団体等検定事例case 02 陸上貨物運送事業労働災害防止協会 陸災防フォークリフト荷役技能検定

※本ページの内容は、検定実施団体へのヒアリングに基づき作成されたものです。最新の情報と異なる場合がありますので、詳細は各団体にご確認ください。

陸上貨物運送事業労働災害防止協会

◆業種 陸上貨物運送事業の労働災害防止を支援する特別民間法人

会員事業場数 47,183社 労働者数 1,224,411人(令和7年1月1日時点)
受検者(見込み)数 令和7年度(見込み) 190人
 ※令和7年度から団体検定として実施予定
フォークリフト運転者の安全、正確、迅速な技能を評価・認定することにより、安全な荷役作業の向上及び意識付けを図り、もって荷役作業の労働災害防止を推進している。

実施する検定の概要

  • フォークリフト運転者の安全、正確、迅速な技能を評価・認定
  • 1級と2級の複数等級で、学科試験及び実技試験(点検試験及び運転試験)を実施

背景・目的

  • フォークリフトの運転について、「慣れ」や「誤った経験則」による労働災害多発への対応が必要
  • 公的認定により、受検者数の拡大・検定合格者の処遇改善・顧客からの信頼確保の促進

構築前後等の取組

  • 専門委員会での検討・暫定実施等長期間にわたる段階的な検討を経て、独自検定制度を構築
  • 団体検定制度の認定申請に当たっては、検定試験内容の変更や試行試験実施は不要
  • 制度がさらに定着し、受検者数の拡大につながるよう周知

人事制度・待遇面との連携

  • 検定合格者は業界での活躍と処遇の改善が期待できる
  • 検定合格者が顧客からの信頼獲得及び社内の荷役作業技能向上にも寄与する旨を事業者及び荷主企業にアピール

構築等の効果・メリット

  • 技能の向上をもたらし、安全な作業の向上・労働災害防止に直結
  • 業界横断的な評価として、労働移動の際にも大きな効果を期待
陸災防フォークリフト荷役技能検定の点検試験 実技試験:点検試験

(1)実施する検定の概要

 陸上貨物送事業労働災害防止協会(以下「陸災防」という。)は、「陸災防フォークリフト荷役技能検定」について、令和7年3月に厚生労働省の認定を受けています。

 本検定は、フォークリフト運転者の安全、正確、迅速な技能を評価・認定することで、安全な荷役作業の向上及び意識付けを図るなど労働者に自己啓発目標を与えるとともに、荷役作業の労働災害防止を推進するものです。

 本検定は1級と2級に分かれ、それぞれ学科試験及び実技試験(点検試験及び運転試験)を行います。
 前者は高度な技能(フォークリフト運転技能講習修了後5年程度の上級の実務経験者を標準)を有するか、後者は基本の技能(同技能講習修了後3年程度の中級の実務経験者を標準)を有するか、を評価します。
 1級は、2級に比べて評価内容に差を設け、運転試験の配点比率を上げ、車格の大きい車両の使用や試験時間の短縮を加えるなど、難易度を高く設定しています。

 会員事業場の労働者のほか非会員事業場の労働者も受検できます。
陸災防フォークリフト荷役技能検定の運転試験 実技試験:運転試験

(2)背景・目的

 本団体検定は、平成27年度に陸災防の独自事業として創設した「フォークリフト荷役技能検定」(以下「旧検定制度」という。)を基盤として構築したものです。

 フォークリフトは、構造上の特性に基づく危険性や誤った運転による労働災害が発生するおそれがあるため、就業制限業務として、フォークリフトの運転には、技能講習の修了(最大荷重1トン以上)又は特別教育(最大荷重1トン未満)が必要です。
 しかし、更新や再教育の義務付けはなく、「慣れ」や「誤った経験則」に伴う基本操作の逸脱、近道行為に起因する災害が多発している現状がありました。
 さらに、誤った経験則が職場内に広がり、モラルハザードを引き起こすおそれもありました。

 こうした状況を踏まえ、陸災防は、フォークリフト運転者の安全な荷役作業の向上及び意識付けを図り、荷役作業における労働災害防止を推進することを目的に、平成27年度に、運転資格取得者の技能を評価する旧検定制度を創設しました。

 旧検定制度は、令和6年度までの累計受検者が約1,300名にのぼるなど定着してきましたが、陸災防独自の検定制度から、団体検定制度として厚生労働省の認定を受けることにより、対外的な信頼度が高まり、受検者数の拡大につながるとともに、検定合格者の処遇改善や顧客からの信頼確保の促進を目指すこととしました。

(3)構築前後等の取組

① 認定前

 旧検定制度の創設に当たっては、平成23年度から検討を重ねました。
 平成23年度には、専門委員会で旧検定制度の原形となる「フォークリフト荷役運搬作業技能評価制度の概要」が整理されました。
 これを踏まえて、平成25年度から26年度にかけて、陸災防支部で、今後の検定の本格実施を前提とした評価認定制度を暫定実施し、暫定実施の結果を踏まえて、専門委員会で検討結果報告書が取りまとめられました。
 このように長期間にわたる段階的な検討を経て、平成27年度から検定試験を実施することとなりました。
 なお、検討結果報告書を受け、厚生労働省に技能検定対象職種追加の働きかけを行った経緯もあり(追加自体は要件に合致せず断念)、高いレベルの検定制度が構築できたと自負しています。

 このような経緯を踏まえ、団体検定制度の認定申請に当たって、旧検定制度からの検定試験内容の変更や試行試験実施は不要とされました。
 これに伴い、旧検定の合格者・一部合格者が認定団体検定を受検する際の特例を設けました。

 一方、就業制限業務であるフォークリフト運転従事者には、定期(概ね5年ごと)に、業務従事者安全教育を受講することが求められていることから、検定合格者についても、5年ごとに同教育の受講に努めるべき旨を規定上も明記することとしました。

② 認定後

 団体検定制度として厚生労働省の認定を受けたことで、対外的な信頼度が高まりました。
 今後は、制度がさらに定着し、受検者数の拡大につながるよう周知に努めています。

(4)人事制度・待遇面との連携

 本検定の合格者は、フォークリフト作業における事故リスク減少に優位性を持つ運転者として、業界での活躍と処遇の改善が期待できます。
 陸災防としても、団体検定合格者の技能レベルの高さが顧客からの信頼獲得につながり、また、社内におけるフォークリフト荷役技能向上にも寄与する旨を、会員事業者はもとより、荷主協議会などを通じて荷主企業にもアピールしています。

 また、1級合格者は、今後予定している「フォークリフト運転業務従事者向けのインストラクター養成講座」を受講・修了することにより、フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育の講師として活動が期待されます。

(5)構築等の効果・メリット

 団体検定の構築により、対外的な信用度が高まることで、受検者数の拡大につながることが期待されます。

 そして、本検定は、フォークリフト運転者の技能を評価・認定するものですが、技能の向上は、安全な荷役作業の向上・荷役作業の労働災害防止に直結します。
 このため、フォークリフト運転者の安全な荷役作業の向上及び意識付けを図る本検定の受検が普及することで、フォークリフト運転者の安全、正確、迅速な作業の向上が期待できます。

 また、フォークリフト荷役に係る業界横断的な評価となることから、合格者が職場を変更した際にも大きな効果を発揮することが期待されます。