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自然毒のリスクプロファイル:高等植物:グロリオサ
高等植物:グロリオサ
グロリオサ
一般名 |
グロリオサ (別名:ツルユリ、ユリグルマ、キツネユリなど) |
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分類 |
ユリ目 Liliales 、ユリ科 Liliaceae 、グロリオサ属 Gloriosa (APG 分類体系ではユリ目、イヌサフラン科、グロリオサ属 ) |
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学名 |
Gloriosa rothschildiana O’Brien G. superba L. の 2 種がよく栽培される。 |
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英名 | glory lily, flame lily, climbing lily | ||||
生育地 |
アフリカ原産の園芸植物で、花の色が異なるいくつかの品種がある。近年園芸店で地下部が販売されるようになり、花は独特な形と色をしているので,最近では生花として利用されることも多く,目にする機会が多くなっている。 |
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形態 |
時には長さ 3m になる蔓性のユリ科植物で,花が美しいので園芸植物として市販されている。橙色,黄色花などもある。葉の先が細長い巻きひげとなるのが特徴的である。全草に有毒アルカロイドのコルヒチンを含有し,とくに地下部に多い。地下部はヤマノイモの担根体に似ているが,本品の生は粘らないのでヤマノイモと容易に区別できる。 |
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毒性成分 |
アルカロイドのコルヒチン colchicine
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中毒症状 | 口腔・咽頭灼熱感、発熱、嘔吐、下痢、背部疼痛などが発症し、臓器の機能不全などにより、死亡することもある。 致死量は 0.8mg/kg | ||||
発病時期 | 摂取後、数時間以降に 発症。 | ||||
発生事例 |
(症例1)平成 19 年 10 月下旬に 、 静岡県の男性が自宅で自宅に植えていたグロリオサをヤマノイモと間違って採取し 、 すりおろして食し 、 コルヒチン中毒により 死亡した。 (症例2) 平成 18 年 8 月下旬に 、 高知市内で男性が自宅に植えてあったヤマノイモとともに誤ってグロリオサをも採取してともに すりおりして 食べ 、 コルヒチン中毒により死亡した。 (その他の症例)平成 15 年またそれ以前にも同様の食中毒が散発している。助かった例においても 、 消化器症状の他 、 呼吸困難 、 急性腎不全 、 出血 、 脱毛などが報告されている。 |
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患者数 |
年 発生件数 患者総数 摂食者総数 2008~2013年 発生なし 2007年 1件 1人 1人 2006年 1件 1人 1人 (2013年12月31日現在) 直近10年間の有毒植物による食中毒発生状況は、こちら |
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中毒対策 | 寒冷地では野外での越冬が困難なため,地下部を掘りあげて保存する必要があり,このものを誤食する可能性がある。 掘りとったものを野菜とは区別し,有毒であることを記し, 子供や認知障害のある人の手の届くところや台所には置かないよう管理する。また,同じ場所にヤマノイモが植えられていると,間違って掘りとられることがあるので、家庭菜園など、食べられる植物を植えている場所には混植しない。 | ||||
毒性成分の分析法
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コルヒチンの分析はイヌサフランに準じる。また 、 上記症例2に関連して HPLC による分析方法が報告されている( 高知衛研報, 54 , 41 ( 2008 ) )。 | ||||
諸外国での状況
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自生国では有毒植物として知られ 、 1980 年代のスリランカで自殺目的に食された事例が臨床報告されている。インドにおいてもしばしば自殺に利用されるとの報告がある。 |
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その他の参考になる情報
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グロリオサは古来ヒトや家畜に対する有毒植物として知られてきた一方で 、 胃腸薬など薬用としても利用されてきた。スリランカのアーユルヴェーダ(インド伝統医学)では毒蛇咬傷の治療にも利用されている。 | ||||
間違えやすい植物
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グロリオサによる中毒は、日本ではヤマノイモとの誤食が多く、重篤になりやすい。ヤマノイモを食する時期が要注意。近年の2件の死亡例はともにすりおろして生食しているが 、 グロリオサの根はすりおろしてもヤマノイモのような粘りがないので容易に区別される。 | ||||
作成:御影雅幸( 東京農業大学農学部 )
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