IDESコラム vol. 42「『One For All, All For One』の精神で感染症対策」

感染症エクスプレス@厚労省 2019年5月10日

IDES養成プログラム5期生:匹田 さやか

 4月より、新たにIDESに参加させていただけることになりました、5期生の匹田さやかです。私のほか、吉見、水島がIDES研修生の5期生となります。
 私自身は今まで、地域医療を担う者として、内科病棟、救急外来、診療所をベースに働いておりましたが、それ以外に保健所、小児在宅支援センター、横須賀米海軍病院で勤務しました。
 様々な現場での経験を活かして、IDESとして国内外の感染症危機管理の一役を担えるよう努めてまいります。

 4月は、健康危機管理を学ぶため、国立感染症研究所でFETP-J(Field Epidemiology Training Program Japan)の研修に参加させていただきました。FETP-Jは、感染症危機管理事例を迅速に探知し、適切な対応を実施する実地疫学者を養成するために、感染症法が施行された平成11年に設置されました。
 研修では、実践に即したシナリオに沿って実地疫学を疑似体験し、「ワクチンで防げる感染症の予防接種率を上げるために何ができるか」といったテーマで、グループワークを行いました。
 この研修には、FETP-J研修生以外に国内外で感染症や国際保健に関わる方など様々な職種や専門分野をもつ方々との議論になりました。その中で、私の様々な職場での経験は活きたと思います。私は、「ん?専門的だけど、みんなもわかるのかな?」と思ったら、「ちょっと待った!」と、あえて議論を止めて、ひとつひとつ確認しています。私は、このような姿勢を「おばちゃん力」を発揮すると言っていますが、1対1だけでなく、多数を相手にするコミュニケーションでも、とても重要な事ではないかと思っています。
 研修では、それぞれの経験・知識・強みを活かして議論をしましたが、その議論の中で感染症対策には自分から積極的に行動するという精神で取り組むことが重要であると改めて認識しました。まさに「One For All, All For One」での取り組みが必要なわけです。

 この「One For All, All For One」は「みんなは一人のために、一人はみんなのために」と、社会を支えあうという思いを感じることから、私が好きな言葉です。

 ワクチンで予防ができる感染症において、1.自分がかからないようにすることで、2.流行を防ぎ、3.ひいては根絶をめざすことができるものもあります。
 海外旅行が当たり前の時代になり、日本では今麻しん、風しんの報告数が増えています。麻しん、風しんは、とても感染力が強く、重篤な合併症 をも起こしうる感染症ですが、予防注射を打つ事で防ぐことができます。
 無関心であったり、「忙しい」、「面倒くさい」などと思っている方にも、「One For All, All For One」の精神で、自分のためにする事が、周りの人の、さらには社会のためにもなることを知っていただくことも重要なことだと思います。
 今年から風しんの追加的対策が始まっておりますが、クーポンが届いたら「One For All, All For One」の精神で、抗体検査を受けて頂き、抗体価が不十分な方には予防接種を受けて頂きたいと思います。それが、みんなのためにもなりますから。
(編集:成瀨浩史)

●当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示すものではありません。
●IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で3年前の平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機管理専門家」のことをいいます。
 
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