BCGワクチンの接種は生後1歳までに行うこととされていますが、この期間に、長期に渡る入院を余儀なくされた等の理由により、接種をすることができない場合もあります。このような特別の事情(※下記参照)があることにより予防接種を受けることができなかったと認められた場合は、4歳に至るまでであり、その特別の事情がなくなった日から2年を経過するまでであれば定期接種の対象となります。

※特別の事情とは、以下に該当するものをいいます。
(1)次のイからハまでに掲げる疾病にかかったこと(やむを得ず定期接種を受けることができなかった場合に限る)
  イ 重症複合免疫不全症、無ガンマグロブリン血症その他免疫の機能に支障を生じさせる重篤な疾病
  ロ 白血病、再生不良性貧血、重症筋無力症、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、ネフローゼ症候群その他免疫の機能を抑制する治療を必要とする重篤な疾病
  ハ イまたはロの疾病に準ずると認められるもの
(2)臓器の移植を受けた後、免疫の機能を抑制する治療を受けたこと(やむを得ず定期接種をうけることができなかった場合に限る)
(3)医学的知見に基づき(1)または(2)に準ずると認められるもの

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関連通知

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トピックス、自治体や関係機関向けの情報

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相談窓口

厚生労働省は、インフルエンザをはじめとした感染症の一般的予防方法、流行状況や予防接種の意義、有効性、副反応等に関する国民の皆様の疑問に的確に対応するため、「感染症・予防接種相談窓口」を開設しています。

【感染症・予防接種相談窓口】
電話番号:0120-469-283(午前9時~午後5時 ※土日祝日、年末年始を除く)

※行政に関する御意見・御質問は受け付けておりません。
※本相談窓口は、厚生労働省が業務委託している外部の民間会社により運営されています。

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