風しん

ふうしんとは

ふうしんウイルスによる感染症で、特徴は発熱、発しん、リンパ節のれです。

妊娠早期(20週頃以前)の女性が感染することで、胎児に重篤な影響を与える先天性風しん症候群 (Congenital Rubella Syndrome :CRS)の原因となり、妊婦は特に注意が必要です。
 

主な症状

発熱・発しん(全身の小さな赤い発しん)・リンパ節の腫れ(主に首、後頭部、耳の後ろ)が三主徴で、感染後2~3週間の潜伏期間を経て発症します。
発熱・発しんは数日で消失しますが、リンパ節の腫れは3~6週間続きます。成人では関節炎症状も認められることもありますが、基本的には自然に回復します。また、脳炎や血小板減少性紫斑病等の合併症を認めることもあり、入院加療を要することもあります。

一方で、感染しても発症しない場合もあります。小児では 30~50%、大人では15%程度と言われており、発症しても三主徴の全てが揃わない場合も多くあります。

妊娠中又は妊娠の可能性がある方へ

風しんに対する免疫が不十分な女性が妊娠20週頃までにが感染すると、
胎児が先天性心疾患や難聴、白内障等の先天異常を含む様々な症状を発症する先天性風しん症候群(CRS)を発症する原因となるといわれています。(妊娠12週までにかかった場合85%、妊娠13~16週の場合は50%などとされています)

なお妊娠中の女性は弱毒生ワクチンの接種が受けられないため、特に抗体を持たない、また抗体価の低い妊婦は、風しん流行時には、可能な限り不要不急の外出を避けていただき、やむを得ず外出をする際には可能な限り人混みを避けていただくなど、風しんにかからないように注意してください。
また、妊婦の周りにいる人(妊婦のパートナー、子ども、その他の同居家族等)は、風しんに感染しないよう予防に努めてください。
発熱や発しん、リンパ節の腫れが出るなど、風しんを疑う症状がある場合は、医療機関に相談し受診の必要の有無や注意点を確認しましょう。
また、感染しても症状がない場合あるため、周囲に風しんにかかっている人がいる場合は、妊婦健診の際に、医師に伝えてください。

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感染経路

感染した人の咳のしぶき(飛まつ)を吸い込むことによる感染(飛まつ感染)や、感染者と接触したりすることによる感染(接触感染)が知られています。ウイルス排出は、発しんが出る前後1週間で、発症前から感染力があります。

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治療方法

基本的には、発熱に対する解熱剤など症状に応じた治療を行います。

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予防と対策

風しんの予防には、麻しん風しん混合ワクチンの接種が有効です。

風しん含有ワクチンの接種が、最も有効な予防方法といえます。
予防接種法に基づく定期の予防接種については、2回の接種をそれぞれ95%以上の人に受けていただくことを目標としていますが、医療・教育関係者や海外渡航を計画している成人も、風しんの罹患歴や予防接種歴が明らかでない場合やご自身の免疫が不十分なことが判明した方は予防接種を検討してください。
麻しん風しん混合ワクチンを接種することによって、95%程度の人が麻しんウイルスと風しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。

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発生状況

風しん、先天性風しん症候群(CRS)ともに、2008年(平成20年)1月1日から、感染症発生動向調査において5類全数把握疾患に分類されています。
2011年(平成23年)から、海外で感染して帰国後発症する輸入例が散見され、2013年(平成25年)には全数報告疾患となってから最も多い累計14,344例の報告数となりました。その後は一旦落ち着いたものの、2018年(平成30年)に再度関東地方を中心とした流行が見られたことを受け、「風しんの追加的対策」※を実施し、2025年3月31日をもって終了しています。どちらの流行においても先天性風しん症候群の患者が報告されております。近年は風しんは10例程度の報告に留まっており、先天性風しん症候群(CRS)も報告されていない状況ですが、最新の発生状況については、下記の感染症発生動向調査をご参照ください。

※「風しんの追加的対策」:過去に公的に予防接種を受ける機会がなかった特に抗体保有率が低い世代の男性(昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれ)を予防接種法に基づく定期接種の対象とし、風しん抗体検査で低抗体価であった場合、令和元年度から令和6年度まで全国で原則無料で定期接種を実施しました。

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医療機関・自治体の皆さまへ

感染症法に基づく医師の届出のお願い

全ての医師の方は、対象の感染症の診断を行った際に、直ちに届出様式により最寄りの保健所に届け出てください。また、原則として全例にウイルス遺伝子検査の実施を求めるものとします。

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啓発ツール

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Q&A

Q1.今後、妊娠を希望しているのですが、風しんの流行に備えて何かしておくことがありますか?
A1.妊娠初期(20週以前)に風しんにかかると、胎児に感染し、赤ちゃんが難聴・白内障・先天性心疾患を特徴とする先天性風しん症候群を持ってうまれてくる可能性が高くなります。これはワクチンで防ぐことができるので、妊娠前であればワクチン接種を受けることを積極的に検討してください。自治体においては、妊娠を希望する方々に抗体検査やワクチン接種を無料で提供しているところがあるので、居住地域の保健所にご相談してみてください。
Q2.現在妊娠しており妊婦健診での風しんの抗体検査の結果、抗体価が低いことがわかりました。今後どのようにすればよいでしょうか。
A2.風しんが発生している地域では、不要不急の外出を避けていただき、やむを得ず外出をする際には可能な限り人ごみを避け、マスク・手洗い等の予防を行っていただくなど、風しんに感染しないよう注意してください。出産後は、早期の段階で風しんの予防接種を受けることをおすすめしています。また、風しんの抗体価が低い妊婦の同居家族については、風しんにかかったことがなく、2回の予防接種歴がない場合は、風しんの免疫の有無を確認するための抗体検査を受けてください。抗体検査は多くの自治体において無料で受けることが可能ですので、居住地域の保健所にご相談してみてください。抗体検査の結果、抗体価が低いことが判明した方については、妊婦とお腹の子どもを守る観点からもワクチン接種を受けることについてご検討ください。
Q3.抗体検査を受けたいのですが、無料で受けられるのでしょうか。またどこで検査を受けられるでしょうか。
A3.現在、妊娠を希望する女性と妊婦の同居家族等を対象として、風しんの抗体検査を無料で受けていただくことのできる事業を多くの自治体で行っています。自治体ごとに風しん対策の補助の有無や補助の額などのあり方が異なるため、抗体検査を希望される方は、事業で検査可能な医療機関を含めて、まずは居住地域の保健所にご相談ください。
Q4.海外渡航に際して、風しんについて注意すべきことはありますか?
A4.国や地域によっては、風しんの流行が見られる場合があるため、風しんにかかった(検査で診断された)ことがない方が海外渡航される時には、あらかじめ風しんの予防接種歴を確認し、風しんの予防接種を2回受けていない場合、又は接種歴が不明の場合には予防接種を検討することをおすすめしています。
Q5.過去に風しんにかかったことがあるのですが予防接種を受けるべきでしょうか?
A5.今まで風しんにかかったことが確実である(検査で風しんの感染が確認された場合)場合は、免疫を持っていると考えられることから、予防接種を受ける必要はありません。しかし、風しんかどうか明らかでない場合は、かかりつけの医師にご相談ください。たとえかかったことがある人がワクチン接種をしても副反応は増強しません。
もし、既に風しんまたは麻しんの片方にかかったことがあっても、他方にはかかっていない場合、定期接種対象者は麻しん風しん混合ワクチンを定期の予防接種として受けることができます。
Q6.ワクチン接種を受けた方が良いのはどのような人ですか?
A6.定期接種の対象者は、1歳児、小学校入学前1年間の幼児ですが、定期接種の対象者以外の方で、「風しんにかかったことがなく、ワクチンを1回も受けたことのない人」は、かかりつけの医師にご相談ください。
また、妊娠を希望する女性や、抗体を保有していない妊婦の家族のうち、今までに明らかに風しんにかかったことのない人も、抗体検査を受けて、抗体価が低い場合には接種を検討しましょう。

医療従事者や学校関係者・保育福祉関係者など、風しんにかかるリスクが高い方や風しんにかかることで周りへの影響が大きい場合、また、流行国に渡航するような場合は、必要な予防接種についてかかりつけの医師にご相談ください。
Q7.風しんの予防接種を受けるのに、単独の風しんワクチンの代わりに、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)を接種しても健康への影響に問題ありませんか?
A7.風しんの予防対策としては、MRワクチンは単独ワクチンと同様の効果が期待されます。
また、風しんワクチンの代わりにMRワクチンを接種しても、健康への影響に問題はありません。むしろ麻しんの予防にもつながる利点があります。
Q8.ワクチン接種ができない人はどのような方ですか?
A8.単独の風しんワクチン、MRワクチンのどちらも、生ワクチンという種類のワクチンであり、妊娠している女性は接種を受けることができません。また、妊娠されていない場合であっても、接種後2カ月程度の避妊が必要です。これは、おなかの中の赤ちゃんへの影響を出来るだけ避けるためです。
また、風しんワクチン、MRワクチンの成分でアナフィラキシーを起こした方、免疫機能に異常のある疾患を有する方、免疫抑制の効果のある治療を受けている方、その他、予防接種を行うことが不適当な状態にあると医師が判断する方もワクチン接種することができません。

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指針・ガイドライン

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通知・事務連絡など

※【ワクチンの供給に関する通知・事務連絡】については、下記ページをご覧ください
ワクチンの供給状況について

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風しんの追加的対策

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