自然毒のリスクプロファイル:巻貝:フグ毒

概要版

         
キンシバイ  アラレガイ ハナムシロガイ  バイ
    
ボウシュウボラ  オオナルトボラ
(一部「有毒魚介類携帯図鑑(緑書房)」より転載)
 
有毒種 日本で中毒原因となる有毒種は、小型ではエゾバイ科のバイ、ムシロガイ科のキンシバイ、大型ではフジツガイ科のボウシュウボラである。ムシロガイ科のアラレガイオオハナムシロ(ハナムシロガイ)、オキニシ科のオオナルトボラからもフグ毒の検出例がある。その他、中国大陸ではムシロガイ科のZeuxis samiplicutus、台湾では同科のオキナワハナムシロとサメムシロ、マクラガイ科のジュドウマクラなども有毒で、中毒を引き起こしている。
有毒部位 筋肉、内臓
中毒発生状況 バイによるフグ毒中毒は1957年に新潟県寺泊産、1980年に福井県坂尻産のもので発生している。キンシバイによる中毒は2007年に長崎県、2008年に熊本県、2015年に長崎県で各1件発生し、それぞれ1名の患者を出している。ボウシュウボラによる中毒は1979年から1987年にかけて静岡県、和歌山県、宮崎県で各1件発生し、患者総数は4名である。小型巻貝によるフグ毒中毒は中国大陸では320件以上、台湾でも9件が報告されている。
中毒症状 魚類のフグ毒中毒と同じ
毒成分 テトロドトキシン

リスクプロファイリング・巻貝:フグ毒

ムシロガイ科キンシバイ:フグ毒


 
標準和名 キンシバイ
学名 Nassarius (Alectrion) glans
形態的特徴 殻は平滑で、濃淡のある淡褐色の地に10本前後の褐色の糸状彩をめぐらす。外唇は薄く、縁辺の棘の発達は弱く内肋を欠く。殻長は4 cm程度。
分布 海域:相模湾以南、熱帯インド・太平洋
水深:潮間帯から水深20 mの砂泥底
有毒部位 筋肉、内臓
毒性 猛毒
毒成分 テトロドトキシン

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エゾバイ科バイ:フグ毒


「有毒魚介類携帯図鑑(緑書房)」より転載
 
標準和名 バイ
英名 Ivory shell
学名 Balylonia japonica
地方名 ツブ、ウミツボ
形態的特徴 食用。殻は厚く平滑で、白地に褐色斑列がある。老成殻では厚い殻皮を被っているので模様はみえない。殻口内は淡い青色を帯びた白色で、縫帯と軸唇の間に明らかな臍孔がある。蓋は木の葉形で、核は下にある。殻長は6~7 cm。
分布 海域:北海道南部~九州、朝鮮半島
水深:水深約10 mの砂底
有毒部位 中腸腺
毒性 弱毒(稀に強毒)
毒成分 テトロドトキシン
備考 バイの食中毒には、フグ毒が原因と考えられる"新潟県寺泊型"とネオスルガトキシンまたはその関連物質を原因とする"静岡県沼津型"の2つのタイプがある。

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ムシロガイ科アラレガイ:フグ毒

 
標準和名 アラレガイ
学名 Nassarius variegata
形態的特徴 殻はよくふくらみ、縫合はやや折り入れており、色彩は淡褐色で縫合下に褐色斑をもつ。殻表は縦肋が螺溝によって切れないつぼ状で、殻口は大きく、殻口内に内肋をもつ。殻長は2~2.5 cm。
分布 海域:房総半島以南、熱帯太平洋
水深:水深10~100 mの砂底
有毒部位 可食部
毒性 微毒
毒成分 テトロドトキシン
備考 日本での中毒事例はない。台湾では強毒(約350 MU/個体)をもつ個体が報告されており、中毒事例もある。台湾産の毒成分はテトロドトキシンと麻痺性貝毒である。

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ムシロガイ科オオハナムシロ(ハナムシロガイ):フグ毒


「有毒魚介類携帯図鑑(緑書房)」より転載
 
標準和名 オオハナムシロ(ハナムシロガイ)
学名 Nassarius variegata
形態的特徴 螺溝が細く密で縦肋は細かく刻まれる。殻長は3~4 cm。
分布 海域:遠州灘以南、東シナ海、フィリピン、南シナ海
水深:水深10~50 mの泥底
有毒部位 可食部
毒性 弱毒
毒成分 テトロドトキシン
備考 日本での中毒事例はない。

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マクライガイ科ジュドウマクラ(台湾産):フグ毒

 
標準和名 ジュドウマクラ
学名 Oliva miniacea
形態的特徴 殻は厚質で前方がやや細い円筒形、淡褐色、褐色の網目模様をもつ。体層の上部・中部・下部に濃色斑の螺列をもつ。螺塔は高く、縫合は深い溝状で、殻口内面は橙色、縫帯は淡橙色。殻長は約5 cm。
分布 海域:紀伊半島以南の熱帯インド・西太平洋
水深:潮間帯~水深20 mの砂底
毒性 微毒
備考 日本産ジュドウマクラによる中毒事例、同種巻貝の有毒部位や毒性、毒成分に関する報告はない。台湾産のものは弱毒~強毒(約150 MU/個体)で、中毒事例もある。

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フジツガイ科ボウシュウボラ:フグ毒

 
標準和名 ボウシュウボラ
英名 Trumpet shell
学名 Charonia lampas sauliae
形態的特徴 殻は厚く、いぼ列があり、強い褐色。殻口内は白く、外唇にある棘状の突起に応じて褐色の短い襞がある。軟体は黄色または赤色で、触角に黒帯がある。殻長は20~24 cm。
分布 海域:房総半島・山口県以南、フィリピン
水深:潮間帯~水深50 mの岩礁域
有毒部位 中腸腺
毒性 猛毒
毒成分 テトロドトキシン

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オキニシ科オオナルトボラ:フグ毒


「有毒魚介類携帯図鑑(緑書房)」より転載
 
標準和名 オオナルトボラ
英名 Frog shell
学名 Tutufa bufo
形態的特徴 殻は大きく、尖った結節があり、顆粒ののった太い螺肋とともにごつごつしている。殻口内は赤色、内唇から軸唇部の滑層は白い。後溝は長く半管状である。殻長は14~20 cm。
分布 海域:房総半島・山口県見島以南、熱帯インド・西太平洋
水深:潮間帯下部の岩礁域
有毒部位 中腸腺
毒性 猛毒
毒成分 テトロドトキシン
備考 日本での中毒事例はない。

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厚生労働省健康・生活衛生局食品監視安全課

水産安全係

電話 03-5253-1111(内線4244)