健康・医療日本脳炎ワクチン

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日本脳炎ワクチンにより、蚊に刺された時にかかることのある重篤な脳炎の予防ができます。3歳になったら1期の接種を行い、9歳になったら2期の接種を行います。

疾病の性質

日本脳炎の概要

 日本脳炎は、日本脳炎ウイルスにより発生する疾病で、蚊を介して感染します。以前は子どもや高齢者に多くみられた病気です。突然の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こす病気で、後遺症を残すことや死に至ることもあります。

※より詳しい情報については下記リンクをご参照ください。
日本脳炎とは(NIID)

 一般に、日本脳炎ウイルスに感染した場合、およそ1000人に1人が日本脳炎を発症し、発症した方の20~40%が亡くなってしまうといわれています。また、生存者の45~70%に精神障害などの後遺症が残ってしまうといわれています。

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ワクチンの効果

 ワクチン接種により、日本脳炎の罹患(りかん)リスクを75~95%減らすことができると報告されています。

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接種の対象者とスケジュール

 1期接種:初回接種については3歳~4歳の期間に6~28日までの間隔をおいて2回、追加接種については2回目の接種を行ってから概ね1年を経過した時期に1回の接種を行います。
 2期接種:9歳~10歳までの期間に1回の接種を行います。

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使用するワクチン

 現在、国内で製造販売され、使用されているワクチンは2種類あります。

  • 「ジェービックV」
    2009年2月23日付けで薬事法上の承認を受け、2009年6月2日から供給が開始されています。
  • 「エンセバック皮下注用」
    2011年1月17日付けで薬事承認を受け、2011年4月から供給が開始されています。

 日本脳炎ワクチンは、接種することで日本脳炎の罹患リスクを減らす効果がある不活化ワクチンです。
 現在使用されている「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」は、日本脳炎ウイルスをVero細胞(アフリカミドリザル腎臓由来株化細胞)で増殖させて、得られたウイルスを採取し、ホルマリンで不活化(感染性を失くすこと)して製造されています。このワクチンは、2009年6月2日以降、定期の第1期予防接種にのみ使用可能とされてきましたが、2010年8月27日以降は第2期の予防接種にも使用可能となりました。
 なお、過去に使用されていたマウス脳由来の日本脳炎ワクチンは、既に流通しておらず、定期接種にも用いられていません。

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ワクチンの安全性

 生後6か月以上90か月(7歳半)未満の小児で、以下の副反応が認められたとされています。主なものは発熱、せき、鼻水、注射部位の紅斑や腫れ、発疹などで、これらの副反応のほとんどは接種3日後までにみられています。なお、ごくまれにショック、アナフィラキシー様症状、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳症、けいれん、急性血小板減少性紫斑病などの重大な副反応がみられることがあります。(「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」の添付文書より)

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接種を受けられない方

 以下の方は、接種を受けることができません。

  • 日本脳炎ワクチンの成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方

 また、以下のような場合は接種を受けることができませんので、治ってから受けるようにしてください。​

  • 発熱している。​
  • 重篤な急性疾患にかかっている。

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接種に注意が必要な方

 以下の方は、接種にあたって注意が必要なので、あらかじめ医師に相談してください。

  • 心臓、腎臓、肝臓、血液の病気や発育障害がある方
  • これまでに、予防接種を受けて2日以内に発熱や全身の発疹などのアレルギー症状があった方
  • けいれんを起こしたことがある方
  • 免疫不全と診断されている方や、近親者に先天性免疫不全症の方がいる方
  • 日本脳炎ワクチンの成分でアレルギーを起こすおそれのある方

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Q&A

がついたタイトル部分を押下で回答が閲覧できます。

日本脳炎

2024年9月30日版

感染症について

Q1   日本脳炎とは、どのような病気ですか?

日本脳炎ウイルスの感染によって起こる中枢神経(脳や脊髄など)の疾患で、東アジア・南アジアにかけて広く分布しています。ヒトからヒトへの感染はなく、ブタなどの動物の体内でウイルスが増殖した後、そのブタを刺したコガタアカイエカ(水田などに発生する蚊の一種)などがヒトを刺すことによって感染します。

Q2  日本脳炎の症状はどのようなものですか?

日本脳炎はウイルスに感染しても症状が現れずに経過する場合(不顕性感染)がほとんどですが、発症した場合20~40%が死亡に至る病気です(過去には、100人から1000人の感染者の中で1人が発病するとの報告されています)。
症状が出る場合、6~16日間の潜伏期間の後に、数日間の高熱、頭痛、嘔吐などが現れ、引き続き急激に、光への過敏症、意識障害(意識がなくなること)、けいれんなどの中枢神経系障害(脳の障害)を生じます。

詳しい情報はこちら
国立感染症研究所感染症情報センターのホームページ(日本脳炎とは)

Q3  日本脳炎は、国内でどのくらい発生していますか?また、どのような地域に発生していますか?

昭和50年代~平成3年までは50人を超える発生があった年もありましたが、平成4年以降の報告患者は年間10人以下です。令和3年は3人の報告がありました。大部分は九州・沖縄地方と中国・四国地方で発生しており、北海道(0人)、東北(0人)、関東(0人)地方における報告は非常にまれです。

平成29 平成30 平成31/令和1 令和2 令和3
報告患者数(人) 3 0 9 5 3

(国立感染症研究所「感染症発生動向調査」より)
 

詳しい情報はこちら
国立感染症研究所のホームページ(感染症発生動向調査)
詳しい推定感染地域に関する地域別の情報
国立感染症研究所のホームページ(日本脳炎Q&A第4版 Q2)

Q4  日本脳炎にかからないために、どのようなことに注意すればいいですか?

予防の中心は、ウイルスを持つ蚊(コダカアカイエカ)の対策とワクチンの接種になります。
一般に日本脳炎の感染リスクは、農村部で高く、都市部で低いと考えられます。しかし、コガタアカイエカは活動範囲が広いため、都市部であっても日本脳炎に感染するリスクはゼロではありません。
コガタアカイエカは日没後に活動が活発になるとされています。以下の点に注意して、ウイルスを持った蚊に刺されない工夫が必要です。

  • 夏季、なるべく夜間の外出を控える。
  • 戸外へ出かける必要があるときは、できる限り長袖・長ズボンを身につける。
  • 露出している皮膚(ひふ)へ虫除けスプレーなどを使用する。
  • 蚊が屋内に侵入しないように網戸を使用する。
  • 夜間の窓や戸の開閉を少なくする。
  • 蚊帳を利用する。

また、日本脳炎ワクチンを接種することで、罹患リスクを75~95%減らすことができると報告されています。

蚊に関する詳しい情報
国立感染症研究所昆虫医科学部のホームページ
ウイルスに関する詳しい情報
国立感染症研究所のホ―ムページ(日本脳炎とは「病原体」)

ワクチンについて

Q5  日本脳炎ワクチンとは、どんなワクチンですか?

日本脳炎ワクチンは、接種することで日本脳炎の罹患リスクを減らす効果がある不活化ワクチンです。
現在使用されている「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」は、日本脳炎ウイルスをVero細胞(アフリカミドリザル腎臓由来株化細胞)で増殖させて、得られたウイルスを採取し、ホルマリンで不活化(感染性を失くすこと)して製造されています。このワクチンは、2009年6月2日以降、定期の第1期予防接種にのみ使用可能とされてきましたが、2010年8月27日以降は第2期の予防接種にも使用可能となりました。
なお、過去に使用されていたマウス脳由来の日本脳炎ワクチンは、既に流通しておらず、定期接種にも用いられていません。

Q6  乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンは、いつから使用されているのですか?

現在、国内で製造販売され、使用されているワクチンは2種類あります。

  • 「ジェービックV」
    2009年2月23日付けで薬事法上の承認を受け、2009年6月2日から供給が開始されています。
  • 「エンセバック皮下注用」
    2011年1月17日付けで薬事承認を受け、2011年4月から供給が開始されています。
Q7  乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンを接種することによって、どのような副反応が起こりますか?

生後6か月以上90か月(7歳半)未満の小児で、以下の副反応が認められたとされています。主なものは発熱、せき、鼻水、注射部位の紅斑や腫れ、発疹などで、これらの副反応のほとんどは接種3日後までにみられています。なお、ごくまれにショック、アナフィラキシー様症状、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳症、けいれん、急性血小板減少性紫斑病などの重大な副反応がみられることがあります。(「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」の添付文書より)
また、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会ではワクチン接種後の副反応報告について、定期的に審議しています。

ワクチンの安全性に関する詳しい情報
厚生労働省のホームページ(厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討会)

Q8  ADEM(アデム、急性散在性脳脊髄炎)とは、どんな病気ですか?

ADEM(アデム、急性散在性脳脊髄炎)とは、ワクチン接種後に、まれに発症することがあるといわれる脳神経系の病気です。ワクチン接種後の場合は、接種後数日から2週間程度で発熱、頭痛、けいれん、運動障害などの症状が現れます。ステロイド剤などの治療によって多くの患者さんは後遺症を残すことなく回復しますが、運動障害や脳波異常などの神経系の後遺症が残る場合があるといわれています。

しかし、ワクチン接種後以外にも、麻疹(はしか)、水痘(みずぼうそう)、ムンプス(おたふくかぜ)、インフルエンザなどのウイルスや、マイコプラズマなどの病原体感染の後に起こることもあるといわれています。
また、きっかけと思われる感染症やワクチンがなく発症した原因不明のADEMも報告されています。国内の小児人口のうち、年間60-120人程度の発症頻度(小児人口10万人あたり、年間0.30-0.64人程度)と考えられています。
ワクチン接種は毎年たくさんの子どもに行われるので、ウイルスなどの病原体の感染によるADEMや原因不明のADEMがワクチン接種後に発症する可能性もあり、ADEMがワクチン接種によるものかどうかの区別は困難です。

Q9  現在使用されている「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」を接種した場合に、副反応としてADEM(アデム、急性散在性脳脊髄炎)を発症した例は、何例くらいあるのですか?

従来使用されていたマウス脳由来の日本脳炎ワクチンの接種後には、70~200万回の接種に1回程度、ADEMが報告されることがあると考えられていました。
現在使用されている「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」は、2013年4月1日~2024年3月31日の12年間で、のべ約4,594万回の接種がなされていると推計されています。同時期に、接種後にADEM(疑わしい症例を含む)を発症したとする副反応が、合計で30例報告されました。

健康被害があった場合

Q10  万が一、日本脳炎の予防接種を接種したことで、重い副反応が起こった場合、補償はどうなっていますか?

予防接種法に基づく予防接種を受けたことによって副反応が起こり、健康被害※が起こったときには、被害を受けた方に対して「予防接種健康被害救済制度」によって、市区町村が医療費、医療手当の支給、障害児養育年金、障害年金の支給などを行います。支給を希望される場合は、市区町村に申請してください。

※健康被害の例
日本脳炎の予防接種を受けたことで副反応が起こり、医療機関で治療が必要になった場合や、生活に支障が出るような障害が残った場合など。

予防接種健康被害救済制度による支給申請に関する詳しい情報
厚生労働省のホームページ(予防接種健康被害救済制度)

なお、予防接種法に規定されていない予防接種を受けた際に生じた健康被害については、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構による「医薬品副作用被害救済制度」を利用することができます。

詳しい情報はこちら
医薬品医療機器総合機構のホームページ(医薬品副作用被害救済制度)

接種スケジュールや接種方法

Q11  積極的な勧奨差し控えなどの事情により接種機会を逃した方の場合、予防接種法に基づく接種は可能ですか?

はい、可能です。対象者などは以下のとおりとなります。

対象者:1995年4月2日から2007年4月1日までに生まれた方
内容:20歳になるまでの間、定期接種として実施することができます。

対象者:2007年4月2日から2009年10月1日に生まれた方。
内容:生後6か月~90か月または9歳以上13歳未満の方については、「予防接種実施規則附則第4条対象者の接種スケジュール」に基づき、定期接種として実施することができます。

Q12  第1期の定期接種の不足分の回数を接種できるとのことですが、過去に、任意で接種を受けた場合も、再度接種をし直す必要があるでしょうか?

Q11で示した措置は、積極的な勧奨の差し控えなどの事情によって、本来受けるべき回数のワクチン接種を受けられていない方に接種の機会を提供することを目的としています。
定期接種か任意接種かにかかわらず、過去に接種した回数の不足分を接種することが望ましいと考えられます。今後接種すべき回数については、医師と相談してください。

Q13  従来使用していた「マウス脳由来日本脳炎ワクチン」で、過去に第1期の接種をしたことのある方が、現在使用されている「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」で残りの回数の接種を受けることは可能ですか?

はい、可能です。従来使用していたマウス脳由来日本脳炎ワクチンで、過去に第1期の接種をしたことのある方は、現在使用されている乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンで第1期の残りの回数や第2期の接種を受けることができます。

なお、このような場合について、2010年度の厚生労働科学研究事業で、288人の接種前後の中和抗体価の測定が行われました。

この測定結果から、以前に「マウス脳由来日本脳炎ワクチン」の接種を行っていた人に「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」を接種しても、抗体価の有意な上昇が確認されました。また、ワクチン接種と関連がある重篤な有害事象は報告されませんでした。

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啓発ツール

 医療機関の皆様におかれましては、各PDFをダウンロード、出力し、医療機関に掲示、あるいは保護者の方へお渡しするなどして、ご活用ください。

2012年度の日本脳炎定期予防接種に関する案内リーフレット

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これまでの経緯

 日本脳炎の予防接種後に重い病気になった事例があったことをきっかけに、2005年度から2009年度まで、日本脳炎の予防接種のご案内を行いませんでした(いわゆる「積極的勧奨の差し控え」)。
 その後新たなワクチンが開発され、現在は日本脳炎の予防接種を通常通り受けられるようになっています。

 このため、1995~2007年度に生まれた方で、20歳未満にある方に対しては、2005~2009年度に日本脳炎の予防接種を受ける機会を逃していることがありますので、日本脳炎ワクチンを定期接種として実施可能です。
 母子健康手帳などをご確認頂き、未接種の場合は市町村へのお問い合わせもご検討ください。

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関連審議会・検討会

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関連通知

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その他の定期接種ワクチンを年齢別に見る

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相談窓口

厚生労働省は、インフルエンザをはじめとした感染症の一般的予防方法、流行状況や予防接種の意義、有効性、副反応等に関する国民の皆様の疑問に的確に対応するため、「感染症・予防接種相談窓口」を開設しています。

【感染症・予防接種相談窓口】
電話番号:0120-469-283(午前9時~午後5時 ※土日祝日、年末年始を除く)

※行政に関する御意見・御質問は受け付けておりません。
※本相談窓口は、厚生労働省が業務委託している外部の民間会社により運営されています。

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関連リンク

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