健康・医療医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品の先駆け審査指定制度について
制度の趣旨
これまで、国内で未承認又は適応外の医療機器及び体外診断用医薬品を解消するため、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の審査員の増員を通じて審査期間の短縮を図るとともに、学会等からの要望に基づき、医療上の必要性を評価した上で未承認医療機器等の開発要請を通じてこれらの解消に努めてきたところです。
本制度は、今般、この考えを更に推し進め、患者に世界で最先端の医療機器等を最も早く提供することを目指し、一定の要件を満たす画期的な医療機器等について、開発の比較的早期の段階から先駆け審査指定制度の対象品目(以下「対象品目」という。)に指定し、薬事承認に係る相談・審査における優先的な取扱いの対象とするとともに、承認審査のスケジュールに沿って申請者における製造体制の整備や承認後円滑に医療現場に提供するための対応が十分になされることで、更なる迅速な実用化を図るものです。
この制度では、原則として新規原理、新規作用機序等により、生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して、極めて高い有効性が期待される医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品を指定することとします。また、本制度はPMDAにおいて指名される審査パートナー(以下「コンシェルジュ」という。)を選任して、厚生労働省及びPMDA内部の関係各部との連携を強化するとともに定期的な進捗管理を通じて開発の迅速化を可能とし、新たに整備される相談の枠組みを優先的に適用し、かつ優先審査を適用することにより、審査期間を短縮することを目指します。
※平成27年度は、試行的な取組みとして実施を行います。
指定の要件
指定を受ける医療機器、体外診断用医薬品又は再生医療等製品は、以下の4つのすべての要件を満たすことが必要となります。
(1)治療法/診断法の画期性
原則として、医療機器にあっては新規原理(新医療機器等)、体外診断用医薬品にあっては新規原理/新規測定項目、再生医療等製品にあっては新規作用機序を有すること。
(2)対象疾患の重篤性
以下のいずれかの疾患に該当するものであること。
- 生命に重大な影響がある重篤な疾患
- 根治療法がなく症状(社会生活が困難な状態)が継続している疾患
(3)対象疾患に係る極めて高い有効性
既存の治療法/診断法がない、又は、既存の治療法/診断法に比べて有効性の大幅な改善が見込まれること(著しい安全性の向上が見込まれる場合も含む)。
(4)世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思
日本における早期からの開発を重視し世界に先駆けて日本で申請される(同時申請も含む)予定のものであること。なお、非臨床試験の結果等により、有効性等が一定程度期待できる製品であって、日本を含めた形で治験を実施するものが望ましい。
指定制度の内容(先駆け審査指定制度の対象品目における措置)
(1)優先相談
対象品目については、PMDAにおける優先的な相談品目として取り扱われます(資料提出から相談までの期間の短縮)。
(2)事前評価の充実
対象品目については、PMDAにおいて新たに設置される「先駆け総合評価相談(仮称) 」を受けることができます。なお、申請から承認までの期間を短縮させるために申請前からこれらの枠組みを積極的に活用する必要があることから、指定を受けた後に積極的に本相談を利用し、承認申請後速やかに審査が進むようにコンシェルジュに相談してください。
(3)優先審査
対象品目はその内容に鑑み、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器法」という。)第23条の2の5第9項及び第23条の25第7項に規定する「医療上特にその必要性が高いと認められるもの」に該当すると考えられるため、対象品目への指定をもって優先審査の取扱を行います。
(4)コンシェルジュ
PMDA において指名される審査パートナーが、当該対象品目の開発に関して進捗管理の相談、承認申請者及び承認審査関係部署との調整を行います。
先駆け審査指定制度の対象品目への指定の手続
1.品目の公募(指定希望品目の登録申込み) 9月14日~10月7日
以下の2つの資料を厚生労働省医薬食品局医療機器・再生医療等製品担当参事官室(以下「参事官室」という。)に提出することにより、登録の申込みを行ってください。提出はE-メール(平成27年10月7日17:00まで)又は郵送(3部)(平成27年10月7日必着)で行ってください。
- 医療機器の申込みをする方
- 体外診断用医薬品の申込みをする方
- 再生医療等製品の申込みをする方
2.ヒアリング資料提出 10月15日まで
1.により申込みを行った品目について、以下の根拠資料を作成し、1.で提出した申込書等と合わせて、参事官室あてにE-メール又は郵送(3部)にて提出してください。
指定基準への該当性に関する根拠資料について
以下について、概略図や表等を活用しつつ、指定要件を満たすことについて明確に説明する資料を作成してください(様式自由)。
- (1)治療法/診断法の画期性
当該指定希望品目に関する起源、開発の経緯、作用機序、その他治療法/診断法の画期性を示すこと - (2)対象疾患の重篤性
病因、症状、転帰等対象疾患に関すること - (3)対象疾患に係る極めて高い有効性
- [1]対象疾患に関する現在の治療法及び診断法に関すること
- [2]当該指定希望品目の有効性、安全性に関すること(現在までに実施されている臨床試験の成績の概要等)
- [3]既存の治療法又は診断法が存在する場合、[1][2]に加え有効性が大幅に改善することが見込まれることを示すこと
- [4]以上[1][2][3]を踏まえ対象疾患に係る極めて高い有効性に関すること
- (4)世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思
現在までの開発状況、今後予定している臨床試験等の内容・試験期間、申請予定時期(海外における開発状況・予定も含む)に関すること
3.ヒアリング 10月26日~12月1日
2.により提出された資料に基づき、ヒアリングを実施します。なお、ヒアリングの日程については、参事官室の担当者よりヒアリング希望日のうち最も早い日時の1週間前を目途に登録申込者ごとに個別に調整します。
4.予備的審査 結果の連絡:12月下旬頃(見込み)
今回の試行では多くの登録の申込みが行われる可能性があることから、先駆け審査指定に係る評価を適当な期間内に完了するために、また、特定の分野で候補品目が過度にならないようにするため、参事官室において明らかに指定基準に該当しないと判断される品目をふるいにかける、いわゆる「予備的審査」を行います。
予備的審査を行った場合には、その結果について登録申込者に連絡します。また、予備的審査を行わない場合には全ての登録申込者にその旨を連絡します。
5.指定の申請 1月12日~1月25日
4.の予備的審査を通過した候補品目の登録申込者又は予備的審査を実施しなかった旨の連絡を受けた候補品目の登録申込者は、以下の3点の書類を作成し、紙媒体(正本1部、副本9部)及び電子媒体を郵送又は持参により参事官室に提出してください。
- 医療機器の申請をする方
- 先駆け審査指定制度対象品目指定申請書(様式2-1)[DOC形式:48KB]
- 先駆け審査指定制度の指定基準該当性に関する概要(別紙)[DOC形式:48KB]
- 2.で提出した指定基準への該当性に関する根拠資料(3.のヒアリングの内容や、提出時点での状況を踏まえ、適宜加除修正したもの)
- 体外診断用医薬品の申請をする方
- 先駆け審査指定制度対象品目指定申請書(様式2-2)[DOC形式:47KB]
- 先駆け審査指定制度の指定基準該当性に関する概要(別紙)[DOC形式:48KB]
- 2.で提出した指定基準への該当性に関する根拠資料(3.のヒアリングの内容や、提出時点での状況を踏まえ、適宜加除修正したもの)
- 再生医療等製品の申請をする方
- 先駆け審査指定制度対象品目指定申請書(様式2-3)[DOC形式:48KB]
- 先駆け審査指定制度の指定基準該当性に関する概要(別紙)[DOC形式:47KB]
- 2.で提出した指定基準への該当性に関する根拠資料(3.のヒアリングの内容や、提出時点での状況を踏まえ、適宜加除修正したもの)
6.指定
5.で提出された指定申請書等を受理した後、PMDAにおける評価を踏まえ、参事官室において最終的な審査を行います。
審査の結果、特に優れているものとして選定された候補品目については、対象品目として指定を行うとともに、その結果について薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告した上で公表を行います。
登録申込み資料等の提出先
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
厚生労働省医薬食品局医療機器・再生医療等製品担当参事官室 先駆け審査指定制度担当宛
E-mail :sakigakekisai@mhlw.go.jp
※上記E-mailアドレスは、先駆け審査指定制度に関する資料提出専用のアドレスです
その他
- (1)先駆け審査指定を受けた治療用医薬品等の開発に付随して開発される体外診断用医薬品等については、当該指定を受けた治療用医薬品等の開発・承認に遅延が生じないように、別途指定を受けることなく、必要な措置を講じることとします。
- (2)本制度の平成28年度以降の運用等については、本試行的実施の状況を踏まえ、別途示すこととします。