令和4年度社会福祉連携推進協議会

 令和5年2月9日にオンラインで「令和4年度社会福祉連携推進協議会」を開催し、令和4年4月から施行された社会福祉連携推進法人制度を含む社会福祉法人の連携方策について、事例の共有や意見交換を行いました。当日の様子を一部掲載しますので、設立等の検討にあたり、ご参考にしていただきますようお願いいたします。

1.実践者によるプレゼン

リガーレ~法人間連携の取組紹介

社会福祉連携推進法人リガーレによる事例紹介です。
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資料[631KB]

社会福祉連携推進法人に関する取り組みについて

社会福祉連携推進法人リゾムウェルによる事例紹介です。
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資料[3,465KB]

グループ理念HINODE PRIDEの実現・浸透をめざして

社会福祉連携推進法人日の出医療福祉グループによる事例紹介です。
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資料[3,731KB]

静岡県における法人間連携の取り組みについて

静岡県社会福祉協議会による事例紹介です。
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資料[2,093KB]

上益城郡医師会が参画した小規模法人のNW化による協働推進事業の取り組みについて

上益城郡医師会による事例紹介です。
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資料[4,244KB]

2.実践者によるパネルディスカッション



登壇者:
 社会福祉連携推進法人リガーレ 代表理事 山田 尋志
 社会福祉連携推進法人リゾムウェル 理事 園田 裕紹
 社会福祉連携推進法人日の出医療福祉グループ 業務執行理事 搆 忠宏
 社会福祉連携推進法人光る福祉 代表理事 内藤 晃
 社会福祉連携推進法人共栄会 会長付き特別補佐兼スーパーバイザー 水野 敬生
 社会福祉連携推進法人あたらしい保育イニシアチブ 理事 齋藤 祐善
 社会福祉法人 静岡県社会福祉協議会福祉企画部地域福祉課 主任 鈴木 貴也
 特定医療法人谷田会 谷田病院 経営企画部長 吉橋 謙太郎

議事録全文[405KB]

Q1.連携推進法人化や法人間連携プラットフォームの立ち上げに当たって感じた「壁」は?

搆業務執行理事(日の出医療福祉グループ) 連携推進法人化のため、従前からの業務や新たに始めるもの等の再整理の必要があった
齋藤理事(あたらしい保育イニシアチブ) 法人によって会費や業務に差をつけるべきか、社員の構成をどう組み立てるか、現在進行形で課題となっている
鈴木主任(静岡県社会福祉協議会) 各法人が課題に思っていることを予め把握した上で、地域ニーズを踏まえた地域貢献事業を提案する必要があった
園田理事(リゾムウェル) 連携推進法人までつくる必要があるのか、連携までで十分ではないかという意見に対する内部説明が難しかった
内藤代表理事(光る福祉) 立ち上げに当たり地元で参加を募ったが、各法人の内部手続きに時間がかかり、立ち上げメンバーを思ったように揃えられなかった
水野スーパーバイザー(共栄会) 現参画法人の法人に収益規模に差があることや、これから連携推進法人を拡大していくことを考えても、会費設定が難しい
山田代表理事(リガーレ) 人材育成専任職員による巡回についてトップの合意があっても法人内の周知が重要。また、活動する中でビジョン(コスト、目指す先)の違いが法人によって出てきた
吉橋部長(医療法人谷田会) 地域で在宅医療のネットワークが先行してあり、組織や個人が連携して課題に取り組む雰囲気がある程度醸成されていたことから、立ち上げに大きな壁はなかった

Q2.各連携推進法人・プラットフォームの思う法人間連携の「核」とは?

搆業務執行理事(日の出医療福祉グループ) 法人間の理念の共有が一番重要であるが、実務的には財政基盤の確立が重要
齋藤理事(あたらしい保育イニシアチブ) 少子化時代を迎え、保育の淘汰、合併も含めて多々起きている中、いかに法人同士、競争ではなく共生関係、お互いがお互いを必要とするアライアンス関係をつくっていくか
鈴木主任(静岡県社会福祉協議会) 補助金の裏打ちがあるからそのときだけ法人と連携、協働するのではなく、今後協働すべき相手としてしっかり丁寧に関わり続けること
園田理事(リゾムウェル) 私達の核は社会企業家精神(ソーシャルアントレプレナーシップ)。職員それぞれが、何をやっているのか、何をどうしようとしているのか、前に向かって動いているといった夢や思いを共有し、原動力にしていくこと
内藤代表理事(光る福祉) 誰かに助けてもらいたいという思いだけではなく、誰かを助けたい、自分は地域に貢献したい、仲間の事業所、施設に貢献したいという思い
水野スーパーバイザー(共栄会) 地域福祉ニーズの実現や、各法人の経営基盤の強化が重要であり、そのための経営ノウハウの共有・活用。また、全国規模の連携に対する信頼や信用が人材確保に繋がる
山田代表理事(リガーレ) 人材確保・育成について、それぞれの法人で、福祉専門職、現場で実践に当たっている専門職が自律的に判断し活動することを重要視した組織づくりをしていること
吉橋部長(医療法人谷田会) 連携構築のときは顔が見える関係性が一番大事だが、構築後の持続可能性の視点からはそれぞれの法人や個人にメリットがあることが一番大事。法人のメリットは収入とか人材、個人においてはモチベーションにつながるような事業を立ち上げること

Q3.法人間連携プラットフォームの地域福祉への効果、個々の法人への効果とは?

吉橋部長(医療法人谷田会) 各地域の社会資源は、点のまま線でつながっていないことが多く、プラットフォームが広く深くなるにつれ社会資源の発見・共有や有効活用につながる。また、各法人で抱えている課題について気軽に相談できる関係性ができる
鈴木主任(静岡県社会福祉協議会) 市町域において、分野や種別を越えて経営層に近いメンバーが集まって同じ議論をする場がなかなかなく、良い場になっている

Q4.今後、どういった連携推進法人が出てきてほしいか、どういった社会福祉法人に連携推進法人にチャレンジしてほしいか

山田代表理事(リガーレ) 自主的な経営基盤の強化と地域公益的な活動といった経営モデルに対して熱意のある法人がグループを組んで連携をして切磋琢磨してほしい。また、人口減少の著しい地域の法人が一緒に意見を言えるように、または地域のインフラになれるように連携してほしい。都市部でも、中小の社会福祉法人が連携し、地域づくりに関心のある若者にブランド力を発信し、大きな法人の寡占ではないビジネスモデルをつくってほしい
内藤代表理事(光る福祉) 損得で連携推進法人の参画を考えるのではなく、社会福祉法人として、地域における公益的な取組にどれだけこの連携推進法人という仕組みを活用できるか、あるいは新しくつくっていこうではないか、という思いのある社会福祉法人や事業をしている方にチャレンジしてほしい

パネリストからの質問1 その他業務について

質問者:齋藤理事(あたらしい保育イニシアチブ) 外向けのイベントや研修会を考えると、「その他業務」の1/2規定に困っているのだが、他にお困りのところや工夫されているところはないか
回答者:内藤代表理事(光る福祉) 連携推進法人は社員の互助組織という意味合いで事業計画を進めているので、今のところ困っていない。また、費用については、まずは会費を低廉に押さえ、今後大きくなっていったときに負担増を考えていこうと思っている

パネリストからの質問2 連携推進法人の15年後や20年後のビジョン

質問者:園田理事(リゾムウェル) それぞれの連携推進法人にとっての15年後や20年後ぐらいの、遠い未来の夢、ビジョン、未来像みたいなものがあれば、教えてほしい
回答者:山田代表理事(リガーレ) 現在、緩やかな連携と連携推進法人というコアな連携の2つを進めているが、緩やかなほうは、色々な形の連携を試しながら、本来の社福の役割を力強く果たしたいという全国の色々な輪が広がってほしい。連携推進法人のほうは、それぞれの地域の中で新たな連携のグループをつくりたい
回答者:水野スーパーバイザー(共栄会) こどもや障害といった他分野の法人とタッグを組んで、それぞれの地域で足りない部分を補って連携をし、サービスの質を高めていく、そんな地域をつくりたい。まずはその仲間集めのため、発信を強化していきたい
回答者:搆業務執行理事(日の出医療福祉グループ) 一般社団法人の頃からの8年間の実績を下敷きに制度の中で再整理しながら、発想を豊かにどんどん新しい事業を地域福祉支援業務を中心に充実させていきたい

法人間連携プラットフォームの15年後や20年後のビジョン

吉橋部長(医療法人谷田会) 上益城地域の社会資源だけでは足りない部分を補えるよう、プラットフォームを熊本市や近隣の市町村にまで県下に広く薄く張っていきたい
鈴木主任(静岡県社会福祉協議会) 市町、地域をまたいだ連携というところもこれから県事業として考えていかなければいけない。また、地域生活課題ということを考えると、社会福祉法人等の福祉関係団体のみならず、今後いろんな団体を巻き込んでいきたい