高等植物:チョウセンアサガオ類2(キダチチョウセンアサガオ)
チョウセンアサガオ類2(キダチチョウセンアサガオ)
一般名 | キダチチョウセンアサガオ、エンジェルストランペット(園芸植物名) |
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分類 |
ナス目(Solanales)、ナス科(Solanaceae)、ブルグマンシア属( Brugmansia ) |
学名 | Brugmansia spp. |
英名 | Angel's Trumpet |
生育地 |
中南米原産。 |
形態 |
低木または高木の多年草で、春から秋にかけて、下向きに垂れ下がったロート状の花をつける。花色は一般に淡黄色から淡紅色と変化するが、白色や黄色などの園芸種も広く栽培されている。耐寒性がありもっぱら観賞用として栽培される。エンジェルストランペットのほか、属名であるブルグマンシアとも呼ばれる。以前は上向きの花をつけるチョウセンアサガオと同じ Datura 属に分類されたこともある。アサガオと呼ばれるが、ヒルガオ科のアサガオとは別物である。 ![]() キダチチョウセンアサガオの花
![]() キダチチョウセンアサガオの花
(写真提供:酒井英二) ![]() キダチチョウセンアサガオの蕾
![]() キダチチョウセンアサガオの果実
![]() キダチチョウセンアサガオの種子
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毒性成分 | アトロピン atropine、 スコポラミン scopolamine、ヒヨスチアミン l - hyoscyamineなどのトロパンアルカロイド。(アトロピンは、ヒヨスチアミンのラセミ体)
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中毒症状 | おう吐、瞳孔散大、呼吸の乱れ、けいれん、呼吸困難など。 |
発生事例 | (症例1) 2013年9月、大阪府。石垣市で購入した野草茶(マスイー茶)を飲んだ2名が食中毒症状を呈した。大阪市が当該野草茶の植物性自然毒について検査したところ、スコポラミン10mg/g、アトロピン0.07 mg/gが検出された。八重山保健所管内の施設で製造販売したキダチチョウセンアサガオを使用した石垣島産野草茶(マスイー茶)による食中毒が発生したとの報告から、当該品を含む野草茶の自主回収。 (症例2) |
患者数 |
2013年~2009年 発生なし 厚生労働省発表 https://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/04.html キダチチョウセンアサガオやコダチチョウセンアサガオが、チョウセンアサガオとして報告される場合や、植物自然毒として報告されており、最近の統計資料には中毒発生の記載はない。しかし、キダチチョウセンアサガオが混入した野草茶が販売された事例などの報告がある。 (2013年12月31日現在) 直近10年間の有毒植物による食中毒発生状況は、こちらのページ |
中毒予防対策 | 園芸品種が観賞用として身近に栽培されることが多い。果実や蕾がオクラと誤認される場合もあり間違やすい野菜などの近くでの栽培を避ける。 |
毒性成分の
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HPLCによるスコポラミン、アトロピンの定量 東京健安研セ年報 Ann. Rep. Tokyo Metr. Inst. P.H., 55, 2004 |
その他の |
東京都福祉保健局 「食品衛生の窓」 「エンゼルトランペット種子によりベラドンナアルカロイド中毒症状を呈した乳児例」(小児科臨床58(2)273-276) 岡山県環境保健センター年報(2007)31:127-132. |
作成:酒井英二(岐阜薬科大学薬草園) |