IDESコラム vol. 1 感染症エクスプレス@厚労省 2017年8月25日
ワンヘルス?AMR?
IDES 3期生:神代、市村、高橋、西島
こんにちは、私たちは、IDES(アイデス)という結核感染症課所属の
「感染症危機管理のための専門家を養成するプログラム」のメンバーです。
IDESのメンバーから、感染症や公衆衛生に関わる様々なテーマで、不定期
に、コラムを連載していきます。
今週8月21日に第3回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会を開催しました
が、そもそも「ワンヘルスとは何か?」「薬剤耐性(AMR)とは何か?」
よく分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。できるだけかみ
砕いて説明したいと思います。
ワンヘルスとは、「ヒトの健康は、動物・家畜の健康や環境から影響を
うけるので、ヒト、動物、環境分野を越えて、各分野や国の垣根を取り払
って対策が必要」という考えのもと生まれた概念です。
ワンヘルスの視点を持って取り組まなければならない代表的な問題に、
薬剤耐性(AMR)があります。
AMRとは、病原体が変化して抗生物質・抗菌薬が効かなくなることです
が、これを放置すると、2050年には全世界で年間1,000万人が薬剤耐性菌
により死亡すると推定されています。
ヒトの薬剤耐性菌が下水などの環境に流れ出て、動物(家畜、ペット、
野生動物)に感染したり、ヒトから動物に直接感染する可能性が指摘され
ています。反対に、動物の薬剤耐性菌が、食品、環境を介してヒトに感染
することもあります。ヒト、動物・家畜、食品は、日常的に旅行や貿易な
どで国境を越えます。このように薬剤耐性菌はヒトや動物、環境などの間
で、様々なルートで感染することが分かっています。
AMRの対策には、ヒト、動物、環境の分野の壁を越えた様々な専門家や、
世界各国の協力が必要です。
このAMRの問題を解決するためには、ヒトに限定した取組では解決でき
ないのです。
日本は、2016年4月に、今後5年間で実施すべきAMR対策をまとめた
「薬剤耐性アクションプラン」を上梓(じょうし)しました。この薬剤耐
性アクションプランのなかで、AMRの伝播経路を断ち切るための対策には、
ワンヘルスのアプローチの考え方が必要であると記載しています。
今年から、薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会が開催されたわけですが、
ワンヘルスのアプローチの一環として、ヒト、動物、環境、食品等の各分
野の専門家や関係省庁が結集し、我が国のAMR施策の進捗状況(薬剤耐性
菌の推移、抗生物質・抗菌薬の使用量など)を把握することにも取り組も
うとしてます。8月21日に開催した第3回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討
会では、どのような形式でワンヘルス報告書を上梓するか検討されました。
10月に開催が予定されている第4回の検討会では、ワンヘルス報告書(案)
が更に議論される予定です。
世界のワンヘルスの取組みに、日本も貢献できるように邁進して参ります。
ワンヘルスの関係者の皆様のご協力を、今後もお願いします。
今後もご愛読の程よろしくお願い申し上げます。
<ワンヘルス・アプローチに基づく動物由来感染症対策>
<薬剤耐性(AMR)対策について>
「感染症危機管理のための専門家を養成するプログラム」のメンバーです。
IDESのメンバーから、感染症や公衆衛生に関わる様々なテーマで、不定期
に、コラムを連載していきます。
今週8月21日に第3回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会を開催しました
が、そもそも「ワンヘルスとは何か?」「薬剤耐性(AMR)とは何か?」
よく分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。できるだけかみ
砕いて説明したいと思います。
ワンヘルスとは、「ヒトの健康は、動物・家畜の健康や環境から影響を
うけるので、ヒト、動物、環境分野を越えて、各分野や国の垣根を取り払
って対策が必要」という考えのもと生まれた概念です。
ワンヘルスの視点を持って取り組まなければならない代表的な問題に、
薬剤耐性(AMR)があります。
AMRとは、病原体が変化して抗生物質・抗菌薬が効かなくなることです
が、これを放置すると、2050年には全世界で年間1,000万人が薬剤耐性菌
により死亡すると推定されています。
ヒトの薬剤耐性菌が下水などの環境に流れ出て、動物(家畜、ペット、
野生動物)に感染したり、ヒトから動物に直接感染する可能性が指摘され
ています。反対に、動物の薬剤耐性菌が、食品、環境を介してヒトに感染
することもあります。ヒト、動物・家畜、食品は、日常的に旅行や貿易な
どで国境を越えます。このように薬剤耐性菌はヒトや動物、環境などの間
で、様々なルートで感染することが分かっています。
AMRの対策には、ヒト、動物、環境の分野の壁を越えた様々な専門家や、
世界各国の協力が必要です。
このAMRの問題を解決するためには、ヒトに限定した取組では解決でき
ないのです。
日本は、2016年4月に、今後5年間で実施すべきAMR対策をまとめた
「薬剤耐性アクションプラン」を上梓(じょうし)しました。この薬剤耐
性アクションプランのなかで、AMRの伝播経路を断ち切るための対策には、
ワンヘルスのアプローチの考え方が必要であると記載しています。
今年から、薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会が開催されたわけですが、
ワンヘルスのアプローチの一環として、ヒト、動物、環境、食品等の各分
野の専門家や関係省庁が結集し、我が国のAMR施策の進捗状況(薬剤耐性
菌の推移、抗生物質・抗菌薬の使用量など)を把握することにも取り組も
うとしてます。8月21日に開催した第3回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討
会では、どのような形式でワンヘルス報告書を上梓するか検討されました。
10月に開催が予定されている第4回の検討会では、ワンヘルス報告書(案)
が更に議論される予定です。
世界のワンヘルスの取組みに、日本も貢献できるように邁進して参ります。
ワンヘルスの関係者の皆様のご協力を、今後もお願いします。
今後もご愛読の程よろしくお願い申し上げます。
<ワンヘルス・アプローチに基づく動物由来感染症対策>
<薬剤耐性(AMR)対策について>
- 当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示すものではありません。
- IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機管理専門家」のことをいいます。