サル痘について
サル痘は、1970年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)でヒトでの初めの感染が確認された、オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによる感染症で、中央アフリカから西アフリカにかけて流行しています。国内では感染症法上の4類感染症に指定されています。
2022年5月以降、従前のサル痘流行国への海外渡航歴のないサル痘患者が欧州、米国等で報告されています。
国内の発生事例については、「3.報道機関向けの情報」をご確認ください。
厚生労働省では、令和4年5月20日にサーベイランス強化のため、自治体や医療機関に対して、各国の状況や、サル痘の症状、感染経路等に関する情報提供を行いつつ、サル痘の疑い例があった場合には必要な報告を行うよう依頼するとともに、検疫所においては、出入国者に対する情報提供や注意喚起を行っています。
また、6月1日以降も、自治体や医療機関に対して、積極的疫学調査の取扱いや特定臨床研究等について、事務連絡を発出しています。
1 サル痘
サル痘とは?
1 病原体
ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルス
コンゴ盆地型(クレードⅠ)と西アフリカ型(クレードⅡa及びⅡb)の2系統に分類される。
コンゴ盆地型(クレードⅠ)による感染例の死亡率は10%程度であるのに対し、西アフリカ型(クレードⅡa及びⅡb)による感染例の死亡例は1%程度と報告されている。
2 感染経路
アフリカに生息するリスなどの齧歯類をはじめ、サルやウサギなどウイルスを保有する動物との接触によりヒトに感染する。
また、感染した人や動物の皮膚の病変・体液・血液との接触(性的接触を含む。)、患者との接近した対面での飛沫への長時間の曝露(prolonged face-to-face contact)、患者が使用した寝具等との接触等により感染する。
皮疹の痂皮をエアロゾル化することで空気感染させた動物実験の報告があるものの、実際に空気感染を起こした事例は確認されていない。
3 世界での発生状況
2022年5月以降の流行では、8万5千人以上の感染例が報告されている(1月24日時点)。
WHOによると、現在報告されている患者の大部分は男性であるが、小児や女性の感染も報告されている。
2022年1月1日から2023年1月15日の、サル痘の発生状況は以下のとおり。

Epidemic curve shown for cases reported up to 22 Jan 2023 to avoid showing incomplete weeks of data.
4 潜伏期
通常7~14日(最大5~21日)
5 治療と診断
・発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状が0-5日程度持続し、発熱1-3日後に発疹が出現。
・リンパ節腫脹は顎下、頸部、鼠径部に見られる。
・皮疹は顔面や四肢に多く出現し、徐々に隆起して水疱、膿疱、痂皮となる。
・多くの場合2-4週間持続し自然軽快するものの、小児例や、あるいは曝露の程度、患者の健康状態、合併症などにより重症化することがある。
・皮膚の二次感染、気管支肺炎、敗血症、脳炎、角膜炎などの合併症を起こすことがある。
・サル痘では手掌や足底にも各皮疹が出現することなどが、水痘との鑑別に有用とされる。
※2022年5月以降の欧米を中心とした流行では、以下のような、従来の報告とは異なる臨床徴候が指摘されている
・発熱やリンパ節腫脹などの前駆症状が見られない場合があること
・病変が局所(会陰部、肛門周囲や口腔など)に集中しており、全身性の発疹が見られない場合があること
・異なる段階の皮疹が同時に見られる場合があること
(2)診断:
・水疱や膿疱の内容液や蓋、あるいは組織を用いたPCR検査による遺伝子の検出
・その他、ウイルス分離・同定や、ウイルス粒子の証明、蛍光抗体法などの方法が知られている。
(3)治療:
・対症療法
・国内で利用可能な薬事承認された治療薬はない。
・欧州においては、特異的治療薬としてテコビリマットが承認されており、我が国においても同薬を用いた特定臨床研究が実施されている。
6 予防法
・天然痘ワクチンによって約85%発症予防効果があるとされている。
・流行地では感受性のある動物や感染者との接触を避けることが大切である。
2 自治体、医療機関向けの情報
- サル痘に関する情報提供及び協力依頼について(令和4年5月20日事務連絡)[PDF形式1010KB]
- サル痘に関する情報提供及び協力依頼について(令和4年6月1日事務連絡)[PDF形式1782KB]
- サル痘に関する情報提供及び協力依頼について(令和4年6月17日事務連絡)[PDF形式1934KB]
- サル痘に関する情報提供及び協力依頼について(令和4年7月6日事務連絡)[PDF形式1913KB]
- サル痘に関する情報提供及び協力依頼について(令和4年7月19日事務連絡)[PDF形式2040KB]
- サル痘に関する情報提供及び協力依頼について(令和4年8月10日事務連絡)[PDF形式1547KB]
- 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について」の一部改正について(令和4年8月10日健感発0810第8号)[PDF形式344KB]
- 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について」の一部改正について(令和4年8月19日健感発0819第1号)[PDF形式583KB]
- 「サル痘に関する情報提供及び協力依頼について(令和4年10月6日事務連絡)[PDF形式1608KB]
3 報道機関向けの情報
- 「サル痘の患者の発生について」(令和4年7月25日報道発表資料)
- 「サル痘の患者の発生(2例目)について」(令和4年7月28日報道発表資料)
- 「サル痘の患者の発生について」(令和4年8月5日報道発表資料)
- 「サル痘の患者の発生について」(令和4年8月10日報道発表資料)
- 「サル痘の患者の発生について」(令和4年9月21日報道発表資料)
- 「サル痘の患者の発生について」(令和4年10月4日報道発表資料)
- 「サル痘の患者の発生について」(令和4年10月6日報道発表資料)
- 「サル痘の患者の発生について」(令和4年12月21日報道発表資料)
- 「サル痘の患者の発生について」(令和5年1月19日報道発表資料)
- 「サル痘の患者の発生について」(令和5年1月25日報道発表資料)
- 「サル痘の患者の発生について」(令和5年1月26日報道発表資料)
- 「サル痘の患者の発生について」(令和5年1月30日報道発表資料)
- 「サル痘の患者の発生について」(令和5年1月31日報道発表資料)
- 「サル痘の患者等の発生について」(令和5年2月2日報道発表資料)
4 リーフレット
5 Q&A
6 関連情報
7 リンク
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