健康・医療アルミニウムに関する情報

食品中のアルミニウムに関する情報

食品中のアルミニウムに関する情報

1.食品中のアルミニウムについて

アルミニウムは、天然にも土壌、水、空気中のちりなどに広範に存在します。土壌などから吸収されたアルミニウムが野菜、穀類、魚介類などに微量に含まれるほか、膨脹剤、色止め剤、品質安定剤などの食品添加物にアルミニウムが含まれています(表1参照)。

表1 アルミニウムを含有する食品添加物の用途と対象商品

用途 主な対象食品
膨脹剤(ベーキングパウダーなど) 一部の菓子パン(メロンパンなど)、焼菓子(スポンジケーキなど)、
揚げ菓子(ドーナツなど)、蒸し菓子(小麦饅頭など、蒸しパン)など
色止め剤 漬物(ナスの漬物、シソの実漬など)
形状安定剤(煮崩れ等の防止) 魚介類(たこ、いか、くらげ、うになどの魚介類)など
品質安定剤 野菜等(芋、豆、ごぼう、れんこん、栗など)の煮物
着色料 食品全般

なお、大部分のパンと菓子パンは、パン生地を膨脹させるために「パン酵母」を使用しており、膨脹剤は使用されていません(パン酵母の発酵過程で発生する炭酸ガスにより生地が膨脹します)。

2.アルミニウムの毒性

ラットを用いた動物実験では、アルミニウムを多量に投与したときに腎臓や膀胱への影響や握力の低下などが認められています。食品の安全性を評価している国際機関(JECFA:FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)では、人が一生涯摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される暫定的な許容量(暫定耐容週間摂取量)として、体重1kg、一週間当たり、2mgという値を設定しています。
なお、一時期、アルツハイマー病とアルミニウムの関係があるといった情報もありましたが、現在は、この因果関係を証明する根拠はないとされています。

※ FAO(国際連合食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が合同で運営する専門家の会合とし て、1956年から活動を行っています。FAO、WHO、それらの加盟国、コーデックス委員会(FAOとWHOが設立した食品の国際基準(コーデックス基準)を作る政 府間組織。消費者の健康を保護するとともに、食品の公正な貿易を促進することを目的としています。)への科学的な助言機関として、添加物、汚染物質、動物用医薬品などの安全性評価を行っています。

3.国内での摂取量調査の結果(平成23年度~平成24年度)

厚生労働省では、平成23年度~24年度に加工食品と野菜などの生鮮食品からアルミニウムをどれくらい摂取しているのか調査を行いました。その結果、ア ルミニウムの推定摂取量の平均値は、すべての年代層で2.の「暫定的な許容量」(許容量)を下回っていました。小児(1-6歳)では、許容量に対する摂取 量の割合が最も大きく、許容量の約43%でした。
アルミニウムを含む食品を多く食べる場合の推計では、小児では摂取量の多い5%の人が許容量を超える可能性があることがわかりました。小児以外の年代層では、許容量を超えませんでした。
アルミニウムの推定摂取量には、穀類加工品や菓子類などの寄与が大きく、これは、膨脹剤として使用される食品添加物(硫酸アルミニウムカリウムや硫酸アルミニウムアンモニウム)によるものと推察されました。

4.平成25年度時点の対応方針

平成23年度~24年度の調査結果では、アルミニウムの摂取量の平均値は、すべての年代層で許容量を下回っていました。しかしながら、アルミニウムを多く含む食品を多く食べる一部の小児で許容量を超える可能性が示されました。また、国際的にもアルミニウムを含む食品添加物の基準の設定や見直しが進められています。
関係業界においては、それまでもアルミニウムを含む食品添加物の使用の低減化に向けた取組みを行っていましたが、平成25年度までは、我が国ではアルミニウムを含む食品 添加物の使用基準(使用量の上限)は設定されていませんでした。このような状況を踏まえ、厚生労働省では、より高い水準での安全性を確保する観点から、パンと菓子類に膨脹剤として使用される食品添加物(硫酸アルミニウムカリウムと硫酸アルミニウムアンモニウム)について、以下の取組みを行うこととしました。

  1. (1)関係業界に対して、さらなる自主的な低減化の取組みを依頼する。
  2. (2)現状の使用実態を確認した上で、使用基準を検討する。

なお、平成23年度から24年度の調査結果でも、アルミニウムの摂取量の平均値はすべての年代層で許容量を下回っており、過度に注意が必要なものではありません。過度な偏食に注意し、バランスの良い食生活を心がけることが大切です。

5.関連資料

(1)平成25年6月21日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会資料

(2)硫酸アルミニウムカリウム及び硫酸アルミニウムアンモニウムを含有する膨脹剤の使用量の低減について(依頼)

6.食品安全委員会における食品健康影響評価結果

平成29年3月21日付けで、アルミニウムを含む食品添加物である硫酸アルミニウムアンモニウム及び硫酸アルミニウムカリウムの使用基準の改正について、内閣府食品安全委員会に食品健康影響評価の諮問を行いました。

食品安全委員会は硫酸アルミニウムアンモニウム及び硫酸アルミニウムカリウムの評価を行い、平成29年12月19日付けで、耐容週間摂取量(Tolerable Weekly Intake;TWI)を 2.1 mg/kg 体重/週(アルミニウムとして)と設定し、食品健康影響評価の結果を通知しました。

評価書詳細 (fsc.go.jp)
 

7.アルミニウムを含む食品添加物の基準値設定

食品健康影響評価の通知を受け、厚生労働省では、平成30(2018)年11月30日に硫酸アルミニウムアンモニウム及び硫酸アルミニウムカリウムの使用基準を改正し、菓子、生菓子及びパンに新たに基準値を設定し、1 kgにつきアルミニウムとして0.1 g以下としました。
 

8.国内での摂取量調査の結果(令和2年度~令和3年度)



使用基準の改正後、改正にかかる経過措置期間(1年)を過ぎたことから、令和2年度及び3年度に加工食品中に含まれるアルミニウムを対象としてマーケットバスケット方式による摂取量調査を実施しました。 
その結果、加工食品由来のアルミニウム推定摂取量は大きく減少していることが確認できました。

調査結果詳細[654KB]
 

参考

硫酸アルミニウムカリウムと硫酸アルミニウムアンモニウムの用途と表示
膨脹剤などの目的で使用された場合、食品には以下のように表示されます。

用途 表示名
膨脹剤 「膨脹剤」、「膨張剤」、「ベーキングパウダー」、「ふくらし粉」
色止め剤、形状安定剤、品質安定剤 「硫酸アルミニウムカリウム」、「ミョウバン」、「カリミョウバン」、「硫酸アルミニウムアンモニウム」、「アンモニウムミョウバン」

ただし、膨脹剤にはアルミニウムを含まない場合もあるため、「膨脹剤」と表示されていても、アルミニウムを含む食品添加物が使用されていない場合があります。

※用途の解説はこちら


 

 

9.アルミニウムを含む添加物について(Q&A)

アルミニウムを含む添加物について(Q&A)[54KB]

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