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ダニ媒介脳炎に関するQ&A

(平成20年6月10日作成)
(平成28年8月12日更新)
(平成29年7月11日更新)
(平成29年8月8日更新)
(平成30年6月1日更新)
(平成31年3月29日更新)

 ダニ媒介脳炎についての正しい情報を提供することで、予防策等について理解を深めていただきたく、Q&Aを作成しました。
 なお、今後の知見の進展等に対応して、逐次、本Q&Aを更新していくこととしています。



1.ダニ媒介脳炎とは

問1 ダニ媒介脳炎とは何ですか?

  • 答 ダニ媒介脳炎は、ウイルスを保有するマダニに刺咬されることによって感染する疾患です。日本ではあまり知られていませんが、世界では決してまれな病気ではありません。ダニ媒介脳炎ウイルスにはいくつかの種類があり、ヨーロッパ亜型、シベリア亜型及び極東亜型が知られています。日本(北海道)では極東亜型のウイルスが分布しています。
     病原体は、日本脳炎と同じ分類(属)のフラビウイルスで、げっ歯類とマダニの間でウイルスが維持されています。

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問2 どのようにして感染するのですか?

  • 答 ウイルスを保有するマダニに刺咬されることによって感染します。逆に言えば、ウイルスを保有したマダニがいない地域では感染がおきません。
     また、感染した山羊や羊等の未殺菌の乳を飲んで感染することもあるとされています。
     通常、人から人に直接感染することはありません。
     なお、一般的に、マダニは、沢に沿った斜面や森林の笹原、牧草地などに生息し、家の中や人の管理の行き届いた場所にはほとんど生息していません。

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問3 どのような症状になるのですか?

  • 答 潜伏期間は、2〜28日であり、通常7〜14日です。感染しても70%〜95%は不顕性感染であるとされています。しかしながらダニ媒介脳炎ウイルスに汚染されたヤギ生乳の喫飲による経口感染では、その潜伏期間は比較的短く3〜4日と報告されています。その病状は発熱から中枢神経障害まで様々です。
     急性ダニ媒介脳炎の経過と長期的転帰は、感染したダニ媒介脳炎ウイルスの亜型によって異なります。ヨーロッパ亜型による感染においては、その75%が二相性の経過をたどるとされています。第一相は通常中等度の発熱、頭痛、体の痛み(筋肉痛および関節痛)、全身倦怠感、食欲不振、悪心などの非特異的症状を呈しその症状は1週間程度続きます。解熱後約1週間は症状が消えますが、そのまま回復することはまれで、第二相に移行します。第二相においては、高熱、頭痛、吐き気、眼窩痛、嘔吐、羞明、眩暈(めまい)等の髄膜炎症状が認められます。髄膜脳炎あるいは髄膜脳脊髄炎を発症した場合、痙攣、麻痺、弛緩性麻痺、人格の変化、意識障害、知覚障害、傾眠傾向、昏睡等の中枢神経系症状を呈します。致死率は1〜2%、回復した場合、神経学的後遺症が10〜20%にみられるといわれています。主な後遺症状の症状は認知障害、神経精神病学的変化(無関心、記憶障害、睡眠パターンの変化等)、視覚障害、聴覚障害、麻痺等です。極東亜型およびシベリア亜型による感染では、ヨーロッパ亜型のような二相性の経過は見られません。
     極東亜型のウイルスに感染すると徐々に発症し、頭痛・発熱・悪心・嘔吐等の髄膜炎症状が見られ、さらに脳脊髄炎を発症すると精神錯乱・昏睡(こんすい)・痙攣および麻痺(まひ)などの中枢神経症状を呈します。極東亜型のウイルスに感染した場合、最も重篤な経過をとり、その致死率は20%〜40%、生残者の30〜40%に神経学的後遺症がみられるといわれています。
     シベリア亜型による感染では、極東亜型による感染と比較して急性期の症状も穏やかで、脳炎を呈してもその多くは麻痺を伴わず、致死率は6〜8%を超えないとされています。しかしながらシベリア亜型のウイルスによる感染では、進行性の慢性ダニ媒介脳炎との関連が示唆されています。進行性慢性ダニ媒介脳炎はシベリアおよびロシア極東地域における感染者の1〜3%に認められます。臨床症状にはてんかん、肩神経叢の進行性神経炎、パーキンソン病様疾患および進行性筋萎縮症が含まれます。その潜伏期間は長い場合1年を超え、また発症した場合、進行性の慢性経過をたどり、死に至った症例も報告されています。

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2.予防対策について

問4 感染しないために、どのようなことに注意すればよいですか?

  • 答 病原体を保有するマダニに咬まれないようにすることが最も重要です。
     したがって、流行地域など、病原体の存在が知られている地域において、問2にあるような森林や草地等のマダニの生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボンを着用し、サンダルのような肌を露出するようなものは履かないことが大事です。ディート(DEET)やピカリジン(イカリジン)等を含む忌避剤の併用も効果が期待されます。さらに、野外活動後は入浴し、マダニに刺されていないか確認すること、マダニの咬着が認められた場合は、皮膚科などでマダニの頭部が残らないように除去してもらうことも重要です。
     また、ダニ媒介脳炎の流行国では、マダニが生息する森林地帯に入るなど、感染する危険性のある方に対して、不活化ワクチン(我が国では未承認)の接種が行われることもあります。日本から流行地に行って野外活動を予定されている場合は、全国の検疫所で渡航前の健康相談を行っておりますので、ご利用ください。また、帰国時に発熱などの症状がある場合は、検疫所の検疫官にご相談ください。

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3.国内及び世界の発生状況

問5 日本での発生状況は? 

  • 答 日本国内では、北海道において平成5年(1993年)に1例、平成28年(2016年)に1例、平成29年(2017年)に2例及び平成30年(2018年)に1例、発生が報告されています。北海道の一部地域においてダニ媒介脳炎ウイルスが分布していることが明らかにされています。

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問6 世界の発生状況は?

  • 答 世界では、ダニ媒介脳炎の患者は、毎年1万から1万5千発生しています。中央ヨーロッパ、東ヨーロッパの多くの国々およびロシア、中国で流行しています。なお、平成13年(2001年)に、オーストリアに滞在した日本人が滞在中に田舎で感染してお亡くなりになった事例も報告されています。
    http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/idwr/idwr2002-03.pdf

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4.医療従事者の方へ

問7 診断方法は?

  • 答 本疾患に特有の症状等はなく、検査診断が必要です。検査診断では、患者の血液、髄液および尿からのダニ媒介脳炎ウイルスの分離・同定、ウイルス遺伝子の検出、血液および髄液におけるダニ媒介脳炎ウイルス特異的IgM抗体の検出、あるいは、ペア血清を用いた中和試験による抗体陽転又は抗体価の有意の上昇により確認します。
     なお、抗体検査においては、日本脳炎の影響も考慮する必要があります。

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問8 ダニ媒介脳炎の検査は、どこでできますか。

  • 答 患者の症状や所見等からダニ媒介脳炎を疑う場合には、保健所を通じて国立感染症研究所に検査を依頼することができます。
     依頼の際には、流行地等への訪問・居住歴、日本脳炎の予防接種歴に関する情報も併せて提供されるようお願いします。
     なお、ダニ媒介脳炎は、感染症法において四類感染症に指定されていますので、ダニ媒介脳炎を診断した場合は、速やかに保健所へ届出を行ってください。

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問9 治療方法はありますか?

  • 答 ダニ媒介脳炎に特異的な治療方法はありません。
     なお、海外では、ガンマグロブリン製剤が使用されることがあります。

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問10 検査方法等、技術的な内容の相談窓口を教えてください。

  • 答 国立感染症研究所(電話:03−5285−1111、FAX:03−5285−1188)にお問い合わせください。

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