福祉・介護地域共生社会の実現や、包括的な支援体制の整備に係る議論等の経緯

(1)平成27年9月:新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン

○ 「新たな福祉サービスのシステム等のあり方検討プロジェクトチーム」から、「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」が示されました。

○ 同ビジョンにおいては、高齢化の中で人口減少が進行し、福祉ニーズが多様化・複雑化しており、福祉の提供において、「包括的な相談から見立て、支援調整の組み立てに加えて、資源開発し、総合的な支援が提供され、誰もがそのニーズに合った支援を受けられる地域づくり」を行う新しい地域包括支援体制を構築するとともに、新しい支援体制を支える環境の整備(人材の育成・確保等)を行い、地域住民の参画と協働により、誰もが支え合う共生社会の実現を目指す必要があるとの旨が示されました。

 新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン(全文)[403KB]
 新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン(概要)[171KB]

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(2)平成28年6月:ニッポン一億総活躍プラン

○ 「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」等を踏まえ、ニッポン一億総活躍プランにおいて、「地域共生社会の実現」が盛り込まれました。

○ 具体的には、「子供・高齢者・障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる『地域共生社会』を実現する。このため、支え手側と受け手側に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、福祉などの地域の公的サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる仕組みを構築する。また、寄附文化を醸成し、NPO との連携や民間資金の活用を図る。」との提言がなされました。

○ この提言が示すように、地域共生社会は「生活における人と人とのつながりを再構築し、誰もが役割と生きがいを持ち、互いに支えたり、支えられたりする関係が循環する」という観点のみでなく、「社会・経済活動の基盤として、人と資源が循環し、地域での生活を構成する幅広い関係者による参加と協働により、地域そのものの持続的発展を目指す」観点も含め、地域全体の将来を見据えた概念として定義されています。

 ニッポン一億総活躍プラン[1.9MB]
 ニッポン一億総活躍プラン(工程表)[278KB]
 

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(3)平成29年2月:地域共生社会の実現に向けて(当面の改革工程)

○ ニッポン一億総活躍プランの閣議決定を受け、厚生労働省では「『地域共生社会』の実現に向けて(当面の改革工程)」に基づき、その具体化に向けた改革を開始しました。

 「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程)[180KB]
 「地域共生社会」の実現に向けて(当面の改革工程(概要))[204KB]

○ 改革工程を受けて実施された取組

 1.「地域課題の解決力の強化」に関する取組

 ア 地域力強化検討会

 
  ○ 平成28年10月に「地域力強化検討会(地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会)」を設置し、住民主体による地域課題の解決力強化・体制づくりの在り方や包括的な相談支援体制の整備の在り方についての検討を行いました。平成28年12月に中間とりまとめ、平成29年9月に最終とりまとめを策定・公表しています。
  
  地域力強化検討会(地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制の在り方に関する検討会)

 イ 社会福祉法に基づく市町村における包括的な支援体制の整備に関する指針等
  
  ○ 平成29年に、包括的な支援体制の整備に関する具体的な取組を示すものとして、告示・通知の公表・発出を行いました。
 
  ・ 「社会福祉法に基づく市町村における包括的な支援体制の整備に関する指針」
     (平成29年12月12日厚生労働省告示第355号)

  ・ 「地域共生社会の実現に向けた地域福祉の推進について」
     (平成29年12月12日厚生労働省子ども家庭局長ほか連名通知)
    (※「『地域共生社会の実現に向けた地域福祉の推進について』の改正について」[483KB]
     (令和3年3月31日厚生労働省子ども家庭局長ほか連名通知)
 2.「地域丸ごとのつながりの強化」に関する取組
 ア 市町村や社会福祉施設等の事業者が、地域づくりに取り組みやすくする観点から、以下の通知を発出しました。

  ・ 「地域づくりに資する事業の一体的な実施について」[106KB]
     (平成29年3月31日厚生労働省健康局健康課長ほか連名通知)

  ・ 「社会福祉施設等の職員が行う地域活動の推進について」[141KB]
     (平成29年3月31日厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長ほか連名通知)

 イ 社会福祉法人が「地域における公益的な取組」について、より一層取り組みやすくすることを目的に、以下の通知を発出しました。
  
  ・ 「社会福祉法人による『地域における公益的な取組』の推進について」
    (通知[121KB])(概要[486KB]
     (平成30年1月23日厚生労働省社会・援護局福祉基盤課長通知)

 ウ 子ども食堂の活動に関する関係機関の連携強化や運営に当たっての安全管理を促進する観点から、以下の通知を発出しました。
  
  ・ 「子ども食堂の活動に関する連携・協力の推進及び子ども食堂の運営上留意すべき事項の周知について」[4.1MB]
     (平成30年6月28日厚生労働省子ども家庭局長ほか連名通知)

 エ 介護サービス事業所が、その利用者を対象とした社会参加活動等を円滑に実施することができるようにする観点から、以下の事務連絡を発出しました。

  ・ 「若年性認知症の方を中心とした介護サービス事業所における地域での社会参加活動の実施について(再周知)」[1.8MB]
     (令和6年8月8日厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課ほか事務連絡)
 3.「地域を基盤とする包括的支援の強化」に関する取組
 ア 地域の実情にあった総合的な福祉サービスの提供に向けたガイドライン
  ○ 介護、障害、子育て支援等の複数分野の支援を総合的に提供する場合の各福祉制度の人員配置基準、設備基準等に係る現行制度の規制等について、現行制度において運用上対応可能な事項を整理することで、総合的なサービスの提供の阻害要因を解消することを目的として、「地域の実情にあった総合的な福祉サービスの提供に向けたガイドライン」を策定しました。

  ・ 「地域の実情にあった総合的な福祉サービスの提供に向けたガイドライン」(改訂版)[1.5MB]
     (令和4年6月厚生労働省)

 イ 共生型サービス
  ○ 高齢者と障害児者が同一の事業所でサービスを受けやすくするため、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律により、介護保険と障害福祉両方の制度に新たに共生型サービスを位置づけています。これにより、介護保険又は障害福祉のいずれかの指定を受けている事業所が、もう一方の制度における指定も受けやすくなりました。(平成29年6月2日公布。平成30年4月1日施行)

  ・ 地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律概要[958KB]

  ・ 共生型サービス
 4.「専門人材の機能強化・最大活用」に関する取組
 ア 厚生労働科学特別研究において、保健医療福祉の共通基礎課程のあり方について、検討が進められました。

  ・ 医療関係職種の養成課程内容共通度の調査研究 (平成28年度:大西弘高研究代表)

  ・ 新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書[131KB]
    (平成29年4月6日)(抄)

 イ 福祉系国家資格を持つ者への保育士養成課程・保育士試験科目の一部免除
  ○ 共通基礎課程創設までの間の当面の措置として、平成30年度より、福祉系国家資格所有者(介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士)が保育士試験を受験する際に全9科目のうち3科目(社会福祉、児童家庭福祉、社会的養護)の受験を免除する、介護福祉士養成施設の卒業者が指定保育士養成施設で学ぶ場合に必修科目のうち6科目(10単位)の履修免除を行うなどの措置を講ずることとしました。

  ・ 「児童福祉法施行規則及び厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(通知[111KB])(概要[260KB]
     (平成30年1月15日厚生労働省子ども家庭局長通知)

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(4)平成29年社会福祉法改正

○ 平成29年の社会福祉法改正においては、地域共生社会の実現に向けて、地域福祉の推進の理念として、「地域住民等は福祉サービスを必要とする地域住民及びその世帯が抱える様々な分野にわたる地域生活課題を把握し、その解決に資する支援を行う関係機関との連携等によりその解決を図る」旨が規定されました。

○ また、あわせて、市町村は、地域住民等及び地域生活課題の解決に資する支援を行う関係機関の地域福祉の推進のための相互の協力が円滑に行われ、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制(包括的な支援体制)を整備するよう努めることとされたほか、市町村及び都道府県は、それぞれ市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画を策定するよう努めることとされました。

・ 「『地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律』の公布について」[216KB](平成29年6月2日厚生労働省医政局長ほか連名通知)

○ 改正法を受け、「まち・ひと・しごと創生基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)においても、包括的な支援体制の整備の推進等に係る提言がなされています。

・ まち・ひと・しごと創生基本方針2018
・ まち・ひと・しごと創生基本方針2018(抄)[590KB]

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(5)地域共生社会推進検討会

○ 平成29年の社会福祉法改正法の附則に規定される、公布後3年の見直し規定に基づき、令和元年5月に「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会(地域共生社会推進検討会)」を設置し、市町村における包括的な支援体制の全国的な整備を推進する方策についての検討を行いました。

○ この検討会の最終とりまとめ(令和元年12月26日)においては、地域住民の複合化・複雑化した支援ニーズに対応する市町村における包括的な支援体制の構築を推進するため、
 1. 「断らない相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」の3つの支援を一体的に行う市町村の新たな事業を創設すべき。
 2. 本人・世帯の属性を問わず 、福祉、介護、保健医療、住まい、就労及び教育に関する課題や地域社会からの孤立など様々な課題を抱える全ての地域住民を対象とすべき。
 3. 新たな事業を実施するに当たっては、既存の取組や機関等を活かしながら進めていくが、地域ごとに住民のニーズや資源の状況等が異なることから、圏域の設定や会議体の設置等は、市町村が裁量を発揮しやすい仕組みとする必要がある。
 4. 国の財政支援については、市町村が柔軟に包括的な支援体制を構築することを可能とするために、一本の補助要綱に基づく申請などにより、制度別に設けられた財政支援の一体的な実施を促進する必要がある。
といった提言がなされました。

 ・ 地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会(地域共生社会推進検討会)
 

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(6)令和2年社会福祉法改正

○ 令和2年の社会福祉法改正においては、「地域共生社会推進検討会」の議論等を踏まえ、「地域福祉の推進は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を目指して行わなければならない」ことが規定されたほか、包括的な支援体制を整備するための手段の1つとして、重層的支援体制整備事業が創設されました。

 ・ 「『地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律』の公布について(通知)」[225KB]
  (令和2年6月12日厚生労働省社会・援護局長ほか連名通知)
 

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(7)地域共生社会の在り方検討会議

○ 令和2年の社会福祉法改正法の附則に規定される、施行後5年の見直し規定に基づき、令和6年6月に「地域共生社会の在り方検討会議」を設置し、1.地域共生社会の更なる展開に向けた対応 、2.身寄りのない高齢者等への対応、3. 成年後見制度の見直しに向けた司法と福祉との連携強化等の総合的な権利擁護支援策の充実の方向性、4.社会福祉法人・社会福祉連携推進法人の在り方、5.社会福祉における災害への対応等の検討を行いました。

○ この検討会議の中間とりまとめ(令和7年5月28日)においては、
 ・ 改めて、全国どこの地域であっても支援を必要とする方が誰も取り残されることのない包括的な支援体制の整備を図ることを再確認する必要があることや、
 ・ 将来的には全ての市町村において包括的な支援体制の構築が図られることを念頭に、生活困窮者自立支援制度を中心に介護保険制度などの既存制度を活用する中で連携体制の強化により構築する方法(既存制度活用アプローチ)と、過疎地域等における柔軟な仕組みにより包括的な相談支援や地域づくりを構築する方法(機能集約化アプローチ」)により推進していく必要があること、
 ・ いずれのアプローチで推進していく場合であっても、市町村が必要な取組を効率的・効果的に進めることができるよう、制度の持続可能性の観点には留意しつつ、機能や実施する取組に応じた財政的な支援を行う必要がある
といった提言がなされました。

 ・ 地域共生社会の在り方検討会議
 ・ 地域共生社会の在り方検討会議中間とりまとめ(概要)[481KB]

○ 中間とりまとめと同趣旨の提言は、「地方創生2.0基本構想」(令和7年6月13日閣議決定)や「経済財政運営と改革の基本方針 2025」(令和7年6月13日閣議決定)においてもなされています。

 ・ 地方創生2.0基本構想
 ・ 地方創生2.0基本構想(抄)[446KB]

 ・ 経済財政運営と改革の基本方針2025
 ・ 経済財政運営と改革の基本方針2025(抄)[444KB]

 

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