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IDESコラム vol. 6
感染症エクスプレス@厚労省 2017年11月2日

「40日間」

IDES 3期生:市村、高橋、西島、神代

 先週のことですが、実は、私は会議出席のため、ジュネーブに訪問してお
り、合間を縫って、コラムを執筆しておりました。ジュネーブは落ち葉が舞
い、朝晩にはコートが必要なほど涼しく、日本よりも一足先に秋の深まりを
感じておりました。日本でも、徐々に涼しくなり、紅葉狩りなどで旅行に出
かけられる方々もいらっしゃるのではないでしょうか。国内だけではなく、
秋は海外旅行も比較的多い季節となっています。日本人海外旅行動向による
と、秋も毎月140万人前後の人々が海外旅行に出かけているそうです。
 さて、海外旅行の際、みなさんは「検疫(英語で”quarantine”)」の表
示を見たことがあるかと思います。検疫は、どのような業務をしているかご
存じでしょうか。検疫の「疫」は感染症を意味しており、検疫は、国内に常
在しない感染症の病原体が船舶又は航空機を介して国内に侵入することを防
止するためのプロセスと言えます。英語では、”quarantine”と表現します
が、これはイタリア語で「40日間」を意味する”quarantena”および
”quaranta giorni” が語源とされます。これは14世紀にペストが流行した
際に、船内に感染者がいないことを確認するため、疫病の潜伏期間に等しい
「40日間」、疑わしい船を停泊させる法律に由来します。
 我が国において、検疫業務は、厚生労働省と農林水産省により行われてお
り、厚生労働省は、主に食品と人間に関する検疫を担当しています。海外か
ら航空機で入国した際に、入国審査の前に体温を確認するサーモグラフィカ
メラを設置したゲートを通るのにお気づきでしょうか。サーモグラフィカメ
ラは感染症などにより発熱した方を見つけるために、設置されています。そ
のゲートの横には健康相談室があるのですが、そこでは発熱のために検疫官
がお声がけした方、機内で客室乗務員から案内された方、案内を見て自ら相
談にくる方など、様々な方がいらっしゃいます。ご相談の際には、症状や渡
航先に合わせて、各疾患の情報や体調の注意事項についてもお伝えしており
ます。
 IDES養成プログラムの1年目の国内研修はいくつかの場所で行われますが、
この中には、検疫所も含まれます。我々研修生は実際に検疫業務を通して、
常に国内外での感染症の動向を念頭に入れながら航空機・船舶等の出航国に
合わせた対応を行うなど、検疫の最前線で研鑽を積んでいます。今後、2020
年のオリンピック・パラリンピックにも向けて、多くの海外からの訪日客が
予想されます。その中で、感染拡大防止等の公衆衛生上の観点からも、検疫
には大きな役割があります。
 皆様には、海外旅行・出張などで検疫を通る際に、検疫の果たしている役
割について思い出して頂けましたら幸いです。そして、帰国時にもしも体調
が優れない場合には、健康相談室に気軽にお越しください。

※IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で2年
前の平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機管
理専門家」のことをいいます。私たちはIDES養成プログラムの3期生として研
修を受けています。

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本コラムは、「感染症エクスプレス@厚労省」に掲載しております健康局結核感染症課長によるコラムです。
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