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IDESコラム vol. 14
感染症エクスプレス@厚労省 2018年3月2日

「新婚旅行・出張などで海外に行く前に、感染症対策を!」

IDES養成プログラム 3期生:市村 康典

 こんにちは。喜ばしいことに、先日、当メールマガジンの編集長が入籍しました(パチパチ)。新婚旅行を計画している様子を見ていると、私まで幸せな気持ちになってきます。

 新婚旅行では、海外へ行かれる方も少なくないと思います。海外への新婚旅行やその他の海外旅行を予定されるときに、みなさまはどのように計画を進めていらっしゃるでしょうか。私もかつてWHO(世界保健機関)の業務の際に、渡航前の準備が大変であったことを覚えています。その中でも、大事だと感じたことは、渡航先の情報収集です。渡航先の情報と一口に言っても、名物や名所などワクワクするものばかりではなく、治安などの安全面の情報が特に重要です。その安全面の情報には、当然、感染症も含まれます。

 海外の感染症には、麻しんなどのように、日本で減少傾向にある、または発生していないけれども、海外では流行しているものがあります。そのような感染症については、国内に持ち込んでしまう恐れがありますので、みなさま一人ひとりが、予防接種などの予防対策の知識を身につけておくことが大切です。まずは、海外で感染症にかからないようにし、帰国後体調を崩したら、医療機関で渡航歴を伝えることが、感染拡大を防ぐことにもつながります。

 では、編集長のような新婚さんは、どのような感染症に気をつけなければならないのでしょうか?それは、アジアとアフリカや中南米の熱帯・亜熱帯地域で流行している「ジカウイルス感染症」です。中南米は、近年新婚旅行などで人気の渡航先も含まれています。女性が妊娠中にジカウイルスに感染した場合、おなかの中の赤ちゃんに感染することで小頭症などの先天性障害を起こすことがあります。そのため、妊娠しているまたはその可能性がある方は、流行地域への渡航を控えましょう。なお、流行地域から帰国した方は、症状の有無にかかわらず、少なくとも6ヶ月、パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中、性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えましょう。

 また、妊婦の感染に注意が必要な感染症に「風しん」があります。前回・前々回のこのコラムで取り上げていますが、妊婦がかかると、おなかの中の赤ちゃんが風しんウイルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、そして精神や身体の発達の遅れ等の症状をもって生まれる可能性があります。風しんについては、海外渡航は、風しん感染のリスクになるので、渡航前に抗体検査や予防接種を検討しましょう。

 しかし、渡航先の感染症の発生状況を調べようにも、どこのサイトを見たらよいかわからないという方もいらっしゃると思います。色々な情報源がありますが、厚生労働省検疫所の「FORTH」というサイトをご利用してみてはいかがでしょう。このサイトでは、国・地域毎に、気をつけたい病気や受けておきたい予防接種などを紹介しています。また、外務省領事サービスセンターは、海外安全ホームページにて、国・地域別に、感染症を含めた危険情報などを提供しています。
厚生労働省 FORTH
外務省 海外安全ホームページ

海外滞在中に感染症にかかることなく、安全で快適に旅行し、帰国することができるように、海外渡航前には感染症情報を、是非ご確認ください。編集長も、安全情報などしっかり考えていて頼りになる存在としてカブをあげる大チャンスですね!
最後に、海外に行かれる方々の健康・安全を祈っております!

●当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示すものではありません。
●IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で2年前の平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機管理専門家」のことをいいます。
●「編集長」はメイン編集担当者を意味し、肩書きではありません。

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本コラムは、「感染症エクスプレス@厚労省」に掲載しております健康局結核感染症課長によるコラムです。
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