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感染症危機管理専門家(IDES)養成プログラム

感染症危機管理専門家養成プログラムとは

国内外で、感染症危機管理を実施するための能力を身に付けた専門家である感染症危機管理専門家(IDES: Infectious Disease Emergency Specialist)を養成するための厚生労働省の プログラムです。

感染症危機管理を実施するための能力とは

●専門分野の理解及び実践能力(行政、感染症、疫学など)
●コミュニケーション力(リーダーシップ、チームワーク、海外機関との連絡など)
●情報管理能力(収集、分析、発信)

なぜIDESが必要なのか

 近年、国境を越えた往来の増加、都市の過密化、行動様式の多様化など、様々な要因により新型インフルエンザやエボラ出血熱、MERS、ジカウイルス感染症などの新興・再興感染症が出現し、人々の健康に対する世界的な脅威となっています。

 こうした、国際的に脅威となる感染症に対する危機管理には、感染症に関する臨床経験や疫学知識のみならず、行政マネジメント能力、国際的な調整能力等、総合的な知識と能力が求められます。同時に、国民の生命と健康を新興・再興感染症から守るためには、こうした知識と能力を有する人材を継続的に育成し、国内外で活躍していただくことが不可欠です。

 厚生労働省では、平成27年度から国際的に脅威となる感染症の危機管理対応で中心的な役割を担う将来のリーダーを育成するため、関係機関がネットワークをつくり、本プログラムを開設しました。

IDES養成プログラム修了生の進路

  • 厚生労働省医系技官
  • 国立国際医療研究センター医師
  • WHO専門家
  • 国内大学教員

IDESの研修内容

  研修内容
座学研修 実地研修
1




厚生労働省
  • 行政組織について
  • 国及び厚生労働省としての危機管理体制のフレームワーク
  • 危機管理に関するフレームワーク
  • 法律(感染症法、検疫法など)
  • IHR(国際保健規則)との関係等、多岐にわたる分野をカバーする
  • 行政の枠組み
  • リーダーシップ
  • 意思決定のプロセス
  • 法律への理解
  • 省内外、国内外のステークホルダとのコミュニケーション
  • チームワーク
  • 感染症アウトブレイク発生地でリエゾンとして情報管理(収集、分析、発信)
  • 海外で感染症アウトブレイクが発生した際の対応
検疫所
  • 検疫所業務概要(検疫衛生、食品衛生、検疫法等)、IHRと日本の検疫業務の位置付け
  • 船舶検疫
  • 船舶衛生検査
  • 空港検疫
  • 黄熱ワクチン業務
国立国際医療研究センター
国際感染症センター   
  • 新興・再興重症感染症および疑似症患者の臨床マネジメント
  • 特殊感染症病棟の仕組みと運用
  • 医療機関における感染症危機管理  等
  
  • 一類感染症等の特殊な管理を必要とする感染症の管理方法
  • 輸入感染症の診療や渡航者外来診療
  • 薬剤耐性感染症の診療
  • 医療機関内・外部関連機関とのコミュニケーション技術の習得
  • Full PPE(個人防護服)の着脱訓練
国立感染症研究所
感染症疫学センター 
国立感染症研究所 FETP導入コース
  • 実地疫学の手法、疫学デザイン、統計法、アウトブレイクの対応法、リスクコミュニケーション 等
  • 国内の様々な組織とのネットワーク構築
  • 感染発生動向調査のレビュー
  • 国内外の感染症情報収集・分析・発信
  • 厚生労働省とのリエゾン、ウェブ会議
2




各国、各国際機関における感染症関連部局での研修
(具体的な内容は各派遣機関・部署により異なる。また派遣先は必ずしも希望にそうわけではなく、また状況によって派遣先が変更される場合もある。)

海外派遣先の実績
  • 世界保健機関本部
  • 米国保健福祉省・疾病予防管理センター
  • イングランド公衆衛生庁
  • イタリア国立感染症研究所
  • Gavi, The Vaccine Alliance


●IDES修了証授与
●厚生労働省「感染症危機管理専門家」として登録
<危機発生時>
厚生労働大臣の要請を受け、専門家として対応

● 今後、変更もありうる。
● 年間を通じて横浜検疫所、成田空港検疫所での着岸検疫・ワクチン接種・当直などの検疫業務
  (月2-3日ほど。土日祝日勤務の場合もあり)
● アウトブレイク発生地への派遣の可能性もある

IDES一覧

1期生(平成27年度)

  • 氏家無限
  • 杉原 淳
  • 都築慎也
  • 小玉千織

IDES養成プログラム履修生からのメッセージ

IDES2期生 船木医師
 本プログラムに参加したことで、臨床や研究に従事した医師人生では決して経験することのできなかった貴重な経験ができていると思っています。時には最前線からは一歩引いて、視野を広く持つことによって、新たな視野が広がり、そこに隠れている重要なものに気づかされたりもします。例えば、日本の公衆衛生に関する中心的な役割を担う行政機関における物事の動き、その中で見落としがちな注意点、医療現場や研究機関と行政との連携、法秩序、実際の検疫業務など、経験できることは多岐に渡ります。さらに単なる知識だけでなく、疫学的な視点での観察を継続することの重要性、危機管理事象の捉え方・対策、啓発の手法なども学ぶことができます。海外での経験も非常に貴重で、仕組みや文化の異なる機関での業務は大変なことも多いですが、外を見ることで日本のシステムの良いところを再認識する機会にもなり、また改善の余地があるところがはっきりとするように思います。
 そして何よりの魅力は、人との繋がりに恵まれた環境です。背景は異なるものの、志の高い同期や同僚に出会い、私自身に関わっていただいた全ての方はこれまでの人生の中ではほとんど機会のなかった、貴重でかつ新鮮な出会いになったという点で、非常に大きな経験や財産をいただいていると思います。

IDES 2期生 中村医師
 熱帯医学修士、産婦人科臨床のバックグラウンドからIDESプログラムに応募しました。海外と国内のNGOや国際赤十字社での経験等を通して、公衆衛生政策や国際情勢にはもともと関心があり、実臨床と国内政策、国内と国際政策の隔たりを少なからず感じていたことから行政のシステムと考え方に対する興味が大きくなったことが応募に至った動機です。
 実際にIDESとして厚労省を含めた行政システムの中で、沢山のことを教えていただきながら働かせて頂き、行政の方々の視野の広さを実感するとともに、まだまだ未熟ながら自分の意見が国の政策に反映され、国に貢献できる面白さとやりがいを感じることができました。また、多種多様な経験をもつ同期に会えたことは今後の人生における大きな宝になると思っています。
 実際の業務内容の中では、検疫所をはじめ国立国際医療研究センターや国立感染症研究所での研修を通して、それぞれの機関の位置づけや重要性を学ぶことができました。国全体または国際的な感染症アウトブレイクのコントロールにおいては、職種を問わず平時からのコミュニケーションが大事であると思われるため、関係機関での研修は顔の見える関係性を作る上でも有意義であると感じました。海外での機関でも同様で、IDESが継続して海外の関連機関に派遣されることで、国際的なネットワークを構築し円滑なコミュニケーションを推進することにつながれば、IDESプログラムは国内外双方にとってとても有意義なプログラムになると思います。全体として、国際情勢が日々変化する中で、国内と国外の危機管理体系について学び、日本の感染症危機管理体制の改善について貢献できるやりがいのあるプログラムだと思います。

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