概要版
二枚貝:下痢性貝毒

ムラサキイガイ
有毒種および有毒部位 | 下痢性貝毒による食中毒では二枚貝類の毒化が問題になる。わが国で毒化が報告されている二枚貝類は、アカザラガイ、アサリ、イガイ、イタヤガイ、コタマガイ、チョウセンハマグリ、ホタテガイ、マガキ、ムラサキイガイなどで、中でもムラサキイガイの毒化例が多く毒性値も高い。毒素は主に中腸腺に濃縮される。ノルウェーではカニによる下痢性貝毒中毒が発生した。下痢性貝毒は渦鞭毛藻のジノフィシス属やプロロセントラム属などによって産生される。 |
中毒発生状況 | 下痢性貝毒はわが国で最初に発見された貝毒だが、現在わが国では下痢性貝毒による食中毒は起こっていない。下痢性貝毒は自然毒食中毒に珍しく集団食中毒を起こすことがあり、ヨーロッパ大西洋沿岸や北海沿岸で大規模な食中毒が発生した。 |
中毒症状 | おもな症状は消化器系の障害で、下痢、吐気、嘔吐、腹痛が顕著である。症状は食後30分から4時間以内の短時間で起こる。回復は早く通常は3日以内に回復する。後遺症はなく、死亡例もない。 |
毒成分 | オカダ酸とその同族体のジノフィシストキシン群。 |
備考 | わが国では下痢性貝毒による食中毒防止のため、定期的に有毒プランクトンの出現を監視し重要貝類の毒性値を測定し、規制値(可食部1kg 当たり0.16mgオカダ酸当量)を超えたものは出荷規制されているので、市販の貝類による食中毒は発生していない。 |