第35回厚生科学審議会臨床研究部会 議事録

日時

令和6年8月8日(木)16:00~18:00

場所

AP虎ノ門
(オンラインとのハイブリッド開催)

議題

  1. 1.臨床研究法について
  2. 2.臨床研究中核病院の業務報告について
  3. 3.臨床研究中核病院の承認要件に係る取扱いについて
  4. 4.医療機器の臨床研究に関する相談窓口の設置について
  5. 5.臨床研究法に定める疾病等報告について
  6. 6.その他

資料

議事

議事内容

○医政局研究開発政策課室長補佐 それでは定刻になりましたので、ただいまから「第35回厚生科学審議会臨床研究部会」を開催いたします。本日は、昨年度から引き続きWebで開催いたします。会議全体でのお願いとなりますが、Webで参加されております委員の皆様におかれましては、御発言される前に画面下部の「挙手ボタン」をクリックしてください。部会長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除して御発言いただきますようお願いいたします。また、御発言終了後は、再度マイクをミュートにするとともに「手を下げる」をクリックし、手を下げた状態にしてくださいますようお願いいたします。会議中に接続トラブル等が発生いたしましたら、事務局まで御連絡ください。注意事項は以上となります。
 本日は部会の定数14名に対しまして14名の委員の先生方に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。まず事務局より、委員及び事務局の交代について御報告させていただきます。臨床研究部会委員については、今回から新たに公益社団法人日本医師会の常任理事の佐原博之先生に御参画いただきます。佐原先生から一言、御挨拶をお願いいたします。
○佐原委員 日本医師会常任理事の佐原でございます。今期から委員を務めさせていただきます。よろしくお願いします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 佐原先生、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。続きまして事務局についても人事異動がありましたので、8月1日に就任いたしました研究開発政策課長を御紹介させていただきます。長谷川学でございます。
○医政局研究開発政策課長 長谷川でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 続きまして本日の会議資料についてです。会場参加の委員の皆様におかれましては、お手元のタブレットを操作して御覧いただきますようお願いいたします。Webで参加されている委員の皆様におかれましては、事前に送付しております資料、あるいはWeb上で資料を投影いたしますので御覧ください。
 資料番号について御紹介いたします。資料1に関しましては6つ、資料1-1~1-6、続けて資料2、3、4、5となってございます。参考資料は1、2、参考資料3は4つありまして、参考資料3-1~3-4、参考資料4、5、6となってございます。お手元で不足等ございましたら、事務局宛てにお申し付けください。円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので御協力をお願いいたします。以後の進行につきましては、楠岡部会長にお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございます。本日は、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。議事に入る前に、本件審議事項に関する利益相反につきまして、事務局より報告をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局でございます。本件審議事項についての委員の利害関係の申告について説明申し上げます。本件審議事項に関しては、事前に委員から利害関係の申告書を御提出いただきまして、参考資料6「厚生科学審議会臨床研究部会における利益相反の取扱いに関する規程」に沿って、退室が必要又は議決に参加できない委員はいないことをあらかじめ確認しております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それではお手元に配布しております議事次第により、議事を進行させていただきたいと思います。初めに議題1「臨床研究法について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。それでは資料1「臨床研究法について」の中で、まず資料1-1について御説明させていただきます。資料1-1を御覧ください。まず、改正法案が可決・成立したことを御報告させていただきます。
 2ページ目です。臨床研究法の改正については、本部会で取りまとめいただきました臨床研究法施行5年後の見直しに係る検討の取りまとめを基に、先般、通常国会に改正法案を提出させていただきました。スライドタイトルでもお示ししておりますが、臨床研究法の改正については、再生医療等の安全性の確保等に関する法律とともに提出をしております。改正の趣旨に記載しておりますとおり、昨今の技術革新等を踏まえ、先端的な医療技術の研究及び安全な提供の基盤を整備し、その更なる推進を図るため、一部飛ばしますが、臨床研究法においては、臨床研究法の特定臨床研究等の範囲の見直し等の措置を講ずるとしておりまして、臨床研究法における法改正事項は赤枠で囲んだ部分の①②の2項目となっています。それぞれの内容につきまして、次のページから図を用いて説明させていただきますが、一番下にあります改正法の施行期日は公布の日、つまり令和6年6月14日から起算して1年以内とされています。
 3ページ目です。改正項目の2項目のうち1つ目、医薬品等の適応外使用に関する特定臨床研究等の対象範囲の見直しについて内容を示しております。下の図を御覧いただければと思いますが、臨床研究法における特定臨床研究は、左から、製薬企業等から資金提供を受けた医薬品等の臨床研究、未承認の医薬品等を用いる臨床研究、医薬品等の適応外使用を行う臨床研究の3つがありますが、このうち、緑で網掛けしております医薬品等の適応外使用を行う臨床研究のうち、青色で網掛けしております一部の研究を、右向き矢印のように特定臨床研究から除外する改正となっています。
 特定臨床研究から除外する研究については、スライド上段の2ポツ目に書いておりますが、研究対象者の生命及び健康へのリスクが薬事承認済みの用法等による場合と同程度以下のものとしておりまして、想定される研究としては、下にある想定される例の所ですが、診療ガイドラインで推奨されており、日常診療で実施されている用法等と考えています。この基準については、本部会である厚生科学審議会の意見を聴いて省令等で定めるとしておりますので、この後、御審議いただきたく存じます。
 4ページ目です。こちらは改正項目の2つ目、研究目的で研究対象者に著しい負担を与える検査等を伴う研究に関する法の適用の内容です。こちらも下の図の改正後を御覧いただければと思いますが、医薬品等の使用と、研究において実施する検査等について整理しています。1.の研究目的で医薬品等を使用する場合というのは、すべからく法の対象となります。2.の通常の医療の提供として医薬品等を使用する場合においてですが、緑色の網掛け部分、研究目的で研究対象者に著しい負担を与える検査等を通常の医療に追加して行う場合は法の対象であることを、今回の改正で条文上明確化しています。これに該当する例としては、骨髄穿刺や、造影剤を使用するCT検査などを想定しておりまして、こちらについてもその基準については、厚生科学審議会の意見を聴いて厚生労働省令で定める、としております。
 5ページ目です。こちら6月14日に公布した臨床研究法の主な改正部分を抜き出したものとなっております。主に第2条ですが、先ほど御説明しました2つのうち、まず、著しい負担を与える検査等を伴う研究についてです。医薬品等の有効性又は安全性を明らかにするために追加的に必要となる検査その他行為としておりまして、括弧書きとして、(当該人の心身に著しい負担を与えるものとして厚生労働省令で定めるものに限る)と条文上記載しております。また、第2条2項2号におきまして、特定臨床研究から除外する適応外使用に関する条文を置いておりますが、このうちロにおいては、医薬品について定めていて、条文では、「人の生命及び健康に影響を与えるおそれが当該承認に係る用法等と同程度以下のものとして厚生労働省令で定める用法等を除く」としています。
 第2項には、イロハニホヘとぶら下がっておりますが、続きまして、ニでは医療機器について、ヘで再生医療等製品について同様の改正を行っております。いずれの項目におきましても、その基準については厚生科学審議会の意見を聴いて定めると御説明させていただきましたが、その内容については新設の第35条の2に置いています。
 6ページ目です。こちらは取りまとめの対応状況を示しております。少しビジーですが、赤枠が法改正の事項、青字が省令改正事項となっておりまして、次のスライドで抜き出してお示ししたいと思います。グレーの部分は既に対応済みの内容でして、マークがない所は予算事業等で対応しているものとなっています。
 7ページ目です。こちらは改正法の施行に向けた省令改正において、その基準や仕組みの具体化が必要なものを挙げております。まず、法改正事項である適応外使用と著しい負担を与える検査等に加えて、スポンサー概念の導入、疾病等報告の範囲と報告期日、利益相反管理、CRBの認定要件があります。本日は、このうち、著しい負担を与える検査等以外の項目について、この後、御説明させていただきます。
 なお、これらの内容は研究の現状を十分考慮して省令で定める必要がありますので、今年度、本部会の委員もお務めいただいております北海道大学の佐藤先生に研究代表者を御担当いただき、特別研究班「臨床研究のさらなる適正化に向けた諸課題に係る調査研究」の中で、それぞれのエキスパートの研究分担者の先生方に御検討をいただいておりまして、適宜御意見を頂きながら検討を進めてまいります。
 8ページ目は、今後のスケジュールを示しております。先ほどの省令の内容は8月、9月の部会で御審議いただきまして、10月には整理したいと考えております。部会での御審議内容を踏まえてパブリックコメントを行いまして、目標としては年内を目途に公布としております。その後、十分な周知期間を設けまして、来年6月15日までに施行する予定となっております。委員の先生方におかれましては、短期間で御審議いただくこととなりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 資料1-1に関する説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。まず資料1-1ですが、6月14日に公布された臨床研究法の改正の内容の御報告でした。この後、各改正項目について続けて事務局から説明いただきますが、ただいまの報告に関しましては、何か御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 続きまして資料1-2~1-6まで、事務局より説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局から御説明いたします。まず資料1-2を御覧ください。こちらは適応外使用の内容となります。2ページ目は、取りまとめのこの部分であるということを赤枠で示しておりまして、3、4ページに関しては、先ほど御説明させていただいたものですので、飛ばさせていただきまして、5ページ目を御覧ください。本日、御審議いただきたい事項がこちらとなります。一定の臨床研究の特定臨床研究の対象からの除外に関する運用方法、基準(案)をお示ししております。
 まず1つ目の○は、運用面のお話でして、特定臨床研究から一定の臨床研究を除外する仕組みの運用に当たっては、国が省令及び通知において明確な基準や事例等を示した上で、これらに基づき、CRBにおいて判断する仕組みとしてはどうかとしております。
 2つ目の○は基準の面です。この基準の1ポツ目ですが、診療ガイドラインに掲載されている用法等や、それと同等の有効性及び安全性のエビデンスが収集され、レビューにより推奨されることが明確である用法等は除外するということ。2ポツ目は、用法・用量のみが適応外、これは減量プロトコールを想定しておりますが、こういったものであって、研究対象者に対して有効かつ安全であると判断される場合も除外するという基準です。3ポツ目です。こちらは1ポツ目、2ポツ目にそれぞれ係ると想定しておりますが、日常診療で問題なく使用できている実績及び予期せぬ重大な副作用が多く発生していないことを担保するということとしてはどうかと御提示させていただきます。
 3つ目の○は、改正法施行後1年間の本改正内容の施行状況、内容ですとか、どのぐらいの件数が行われたかということについて、本部会において御確認いただきまして、課題等を整理してはどうかと考えております。資料1-2、適応外使用に関する御説明は以上となります。
 続けて資料1-3、こちらでは研究全体の責任主体の概念について御説明させていただきます。2ページ目は、取りまとめのどの部分かを赤枠で示しております。責任主体の概念の点と、疾病等報告の取扱いのうち、情報を一元的に集約し、因果関係について一律に判断できるようにすべきという点に関する内容となります。
 3ページ目ですが、こちらは第28回の部会で御提示させていただいた資料ですが、左の図の現行の制度におきましては、多施設共同研究を実施する場合には、各々の実施医療機関の研究責任医師が当該医療機関における試験の計画・運営の責任を負っているという構図になっているところ、右側のように、今後の方向性といたしましては、研究ごとに試験の計画・運営の責任を負うべき者を設定して、研究全体の責任を持たせることとするとされております。
 4ページ目が、今回この研究全体の責任をもたせる者を置くということについて、御審議いただきたい事項となります。大きく2つありまして、まず1つ目の○で、臨床研究法上、「総括管理者」と呼ぼうと考えていますが、この総括管理者の基本的な位置づけや責務、業務内容等については、取りまとめを踏まえて、以下のように整理することとしてはどうかと御提示させていただきます。
 具体的には、総括管理者とは、臨床研究全体を総括する者とする。一の臨床研究に、一の総括管理者を置くこととする。法人及び団体も総括管理者になれることとする。研究責任医師に課せられていた責務のうち、「研究の計画・運営の責任」に関する責務が課されることとする。それから、総括管理者が医師又は歯科医師の場合は、研究責任医師を兼ねることができることとする。逆に総括管理者が医師等ではない場合は、医学的判断を含めた総括管理者の責務が十分に果たされるよう、総括管理者の業務の補助、調整を行う医師等を指名することとする。このような方向で考えています。
 これに続きまして2つ目の○ですが、総括管理者が医師等ではない場合、つまり医師等ではない個人又は法人や団体が総括管理者となる場合ですが、その責務が果たされるように、以下の仕組みを設けてはどうかという点です。1ポツ目、総括管理者の業務補助、調整を行う医師等については、研究責任医師の中から1名を指名することとする。2ポツ目、総括管理者に加えて、当該調整等を行う医師等についても利益相反の申告を行うこととするという方向で考えております。この点につきましては、特に一番下の矢印部分、総括管理者が法人又は団体である場合、当該法人又は団体に所属する医師等がいらっしゃる場合がありますが、調整等を行う医師等に、この法人所属の医師等を指名することに対しての可否をどう考えるかということについて、御意見を頂ければと思っております。
 5ページ目です。こちらは総括管理者が導入された後に想定される研究実施体制のイメージ図を示しております。幾つか例をお示ししておりますが、例えば単施設研究において、例1は医師・歯科医師以外の個人が総括管理者となる場合、例2は研究責任医師が総括管理者を兼ねる場合、例3については、法人・団体が総括管理者となる場合、これは研究責任医師所属の法人が総括管理者になる場合や、別法人が総括管理者になる場合等が想定されると思っております。
 右側、多施設共同研究においては、例1のように、研究責任医師が総括管理者を兼ねる場合、研究責任医師のうちの1人が総括管理者となる場合を想定しております。例2は、法人・団体が総括管理者となる場合、このような場合においては、医学的判断を含めた総括管理者の責務が果たされるよう、総括管理者の業務の補助調整を行う医師等を研究責任医師の中から1名指名する必要があると前のスライドで御説明させていただきました。例3については、この項目については国際整合性についても御指摘をいただいておりましたので、国際共同試験を想定している図となっております。国際共同試験においては、国際共同試験におけるいわゆるスポンサーが存在している上で、国内の法人・団体が総括管理者となるということが想定されるかと思います。
 6ページですが、こちらは国際整合性の観点で、ICH-GCPとの責務の対比表をお示ししております。以前、同じような表を部会で御提示しておりますが、今回、本格的に省令に落とし込んでいくということで、昨年度、国立がん研究センター中央病院の沖田先生の特別研究班において、国際整合性の観点での見直しと、現状の臨床研究の実態を考慮した調整研究を実施いただき、その結果を基に、改めて整理したものとなっております。基本的には、ICH-GCPを踏襲しておりますが、黄色のハイライト部分は揃っておりません。これはICH-GCPでは、多施設研究においても、各施設でのIRB審査を許容した記載になっていることから、CRB対応や定期報告といった項目はInvestigator、いわゆる研究責任医師とされておりますが、臨床研究法では、いち早く一研究、一審査委員会における審査が徹底できておりますので、やはりこれは研究全体の責任を持つ総括管理者が行うべきというように整理をしています。資料1-3「研究全体の責任主体の概念について」に関する御説明は以上となります。
 続きまして、資料1-4「利益相反申告手続の適正化について」の御説明をさせていただきます。こちらも2ページ目には取りまとめの赤枠部分であることをお示ししています。
 3ページ目です。前提として、課題の1ポツ目、COIの手続が煩雑であることと、一部事実確認が不十分であることがあります。この事実確認と申しますのは、研究者が所属する所属機関の長又は管理者による確認ステップを意味しています。また、対応の方向性の1つ目と2つ目の■ですが、国がCOIの情報の一元管理が可能となるようなデータベースの構築をするようにとされておりまして、前回の部会で構築のイメージ図を御提示させていただきました。
 4、5ページ目は、前回の部会で御確認いただきました資料となっておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 6ページ目で、今年度構築するデータベースのより詳細なイメージ図をお示ししております。まず研究者はあらかじめ青の矢印のフロー、つまりCOIデータベースに個人COIを1年単位で入力し、登録・公表をいたします。ここが①、②のフローです。この公表については、全てつまびらかにするのではなく、金額や内容については粒度を落とした公表といたします。当該研究者が研究を実施するということになりましたら、次の緑のフローですが、当該研究に関する企業の様式C、つまり個人COI申告の様式をCOIデータベースから出力をいたします。この内容は公表していることから、所属機関の確認は不要として、総括管理者によりCRBに提出されるという流れを考えています。
 7ページです。今後の方向性の案といたしまして、3点お示しいたします。1つ目の○ですが、総括管理者を位置づけることに伴い、以下の3点の変更を予定しております。1ポツ目、今般の改正により、総括管理者の利益相反申告が必要となることを踏まえ、製造販売業者等も総括管理者への資金等の提供について公表してはどうか。2ポツ目、総括管理者が法人の場合は、組織としての利益相反を申告することとしてはどうか。3ポツ目は、既に先ほどの総括管理者の種類で御説明いたしましたが、総括管理者が様式A・Bを作成し、全ての実施医療機関の様式Eを取りまとめて、CRBに提出をすることとしてはどうかと考えています。
 2つ目の○は、少し方向性が異なる話となりますが、COIデータベースの活用として、以下のような運用をしてはどうかと考えております。研究計画書及び説明文書における利益相反の開示については、研究計画書及び説明文書にCOIデータベースへのリンクやQRコード等を示すことで対応したものと整理してはどうかと考えております。ただし、ITに強くない研究対象者等から求めがある場合に関しては、利益相反状況を適宜開示することとしたいと思います。これに伴いまして、研究者は公表内容に変更が生じた場合には、COIデータベースの情報を都度更新することを求めていくこととしてはどうかと考えておりますので、その点御意見をいただければと思います。
 3つ目の○に関しては、情報共有となりますが、現在、臨床研究法における利益相反申告は、マクロが組み込まれたExcelによって実施されております。このCOIデータベースの構築と、総括管理者の登場に伴い、COIデータベースを利用する研究者の所属機関における確認、様式Dですが、こちらを廃止することとする。それから、COIデータベースを利用する研究者と利用しない研究者が同一医療機関に存在する場合の手続のフロー等を整理していくことを準備しております。資料1-4「利益相反申告手続の適正化について」に関する御説明は以上となります。
 続いて、資料1-5「疾病等報告の報告期日について」御説明させていただきます。こちらも取りまとめの赤枠部分の話をさせていただきます。
 3ページ目です。これは以前の検討の振り返りとなります。上段の左の表は、現行の規定を示しておりまして、未承認・適応外の医薬品等を用いる研究において発生した疾病等のうち、既知・重篤であるものは、CRBへの報告は定期報告、対して既承認の既知・重篤は30日の報告期限と今なっています。これについて下の段の(参考)の1つ目の○、既承認での使用に比べて、未承認・適応外の医薬品等を用いた場合の疾病等の情報は少なく、既知とはいえ、重篤な疾病等の発生は重大事である、という御議論を頂いておりまして、この報告基準を30日に、既承認の既知・重篤については定期報告にするという、右側の表の方向については既に御議論いただきましたとおりとなっております。未承認・適応外の既知・重篤につきましては、取りまとめ時点で効果安全性評価委員会が設置される場合には、定期報告とすることについても御意見を頂いておりまして、この考え方を検討する必要があるとされておりましたので、今回この点を含めて御提示させていただいております。
 4ページ目です。1つ目の○は、先ほど御説明させていただきました報告期限の内容を文字化したということになっております。
 2つ目の○ですが、効果安全性評価委員会の考え方を示しております。1つ目は、効果安全性評価委員会は、総括管理者が必要に応じて設置することとし、評価委員については中立的意見を述べることができる者を置く。総括管理者は、モニタリングや監査における手続と同様に、対象疾患の特性や研究の内容等を踏まえ、開催頻度や実施手順について手順書を作成し、その内容についてはあらかじめCRBの承認を得る。総括管理者は、該当する疾病等が発生した場合には、効果安全性評価委員会に速やかに報告する。受けた効果安全性評価委員会が、定期報告の期日到来までの間にCRBへの報告が必要であると判断した場合は、その旨を総括管理者に伝えて、総括管理者は速やかにCRBに報告される取扱いにする。最後ですが、総括管理者は、年に一度以上CRBに定期報告を行うものとする。現行、既に臨床研究法のみならず治験等の研究において設置されている効果安全性評価委員会と同じものとする方向で考えています。資料1-5、「疾病等報告の報告基準について」に関する御説明は以上です。
 資料1においては最後になりますが、1-6「臨認定臨床研究審査委員会について」です。2ページ目ですが、こちらは前回の部会において御議論いただきました内容のまとめを示しております。CRBの数が多過ぎるという問題及び審査の質について課題がある中、今後の検討事項といたしまして、数についてはCRBの再設置の場合の要件を追加すべきということ、2つ目の○で、審査の質については、定期的なモニタリングの方法として議事録等を用いた評価について検討することとなっていました。
 3ページ目です。こちらは7月1日までのCRBの設置数の推移を示しており、設置数は7月1日時点で86となっております。前回の部会開催が1月でしたので、それ以降、ピンクのグラフで示している再設置をしたCRBというのは増えておらず、部会で御審議いただくだけでも歯止めになったのではないかと考えております。
 続けて4ページ目です。本部会においてCRBにおける審査の質について御議論いただいている最中、規制改革実施計画が閣議決定されました。こちらはCRBのみが対象とされているのではなく、治験における治験審査委員会及び倫理指針における倫理審査委員会などを含めた研究に関する審査委員会が対象となっておりますが、特にCRBに関わるところを黄色のハイライトを付けております。指摘内容といたしまして、審査の質のばらつき、他機関に設置された委員会に対する審査の質への不安ということが挙げられておりまして、これに対して、審査の議事概要の公表の促進を通じた審査の可視化、審査委員の教育・研修の実施など、審査の質の担保・向上に資する方策を検討し、令和8年までの措置が求められております。
 そこで、今回このCRBにつきましては、審査の質の確保について5ページ目の内容を御提示させていただきます。CRBの再設置につきましては、1つ目の○の①、これはいわゆる廃止しなければならないということが見えた段階で、予防的に新たなCRBを設置する重複設置パターン、前回御説明した内容になります。②は廃止後にすぐ再設置をしてくる、いわゆる復活パターンというように御説明させていただきましたが、そういったものは忌避すべきと考えており、これについて前回御了承いただいていると理解しています。
 これに対する仕組みとして、2つ目の○ですが、次のような仕組みを設けるべきではないかということです。1ポツ目、その重複設置パターンに関しては、相当の理由がある場合、例えば審査件数が多数に上り、複数のCRBの設置をすることが合理的であると認められる場合等を除いては、同組織等による新規のCRBの設置は認めないという方向性。2ポツ目、復活するパターンにおいては、一定期間、同組織等による新規CRBの設置を認めない。この期間は原則3年とし、改善計画の策定等により状況の改善が期待できる場合、つまり悪質性が高いと認められる場合を除くということですが、そういった場合は、いわゆるお休み期間は1年としてはどうかと考えています。
 審査の質に関しては、定期的なモニタリングとして、恒常的に審査の質を維持するために実際の審議内容を議事録などを用いて更新までの間に評価を受けることを更新要件とする、定期評価の結果の概要を公表することを求める、定期評価の結果を受けた改善策を認定期間更新時に厚生局に提出する運用をしてはどうかと考えております。さらに、審査の質の評価方法及び向上のための方策については、上記を実装しながらも、引き続き検討を行うこととしてはどうかと考えております。
 長くなりましたが、資料1-2~1-6までの御説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。議題が多数ございますけれども、資料の順番に議論していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 まず、資料1-2「適応外使用に関する特定臨床研究の対象範囲について」、御意見があればお願いしたいと思います。資料では主に5ページを中心に御議論いただければと思います。山口委員、藤原委員、近藤委員の手が挙がって、その順番で御発言をお願いします。まず山口委員、どうぞ。
○山口委員 山口でございます。資料1-2の5ページですが、「明確な基準や事例等を示した上で」ということなのですが、明確な基準や事例を示したとしても、結構CRBによって解釈が異なる場合というのがやはり起こり得るのではないかと思っております。ですので、一定の基準・事例を示した上で、ある一定の期間、それぞれのCRBが実際にどういう判断をしたのか、そういう実績などの報告を求めて、ばらつきがないかということを検討して、公表することによって、ばらつきがないような基準作りというのが更にできるのではないかと思いますので、そういったことを提案したいと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。事務局、何か考えておられますか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局でございます。スライドは5ページの一番下、3つ目の○に書いてありますけれども、こちらは1年間の本改正の内容の施行状況については調査をする予定としてございます。臨床研究に関しましては、jRCTに登録してその内容を公表しているところでございますので、jRCTを一部改修しまして、今回の改正内容に関して入力をしていただき、そこでフォローアップしていくことを考えております。その内容に関してこちらの部会で御確認いただきまして、課題等を整理するということを検討しております。以上となります。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。
○山口委員 検証することもそうなのですが、どういう解釈をしたところがあって、例えばその内容を更に詳しくCRBにフィードバックすることが必要ではないかと思いますので、こういった解釈はちょっと基準と外れているとか、そういったことを是非ともフィードバックしていただきたいと思います。
○楠岡部会長 現在は臨床研究法に基づくもの以外のすべての臨床研究はjRCTに登録することになっているわけですね。ですから、適応外であって、かつ特定臨床研究には該当しないとCRBが判断したものも、jRCTには乗っかってくるので、今後、jRCTのほうも少し改修されると思うのですが、そういう場合には、どうして除外したかというような理由も分かるようなシステムにするとか、それを1年間集めるとかいうことも考えられると思います。これはまた今後検討の内容になると思いますが、よろしいでしょうか。
○山口委員 はい。そういった趣旨で結構でございます。
○楠岡部会長 次、藤原委員、お願いいたします。
○藤原委員 5ページについて同じく質問があります。ここに書いてある基準というのは、医薬品のことが書いてあるのですが、その下の※には「医療機器、再生医療等製品についても同基準とする」というように書いてあるのですが、医療機器の臨床研究あるいは再生医療等製品の臨床研究は医薬品とかなり異なるところがあるので、同基準で大丈夫かという不安がございます。医療機器の適応外使用の基準は従前からいろいろ解釈が問題になってきたと思いますけれども、改善をするような機器のちょっとした工夫についても細かく適応外とされてしまうと、医療機器の特定臨床研究が進まなくなるのではないかという懸念があって、その辺は、今、多分、医療機器センターですか、その辺で窓口を設けて適応外かどうか判断をするというようには聞いているのですが、そこがどういうような実情になっているかというのは、この部会に一遍ぐらいは報告していただきたいというのがあること。
 それから、再生医療等製品で特に気になるのは、細胞療法で、治験の場合は規格を設定して、規格からちょっとでも外れるとなかなかそれを患者さんに戻しにくいという面がある反面、せっかくいただいた検体を捨てるのももったいないというのがあって、ちょっと最近私は把握していないのですが、CAR-T療法などの規格外製品を治験で投与するのはちょっともったいないので、では、それを特定臨床研究として投与するのだったらそのようなものを特定臨床研究の審査に掛けてわざわざ投与するのかどうか。そんな時間は恐らくないと思うので、そこはどう整理されているかというのも教えていただきたいというところでございます。
○楠岡部会長 事務局、お願いします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局でございます。ありがとうございます。まず、医療機器に関してですが、御指摘いただきましたとおり医療機器は多種多様なものがございまして、あまり強く縛ると研究が進まないというところは認識をしてございます。先生から今、御指摘いただきましたように、現在、医療機器の相談窓口が稼働しておりまして、本日、資料4のところで御報告したいと考えております。今回、この適応外使用のところに関しましては、医療機器に関しましても、現在、特別研究班、医療機器の専門家の先生にも御参画いただきまして、並行して御検討いただいております。
 それから、再生医療等製品に関しましては、今回、再生法と一緒に法改正しているというところもございますので、担当部局のほうとどういった事例があるかということも含めて検討しているというところになってございます。今、具体的なものを御提示できないのですが、どちらとも専門家の先生方の御意見を聴いて定めていきたいというように考えています。以上です。
○藤原委員 ありがとうございます。すみません、もう1点言うのを忘れていたのですが、よろしいですか。
○楠岡部会長 どうぞおっしゃってください。
○藤原委員 先ほど山口委員が御指摘された、CRBの判断がバラバラになってくるという可能性は私も懸念しているので、こういう適応外の対象から除外と判断した事例というのはQ&A集とか、あるいは事例集のようなところで、厚労省の臨床研究法のホームページなどでどんどん示していただくといろいろな人の参考になると思います。以上です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。こちらでも現在検討しているところでございまして、後ほど御紹介しますと言いました資料4の「医療機器の相談窓口」と同じように、適応外使用に関しても相談窓口を設けまして、そちらの事例も含め、それからjRCTで収集できる事例を含めて、余り個別具体が分からない格好にはなると思いますけれども、事例集として公開して、皆さんの足並をそろえていくというところで考えております。以上となります。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。機器等再生医療製品の適応外の今回の分も、少なくとも特定臨床研究からは外れるけれども、研究として行っていただけるということはやはり大事なことであって、これはちょっとここの範疇外ですが、自由診療で適応外をもうやっている実態があって、非常にいろいろな問題が起こっているので、まずはそういう意味でも、エビデンスを集めるという意味では、適応外であって、臨床研究法の枠内でちゃんとしたルールを守ってやっていただくというのは大事なことかと思いますので、その辺も御配慮お願いしたいと思います。次、近藤委員、お願いいたします。
○近藤委員 既に山口委員、藤原委員からコメントがありましたように、CRBによって判断が異なることがないような形で手当てしておいていただけるといいというように感じましたので、手を挙げさせていただきました。コメントです。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。続きまして花井委員、お願いしたいと思います。
○花井委員 今まで議論されていた適応外等々については、事例を挙げていって、それをちゃんと検討して、広くCRBごとのばらつきを抑えていくという点は全く賛成で、同意見です。
更に気になるのは検査です。検査につきましては、非常に難しいところなのですが、例えば通常採血は入らないというように考えるのですが、採血でも1日留め置いて、あるいは極端な話、2日留め置いて時間ごとに動態をチェックしていくという検査がかつてあったのですが、そういったことはどうかとか。あと、被ばくの問題とかいろいろあるのですが、この辺についてはやはりちょっと基準をちゃんと示さないといけないと。ただし、個人的な感覚としましては、やはりこういったものはインフォームドコンセントをちゃんと受けていれば一定程度は許容、いわゆる特定臨床研究以外でも許容されるべきとは思うのですが、特定臨床研究で縛らないでもちゃんとしていれば問題ないのだけれども、問題ないがゆえに、患者に対するインフォームドコンセントがちゃんとできているかとか、その辺のところが非常に気になるところなので、事務局としても、検査についてのクライテリアというのは、バランスの問題ではありますけれども、具体的な事例としてかなり挙げていかないと、適応外で更にばらつきが起きる可能性もありますので、その辺、よろしくお願いしたいと思います。再生医療等製品については、藤原委員からもお話がありましたけれども、同じように私も考えます。よろしくお願いします。
○楠岡部会長 事務局、よろしいでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。今、花井先生から御指摘いただきましたのは、資料1-1の4ページ目、今回法改正内容として載せております「研究目的で研究対象者に著しい負担を与える検査等に伴う研究に関する法の適用」という部分に関するコメントと受け止めてございます。こちらに関しましては、先生御指摘のとおり、インフォームドコンセントをきちっと取れているかというところでございますけれども、今回は、こういった著しい負担を与える検査等を追加的に行う研究に関しては臨床研究法の対象であるということを条文上明確化したというところになってございます。もちろん、この基準等に関しましても、適応外使用以上に様々なものが存在すると思っておりますので、こちらに関しまして、次回、9月の臨床研究部会において改めて御提示させていただいて、御議論いただきたいと考えてございます。よろしくお願いいたします。
○花井委員 ありがとうございます。ここだけはやはり、著しい負担感というのは利用者側と患者側には意外に距離がある部分なので、よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。次に谷岡委員、お願いいたします。
○谷岡委員 先ほど、藤原先生と山口委員がほぼおっしゃっていただいたのですが、やはり医療機器の場合は本当にいろいろなパターンがありますので、是非、今回設置していただいた相談窓口を、少し語弊があるかもしれませんけれども、うまく使っていけるような形にしていただけると有り難いなということを思います。ここに書いてあるとおり、最終的には研究ごとにCRBで判断されるということだと思いますが、CRBで判断されるときに、例えば医療機器センター側、相談窓口側で出てきた見解と、どのように用いて、CRB側が判断されるかというところも非常に重要かと思いますので、そこのところの整理が必要かなと思います。
 もう1つ、研究班で今研究していただいて、医療機器の専門家も入っていただいているということですが、医療機器は非常に多種多様ありますので、もし可能であれば、また我々の業界のほうにも、検討の際にはお声掛けいただけるととても有難いと思いましたので意見させていただきました。よろしくお願いします。
○楠岡部会長 ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは次の資料1-3「研究全体の責任主体の概念について」、御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。山口委員、まずお願いします。
○山口委員 4ページです。総括管理者が医師でない場合、法人や団体の場合は、責務を果たされるようにということで、その法人や団体に所属している医師等を、調整を行う医師等とするという方向性が提案されています。調整をするということになると、研究内容をしっかりと理解している医師である必要があると思いますので、この提案には賛成したいと思います。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。それでは花井委員、お願いいたします。
○花井委員 次の資料の論点とも関わって、スポンサー概念をどこまで理解しているか怪しいところがあるのですが、イメージとしては製販業者がスポンサーになる場合を考えるわけです。その場合、治験でやってくださったらよろしいという話ではあるのですが、そのときに、例えば責任医師が社員だったらどうなるのか。社員だからといって、医師の資格を持っている人なので、専門家として判断するのだから、たとえサラリーマンであっても、そこのボスよりも自分の職責に準ずるという考え方もあるのですが、そこは利益相反の関係も含めるとやはり注意が必要かなと思います。
 なので、学会はどうなのかとか、極端な話、患者会がスポンサーだとどうなのかとか、いろいろなケースが考えられると思うのですが、利害が絡みすぎて、不具合が起きたような事例が、挙げたくない人たちが紛れ込むというのはやはり望ましくないので、そこをちゃんと統制できるような制度化をお願いしたいと思います。機能としてのスポンサーの投入というのは非常に合理的なので賛成なのですけれども、機能面を優先する余り、その辺の利益相反性によって、研究が中立性を失うという懸念は依然として持っているので、その辺の懸念を伝えておきたいと思います。よろしくお願いします。
○楠岡部会長 ありがとうございました。次に谷岡委員、お願いいたします。
○谷岡委員 今、花井委員がおっしゃったところですが、理想的には法人に属さない医師が役割を担うことがよいのではないかと考えます。ただ、ベンチャー企業とか、非常に規模の小さな所もあると思いますので、やむを得ない場合もあるのかなとは考えております。その場合に、どのように管理するのか、できるだけ情報が公表されることで管理・判断ができるのであれば、そういう形もあるのではないかなと考えております。
 もう1点は、総括責任者が法人の場合です。法人というと、どうしても代表取締役というようになってしまうのですが、医療機器の場合は医療専業ではない会社がかなりありますので、例えば薬機法上でいう責任役員というものもありますので、そういう方が総括管理者になれるというような工夫も考えていただけると有り難いなと考えています。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは藤原委員、お願いいたします。
○藤原委員 私は、特定臨床研究はアカデミアがやるべきもので、薬事申請に使うんだったら治験でやってくださいと言いたいので、そちらのほうを本当は徹底してほしいところです。
質問です。6ページのスポンサー概念の導入の国際整合の表の所です。参考資料1に、ICH-GCP以外のアメリカのCFR、ヨーロッパだとEU CTRとの比較がしっかり書いてあるので、そちらを丁寧に見れば分かると思うのですが、がん領域では、治験ではない様々な臨床試験が世界中で国際共同でやられています。例えばアメリカのNCIが主導していたり、ヨーロッパのEORTCが主導するような、アカデミア主導の臨床試験は多数行われています。私の経験からすると、各国のClinical Trials Regulation対応、あるいはアメリカのCode of Federal Regulation(CFR)対応で、微妙にいろいろな概念が異なっていて、その調整に結構時間が掛かるということを昔経験したことがあるので、沖田班で多分検討はされていると思うのですが、アカデミア主導で治験以外、企業が主導しないような国際共同臨床試験で、スポンサーの概念の微妙な齟齬で国際共同試験がやりにくくならないように、ちゃんと見ておいてくださいとお願いしてください。
○楠岡部会長 ありがとうございました。次に近藤委員、お願いいたします。
○近藤委員 今、話題に上っていたのですが、次の利益相反申告手続にも影響するので確認したいのですが、総括責任者が個人であって医師以外の場合、これは今までにない考え方になってくると思うのですが、どのようなケースを想定しているのかをお教えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○楠岡部会長 事務局、お願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。個人の医師等ではない場合と言いますのは、5ページに少しお示ししております。例えば左側の単施設研究の場合の例3ですが、1人の先生が研究を実施される場合において、例えばその先生が所属されている病院、学校法人のような所が総括管理者となるというようなパターンです。それ以外に、全く別で、幾つか御意見を頂いた企業等の法人・団体が総括管理者となるというようなパターンを想定しております。それから、沖田班で御提示いただきましたのは、いわゆる研究グループというものが総括管理者となることもあるのではないかというところです。その辺りを想定しております。いわゆる医師等ではない個人、例えば医工の専門家の工学部の先生、薬剤師の先生もなれることも想定しております。
○近藤委員 ありがとうございます。承知いたしました。ということは、例3というのは製薬企業とか、そういうところも想定されているという理解でよろしいでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。御認識のとおりでございます。
○医政局研究開発政策課治験推進室長 少し補足させていただきます。藤原先生からも発言がございましたように、基本的に製販業者が行う場合には、薬機法の下で、治験なり市販後の臨床試験として実施いただくのが基本です。
 ただ、例えば今回、著しい負担を伴うような検査等を行うような、いわゆる観察研究などに関しては、どうしても薬機法では受けられませんので、臨床研究法で受けることになりますが、観察研究を製販業者が行うときには、製販会社がスポンサーとなることがあり得ることも想定している状況です。なので、基本的には製販業者のときには、スポンサーになるのは、治験とか市販後臨床試験でやっていただくことは徹底したいと思います。
○近藤委員 ありがとうございました。理解が深まりました。
○楠岡部会長 それでは佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(暁)委員 今、近藤委員からも質問が出たところですが、観察研究などの例3が気になっています。我々のような施設だと、法人としては国立がん研究センターで、各研究責任医師が例えば科研費を取ってきたときに、法人がスポンサーになることもできるし、医師が総括管理者になることもできるという、選択が2つできるという理解でよかったでしょうか。そして、その場合にその次に話題になると思うのですが、組織としてのCOI、例えばがんセンターのCOIとなったときに、どういったものが想定されるのかがイメージが付かなくて、そこら辺について教えていただければなと思いました。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。先生の御認識のとおりで、総括管理者となる人の選択肢が増えると言いますか、医師の先生御自身がなられる場合、法人、センター自体がなる場合等の選択肢が増えるという御認識のとおりです。
センター等の法人がなった場合の利益相反の管理については、先ほど御提示していましたとおり、組織のCOIとして申告することとしてはどうかと、事務局案として御提示しております。ただ、その範囲については、現在検討している特別研究班でも利益相反について御検討いただいているのですが、どの範囲までを申告対象とするかに関しては、現在検討中ということになっております。
○楠岡部会長 ほかにございますか。よろしいでしょうか。
部会長から、委員の方々の御意見をお伺いしたいところが1点ございます。今の案は、もともとスポンサーが今までは特定臨床研究の中では研究代表者、代表医師と、従来のICHのスポンサーとの概念が混乱しているというか、一緒くたになっていて、そこは役割を分担しなければならないということで、今回のこういう改正に至ったと思うのですが、現状では、このままいくと研究代表医師がそのまま総括管理者を兼ねるのがスタンダードになってしまいそうな感じを受けていて、原則、本来は別々なのだけれども、例えば小規模な研究である単施設研究であるとか、内容によって、これは兼ねざるを得ないという、どちらかと言うと例外的に兼ねることを認めるという方向がいいのか、それとも、最初から置けばいいというだけの話にするのか、この辺りについて、委員の方々から御意見がございましたらお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。藤原委員、お願いいたします。
○藤原委員 やはりICH-GCPとの整合性を要求されるのは国際共同臨床試験なので、余りこれをやりすぎるのもどうかと私は思います。ヨーロッパなどですと、スポンサーインベスティゲーターという考え方がありますし、NCIのクリニカルトライアルを見てみると、個人ではなくてNCIが、例えばFDAに対してINDを出しているようなところもたくさんありますので、そういうのと一緒に日本も運用していくと、更に混乱するので、スポンサーの概念を導入するのは、そんなに王道にはならないほうがいいのではないかと私は思います。
○楠岡部会長 そうしますと、あえてそれを別に置くことを求めるのではなくて、現状、兼ねることもあり得るということで、余りそこを強くは規制しないということでいいという御意見と理解したのですが、よろしいでしょうか。
○藤原委員 はい。
○楠岡部会長 分かりました。この辺りは書きぶりによって、大分内容が変わってしまいますので、今のような御意見があるということも踏まえて、書きぶりに関しては検討いただきたいと思います。ほかに御意見はありますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、資料1-4「利益相反申告手続の適正化」について、御意見を頂きたいと思います。資料は主に7ページを中心に御議論いただければと思います。いかがでしょうか。花井委員、お願いいたします。
○花井委員 これが先ほどから議論されている部分で、組織のCOIといったときに、観察研究の特段検査負担が大きいものを、もし製販業者がスポンサーになった場合に、製販業者のCOIというのはどういう概念なのか、どうも理解できないのですが、どのように事務局として考えているのでしょうか。
○医政局研究開発政策課治験推進室長 製販業者が自社製品を観察研究で臨床研究で行う場合には、これは自社製品だということを申告していただければ十分かと思います。幾ら使っているとか、社員かどうかというのは余り意味がないことですので、自社の製品の研究をやりますよということを宣言いただければ十分だと思っております。
○花井委員 分かります。だから、先ほどから藤原委員も「それは治験でしょ」というお話をおっしゃっていると思います。結局、これが研究計画書に書かれて、総括責任者が誰ということになって、ICを受けるわけですよね。そうすると、被験者として一体全体これはというときに、治験というと新薬開発しているというのは分かると思うのだけれども、その辺のところが、インフォームドコンセントの現場の中で、患者の理解を求めていくという必要は出てくるのではないかと直感的に思いました。
 なので、楠岡部会長の話とも重なるのですが、結局、研究計画書に全部書かれて、それをIC同意文書に落として説明するわけですよね。そうすると、患者側の、総括管理者と責任医師と何が違うのかとか、そういうことが理解されなければまずいということで、事務局としては、その辺のことについてお考えはありますか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。御指摘ありがとうございます。研究がどういった体制で行われているのかというところは、現在の説明文書にも、どういった先生方が担当されているかは書いているところですので、今回、研究全体を管理している人が存在して、実務はこういった先生方が担当されるというところに関しては、研究対象者にしっかりとお伝えすべきと考えております。そこのところで、一緒にCOIをしっかりと明確化して、御説明して、安心して参加いただくことが必要だと考えております。
○花井委員 論理としては十分に理解いたしました。その辺り、混乱のないように、よろしくお願いしたいと思います。
○楠岡部会長 次に渡部委員、お願いいたします。
○渡部委員 今の御議論とは異なる質問ですが、よろしいでしょうか。
○楠岡部会長 どうぞ。
○渡部委員 アカデミアとしては、こういったCOIのデータベースを構築されることは大変よいことだと思って拝見しておりました。ただ、有識者委員会では、義務付けを求める意見もあったにもかかわらず、研究者の判断で入れたり入れなかったりという結論になったということなのですが、このデータベースがどれだけ使い勝手のよいものなのかということにもかかわってくると思うのですが、そもそも義務付けができなかった理由は何だったのかを1点お伺いします。
 それと、利用する研究者がいたりいなかったりすると、現場としては、それを選り分けて確認してという作業が出てきますので、余り効果的ではないのかなと思いました。まずは、できなかった理由について教えていただければと思います。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。事務局から回答させていただきます。まず、御指摘いただいた1点目の義務付けなかった理由についてです。研究者御自身だけではなくて、様式Cになりますと、親族のCOI情報も公開するということになりまして、それに対して抵抗感を示す研究者が一定数存在しております。それから、やはりCOI情報は個人情報というところで、強制力をもって義務付けるということは困難というところに、最終的には結論付いたというところになっております。
 それから、先生に御指摘いただきましたように、いかに使いやすい、みんなが使いたくなるようなデータベースにするかが肝だとこちらでも認識をしておりまして、特に、COIデータベースが研究の現場に資するところとしては、多施設共同研究はたくさんの様式Cを集めないといけないところとか、多数の研究に参加されている先生へ資する部分が大きいと思っております。特に、多施設共同研究を支援されているようなグループというところから周知いただいたりするというところで、利用を広げていくことを現在検討しております。
○渡部委員 他者の情報とか、個人情報が関係するということがよく分かりました。ただ、原則入れるというようにして、例えば答えたくない部分だけ回答しないとか、そういった運用にしていただけるとよろしいかなと思いましたので、是非御検討いただければと思います。
○楠岡部会長 それでは藤原委員、お願いします。
○藤原委員 渡部委員も指摘されていましたが、COIデータベースを利用する研究者と利用しない研究者がいるのは、非常に不自然な感じがします。私だったら、これを利用して楽なほうが絶対にいいと思います。
 将来的には、アメリカのようにSunshine Actのような法令をちゃんと作って、こういう金の出入りはしっかりと、マイナンバーカードもあるわけだから、全部ひも付けして把握できるようにしたほうが楽だと思いますし、公開というのは一般に公開するのではなくて、IRBに公開するということ、あるいはCRBに公開するということだけで対応すればいい話なので、たとえ親族であろうと何だろうと、それでずるする人はたくさんいるので、そういうのをちゃんと網掛けしたほうが私はいいと思います。
 それから、施設COIというのを花井委員が質問されていましたが、臨床性能試験、IVDですね、体外診断薬の観察研究をやりたいという先生方がいらっしゃると思いますけれども、その際にはちゃんとIC文書とかに、IVDのメーカーから幾ら金が入っているということを明示すればいいわけだし、それを忘れないようにCRBがチェックするという能力があればいいのです。
 研究者として一番大変なのは、最近、ガイドラインなどを作っている人たちは、治験をやっている全会社から、自分の診察料で幾ら講演とか治験をやっているということを全て明らかにするということを要求されますので、このCOIデータベースは、そういうアカデミックCOIの中での施設COI、自分の診療科に幾ら金が入っているか、そういうことも全部把握できるようにしておいてもらうと楽かなと思います。以上です。
○楠岡部会長 次に佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(暁)委員 細かい所のお願いになってしまうのですが、8ページにフロー図が幾つかあります。先ほども、我々のような所のアカデミアの法人が管理者になったときに、どういったフローになるのかが分かりづらいなと。これだけではなくて、例えば不適合事案が出たときに、病院の管理者に対しても報告のルートがあったりして、そこら辺をどうやって整理するかについては、スポンサー概念を導入されるのであれば、そこら辺も併せて検討した上で、分かりやすい形にしていただければなというお願いです。
○楠岡部会長 ありがとうございました。それでは、谷岡委員どうぞ。
○谷岡委員 私の意見の申し上げ方が悪かったので少しだけ訂正させてください。企業として治験でやるべきものは治験でやるべきというのは、そのとおりだと思っております。そのような中でも、この制度に則って実施する場合もあると思いますので、その際の、という意見なのです。先ほど花井委員がおっしゃっていましたが、総括管理者が法人の場合の利益相反というのがイメージが付きにくくて、企業の場合、もし、透明性ガイドラインで公表しているような内容と同じような内容なのであれば、例えば透明性ガイドライン側のURLを引くという形で、同じことをもう一度書くということがないようにしていただきたいということが1つです。
 それから、先ほどのCOIデータベースに関しても、義務付け、マストとそうではないのというのは、非常に取り扱いが中途半端になるのではと思います。例えば入力はマストにして、項目ごとに、この項目は必ず入れるというような形で運用することもあってもいいのかなと考えました。以上です。
○楠岡部会長 では近藤委員、お願いいたします。
○近藤委員 まず、1点確認させていただきます。今表示されている中で一番上に書かれているように、「製造販売業者等も総括管理者への資金等の提供について公表することとしてはどうか」と。ここで言っている「資金等」というのは、COIに関する内容のことを指しているのか、それとも、研究資金とか、そういうことを指しているのかをお教えいただけないでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。この点については、現行法でも、製造販売業者に対して、研究責任医師への研究資金等への情報公開は、既に義務付けられているところで、その対象は総括管理者も含めていくという内容でして、項目に関して変更するということではありません。今、研究責任医師となっているところに加えて、総括管理者というのも登場してくるという意味での1ポツ目の記載というように御認識していただければと思います。
○近藤委員 研究資金という意味合いで記載いただいているということであれば、理解できました。と言いますのが、製薬協が出している透明性ガイドラインでは、ライフサイエンス系の研究者に関するいろいろな、資金提供ですとか、そういうことについては開示させていただいているのですが、医師等以外であれば、対象外になる可能性がありましたので、そういう場合には要注意だなというように感じて発言させていただきました。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。
 今回は、主にプロセスの部分について、今までいろいろと議論があったものをスマートにするというのが主な目的ですが、最終的に様式Eの形では、CRBはそれを見て、そして重大な利益相反があるのであれば、研究そのものの在り方を変えるなり、場合によっては研究を許可しないというようなところ、これは最終的にはCRBにかかっているところで、CRBがちゃんと利益相反まで見ていただけているのかどうか、CRBの質の問題にもかかってくるかと思いますけれども、その辺りのところは、今CRBは、利益相反は書類が揃っていればいいというような雰囲気もあるので、しっかりそこも見ていただくようにしていく必要はあるのではないかと思っています。ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、次に資料1-5の「疾病等報告の報告期日について」、資料の4ページを中心に御議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。花井委員、どうぞ。
○花井委員 これも結構悩ましいところで、この事務局の案で、既承認の重篤は定期にして、未承認・適応外の既知・重篤については30日という案です。まず第1段階として教えていただきたいのは、未承認・適応外のときに、いわゆる効果安全評価委員会が設置されて、その運用によるとというのは、それによって定期にすることができるというのは、どういうことによってそれがなるのかという。何を聞いているかというと、要は、何が一番重要かと言うと、研究が進行する段階で、速やかにほかの分担研究者と言われる共同研究者に対して、警鐘を鳴らして、研究、その被験者のために報告をするとすれば、これは既承認だろうが未承認だろうが、もうかなりクリティカルな状況であったら当然報告されて、速やかに周知されるとは思うのですが、こうやってちょっと規制して30日とかとする意味は、やはり被験者保護という観点だと思うのですが、それがどのように担保されているかというのは今一分からない。
 それからもう1つ、並行して、当然、薬機法上の報告があるので、PMDAのほうで、これは、こういう飲み合わせとか、こういう複合的な状況の中ではこういうかなり既知のものでも重篤化するという情報があれば、そのレスポンスはPMDA側の薬機統制上も行われるのですが、それを、この特定臨床研究内でレスポンスよく研究をしている人たち全体に危機を知らせるみたいなことに、この事務局案で大丈夫かどうかをもう一回説明していただけますでしょうか。すみません。
○楠岡部会長 事務局、お願いします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。こちらに関しましては、特に未承認・適応外の既知・重篤に関しては、定期報告であったところを30日にするというところですが、そこに関して、今、御指摘いただきましたのは、効果安全性評価委員会がある場合は定期でよいとするところの理由、整理ということの御説明の追加というところで受け止めております。こちらは、2つ目の○に書いてありますが、回答の肝となるところは2ポツ目だと思っております。「総括管理者は、モニタリングや監査における手続と同様に」という所の続きですが、対象疾患の特性ですとか、研究の内容等を踏まえた上で、効果安全性評価委員会が、総括管理者が報告をしてくる疾病等について、これは速やかにCRBに報告すべきかどうかというところを判断いただくというスキームを考えております。
 この効果安全性評価委員会というのは、現状でもう設置されている研究がありますが、そこで、重篤な疾病等が報告された場合に、俯瞰的に見る、正に中立的な意見を述べる者というのがそこの委員に配置をされておりまして、効果安全性評価委員会のみが有効性のデータも見ることができます。そういった総合的な判断をするという特別な役割と言いますか、そういった判断をする組織を置くことによって、1件1件きちんと見ていただいた上で、速やかに報告すべきか、又は定期報告でよいかというところの差配をしていただく役割にはなるかと考えております。
 ただ、今、御指摘いただきましたとおり、4ポツ目になりますが、効果安全性評価委員会が、定期報告の期日到来までの間で、これはやはりCRBへの報告が必要であるとか、今、先生に御指摘いただきました、研究を実施されている先生方に速やかに周知をすべきとか、そういう意見出しというところも効果安全性評価委員会はできると考えておりますので、その辺りの手当てに関しても、責任を持ってやっていただくところの役割を想定しております。以上となります。
○花井委員 そうすると、効果安全性評価委員会は、制度上は30日を定期にすることができるよということだけは論じられているのですが、既承認であっても、ここが速やかに報告すべきという判断をしたら、判断できるという理解でよろしいのでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 今回、総括管理者を置くことによって、疾病等が発生した場合は、各施設で因果関係の判断をせずに、総括管理者に全て上げてくるというスキームになりますので、御指摘いただきましたとおり、既承認の既知・重篤として各施設から上がってきた場合も、効果安全性評価委員会が設置されている場合はそこで判断を頂いて、これは速やかにCRBに上げるべきとなった場合は、していただくことになるかと考えております。
○花井委員 分かりました。続いて意見を述べさせていただきます。蒸し返すようで申し訳ないのですが、設置している場合はいいのですが、設置されていない場合は、既承認の重篤が定期というのは、ここも横並びで30日でいいのではないかと思います。もちろん、煩瑣になるからという実務上のことは大きいかとも思いますが、今の御説明だと、今あった委員会の機能がなければクリティカルな例が速やかに広がるというスキームがないことになってしまうので、これはもう、未承認だろうが既承認だろうが同じ、患者の意識からは同じように思うのですが。ですから意見としては、既承認であっても30日のままではいかがかと思います。
○医政局研究開発政策課室長補佐 御指摘ありがとうございます。先ほど説明のときにも少し言及させていただいたのですが、下の(参考)の1つ目の○ですが、既承認での使用に比べて、未承認・適応外の場合は情報が少ない、裏を返しますと、既承認の疾病等の情報に関しては、薬機法の副作用報告を含めてですが、情報量としてはたくさんの情報が集まってきているところで、重大は重大なのですが、そのタイミングに関しては緩めてもよいだろうというところで御議論いただいたと認識をしております。
○花井委員 その経緯は十分分かっております。ですから、既承認であっても、これはというのは、ほとんどそれはすぐに、要するに、既承認で既知の場合でも重篤性の大きい、ちょっとこんなことはあるのかというときは、多分挙げるとは思うのですが、性善説というか、当然、研究者であればそういう対応をされるとは思うのですが、そこが担保にはなっていないというところがやはり気になるところです。それだったら、こちらも同じように、効果安全性評価委員会がある場合は、定期でいいよというほうが、何となくセーフティネットとしては機能するように思います。これは意見としてはそう思うので、そう主張しておきたいと思います。以上です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。継続して検討したいと思います。先生の今日の御指摘を頂いて、効果安全性評価委員会という所で、未承認・適応外のところは30日を定期にしてよいのではないかということでしたが、そもそも、今回、総括管理者という者が登場してきて、疾病等が上がってきたときに、それをどう処理するかという、その方のアクションが一番大事かなと考えております。総括管理者の責務等は、ちょうど今、整理をしているところです。まずは研究施設にいる研究者が報告してくるというところが1つのトリガーになりますが、その次の総括管理者のアクションのところは、少し詳細に解説するところを周知していきたいと思っております。
○花井委員 ありがとうございます。何かそちらのほうが規制の仕方としては自然かなと思います。30日なのか定期なのかという日数問題のところは、一応、クライテリアを決めるにせよ、ここは注視したいと思います。ありがとうございました。
○楠岡部会長 次は、藤原委員、お願いします。
○藤原委員 3ページのこの表なのですが、PMDA報告の所が、未承認・適応外、既知・死亡とか重篤のところが全部グレーになっているのですが、これは治験だと普通は副作用報告とか報告期限が確かあったように記憶しているのですが、この黒塗り、灰色になっているのはどういう意味があるのでしたか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。こちらは、臨床研究法において規定をしている内容のみを落としている表になっていまして、先生が今、御指摘いただきました内容は薬機法の所で規制されているところになっておりますので、この表には盛り込まれていないということが回答になります。
○藤原委員 そうなると、CRBがセンスがないと、あるいは効果安全性評価委員会のセンスがないと、この委員会報告の期限のところ以降に、PMDA報告にしていきましょうとかという判断がされなくて、花井委員が御懸念のいろいろなことが闇に葬られるようなことも考えるのですが、これは後からCRBの委員会の所で私は述べたいと思います。CRBの質とか管理の仕方、あるいは効果安全性評価委員会の在り方です。効安も見ていると、よく大学病院などにあるのですが、関連病院の自分の先輩、後輩に効安を頼んで、超いい加減な審査をしているところがあるので、そういうところとの兼ね合いをちゃんと考えていただきたいと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございませんか。
 それでは、次の、資料1-6の「認定臨床研究審査委員会」に移りたいと思います。資料は主に5ページを御覧ください。いかがでしょうか。まず山口委員、どうぞ。
○山口委員 5ページの所です。5ページについては、CRBの再設置については、この対応案のとおりで私はいいと思っています。2ページに戻っていただいて、議事録でモニタリングをして定期的に評価するというようなCRBの評価なのですが、私は3年前と今年と、こういった議事録でCRBについて確認するような有識者会議に関わっているのですが、実際に、いろいろな幾つかの所の議事録を拝見して関わりましたが、やはり議事録の作成自体に非常にばらつきがあって、内容によっては、審議内容、例えば発言の状況や、臨場感ということが全然分からなくなっていて、やはり、かなり議事録でモニタリングすることの限界があることを感じています。ですので、今年度も、こういったことで調査が行われていますが、本当にこの議事録に焦点を当てることでいいのかどうかということ、その結果を、またこの臨床研究部会で報告していただいて、モニタリングの在り方ということは議論する必要があるのではないかと思っております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。事務局からは特に何かございますか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。ありがとうございます。先生の御指摘は前回も頂いておりまして、我々も、空気感が読み取れないというところをどのように解決していくかは、引き続き検討をしているところです。1つの御紹介になりますが、昨年度、先生の御指摘を受けたのと並行して検討していたところですが、議事録、議事概要のどういった内容を記載すべきかということに関して、雛形を作成しまして、現在公開をしております。周知に関しては、これから広くしていきまして、やはり、どういった内容が記録されていると、今回の外的な評価に資するものか、それから、今日御紹介しました規制改革のほうで審査の内容の可視化が言われていますので、そういったことへの回答になるかというところは引き続き検討してまいりたいと考えております。以上となります。
○楠岡部会長 よろしいでしょうか。
○山口委員 ありがとうございます。確かに、こうすることによって議事録の質は上がると思うのですが、やはり、実際に本当にいろいろな人が意見を言っているのかとか、委員長がいろいろな意見を促すようなことをしているのかとか、どの段階でどういった意見を取り上げているのかというようなところが、なかなか議事録だけでは見えてこないなと思っていますので、そのことは改めて継続して検討、検証していただければと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございました。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 臨床研究法立ち上げのとき、今回の改定でなくて最初の立ち上げの前に、私は特別研究班を組織させていただいて、海外のIRBの在り方なども、イギリスとかフランスとかアメリカに行って調査したりしました。そのときに思ったのは、やはり、このような議事録審査ではなくて、例えばイギリスでやっているようなモック(mock)の審査といって、統一したプロトコールなどを抜き打ち的にIRBで審査させて、そのばらつきをチェックするとかというのを専門の機関でやるとか、様々な工夫をされているのですが、そのためには、ものすごい予算と人手が掛かるわけです。今の研究開発政策課ではなかなかそのところはないのですが、将来的に、本当にCRBのクオリティをコントロールしようとすると、ちゃんと予算付けして、組織もしっかり作って、恒常的にモニタリングするという体制にしないと、いつまでたってもCRBのレベルは上がらないと思うのですが、そういう議論は規制改革会議などでやられているのでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。ありがとうございます。規制改革のほうでは、そこまでの、実装というところまで含めた御議論は正直いただけておりませんで、どちらかというと、それも含めて検討せよという宿題を頂いたと認識をしております。おそらく、しっかり梃入れしていけるというのが、この大臣認定をしているCRBかと思っております。そこから、しっかり可視化ということも含めた審査の質の向上に対する対応を、少しずつになるかと思いますがしつつ、やはり、やり方に関しても、何らかPDCAを回しつつ、どういった内容であればこういったことに耐えていけるかですとか、全体の質の向上と底上げということができていくかというところは、研発課の中でも回しながら検討していきたいと考えております。以上です。
○藤原委員 ありがとうございます。そのときに忘れないでほしいのは、再生医療のほうはもっとひどいですから、再生医療の認定審査委員会のクオリティチェックも同時に進めていかないと、こちらばかりやってもしょうがないので、そこはしっかりお願いしたいと思います。ここの部会の範疇ではないですが。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。花井委員、どうぞ。
○花井委員 今、藤原委員が指摘したとおりで、いわゆる不正が起こってこの臨床研究法等を検討して、あれは確か2008年で、そのときからこの質向上の話をずっとやっているのですが、残念ながら、一部進捗したところもありますが、やはり思わしくないというところです。抜本的には、藤原委員指摘のようなところをちゃんと制度的に、制度として予算を付けてやっていくというのが大事だと思います。
 それから、もう1つ、私はそれほど知っているわけではないのですが、認定再生医療等委員会も含めてですが、やはり、座長、議長が、このプロトコールの論点はこことここと、一定程度論点があるわけです、1丁目1番地の論点があると思いますし、それをちゃんと議長が提案して、そこで議場がイエス、ノー、イエス、ノーと進行すれば審査をちゃんとできるのですが、そういった議長がCRBを運営する上での、やはりマニュアル的なものが必要なのではないか。座長によって、いわゆるプロトコールのどこを重点的論点とするか、若しくは、どうですかと聞いて終わるのかというのは、これは全然会議として違いますし、やはりそれは、せっかく忙しい先生方を集めて会議を開催しているわけですが、そこでやはりちゃんと論点が整理され、そしてそれぞれの論点についてクリティカルに思考できるという運用を実務上できるようなお手伝いをするというのが、もうちょっと現実的にできるところかなと思うので、その辺をちょっと御検討いただけたらと思いました。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございます。CRBを作るときには、やはり事務局機能がかなり大事であって、今、花井委員が指摘されたように、委員長もそうそう全部読み込んでいるわけではないので、ある程度、事務局のほうで問題点とかを整理した上で、委員長に示してリーダーシップを取っていただくというところが、やはり必要なわけです。そういう意味では、今は臨床研究法上は2人という数ですが、本当にそれで十分なのかどうかということは、これから考えていく必要があるのではないかと思っております。
 それから、今、議事録をチェックし出して、実態がある程度見えつつあるところですが、どうも、CRBを置いておられる所は、CRBは自分の施設に1つしか置いてないと、そこで全部やるのだという形の所がほとんどで、複数、非常に審査件数が多いにもかかわらず、1つの審査委員会でやっていると、そうすると、本当の審議時間がどれぐらい掛かっているのかが見えないというのが、今後、それが明らかになってくるかと思いますが、そうなってくると、余りにも多く案件を抱えている所は、CRBを分割するとか、事務局は1つでいいわけですが、委員会は2つに分割するとか、そういうこともしていかないと、なかなか質の担保は保てないのではないかと思います。これまでは、新規の件数が低い、少ないとかいうことで、質の悪い所を削ってきたわけでありますが、今後は、非常にそういう意味で、一定レベルはあるのだけれども、更に質を高めるためにはどうするかということも含めて考えていく必要があるのではないかと思いますので、またこの辺も、事務局で検討いただければと思います。
 ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、全体、議題1の所での議論を頂いたわけですが、全体を通じて、また何か改めて御意見はございますでしょうか。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 今日は議論になってないのですが、CRBとかのいろいろな監督をするのは地方厚生局になるのですが、地方厚生局のクオリティには非常にばらつきもありますし、それから人員が足りないので、特定臨床研究の窓口をやっているところもすごく人が少ないと聞きます。臨床研究法導入後、地方厚生局にこの新たな業務が加わって、余りきちっとフォローできてなくて、外形基準だけチェックしてクオリティチェックはしていないような所もたくさんあると聞きますので、是非、どこかの段階で、研究開発政策課におかれましては、地方の厚生局の生の職員の声とか、それから、ちゃんと機能しているのかとか、人員配置はどうなっているかとかを、一遍、私どもの部会とも共有してもらえればいいかなと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございます。厚生局に人員を増やすのもなかなか大変なので、そういう臨床研究に今通じている方を、併任というか、臨時職員、併任、兼業職員というような形で一時的に入れるというか、そうすると、ちょっと私が前いた組織にやたらと依頼がくる可能性もあるのですが、そういうところも含めて体制を考えていただければと思います。よろしゅうございますか。臨床の初期研修の実施病院に関しては、臨床研究指定病院に関しては、やはりこれも厚生局のほうから実地調査が入っていて、そのために、わざわざその人に少しお手伝いを頼んでいるという実態もありますので、そういうものも含めて検討を頂ければと思います。どうもありがとうございました。そうしましたら、事務局としましては、今日頂いた意見を踏まえて、また修正等を考えていただければと思います。
 それでは次、議題2「臨床研究中核病院の業務報告」につきまして進めたいと思います。事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。それでは資料2「臨床研究中核病院業務報告内容確認表」の御説明をさせていただきます。資料2を御覧ください。毎年提出される業務報告について実績を取りまとめて、翌年度の臨床研究部会で報告させていただいております。こちらの資料は、各臨床研究中核病院ごとに令和4年度の状況について取りまとめたものです。令和5年3月31日までの状況です。その実績を取りまとめたものです。非常に多い資料となり恐縮ですが、臨床研究中核病院の承認要件、人員や設備、実施する医師主導治験あるいは臨床研究及び論文数などについてまとめたものです。事務局で確認させていただき、大阪大学医学部附属病院(以下、阪大病院と呼びます。) を除く14の臨床研究中核病院については、全ての要因を満たしておりました。阪大病院に関しては、実施体制、設備要件、人員要件に対しては要件を満たしておりましたが、医師主導治験、臨床研究の件数を満たしておりませんでした。本件につきましては、議題3で御説明させていただきます。また、資料2のそれぞれの病院の資料の末尾に各中核病院における医療法上の特定臨床研究に関する不適正事案を御提示しております。また、昨年度も行いましたが、臨床研究中核病院の概要を各拠点に作成していただいております。
 令和4年度業務報告書に基づく15病院の概要を参考資料2にまとめております。こちらは、病院概要、実績、先進医療、患者申出療養、国際共同治験の実施状況、ベンチャー企業支援状況の記載、令和5年度以降に各拠点の支援を活用し、成果・実績に結びついた事例、今回新たな項目として分散型治験(DCT)に関する記載をしていただいております。説明は以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの説明、報告に関しまして何か御質問はございますか。
 部会長からですが、特定臨床研究に関する不適正事案の報告が0件という所、あるいは1件という所、それは不適正がないということでいいわけですけども、一方、すごくたくさん報告されていて、その内容を見ると、企業治験での逸脱も何か含まれているような雰囲気もあるので、報告いただくのは構わない、むしろいろいろ参考になるとは思うのですが、出せばいいというわけではなく、内容も少し見て出していただければと思うのが1点です。
 もう1点は、一昨年の不適合事案で多かったのが、研究分担医師、代表医師でない人が同意を取っていたというのが続出してたのですが、今回は、それはもうほとんどなくなっていて、むしろあったのは、同意文書の古いバージョンで同意をとっていて、後でもう一回とり直したというところが今回は散見されているというところです。毎年毎年、ちょっとブームが変りつつあるとは思うのですが、そういう意味でも、各拠点におかれましては、いろいろ発生した事案に対する対処をしていただければと思います。
 ほかに何か御質問等ございますか。よろしいでしょうか。それでは、議題3に移りたいと思います。議題3「臨床研究中核病院の承認要件に係る取扱いについて」、説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課課長補佐 それでは、「臨床研究中核病院の承認要件に係る取扱いについて」、御説明いたします。資料3の表1を御覧ください。先ほども申し上げたように、令和4年度業務報告書において、阪大病院において医師主導治験、特定臨床研究を実施した実績が要件に達しなかった旨が報告されております。具体的には、要件として医師主導治験8件以上、若しくは医師主導治験4件以上、かつ特定臨床研究40件以上ですが、阪大病院は医師主導治験7件、特定臨床研究33件でした。なお、令和5年度における実績見込みについては、速報値ですが、表2のように要件を満たす見込みである旨の報告を受けております。
 2ページ目、これまでの検討内容の3つの要素について御説明いたします。まず、1つ目は、「臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について 2019年版取りまとめ」の中の「臨床研究中核病院に係る継続的な取組みの評価について」において、個別の臨床研究中核病院に関して、業務報告書において提出された内容が承認要件を満たさないような場合の対応について記載があり、1ポツ目で、本部会において当該臨床研究中核病院の体制及び実績状況を確認し、適切な臨床研究の実施に係る見地から改善に係る意見を取りまとめ、社会保障審議会医療分科会に報告する。2ポツ目、社会保障審議会医療分科会は、部会からの方向を踏まえ、当該臨床研究中核病院開設者に対して改善計画を求める。また、当該改善計画については、期限を定めて是正結果の報告を求めるとされております。
 2つ目として、新型コロナウイルス感染拡大に関する景況についてです。令和3年1月に開催された第19回臨床研究部会で、新型コロナウイルス感染症拡大に鑑み「令和元年度及び令和2年度業務報告に係る方針案」が議論されました。承認要件充足に係る評価については、実態を把握しながら柔軟な対応をすることとされておりました。
 3つ目、令和4年4月に開催された第30回の臨床研究部会において、「臨床研究中核病院に係る継続的な取組みの評価について」に規定された臨床研究部会から社会保障審議会医療分科会における報告の運用について、当該臨床研究中核病院から事情を聞いた上で、臨床研究部会としての意見を付記した上で医療分科会に提出する、意見の内容に関しては何か一律に基準を決めて判断するのではなく、事案ごとに部会で検討するとの議論がされたところです。
 ここまでの検討内容を踏まえて、次のページに今回の事案の取扱いに関する論点について記載しております。阪大病院の状況や改善策を踏まえた評価についてです。こちらに関して、阪大病院より要件が未達になった詳細と今後の対策について報告書が提出されております。まず、こちらを簡単に説明いたします。
 同じ資料、少し飛んで13ページ目の別表4及び次のページの別表5を御覧ください。要件未達になった要因として、阪大内の学内シーズであった研究が研究責任者の他機関への異動などにより、医師主導治験が実施できなかったものが、2020年度~2022年度の間に5件あったこと、別表5で、支援の結果、医師主導治験から企業治験での実施となったものが1件あったことを要件未達の要因として挙げております。
 8ページ、改善のための対策として複数の取組を行っております。まず、代表的なものは、1)病院臨床研究支援として、2021年度から特定臨床研究の実施に関する研究、若しくは医師主導治験の立案に関して、3年間資金提供をする事業を開始し、採択された研究に対して、各年度開始分に対して1年間で総額2,000万円、最大3年度分で6,000万円の予算を確保し、2021年度より毎年度4件ずつ、合計12件の特定臨床研究を採択し、支援していると報告しております。
 10ページの6)で、2023年度からは病院長を中心として、立案中及び実施中あるいは論文準備中の治験・臨床研究の進捗に関しては、臨床研究総括委員会において報告を行い、確実に把握・共有する体制を築いたと報告されております。
 資料の3ページの3.にもどります。以上の阪大からの報告書を踏まえて、「臨床研究中核病院に係る継続的な取組みの評価について」、第19回臨床研究部会の方針及び第30回部会の議論を踏まえ、阪大病院の業務報告及び経緯と改善策に関して、以下の観点から、どのような意見を付して社会保障審議会医療分科会に報告すべきか。
 まず、1ポツ目は、阪大病院から説明された要件未達の背景について、病院の事情などから、承認要件を充足しなかったことはやむを得ないと判断できるか。2ポツ目は、阪大病院から提出された改善策について、来年度以降の要件充足に向けて十分と考えられるか。これらについて御議論を頂ければと思います。本報告事項の説明は以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に関して、大阪大学医学部附属病院の状況や改善策を踏まえた評価の論点について御議論いただきたいと思います。いかがでしょうか。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 資料3を読ませていただいて、今回、少し目標に到達していませんけれど、来年度以降は順調に推移しそうなので、やむなしというように考えます。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。山口委員、どうぞ。
○山口委員 医師主導治験においては、異動ということがあったということで、やはり病院としては直前まで異動を把握することはなかなか難しいのかなと思いますので、私も致し方ないかなと思っています。この委員の中で、こういった異動について、何か対策を講じていらっしゃるような大学病院、あるいは、こんな対策を講じているところがあるということを御存じの方がいらっしゃったら御意見をお聞きしたいと思いました。これはどこの病院でもどうしようもないことで、たまたま大阪大学で複数重なったというだけのことなのか、この対策が何か足りなかったということなのか、その辺り、現場の方からの声を聞かせていただければ有り難いなと思いますが、いかがでしょうか。
○楠岡部会長 いかがでしょうか、もし、御意見がありましたら、直接お声を出していただければ。では、佐藤委員、どうぞ。
○佐藤(典)委員 北海道大学の佐藤です。北大だけの事例になってしまうかもしれませんけれど、もちろん異動は付きまといます。研究が誰に属するか、組織に属するかという問題にもつながっていくのではないかと思いますけれども、医師主導治験の場合は、そこに患者さんがいて、診療行為があって、それに対して行っていくということが通常です。もちろん開発案件で、その先生でないとできないというものがありますけれども、北大の場合は、ほぼ、人が異動しても、治験としては北大に残って、次の先生といいますか、一緒に働いている先生が責任者として立ってやっていくと。実際、そういう治験は複数ございまして、逆に、丸ごとそのまま別の病院に行ってしまうということは余りなく、あったとしても、例えば、我々、AROとしてずっと支援していますので、先生方が行った先で責任者としてやるとしても、ARO機能としては北大がそのまま維持して支援をするという形を取っていますので、これはカウント上になってしまいますが、行ったからといってゼロになってしまうということは、北大の場合は基本的にはありません。
○楠岡部会長 ありがとうございます。
○山口委員 ありがとうございます。だとすれば、致し方ないとは思うのですけれども、この複数の医師が異動したことで、なぜ阪大の中で医師主導治験として実施できなかったのかという理由を尋ねてみてもいいのかなと思いました。
○楠岡部会長 ありがとうございます。次は佐藤委員、いかがでしょうか。
○佐藤(暁)委員 私も、ほかの先生方と同じで、多分、医師主導治験が1件だった年があって、それがすごく響いているのかなという感じがありました。確かに、COVIDとの関係で、我々の所でもかなり延期になったりということで、ばらばらになることもありますし、やむなしなのかなというように思います。再発防止は、もう十分に取っていただいているので、そこに関しては、中核病院側からの視点にはなってしまいますけれども、そのように思いました。
 先ほどの医師の異動については特に異動で医師主導治験の実績が他の病院に移ってしまうということは当院の場合は余りないのですが、一方、他拠点と共同でやる場合に、例えば、主となる調整医師の代表の先生は外の機関で、我々が実務的に担当するような医師を置く場合があります。その場合は、医師主導治験の計画や運営などはほとんど我々の施設の医師が実施していても、代表の先生が外の機関所属で、支援業務はCRO等に外注してやっているような場合には、その支援実績は当院の実績としてはカウントできないという感じで、当院の医師がかなりコントリビュートしているにもかかわらず実績として認められないといったこともあったりします。そこら辺については、また将来的な要件の見直し等のときに、どういった実績をカウントするべきかとか、そもそもの医師主導治験の数に関しても、このままでいいのかを含めて、今後御検討を頂けたらなというように考えています。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。近藤委員、いかがでしょうか。
○近藤委員 もう既に各委員からございましたように、私もやむを得ないというように考えますし、来年度以降の要件充足に向けても十分ではないかなというように考えます。佐藤委員も触れていましたが、私も、前の臨床研究部会の際にも触れさせていただきましたが、臨床研究中核病院の要件については、現状、現在の課題などにも順応したような内容になるよう、例えば、企業治験を加えたり、国際共同治験に関することも要件に加えるなど、総合的に評価できるような形で見直しを進められると、より現状に即したような形になってくるのではないかなというように考えますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。山口委員から御質問があった、どうして大阪大学でできなかったのかという点に関してですが、北海道大学の佐藤委員が述べられたように、大体、残していただくように交渉する所があるのだとは思うのですけれども、人事異動が非常に突然であって、それが十分できていなかったとか、あるいは、それ以外に何か個別の理由などでできなかったというところがあるので、事務局から聞いていただいても、余り明確な答えは返ってこないのではないかと思いますが、この辺り、ちょっと事務局の判断で、正式に何か問合せというのではなく、内々的な所で一度事務局から聞いていただくということで、もし何か特別なことがあるようでしたら、次回の部会なりで報告させていただくということでよろしいですか。
○山口委員 それで結構でございます。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかに、御意見はありますか。佐原委員、どうぞ。
○佐原委員 日本医師会の佐原です。私も、この件についてはコロナの影響もあるので致し方ないと思っています。ちょっと教えていただきたいのですが、先ほどのスポンサー概念の話で、総括管理者となるような医師が異動したときに、うまくいくのなのでしょうか。
○楠岡部会長 そこはどうですか、ちょっとまだ想定ができていないところがあるかと思いますが。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。恐らく、そちらの変更というか、先生方の異動など、例えば御定年されるといったところでの変更はあり得ると思っておりますので、研究の途中で総括管理者自身の変更申請が出されるというところは想定される範囲かなというように考えております。
○佐原委員 分かりました。その主体の先生が総括管理者から外れると、うまくいかなくなるのではないかと思い、質問させていただきました。ありがとうございました。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ほかに御意見はありますか。今までの委員の方々の御意見からすると、大阪大学医学部附属病院の取扱いについては、今回、頂いた意見を整理し、医療分科会への意見書案を作って回すということで、その意見書案に関しては、持ち回りで委員の方々の確認を求め、修正の内容は座長預かりとさせていただきたいと思っております。このような取扱いでよろしいでしょうか。
 それでは、意見書を作成し、その後、医療分科会へ報告していきたいと思いますので御了承のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 続いて、3ページの「4.承認要件未達の病院の取扱いに関する論点」について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課課長補佐 事務局です。それでは、3ページ目の「4.承認要件未達の病院の取扱いに関する論点」について御説明いたします。令和5年11月に開催された第64回社会保障審議会医療分科会において、承認取消についてのルール明確化や厳格化も検討が必要ではないかとの御意見を頂いております。上記の御意見を踏まえて、今後、本部会において臨床研究中核病院の承認要件未達時の取扱いについて、改めて整理が必要かどうか御議論いただければと思います。以上です。
○楠岡部会長 ただいまの事務局からの説明に関して、承認要件未達の取扱いについて御意見を頂ければと思います。今日、すぐ何か意見というわけではなく、今後、臨床研究中核病院の承認要件と絡めて見ていく必要があるかと思いますが、何か御意見がありましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○佐藤(典)委員 北海道大学の佐藤です。先ほどから、ほかの委員からもありましたが、やはり臨床研究の方法論も含めて、いろいろ多様化しておりますし、恐らく、国から臨床研究中核病院として求められること、国民が求めるものというのも変わってきていると思いますので、今実際、要件でしたら5件あって、その5件を全部、等しく同じようにクリアしないとならないということがあります。
 一方で、臨床研究中核病院、それぞれ特徴を持って頑張ってくださいという御意見もあります。そういうものを合わせて、改めて見直して、それぞれの特徴が出たり、多様化する臨床試験に、全ての中核病院ではなく、ここはこの病院が得意だけれどもというのを反映できるようなものにしていただいて、そういったルールを作り直した上で、厳格化といったら言葉が厳しいのかもしれませんけれど、その上で御評価いただくというようにしていただくと有り難いので、我々も、新しい時代の臨床研究に付いていけるように、先導できるように頑張っておりますので、そういった形で評価の方法も多面的にしていただけると大変有り難いかなと思っているところです。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。藤原委員、どうぞお願いいたします。
○藤原委員 5月22日に出た内閣官房の創薬力向上の構想会議からの中間取りまとめなど、その後、様々な工程表なども出ている中で、臨床研究中核病院の要件は、多分、再検討をすることになると思うので、それを踏まえると、拙速に、今この承認取消しのルールを明確化するよりも、新しく臨床研究中核病院の要件が様々変わる中で、取消しの要件も同時に一緒に考えていくというほうが私はよいかなと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかに、御意見はありますか、よろしいでしょうか。では、ただいま頂いた御意見を基に、次回以降、臨床研究中核病院の承認要件と併せて、今後の対応を検討していくということで御了承いただきたいと思います。ありがとうございました。
 続いて、議題4「医療機器の臨床研究に関する相談窓口の設置について」、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。それでは、資料4を御説明させていただきます。2ページですが、医療機器の臨床研究に関する相談窓口の設置については、赤枠のとおり、取りまとめでも御指摘いただいておりました。
 3ページにお示ししますとおり、本年5月31日に相談窓口を設置しております。本年度は、公益社団法人医療機器センターに委託してサイトをオープンしております。
 4ページです。窓口は平日の日中稼働しておりまして、ホームページのフォーム又は電話にて受付をしております。対応方法ですが、先ほども御指摘がありましたけれども、医療機器は多種多様なものがありますので、字面だけでは十分双方が理解できない可能性もありますので、オンライン面談等を行って対応しており、バックアップ体制等も作っております。サイトオープン時には、スライドの下段に示す学会や関連団体に周知をさせていただきました。
 5ページです。現状と今後についてお示しいたします。受付状況は、設置後1か月時点で13件お申し込みいただきまして、滑り出しは順調と考えております。その後も続けて受け付けておりますけれども、相談者の属性には大きな偏りはありませんが、相談項目については、やはり法への該当性の相談が最も多いということになっておりますので、今後の展開として、相談内容を蓄積しましたら事例集を作成し公表すること、またWebページの充実を図り、より親しみやすく研究者の参考となるような内容に適時リニューアルすることを予定しております。本報告事項の説明は以上となります。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの報告に関して、御質問はありますでしょうか。谷岡委員、どうぞ。
○谷岡委員 ありがとうございます。前回までの検討の中で、医機連から申し出た意見で実現いただいてありがとうございます。説明資料3ページ目の所には、「アカデミアやベンチャー企業を対象とした」と書いてあるのですけれども、どこかで紹介いただく場合には、ベンチャー企業だけではなく、一般の企業も含めてという理解にしていただければ有り難いと思っております。先ほどのリスクの関係等について、今後ここへの相談も増えるかもしれないので、そう思った次第です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 ありがとうございます。この窓口では、内容のみならず、どちらに相談いただけるとスムーズかというところへの線路引きというところも行っておりますので、今頂いた御意見を踏まえて、更なる充実を図ってまいりたいと思います。
○谷岡委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 ほかに御意見ありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、医療機器の臨床研究に関する相談窓口の設置に関しては、この臨床研究部会で報告を受けたということで御了解いただきたいと思います。ありがとうございました。
 続いて議題5「臨床研究法に定める疾病等報告について」、事務局より説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課室長補佐 資料5について、事務局から御説明差し上げます。半期に一度、本部会で御報告しております疾病等報告について、令和5年度の下半期分を御報告いたします。1ページにお示ししているとおり、臨床研究法第15条1項の規定により、令和5年10月から令和6年3月末までの疾病等の報告の状況について報告しております。なお、当該報告内容に関し、CRBから臨床研究の対象者の安全性に大きな影響を及ぼす疾病等や不適合への措置として、臨床研究を中止すべき等の特記すべき意見を述べられたものとして厚生労働大臣に報告されたものはありませんでした。
 2ページです。こちらはPMDAから受領しております疾病等報告の整理結果通知書となります。未承認の医薬品等を用いる特定臨床研究の実施等によると疑われるものは2件、全件医薬品となります。適応外のものに関しては10件、医薬品が9件、医療機器が1件となっております。
 次のページから字が大変小さいのですけれども、特定臨床研究の実施によると疑われるものの一覧をお示ししております。幾つか転帰が死亡というのをたどったものもありますけれども、研究の登録時点で全身状態が芳しくなかったり、最終報では因果関係が否定されたものもありまして、特定臨床研究の実施との因果関係がその時点では否定できなかったため第1報が報告されたものとなっております。いずれの報告も、緊急対応を要するものはありませんでした。御報告としては以上となります。
○楠岡部会長 ありがとうございました。ただいまの報告に関して、御質問はありますでしょうか。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 この報告はいつも楠岡先生と私で、個別の症例を報告されるたびに全部チェックしておりまして、その中で気づいたことを事務局にお願いしたいのですけれども、未承認薬や適応外薬を使った特定臨床研究を結構やられてるのですが、その内容をjRCTで確認すると、Q&Aの問いの1-24というところがあって、特定臨床研究は本来、混合診療はしてはいけない、つまり治験でいえば保険外併用療養費を使えばできるというようなものが適用されないという回答がQ&Aに書いてあるのですけれども、未承認薬・適応外薬を使った特定臨床研究の幾つかの部分で、先進医療Bや患者申出療養のような保険外併用療養が適用されないにもかかわらず、通常の保険診療の中でやられてる研究が結構あります。私はAMEDの審査もしているのですけれども、AMEDの申請の中でも結構多数ありまして、先進医療Bや患者申出療養の申請の審査が形骸化しているのではないかと常々危惧していますので、この辺り特定臨床研究の保険併用のあり方について、注意喚起を是非事務局からしていただきたいと思います。以上です。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。ありがとうございます。現在、御指摘いただきました点に関しては、保険局と調整しておりまして、研究者に向けた注意喚起を行う準備を進めております。対応してまいります。
○楠岡部会長 ありがとうございます。ほかにありますか。よろしいでしょうか。それでは疾病等報告に関しても、臨床研究部会で報告を受けたということで御了解いただきたいと思います。どうもありがとうございました。議題は以上ですが、その他事務局から何かありますでしょうか。
○医政局研究開発政策課室長補佐 事務局です。参考資料4ですけれども、CRBの設置状況を1、2ページに、jRCTに登録をされている特定臨床研究などの状況についても3ページに御紹介しておりますので、適宜御覧いただければと思います。
○医政局研究開発政策課長補佐 事務局です。臨床研究中核病院に関しては、先日、広島大学病院より申請を受け付けておりますので、お知らせいたします。また、次回の開催については9月4日(水)16~18時を予定しております。以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。司会の不手際で少し延長してしまいましたが、非常に活発な御議論を頂き、また今後、修正等も事務局でお願いしたいと思います。本日は、どうもありがとうございました。