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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A

(第6版 令和2年7月21日作成)

 ダニ媒介性の新しい感染症「重症熱性血小板減少症候群」が、日本国内でも発生しています。このQ&Aでは、重症熱性血小板減少症候群について、海外の情報やこれまでの国内調査の結果を踏まえ、現在までに分かっていることについて解説します。



一般向け

問1 重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome: SFTS)とはどのような病気ですか?

  • 答  2011年に中国において新しい感染症として流行していることが報告された病気です。病原体は、SFTSウイルスであることが確認されました。主な初期症状は発熱、全身倦怠感、消化器症状で、重症化し、死亡することもあります。

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問2 重症熱性血小板減少症候群は、世界のどこで発生していますか?

  • 答  2011年以降、日本、中国、韓国、台湾及びベトナムで患者発生が確認されています。アジアの広い地域で流行している可能性があります。

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問3 日本でSFTS患者はどのくらい発生していますか?

  • 答  2013年1月、SFTSの患者(2012年秋に死亡)が国内で初めて確認されて以降、毎年60〜100名程度の患者が報告されています。(問11参照)

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問4 どうして日本で感染したと分かったのですか?

  • 答  海外渡航歴のない日本在住の患者から分離されたウイルスがSFTSウイルスと同定されました。このウイルスの遺伝子のタイプは、中国の流行地域で見つかっているSFTSウイルスのタイプとは異なっていました。つまり、日本のSFTSウイルスは、中国から入ってきたものではなく、以前から日本国内に存在していたと考えられます。その事実から患者は日本国内でSFTSウイルスに感染したと言えます。

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問5 SFTSウイルスにはどのようにして感染するのですか?

  • 答 ウイルスを有するマダニに咬まれることにより感染します。多くの場合、マダニに咬まれてSFTSウイルスに感染すると考えられますが、マダニに咬まれた痕が見当たらない患者もいます。
     最近の研究では、SFTSウイルスに感染し、発症している野生動物やネコ・イヌなどの動物の血液からSFTSウイルスが検出されています。特にSFTSウイルスに感染し、発熱、消化器症状(食欲不振等)を呈しているネコやイヌに咬まれたり、血液などの体液に直接触れたりすることで、SFTSウイルスに感染する可能性は否定できないと考えられます。

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問6 ネコやイヌからSFTSウイルスに感染する危険性があると言うことですか?

  • 答 ネコやイヌがSFTSウイルスに感染するとヒトで認められる症状(問36 参照)を呈することがあります。SFTSウイルスに感染し、発症している動物の血液などの体液に直接触れた場合、SFTSウイルスに感染する可能性があります。実際に,ネコに咬まれたことが原因でSFTSウイルスに感染した事例が報告されています。ただし、健康なネコやイヌ,屋内のみで飼育されているネコやイヌからヒトがSFTSウイルスに感染した事例はこれまでに報告がありません。

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問7 ネコなどの動物からSFTSウイルスに感染しないようにするためには、どのように予防すればよいですか?

  • 答 動物由来感染症に対する予防の観点からも、動物を飼育している場合、過剰な触れ合い(口移しでエサを与えたり、動物を布団に入れて寝たりすることなど)は控えてください。また、動物に触ったら必ず手を洗いましょう。また、動物に付着したマダニは適切に駆除しましょう(問20 参照)。飼育している動物の健康状態の変化に注意し、動物が体調不良の際には、咬まれたり舐められたりしないように細心の注意を払いながら、動物病院で診てもらって下さい。ペットがマダニに咬まれないようダニ駆除剤も有効です。獣医師に相談しましょう。
    野生動物は、どのような病原体を保有しているか分かりません。野生動物との接触は避けてください。また、動物の死体等に接触することは控えましょう。
    体に不調を感じたら、早めに医療機関を受診してください。受診する際は、ペットの飼育状況やペットの健康状態、また動物との接触状況についても医師に伝えてください。

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問8 マダニは、屋内で普通に見られるダニとは違うのですか?

  • 答  マダニと食品等に発生するコナダニや衣類や寝具に発生するヒョウヒダニなど、家庭内に生息するダニとでは種類が異なります。また、植物の害虫であるハダニ類とも異なります。
     マダニ類は、固い外皮に覆われた比較的大型(種類にもよりますが、成ダニでは、吸血前で3〜8mm、吸血後は10〜20mm程度)のダニで、主に森林や草地に生息していますが、市郊外、市街地でも生息しています。

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問9 どのような種類のマダニがSFTSウイルスを保有しているのですか?

  • 答  中国では、フタトゲチマダニやオウシマダニといったマダニ類からSFTSウイルスが見つかっています。また、韓国でもフタトゲチマダニがSFTSウイルスを保有しているとの報告があります。日本には、命名されているものだけで47種のマダニが生息するとされていますが、これまでに実施された調査の結果、複数のマダニ種(フタトゲチマダニ、ヒゲナガチマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニ)からSFTSウイルスの遺伝子が検出されています。日本ではフタトゲチマダニとタカサゴキララマダニがヒトへの感染に関与しています。

フタトゲチマダニ

タカサゴキララマダニ

(国立感染症研究所昆虫医科学部提供)

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問10 全てのマダニがSFTSウイルスを保有しているのですか?

  • 答  全てのマダニがSFTSウイルスを保有しているわけではありません。中国の調査では、患者が発生している地域で生息しているフタトゲチマダニの数%からSFTSウイルスの遺伝子が見つかったと報告されています。日本国内では、これまでに複数のマダニ種(フタトゲチマダニ、ヒゲナガチマダニ 、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニ)からSFTSウイルスの遺伝子が検出されています。ウイルス保有率は地域や季節によりますが、0〜数%です。

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問11 マダニに咬まれたことにより感染する病気は国内に他にありますか?

  • 答  日本紅斑熱、ライム病など多くの感染症がマダニによって媒介されることが知られています。北海道ではマダニによって媒介されるダニ媒介脳炎の患者が発生しています。また、ダニの一種であるツツガムシによって媒介される、つつが虫病もあります。SFTS、日本紅斑熱、ライム病、つつが虫病及びダニ媒介性脳炎の日本国内での年間報告数(2014年〜2018年)は下表のようになっております。
重症熱性血小板減少症候群* 日本紅斑熱 ライム病 つつがむし病 ダニ媒介性脳炎
2014年 61 241 17 320
2015年 60 215 423
2016年 60 277 505
2017年 90 337 19 447
2018年 77 305 13 456

*重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る。)

  • ・日本紅斑熱、ライム病、つつが虫病は基本的には抗菌薬で治療されます。しかし、現時点ではSFTSとダニ媒介脳炎には、有効な抗ウイルス薬はなく、患者の症状にあわせた治療がなされます。

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問12 マダニからSFTSウイルスに感染しないようにするためには、どのように予防すればよいですか?

  • 答  マダニに咬まれないように気をつけることが重要です。これは、SFTSだけではなく、国内で毎年多くの報告例がある、つつが虫病や日本紅斑熱など、ダニが媒介する他の疾患の予防のためにも有効です。特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけては、マダニに咬まれる危険性が高まります。草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に入る場合には、長袖・長ズボン(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツを着用する)、足を完全に覆う靴(サンダル等は避ける)、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくすることが大事です。服は、明るい色のもの(マダニを目視で確認しやすい)がお薦めです。DEET(ディート)やイカリジンという成分を含む虫除け剤の中には服の上から用いるタイプがあり、補助的な効果があると言われています。また、屋外活動後は入浴し、マダニに刺されていないか確認して下さい。特に、首、耳、わきの下、足の付け根、手首、膝の裏などがポイントです。マダニに吸血された場合には、皮膚科などを受診してマダニを除去してもらって下さい(問14 参照)。

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問13 国内で患者が報告された地域以外でも注意が必要ですか?

  • 答 これまでのところ、SFTSの患者は、西日本を中心に発生していますが、徐々に患者発生が確認された地域が広がっています。これまでに患者が報告された地域以外でもSFTSウイルスを保有するマダニや感染した動物が見つかっていますので、SFTS患者の発生が確認されていない地域においても注意が必要です。

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問14 マダニに咬まれたら、どうすればよいですか?

  • 答  マダニ類の多くは、ヒトや動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、長時間(数日から、長いものは10日間以上)吸血しますが、咬まれたことに気がつかない場合も多いと言われています。吸血中のマダニに気が付いた際、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させて病原体が体内に入りやすくしてしまう恐れがあるので、医療機関(皮膚科など)で処置(マダニの除去、洗浄など)をしてもらってください。また、マダニに咬まれた後、数週間程度は体調の変化に注意をし、発熱等の症状が認められた場合はすみやかに医療機関で診察を受けて下さい。 その際、マダニに咬まれたことを医師に説明して下さい。

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問15 ヒト以外の動物もマダニに咬まれてSFTSにかかるのですか?

  • 答 国内ではSFTSウイルスに感染し、発症したネコ、イヌ及びチーターが報告されています。現在のところ、西日本を中心に感染した動物が報告されてきており、ヒトでの患者発生地域と重なります。一般的に動物がSFTSウイルスに感染した場合、多くは症状を示さない不顕性感染すると考えられていますが,ネコでは発熱・元気消失・嘔吐・黄疸などの症状を示し、重症化して約6割が死亡しています。また、国内において、シカ、イノシシ等の野生動物や猟犬の血液を検査したところ、SFTSウイルスに対する抗体を持っている(=過去にSFTSウイルスを保有するマダニに吸血されて、SFTSウイルスに感染したことのある)動物がいることが分かっています。

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問16 SFTSウイルスに感染した動物を食べてもSFTSにかかったりしませんか?

  • 答 動物由来食品(肉や乳など)を食べたことによって、ヒトがSFTSウイルスに感染したという事例の報告はありません。また、ある動物がSFTSウイルスに対する抗体を持っているということは、その動物が、過去にSFTSウイルスに感染し、SFTSウイルスを体内から排除する免疫を獲得していることを意味します。抗体自体に病原性はないので、SFTSウイルスに対する抗体を持っている動物を食べても問題ありません。ただし、一般的な注意事項として、野生動物を食用にする場合(ジビエなど)は、動物由来感染症や食中毒を防ぐ観点から、捕獲・処理・加工する際の衛生的な処理や十分な加熱調理等、適切な取扱いを行うことが重要です。
    参考:食品安全委員会 「ジビエを介した人獣共通感染症

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問17 SFTSにかかりやすい、または、重症化しやすい年齢はありますか?

  • 答 中国では、SFTSの患者の年齢層は30〜80歳代で、全患者の75%が50歳以上との報告があります。ただし、患者の年齢構成については、生物学的・医学的要因だけではなく、社会的な要因(発生地域の人口構成、職業構成、医療体制など)の影響も受けると考えられます。日本でこれまでに確認されたSFTS患者の年齢層は、5歳〜90歳代で、全患者の約90%が60歳以上となっています。亡くなった患者の多くは50歳以上なので、高齢者は重症化しやすいと考えられます。

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問18 SFTSの致命率はどのくらいですか?

  • 答 中国では、致命率は6−30%とされています。国立感染症研究所の最新の研究によると、日本のSFTS患者の致命率は約30%です。(参考:致命率(case fatality rate)とは、ある特定の病気にかかったと診断され、報告された患者のうち、一定の期間内に死亡した患者の割合を示したものです。)

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問19 マダニ以外の他の吸血昆虫を介してSFTSにかかることはないのですか?

  • 答 ありません。
    (参考:一般的に、蚊やマダニなどの節足動物が媒介する感染症は、その病原体ごとに媒介する節足動物がおおよそ決まっています(例えば、日本脳炎は蚊、日本紅斑熱はマダニ、発疹チフスはシラミが媒介します)。中国のSFTSの流行地域では、マダニからはSFTSウイルスが見つかっていますが、蚊からは見つかっていません。SFTSにおいては、マダニが人への感染に関わっています。)

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問20 ペットにマダニが付いていたのですが、そのマダニを介してヒトがSFTSにかかることはありますか?

  • 答 ペットに付いているマダニに触れたからといって感染することはありません。しかし、マダニに咬まれれば、その危険性はあります。マダニ類はイヌやネコ等、動物に対する感染症の病原体を持っている場合もありますので、ペットの健康を守るためにも、ペットがマダニに咬まれないようにしましょう。また,付いているマダニは適切に駆除しましょう。ペット用のダニ駆除剤等がありますので、かかりつけの獣医師に相談してください。散歩後にはペットの体表をチェックして下さい。目の細かい櫛をかけることも効果的です。マダニが咬着している(しっかり食い込んでいる)場合は、無理に取らず、獣医師に除去してもらうのがよいでしょう。

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医療従事者等の専門家向け

問21 SFTSウイルスはどのようなウイルスですか?

  • 答  SFTSウイルスは、フェヌイウイルス(旧ブニヤウイルス)科バンダウイルス(旧フレボウイルス)属に分類される、三分節1本鎖RNAを有するウイルスです。SFTSウイルスは酸や熱に弱く、一般的な消毒剤(消毒用アルコールなど)や台所用洗剤、紫外線照射等で感染性がなくなります。

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問22 日本で見つかったSFTSウイルスは、中国や韓国で見つかっているものと同一のウイルスですか?

  • 答  日本で見つかったSFTSウイルスは、中国や韓国のSFTSウイルスとは、遺伝子レベルでわずかに異なりますが、性質は同じです。

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問23 潜伏期間はどのくらいですか?

  • 答 (マダニに咬まれてから)5日〜2週間程度とされています。ヒトからヒトへの感染事例(患者から医療従事者への感染)やネコに咬まれて感染する場合には潜伏期間は、より短い場合があります。

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問24 SFTSにかかると、どのような症状が出ますか?

  • 答 発熱、消化器症状(食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が出現します。時に頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸不全症状、出血症状(歯肉出血、紫斑、下血)が出現します。

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問25 検査所見の特徴はどのようなものですか?

  • 答 血小板減少(10万/mm3未満)、白血球減少、血清電解質異常(低Na血症、低Ca血症)、血清酵素異常(AST、ALT、LDH、CKの上昇)、尿検査異常(タンパク尿、血尿)などが見られます。骨髄検査が実施される場合が比較的多く、骨髄検査ではほぼ全例で血球貪食症候群の所見が認められます。

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問26 どのようにして診断すればよいですか?

  • 答  診断にはウイルス学的な検査が必須です。発熱、消化器症状、血小板減少、白血球減少、AST・ALT・LDHの上昇を認めた場合、本疾患を疑います。ただし、全ての症状や検査所見が認められる訳ではありません。また、患者がマダニに咬まれたことに気がついていなかったり、刺し口が見つからなかったりする場合も多くあります。そのためマダニに咬まれたことが確認されず、さらに上記すべての症状や検査結果が認められない場合であってもSFTSは否定できません。また、体調の悪い動物の体液と接触した数日後に発熱、全身倦怠感、消化器症状等の症状が出現した患者を診た場合には、SFTSも鑑別診断に挙げる必要があります。SFTSが疑われる場合には、最寄りの保健所に報告するとともに、検査を依頼して下さい。地方衛生研究所や国立感染症研究所においてウイルス学的検査が実施されます。
  •   参考:国立国際医療センター 「SFTS診療の手引き

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問27 鑑別を要する疾患は何ですか?

  • 答  SFTSと同様の症状を呈し得る疾患は様々なものが考えられます。初期症状は急性胃腸炎、インフルエンザ様疾患の症状と類似し区別がつきません。具体的には、刺し口がある場合には、ダニ媒介疾患であるつつが虫病、日本紅斑熱、ライム病、エーリキア症及びアナプラズマ症が鑑別疾患として挙げられます。また、上気道炎、胃腸炎などの感染症も鑑別疾患として挙げられます。SFTSでは、骨髄検査が実施されることが多く,ほとんどの患者で血球貪食症候群の所見が認められます。そのため、SFTSウイルス以外のウイルスによる血球貪食症候群や敗血症、膠原病・血管炎として、血栓性血小板減少性紫斑病、溶血性尿毒素症候群(HUS)、全身性エリテマトーデス、悪性疾患として血液腫瘍疾患(白血病や悪性リンパ腫)なども鑑別疾患に挙げられます。

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問28 SFTSが疑われる患者を診た場合、どう対応したらよいですか?

  • 答 現在、地方衛生研究所及び国立感染症研究所で診断のための検査を実施することが可能です。最寄りの保健所にご相談ください。

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問29 治療方法はありますか?

  • 答  有効な抗ウイルス薬等による特異的な治療法はありません。対症療法が主体になります。中国において抗ウイルス薬であるリバビリンに関する研究報告が示されていますが、リバビリン治療群と非治療群とでは致命率に違いは確認されておらず、効果はないと考えられています。また、ファビピラビル(商品名:アビガン)は動物実験で治療効果があることが示されています。また、リバビリンの治療効果よりも高いことが確認されています。しかし、現時点では、SFTS患者に対する治療効果は証明されていません。ファビピラビルの臨床研究について質問がある場合には、国立感染症研究所(info@niid.go.jp)までお問い合わせください。

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問30 患者を取り扱う上での注意点は何ですか?

  • 答  患者血液や分泌物との直接接触が原因と考えられるヒト−ヒト感染の事例も報告されています。SFTSは致命率が高い疾患であることを考慮すると、標準感染予防策に加えて接触感染予防策を実施し、医療提供者や家族等が感染しないように予防策を徹底することが重要です。飛沫感染や空気感染の報告はありません。

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問31 患者検体(サンプル)を取り扱う場合の注意点は何ですか?

  • 答  患者の血液や体液には感染性のあるウイルスが存在します。標準感染予防策を遵守して下さい。

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問32 検査方法等、技術的な内容の相談窓口を教えてください。

  • 答  国立感染症研究所info@niid.go.jpにお問い合わせください。

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問33 検査でSFTSであることが確定した場合、どう対応したらよいですか?

  • 答 SFTSは感染症法上の四類感染症に位置付けられていますので、患者をSFTSと診断した場合には、最寄りの保健所に届け出て下さい。

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問34 ご遺体の取り扱いについて教えてください。

  • 答 SFTSで亡くなられた患者の御遺体の体液には感染性のあるSFTSウイルスが含まれています。厳重な感染予防策が実施される必要があります。また、御遺族、御遺体を取り扱う方々にもそのことを説明してください。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の診療の手引き(http://dcc.ncgm.go.jp/information/pdf/SFTS_2019.pdf)を参照して下さい。

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獣医療従事者等の専門家向け

問35 SFTSウイルスに感染したネコの事例の詳細について教えてください。

  • 答  国内最初の症例ではSFTSの流行地の飼育ネコ(室内・野外両飼育)が、発熱、消化器症状(食欲不振等)を呈しました。検査所見では、血小板減少(1万/mm3未満)、白血球減少、血清酵素異常(CPKの上昇)などが見られました。血液及び直腸スワブからSFTSウイルスが分離されました。入院2週で回復して4週後にウイルス陰性を確認後退院しています。回復期にむけて抗体が上昇しました。このネコへのSFTSウイルスの感染様式は不明です。なお、このネコから飼い主や獣医療関係者へのSFTSウイルスの感染拡大は確認されていません。ネコの入院中の取扱はPPE(手袋・防護衣等)により感染予防措置をとり、汚物などは次亜塩素酸ナトリウム含有消毒剤により消毒しています。2019年には年間109件の発生が報告され、致命率は約70%でした。

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問36 ネコやイヌでどのような来歴・症状などがあれば、SFTSウイルス感染を疑うのですか。また確定診断はどのように行うのですか。

  • 答  これまでの知見から、発熱(39℃以上)、食欲不振等の症状や白血球減少症(5000/ mm3以下)、血小板減少症(10万/ mm3以下)が認められ、さらに入院を要するほど重症(自力採餌困難等)の場合には、既存の細菌・原虫・ウイルス(パルボウイルスなど)による感染症に加えてSFTSであることも疑われます。臨床症状や血液検査等だけではSFTSの確定診断はできません。そのためウイルス学的検査を実施することが必要です。急性期には、血清からウイルス遺伝子の検出を行い、回復期には抗体検査を行います。(国立感染症研究所info@niid.go.jpにお問い合わせください。)

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問37 SFTSウイルスに感染し発症したネコを取扱う際の感染予防措置など注意点はありますか?獣医師が取るべき予防策は?

  • 答 発症したネコの血液、唾液、便、尿を含めた体液には感染性のあるウイルスが検出されています。そのため体液や排泄物を処理する際には次亜塩素酸ナトリウム含有消毒剤による処理やオートクレーブなどの加熱滅菌処理を行うことが必要です。患畜の取扱にはPPEを必ず適切に着用してください。また、診察台等は消毒用アルコールや次亜塩素酸ナトリウム含有消毒剤などで必ず消毒するようにして下さい。

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問38 ネコの飼育者が注意すべきことは?

  • 答 日常的な対策としては、ネコの飼育者に対するダニの駆除剤等の投与についての指導を徹底して下さい。飼育者には、ネコの健康状態の変化に注意し、体調不良の際には動物病院を受診することを勧奨して下さい。万一、飼育しているネコがSFTSと診断され、飼育者が発熱、消化器症状(食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)、頭痛、筋肉痛等の症状(問24 参照)がでたら、医療機関を迅速に受診し、かつ、飼育ネコがSFTSを発症したことを医師に説明するように指導して下さい。

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問39 ネコ以外の伴侶動物は発症しますか?

  • 答 これまでに国内でSFTSを発症したイヌの症例が確認されています。雑種4歳(避妊メス)、元気消失,食欲廃絶を主訴とし、発熱、CRP上昇(7mg/dl),白血球減少(1700/ mm3)、血小板減少症(14万/ mm3)、GPTとALP 上昇、溶血、軟便から血便等を呈し、ネコのSFTSと類似した症状を示しましたが、最終的には回復しました。急性期にウイルス血症、その後、IgM抗体、IgG抗体が検出されています。多くのイヌはSFTSウイルスに感染しても、症状を呈することがない、いわゆる不顕性感染である場合が多いと考えられていますが、一部が発症する可能性があります。イヌにおいてSFTSが疑われる症状が認められた場合は、ウイルス学的な検査が必要です。(国立感染症研究所info@niid.go.jpにお問い合わせください。)

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