IDESコラム vol. 45「番外編:めぐりあい・・・」

感染症エクスプレス@厚労省 2019年6月21日

編集担当:成瀨 浩史

  こんにちは。感染症エクスプレス@厚労省の編集を担当しています成瀨浩史です。
早いもので、このメールマガジンの編集を担当してから3年が経ち、配信自体は続きますが、本日の感染症エクスプレスが私の最後の配信となります。
 vol.254からvol.389まで、136回配信したことになります。長きにわたりご愛読いただきありがとうございました。
 
 私は、医薬専門の広告代理店からの出向者で任期は2年の予定でしたが、1年延長し、計3年の任期となりました。

 私は学生時代には、関西の大学で遺伝子工学を学び、大学院では潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の基礎研究をしていました。研究することの面白さと重要性を学びつつも、好きな絵画を活かすために広告の道を選んだという、かわった経歴の持ち主です。厚生労働省に来る前は、モバイル向けの広告代理店や医薬専門の広告代理店など複数の職場でデザイン、営業、編集、マーケティングなどに携わっていました。
 いくつかの職場を経験し、「医学」、「広告」、「代理店」の経験が生きる職場(出向元)に勤めることができましたが、それは、恩師、職場の上司、友人など様々な人々と「めぐりあい」の結果でもあります。
 「めぐりあい」とは偶然か必然か、とても不思議なものです。
 
 「めぐりあい」といえば、厚生労働省から出している感染症対策のポスターの、マンガ・アニメとのコラボレーションというのも、普段は交わる機会の少ないもの同士の「めぐりあい」「めぐりあわせ」です。

 「美少女戦士セーラームーン」、「劇場版 マジンガーZ/INFINITY」、「機動戦士ガンダム」、「進撃の巨人」、「はたらく細胞」、「劇場版シティーハンター」とコラボレーションした感染症対策ポスターの企画に携わらせていただきました。
 それぞれの企画のターゲットは異なれど、これらはターゲットが感染症の問題について自分のこととして捉えてもらうという共通の目的のために作られたものです。原作者やコンテンツホルダーの方々には、守るべきブランドイメージもある中で、感染症対策という、マンガ・アニメの内容とは一線を画すテーマでコラボレーションしてくださった、その懐の深さには、改めて感謝するとともに、心より敬意を表します。
 
 感染症と人類は、私たちが生まれる前から現在にいたるまで、長きにわたり対峙してきました。
現在話題になっている、麻しんや風しんについても、多くの方が犠牲となっており、悲劇を繰り返さないために、人類が英知を結集させ、対策を講じています。

 一般的には、感染症の検査に検査薬・検査キット、治療に治療薬、予防にワクチンが必要となりますが、これは行政機関だけで準備することはできず、メーカーや運送会社などの民間企業、医療機関の協力が必要です。パンデミックなどの有事の際には、情報の錯綜や、無用な犯人捜しを起こさないようにするためにも、メディアとの協力関係も重要になってきます。
 感染症は、人類が一致団結して取り組むべきテーマだと言ってよいでしょう。
 
 さらに、情報発信においては、このデジタル時代、twitterやfacebookなどのSNSを活用し、個々人が発信できる時代ですから、個人にも発信してもらえるような仕組みをつくることは、情報拡散をする上では必要な視点だと思います。
 そのために、まずは個々人に関心をもっていただくために、より身近なコンテンツ、マンガ・アニメに協力していただき、ダジャレや名セリフなどと絡めるなどの言葉遊びも交え、シェアしてもらうような工夫を施しました。
 マンガ・アニメを読んで育った方々にとって、幼いころのヒーローは大人になっても心のヒーローではないでしょうか。コンテンツが感染症と直接関係なくても、みんなのヒーローに協力してもらって、感染症対策を呼び掛けてもらおう!それが、今回のマンガ・アニメとコラボレーションが始まった着想でした。

 各感染症には、それぞれの課題があり、ターゲットとなる層が異なります。それぞれの感染症対策において、コラボレーションの企画は異なります。当課がコラボレーションを希望しても、コラボレーションが成立するか否かは、コンテンツホルダー側の状況にもよりますので、まさに「めぐりあわせ」によって、マンガ・アニメとのコラボレーションはできたのです。

 コラボレーションを行った結果、多くのメディアで取り上げてもらい、ネット上でも話題となりました。今後も、感染症に関心をもってくださる人が一人でも増えたらとてもうれしく思います。その後、自分のためではなく、他人のためにも、感染症予防を心がけて下さるよう行動してくださることを願っています。

 離任した後も、様々な「めぐりあい」の中で、立場を変えてもヘルスケアに関わって参りますので、引き続き皆様には、ご指導賜りますようお願いいたします。
 
 改めて、皆様には、ご愛読、ご支援いただきましたこと、感謝を申し上げます。
 引き続き、感染症エクスプレス@厚労省をご愛読いただけますと有難く存じます。
 
 皆様との「めぐりあい」に感謝いたします。

●当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示すものではありません。
●IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で4年前の平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機管理専門家」のことをいいます。
 
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