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自然毒のリスクプロファイル:高等植物:イヌサフラン
高等植物:イヌサフラン
イヌサフラン
一般名 | イヌサフラン (別名: コルチカム) | ||||
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分類 |
ユリ目 Liliales 、 ユリ科 Liliaceae 、 イヌサフラン 属 Colchicum (APG 分類体系ではユリ目、イヌサフラン科、イヌサフラン属 ) |
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学名 | Colchicum autumnale L. | ||||
英名 | autumn crocus | ||||
生育地 |
ヨーロッパ中南部~北アフリカ原産の球根植物。 日本には明治時代に渡来し、園芸植物として広く植えられる。 |
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形態 | 多年生の球根植物。球根は径 3 ~ 5cm の卵形で、 9 月から 10 月に花茎を 15cm ほど伸ばし、アヤメ科のサフラン Crocus sativus L. に似た花をつける。室内に放置した球根からも開花する。翌春に 20 ~ 30cm ほどの葉を根生する。耐寒性が強く、何年も植えたままで開花する。
イヌサフランの花(有毒) イヌサフランの葉(有毒)
イヌサフランの球根(有毒) イヌサフランの球根(有毒)
サフランの花 ギョウジャニンニクの葉(食用) ギボウシの葉(食用) |
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毒性成分 |
アルカロイドのコルヒチン( colchicine ) 種子には 0.2 ~ 0.6 %、鱗茎には 0.08 ~ 0.2 %含まれる。 鎮痛薬として使用されるが、嘔吐・下痢などの副作用を示す 。
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中毒症状 | 嘔吐、下痢、皮膚の知覚減退、呼吸困難。 重症の場合は死亡することもある。 ヒトの最小致死量は体重50 kgの場合,コルヒチンとして4.3 mg程度。 |
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発生事例 | (症例1)
2013 年 6 月 3 日、石川県白山市内で女性( 71 )が自宅横の畑でイヌサフランを採取し、ジャガイモと似ていることから食用にできると思い,球 根をスライスして、ゆでて食べたところ、おう吐の症状が出た。近所の知人女性( 77 )も一切れ食べて軽症となった。
( 症例 2 厚生労働省発表 統計資料外 ) 2013 年 6 月 23 日、札幌市内で女性( 60 代)が姉の自宅の庭に生えていたイヌサフランの球根を、ミョウガと間違えてゆでて食べ、腹痛や嘔吐など食中毒の症状を訴えて病院に搬送された。一緒に食べた姉はすぐに吐き出したため、体調に異常はなかった。食べた残りを北海道立衛生研究所が鑑定し、イヌサフランと確認。(症例3) 2015年6月21日、北海道札幌市内で男性が家庭菜園で採取したイヌサフランの球根を茹でて食べたところ、下痢、嘔吐及び多臓器不全等の症状を呈し、その後死亡した。 (症例4) 2015年9月22日、山形県山形市内で女性が自宅の庭に生えていたイヌサフランの地上部をもぎ取り、そのままの状態で食べた後、下痢、嘔気、嘔吐の症状を呈し、その後死亡した。
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患者数 (過去 5年 間) |
年 発生件数 患者総数 摂食者総数 死亡者 2015年 2件 2人 2人 2人 2014年 1件 1人 1人 1人 2013年 2件 3人 4人 0人 2012年 0件 0人 0人 0人 2011年 0件 0人 0人 0人 (2015年12月31日現在) 厚生労働省調べ 直近10年間の有毒植物による食中毒発生状況は、こちら |
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中毒対策 | ニンニクやタマネギ、ジャガイモとの誤食は、球根が出回る秋に起こることが多い。球根は、子供や認知障害のある人の手の届くところや、台所には置かない。 葉は開花後に出るため、春にギョウジャニンニクやギボウシ、山菜などとの誤食が起こる。観賞用の花壇と家庭菜園とは別につくり、一緒に植えない。 | ||||
毒性成分の分析法
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HPLC によるコルヒチンの定量 カラム Wakosil-II 5C18-HG (4.6×250mm+4.6×10mm) カラム温度 40 ℃ 移動層 アセトニトリル/水混液 (28:72) 流速 1.0mL/min 測定波長 242nm, 280nm
北海道立衛生研究所報( 2003 ) 53:82-83 . http://www.iph.pref.hokkaido.jp/Kankobutsu/Shoho/annual_53/pdf/0313.pdf イヌサフラン (コルチカム) 誤食による中毒事例 |
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その他の参考になる情報
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独立行政法人 国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20080527_1.pdf#search='イヌサフランによる中毒' 東京都福祉保健局 「食品衛生の窓」 https://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/dokusou/index.html |
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間違えやすい植物
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葉は、ギボウシやギョウジャニンニクと類似している。 球根は、ジャガイモやタマネギと間違えることがある。 | ||||
作成:酒井英二(岐阜薬科大学薬草園)
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