従業員が離職する際に必要な措置
従業員が離職する際のルール
1.離職者の再就職の援助
事業規模の縮小等に伴って従業員の離職が余儀なくされる状況となった場合、事業主は、離職する従業員の再就職活動を援助するなど、本人の職業の安定を図るよう努める必要があります。(労働施策総合推進法第6条)
2.離職時の届出
従業員が離職したなど、次のような場合には、事業主からハローワーク等に届出や通知を行うことが必要です。
(1) 一定期間内に相当数の離職者が発生する場合
- 「再就職援助計画」の作成
事業規模の縮小等に伴い、1か月以内に30人以上の労働者が離職を余儀なくされることが見込まれる場合、最初の離職が発生する1か月前までに「再就職援助計画」を作成し、ハローワークに提出し、認定を受けなければなりません。(労働施策総合推進法第24条)
事業主が、離職する従業員に対してその再就職活動を援助する上記1の責務を果たせるようにすることを目的としています。
(※)離職を余儀なくされること労働者が30人未満の場合、作成は任意ですが、労働者の早期再就職につながる可能性がありますので、できるだけ作成するようお願いします。(労働移動支援助成金の対象となる場合があります。) - 「大量離職届・大量離職通知書」の提出
自己の都合又は自己の責めに帰すべき理由によらないで、1か月以内に30人以上の離職者が発生する場合、最後の離職が発生する1か月前までに、その離職者の数等について、ハローワークに「大量雇用変動の届出」をしなければなりません。(労働施策総合推進法第27条)
地域の労働力需給に影響を与えるような大量の雇用変動に対して、職業安定機関等が迅速かつ的確に対応を行えるようにすることを目的としています。- ※ 「再就職援助計画」と「大量離職届・大量離職通知書」の作成の基準と手続きをご覧ください。
<基準・手続きのポイント>
- 「大量離職届・大量離職通知書」については、雇用期間が6か月を超える場合は、雇用期間に定めのある労働者も原則として対象になります。
- 再就職援助計画の認定の申請をした事業主は、その日に大量雇用変動の届出をしたものとみなされます。
- 「再就職援助計画」及び「大量離職届・大量離職通知書」において対象者に障害者が含まれる場合は、その人数を内訳として記載していただく必要があります。
- ※ 「再就職援助計画」と「大量離職届・大量離職通知書」の作成の基準と手続きをご覧ください。
(2) 高年齢者等が解雇等により離職する場合
- 多数離職届の提出:PDF版[50KB] Word版[67KB] ※参考:(記入上の注意[81KB])
雇用する高年齢者等が1か月以内に5人以上が解雇等により離職する場合は「多数離職届」をハローワークに提出しなければなりません。(高年齢者雇用安定法第16条)
- 「求職活動支援書」の作成
解雇等により離職する高年齢者等が再就職の支援を希望する場合は、職務経歴などの高年齢者等の再就職に資する事項などを明らかにした「求職活動支援書」を作成し、高年齢者等に交付しなければなりません。(高年齢者雇用安定法第17条) - (※)「求職活動支援計画書」をあわせて作成し、最寄りのハローワークや労働局に提出すると、高齢者等の早期再就職につながる可能性がありますので、できるだけ作成するようお願いします。(労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の「優遇助成」の対象となる場合があります。)
(3) 障害者を解雇する場合
障害者を解雇しようとする場合は、その旨を速やかにハローワークに届け出なければなりません(障害者雇用促進法第81条)
- 「障害者解雇届」
事業主が障害者である労働者(短時間労働者を含む。)を解雇する場合には、速やかに当該労働者の勤務先事業所を管轄するハローワークに対し、次の事項を記載した書面(障害者解雇届[Excel形式:49.5KB])を提出しなければなりません。(障害者雇用促進法第81条)- 解雇する障害者である労働者の氏名、性別、年齢及び住所
- 解雇する障害者である労働者が従事していた職種
- 解雇の年月日及び理由
(4)外国人の従業員が離職する場合
- 「外国人雇用状況届」
- 外国人(特別永住者を除く。)が離職した場合、その都度、当該外国人の氏名、在留資格等を確認し、ハローワークに届け出なければなりません。(労働施策総合推進法第28条))
雇用保険被保険者の場合は、雇用保険被保険者資格喪失届と併せて届出し(提出期限は雇用保険被保険者喪失届と同様です)、雇用保険被保険者資格を有さない者の場合は離職日の属する月の翌月の末日までに所定の様式によって届出します。 - ※ このほか雇用保険関係でも、「雇用保険被保険者」に該当する従業員が離職した場合は、ハローワークに対して「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」を提出する必要があります。
- 離職時の離職証明書の提出 [PDF形式:7.85MB]
- 外国人(特別永住者を除く。)が離職した場合、その都度、当該外国人の氏名、在留資格等を確認し、ハローワークに届け出なければなりません。(労働施策総合推進法第28条))
(参考)労働者派遣契約の中途解除に関するルール
- 派遣先(派遣労働者を受け入れている事業主)の責務
- 派遣先は、労働者派遣契約を解除する際には、派遣会社の合意を得ることはもとより、あらかじめ猶予期間をもって派遣会社に解除の申入れを行うことが必要です。
- 派遣先は、派遣先の関連会社での就業をあっせんするなどにより、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることが必要です。
- 派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることができないときには、少なくとも中途解除により派遣会社に生じた損害の賠償などを行うことが必要です。
- (労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号/最終改正 平成28年法律第17号)第29条の2)(外部ホームページに移動します。)
- (派遣先が講ずべき措置に関する指針 [PDF形式:179KB](平成11年労働省告示第138号/最終改正 平成28年厚生労働省告示第78号)第2の6)
- 派遣会社(派遣労働者を雇用する派遣元事業主)の責務
- 労働者派遣契約と労働契約は別であり、労働者派遣契約が解除されたからといって、即座に派遣労働者を解雇できるものではありません。
- 派遣会社は、派遣先と連携して、派遣先の関連会社での就業のあっせんを受けることや、派遣会社において他の派遣先を確保するなど、派遣労働者の新たな就業機会を確保するようにしてください。
- 新たな就業機会を確保できないときは、まず休業を行い、雇用の維持を図るようにしてください。
- (派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針 [PDF形式:179KB] (平成11年労働省告示第137号/最終改正 平成28年厚生労働省告示第77号)第2の2)
利用できる支援策
1.再就職支援に関する助成金
事業規模の縮小等により離職を余儀なくされる労働者等に対する再就職支援を職業紹介事業者に委託したり、求職活動のための休暇を付与する事業主に、助成金が支給されます。
2.離職予定者の出向・移籍の支援
(公財)産業雇用安定センター による出向・移籍支援サービス(外部ホームページに移動します。)
事業主の方が、離職する予定の従業員の再就職活動を支援する場合、本人を他企業に対して出向・移籍によって移動させる方法があります。その場合、(公財)産業雇用安定センター(各都道府県ごとに事務所設置)が行う無料の出向・移籍支援サービスを受けることができます。