高等植物:ドクニンジン

ドクニンジン

一般名 ドクニンジン
分類 セリ目 Apiales、セリ科 Apiaceae、ドクニンジン属 Conium
学名 Conium maculatum L.
英名 hemlock, poison-hemlock
生育地 ヨーロッパ原産。中国、北アフリカ、北アメリカに帰化し、日本では全国的に拡大しつつある。北海道では、札幌市近郊の土砂捨場、または隣接する牧草地への進入が見られる。
形態 草丈80~180 cmになる二年草。根は円錐形で肥厚する。茎は中空で太く、上部は分枝して広がる。葉は2~3回羽状復葉。小葉は卵状皮針形、長さ1~3 cm、さらに深裂する。茎、葉柄に紫紅色の斑点があり、植物全体に光沢がある。
花期は7~9月。大形の復散形花序に白色五弁の約3 mmの小花をつけ、花の先端は内に曲がり、その中の1枚だけが大きい。
果実はほぼ球形で、直径は約3.5 mmで、熟すると2分果に分かれる。
 ドクニンジンの写真
ドクニンジン
   ドクニンジンの花の写真
ドクニンジンの花
シャクの花の写真
シャクの花
ドクニンジンの果実の写真
ドクニンジンの果実
シャクの果実の写真
シャクの果実

(写真提供:藤野廣春)
毒性成分 コニインconiine、g-コニセインg-coniceineなどのアルカロイド
化学式
中毒症状 全草、果実に有毒成分を含み、食べると悪心、嘔吐、流涎、昏睡を起こす。
発病時期 30~40分
発生事例 (症例)
札幌市内において、山菜のシャク(山ニンジン) Anthriscus sylvestris (L.) Hoffm.と間違えて、ドクニンジンの若芽を茹でてお浸しにして食し、中毒した。
患者数
年度 発生件数 患者総数 摂食者総数
 平成9年 2件 1人 2人
(2013年12月31日現在)
 
直近10年間の有毒植物による食中毒発生状況は、こちらのページ
予防対策 ドクニンジンの分布が広がっていくと、山菜のシャクの生育地と競合する可能性が生じる。
その他の参考
になる情報
古代ギリシャでは、このエキスを罪人処刑(毒殺)に用いていた。哲学者ソクラテスが、この毒によって最期を遂げたことは有名。
北アフリカ原産の同属のドクパセリC. chaerophylloides (Thunb.) Sond.も含めてドクニンジンと総称することもある。
間違えやすい
植物
山菜として食用になるシャク(コシャク)に似ているため誤食の可能性もあるが、植物全体に不快な臭気があり、紫紅色の斑点で識別できる。
  作成:吉田尚利(北海道医療大学北方系生態観察園)