令和4年度第22回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録

日時

令和4年12月27日(火) 14:00~16:00

場所

厚生労働省 仮設第一会議室
(オンライン会議場)

議事

○医薬安全対策課長 それでは、定刻になりましたので、「令和4年度第22回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開会いたします。
 御出席の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
 今回の会議の公開については、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。御理解、御協力のほど、お願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
 また、今回もウェブ開催としており、対面での進行と一部異なる部分がありますので、議事に先立ちまして、審議の進行方法等について事務局より説明させていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
 まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 御意見、御質問をいただくときは、ミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。発言のタイミングが重なったりした際は、調査会長から順に発言者を御指名いただきます。
 その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしております事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。また、もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認をお願いいたします。御不便等をおかけするかもしれませんが、よろしくお願い申し上げます。
 事務局からは、以上になります。
 ここからの議事進行につきましては、調査会長の岡委員にお願いいたします。
○岡座長 調査会長の岡でございます。座長を務めさせていただきますので、委員の皆様には円滑な議事進行の御協力をお願いいたします。
 今回もウェブ開催ということで、事務局から御説明がございましたが、これまでの御説明に何か御質問、御意見等はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、議事に入る前に、委員の出欠状況等について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 本日の委員の出欠状況について御報告いたします。石井委員より15時から御出席と御連絡をいただいておりまして、現時点で6名中5名の委員に出席をいただいております。薬事・食品衛生審議会の規程により、定足数に達していることを御報告申し上げます。本日の会議は成立することを御報告申し上げます。
 続きまして、本日、参考人として御参加いただく先生方を紹介いたします。
 議題1「要指導医薬品イソコナゾールのリスク評価について」及び議題2「一般用医薬品チェストベリー乾燥エキスのリスク区分について」の関係で、日本産科婦人科学会より、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科、茨城県地域産科婦人科学講座教授の寺内公一先生。
 議題3「ヒドロキシエチルデンプンの『使用上の注意』の改訂について」の関係で、日本麻酔科学会より、東邦大学医療センター大橋病院麻酔科教授、小竹良文先生。
 日本集中治療医学会より、一般社団法人日本集中治療医学会理事長、西田修先生。
 東京大学大学院医学系研究科救急・集中治療医学教授、土井研人先生。
 議題4「緊急承認された医薬品の市販後安全対策について」の関係で、東京大学大学院医学系研究科呼吸器内科学教授、長瀬隆英先生。
 医薬品等安全対策部会の委員で、国立感染症研究所ハンセン病研究センターセンター長・真菌部部長、宮﨑義継先生に御出席をいただいております。
 また、同じく医薬品等安全対策部会の委員で、東京女子医科大学呼吸器内科学講座教授・講座主任の多賀谷悦子先生に、書面で御意見をいただいています。
 以上になります。
○岡座長 それでは、続きまして、審議参加に関する遵守事項について、御説明をお願いします。
○事務局 本日御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1~議題4の対象品目、競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金などの受取状況を報告いたします。
 対象品目・対象企業及び競合品目・競合企業について、事前にリストを各委員・参考人にお送りして確認をいただいたところ、石井委員より、大正製薬株式会社、田辺三菱製薬株式会社、日本血液製剤機構、ファイザー株式会社より50万円以下のお受け取り。
 柿崎委員より、塩野義製薬株式会社より50万を超えて500万円以下のお受け取り。田辺三菱製薬株式会社、ギリアド・サイエンシズ株式会社より50万円以下のお受け取り。
 舟越委員より、田辺三菱製薬株式会社、日本血液製剤機構、株式会社大塚製薬工場、ファイザー株式会社より50万円以下のお受け取り。
 小竹参考人より、株式会社大塚製薬工場より50万円以下のお受け取り。
 土井参考人より、日本血液製剤機構より50万円以下のお受け取り。
 長瀬参考人より、塩野義製薬株式会社より50万を超えて500万円以下のお受け取り、MSD株式会社より50万円以下のお受け取り。
 西田参考人より、日本血液製剤機構、株式会社大塚製薬工場、CSLベーリング株式会社より50万円以下のお受け取り。
 宮﨑参考人より、MSD株式会社より50万円以下のお受け取りと御申告をいただいております。
 柿崎委員におかれましては、議題4の審議中、意見を述べることはできますが、議決に加わることはできません。
 その他の委員におかれましては、意見陳述、議決のいずれにも加わっていただくことができます。また、参考人におかれましては、意見陳述が可能なことを確認しております。
 なお、これらの申告については、追ってホームページで公表させていただきます。
 続きまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。
 薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。
 今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。
 報告は、以上になります。
○岡座長 ただいまの事務局から御説明に対しまして、御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。
 資料はあらかじめお送りさせていただいており、議題1に関して資料1-1及び資料1-2、議題2に関して資料2-1及び資料2-2、議題3に関して資料3-1~3-2及び参考資料3-1~3-2、議題4に関して資料4-1~4-4及び参考資料4-1~4-4がございます。
 このほか、議事次第・資料一覧、委員・参考人名簿及び競合品目・競合企業リストがございます。お手元に御用意のない委員がいらっしゃいましたら、お知らせください。
 また、資料は厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、オンラインで傍聴されている方は、そちらを御参照ください。
 以上になります。
○岡座長 資料等について、よろしいでしょうか。お手元にございますでしょうか。
 それでは、議題1「要指導医薬品イソコナゾールのリスク評価について」の審議を行いたいと思います。
 事務局から説明をお願いします。
○事務局 資料1-1「要指導医薬品のリスク評価について」を御覧ください。
 表に記載されている品目は、現在、要指導医薬品に指定されており、このたび、製造販売後調査期間の終了見込みに伴い、一般用医薬品としての適切性を確認するためのリスク評価をお願いするものです。
 初めに、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順について簡単に説明させていただきます。
 2ページを御覧ください。
 「スイッチOTC薬等のリスク評価について」は、リスク評価手続について、平成25年12月に開催された医薬品等安全対策部会において、決定していただいたものです。本日の御審議は、この部会決定に基づいて実施していただくことになります。
 背景から順に御説明いたします。平成25年の当時の薬事法改正により、適正使用のために薬剤師による対面による情報提供や薬学的知見に基づく指導が必要な医薬品として、一般用医薬品とは別に要指導医薬品という新たな医薬品カテゴリーが設けられました。この要指導医薬品のうち、スイッチOTCやダイレクトOTCには、それぞれ一定期間の製造販売後調査の実施が義務づけられており、この調査期間が経過すると一般用医薬品に移行することとなるため、移行の際には、一般用医薬品としての販売の可否を確認するためのリスク評価を行う必要があります。
 2.のとおり、一般用医薬品としての販売可否に関する評価については、原則3年間の製造販売後調査の終了までに行うこととし、製造販売後2年以降の時点において、製造販売後調査の中間報告の結果などを基に、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないことを確認していただくこととなります。
 この確認については、3.に記載されているとおり、本安全対策調査会にて行っていただくこととしており、また、本日の審議結果については、医薬品等安全対策部会に御報告させていただくこととしております。
 要指導医薬品から一般用医薬品への移行についての流れを説明いたします。5ページを御覧ください。
 企業は、販売開始後原則3年間の製造販売後調査を実施し、その間は要指導医薬品と区分されます。調査期間中に1年ごとに年次報告書が提出され、また、製造販売開始後2年以降経過し、特別調査の目標症例数、内服薬3,000例、外用薬1,000例を集めた時点で中間報告書が提出されます。中間報告書をもって、安全対策調査会で、一般用医薬品としての販売の可否について評価いたします。一般用医薬品への移行が認められた場合、製造販売後調査期間が終了した時点で第一類医薬品に移行します。今後、製造販売後調査終了後の1年の間に、企業から提出される最終報告などの結果から、一般用医薬品としてのリスク区分を安全対策調査会及び部会での審議などを経て決定することになります。
 繰り返しになりますが、今回お願いさせていただきます評価は、5ページ目中ほどにございます①の第1類医薬品としての販売の可否についての評価になります。
 イソコナゾール硝酸塩600mgについて説明いたします。資料1-2を御覧ください。
 販売名は、メンソレータムフレディCC1、メンソレータムフレディCC1Aです。効能・効果は、膣カンジダの再発(以前に医師から、膣カンジダの診断・治療を受けたことのある人に限る。)です。メンソレータムフレディCC1とメンソレータムフレディCC1Aの違いは、膣深部に挿入するアプリケーターが付属しているかいないかのみであり、用法・用量は、「成人(15歳以上60歳未満)1回1錠を膣深部に挿入する(できれば就寝前)。ただし、3日間経過しても症状の改善が見られないか、6日間経過しても症状が消失しない場合は医師の診断を受けること。」とされています。
 製造販売後調査の中間報告の概要を御覧ください。
 特別調査とは、個別に薬局と契約して、モニター店舗でアンケート調査票を配って、アンケートによる調査を実施するものです。この特別調査では、調査症例数1,000症例で、副作用が53例107件ございました。このうち、重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、月経中間期出血(不正出血)、細菌性外陰腟炎、腟部異臭、頻尿、不眠症、悪心が各1件報告されました。使用者もしくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、副作用は95例137件ございました。このうち、重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として、異物感、出血、下腹部痛、月経障害、口渇、腹痛、外陰腟の炎症等が報告されました。
 6ページ「調査結果に関する見解と今後の安全対策」を御覧ください。
 副作用頻度調査(特別調査)での副作用例は、いずれも本製剤使用後4日内に発症しており、45例が数日で自然治癒、8例が病院で膣洗浄等を行い治癒していると企業から報告されています。
 また、一般調査について、未知の副作用で見られた異物感や出血等については、製剤による副作用か挿入時の手技による影響かの区別がつきにくいものである等、企業はいずれも本剤との関連性を明確にすることは困難としています。
 続いて、7ページ「2.適正使用状況に関する見解」ですが、特別調査において、本製剤の適用疾患以外への使用はありませんでしたが、再発ではない例が3例ありました。また「使用上の注意」からの逸脱例として、60歳以上の使用15例、糖尿病17例、腟カンジダ用以外の外用薬の使用13例がありました。
 これらの症例については、企業において、販売店へ販売時の説明や確認を改めて依頼するとともに、情報入手の都度、使用者及び販売店に注意喚起を行っております。
 3、4ページ目は本剤と類似の有効成分を含む医薬品の一覧、5ページは本剤と医療用同一成分であるアデスタンG100・G300の副作用等発現状況をまとめたものになります。
 8ページ以降は製造販売後安全性調査報告書、25ページ以降は添付文書、29ページ以降はチェックシートを添付しています。
 資料の説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
 それでは、本日参考人として御出席いただいております、日本産科婦人科学会、寺内参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○寺内参考人 東京医科歯科大学の寺内と申します。
 ただいま御報告がありましたように、特別調査においても、一般調査においても、重篤な副作用がなく、また、両方に若干の違いはありますけれども、同効薬が、第1類医薬品ということになっておりますので、第1類医薬品への移行ということに関して、特段の問題はないのではないかと考えております。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 それでは、委員の先生方から本件につきまして、御意見、御質問等ございますでしょうか、いかがでしょうか。
 舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
 まず、参考人の先生のおっしゃったとおり、私も安全性に重大な懸念はなく、一般用への、1類への移行は妥当と判断します。
 ただ一方で、糖尿病の患者さんへの販売や、カンジダ治療以外の外用剤の併用などを、使用上の注意に逸脱が散見していることと、先ほど報告がありましたように、再発でない方にも使用されている現状から見ると、チェックリストの評価を、やはり適切に販売時に行う必要があると思います。そのため、引き続き、1類としてチェックリストの徹底と指導が必要と思います。
 こちらはコメントですが、あと2点、事務局に確認です。1点目は、軽微な確認ですけれども、資料の1-2の5ページ目ですが、ちょっと私が確認取れていないのですが、医療用の同成分でアデスタンGの100と300は記載がありますけれども、今は、アデスタンGは300だけが販売されていると思うのですが、ジェネリックで100があると思うのですけれども、そこはいかがでしょうかということを確認したいと思います。
 2つ目は、難しいことだと思うのですが、回復、軽快、副作用の報告の部分で、回復と軽快はトレースできていて、回復の中でも、2例は病院に受診して、その上で軽快、回復と追跡できていますが、やはり不明な方も多くて、未回復なのか、その後、受診したのかというところが、備考の欄に、問い合わせのみで、追えないという形は、何かトレースできるような努力義務とか、そういったものというのは、制度上は、やはり難しいものなのでしょうかという2点を事務局に確認です。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、後半いただいた2つの点について、事務局のほうでいかがでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
 1点目、医療用の、現状、製造販売されている品目については、舟越先生から御指摘いただいたとおりの認識でございます。
 2点目ですけれども、転帰につきましては、御指摘のとおり、追えているものと、追跡がなかなか難しいといったものがあるかと思います。
 こちらは、製造販売業者におかれましては、可能な限り追跡するような努力はされているのかと認識はしておりますが、そこを徹底していただくようにという形になろうかと思っております。
○舟越委員 ありがとうございます。
 アデスタンのほうは、資料のほうがG100、300と書いてあったので、そこは、ブランドは300と100はジェネリックだけというところで、ちょっと記載を修正したほうがいいのかなと思って発言させていただきました。
 2点目のほうは、1類になったら基本的に追えなくなってしまうと思うので、要指導のときには、最後まで追えるような体制整備ができたらいいなと思って、確認で発言をさせていただきました。
 以上です。ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございました。
 それでは、柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です。
 私も参考人の先生の意見を伺って、舟越委員同様、一般用医薬品への移行は問題ないかと考えますが、資料1-2の5ページで、質問です。特別調査で、この薬剤の副作用の発現頻度が5.3%なのですが、類薬の特別調査のほうは0.5%で1桁違うのですけれども、これは、報告のバイアスとか、あるいは、特に重篤なものがないということから、あまり問題ないと考えてよろしいのでしょうか。
○岡座長 事務局のほう、いかがでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
 御指摘のとおり、医療用のほうが割合としては、少し低い値になっているかと思います。
 医療用につきましては、1985年に承認され、使用成績調査についても、1990年代頃の調査の結果となっておりまして、大分古いものですので一概に比べるのは少し難しいというようなところもあるかと思います。
 また、医療用の使用成績調査については、医師が記載するものでして、副作用が発生した場合に、お医者さんのほうに再度受診していただいて、それを医師が副作用と判断した場合に、こういった報告がなされるということかと思いますので、OTCでの患者さんが自覚症状として感じて報告をされるというものとは少し違うので、この観点でもなかなか比較が難しいのかとは思っております。
○柿崎委員 分かりました。
○岡座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 ありがとうございます。今の柿崎先生の御質問と関連しているのですけれども、資料1-2の5ページにある医療用同一成分との比較ですけれども、医療用同一成分のほうは、100mgと300mgということで、本剤は600mgだと思うのですけれども、そういったその用量の違いの影響がないのかということ、メカニズム的にあり得ないのかということですとか、あと、医療用のほうが100と300の結果を合わせて報告されているのかと思うのですが、3,203例の中で、それぞれの用量での副作用の頻度が、もし情報があるようでしたら、参考になるかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○岡座長 ありがとうございます。その辺り、事務局のほうからいかがでしょうか。
○事務局 御質問いただき、ありがとうございます。アデスタンGの副作用頻度が100と300で違いがあるかという御質問について、企業に確認したところ、100と300で何か違いを生む原因というところは不明でした。また、アデスタンGの治験の状況を見ますと、実は、100のほうが副作用の割合が高いというようなデータがございます。症例数が全然違うため一概に比べられるものではなく、どちらかが何かの理由で多いとか少ないということはお答えするのが難しい状況です。
○伊藤委員 ありがとうございます。症例数が違うというのは、100と300で症例数がかなり偏っているということなのでしょうか。
○事務局 そうですね、100のほうが大体200例ぐらいで、300のほうが大体3,000例ぐらいでした。
○伊藤委員 そうしますと、300のほうがメインの結果と考えていいわけですね。
○事務局 そうです。
○伊藤委員 分かりました。それでも、用量が高くても、確かに、先ほど柿崎先生がおっしゃいましたように、10倍の違いがあるのは、少し気になりますけれども、メカニズム的に用量に依存した副作用が起きる可能性があるのかどうかとか、その辺りは、何か情報はありますでしょうか。
○岡座長 もしよろしければ、寺内参考人のほうから、御発言いただけますか。
○寺内参考人 今の委員の御質問に直接お答えができているかどうかは分かりませんけれども、例えば5ページの副作用発現状況とかを見ますと、本剤のほうの一般調査のほうに特にありますけれども、例えば主な副作用、外陰膣掻痒症、膣分泌物などと書いてあります。
 それで、上のほうの特別調査でも、最も頻度が高いのは、生殖系及び乳房障害というところがありますけれども、それは、一般調査の結果から類推しますと、ここに本来は、その治療の対象であるような搔痒感であるとか分泌物であるというようなものが、副作用に計上されているという可能性がかなり高いのではないか。
 ですから、治療が完全に奏効すれば、こういったものがなくなるわけですけれども、必ずしも奏効しないので、そういったものが副作用として計上されるという構造にあるのではないかと拝察いたします。
 以上です。
○伊藤委員 ありがとうございます。理解いたしました。
○岡座長 ありがとうございます。そのほか、委員から御意見ございますでしょうか。
 よろしいですか。それでは、議決に移りたいと思いますけれども、ただいまの委員からの御意見では、一般用医薬品にすることでよろしいのではないかという御意見が主だったかと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○岡座長 そうしますと、皆様、うなずいていただきましたので、イソコナゾールにつきましては、一般医薬品とするということで御承認いただいた、御異議なしとさせていただきます。
 それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局から説明いたします。
 製造販売後調査終了までの間、報告される副作用報告等を評価し、本日御審議いただきました結果に変更がないことを確認しつつ、一般用医薬品に移行する手続を進めてまいります。
 また、本日の結果については、次の医薬品等安全対策部会を報告いたします。ありがとうございました。
○岡座長 事務局からの御説明について、何か御質問等ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本議題は終了したいと思います。
 続きまして、議題2、一般用医薬品チェストベリー乾燥エキスのリスク区分についての審議を行いたいと思います。
 事務局から、御説明をお願いいたします。
○事務局 資料2-1「製造販売後調査の終了に伴うリスク区分の検討について」を御覧ください。
 表に記載されている品目は、現在、第1類医薬品に指定されており、このたび、製造販売後調査の終了に伴い、一般用医薬品としてのリスク区分の検討をお願いするものです。
 まず、一般用医薬品のリスク区分の評価の流れについて御説明いたします。
 資料2-1、7ページの「ダイレクトOTC薬に係る要指導医薬品から一般用医薬品への移行の流れ」を御覧ください。
 ダイレクトOTC薬は、スイッチOTC薬と異なり、新規に開発された医療用医薬品と同様に使用経験がなく、副作用頻度の年次ごとの変動や長期服薬時の安全性等を確認する必要があること等を踏まえまして、新有効成分は8年間、新効能・新用量は4年間、新投与経路は6年間の再審査期間で製造販売後調査を行うこととしています。
 図の左から順に御説明いたします。
 本剤は新有効成分のため、再審査期間は8年間であり、この期間は要指導医薬品に分類されます。再審査期間終了の1年前までを調査期間とした安全性定期報告書等をもって、安全対策調査会で一般用医薬品としての販売の可否について評価します。
 次に、製造販売後調査終了から1年間は第1類医薬品として区分され、この1年間に一般用医薬品としてのリスク区分を決定することになります。
 本日御議論いただくチェストベリー乾燥エキス40mgは、現在この段階にあり、第1類医薬品に分類されています。本日は、図の②リスク区分の判断の安全対策調査会に当たります。
 リスク区分の検討手順としましては、まず、安全対策調査会の調査審議に当たり、必要に応じ、関係学会等の有識者等の出席を求め、意見を聴取し、事前整理を行います。その結果、リスク区分等の変更を行う必要があるとされた場合、厚生労働省は変更案についてパブリックコメントを行います。
 次に、医薬品等安全対策部会にて、安全対策調査会における事前整理やパブリックコメントの結果等について調査審議を行い、リスク区分の変更の要否について答申を得るといった手続をすることになっております。
 リスク区分の概略につきましては、資料2-1の6ページのとおりですので、説明は省略させていただきます。
 続いて、今回御審議いただくチェストベリー乾燥エキス40mgについて説明いたします。資料2-2を御覧ください。
 販売名は、プレフェミンです。効能・効果は、月経前の次の諸症状(月経前症候群)である乳房のはり、頭痛、イライラ、怒りっぽい、気分変調の緩和です。用法・用量は、1回1錠、1日1回服用するものです。
 同じページ下の製造販売後調査概要を御覧ください。特別調査では、調査症例数5,709症例(うち、安全性解析対象は5,667例)で、副作用が417例544件ございました。このうち、重篤と判断された症例として乳がん1件、未知の副作用として不正子宮出血、下痢、悪心が報告されました。
 一般調査では、87例101件の副作用がございました。このうち、重篤と判断された症例はなく、未知の副作用として月経中間期出血、頭痛、腹痛が報告されました。また、医薬品医療機器法に基づく副作用の個別症例報告ですが、データロック後から本年12月6日までに報告された個別症例報告はございませんでした。
 2~3ページ目は、企業がまとめた「調査結果に関する見解と今後の安全対策」です。
 特別調査で報告された乳がんにつきましては、本剤の有効成分であるチェストベリーにがん原性を示唆するような文献情報がないことや、これまでに報告された悪性腫瘍関連の国内副作用報告は1例のみであり、ほかに本剤投与後に悪性腫瘍を認めたとの症例報告はないことから、本症例を根拠に乳がんについて注意喚起等の対応を実施することは現時点では不要と考えております。
 企業見解の詳細は4ページのとおりです。また、昨年度2月の安全対策調査会においてリスク評価をいただいた際、本日お越しいただいている寺内参考人より、海外の報告等を見ても、特に乳がんリスクの上昇を示唆するようなデータがないことと、今回の内服開始後の年数からいっても非常に短期間で起こっていることを考えますと、関連性を考えることは難しいとの御意見をいただいておりました。
 3ページ目の「2.適正使用状況に関する見解」ですが、使用成績調査において、本剤の適応である効能・効果の5症状に当てはまるチェックが1つもない症例は192例でしたが、眠気、肌荒れ・にきび、下腹部痛、疲労倦怠感等、チェックシートにおいて、本剤の効能・効果とともに現れることがあるとして記載している13症状に該当するものが多く、これらに該当しない使用理由のみを挙げられた症例は14例でした。また、用法・用量外の使用として年齢が18歳未満に該当するのは3例でした。
 企業からは、今後も引き続き、販売店に対し文書等による注意喚起を行い、販売時の服薬指導の徹底に注力するとされています。
 9ページ目以降は使用成績調査の報告書、40ページ目以降は添付文書、42ページ目以降は適正使用のためのチェックシートを添付しています。
 御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。それでは、本件につきましては、日本産科婦人科学会、寺内参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○寺内参考人 東京医科歯科大学の寺内です。
 ただいま御説明がございましたように、乳がん1例という報告があるわけですけれども、その関連性については、必ずしも明確ではないということを考えますと、この第1類医薬品から第2類医薬品等への移行というのは十分に可能ではないかと考えておりますけれども、一方で、乳がんの存在等を考えますと、全く健康に、日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがないとは言えないので、そういう点では、第2類というのが適切であろうと考えております。
 同種医薬品がないために参考するのが難しいところはありますけれども、例えば、同じような症状のある方が、OTCの漢方薬というものを使用するケースもあるわけですけれども、こういったものは、OTCの漢方薬とかが第2類に分類されているというようなことも参考にしますと、第2類への移行というのが適切ではないかと考えております。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございました。それでは、委員の先生から御意見、御質問等をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
 この乳がんの件は、昨年も検討した件かと思いますけれども、直接の因果関係は難しいのかという判断だったかなと思います、あの時点でもですね、よろしいですか。
 今、寺内参考人のほうからは、2類ということでよろしいのではないかということで、御意見をいただきましたけれども、そういう方向性ということでの、特に御発言はございませんでしょうか。よろしいですか。
 そうしましたら、議決を取りたいと思いますけれども、舟越委員、お願いします。ありがとうございます。
○舟越委員 すみません、1つだけ寺内参考人に教えていただきたいのですけれども、今回の調査の中で、併用薬を併用すると、抑うつとかいろいろな副作用が多い傾向にあるという結果が出ております。こういった薬は、チェックリストや、この薬の説明書には、そういったものは特段書かれていないのですが、実際、実臨床では、先ほど先生がおっしゃったように、漢方とか、ほかのものを併用するケースが多いものなのでしょうか。ちょっと実情が分からなくて、教えていただきたいと思います
○寺内参考人 現在、PMS、月経前症候群に関しては、保険適用のあるお薬はないという状況で、各種OTC薬等を単数ないしは複数いろいろ併用されて、しかし、なかなか効かないという患者さんが外来にいらっしゃるという状況を見ますと、複数の一般薬等を使われている方というのは、たくさんおられるのではないかと推察いたします。
○舟越委員 ありがとうございます。こういった調査結果の中で、併用薬がある場合とない場合で、明らかに副作用が多く出るといいますか、合併症的な形で多く出るということというのは、例えば、このチェストベリーの説明書とかに、そういった調査結果を載せるとかということとかは、考えたり、検討はしないのでしょうかね、厚労省のほうに聞きたいところなのですが。
○岡座長 ありがとうございます。事務局のほう、いかがでしょうか。ほかの事例などを含めてどうなのかという御質問かと思いますけれども。
○事務局 御意見をいただきましてありがとうございます。
 御指摘のとおり、患者背景において併用薬がありですとか、合併症がありといった場合に副作用の発現が有意に高かったという御報告があったところでございますが、何か特定の併用薬ですとか、合併症で副作用発現が多いといったような情報ではございませんで、現時点では、何らかの注意喚起をするというような状況ではないと事務局では考えております。
 引き続き、情報は注視してまいりたいと思います。
○舟越委員 分かりました。説明書には、しっかりと先ほど参考人の先生がおっしゃったように、例えば、相談することの中に漢方製剤を服用している人や、うつ病の診断を受けている人とか、そういったものは具体的に書かれているので、そこについては問題がないのですが、あれだけの調査をされているのであれば、どういった併用薬の場合にはということも、もし、今、添付文書についているもの以外で、ある程度特定されるのであれば、そういった情報を載せておくほうがいいのかなということは、ここで思いました。
 冒頭に言えばよかったのですが、私も参考人の先生がおっしゃったとおり、2類に移行の部分については、妥当かと思います。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございました。貴重な御意見をいただけたかと思います。
 そのほか、大丈夫でしょうか。
 そうしましたら、議決に移りたいと思います。
 寺内参考人からも2類でよろしいのかという御発言もございましたし、今、委員のほうからも2類ということでよろしいのかということで、この副反応の状況としては、そういうことかと思いますけれども、そうしますと、一般用医薬品チェストベリー乾燥エキスのリスク区分については、第2類とすることでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○岡座長 ありがとうございます。皆さん、うなずいておられますので、御異議なしとさせていただきます。
 それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございました。
 本日御審議いただきました結果に基づきまして、パブリックコメントの実施の手続を進めさせていただきます。
○岡座長 何か事務局からの御説明に、御意見等ございますか、よろしいでしょうか。
 それでは、本議題は終了したいと思います。
 寺内参考人におかれましては、貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。
○寺内参考人 ありがとうございました。
○岡座長 これ以降は、御意見を求める予定がございませんので、途中で御退席いただいて差し支えございません。ありがとうございました。
 そうしましたら、続きまして議題の3「ヒドロキシエチルデンプンの使用上の注意の改訂について」の審議を行いたいと思います。
 事務局から、御説明をお願いいたします。
○事務局 議題3について御説明をさせていただきます。
 資料3-1「ヒドロキシエチルデンプンの『使用上の注意』の改訂について」を御覧ください。
 ヒドロキシエチルデンプン製剤、以下、HES製剤と呼ばせていただきますが、こちらは膠質浸透圧作用に基づく血漿増量作用を持つ血液代用剤でありまして、本邦では「1.品目概要」に示す3つの品目が製造販売承認されております。
 HES製剤については、臨床試験において敗血症患者及び重症患者に投与した場合に死亡率の上昇が認められるといった結果が得られており、2013年にEUで敗血症患者、集中治療室入院患者等を禁忌とするなどの措置が執られました。
 一方、本邦では、循環血液量の維持の適応を有するHES130、こちらはボルベンになりますが、こちらについて、やむを得ない状況における重症敗血症等の重症患者管理における相対的な循環血液量低下への使用の可能性を残すことが適切と考え、禁忌とはせず「治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与すること」とする措置等が執られました。
 その後EUでは、EUで禁忌とされた患者集団に依然としてHES製剤が使用されている実態があることなどを理由に、本年5月に販売停止が決定されております。EUでの措置を受けまして、本邦における使用実態や2013年の措置以降のHES製剤の安全性に関する科学的知見に基づき、注意喚起の見直しの必要性を検討しました。
 「3.調査結果」を御覧ください。
 まず、EUで禁忌となっている患者集団のうち敗血症患者についてですが、現時点でHES製剤のリスクが示されている主な臨床試験の対象患者は重症な敗血症患者であり、その他の敗血症患者におけるHESのリスクは不明でした。また、本邦での使用実態に関してボルベンの使用成績調査並びにHES製剤の副作用報告を確認したところ、敗血症患者に対しHES製剤が投与された報告はなく、国内において敗血症患者に対してHES製剤が投与された文献もありませんでした。
 EUで禁忌とされた患者集団のうち敗血症以外の患者については、2013年の措置以降、HES製剤投与による死亡等のリスクが上昇する旨の報告は確認できないか、または複数の報告において結果に一貫性がありませんでした。
 なお、ボルベンの使用成績調査やHES製剤の副作用報告の状況は、「4.その他」のとおりでございまして、箇条書き3つ目のとおり、日本集中治療医学会及び日本麻酔科学会からは国内において安全対策が必要となるほどの問題となる使用状況は確認できていない旨の見解を頂いています。
 対応方針については、「4.対応方針」及び資料3-2の「別添7」の添付文書改訂案を併せて御覧ください。
 今回の調査結果を踏まえ、重症な敗血症については、2013年検討時以降に報告された文献においても死亡のリスクが認められていることも踏まえ、HES製剤の添付文書の禁忌に「重症の敗血症の患者」を追記し、慎重投与の項に「敗血症の患者(重症の敗血症の患者を除く)」を追記する案としています。
 また、HES製剤のリスクが示されている「重症の敗血症の患者」が具体的にどのような患者集団であったかについては、現在添付文書に記載されているHES製剤のリスクに関する臨床試験の対象となった患者の定義を参考情報として添付文書で情報提供する案としています。
 なお、重症患者管理における相対的な循環血液量低下については、「治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与すること」を警告欄に記載し、引き続き注意喚起をしていくこととしています。
 御説明は、以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 それでは、参考人の先生から御発言をいただきたいと思いますけれども、まず、日本麻酔科学会の小竹参考人より、御意見をいただけますでしょうか。
○小竹参考人 日本麻酔科学会の小竹でございます。御指名ありがとうございます。
 今、事務局から御報告がありましたように、ヨーロッパでは、いろいろな使用上の問題があって、使用できないものにしたほうがいいという見解を受けての御審議だと理解しております。
 日本麻酔科学会からも報告しているように、国内では、大きなそういうデータに基づかない投与のされ方は行われていないというのが1点。
 あと、もう一つは、先ほどもありましたように、敗血症に関しては、かなり評価が難しいわけですけれども、現状の日本の医療環境から見まして、それに関しては、適切に評価ができるのではないか、ですから、高リスク群を見つけて、それに対して慎重投与を行うというプロセスは、妥当に行われるのではないかと考えておりまして、麻酔学会としては、事務局案の方向で検討していただくのが妥当であると考える次第でございます。
 以上でございます。
○岡座長 ありがとうございます。
 続きまして、日本集中治療医学会の西田参考人、土井参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○西田参考人 日本集中治療医学会の理事長を仰せつかっております、西田でございます。
 日本集中治療医学会は、救急医学会とともに、敗血症診療ガイドラインを作成しており、その中にも、敗血症に対するHES製剤の使用に関しましては、重篤な副作用を含めて、懸念されるところというのは、しっかりと記載しております。本ガイドラインが普及をしていることも影響しているとは思いますが、実際、このボルベンを使用するポピュレーションの中では、誤った使われた方はされていないという現状でありますので、これを発売中止にするというのは、かえって益をもたらさないと考えている次第でございます。
 慎重に幅広く禁忌としてしまうことによって、臨床家が、本来、益が害を上回る集団にも手控えることになりますと、アルブミン製剤や輸血の濫用、あるいは、細胞外液補充液の過量投与による別の副作用がまた発生して、害のほうが上回るということも十分考えられることでございますので、この辺の禁忌とする病態をどの程度にするかというところは、やはり医学的な見解と、それからエビデンスに基づいたところによって判断すべきと考えております。
 そういう意味で、厚生労働省が今回お示しされました案というのは、私どもとしても、同意できるものでございます。詳しいことに関しましては、この後、土井参考人のほうから説明していただきたいと思います。
○岡座長 ありがとうございます。それでは、土井参考人、お願いいたします。
○土井参考人 日本集中治療医学会の土井と申します。よろしくお願いいたします。
 私からの補足は、敗血症というものの概念、診断基準と重症敗血症についての整理を申し上げたいと思います。
 2016年以前の敗血症の診断基準においては、重症敗血症という言葉が残っておりました。したがいまして、前回の添付文書の改訂でも重症敗血症という言葉が使用されたと理解しております。
 ただ、その後、2016年にSepsis-3という最新の診断基準の中に、重症敗血症という文言は消えてしまいました。そして、臓器障害を伴うものを敗血症と定義するということで、やや混乱が生じたということがあります。
 それで、ここを整理させていただく中で、今回の投与を避けるべき重症患者の文献の原典を当たってみますと、集中治療室に入ることが必要かつSOFAスコアが3点以上の重症の、臨床家が見て、本当に重症だなと思う患者さんを対象にしているので、そういった患者さんに対しては、投与を控えるべきであろうということには、本学会としても賛成いたします。
 ただ、敗血症が臓器障害を伴うということだけで、敗血症全てを禁忌にしてしまうと、ごく軽度なもの、そして、今、理事長が申し上げたとおり、こちらの製剤の利益が上回るような患者さんにおいても禁忌事項に該当してしまうという懸念がございましたので、あえて明確に重症の敗血症、臓器障害を伴う敗血症、そういったところを禁忌事項にするのがよいというところが、本学会の見解であります。
 ちょっとややこしい話で恐縮ですが、以上となります。
○岡座長 ありがとうございました。そうしましたら、本件について、各委員の先生から御意見、御質問等ございますでしょうか。
 臨床現場での使用状況と、あと、その御意見をいただいたわけですけれども、いかがでしょうか。
 舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
 参考人の先生方、丁寧な説明、御解説ありがとうございました。
 土井先生に少しだけお伺いしてもよろしいでしょうか。
 今回、禁忌の部分で重症の敗血症の部分は分かるのですが、海外、ヨーロッパで販売中止にまで行くということは、日本と、例えばアメリカ、あとヨーロッパで、敗血症関係のガイドラインというのは、ずれがあるのでしょうか。ヨーロッパはどうなっているのか、ちょっと分からなくて教えていただけたらと、もし御存じであれば。
○土井参考人 ありがとうございます。ガイドラインは、国内外の文献を広く収集して、エビデンス評価をして推奨を出していますので、原則結論は、ほぼ同じになっております。ですので、重症の敗血症には避けることというところはございます。
 少なくとも我が国においては、集中治療室でこのような製剤を使うということがあまりなく、手術室で麻酔科の先生がお使いになることが多いと承知しております。
 その中で、たまたま診断基準上、敗血症に該当してしまうような患者さんが手術を受けているような場合に、禁忌事項に該当してしまうというのは、臨床家としては、全くもって想定していないといいますか、意図していないことでありますので、そういったところを排除したいという意味で申し上げたことになります。ガイドラインとしては、ほぼ同一です。
○舟越委員 ありがとうございます。では、ヨーロッパにしても、日本においても、ガイドラインは大体同じ水準でされていて、海外では、使い方が日本とは少し事情が違うというだけの話でよろしいですね。
○土井参考人 はい、そのように認識しております。
○舟越委員 当院でもICUでは、あまりこういったものを使われないので、どういった事情かなというのをちょっとお伺いいたしました。ありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございました。
 柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 柿崎です。
 参考人の先生方の意見を拝聴いたしまして、日本国内では、適正に使用されているということで、添付文書の改訂は、事務局案でいいかと思うのですが、臨床の現場では、この薬剤を使いたい場面はあるかと思うのですけれども、ヨーロッパでは、この薬剤を販売中止にすることによって、何か不都合というか、代替えみたいなことはどのようなことをされているのかというのを、参考人の先生にお伺いできればと思います
○岡座長 小竹参考人、よろしいですか、すみません、よろしくお願いします。
○小竹参考人 ありがとうございます。恐らく使用しない場合の代替物を、何を選択するかというのが、多分、ヨーロッパと我が国において少し違うのではないかと考えております。
 特に、これを使用しない場合には、どうしてもアルブミンを使用する頻度が増えてくるわけですけれども、アルブミンのアベイラビリティと申しますか、需要供給のバランス等々が、ヨーロッパあるいはオーストラリア、ニュージーランドと我が国は、大分違うということでございますので、そこが実態の差として出てくる、あるいは西田参考人がおっしゃったように、メリットのある患者さんというのが、ちょっと違うポピュレーションなのかなと考えております。
 以上でございます。
○柿崎委員 ありがとうございます。
○岡座長 そのほか、いかがでしょうか。
 舟越委員、どうぞ。
○舟越委員 追加で、ちょっと事務局に確認なのですが、今回、ヨーロッパではこういった販売中止にまで、販売中止にまで行かなくても適切に禁忌の領域と、リスクベネフィットをちゃんと範囲で、ガイドラインを確認しながらというところの日本の動きは分かったのですが、アメリカとかFDAのほうでは、何か動きがあるのでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。米国での状況ですけれども、米国では安全性ではなく、商業上の理由で本年より販売を終了しておりまして、措置について、それ以上のところは把握していないというところになります。
○舟越委員 ありがとうございました。一応3国の動きという形で、ヨーロッパ、EUとFDAの動きと、本邦のというのは、一応こういった諸外国の動きを書くときには、一文入れておくといいのかなと思いました。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。そのほか、委員の方から御意見ございますか。大丈夫でしょうか。
 そうしますと、丁寧に参考人の先生方から御説明いただいた状況で、理解ができるかなと思っております。それで、事務局の御提案の重症の敗血症及び、敗血症をそれぞれ禁忌と、慎重投与の項ですかね、それに追記するということでの事務局案でございますけれども、そのように改訂するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○岡座長 皆様、うなずいていただいていますので、承認、御異議なしとさせていただきます。
 それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 御議論いただき、誠にありがとうございます。
ヒドロキシエチルデンプンの製販業者に対して、本日の審議結果のとおり、使用上の注意を改訂するよう指示いたします。
 また、本調査会での議論につきましては、安全対策部会に報告いたします。
 以上でございます。
○岡座長 事務局からの御説明に、何か御質問等ございますでしょうか、よろしいでしょうか。
 それでは、本議題は終了したいと思います。小竹参考人、土井参考人、西田参考人におかれましては、お忙しい中、貴重な御意見いただき、ありがとうございました。
 これ以後、御意見を求める予定がございませんので、途中で御退席いただいて差し支えございません。どうもありがとうございました。
 石井委員が御出席になりましたね。ちょうど議題4というところになりますので、よろしくお願いします。
 続きまして議題4「緊急承認された医薬品の市販後安全対策について」の審議を行いたいと思います。
 事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料4-1「緊急承認された医薬品(ゾコーバ錠)に係る対応について」を御覧ください。
 新型コロナウイルス感染症治療薬であるゾコーバ錠が緊急承認されたことに伴い、参考資料4-1としてお示ししている医薬品等安全対策部会での審議を踏まえ、安全対策調査会において副作用等報告の状況を考慮し、追加の安全対策の要否の評価をお願いするものです。
 初めに、製造販売業者からの副作用報告の状況について、説明させていただきます。資料4-2を御覧ください。
 今回の調査会の集計対象期間は、11月24日から12月4日としており、製造販売業者からの報告に基づく推定使用者数は1,024人です。当該期間において製造販売業者からの報告はありませんでしたので、集計結果は2ページ別紙のとおりです。
 しかしながら、集計対象期間以降に初めての報告がありましたので、今回に限り集計対象期間外の報告を速報値としてお示しさせていただきます。
 3ページの別添1に症状別報告件数をお示ししていますが、集計対象期間以降、麻痺性イレウス、脱水、アナフィラキシー反応の計3件の報告があります。
 4ページの別添2に症例ごとに年齢・性別・転帰を、5ページ以降の別添3に症例経過をお示ししています。なお、いずれの症例も報告医は非重篤と報告していましたが、製造販売業者の判断により重篤症例として報告されています。また、脱水の症例は、報告医及び企業において因果関係が否定され、昨日の夜に報告対象外との追加報告がされており、取り下げとなっています。
 次に、医薬関係者からの副作用報告の状況について、説明させていただきます。資料4-3を御覧ください。
 今回の調査会の集計対象期間においては、医薬関係者からの報告もございませんでしたが、集計対象期間以降1件の報告がありましたので、製造販売業者からの副作用報告の状況と同様に、今回に限り集計対象期間外の報告を速報値としてお示しさせていただきます。
 3ページの別添1を御覧ください。
 こちらのアナフィラキシー反応の症例については、製造販売業者からの副作用報告のアナフィラキシー反応の報告と同一症例であることを確認しています。
 最後に、製造販売業者の公表資料である市販直後調査の中間報告を説明いたします。資料4-4を御覧ください。
 製造販売業者のホームページに掲載されている資料は12月18日までのデータとなり、推定使用者数は4,640人となっています。別紙を御覧ください。非重篤な副作用は62例報告されています。詳細は、通しページの番号で5ページの非重篤症例の副作用収集状況を御覧ください。
次に6ページのRMPの安全性検討事項に関する報告を御覧ください。
 ゾコーバ錠は重要な潜在的リスクに催奇形性、重要な不足情報に中等度以上の肝機能障害患者での安全性が設定されており、これらに係る情報の入手状況が記載されています。現状、市販後に入手した情報はないとのことでした。
 説明は、以上となります。
 また、本日は医薬品等安全対策部会の委員である多賀谷悦子参考人から、「追加の安全対策は不要であり、今後の市販後の副作用報告の集積を踏まえて、検討していく方針で良いと考えます。」との御意見をいただいています。
 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。それでは、本日御出席いただいております、まず、宮﨑参考人より御意見をいただけますでしょうか。
○宮﨑参考人 ありがとうございます。宮﨑でございます。
 今、事務局から説明がございましたとおりですけれども、まだ症例があまり蓄積されていないこともございまして、本当の意味での全体像がよく分かっていないわけなのですけれども、今までに公表されている副作用等を見て、今、追加の何らかの措置が必要か否かについては、現状では必要性は高くないのではないかなと判断しております。
 ただ、申しましたように、症例数は少ないのですが、これまでにイレウスとか、アナフィラキシーを疑うような症例の報告もありますので、こういった症例については、一例一例詳細な情報をいただいて検討を続けていく必要があると思っています。
 特に肝機能に関して懸念があると言われているようで、こちらのほうについては、全部の症例を今後蓄積して、コンピュータ、オンラインか何かで副作用情報を肝機能ASTとかALTとか、その他の関係情報等を含めスクリーニングすることが計画されているようですので、これから、もう少し情報の蓄積を待ちたいというところです。
 私の方からは、以上となります。
○岡座長 ありがとうございます。続きまして、長瀬参考人により、御意見をいただけますでしょうか。
○長瀬参考人 お呼びいただきまして、ありがとうございます。
 厚労省からデータ等を送っていただいて拝見したのですけれども、本当に重篤な副作用、例えば、間質性肺炎のような、そういう、いわゆるフェイタルなものは見当たらないということのようであります。
 いただいたデータ等で気になりましたのが、この消化器症状ですね。この添付文書上にも記載がありまして、悪心、嘔吐、下痢、腹部不快感と、こういったような副作用があるということですけれども、添付文書上は1%未満と記載されております。
 今回その集まったデータを見ますと、胃腸障害がもう既に52例と、分母が4,640としますと、1.12%ですか、1%を超えているという状況で、先ほどの麻痺性イレウスも消化器症状の1つになるわけですけれども、ここのところは、現在まだオンゴーイングの状況ですけれども、ちょっと注意して見ていく必要があるのではないかなと思います。
 いずれにしても、現在、介入すべき状況ではないと思いますけれども、やはり慎重に検討していく必要があるかと思います。
 以上です。
○岡座長 ありがとうございました。参考人の先生方からは、幾つかの御注意をいただいた上で、追加の措置は必要ないのではないかという御意見だったかと思いますけれども、委員の先生方から、何か御意見、御質問等ございますか。
 4,640人ということで、承認後の集まった例が、主に今回データとしてお示しいただいておりますけれども、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 念のためということで、ちょっとお伺いしておこうと思います。
 今回、1例、脱水という重篤症状が出ておりますけれども、こちらについて、もう少し情報はないでしょうか。つまり病状としての発熱に伴う脱水なのか、例えば腎機能とかそういったものに関わるのかというようなところというのが、もう少し何か分かるようなことがあれば、教えていただければと思いました。いかがでしょうか。
○事務局 症例の経過については、資料4-2の7分の5ページを御覧いただければと思います。
 また、こちらの脱水の症例については、報告医から基礎疾患の心障害によるものではないかという御意見をいただいていました。企業の調査によって、こちらの脱水とゾコーバとの因果関係については否定するというような御意見をいただきまして、企業においても、因果関係はないと評価されましたので、昨日の夜にこちらは取り下げとなりました。
○佐藤委員 分かりました。既往症との関連というところということですね、理解しました、ありがとうございました。
○事務局 ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、議決に移りたいと思います。柿崎委員におかれましては、利益相反に関するお申し出に基づきまして議決への参加を御遠慮お願いします。
 参考人の先生方の御意見も踏まえますと、現状の報告状況等を踏まえて、現時点において、追加の安全対策は行わなくてよろしいのではないかという御意見だったかと思いますけれども、そういう方針でよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○岡座長 皆さん、委員の方、うなずいておられますので、御異議なしとさせていただきます。
 それでは、本議題に関する今後の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございました。引き続き、今後の安全性情報を注視してまいります。また、本調査会での議論につきましては、安全対策部会に報告いたします。
○岡座長 それでは、本議題は終了したいと思います。
 長瀬参考人及び宮﨑参考人におかれましては、貴重な御意見をありがとうございました。これ以降は、御意見を求める予定がございませんので、途中で御退席いただいても差し支えございません。ありがとうございました。
 それでは、予定していた議題は以上ですけれども、事務局から何かございますでしょうか。
○事務局 特にございません。次回開催につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。ありがとうございました。
○岡座長 それでは、本日の調査会は閉会とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。