公務部門における障害者雇用に係る不適切計上の事案に関する経緯(平成30年)

1.公務部門における対象障害者の不適切計上が明らかになった経緯

国及び地方公共団体の機関は、毎年6月1日現在の障害者の任免に関する状況を、厚生労働大臣に対して通報しなければならないものとされています。

しかし、2018年5月以降、通報の対象となる障害者の確認が適切に実施されていない疑いが生じました。このため、厚生労働省から国や地方公共団体の機関に対し、2017年6月1日現在の状況の通報内容を再点検するよう依頼しました。そして、改めて提出された通報内容を取りまとめ、公表しました。

再点検の結果、国の行政機関全体で、在職している障害者の数は3,422.0人、実雇用率は1.18%であることがわかりました。これは、当初公表された数値と比較すると、障害者の数は3,445.5人、実雇用率は1.31%低い数値です。また、各機関で法定雇用率を達成するために必要な障害者の不足数の合計は3,478.5人、法定雇用率を達成していない機関の数は28機関であることがわかりました。

国の行政機関における平成29年6月1日現在の障害者の任免状況の再点検結果について

2.政府としての事案の検証と再発防止に向けた対応 

国及び地方公共団体の多くの機関で対象障害者の不適切計上及び法定雇用率の未達成状況が明らかになったことから、政府一体として今般の事態に対応するため、2018年8月、内閣官房長官を議長とする「公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議」を設置しました。また、関係閣僚会議の下に厚生労働大臣を議長とする「公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議」を設置しました。

加えて、事案の実態や原因を明らかにするため、2018年9月、関係府省連絡会議の下に、松井巖氏(弁護士、元福岡高検検事長)を委員長とする「国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会」を設置しました。検証委員会の報告書では、厚生労働省(職業安定局)の問題と各行政機関側の問題とがあいまって、大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至ったものと言わざるを得ないと指摘されています。

2018年10月、関係閣僚会議では「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」(以下「基本方針」)を策定・公表しました。また、基本方針に基づき、法定雇用率を達成していない府省は障害者採用計画を策定し、当該計画に則って、法定雇用率の速やかな達成に向けた取組を進めることとしました。

さらに、2019年3月の関係閣僚会議において、公務部門における障害者雇用の取組が名実ともに民間企業に率先するものとなるよう、政府としての取組をとりまとめました。

国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会 報告書(平成30年10月22日)

「公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議」及び「公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議」

公務部門における障害者雇用に関する基本方針

(平成30年10月23日 公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議 決定)

概要

全文

「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」に基づく対策の更なる充実・強化について

(平成31年3月19日 公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議 決定)

全文
 

3.令和元年障害者雇用促進法の改正

基本方針では、厚生労働大臣による国の行政機関等における障害者の任免状況に関するチェック機能の強化について、法的整備を視野に入れた検討を行うこととされました。

これを受けて、障害者代表や労働者代表・使用者代表も参画する労働政策審議会障害者雇用分科会において検討を進め、2019年2月に、民間企業における障害者雇用の一層の促進に関する措置も含め、意見書「今後の障害者雇用施策の充実強化について」をとりまとめました。

意見書を踏まえ、2019年3月に、国及び地方公共団体における障害者活躍推進計画の作成・公表義務をはじめとした障害者の活躍の場の拡大に関する措置や、障害者雇用率の算定対象となる障害者であるかどうかの確認方法の明確化などの障害者の雇用状況についての的確な把握等に関する措置を講ずることを内容とする障害者雇用促進法の改正案を第198回国会に提出し、同年6月に成立し、公布されました。

労働政策審議会障害者雇用分科会 報告書

今後の障害者雇用施策の充実強化について(平成31年2月13日)

報道発表

概要

全文

障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案

(平成31年3月19日閣議決定、平成31年3月19日国会提出)

概要

法律案要綱

法律案案文・理由

法律案新旧対照条文

参照条文
 

令和元年障害者雇用促進法の改正について