建設工事の設計・施工等の各段階における労働災害防止対策の推進

 建設工事の安全衛生対策は、工事の目的物である建築物等の形状・機能等の諸条件や採用する施工方法に影響されます。
 このため、近年では、英国の安全衛生法令の一つである、建設(設計、マジメント)規則※に代表されるように、工事の施工段階の対策だけでなく、建築物等の設計段階から、あらかじめ施工作業の危険性を低減するよう設計者が配慮することが建設工事の労働災害対策で重要とされています。
 また、日本でも、建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律(平成28年法律第111号)の第12条において、建設工事従事者の安全に配慮した建築物等の設計の普及を促進することとされており、建設業界でも、設計、受注時、工法選択時など、できる限り前段階(上流側)でリスクアセスメントを行うが推進されています。

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建設業における発注者による安全衛生への配慮の促進



労働災害の防止のためには、事業者による法令遵守と労働災害防止の努力や自主的な安全衛生活動の推進が重要ですが、特に建設業では、産業の特徴として発注者の存在があり、事業者の労働災害防止活動に影響を及ぼすことがあります。
厚生労働省では全国の労働基準監督署が実施した災害調査の結果、再発防止の観点から、発注機関に対して要請や依頼を行った事例を収集して紹介しています。
さらに、建設業労働災害防止協会に委託して(平成20年度委託事業)、公共団体等が行っている安全に配慮した発注等の安全対策の状況等を調査し、発注者として行うことが望ましい好事例集を作成しました。

「建設業における発注機関に対する指導・要請事例集」(平成20年12月、厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課建設安全対策室)
厚生労働省委託事業「「建設工事における注文者対策に関する調査研究」報告書(好事例集)」(平成20年12月、建設業労働災害防止協会)
 

建設工事の設計段階における労働災害防止対策にかかる事業における実施結果(厚生労働省委託事業)

 厚生労働省では委託事業で、平成29年度に、建設工事従事者の安全に配慮した建築物等の設計の普及の促進を図るとともに、今後の普及方策の検討を行う基礎資料収集のため、この分野で先行している英国・米国の事例や国内における先行的な取組を調査し、これを踏まえ、平成30年度にはシンガポール共和国、EU及び日本の制度及び取組事例調査を追加で行いました。

※ Construction (Design and Management) Regulations
建築物の設計段階で施工時のリスクアセスメントを行い、合理的な範囲でそのリスクを低減すること、残存リスクに関する情報を施工者に伝達することが義務付けられている。

◯平成30年度事業 :
  「建設工事の設計段階における労働災害防止対策の普及促進事業」
  受託者 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
◯平成29年度事業 :
  「建設工事の設計段階における労働災害防止対策の調査事業」
  受託者 一般社団法人公共建築協会

平成30年度の調査結果について

【シンガポールの調査先】
 設計者(事務所)・設計コンサルタント2社、発注者2社、施工業者2社、行政関係機関1機関

【EU(ドイツ)の調査先】
 設計者(事務所)1社、発注者1社、施工業者2社、行政関係機関2機関

【日本の事例調査先】
 設計者(事務所)・設計コンサルタント4社、発注者2社


平成30年度事業報告書(1)【35,198KB】
平成30年度事業報告書(2)
【42,766KB】
平成30年度事業報告書(3)【30,969KB】

平成29年度の調査結果について

【英国の調査先】
 設計者(事務所)・設計コンサルタント2社、プリンシパルデザイナー1社、発注者2社、施工業者2社
 行政関係機関1機関

【米国の調査先】
 設計者(事務所)・設計コンサルタント2社、発注者3社、施工業者1社、行政関係機関2機関

【日本の事例調査先について】
 設計者(事務所)・設計コンサルタント9社、施工業者4社


平成29年度事業報告書【11,490KB】