腰痛予防対策


職場における腰痛で
悩んでいませんか?
職場における
腰痛発生件数を見てみましょう。
職場における腰痛発生件数は、昭和53年をピークとして長期的に減少したものの、社会福祉施設や医療保健業が含まれる保健衛生業においては、集計を開始した平成5年以降、発生件数が増加し、近年は全産業の発生件数も増加しています。
また、保健衛生業と陸上貨物運送事業の腰痛発生率(死傷年千人率)は全業種平均(0.1)を大幅に上回る(保健衛生業0.25、陸上貨物運送事業0.41)ことからも、特に保健衛生業と陸上貨物運送事業における腰痛予防対策の推進が重要な課題となっています。

腰痛の発生要因は?
要因1動作要因
動作要因とは、腰部に動的あるいは静的に加わる過度な負荷や負担
例えば・・・


重量物を持ち上げる、押したり、引いたりするなどの重量物の扱いに関することや腰を深く曲げる、長時間同じ姿勢で仕事をするなどの作業動作や作業姿勢に関することがあげられます。
要因2環境要因
環境要因とは身体の寒冷ばく露、暗い照明、不良な作業床面や作業空間、不適切な機器や設備の配置
例えば・・・

屋外の作業では身体が長い間寒冷にさらされる、「車輌運転などの全身振動に長時間さらされる、作業場所が狭くて窮屈である、機械や設備の配置が悪く、移動しづらい」などが、環境要因として考えられます。
要因3個人的要因
個人的要因とは年齢、性別、体格や、骨粗しょう症などの既往症または基礎疾患の有無のような個人属性にかかわる要因
例えば・・・

最近、年齢や体力面で、荷物の積み卸しがしんどくなってきた、腰が痛いときでもゆっくりと休むことができない、などが個人的要因です。それ以外にも、「ゆっくりと休憩できる設備がない」、「満足に仮眠できないため、睡眠が不十分であるなどの衛生施設の設置状況に関するものや、夜間勤務が長い、夜勤回数が多いなどの個人の勤務条件に関するものがあげられます。
プレゼンティーズムを
知っていますか?
アブセンティーズム | 仕事を休業、欠勤している状態。 |
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プレゼンティーズム | 出社しているものの、何らかの健康問題が原因で生産性が低下している状態。 |
労働者の健康問題が経営に与えるマイナスの影響と聞くと、
なんとなく「アブセンティーズム」的な面が頭に浮かびがちかもしれませんが、プレゼンティーズムの方がアブセンティーズムよりも負の影響が大きいという話もあり、職場における腰痛予防対策に取り組むことで、労働生産性の向上につながり、企業にとってもプラスです。


腰痛予防チェック
【作業管理】
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□ 自動化、省力化
腰に負担がかかる重量物を取り扱う作業、不自然な姿勢を伴う作業では、機械による作業の自動化を行う。それが困難な場合は、台車などの道具や補助機器を使うなど作業者の負担を減らす省力化を行う。
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□ 作業姿勢、動作
作業対象にできるだけ身体を近づけて作業する。不自然な姿勢を取らざるをえない場合は、前屈やひねりなど、その姿勢の程度をなるべく小さくし、頻度と時間を減らす。作業台や椅子は適切な高さに調整する。作業台は、ひじの曲げ角度がおよそ90度になる高さとする。
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□ 作業の実施体制
作業時間、作業量などを設定する際は、作業をする人数、内容、時間、重量、自動化・省力化の状況などを検討する。腰に過度の負担がかかる作業は、無理に1人ではさせない。
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□ 作業標準の策定
作業の姿勢、動作、手順、時間などについて、作業標準を策定する。作業標準は、作業者の特性・技能レベルなどを考慮して定期的に確認する。また、新しい機器・設備を導入したときにも、その都度、見直すようにする。
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□ 休憩・作業量、作業の組合せ
適宜、休憩時間を設け、姿勢を変えるようにする。夜勤や交代制勤務、不規則な勤務については、昼間の作業量を下回るよう配慮し、適宜、休憩や仮眠が取れるようにする。過労を引き起こすような長時間勤務は避ける。
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□ 靴、服装など
作業時の靴は、足に合ったものを使用する。ハイヒールやサンダルは使用しないこと。作業服は、適切な姿勢や動作を妨げることのないよう伸縮性のあるものを使用する。腰部保護ベルトは、個人ごとに効果を確認した上で、使用するかどうか判断する。
【健康管理】
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□ 健康診断
腰に著しい負担がかかる作業に、常時、従事させる場合は、その作業に配置する際に、医師による腰痛の健康診断を実施する。その後は、6カ月以内に1回、実施する。
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□ 腰痛予防体操
ストレッチを中心とした腰痛予防体操を実施させる。
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□ 腰痛による休職者が職場に復帰する際の注意事項
腰痛は再発する可能性が高いので、産業医などの意見を聴き、必要な措置をとる。
【労働衛生教育】
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□ 労働衛生教育
重量物の取り扱い作業、同一姿勢での長時間作業、不自然な姿勢を伴う作業、介護・看護作業、車両運転作業などに従事する作業者に対しては、その作業に配置する際やその後、必要に応じて、腰痛予防のための労働衛生教育を実施する。
【教育内容】
・腰痛の発生状況、原因(腰痛が発生している作業内容・環境、原因など)
・腰痛発生要因の特定、リスクの見積もり(チェックリストの作成、活用方法など)
・腰痛発生要因の低減措置(発生要因の回避、軽減を図るための対策)
・腰痛予防体操(職場でできるストレッチの仕方など)
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□ 心理・社会的要因に関する留意点
上司や同僚のサポート、腰痛で休むことを受け入れる環境づくり、相談窓口の設置など、組織的な取り組みを行う。
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□ 健康の保持増進のための措置
腰痛予防には日頃からの健康管理も重要。十分な睡眠、禁煙、入浴による保温、自宅でのストレッチ、負担にならない程度の運動、バランスのとれた食事、休日を利用した疲労回復・気分転換などが有効。
腰痛予防に関する
参考資料を紹介します!
腰痛予防に関する教材・資料
小売業・飲食店の労働災害防止に
関する教材・資料
労働衛生関係機関
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産業保健総合支援センター(独立行政法人労働者健康安全機構)
産業医、産業看護職、衛生管理者等の産業保健関係者を支援するとともに、事業主等に対し職場の健康管理への啓発を行うことを目的として、全国47の都道府県に産業保健総合支援センター(さんぽセンター)が設置されています。
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中央労働災害防止協会
中央労働災害防止協会(中災防)は、事業主の自主的な労働災害防止活動の促進を通じて、安全衛生の向上を図り、労働災害を絶滅することを目的に、労働災害防止団体法に基づき、昭和39年8月1日に労働大臣の認可により設立された公益目的の法人です。事業主の方々の自主的な労働災害防止活動を促進し、働く人々の安全と健康を確保するための総合的活動を行っています。
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健康経営優良法人認定制度(経済産業省商務・サービスグループ)
健康経営優良法人認定制度とは、優良な健康経営を実践している企業等を「健康経営優良法人」として顕彰する制度です。経済産業省が制度設計を行い、日本健康会議が認定しています。この認定を受けることで、ロゴマークを企業のPR等に使用できます。また、自治体の公共調達における加点や、金融機関の低利融資等、優遇措置を受けられることがあります。