【別添2】

広報の具体例

1  クリプトスポリジウムに関する情報の提供
 水道利用者等に混乱を生じないよう、クリプトスポリジウム症の特徴などを十分説明する。

クリプトスポリジウムは人間や牛などの小腸に寄生する原虫です。
 クリプトスポリジウムは人の他に牛、豚、犬、猫などのほ乳動物の腸に寄生する、大きさは4〜6μm(1μmは1mmの千分の1)の原虫です。感染した人や動物の糞便といっしょにオーシストと呼ばれる形で体の外へ排出され、感染源となります。排出量は、1日当たり、人では約10億個、ウシでは約100億個といわれています。
 湿った環境の中では、クリプトスポリジウムは2〜6ケ月間、感染力をもっています。

クリプトスポリジウムは食べ物や水を介して口から感染します。
 クリプトスポリジウムのオーシストを、食べ物や水を介して口から摂取すると、クリプトスポリジウムは小腸の組織に入り込み増殖を始めます。

クリプトスポリジウムに感染した場合の症状は下痢や腹痛です。
 クリプトスポリジウムが人に感染症を引き起こす原因として知られ始めたのは、1976年からです。
 クリプトスポリジウムに感染すると、2日〜5日後に、下痢、腹痛、吐き気や嘔吐、軽い発熱などの症状が始まります。下痢はさらさらの泥水の様で、血液が混じることはありません。感染しても症状が出ない人もいます。
 健康な方で免疫が正常に働いていれば、クリプトスポリジウム症の症状は4、5日〜約1週間程度でなくなります。長い場合は2週間ほど続く場合もありますが、生命に関わる病気ではありません。
 一方、免疫不全の方やガンの治療で免疫抑制療法を受けている方などの場合、病気が長びき、深刻な症状になるおそれがあります。

感染症にかかったら水分の補給に心がけて下さい。
 クリプトスポリジウムによる下痢は、免疫の作用で自然に治りますが、脱水症状にならないよう、水分の補給に気をつけて下さい。水やお茶よりもスポーツドリンクの方が吸収されやすく、脱水を防ぐのに有効です。
 また、症状がひどくて心配な場合は、医師に相談して下さい。

2  感染症の予防
 感染症の流行時に心掛けるべきことを説明する。

手をきちんと洗って下さい。
 おむつの交換のあと、患者の糞便にさわったあと、また、料理など食べ物を扱うまえには、アルコール綿等でふき取り、石けんで手を良く洗い紙タオル等で良くふいて乾かして下さい。
〔参考〕
 クリプトスポリジウムに感染した場合、症状が治った後、あるいは症状が出なくてもオーシストは便から排出されることから、2次感染を防止するため、便に触れた場合や飲食物を扱うときには、アルコール綿等でふき取り、石けん等で十分手を洗って良く拭いて乾かして下さい。

水は煮沸して飲んで下さい。
 クリプトスポリジウムは熱に弱いので、水は1分間以上煮沸して飲んで下さい。氷も湯冷ましを使って作って下さい。プールの水、湖や川の水からも感染することがありますから、再生水を口にすることがないよう注意して下さい。
 この他、生ものは避け、加熱して調理して下さい。食器も良く拭き乾燥させて下さい。
〔参考〕
 クリプトスポリジウムは加熱、冷凍、乾燥に弱く、60℃以上又は−20℃以下で30分間、又は、常温の場合で1〜4日間乾燥状態におかれると、感染力を失います。飲用水の場合は、1分間沸騰させれば十分不活化できます。

浄水器の使用にも注意して下さい。
 家庭用等の浄水器については、全ての機種がクリプトスポリジウムの除去に有効であるわけではなく、1μmより大きい粒子が確実に除去できるもの以外は効果がありません。
 また、クリプトスポリジウムを除去できる浄水器でも、継続した使用に伴ってカートリッジにクリプトスポリジウムが蓄積されるので、使用の手引きに従ってカートリッジの交換を適宜行ってください。なお、カートリッジの交換時には、手にクリプトスポリジウムが付着しないよう気をつけるようにし、交換後には手をよく洗ってください。

その他
 家族で下痢をしている人がいる場合、家族内感染を防ぐため、患者の方の入浴を最後にして下さい。また、クリプトスポリジウムは熱湯に弱いので、患者のふん便で汚れた下着やおむつは熱湯をかけてから洗濯して下さい。

3  水道局での対応
 水道事業者等の対応状況を広報し、住民の理解と協力を得ること。

配水管の洗浄などに伴う断水に関する広報事項(例)
 ・
目的 :  配水管内のクリプトスポリジウムを除去するため、管の洗浄を実施する
 ・ 断水の影響のある世帯、地域等
 ・ 断水の開始予定時間及び終了予定時間
 ・ 洗浄後の安全確認結果
 ・ 水道水の利用再開時の注意
 しばらく水道水を放水し、給水管内のクリプトスポリジウムを流し出す。

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