全都道府県で地域別最低賃金の引上げが答申!賃上げ支援策を紹介します



9月5日までに、全ての都道府県で地域別最低賃金の引上げの答申がなされました。地域別最低賃金は都道府県ごとに63円~82円の引上げとなり、この結果、全国加重平均では1,121円となります。今後、必要な手続を踏んだ上で、10月1日以降各都道府県で順次発効される予定です。
この記事では、最低賃金とはどういうもので、違反するとどうなるのか、今年度の改定に当たってどのような議論が行われたのか、これから賃金を引き上げるために活用できる支援策についてご紹介します。

最低賃金とはどんなルールなの?

最低賃金とは、正社員かパート・アルバイトにかかわらず、労働者が働く際の賃金の最低額を定めるものです。労働者を雇う側(使用者)はこの最低賃金以上の額の賃金を支払わなければなりません。もし、最低賃金未満の賃金で契約を結んで働いているとしても、契約のうち最低賃金未満での契約の部分は無効となります。また、使用者が最低賃金未満の賃金しか支払わない場合は法律違反となり、罰則が適用されます(50万円以下の罰金)。
このような制度を設けているのは、労働者が生活を営むのに必要な原資となる賃金の最低額を保障することで生活の安定を確保するためであり、最低賃金制度の基になる「最低賃金法」では、この法律の目的として「賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与すること」であると書かれています。

今年度の引上げはどのくらい?



今年度の地域別最低賃金の改定に当たって、労働者・使用者・公益の代表により構成される中央や地方の最低賃金審議会では、特に物価の上昇が続いていることや、中小企業を含めた賃上げの流れが続いていることに着目した議論が行われました。この議論は、最低賃金に近い賃金水準で働く方の購買力を維持する観点や、賃上げの流れの維持・拡大を図り、パートやアルバイト、あるいは中小企業で働く方にも広げること、更には最低賃金法の目的も踏まえたものです。
こうした議論の結果、今年度は、都道府県別に63円~82円の引上げが答申されました。(表参照。数字は、都道府県で答申された引上げ後の最低賃金(昨年からの引上げ額))今年度、地域別最低賃金が、初めて全国47都道府県で1,000円を超えました。全国加重平均額(都道府県別の最低賃金額を各都道府県の労働者数で重み付けして平均した数値)は、昨年度の1,055円から、過去最大の66円、率にして6.3%引上げの1,121円となります。また、最低賃金額の都道府県ごとの格差も、最も高い額(東京都の1,226円)に対する最も低い額(高知県、宮崎県、沖縄県の1,023円)の比率が昨年度の81.8%から83.4%に上昇し、11年連続で改善しました。

<参考>令和7年度最低賃金額答申|厚生労働省


賃上げのための支援策をご活用ください!

最低賃金が引き上げられるといっても、それにあわせて賃金を引き上げるための原資をどう確保すれば良いかお悩みの事業主の方々に向けて、厚生労働省をはじめ政府全体で事業主の皆さまの賃上げを支援しています。
厚生労働省では、労働市場全体の賃上げを支援する各種助成金を「賃上げ」支援助成金パッケージとしてまとめています。各社で賃上げとともに行う設備投資や、人材開発といった取り組みに合う支援策を検討していただきご活用ください。支援策のラインナップからどの支援策が活用可能かご検討いただけるよう、支援策の詳細は厚生労働省ウェブサイトで紹介しています。

また、9月5日からは、最低賃金の引上げに対応する事業主の皆さまをより一層支援するため、「業務改善助成金」の制度拡充を行っています。これまでは、事業場内の最低賃金(事業場内で最も低い賃金)と地域別最低賃金の差額が50円以内の事業場を支援の対象としていましたが、これを「令和7年度改定後の地域別最低賃金額(都道府県ごとに決定)未満」まで引き上げることとしました。また、令和7年9月5日から令和7年度当該地域の地域別最低賃金改定額の発効日の前日までに賃金引上げを実施していれば、従来必要とされていた賃金引上げ計画の事前提出が不要となります。

詳しくは「業務改善助成金の拡充について」をご確認ください。

さらに、厚生労働省以外の省庁とも連携して、生産性向上支援、価格転嫁などの取引適正化、資金繰り支援、企業の皆さまからの相談を受け付ける窓口の設置など、幅広い支援に取り組んでいます。皆さまが賃上げに当たってのお悩みが解決されるよう、各種の支援策をチェックしていただき、ニーズに応じて活用いただければと考えています。

厚生労働省「賃上げ」支援助成金パッケージの支援策一覧
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最低賃金・賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援施策
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