~ヒト、動物、環境の健康を~ 「ワンヘルス・アプローチ(One Health Approach)」

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、各国・地域、世界全体で、ヒト、動物、環境といった分野横断的な連携(ワンヘルス・アプローチ)の必要性が改めて強調されました。パンデミック、薬剤耐性(AMR)、気候変動による健康への影響など地球規模の課題に対して、関連省庁の連携強化が求められています。


G7ワンヘルス・ハイレベル専門家会合を開催

本年5月13・14日に、日本が議長国として開催したG7長崎保健大臣会合において、G7として初めてとなる保健・農業・環境の3トラック合同のワンヘルスに関する専門家会合の開催について合意されました。

これを踏まえ、分野横断的な保健課題に対処するうえでの関係省庁による協働の重要性についてG7としての共通認識を示すとともに、各国・地域における好事例の共有を通してワンヘルス・アプローチのさらなる促進をめざすために、「G7ワンヘルス・ハイレベル専門家会合」が開催されました。

〈開催概要〉
●日程:2023年10月31日(火)(オンライン開催)
●参加者
G7(ヒトの健康、動物衛生、環境衛生に関する関係省庁および関連政府機関)、Quadripartite(※)、経済協力開発機構(OECD)

(※)国連食糧農業機関(FAO)、国連環境計画(UNEP)、世界保健機関(WHO)、国際獣疫事務局(WOAH)の4つの国際機関を指します。

●内容
G7各国によるワンヘルス・アプローチの考え方に基づく取り組みの共有(例:動物からヒトへの感染症伝播の予防対策、AMR対策におけるサーベイランス連携、食品安全の取り組み等)、Quadripartiteによる活動報告(提言書、地域フォーラム等)およびG7への期待の表明、OECDによるAMRに関する報告書の共有等

●成果
・G7として初となる3トラック合同での会議の開催
・以下の内容を含む「ワンヘルス・アプローチに関するG7共通理解」に合意
(1)健康危機の予防・備え・対応の強化に資するよう、平時からワンヘルス・アプローチによる取り組みをG7として推進していくこと
(2)Quadripartiteや世界全体での取り組み推進を歓迎し、G7としても貢献すること
(3)関係する国際機関、アカデミア、市民社会と協働しながら、関係省庁が分野横断的に取り組み、G7各国における先進事例を積極的に発信していくこと

日本からは、厚生労働省、農林水産省および環境省が参加し、日本のAMR対策や国際支援等について共有しました。また、国立感染症研究所が、AMRワンヘルス動向調査を例に我が国の取り組みを紹介しました。

ワンヘルス・アプローチに基づく人獣共通感染症対策はこちら

薬剤耐性(AMR)対策についてはこちら

G7長崎保健大臣会合公式ページはこちら
 

出典 : 広報誌『厚生労働』2023年12月号 
発行・発売: (株)日本医療企画(外部サイト)
編集協力 : 厚生労働省