俳優の高橋文哉さんも登壇、記憶継承のあり方を考える「戦後80年 記憶の継承シンポジウム」を開催しました






今年は、戦後80年という節目を迎える年です。
皆さんの中には、ご家族やご親戚などに、戦争の体験談を直接聞かれたことがある方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
 
厚生労働省では、先の大戦を体験された方が少なくなる中、記憶を共有・継承し、その学びを現在、そして未来に生かしていくことが大切ではないかと考えています。
 
そこで、その取り組みの一つとして、先の大戦に関する記憶の継承をテーマに、8月3日(日)、東京都千代田区の九段会館で、シンポジウムを開催しました。
 
当日のシンポジウムでは、座長に防衛大学校名誉教授の戸部良一先生、ゲストに俳優の高橋文哉さんをお迎えし、歴史学者の方、資料館の展示に携わる方、教育に携わる方、語り部活動をされている方など、各分野の有識者に登壇いただきました。
 
当日のシンポジウムの概要をご紹介します。
 
なお、シンポジウムの様子は、後日YouTube動画を掲載する予定です。
 
【関連ウェブサイト】
 
戦後80年 記憶の継承シンポジウムを開催しました|厚生労働省

俳優の高橋文哉さんも登壇、記憶継承のあり方を考える「戦後80年 記憶の継承シンポジウム」の登壇者をご紹介|厚生労働省
 

プログラム前半:シンポジストによる発表

シンポジウムの前半では、記憶の継承について、シンポジスト5名による発表が行われました。
各シンポジストの発表の概要を紹介します。

シンポジスト 加藤つむぎ 氏(帰還者たちの記憶ミュージアム(平和祈念展示資料館学芸マネージャー)

〈発表の概要〉
東京都新宿区にある平和祈念展示資料館は、2024年7月から「帰還者たちの記憶ミュージアム」という愛称が名付けられました。
加藤氏は同施設で学芸マネージャーを務められており、平和祈念展示資料館バーチャル資料館など最新技術を用いた戦争体験の継承の取り組みについて発表しました。
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シンポジスト 平本真子 氏(ひみつ基地ミュージアム(錦町立人吉海軍航空基地資料館)副館長)

〈発表の概要〉
熊本県球磨郡(くまぐん)にある「山の中の海軍の町にしきひみつ基地ミュージアム」は、太平洋戦争中、海軍が使用していた「人吉海軍航空基地」の跡地に、2018年8月に開館しました。平本氏は、歴史を伝えるガイドの育成などの取り組みを発表しました。
 発表資料はこちら
 

シンポジスト 松本穂高 氏(広島市教育委員会指導主事)

〈発表の概要〉
2022年から広島市教育委員会指導主事を務められています。被爆地となった広島県広島市の現在の平和教育プログラムの取り組みを発表しました。
発表資料はこちら
 

シンポジスト 大東潤 氏(日本遺族会 平和の語り部アドバイザー)

〈発表の概要〉
2024年から日本遺族会の平和の語り部アドバイザーに就任。記憶の継承活動を始めたきっかけや、継承活動などについて発表しました。
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シンポジスト 黒沢文貴 氏(東京女子大学名誉教授)

〈発表の概要〉
2009年から東京女子大学現代教養学部の教授、現在は東京女子大学名誉教授に就任されています。
戦争の記憶の継承の目的や課題、それをどのように継承することができるのかについて、発表しました。
発表資料はこちら

 

プログラム後半:パネルディスカッション

シンポジウムの後半は、ゲストの高橋文哉さんが、前半の5名シンポジストによる発表の感想を述べたほか、戦争の記憶の継承について、戸部良一氏を座長に、高橋さん、シンポジストによるパネルディスカッションが行われました。
 
高橋さんは、記憶の継承について、「(自身が出演されるドラマなどの)作品を通し、当時の⼤変さ、苦しさを⼀部でも理解してもらう機会になればという気持ち。僕らの世代は戦争という意識が薄く、⾃分が学んだことを周りに伝えていきたい」と語りました。
 
シンポジウムの最後には、戸部座長から「記憶の継承にあたっては、継承する記憶の個別性・地域性・具体性を持たせるとともに、戦後80年、平和を維持してきた記憶も継承しなければならない」と総括しました。
 

座長 戸部 良一 氏(防衛大学校名誉教授)



〈経歴〉
1976年 防衛大学校講師、のち同助教授
1990年 同教授
2009年 国際日本文化研究センター教授
2014年 帝京大学教授
2019年 同定年退職
 

ゲスト 高橋 文哉 氏(連続テレビ小説「あんぱん」辛島 健太郎 役)



〈経歴〉
2019年 仮面ライダーゼロワンで俳優デビュー。以降、さまざまなドラマ・映画に出演
2024年 第47回「日本アカデミー賞」新人俳優賞受賞
2025年 第49回エランドール賞受賞
 

「戦後80年記憶の継承作文コンクール」を開催中です


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募集締め切りは9月30日まで。入賞者は令和8年2月頃に実施予定の慰霊巡拝にご同行いただけます。
詳しい応募方法はウェブサイトをご確認ください。