第2章 雇用情勢の動向

2024年の雇用情勢は、前年に引き続き改善の動きがみられた。完全失業率、有効求人倍率はほぼ横ばいで推移し、労働力人口、就業者数及び雇用者数は過去最高となった。本章では、労働力需要、労働力供給及び雇用者の動向等を通じて、2024年の雇用情勢を概観する。

第1節 完全失業率及び有効求人倍率の動向

完全失業率は8年連続で2%台

2024年の完全失業率は、人手不足感の強まりなどを背景に2年ぶりに改善し、前年差0.1%ポイント低下の2.5%であった。完全失業率は2017年に23年ぶりに2%台となり、2017年以降8年間にわたり2%台で推移している。男性の完全失業率は前年差0.1%ポイント低下の2.7%であり、女性の完全失業率は前年差0.1%ポイント上昇の2.4%であった(第1-(2)-2図)。
 男女計の年齢階級別の完全失業率は、ほぼ横ばいであった。男性の年齢階級別の完全失業率は、「35~44歳」が上昇し、「45~54歳」が横ばいであったが、それ以外の年齢階級については低下した。女性の年齢階級別の完全失業率は、「15~24歳」で低下し、「25~34歳」及び「55~64歳」で上昇したが、それ以外の年齢階級については横ばいであった。
 完全失業者数は、前年差2万人減の176万人であり、3年連続の減少であった(第1-(2)-3図)。求職理由別の完全失業者数は、「自発的理由」は横ばい、「非自発的理由」は15歳~34歳の若年層が減少したことなどから3年連続で減少、「新たに求職」は増加であった(第1-(2)-4図)。男性の完全失業者数は「非自発的理由」が「35~44歳」等で減少したことなどから、前年差4万人減の101万人、女性の完全失業者数は「自発的理由」が増加したことなどから、前年差3万人増の76万人であった。
 失業期間別の完全失業者数は、失業期間が「1年以上」の完全失業者が52万人であり、3年連続で減少し、2019年の51万人と同水準であった(第1-(2)-5図)。また、失業期間が「1年未満」の完全失業者数は、「新たに求職」が増加したことなどから2年連続で増加し、年齢階級別にみると、「15~24歳」「45~54歳」「55~64歳」において増加した。

有効求人倍率は11年連続で1倍超え

2024年の有効求人倍率は前年差0.06ポイント低下の1.25倍となり、3年ぶりに低下した(第1-(2)-6図)。有効求人倍率は11年連続で1倍を超え、2021年よりは高い水準ではあるが、2019年の1.60倍までは戻っていない。また、2024年の新規求人倍率は前年差0.04ポイント低下の2.25倍となったが、2019年の2.42倍までは戻っていない。
 2024年の正社員の有効求人倍率は、前年差0.01ポイント低下の1.01倍となり、2019年の1.14倍を下回っているが、2年連続で1倍を超えた(第1-(2)-7図)。正社員の新規求人倍率は、前年差0.03ポイント上昇の1.75倍となり、2021年以降4年連続で上昇した。

第2節 労働力需要の動向

企業の人手不足感は「非製造業」で過去最高水準

産業別の雇用人員判断D.I.の推移をみると、2020年に全ての産業で人手不足感が弱まったものの、その後は全ての産業において、再び人手不足感が強まっている(第1-(2)-8図(1))。
 2024年の「製造業」の人手不足感は、前年からほぼ横ばいで推移している。「非製造業」の人手不足感は、バブル期以来の過去最高水準となり、「宿泊・飲食サービス」を除き人手不足感が強まった。「宿泊・飲食サービス」については、引き続き人手不足感が高い水準にあるが、前年と比べると人手不足感が弱まった。こうした背景には、インバウンド需要が夏頃に一服したことなどが要因として考えられる。
 企業規模別の雇用人員判断D.I.の推移をみると、2021年以降、全ての企業規模において人手不足感が強まっていたが、2024年は、大企業及び中堅企業で人手不足感がほぼ横ばいとなった(第1-(2)-8図(2))。中小企業については、人手不足感は引き続き強まった。

人手不足感は正社員等で強まる

労働者過不足判断D.I.の推移を正社員等及びパートタイム別にみると、2015年以降は、正社員等1の方がパートタイムよりも人手不足感が高い状況が続いている(第1-(2)-9図(1))。2024年については、2月調査で一度人手不足感が高まったものの、その後の正社員等及びパートタイムの人手不足感はほぼ横ばいであった。
 また、過去1年間に労働者不足に対処した事業所のうち、正社員の採用や正社員登用を増加させた事業所の割合2は、2022~2024年にかけて、調査産業計についてはほぼ横ばいであったが、「卸売業,小売業」「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」等の、非正規雇用労働者の割合が高い産業3について増加した(第1-(2)-9図(2))。

新規求人数は、パートタイム労働者を中心に減少

2024年の新規求人数は、前年差3万人減の84万人となり、4年ぶりに減少した(第1-(2)-10図)。また、有効求人数は、新規求人数の減少などから前年差8万人減の241万人となり、4年ぶりに減少した。
 新規求人数の推移を雇用形態別にみると、2024年については、パートタイム労働者は、パートタイム労働者を除く一般労働者4 (以下本章において「一般労働者」という。)よりも新規求人数の減少幅が大きかった(第1-(2)-11図)。また、産業別の新規求人数は、一般労働者では、前年に引き続いて「建設業」「製造業」を中心に減少し、パートタイム労働者では、幅広い産業で減少した。人手不足が続いているにもかかわらず、新規求人数が減少した背景としては、ハローワークでの採用に結びつく求人が約1割と2009年の約3割から大きく低下していることや、都市部を中心に民間の職業紹介経由の入職が増加していることなどが考えられる。

第3節 労働力供給の動向

労働力人口は過去最高の6,957万人

2024年は女性や高齢者を中心とした労働参加が前年に引き続き進展した。労働力人口は前年差32万人増の6,957万人で過去最高となり、2年連続で増加した(第1-(2)-12図)。非労働力人口は前年差53万人減の4,031万人となり、4年連続で減少した。男性の非労働力人口は1,510万人、女性の非労働力人口は2,521万人であり、非労働力人口の男女差は1,011万人であった。非労働力人口は女性が男性を上回っているが、1,303万人であった2015年以降、非労働力人口の男女差は縮小傾向である。

女性や高齢者を中心に労働参加が進み、労働力率は過去最高の水準

15歳以上人口に占める労働力人口の割合である労働力率は63.3%であり、2013年以降上昇傾向で推移する中、過去最高水準となった(第1-(2)-13図)。男性の労働力率は71.5%であり、過去10年間は横ばい圏内で推移しているが、女性の労働力率は55.6%であり、過去10年間で6.0%上昇した。労働力率の男女差は15.9%であり、過去10年間で男女差は縮小したが、依然として差がみられる。
 年齢階級別の労働力率は、全ての年齢階級において上昇傾向で推移し、2024年は過去最高水準となった。「25~34歳」「35~44歳」「45~54歳」の労働力率は2015年の85~86%程度から2024年で89~91%程度と、4%ポイント程度上昇している。労働力率の上昇幅が最も大きかったのは、女性の労働参加が大きく進んでいる「55~64歳」の12.9%ポイントであり、2015年59.2%から2024年72.1%に上昇した。年齢階級別の労働力率を男女間で比較すると、「15~24歳」を除く全ての年齢階級において、男性の労働力率が女性の労働力率を上回った。

正社員の新規求職申込件数は減少傾向、パートタイム労働者の新規求職申込件数は横ばい圏内

労働力供給の状況を示す指標である、新規求職申込件数及び有効求職者数は2009年以降、長期的には減少傾向で推移している(第1-(2)-14図)。2024年の新規求職申込件数は、前年差約8,000件減の約37万件であり、2024年の有効求職者数は、前年差約2万人増の約193万人であった。
 正社員の新規求職申込件数及び有効求職者数は、2009年以降、長期的には減少傾向で推移しており、2024年の正社員の新規求職申込件数は前年差約8,000万件減の約23万件、正社員の有効求職者数は前年からほぼ横ばいの約115万人であった(第1-(2)-15図(1))。
 パートタイム労働者の新規求職申込件数及び有効求職者数は、2020年4月に大幅に減少した(第1-(2)-15図(2))。新規求職申込件数(季節調整値)は2020年6~7月にかけて増加、有効求職者数は2020年6~12月まで増加し続けた後、いずれもほぼ横ばいで推移している。2024年のパートタイム労働者の新規求職申込件数はほぼ横ばいの約14万件であり、パートタイム労働者の有効求職者数は前年差約2万人増の約76万人であった。

第4節 就業者・雇用者の動向

就業者数及び雇用者数は過去最高を更新

2024年の就業者数及び雇用者数は、2010年代以降、長期的に増加傾向で推移している(第1-(2)-16図)。就業者数は4年連続で増加し、前年差34万人増の6,781万人、雇用者数は4年連続で増加し、前年差47万人増の6,123万人となり、いずれも過去最高となった。自営業主・家族従業者は減少傾向で推移し、2024年の自営業主・家族従業者は14万人減の624万人となった。これは、65歳以上の自営業主・家族従業者が2021年以降減少傾向となり、2024年は前年差9万人減少していることが主な要因である5

「非製造業」の雇用者数は4年連続で増加

「製造業」の雇用者数は1,010万人であり、2020年以降、鉱工業生産が横ばい圏内で推移していることなどから、横ばい圏内で推移している(第1-(2)-17図(1))。「非製造業」の雇用者数は5,113万人であり、4年連続で増加し、過去最高となった。非製造業について産業分類の大分類でみると、2015年を100としてみると、最も雇用者数が増加した産業は「情報通信業」であり、36%上昇した(第1-(2)-17図(2))。次いで「医療,福祉」が18%上昇した。最も雇用者数が減少した産業は「建設業」であり、4%低下した。

正規雇用労働者数は10年連続で増加

正規雇用労働者数6は3,645万人であり、10年連続で増加した(第1-(2)-18図(1))。非正規雇用労働者数は2,126万人であり、2019年以前は高齢者の労働参加が進んでいることなどから増加傾向であったが、2019年以降は横ばい圏内で推移している。
 2024年の男性の正規雇用労働者数は2,347万人、非正規雇用労働者数は682万人であり、いずれも横ばい圏内で推移している(第1-(2)-18図(2))。2024年の女性の正規雇用者労働者数は1,298万人であり、10年連続で増加したが、非正規雇用労働者数は1,444万人であり、2019年以降、横ばい圏内で推移しており、女性の正規雇用労働者数と非正規雇用労働者数の差が縮小傾向にある。
 年齢階級別の人口に占める正規雇用労働者の割合は、過去10年間において、男女ともに、ほぼ全ての年齢階級において上昇傾向で推移した7。特に、女性の「25~34歳」の正規雇用労働者の割合が最も上昇した。年齢階級別の人口に占める非正規雇用労働者の割合は、過去10年間において、60歳未満の年齢層では低下傾向となっているが、高齢者の労働参加が進展していることから、男性、女性ともに「65~69歳」などにおいて上昇している。

家事・育児・介護等との両立を理由に非正規雇用労働者を選択する者は227万人

現職を選択した理由別非正規雇用労働者数の推移をみると、2015~2024年は2020年を除き「自分の都合のよい時間に働きたいから」は増加したが、不本意非正規雇用労働者(「正規の職員・従業員の仕事がないから」と回答)は減少した(第1-(2)-19図)。また、「家計の補助・学費等を得たいから」は2年連続で減少した。男女別にみると、男性は、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が4年連続で増加し、女性は、「家計の補助・学費等を得たいから」が4年連続で減少し、「通勤時間が短い」が2年連続で増加した。
 「家事・育児・介護等と両立しやすいから」については、2022年以降横ばい圏内で推移し、2024年は227万人であった。227万人のうち女性は218万人であった。

不本意非正規雇用労働者割合は低下し、2年連続で1割を下回る水準

不本意非正規雇用労働者数及びその人数が非正規雇用労働者数に占める割合(以下「不本意非正規雇用労働者割合」という。)は低下傾向であり、2024年は前年差16万人減の180万人、割合については、前年差0.8%ポイント低下の8.7%となり、2年連続で1割を下回った(第1-(2)-20図)。2024年は不本意非正規雇用労働者数・不本意非正規雇用労働者割合ともに、過去最低水準となった。男女別に不本意非正規雇用労働者割合をみると、男性は前年差1.6%ポイント低下の13.7%、女性は前年差0.4%ポイント低下の6.5%となった。
 年齢階級別の不本意非正規雇用労働者割合は、全年齢階級で低下傾向であり、2024年は、全年齢階級で15%を下回った(第1-(2)-21図)。特に、最も不本意非正規雇用労働者割合の高い「25~34歳」は、10年間で割合が26.4%から12.7%に低下し、割合の低下幅が全年齢層で最も大きかった。

転職者数は3年連続で増加

転職者(過去1年以内に離職経験のある就業者)数は、リーマンショック期の2009~2010年にかけて大幅に落ち込んだ後、2011年以降増加を続け、2019年は過去最高の353万人となった(第1-(2)-22図)。2020年、2021年と減少が続き、2021年には290万人まで減少したが、2022年に増加に転じ、2024年は3年連続増加の331万人となった。前職の離職理由別の転職者数については、「より良い条件の仕事を探すため」が3年連続で増加しており、前向きな転職が転職者数の増加に寄与していることがうかがえる。入職経路に着目すると、近年では入職経路の多様化が進んでおり、広告や民間の職業紹介事業所を経由した入職者数も増加がみられた。地方部においてはハローワークや縁故を通じた入職者割合が高い傾向がみられており、都市部と地方部において入職経路の違いがみられている8
 正規雇用労働者への転換状況をみると、15~54歳で過去1年間に離職した者のうち、離職前後で正規雇用であった者の人数は88万人であり、過去10年間で28万人増加し、2024年は過去最高であった(第1-(2)-23図)。転職市場が活性化する中で、より良い処遇や働き方を求め、正規雇用労働者の中でも転職が行われていることから、正規雇用労働者から正規雇用労働者への労働移動が活発化していることが考えられる。
 また、15~54歳で過去1年間に離職した者のうち、「非正規雇用から正規雇用へ転換した者」の人数から「正規雇用から非正規雇用へ転換した者」の人数を差し引いた人数は7万人であり、2年連続で増加した(第1-(2)-24図)。

障害者の雇用者数及び実雇用率は過去最高

近年、ノーマライゼーションが進む中で、障害者雇用は大きく進展しており、雇用義務のある民間企業9の雇用障害者数は、2024年は前年比5.5%増の67.7万人と、21年連続で過去最高となった(第1-(2)-25図)。実雇用率は、前年差0.08%ポイント上昇の2.41%と、13年連続で過去最高となった。
 障害種別の雇用者数をみると、身体障害者はこの数年は伸びが鈍化していたが、2024年では前年比2.4%増の36.9万人、知的障害者は同4.0%増の15.8万人となり、いずれも2023年と比べて伸び幅が大きくなった。精神障害者は同15.7%増の15.1万人と、10%以上の伸び幅を維持している。
 このように、雇用障害者数は着実に増加しているが、障害者が能力を発揮して活躍することよりも、雇用率の達成に向けて障害者雇用の数の確保を優先するような動きがあることも指摘されている10。障害者雇用の数だけではなく、障害者が生き生きと個々の能力を発揮し、その雇用の安定につながるよう、障害者本人、事業主、就労支援や生活支援に携わる関係機関が協力して、障害者雇用の質を向上させることが重要である。

障害者の法定雇用率の達成割合は、全企業規模で低下したが、長期的には上昇傾向

企業の障害者の法定雇用率の達成割合の推移をみると、2024年については6月1日時点で前年差4.1%ポイント低下の46.0%であったが、長期的には上昇傾向で推移している(第1-(2)-26図)。
 企業規模別に法定雇用率の達成状況をみても、2024年は前年比で全ての企業規模で達成企業割合が低下したが、いずれも達成割合は4~5割程度となっており、長期的には上昇傾向で推移している。
 今般の達成企業割合の低下は、2024年4月の法定雇用率引上げの影響によるものと考えられる。一般的に、法定雇用率の引上げは、達成割合の低下に影響を及ぼすと考えられる。過去に法定雇用率が改定された年では、全ての企業規模で達成企業割合の低下がみられた。法定雇用率は2021年3月に2.3%、2024年4月に2.5%に引き上げられた。2026年7月には2.7%への改定が予定されており、こうした制度改正が今後も障害者雇用の達成割合に影響する可能性が高いと考えられる。
 また、障害者雇用ゼロ企業(障害者の雇用義務があるにもかかわらず障害者を一人も雇用していない企業)については、障害のある労働者への配慮や企業のニーズは個々に異なるため、企業ごとのニーズに沿った支援計画やジョブコーチ11などの定着支援など、個々の企業や障害者に寄り添ったきめ細かな支援が重要と考えられる。

外国人労働者数は過去最多

2024年10月末時点の外国人労働者数は約230万人となり、2007年に外国人雇用状況の届出が義務化されて以降、直近12年連続で過去最多となった(第1-(2)-27図)。2020年以降は伸びが鈍化したが、2023年と2024年は2年連続で前年比12.4%増となり、2019年の13.6%増に近づいている。
 在留資格別にみると、2024年は、他の在留資格と比べて「専門的・技術的分野の在留資格」の増加率が相対的に高く、全外国人労働者の3割を占め、最も多い割合となった。次いで、2023年まで最も割合が高かった「身分に基づく在留資格」が2番目の割合となった。近年、2019年4月以降の「特定技能」12の受入れなどにより、「専門的・技術的分野の在留資格」が大きく増加しており、直近4年間で約32万人増加した。
 国籍別にみると、ベトナムは「特定技能」の創設等により、直近4年間で約12万人増加しており、5年連続で最多となった。そのほか、インドネシア、ネパール、ミャンマー、フィリピン等で増加している。ここ数年、中国は大きな増減がないものの、人数としては高止まっており、2番目に多かった。
 技能実習制度については、2023年11月に提出された「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」の最終報告書を踏まえて、2024年2月に「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」において「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応について」を決定した。これを基に「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案」が第213回通常国会に提出され、2024年6月に成立した。一部を除き2027年4月1日に施行される予定である。本改正法は、技能実習制度に替えて、人材育成及び人材確保を目的とする育成就労制度を創設するものである。育成就労制度では、特定技能制度において従事することができる業務との連続性を持たせ、就労を通じて特定技能1号の水準の技能を有する人材を育成することとしてキャリアアップの道筋を明確にする。また、育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護を図るため、外国人ごとに作成する育成就労計画の認定の仕組みや、監理支援事業を行う監理支援機関の許可の制度を定め、外国人技能実習機構を改組し外国人育成就労機構を設けるほか、やむを得ない事情がある場合のほかにも一定の要件を満たす場合には、技能実習制度においては認められていなかった、本人の意向による転籍を認めるなどの措置を講じている。
 我が国の外国人労働者数は、2024年は2014年と比較して2.9倍と、約150万人の増加がみられ、日本に定着している外国人材も多く、身近な存在となりつつある。国籍にかかわりなく、全ての人が安定した生活を送れるような賃金や労働条件等が確保できるようにするとともに、安心して働き続けられるような職場や地域社会づくりが更に重要となる。

2025年3月卒の新規学卒者の就職率は、人手不足による売り手市場を背景に高水準を維持

新規学卒者の就職率及び就職内定率は、人手不足や景気拡大等を背景にしておおむね上昇傾向が続いていたが、感染拡大の影響により、一時的に低下した。その後、経済社会活動が正常化する中で、就職率及び就職内定率は再び上昇し、高水準を維持している。
 2025年3月卒の就職率は、いずれの学校区分においても97%以上の高水準を維持した。大学新卒者については、前年差0.1%ポイント低下の98.0%とほぼ横ばいで推移し、調査を開始した1996年度以降で2番目に高い就職率となった。専修学校(専門課程)新卒者については、前年差1.7%ポイント上昇の99.2%と、調査を開始した1996年度以降で最高の就職率となった(第1-(2)-28図)。
 2025年3月卒の就職内定率は、高校新卒者については全ての期間でほぼ横ばいであった。短大新卒者の就職内定率は、10月1日時点で上昇したが、12月1日時点及び2月1日時点では低下した。大学卒の10月1日時点の就職内定率は、前年から1.9%ポイント低下の72.9%、専修学校(専門課程)卒の10月1日時点の就職内定率は、前年から1.1%ポイント低下の51.8%となった。

コラム1–2 我が国と主要国における女性の労働参加の状況

女性の労働参加の状況について、我が国と米国、英国、ドイツ13、特に女性の労働参加が進んでいるスウェーデンの4か国(以下本コラムにおいて「主要国」という。)を確認する。まず、我が国の女性の就業率をみると、20代後半から30代にかけて就業率が下がるいわゆる「M字カーブ」は改善傾向にあり、主要国と比較しても、いずれも遜色ない水準で、「台形」に近い形状となっている(コラム1-(2)-1図)。さらに、我が国の女性の「20~24歳」及び「25~29歳」の就業率は、主要国よりも高い水準となっている。
 次に、女性の正規雇用労働者比率をみる。15~29歳では、我が国と主要国はおおむね同じ水準にある。30~54歳では、主要国においては、一部低下傾向もみられるものの、その傾向は緩やかなものであり、「25~29歳」の水準から大幅な低下はみられない(コラム1-(2)-2図)。しかし、我が国においては、「25~29歳」をピークとして、30代以降は低下傾向が続きいわゆる「L字カーブ」が表れていることが分かる。特に30~39歳にかけて著しく低下しており、主要国との差が約10~30%ポイントにまで広がっている。

コラム1–3 就業者の年齢構成割合

就業者の年齢階級別構成割合の長期的な変化に着目すると、過去10年間で70歳以上の割合が大きく上昇している(コラム1-(3)-1表)。2024年においては、2015年と比較して、男性は3.0%ポイント上昇の8.5%となり、女性は2.5%ポイント上昇の7.3%となった。また、正規雇用労働者の年齢階級別構成割合の推移をみると、過去10年間で60歳台の割合が大きく上昇している(コラム1-(3)-2表)。2024年においては、男性は2%ポイント上昇の8.4%となり、女性は0.8%ポイント上昇の6.4%となった。60歳以降の就業率と就業意欲がある者の割合を比較すると、就業意欲がある者の割合が実際の就業率よりも高い傾向にあり14、今後も高齢者が就業者全体に占める割合は上昇することが予想される。

注釈

  1. 1「正社員等」とは、雇用期間を定めないで雇用されている者又は1年以上の期間の雇用契約を結んで雇用されている者をいい、「パートタイム」は除く。
  2. 2「正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加」を行ったと回答した事業所の割合をいう。
  3. 3総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」(2024)によると、非正規雇用労働者の割合は、全産業で36.8%、「卸売業,小売業」は50.9%、「宿泊業,飲食サービス業」は76.2%、「生活関連サービス業,娯楽業」は55.5%、「医療,福祉」は37.9%である。
  4. 4常用及び臨時・季節を合わせた労働者をいう。常用労働者は雇用契約において雇用期間の定めがないか又は4か月以上の雇用期間が定められている労働者(季節労働を除く。)をいう。また、臨時労働者は、雇用契約において1か月以上4か月未満の雇用契約期間が定められている労働者をいい、季節労働者とは、季節的な労働力需要に対し、又は季節的な余暇を利用して一定の期間(4か月未満、4か月以上の別を問わない。)を定めて就労する労働者をいう。
  5. 5就業者に占める雇用者の割合は、全ての年齢階級においてほぼ横ばい又は上昇傾向で推移している(付1-(2)-1図)。
  6. 6役員を含まない人数。「非正規雇用労働者数」についても同様。
  7. 7付1-(2)-2表参照。
  8. 8厚生労働省「雇用動向調査」
  9. 9雇用義務のある民間企業については、法定雇用率の変更に伴い変動が生じるが、2024年については40.0人以上規模を対象としている。
  10. 10労働政策審議会障害者雇用分科会意見書(2022年労働政策審議会)より。
  11. 11職場適応援助者(ジョブコーチ)は、障害者の職場適応に課題がある場合に、職場にジョブコーチが出向いて、障害特性を踏まえた専門的な支援を行い、障害者の職場適応を図ることを目的としている。
  12. 12人材の確保が困難な一部の産業分野等における人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を労働者として受け入れるために創設した在留資格。対象分野は16分野(介護、建設、農業、漁業、飲食料品製造業など)となっている(出入国在留管理庁「在留外国人統計」2024年12月末時点で特定技能在留外国人数は約28万人)。
  13. 13データの制約により、ドイツは就業率のグラフのみ作成。
  14. 142024年9月2日開催「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム(第6回)」内閣府政策統括官(経済財政分析担当)提出資料