化学物質対策に関するQ&A(リスクアセスメント関係)

 

一般

 

対象物質

 

対象範囲

 

一般消費者の生活の用

 

実施主体

 

実施時期

 

体制

 

危険有害性の特定

 

リスク見積り

 

CB(コントロール・バンディング)

 

リスク低減措置

 

RA結果の活用

 

罰則

 
本編に無い疑問等は、特設の相談窓口にお問い合わせください。
〇電話相談(月~金10時~17時(12時~13時を除く) ※祝日、年末年始を除く)
    TEL: 050-5577-4862
〇メール相談:24時間受付
    E-mail: soudan@technohill.co.jp

関連するページ> https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000046255.html

 
略語   正式名称
     
安衛法 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)(厚生労働省所管)「労安法」と略すこともある
化管法 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成11年法律第86号)(経済産業省、環境省所管)
毒劇法 毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)(厚生労働省所管)
表示・通知指針 化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進に関する指針(平成24年3月16日 厚生労働省告示第133号)
化学物質リスクアセスメント指針 化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針(平成27年9月18日 危険性又は有害性等の調査等に関する指針告示第3号)
     
GHS 化学品の分類およ及び表示に関する世界調和システム(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)
SDS 安全データシート(Safety Data Sheet)

一般

Q1.なぜリスクアセスメントを行わなければならないのか。

A.リスクアセスメントとは、事業者及び労働者がその危険性や有害性を認識し、事業者が労働者への危険または健康障害を生じるおそれの程度を見積り、リスクの低減対策を検討することです。
これにより、化学物質の危険有害性によって起こりうる労働災害を未然防止に繋げることがリスクアセスメントの目的になります。

Q2.リスクアセスメントはどのような手順で実施するのか。

A.リスクアセスメントは大きく次の5つのステップで実施します。
1.化学物質などによる危険性または有害性の特定
2.リスクの見積り
3.リスク低減措置の内容の検討
4.リスク低減措置の実施
5.リスクアセスメント結果の労働者への周知
各ステップの概要については、パンフレット等で確認することができます。
<厚生労働省 労働災害を防止するためリスクアセスメントを実施しましょう>
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000099625.pdf

対象物質

Q3.塗料やシンナー等の混合物の場合、リスクアセスメントの実施義務対象物質が含まれているかをどのように確認したら良いか。

A.リスクアセスメントの実施義務対象物質は「表示・通知対象物」と同一のものです。
そのため、SDSの「15.適用法令」に「労働安全衛生法 第57条の適用あり」、「労働安全衛生法 表示(または通知)対象物」などの記載があれば、リスクアセスメントの実施義務対象物質が成分として含まれていることになります。
また、SDSの「3.組成及び成分情報」の各成分の情報から「職場のあんぜんサイト」に掲載されている表示・通知対象物のリスト等で確認することもできます。
<職場のあんぜんサイト 表示・通知対象物質(ラベル表示・SDS交付義務対象673物質)の一覧・検索>
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/gmsds640.html

対象範囲

Q4.労働安全衛生法では、「危険性または有害性等の調査」となっているが、危険性と有害性のどちらかのリスクアセスメントを行えばよいか。

A.危険性と有害性のどちらか一方を実施すれば良いというわけではありません。
取り扱っている化学物質が危険性と有害性の両方に該当するのであれば、危険性と有害性それぞれのリスクアセスメントを行う必要があります。リスク見積り手法によっては、危険性と有害性のどちらも同じ方法で実施することもできますが、危険性と有害性でそれぞれ異なる方法で見積もることが必要な場合もあります。

Q5.研究や分析等で化学品を少量だけ取り扱う場合もリスクアセスメントが必要か。

A.少量・多品種を取り扱う試験研究業や教育業(大学の研究室等)でも、リスクアセスメントの適用除外にはなりません。リスクアセスメントの具体的な実施方法としては、取扱物質、作業手順から防護措置を簡単にチェックする方法などが考えられますので、各事業者が適切な方法で行うようにしてください。

Q6.少量多品種の化学物質を取り扱っているが、全ての化学物質についてリスクアセスメントを実施しなければならないか。

A.化学物質ごとに危険有害性の種類や程度が異なりますので、原則、個々の化学物質についてリスクアセスメントを行っていただく必要がありますが、実際には、全量が危険有害性の種類ごとに最もレベルの高い危険有害性を有する化学物質であるとしてリスクアセスメントを実施し、よりレベルの高いリスク低減措置を実施すれば、全物質について十分なリスク低減措置が図られることになります。
厚生労働省では、少量多品種の化学物質を取り扱う場合のリスクアセスメント実施支援ツールとして、CREATE-SIMPLE(クリエイト・シンプル)を「職場のあんぜんサイト」において公開しておりますので、ご活用ください。
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07_3.htm

Q7.反応等で対象物質を製造する場合、リスクアセスメントは必要か。

A.製造工程段階で、リスクアセスメントの実施義務対象となる表示・通知対象物を生成する場合は、製造後の作業についてリスクアセスメントを実施することが必要です。また、製造中間体についても、リスクアセスメントの対象となります。

Q8.ラベルに危険有害性の絵表示があれば、リスクアセスメントを実施しなければならないのか。

A.ラベルに危険有害性の絵表示があるからといって、必ずしもリスクアセスメントの実施義務があるとは限りません。ただし、絵表示があるということはその化学品が何らかの危険有害性を有していることを示しています。
リスクアセスメントの実施義務対象物質以外にも危険有害性を有する化学物質は多く存在していることから、絵表示を確認したら、SDSの確認、リスクアセスメントの実施といった行動に繋げることが望まれます。
なお、厚生労働省では、「ラベルでアクション」をキャッチフレーズとして、化学物質のもつ危険有害性を把握し行動を起こすよう、すべての関係者に対し促しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135046.html
 

Q9.リスクアセスメントの実施義務対象物質からそれ以外の物質に代替すれば、リスクアセスメントは実施しなくても良いか。

A.リスクアセスメントの実施義務対象物質以外であれば実施義務の対象からははずれます。ただし、代替後の化学物質が何らかの危険有害性を有している場合には、リスクアセスメントを実施するよう努めなければなりません。 また、物質の代替を検討する場合には、 ・ばく露限界がより高い化学物質 ・GHS 又はJIS Z 7252「GHSに基づく化学品の分類方法」に基づく危険性または有害性の区分がより低い化学物質 など、危険有害性が低いことが明らかな化学物質への代替を行うものとし、危険有害性が不明な化学物質等への代替は避けなければなりません。

一般消費者の生活の用

Q10.対象物質が含まれる化学品でも、一般消費者用に販売されているものは、リスクアセスメントをしなくても良いか。

A.リスクアセスメントの実施義務は、ラベル表示又はSDS通知対象物に対して課せられています(安衛法第57条の3第1項)。そのため、ラベル表示・SDS交付の義務から除外される「主として一般消費者の生活の用に供されるための製品」については、リスクアセスメントの実施対象からも除外されます。
ただし、リスクアセスメントの努力義務(安衛法第28条の2の対象ではあるため、必要に応じて、SDSを入手し、リスクアセスメントを実施するようにしてください。

Q11.ガソリンを使った発電機での作業について、ガソリンのリスクアセスメントは必要か。

A.市販のガソリンを想定される用途の範囲内で使用する場合は、「主として一般消費者の生活の用に供するための製品」として義務の対象からは除外されるため、リスクアセスメントの実施義務はありません。
しかし、工事現場等で給油の作業等を行う場合には様々な危険が伴うため、リスクアセスメントの努力義務(安衛法第28条の2)の対象となります。危険有害性と作業手順等の見直しに取り組むよう努めてください。

実施主体

Q12.どのような事業場がリスクアセスメントを行う義務があるか。

A.業種や事業場規模に関わらず、労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)別表第3第1号及び別表第9に規定される表示又は通知対象物及びこれを一定濃度(裾切値)以上含有する製剤(混合物)を取扱う全ての事業場が、使用量に関係なくリスクアセスメントを実施する義務があります。
そのため、製造業や建設業だけでなく、清掃業や卸・小売業、宿泊業、飲食店、医療・福祉業などのサービス業も幅広く対象となり得ます。

Q13.塗装作業を外注する場合、リスクアセスメントを実施するのは塗装作業を請け負った事業者か。

A.塗装作業を請け負った事業者が、購入元等から入手した使用塗料のSDSを使って、リスクアセスメントを実施して下さい。

Q14.元請事業者が塗装作業を下請事業者に任せた場合、リスクアセスメントは誰が実施しなければならないのか。

A.原則、現場作業員を直接雇用している下請事業者が当該作業にかかるリスクアセスメントを実施し、必要に応じてリスク低減措置を講ずる必要があります。
しかし、元請事業者が作業場における監督者であり、下請事業者だけではリスクアセスメントやリスク低減措置の実施等における決定等ができない場合には、元請事業者が現場全体のリスクアセスメントを行う必要があり、また、下請事業者が行う個々のリスクアセスメントに参画・支援することが望まれます。

Q15.元請事業者のもと、複数の下請事業者が同一作業場で作業を行う(混合作業)場合、リスクアセスメントは誰が実施するのか。

A.同一の場所で複数の事業者が混在作業を行う場合、作業を請け負った事業者は、作業の混在の有無や混在作業において他の事業者が使用する化学物質等による危険性または有害性を把握できません。そのため、元請事業者が混在作業について事前にリスクアセスメントを実施し、その結果を各事業者に提供することが必要です。

Q16.化学品を保管・運搬するだけの運送業者等はリスクアセスメントを実施する必要はあるか。

A.化学品を運搬する業務は、化学品の製造・取扱いには該当しないため、リスクアセスメント実施義務の対象外となります。
ただし、運送業者が化学品を小分けにしたり、容器を開けて作業を行う等、労働者がばく露する可能性がある場合は、化学品の取扱いに該当するため、リスクアセスメントを実施してください。
 

Q17.譲渡・提供先からリスクアセスメントの実施要請を受けたが、リスクアセスメントは譲渡・提供者に実施義務があるのか。

A.リスクアセスメントは、自らが使用する労働者に化学品を取り扱わせる事業者が実施するものです。そのため、譲渡・提供者が譲渡提供先のリスクアセスメントを行うことは出来ません。 そのため、譲渡・提供者による譲渡・提供先のリスクアセスメントの実施支援を妨げるものではありませんが義務ではなく、実施主体は譲渡・提供先の事業者です。

実施時期

Q18.リスクアセスメントの実施時期について、「化学物等による危険性または有害性等について変化が生じ、又は生ずるおそれがあるとき」とはどういうときか。

A.「化学物質等による危険性または有害性に係る新たな知見が確認されたこと」を意味しています。新たな知見に基づき、化学品の危険有害性の分類結果を変更したり、日本産業衛生学会等によってばく露限界が新たに設定または変更された場合には、化学品の譲渡・提供者はSDSを変更し、変更内容を譲渡・提供先に知らせるよう努めなければなりません。
危険有害性に関する情報が変更されたSDSを受領した譲渡・提供先は、危険有害性情報が変更された新たなSDSに基づき、リスクアセスメントを実施しなければなりません。

Q19.リスクアセスメントの実施は、新たに対象物質の取扱いを開始してからで良いか。

A.労働災害を防止するためには、必要なリスク低減措置を実施した上で新規化学品の取扱いを開始することが必要です。
そのため、新規に取扱いを開始する前に、リスクアセスメントを実施し、その結果に基づくリスク低減措置を検討する必要があります。

Q20.リスクアセスメントが義務化される以前から同じ物質を同じ手順で使用している場合にもリスクアセスメントが必要か。

A.従来から取り扱っている物質を従来どおりの方法で取り扱う場合は、施行時点においてリスクアセスメント実施義務の対象にはなりません。
しかし、過去にリスクアセスメントを行ったことがない場合等には、事業場における化学物質のリスクを把握するためにも、計画的にリスクアセスメントを実施するようにしてください。

Q21.リスクアセスメントは毎年見直しをしなければならないか。

A.化学物質の新規採用や変更、作業手順の変更等を行う場合には、その都度リスクアセスメントの実施が義務付けられていますが、同じ化学物質を、同じ作業条件及び同じ作業手順で取扱う場合は、リスクアセスメントを毎年実施することは義務ではありません。
ただし、職場においてリスクが懸念される作業等がある場合や過去のリスクアセスメントに問題がある場合等には、必要に応じてリスク見積り手法等の見直しやリスク低減措置の再検討等、継続的な改善を図ることが望まれます。

体制

Q22.リスクアセスメントを実施する前に実施体制を決める必要があるか。

A.安全衛生委員会、安全委員会または衛生委員会が設置されている場合には、従来の体制を活用してリスクアセスメント等に関することを検討する必要があります。
一方、上記の委員会が設置されていない場合は、リスクアセスメント等の対象業務に従事する労働者の意見を聴取する場を設けるなど、リスクアセスメント等の実施を決定する段階において労働者を参画させることが重要です。
なお、化学物質のリスクアセスメントの実施にあたっては、事業場で製造等を行う化学物質、作業方法、設備等の事業場の実態に精通した労働者が実施することが望ましく、必要に応じて外部の専門家等の活用等も検討してください。

危険有害性の特定

Q23.リスクアセスメントを実施する際に、SDSに記載されたどの情報を活用すればよいか。

A.リスクの見積り時に活用するSDS記載情報は主として次の5項目です。(項目番号はJIS Z 7253より)
2-危険有害性の要約、8-ばく露防止及び保護措置、9-物理的及び化学的性質、10-安定性及び反応性、11-有害性情報
なお、リスク見積り手法によって、どの情報を使用するかは異なってきます。例えば、コントロール・バンディングは、上記の「2」に記載されたGHS分類区分と「9」に記載された沸点を活用します。また、実測値による方法や使用量等から推定する方法では、「8」に記載されたばく露限界値を活用します。

Q24.粉体を水に溶かし、水溶液として使う作業をする場合、リスクアセスメントはどの作業で実施しなければならないのか。

A.リスクアセスメントは、対象の化学物質等を取扱う作業ごとに行うことが原則です。そのため「粉体を溶かす作業」「水溶液を使用する作業」でそれぞれリスクアセスメントを実施する必要があります。ただし、リスクを評価する上で密接な関係にある複数の作業工程を1つの単位とする場合、同一場所において行われる複数の作業のうち有機溶剤作業と溶接作業などのようにリスクが影響し合うものを1つの単位とする場合など、実情に応じた単位でのリスクアセスメントが適切な場合もあります。

Q25.アスファルトは、どの状態のときに(どの段階で)リスクアセスメントをすればよいか。

A.アスファルト原材料を取扱う工程、アスファルト合材の製造工程、アスファルト合材を用いた舗装や防水工事等の作業工程がリスクアセスメントの対象となります。
なお、建設業者が舗装・防水工事後、施主に引き渡した後は、「一般消費者の生活の用に供される製品」となるため、リスクアセスメントの対象ではありません。

リスク見積り

Q26. リスクアセスメントの実施方法は決められているか。

A.リスクアセスメントは次の3つのいずれか又は組み合わせで実施すれば良いことになっています。採用しなければならない方法は決められていません。
1. 当該調査対象物が当該業務に従事する労働者に危険を及ぼし、又は当該調査対象物により当該労働者の健康障害を生ずるおそれの程度及び当該危険又は健康障害の程度を考慮する方法
2. 当該業務に従事する労働者が当該調査対象物にさらされる程度及び当該調査対象物の有害性の程度を考慮する方法
3. 前二号に掲げる方法に準ずる方法
上記3つの具体的な方法として、「化学物質リスクアセスメント指針」で複数の方法が例示されていますのでご確認ください。
なお、リスクアセスメントの方法は、1つに限定されるものではなく、事業者が実施体制等に応じ、各方法の特徴を踏まえて選択することが可能です。

Q27.屋外の塗装作業など、現場ごとに取り扱う化学物質や作業環境が異なる場合、リスクアセスメントはどのように実施すべきか。

A.取り扱う化学物質や作業環境が異なる場合には、現場ごと、取り扱う化学物質ごとに実施することが原則ですが、同じ物質を同じ条件で取り扱う場合のリスクは同じになりますので、評価情報を共有することが可能です。
また、リスク低減措置が取り扱う全ての化学物質のリスク低減に資する場合、取扱う化学物質の有害性や揮発性、取扱量や作業時間、換気条件等の作業環境から、最もリスクが高くなる条件でリスクアセスメントを実施し、必要なリスク低減措置を実施することにより、全化学物質についてリスクの低減化が図られたことになります。(Q.6参照)

Q28.特定化学物質障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則等の適用がある化学物質は、法令に従った管理を実施しているが、リスクアセスメントは別途必要か。

A.特定化学物質障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則等の特別規則の対象であっても、リスクアセスメントの実施は義務付けられています。
ただし、個別規則対象物質の場合は、特別規則に定める具体的な措置の実施状況を確認することでリスクアセスメントを実施する方法があります。

Q29.化学関係とは無縁の業種で、化学の知識も乏しい。リスクアセスメントをどう進めたらよいか。

A.厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」に簡便なツールが公開されていますので、これらのツールを利用してください。
危険性のツールとしては「爆発・火災等のリスクアセスメントのためのスクリーニング支援ツール」、有害性のツールとしては「コントロール・バンディング」が提供されています。
ただし、リスクを見積もった結果が事業場の実態とそぐわない場合やリスク低減措置の検討に繋げられないような場合には、CREATE-SIMPLE(クリエイト・シンプル)など、より精度の高い別の見積り手法を検討してください。
<職場のあんぜんサイト>
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07.htm

Q30.リスクアセスメントとしてコントロール・バンディングを使ったが、リスクレベルが高く、代替物質への変更などが提示され、実施が困難であるのが実態である。他にどのようなリスク見積り手法があるか。

A.有害性のリスクの見積り手法であるコントロール・バンディングは、リスクレベルを認識し、可能なリスク低減対策を検討する足掛かりとして使うのに適していますが、出力される情報が安全側になっており、対策シートが画一的という指摘もあります。
コントロール・バンディングが事業場の実態にそぐわない場合には、より精度の高いリスク見積り手法を実施してください。リスクの見積り手法として、傷病の発生可能性と重篤度を考慮する方法には、マトリックス法、数値化法、枝分かれ図法、災害シナリオによる方法などがあり、ばく露の程度と有害性の程度を考慮する方法には、実測値による方法、使用量などから推定する方法、あらかじめ尺度化した表を使用する方法などがあります。
なお、これらのリスク見積り手法を実施するためのツールや、リスク見積り手法の選択についての考え方の例を「職場のあんぜんサイト」で紹介していますので、ご活用ください。
<職場のあんぜんサイト リスクアセスメント支援ツール>
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07.htm#h2_2
<職場のあんぜんサイト リスクアセスメント実施・低減対策検討の支援>
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07.htm#h2_3

CB(コントロール・バンディング)

Q31.コントロール・バンディングのStep2「GHS分類区分」の選択肢にない区分がSDSに記載されていた場合、どのように入力するのか。

A.コントロール・バンディングのStep2「GHS分類区分」の選択肢にない区分((例えば「急性毒性 区分5」)がSDSに記載されていた場合は、コントロール・バンディングの「その他」を選択してください。

Q32.混合物のSDSに沸点の記載がない場合、コントロール・バンディングには何を入力すれば良いか。

A.含有成分のうち最も沸点の低い物質の沸点を入力することで、より安全側で評価することになります。
なお、含有成分の沸点も不明な場合には”-”を入力することで、中揮発性(作業温度20℃の場合に、沸点50~150℃)として評価されます。

Q33.混合物のコントロール・バンディングの入力方法を知りたい。

A.混合物の場合、一括入力する方法と成分毎に入力する方法があります。
一括入力する方法では、Step1の化学物質数を”1”とし、Step2の”GHS分類区分”の『選択』をクリック、SDSの「2.危険有害性情報の要約」に記載されている「健康有害性の分類区分」を入力します。
一方、成分毎に入力する方法は、Step1の化学物質数を”成分数”とし、各成分について、Step2の各項目を選択・入力します。
なお、コントロール・バンディングはあくまで簡易的な手法であるため、実施者がやりやすい方法を採用して構いません。

Q34.コントロール・バンディングの物質リストに含まれていない物質の場合、どのように入力すれば良いか。

A.コントロール・バンディングのStep2の「化学物質名称」の検索ボタンで表示される物質リストに該当しない場合には、入手したSDSを元に「GHS分類区分」や「沸点」を選択・入力してください。
なお、物質リストに該当した場合であっても、自動反映によるGHS分類区分はあくまで参考としてご活用ください。

リスク低減措置

Q35. リスクアセスメント実施後のリスク低減措置の実施は義務か。

A.労働安全衛生規則や特定化学物質障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則等の特別規則に講ずべき措置が定められている場合は必ず実施しなければなりません。
それ以外の場合には、リスクアセスメントの結果を踏まえ、リスクが高いと判断した作業から優先して必要な措置を講じることが望まれます。

Q36. リスクを低減するためにはどのような措置を講ずるべきか。

A.法令に定められた措置がある場合にはそれを必ず実施するほか、法令に定められた措置がない場合には、次の優先順位でリスク低減措置の内容を検討する必要があります。
1.危険性又は有害性のより低い物質への代替、化学反応のプロセス等の運転条件の変更、取り扱う化学物質等の形状の変更等又はこれらの併用によるリスクの低減
2.化学物質等に係る機械設備等の防爆構造化、安全装置の二重化等の工学的対策又は化学物質等に係る機械設備等の密閉化、局所排気装置の設置等の衛生工学的対策
3.作業手順の改善、立入禁止等の管理的対策
4.化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用
なお、リスク低減措置の具体的な内容については、「厚生労働省版コントロール・バンディング」で出力される「対策シート」の一覧もご活用ください。
<リスクアセスメント実施支援システム(コントロール・バンディング)により出力される対策シートの一覧>
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148537.html

Q37.リスク低減措置を実施した後に改めてリスクの見積りを実施しなければならないか。

A.リスク低減措置を実施した場合には、そのリスク低減措置の効果を把握するためにも、実施後のリスクを見積もることが望ましいとされています。
なお、ECETOC-TRAやCREATE SIMPLE(クリエイト・シンプル)等の、換気や保護具等のリスク低減措置の条件を入力してリスクを見積もるツールでは、条件を変更することで、リスク低減措置の効果をあらかじめ見積もることが可能です。
<職場のあんぜんサイト リスクアセスメント支援ツール>
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07.htm#h2_2

RA結果の活用

Q38.リスクアセスメントを実施した結果を記載する決められた様式はあるか。また、結果を行政に提出しなければならないのか。

A.リスクアセスメント結果を記載する様式は規定されていません。そのため各事業場で創意工夫された書式で結構です。なお、「職場のあんぜんサイト」に「リスクアセスメント実施レポート(結果記入シート)」の一例が掲載していますので、ご活用ください。
また、行政への提出は不要です。ただし、リスクアセスメントの実施状況等の確認のため、労働基準監督署等から提示を求められる場合があります。
<職場のあんぜんサイト リスクアセスメント実施・低減対策検討の支援>
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/ankgc07.htm#h2_3

Q39.リスクアセスメントの結果について、保存の義務はあるか。

A.リスクアセスメントの結果の保存義務は規定されていませんが、労働者に対する周知義務が規定されています。このため、当該作業が行われている期間中は、労働者に周知するために結果を保存しておくことが必要です。

Q40.リスクアセスメント結果の周知はどのような方法で実施するのか。

A.リスクアセスメントの結果は、SDSの周知と同様に、次のいずれかの方法で労働者が常時確認できるよう周知することが義務付けられています。
1.リスクアセスメント対象物質を取り扱う作業場の見やすい場所に常時掲示し、又は備え付ける
2.書面を労働者に交付する
3.電子媒体に記録し、かつ、作業場に当該記録を常時確認できる機器(パソコン端末など)を設置する
ただし、結果の配布や掲示のみで労働者の理解を高めることは難しいため、ラベル・SDSの内容、リスクアセスメントの結果等についての教育等もあわせて実施することが望まれます。

罰則

Q41.リスクアセスメントの実施について、罰則はあるか。

A.罰則は設けられていませんが、実施すべき要件に該当する場合に実施していなければ法律違反になり、労働基準監督署の行政指導の対象となります。