IDESコラム vol. 67「英国からの報告」

感染症エクスプレス@厚労省 2022年7月22日

IDES養成プログラム7期生:島谷 倫次

 IDES(感染症危機管理専門家)研修生の島谷と申します。今年度より、2年目の海外研修として英国健康安全保障庁(UKHSA)に出向しております。独断と偏見にはなりますが、こちらの状況をお伝えしていこうと思います。
 
 出向先のUKHSAは、公衆衛生システムの改革の一環として2021年10月1日から業務を開始しております。前身であるイングランド公衆衛生庁(PHE)の方が馴染みのある方が多いかもしれません。2022年4月からは、テムズ川を挟んで3キロ程西に移動する形でロンドン中心部に新たなオフィスが開設されております。そんな出来立てほやほやのオフィスですが、2023年7月には、東に10キロほど進んだCanary Warfに引っ越すことが決まっております。現在、UKHSAではリモートワークが中心となっており、たまにオフィスに出向いても、そこで仕事をしている人は各フロアに1人いるかいないか、といった状況です。既に個別に指定された机はなくフリーアドレスとなっておりますが、引っ越しにより更にスペースを減らし、コスト削減に繋がる、という事のようです。
 
 新型コロナウイルスについては、症例数の減少に伴い2022年7月1日に対応レベルが”Enhanced”から”Standard”に変更されています。具体的には、組織の一部改変や、ダッシュボードでの症例数等の報告が連日の更新から週毎の更新になったりしております。街中では、マスクを着用している方に殆ど出会わないような状況です。
 
 つい先日のことですが、イギリスでは観測史上初めて最高気温が40度を超えました。スーパーの冷蔵庫が故障したり、飛行機が飛べなくなったり、多くの影響が出ました。当然暑い訳ですが、日本の夏の方がよっぽど大変だったと個人的には感じております。こちらでは多くの家庭にクーラーが設置されておりません。私の部屋にもクーラーはありませんが、窓を開け、日本の百均で購入した手持ちの扇風機を使って、暑さを凌ぐことができました。朝夕は基本的に涼しくなりますし、湿度も日本ほど高くありません。
 
 この熱波でもそうですが、国際比較というのは本当に難しいものだと思います。それぞれの国にはそれぞれの制度、歴史、文脈等があり、一つの尺度で切り取って比較しても、実態が乖離してしまうことが多々あります。それでも尚、国際的な比較は必要な訳ですが、その解釈や事例の導入については、受け手の試される部分が非常に大きいと感じています。徒然なるままに羅列してしまいましたが、皆様の何かしらのお役に立てましたら光栄です。



(編集:松下 愛美) 

  • 当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示すものではありません。
  • IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機管理専門家」のことをいいます。

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