ペストについて
1 ペストについて
ペストとは?
1 病原体
ペスト菌(Yersinia pestis)。症状や感染経路で、腺ペストと肺ペストに分けられる。
2 感染経路
- 腺ペスト:菌を保有するネズミなどのげっ歯類からノミを介して感染する。
- 肺ペスト:咳などによる飛沫感染でヒトからヒトに伝播する。腺ペストから続発する場合もある。
3 潜伏期
- 腺ペスト:3~7日
- 肺ペスト:1~4日
4 診断と治療
- (1)臨床症状:
- 腺ペスト:リンパ節炎、敗血症等を起こし、重症例では高熱、意識障害などがみられる。
- 肺ペスト:高熱、急激な呼吸困難や咳、鮮やかな赤い色の泡立った血が混じった痰を伴う重い肺炎、強烈な頭痛、嘔吐。発症から24時間以内に致命的になりうる。
- (2)治療:
- 抗菌薬*による治療(特に肺ペストでは早期治療が重要)。
- *:アミノグリコシド系(ストレプトマイシン、ゲンタマイシン)、テトラサイクリン系(ドキシサイクリン)、キノロン系薬(シプロフロキサシン)、等
5 予防
- 患者や動物(ネズミ、犬、猫)の体液や排泄物への接触を避ける。
- 肌の露出を避け、虫除けを使う。
- 肺ペスト流行地では人込みを避け、医療機関などでは必要に応じマスクを着用する。
- 肺ペストが疑われる患者と濃厚接触した場合には抗菌薬の予防内服が勧められる。1週間は体温の測定をして高熱が出た場合には速やかに医療機関を受診する。
6 発生状況
- アフリカ、アジア、アメリカ大陸の山岳地帯などを中心に発生がみられる。
- 3大流行地はマダガスカル、コンゴ民主共和国、ペルー。
- WHOによると、2010~2015年の報告数は世界全体で3,248例 (約540例/年)。うち584例が死亡。
ペストに感染する可能性がある地域 WHO 2016 年