団体等検定事例case 03 一般社団法人日本建設躯体工事業団体連合会 日本躯体コンクリート打込み・締固め工団体検定
※本ページの内容は、検定実施団体へのヒアリングに基づき作成されたものです。最新の情報と異なる場合がありますので、詳細は各団体にご確認ください。

日本建設躯体工事業団体連合会
会員数 全国8団体 :各団体会員総数 339社(令和7年8月8日時点)
社内検定受検者数(累計) 669名
※令和7年度から団体検定として実施予定
認定社内検定から団体検定への移行を図り、より受検対象者を会員以外にも広げることで、コンクリート打込み・締固めに従事する、より多くの技能者の技能の向上を図るとともに、これら躯体工事にかかわる土工職(コンクリート工)の存在感を社会全体に示し、ステータスの確立、処遇改善、ひいては建設業界全体のイメージアップ等につながることを目標としている。
実施する検定の概要
- 社内検定から団体検定に移行
- コンクリート打込み・締固め作業におけるコンクリート構造物の品質を左右する専門技能に係る、1級と2級の複数等級による検定
背景・目的
- コンクリート工の低評価と将来の担い手不足への危機感
- 公的認定と受検対象者拡大による技能向上及び社会的地位と実質賃金の向上
構築前後等の取組
- 実技試験の実施方法等に係る様々な困難を乗り越え、検定内容を確立
- 段階的な全国展開と運営効率化に向けた工夫
- 団体検定への移行の推進
人事制度・待遇面との連携
- 会員団体を通じた検定合格者の処遇改善への積極的な働きかけ
- 官民連携と団体検定の活用促進
構築等の効果・メリット
- 建設キャリアアップシステム(CCUS)との連動による土工職の社会的地位の向上
- 若者が誇りをもって将来を託せる職種として飛躍し、若年層の入職促進と建設業界全体のイメージアップに貢献

(1)実施する検定の概要
一般社団法人日本建設躯体工事業団体連合会(以下「日本躯体」という。)は、「日本躯体コンクリート打込み・締固め工社内検定」として、厚生労働省より令和3年3月に認定を受け、その後、令和7年3月には団体検定として認定を受けています。
コンクリート打込み・締固め作業は、コンクリート構造物の品質を左右する重要な工程であるため、検定では、内部振動機を適切に操作する技能を測っています。
2級では一般的な形状の型枠内部へ適切(密実なコンクリートとできることをいう。以下同じ。)に、打込み・締固めができる技能が求められるのに対し、1級では配管や階段下などの複雑で狭あいな型枠内部へ、適切かつより高度で効率的な打込み・締固め技能が求められます。
コンクリート打込み・締固め作業は、コンクリート構造物の品質を左右する重要な工程であるため、検定では、内部振動機を適切に操作する技能を測っています。
2級では一般的な形状の型枠内部へ適切(密実なコンクリートとできることをいう。以下同じ。)に、打込み・締固めができる技能が求められるのに対し、1級では配管や階段下などの複雑で狭あいな型枠内部へ、適切かつより高度で効率的な打込み・締固め技能が求められます。
(2)背景・目的
コンクリート工事において、コンクリートの打込み・締固めを担うコンクリート工は、コンクリート構造物の品質を左右する重要な職種です。
しかし、作業がハードな割には、低賃金で魅力の乏しい職種とみなされ、若年層の入職者は減少し、作業員の高齢化が進むなど、将来の担い手確保が危ぶまれる深刻な状況にあります。
このような背景には、以下の要因が考えられています。
① 公共工事設計労務単価において、コンクリート工としての職種区分が存在せず、普通作業員として一括りにされていること。
② 専門的な技能を有していても、低い評価の職種として扱われていること。
③ 主たる業務であるコンクリートの打込み・締固め作業は、肉体的負担が大きいこと。
④ 社会的認知度が低く、専門技能や肉体的負担に見合った賃金が、他職種と比べて十分に支払われていないこと。
これらの課題に対応するため、まずは社内検定について公的な認定を受け、社会に向けてその技能と意義を発信する取組を開始しました。
さらに、団体検定として受検者を会員以外にも拡大することにより、コンクリート打込み・締固め作業に専門特化したコンクリート工の技能向上を図るとともに、その社会的地位及び実質賃金の向上を目指し、将来的には確固たる職種としての確立を目指すことを目的としました。
しかし、作業がハードな割には、低賃金で魅力の乏しい職種とみなされ、若年層の入職者は減少し、作業員の高齢化が進むなど、将来の担い手確保が危ぶまれる深刻な状況にあります。
このような背景には、以下の要因が考えられています。
① 公共工事設計労務単価において、コンクリート工としての職種区分が存在せず、普通作業員として一括りにされていること。
② 専門的な技能を有していても、低い評価の職種として扱われていること。
③ 主たる業務であるコンクリートの打込み・締固め作業は、肉体的負担が大きいこと。
④ 社会的認知度が低く、専門技能や肉体的負担に見合った賃金が、他職種と比べて十分に支払われていないこと。
これらの課題に対応するため、まずは社内検定について公的な認定を受け、社会に向けてその技能と意義を発信する取組を開始しました。
さらに、団体検定として受検者を会員以外にも拡大することにより、コンクリート打込み・締固め作業に専門特化したコンクリート工の技能向上を図るとともに、その社会的地位及び実質賃金の向上を目指し、将来的には確固たる職種としての確立を目指すことを目的としました。

(3)構築前後等の取組
① 社内検定の認定前
実技試験の方法や実技試験で使用する試験材料の選定には、大きな困難を伴いました。
検定内容は、「型枠内に適切にコンクリートを打込み・締固める技能」を評価する必要がありますが、生コンクリートをそのまま使用することは、品質の公平性、廃材処理や試験型枠の取り扱い等の問題から現実的ではありませんでした。
このため、生コンクリートを使用した作業と同等の技能が評価できる代替試験材料の選定や実技試験の方法の確立といった、様々な課題に直面しました。
さらに、実技試験でどのような手法を用いるか、特に内部振動機の採用の是非についても検討が必要となりました。
これらの様々な課題に対応するため、専門のワーキングチームを立ち上げ、試行錯誤を重ね、相当の労力と時間を費やしました。
併せて、学科の試験問題作成も同時進行で行い、コンクリート工学の研究者の協力を得ながら、多くの問題パターンを用意し、全国各地区での試験開催に十分に対応できるだけの量の試験問題を完成させました。
これらの試験問題は、現在も内容の見直しや改善を続けています。
検定内容は、「型枠内に適切にコンクリートを打込み・締固める技能」を評価する必要がありますが、生コンクリートをそのまま使用することは、品質の公平性、廃材処理や試験型枠の取り扱い等の問題から現実的ではありませんでした。
このため、生コンクリートを使用した作業と同等の技能が評価できる代替試験材料の選定や実技試験の方法の確立といった、様々な課題に直面しました。
さらに、実技試験でどのような手法を用いるか、特に内部振動機の採用の是非についても検討が必要となりました。
これらの様々な課題に対応するため、専門のワーキングチームを立ち上げ、試行錯誤を重ね、相当の労力と時間を費やしました。
併せて、学科の試験問題作成も同時進行で行い、コンクリート工学の研究者の協力を得ながら、多くの問題パターンを用意し、全国各地区での試験開催に十分に対応できるだけの量の試験問題を完成させました。
これらの試験問題は、現在も内容の見直しや改善を続けています。
② 社内検定認定後
実技試験を全国各地区で開催するためには、多くの検定員の養成が必要となりました。
また、実技試験を屋内で行い、同時に学科試験も実施可能な試験会場の確保も大きな課題でした。
このため、まずは関東地区から検定を開始し、年度を経ながら全国へと拡大させてきました。
一方で、試験運営に係る経費の削減も重要であり、検定員の習熟度向上や運営マニュアルの見直しなどをすることによって省人化を図ってきました。
しかし、適正な検定の運営確保の観点から、現状ではこれ以上の省人化は難しい状況にあります。
また、実技試験を屋内で行い、同時に学科試験も実施可能な試験会場の確保も大きな課題でした。
このため、まずは関東地区から検定を開始し、年度を経ながら全国へと拡大させてきました。
一方で、試験運営に係る経費の削減も重要であり、検定員の習熟度向上や運営マニュアルの見直しなどをすることによって省人化を図ってきました。
しかし、適正な検定の運営確保の観点から、現状ではこれ以上の省人化は難しい状況にあります。
③ 団体検定への移行
日本躯体の会員が雇用する従業員は建設業界全体でみると限定的となります。
このため、この検定をより多くのコンクリート工に広め、定着させることを目指し、団体検定への移行を決定しました。
団体検定への移行を機に、合格者の方々がいつでも合格者であることを証明でき、この資格に誇りをもてるよう、これまで紙で発行していた合格証を、携帯しやすく耐久性のあるカードに一本化しました。
このため、この検定をより多くのコンクリート工に広め、定着させることを目指し、団体検定への移行を決定しました。
団体検定への移行を機に、合格者の方々がいつでも合格者であることを証明でき、この資格に誇りをもてるよう、これまで紙で発行していた合格証を、携帯しやすく耐久性のあるカードに一本化しました。
(4)人事制度・待遇面との連携
日本躯体では、コンクリート工を直接雇用していないため、検定に合格しても、直接昇給や賞与等に反映させることや、昇進の決定を行うことはできません。
そのため、会員団体からその傘下の事業者等に対し、検定の合格が給与や昇進などの待遇に反映させるよう、強く働きかけています。
昨今、官民を挙げて建設業就労者への処遇改善の動きが強まっています。
また、日本躯体としても社内検定から団体検定に移行したこと等を踏まえ、広く会員団体傘下以外の企業においても、積極的に団体検定が活用されるよう、周知広報の充実に力を入れています。
そのため、会員団体からその傘下の事業者等に対し、検定の合格が給与や昇進などの待遇に反映させるよう、強く働きかけています。
昨今、官民を挙げて建設業就労者への処遇改善の動きが強まっています。
また、日本躯体としても社内検定から団体検定に移行したこと等を踏まえ、広く会員団体傘下以外の企業においても、積極的に団体検定が活用されるよう、周知広報の充実に力を入れています。
(5)構築等の効果・メリット
現在、本検定は一般財団法人建設業振興基金が運営する「建設キャリアアップシステム(CCUS)」に登録する際の技能者格付けにおける能力評価基準の対象資格として位置づけられています。
このことから、土工職の社会的地位の向上に大きく寄与することが期待されています。
さらに、本検定制度の認知拡大を図るため、会員団体傘下の企業はもとより、それ以外の企業に対しても、合格者の技能者格付けに際してはCCUSでの取り扱いを踏まえて対応するよう、積極的な勧奨や広報活動を進めています。
また、コンクリート打込み締固め作業に関して、公的な認定を受け、広く門戸を開いた団体検定を整備したことにより、土工職、特に躯体工事に関わる若者が、誇りをもって将来を託せる技能職として、大きく飛躍する可能性を秘めています。
今後は、若年層を中心とした入職促進を期待するとともに、コンクリート構造物の最終品質を担うコンクリート工の重要な役割を社会に広く示すことで、エンドユーザーからの評価の向上や土工職のステータス向上が建設業界全体のイメージアップにも寄与することを大いに期待しています。
このことから、土工職の社会的地位の向上に大きく寄与することが期待されています。
さらに、本検定制度の認知拡大を図るため、会員団体傘下の企業はもとより、それ以外の企業に対しても、合格者の技能者格付けに際してはCCUSでの取り扱いを踏まえて対応するよう、積極的な勧奨や広報活動を進めています。
また、コンクリート打込み締固め作業に関して、公的な認定を受け、広く門戸を開いた団体検定を整備したことにより、土工職、特に躯体工事に関わる若者が、誇りをもって将来を託せる技能職として、大きく飛躍する可能性を秘めています。
今後は、若年層を中心とした入職促進を期待するとともに、コンクリート構造物の最終品質を担うコンクリート工の重要な役割を社会に広く示すことで、エンドユーザーからの評価の向上や土工職のステータス向上が建設業界全体のイメージアップにも寄与することを大いに期待しています。