健康・医療MRワクチン
麻しん・風しんワクチン(MRワクチン)により、感染力が非常に強く、肺炎などの重篤な疾病を起こす麻しんや風しんを予防できます。1歳と小学校に上がる前の合計2回の接種を行います。
疾病の性質
麻しんの概要
麻しんウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症として知られています。
麻しんウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。
免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。
麻しんに感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。
死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。
その他の合併症として、10万人に1人程度と頻度は高くないものの、麻しんウイルスに感染後、特に学童期に亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる中枢神経疾患を発症することもあります。
※より詳しい情報については下記リンクをご参照ください。
麻しん(NIID)
風しんの概要
風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる急性の発疹性感染症で、風しんへの免疫がない集団において、1人の風しん患者から5~7人にうつす強い感染力を有します。
風しんウイルスの感染経路は、飛沫感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播します。
症状は不顕性感染(感染症状を示さない)から、重篤な合併症併発まで幅広く、特に成人で発症した場合、高熱や発疹が長く続いたり、関節痛を認めるなど、小児より重症化することがあります。また、脳炎や血小板減少性紫斑病を合併するなど、入院加療を要することもあるため、決して軽視はできない疾患です。
また、風しんに対する免疫が不十分な妊娠20週頃までの女性が風しんウイルスに感染すると、眼や心臓、耳等に障害をもつ(先天性風しん症候群)子どもが出生することがあります。(妊娠1か月でかかった場合50%以上、妊娠2か月の場合は35%などとされています)。
※より詳しい情報については下記リンクをご参照ください。
風しん(NIID)
ワクチンの効果
MRワクチンを接種することによって、95%程度の人が麻しんウイルスと風しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。
また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。
接種の対象者とスケジュール
MRワクチンの定期接種は、以下の2回です。2回の接種が必要です。
第1期:1歳の1年間(1歳の誕生日の前日から2歳の誕生日の前日まで)
第2期:5歳以上7歳未満で、小学校入学前の1年間
使用するワクチン
麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)を使用します。
その他、単独の麻しんワクチンと風しんワクチンを接種することもできます。
ワクチンの安全性
ワクチン接種後の反応として多くみられる症状として発熱、発疹、鼻汁、咳嗽、注射部位紅斑・腫脹などがみられます。重大な副反応として、アナフィラキシー、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳炎・脳症、けいれん、血小板減少性紫斑病がごく稀に(0.1%未満)報告されていますが、ワクチンとの因果関係が明らかでない場合も含まれています。
なお、麻しん含有ワクチンは、ニワトリの胚細胞を用いて製造されており、卵そのものを使っていないため卵アレルギーによるアレルギー反応の心配はほとんどないとされています。
しかし、重度のアレルギー(アナフィラキシー反応の既往のある人など)のある方は、ワクチンに含まれるその他の成分によるアレルギー反応が生ずる可能性もあるので、接種時にかかりつけの医師に相談してください。
接種を受けられない方
以下の方は、接種を受けることができません。
- MRワクチンの成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方
- 免疫機能に異常のある疾患を有する方、免疫抑制の効果のある治療を受けている方
- 妊娠していることが明らかな方
- その他、予防接種を行うことが不適当な状態にあると医師が判断する方
また、以下のような場合は接種を受けることができませんので、治ってから受けるようにしてください。
- 発熱している。
- 重篤な急性疾患にかかっている。
接種に注意が必要な方
以下の方は、接種にあたって注意が必要なので、あらかじめ医師に相談してください。
- 心臓、腎臓、肝臓、血液の病気や発育障害がある方
- これまでに、予防接種を受けて2日以内に発熱や全身の発疹などのアレルギー症状があった方
- けいれんを起こしたことがある方
- 免疫不全と診断されている方や、近親者に先天性免疫不全症の方がいる方
- MRワクチンの成分でアレルギーを起こすおそれのある方
Q&A
※がついたタイトル部分を押下で回答が閲覧できます。
麻しん
2024年9月30日版
ワクチンについて
Q1 麻しんの予防接種を受けるのに、単独の麻しんワクチンの代わりに、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)を接種しても健康への影響に問題ありませんか?
麻しんの予防対策としては、MRワクチンは単独ワクチンと同様の効果が期待されます。
また、麻しんワクチンの代わりにMRワクチンを接種しても、健康への影響に問題はありません。むしろ風しんの予防にもつながる利点があります。
ただし、MRワクチンは、生ワクチンという種類のワクチンですので、妊娠している女性は接種を受けることができません。また、妊娠されていない場合であっても、接種後2か月程度の避妊が必要です。これは、おなかの中の赤ちゃんへの影響をできるだけ避けるためです。
また、麻しんの単独ワクチン、風しんの単独ワクチンの接種にあたっても、妊娠している方は接種を受けることはできません。接種後2か月程度、妊娠を避けるなど同様の注意が必要です。
接種スケジュールや接種方法
Q2 過去に麻しんにかかったことがあるのですが予防接種を受けるべきでしょうか?
今まで麻しんにかかったことが確実である(検査で麻しんの感染が確認された場合)場合は、免疫を持っていると考えられることから、予防接種を受ける必要はありません。
しかし、麻しんかどうか明らかでない場合はかかりつけの医師にご相談ください。
たとえかかったことがある人がワクチン接種をしても副反応は増強しません。
もし、麻しんまたは風しんの片方にかかったことがあっても、他方にはかかっていない場合、定期接種対象者は麻しん風しん混合ワクチンを定期の予防接種として受けることができます。
Q3 ワクチン接種を受けた方が良いのはどのような人ですか?
定期接種の対象年齢の方々(1歳児、小学校入学前1年間の幼児)は、積極的勧奨の対象ですが、定期接種の時期にない方で、「麻しんにかかったことがなく、ワクチンを1回も受けたことのない方」は、かかりつけの医師にご相談ください。
2000年4月2日以降に生まれた方は、定期接種として2回の麻しん含有ワクチンを受ける機会がありますが、それ以前に生まれた方は、定期接種として1回のワクチン接種の機会があった、もしくは定期接種の機会がなかった方となります。
そのため、麻しんにかかったことがなく、2回の予防接種を受ける機会がなかった方で、特に医療関係者や児童福祉施設等の職員、学校などの職員など、麻しんにかかるリスクが高い方や麻しんにかかることで周りへの影響が大きい場合、流行国に渡航するような場合は、2回目の予防接種についてかかりつけの医師にご相談ください。
風しん
2024年9月30日版
ワクチンについて
Q1 風しんの予防接種を受けるのに、単独の風しんワクチンの代わりに、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)を接種しても健康への影響に問題ありませんか?
風しんの予防対策としては、MRワクチンは単独ワクチンと同様の効果が期待されます。
また、風しんワクチンの代わりにMRワクチンを接種しても、健康への影響に問題はありません。むしろ麻しんの予防にもつながる利点があります。
ただし、MRワクチンは、生ワクチンという種類のワクチンですので、妊娠している女性は接種を受けることができません。また、妊娠されていない場合であっても、接種後2か月程度の避妊が必要です。これは、おなかの中の赤ちゃんへの影響をできるだけ避けるためです。
また、風しんの単独ワクチン、麻しんの単独ワクチンの接種にあたっても、妊娠している人は接種を受けることはできません。接種後2か月程度、妊娠を避けるなど同様の注意が必要です。
接種スケジュールや接種方法
Q2 過去に風しんにかかったことがあるのですが予防接種を受けるべきでしょうか?
今まで風しんにかかったことが確実である(検査で風しんの感染が確認された場合)場合は、免疫を持っていると考えられることから、予防接種を受ける必要はありません。しかし、風しんかどうか明らかでない場合は、かかりつけの医師にご相談ください。たとえかかったことがある人がワクチン接種をしても副反応は増強しません。
もし、風しんまたは麻しんの片方にかかったことがあっても、他方にはかかっていない場合、定期接種対象者は麻しん風しん混合ワクチンを定期の予防接種として受けることができます。
Q3 ワクチン接種を受けた方が良いのはどのような人ですか?
定期接種の対象者は、1歳児、小学校入学前1年間の幼児ですが、定期接種の時期にない人で、「風しんにかかったことがなく、ワクチンを1回も受けたことのない人」は、かかりつけの医師にご相談ください。(なお、過去の制度の変遷から、定期接種の対象については、1990年4月2日以降に生まれた人は2回、1979年4月2日~1990年4月1日に生まれた人は1回、1979年4月1日以前に生まれた男性は0回です)
また、妊娠を希望する女性や、抗体を保有していない妊婦の家族のうち、今までに明らかに風しんにかかったことのない人も、抗体検査を受けて、抗体価が低い場合には接種を検討しましょう。
医療従事者や学校関係者・保育福祉関係者など、風しんにかかるリスクが高い人や風しんにかかることで周りへの影響が大きい場合、流行国に渡航するような場合は、2回目の予防接種についてかかりつけの医師にご相談ください。
風しんの追加的対策
風しんの追加的対策は下記リンクをご覧ください。
麻しんの指針・ガイドライン
関連通知
麻しん・風しんに関する情報
その他の定期接種ワクチンを年齢別に見る
相談窓口
厚生労働省は、インフルエンザをはじめとした感染症の一般的予防方法、流行状況や予防接種の意義、有効性、副反応等に関する国民の皆様の疑問に的確に対応するため、「感染症・予防接種相談窓口」を開設しています。
【感染症・予防接種相談窓口】
電話番号:0120-469-283(午前9時~午後5時 ※土日祝日、年末年始を除く)
※行政に関する御意見・御質問は受け付けておりません。
※本相談窓口は、厚生労働省が業務委託している外部の民間会社により運営されています。