高等植物:ハシリドコロ
ハシリドコロ
一般名 |
ハシリドコロ (地方名 : オメキグサ,サワナス) |
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分類 |
ナス目 Solanales、ナス科 Solanaceae、ハシリドコロ属 Scopolia |
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学名 |
Scopolia japonica Maxim. |
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生育地 |
本州から四国、九州のやや湿り気のある林床や沢沿いに生育。朝鮮半島にも分布する。 |
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形態 |
多年草で、根茎は肥大し、節を生じる。茎や葉は無毛で柔らかい。葉は互生し、葉身は狭長楕円形で有柄。花は花柄の先端につき帯紫黄色、広鐘状で5浅裂し早春に咲く。果実は球形で径はおよそ1cm、萼に包まれる。根茎をロートコン(莨菪根)といい、鎮痛薬などに用いるが、有毒のアルカロイドを含むため劇薬に指定されている。 ![]() ハシリドコロ:若い芽生え
![]() ハシリドコロ:芽生え
![]() ハシリドコロ:花
![]() ハシリドコロ:果実
![]() ハシリドコロ:地下茎
![]() フキ:若い花の芽生え
(写真提供:磯田進)
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毒性成分 | アルカロイド(ヒヨスチアミン,スコポラミン)など。 有毒成分はチョウセンアサガオ類やブルグマンシア(園芸植物名:エンジェルストランペット)と類似する。
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中毒症状 | 誤食すると、嘔吐やけいれん、昏睡などの中毒症状を発症する。 | ||||||||||||||||||||||||||||
発病時期 | 1~2時間で発症 | ||||||||||||||||||||||||||||
発生事例 | 2008年4月24日、神奈川県内の60歳代の夫婦が、前日の23日に東京都郊外の奥多摩で採取した本植物を昼食におひたしにして食したところ、嘔吐やけいれんを発症した。二人とも病院に搬送されたが、夫は重症、妻は軽症であった。幸いその後回復し、退院した。 | ||||||||||||||||||||||||||||
患者数 |
厚生労働省発表 直近10年間の有毒植物による食中毒発生状況は、こちらのページ |
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中毒対策 | 有毒成分はゆでる炒める天ぷらにするなど家庭における調理程度の加温処理では分解されない。植物の特徴をよく確認し、安易な思い込みは避けた方がよい。 | ||||||||||||||||||||||||||||
その他の参考 |
東京都福祉保健局 その他,薬科大学や薬学部,都道府県のHPなど。 |
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間違えやすい |
芽生えをフキノトウ(ごく若い芽生えは有毛、ハシリドコロは無毛)、柔らかい葉をギボウシなどの山菜と誤認しやすい。 | ||||||||||||||||||||||||||||
作成:磯田 進(昭和大学薬用植物園) |