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IDESコラム vol. 12
感染症エクスプレス@厚労省 2018年2月2日
「2月4日(風しんの日)、成田空港で海外渡航者向け風しん啓発イベントを行います!」
IDES養成プログラム 3期生:西島 健
先天性風しん症候群をご存じでしょうか。ドラマ化もされたマンガ、鈴ノ
木ユウさんの「コウノドリ」で、白内障という目の病気と、心臓の壁に穴が
ある心室中隔欠損という心臓の病気を持って生まれてきた女の子のエピソー
ドをご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。その女の子の病気、先
天性風しん症候群の原因になったのは、風しんです。ちなみに、風しんの啓
発を目的に、ドラマ「コウノドリ」と厚生労働省は2015年10月にタイアップ
し、主演の綾野剛さんが当時の塩崎厚生労働大臣に面会されました。
先天性風しん症候群とは、妊娠初期に妊婦さんが風しんに感染した場合、
生まれてくる子供に難聴や白内障、心臓の病気などが起こる病気です。決し
て風しんは昔の病気ではなく、5年前の流行時にも14,000例あまりの風しん
患者と、45例の先天性風しん症候群が報告されています。
風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる急性の発しん性感染症
で、高熱や発しんなどを起こしますが、重症になることは稀な病気です。こ
の風しん、そして先天性風しん症候群はどう予防できるか。答えは、ワクチ
ンです。麻しん風しん混合ワクチンを2回接種すると、99%以上の人に風しん
に対する抗体ができ、風しんから身を守ることができます。
厚生労働省は、2020年までの「風しん排除」の達成を目指しています。こ
の風しん排除とは、(1)一年以上日本土着の風しんウイルスによる流行が
ないこと、そして(2)質の高い動向調査があるなかで、風しんウイルスの
土着性の感染による先天性風しん症候群が認められないこと、で達成されま
す。この風しん排除に向けた取り組みを進めるため、平成30年1月1日より、
風しんは、(1)医師は風しんを診断した場合、「診断後ただちに届け出る」、
(2)「風しんの患者が1例でも発生した場合に」積極的疫学調査を行う、
(3)「原則として全例」に、風しんウイルス遺伝子検査を行う、ように改
正されました。
風しんにかかるリスクの高い人は、30歳代後半から50歳代までの男性(風
しんに対する免疫の不十分な人の割合が高い年齢層)などになりますが、
近年、日本で届け出られる風しん例における、海外からの持ち込み例の割合
が増えています。海外渡航も風しん感染のリスクなのです。
そのため、厚生労働省は“風疹ゼロ”プロジェクト*と共催で、初の海外
渡航者向け啓発イベントを、2(ふう)月4(しん)日(風しんの日)に成田国
際空港で開催します。イベントでは、より多くの人が風しんの抗体を持って
おくことの必要性を伝えるために、無料の相談窓口の設置や、抗体検査を実
施するほか、風しん専門家と大学生によるトークショーなどを開催します。
関係者で智恵を出し合い、汗をかいて準備してきました。よいものがお届け
できると思いますので、みなさん、ぜひお越しください!
<イベント案内リーフレット>
<風しんについて>
<平成30年1月1日から風しんの届出が変わりました。>
*“風疹ゼロ"プロジェクト:日本産婦人科医会、日本産科婦人科学会、日
本周産期新生児学会、日本小児科学会、日本小児科医会、国立感染症研究所
からなる、2020年までの風しん排除を目的に啓発活動を行っている団体。毎
年2月4日を“風しんの日"と定め、2月を啓発強化月間としています。
●当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示すものではありません。
●IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で2年前の平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機管理専門家」のことをいいます。
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本コラムは、「感染症エクスプレス@厚労省」に掲載しております健康局結核感染症課長によるコラムです。
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