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2018年3月22日 平成29年度第3回化学物質のリスク評価に係る企画検討会 議事録

厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成30年3月22日(木)15:00~


○場所

労働委員会会館講堂(7階)


○議題

(1)平成29年度の労働者の健康障害防止に係る化学物質のリスク評価の実績について
(2)平成30年度肝中期発がん性試験の対象物質の選定について
(3)今後の発がん性試験の予定について
(4)平成30年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価実施方針について
(5)リスク評価対象物質・案件選定の考え方について ほか

○議事

○平川化学物質評価室長補佐 本日は大変お忙しい中を御参集いただきまして、まことにありがとうございます。定刻になりましたので、平成29年度第3回「化学物質のリスク評価に係る企画検討会」を開催いたします。

 まず、委員の異動について御報告いたします。丸田委員にかわりまして、日本労働組合総連合会総合労働局雇用対策局長である漆原委員が就任されました。また、近藤委員にかわりまして、一般社団法人日本化学工業協会化学品管理部長の※谷(つるたに)委員が就任されましたので、紹介させていただきます。(※;雨かんむりに、左に隹、右に鳥)

 その他の委員の出席状況でございますが、全員出席となっております。ただし、堀口委員におかれましては次の用務がございますので、この後、途中で退席される予定でございます。

 それでは、以降の議事進行を櫻井座長にお願いいたします。

○櫻井座長 それでは、議事進行を務めます。よろしくお願いいたします。

 最初に、事務局より本日の議事予定及び資料の確認をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、事務局より、本日の議事と資料の確認をさせていただきます。

 本日の議事は5点ございます。まず、1点目が「平成29年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価の実績について」、2つ目が「平成30年度肝中期発がん性試験の対象物質の選定について」、3つ目が「今後の発がん性試験の予定について」、4つ目が「平成30年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価実施方針について」、5つ目が「リスク評価対象物質・案件選定の考え方について」でございます。

 次に、配付資料の確認をさせていただきます。2ページをごらんください。資料1-1から順に説明させていただきます。資料につきましては左上一点どめでございます。最後のページのみA3用紙1枚、横判の資料をつけているものでございます。

 それでは、順に説明させていただきます。

 資料1-1「平成29年度のリスク評価の実績」。

 資料1-2「平成29年度化学物質のリスク評価について」。

 次に、配付資料一覧では資料1-3「リスク評価結果を踏まえた政省令改正の報告」とございますけれども、本年度のリスク評価の取り組みの中で新たに政省令改正を要する事項はございませんでしたので、資料はございません。

 次に、資料2-1「スクリーニングとして行う中期発がん性試験の対象物質の選定方法等について(案)」。

 資料2-2-1「平成30年度中期発がん性試験の候補物質」。

 資料2-2-2「平成30年度中期発がん性試験の候補物質(製造・輸入数量1,000t以上のもの)」。

 資料3「今後の発がん性試験の予定について」。

 資料4-1「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(平成30年度)(案)」。

 資料4-2「平成30年度のリスクコミュニケーションの進め方(案)」。

 資料5「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方(案)」。

 資料6「今後の予定」。

 以上が資料です。次に、参考資料です。

 参考資料1-1「化学物質のリスク評価に係る企画検討会開催要綱・参集者名簿」。

 参考資料1-2「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(平成29年度)」。

 参考資料1-3「平成29年度のリスクコミュニケーションの進め方」。

 参考資料1-4「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方(平成29年度)」。

 参考資料2-1「職場で使用される化学物質の発がん性評価の加速化(詳細)」。

 参考資料2-2「長期・中期発がん性試験対象物質の選定について」。

 以上の資料を配付しております。資料に不備がございましたら事務局までお申しつけくださいますようお願い申し上げます。

○櫻井座長 皆様、資料はそろっているようですので、本日の議事に入ります。

 議事1について、事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 事務局より、「平成29年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価の実績」について、資料1-1を用いて説明をさせていただきます。まず「1 各検討会における主な検討実績」でございます。

 1つ目が、化学物質のリスク評価に係る企画検討会。本検討会でございます。

 第1回目が平成29年5月22日の開催でございました。その際には、「平成29年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価実施方針(案)」及び「リスク評価対象物質・案件選定の考え方」について検討を行いました。

 次に、第2回でございます。平成29年9月8日の開催でございます。その際には、「有害物ばく露作業報告対象物質の選定」について、議論を行いました。その結果、平成31年(平成30年1月~12月集計分)の有害物ばく露作業報告の対象物質として、テトラヒドロフラン、フルフリルアルコール、2,4,6-トリクロロフェノール(再告示)を選定いたしました。

 次に第3回、本日の検討会の内容でございます。予定している議事を記載させていただいております。「平成29年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価の実績について」、「平成30年度肝中期発がん性試験の対象物質の選定について」、「今後の発がん性試験の予定について」、「今後のリスク評価対象物質・案件選定について」、「平成30年度の労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価実施方針について」、「リスク評価対象物質・案件選定の考え方について」でございます。

 次に、化学物質のリスク評価検討会でございます。化学物質のリスク評価検討会におきましては、まず、平成28年度ばく露実態調査対象物質のリスク評価を行いました。平成291122日に化学物質のリスク評価検討会(合同)を開催いたしまして、平成30年1月31日に5物質の初期リスク評価をまとめた報告書を公表しております。その内容につきましては、資料1-2をごらんください。

 今年度は、ピリジン、ニッケル(金属及び合金)、テトラエチルチウラムジスルフィド、二塩化酸化ジルコニウム、メタクリル酸の5物質について初期リスク評価を行いました。

 まず、ピリジンですが、初期リスク評価の結果、健康障害リスクが高いとして、詳細リスク評価に進むこととなりました。

 次に、ニッケル(金属及び合金)でございます。溶接作業についてばく露実態調査を改めて実施した上でばく露評価を実施することになりました。

 残りの3物質につきましてはリスクが低いとの結論を得たところでございます。

 これらの物質につきまして、1月31日に報告書を公表し、2月23日にリスク評価結果に基づく労働者の健康障害防止対策の徹底を要請したところでございます。

 次に、6ページに戻りまして、イの「経皮吸収に関する評価方法について」です。平成30年1月22日に開催いたしました第2回の検討会で意見の取りまとめを行っております。基本的な考え方ですが、経気道ばく露のリスクは低いものの、ACGIHにより「Skin」または日本産業衛生学会により「皮」の勧告のある物質を評価対象とするとしております。

 具体的には、まず、1として有害性評価小検討会で検討する有害性評価のデータについて、経皮吸収に関係するハザードデータ、物理化学的データ、生物学的モニタリング等に関する情報を充実させ、経皮吸収に関係する物理化学的データを勘案してグルーピングを行う。

 2として、ばく露実態調査においては経皮ばく露に関する情報を、液体への接触のほか、蒸気への接触による経皮ばく露にも留意して、以下により収集するということで、ア~ウの3項目について今後実態調査を実施していくということで、アは、「作業観察及びヒアリング」。イは、「労働者の身体拭き取り検査及び活性炭シートによる検査」。ウは、「生物学的モニタリングのための労働者の尿等の検査」としております。

 次に、有害性評価小検討会の状況について申し上げます。今年度は3回開催いたしまして、次の検討を行いました。まず、「ア リスク評価に係る有害性評価及び評価値の検討」として、平成28年度ばく露実態調査対象物質のうち、評価値が未設定であった初期評価11物質について検討を行いました。次に「イ 国が行う有害性調査(がん原性試験)に関連する検討」として、アクリル酸メチルについて試験結果を評価し、「発がん性があるため、がん原性指針の対象物質とすべき」と判断したということでございます。また、「ウ 経皮吸収による健康障害のおそれのある化学物質のリスク評価検討の進め方」について検討しております。

 次に、発がん性評価ワーキンググループでございます。2月21日と2月28日に開催し、次の検討を行いました。まず、「ア 遺伝子改変動物を用いる発がん性試験の実施に係る検討」です。肝中期発がん性試験の結果等から多臓器発がんの可能性がある化学物質等を対象とする遺伝子改変動物を用いる発がん性試験の対象物質として、平成30年度においては「1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン」及び「クロロエタン」の2物質について実施することとし、動物種については遺伝子組換えマウス(rasH2マウス、p53ヘテロ欠損マウス)を用いて行うことの結論を得ました。

 次に、「イ 中期発がん性試験の評価等」です。結果としましては、平成28年度第5回企画検討会で候補物質となっていた物質の中から、発がん性評価ワーキンググループで6物質を選定し、実施された試験結果を評価し、いずれも陰性であるとの判断がされたところでございます。

 次に、「ウ 既存の情報による発がん性評価」です。35物質について、既存の発がん性情報に基づき発がん性評価を行い、1物質がIARC2B以上に相当する物質に該当すると判断したところでございます。

 次に、「エ バイオテクノロジー応用医薬品の有害性調査」については、規制改革ホットラインで取り上げられ、本ワーキンググループで結論を得たところでございます。結論を申し上げますと、バイオテクノロジー応用医薬品(以下「バイオ医薬品」)の多くは、タンパク質またはペプチドにより構成される高分子化合物であり、生物の遺伝子に直接作用しない可能性が高いことから、生物の遺伝子に作用して化学反応を起こしたり、その分子構造の一部を変えたりする性質(変異原性)を調べる変異原性試験では、がん原性の疑いをスクリーニングできないおそれがある。このため、労働基準局長通達で、バイオ医薬品のうち一定の要件を満たすものは変異原性試験以外の試験による調査として、別に示すOECDテストガイドラインによる標準的試験法によることを示すこととしたところです。

 続きまして、遺伝毒性評価ワーキンググループについて説明させていただきます。これにつきましては、今週の3月19日に開催いたしまして、以下の検討を行いました。

 まず、「ア 微生物を用いた変異原性試験の評価等」でございます。平成28年度までに実施した文献調査に基づく遺伝毒性評価の結果、「遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」、「遺伝毒性の有無の判断困難」とされた物質等のうち、試料が入手可能なもの等を平成29年度の試験対象物質として実施した22物質の結果を評価し、1物質について強い遺伝毒性ありとの判断をいたしました。次に、「イ 非遺伝毒性物質の発がん性スクリーニング試験(Bhas42細胞を用いる形質転換試験)の評価等」につきましては、平成28年度までに実施した文献調査に基づく遺伝毒性評価の結果、「遺伝毒性なし」とされた物質等の中から、製造・輸入量、適切な溶媒の有無等を勘案し、16物質を平成29年度の試験対象物質として選定いたしました。この16物質の結果を評価し、4物質について陽性であるとの判断をしました。

 次に、「ウ 遺伝毒性試験(エームス試験)の試験基準の見直し」でございます。被験物質が気体または揮発性の液体である場合は、変異原性試験において、プレインキュベーション法またはプレート法では、被験物質が試験管またはプレートからの散出のおそれがあり、適切な試験が実施できないおそれがある。このため、労働基準局長通達において、試験方法としてガスばく露法を定めることで合意しました。また、変異原性試験についてはOECD理事会で採択した化学物質の評価におけるデータの相互受け入れに関する決定(MAD)を踏まえて、国際的整合性の確保が必要である。このため、労働基準局長通達において、対応するOECDテストガイドラインを定めることで合意しました。

 次に、ばく露評価小検討会でございます。今年度は、7月4日、7月25日、1012日の3回の検討を行いました。まず、「ア ばく露実態調査結果の検討」です。28年度にばく露実態調査を行った、初期評価を行う5物質について検討を行いました。次に、「イ 測定分析法の検討」です。今後、ばく露実態調査を行う6物質に係る測定分析法について検討いたしました。最後に、「ウ 経皮吸収による検討障害のおそれのある化学物質のリスク評価検討の進め方」について検討いたしました。

 次に、「2 リスク評価にかかる情報提供等の推進」でございます。まず、意見交換会でございます。リスクコミュニケーションと呼んでおります。

 まず、第1回でございます。平成291221日、東京の開催でございます。「化学物質のリスク評価結果と健康障害防止措置に関する意見交換会」として行いました。基調講演の内容は、「平成29年度リスク評価の結果について」は、本日御出席の名古屋委員から御講演いただきました。さらに「酸化チタン(IV)の健康障害防止措置について」は、当室の穴井が講演をしております。

 次の意見交換では、本日御出席の堀口委員をコーディネーターとし、パネリストとしましては、基調講演者のほか、日本酸化チタン工業会からも2名の方に参加いただきました。参加人数は100名を超え、115人の方の参加をいただきました。

 次に、第2回でございます。平成30年2月2日、東京の開催でございます。「化学物質の健康障害防止措置とリスクアセスメントに関する意見交換会」として行いました。基調講演の最初の講演は「酸化チタン(IV)の健康障害防止措置について」は、リスク評価検討会の有害性評価小検討会の座長である大前委員から御講演をいただきました。さらに「ラベル・SDS・リスクアセスメント制度について」は、化学物質対策課化学物質国際動向分析官の吉澤が講演をしております。

 意見交換は、堀口委員をコーディネーターとして、パネリストは基調講演者のほか、前回同様、日本酸化チタン工業会から2名の方に参加いただきました。参加人数は77名でした。

 次に、第3回でございます。平成30年2月16日、大阪での開催でした。「化学物質の健康障害防止措置とリスクアセスメントに関する意見交換会」として行いました。基調講演は1つ目が「ラベル・SDS・リスクアセスメント制度について」、本日御出席の宮川委員から講演をいただきました。さらに「平成29年度のリスク評価の結果について」と「酸化チタン(IV)の健康障害防止措置について」は、当室で講演を受け持ちました。

 意見交換は、堀口委員をコーディネーターとして、パネリストは基調講演者のほか日本酸化チタン工業会から2名の方に御参加いただきました。参加人数は52名でした。

 これらにつきましてはホームページ等で事前に案内をさせていただいておりまして、そこから申し込みをしていただいているということでございます。

 次に、パブリックコメントでございます。次のとおり、パブリックコメントを通じて一般からの意見を募集いたしました。今年度につきましては3件のパブリックコメントを行っております。まず1件目は、「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令案に係る意見募集について」として、SDS等対象物質の追加等に関し、5~6月に行いました。2件目は、「化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価候補物質及び案件についての意見募集」ということで、6~7月に行いまして、これについては9月の企画検討会で意見内容について検討を行っております。その内容については、資料中のリンク先に資料等を掲載しております。3件目が、「労働安全衛生規則第95 条の6の規定に基づき厚生労働大臣が定める物等の一部を改正する件(案)にかかる意見募集」ということで、ばく露作業報告対象物質の告示案について、1112月に実施しました。

 次に、リーフレットの関係でございます。新たに3点作成しました。まず1つ目が「オルト-トルイジン・三酸化二アンチモンについて健康障害防止措置が義務づけられました/経皮吸収による健康障害のおそれのある物質について対策が強化されました」のパンフレットです。

 2つ目が、「-GHS対応-化管法・安衛法・毒劇法におけるラベル表示・SDS提供制度」パンフレットです。

 3つ目が、平成30年報告対象31年報告版の「有害物ばく露作業報告書の書き方」パンフレットです。

 最後に、「厚生労働省ホームページの充実」でございます。まず1つ目が、「職場における化学物質対策について」の中に、先ほど申し上げました政省令改正の情報等を追加しております。また2つ目が、「職場のあんぜんサイト」の中の「化学物質のリスクアセスメント実施支援」にコントロール・バンディング手法等を追加したということで、リンク先から詳細を御覧いただくことができます。

 今年度の実績の報告につきましては以上です。

○櫻井座長 ただいまの説明内容について、御質問、御意見がございましたら、どうぞ御発言をお願いいたします。

○石井委員 6ページのところで経皮吸収に関する評価方法についてということで、もう少し具体的に教えていただければと思います。経皮吸収について、今、重点的にタイムリーな話題ということで取り組まれていることがよくわかるのですが、実際に経皮吸収に関係する物理的化学的データを勘案してというところは、具体的にどのような毒性をグルーピングするのか。それから、実際にそういった経皮吸収の情報は収集されにくいと予想されますが、それについて、どう考えられているのか。例えば予測値のようなin silicoの評価も取り入れるということが、この中で検討されているのか。そういった少し具体的なところを教えていただければと思います。

○穴井室長 経皮吸収については、ここには検討した中身の一部を書いてありますけれども、正直に申し上げて、いわゆる進行形の状態にありまして、まだ案の段階です。具体的に現場でこういう中身をはかってみて、実際にどのような判断基準をつくればいいかということをオンゴーイングで今、やろうとしている。したがって、未定稿的な文書をつくって、それを今後、ブラッシュアップしていこうというのがまず一つです。ただし目安がないと何もできないので、こういったことを中心にやりましょうということがあります。

 それから、実際問題として、生物学的モニタリングを行うにしてもモニタリング指標がないものがあります。そういったものについても、実際のところ尿中に指標となる物質ではなくて、その物質そのものがどのくらい出されるのかというようなことを指標としてやろうというような議論が出ていますけれども、そういった知見も今後積み重ねていきながら、では、どうするのかということが一つです。

 物理的化学的データについても、ここも世の中にある知見自体が余り多くないと思っていまして、そこについてもこれから、この会だけでなく、その下の委託事業で具体的な検討の場も設けていまして、そこで積み重ねて議論されたことをまた現場に戻して、現場ではかっていただいて、実際にどの程度になるのかという、生物学的モニタリングなどとの整合性を見ながらやっていくということで、まだはっきりと確実にこれでできるというものではなくて、確実にわかるものはやっていこう、微妙なところのものはこれからデータを積み重ねてグルーピングなりをやっていこうというのが正直な今の段階です。

○石井委員 わかりました。まずは有害性評価の対象となっている物質については情報を集めますと。今までも評価の対象になっていたようなものについても含めて何かしらの数値なり予測値なりを出していこうという検討をされているということですね。

○穴井室長 そうです。この中に書いてありますとおり、まずは、基本としてはACGIHか日本産業衛生学会で「Skin」または「皮」という経皮吸収勧告がなされているものを対象としましょうと。しかも、その中で、以前に経気道ではリスクは低いと評価されていたものでも、そこで経皮吸収が勧告されているものを特にもう一回見ましょうというところを、まずやっていきましょうということにしています。その中でも、生物学的モニタリングデータがあるものとないものとがあります。そういうところがありますので、そこは濃淡をつけて、まず、できるものからやっていこうというのが基本的なスタンスです。

○櫻井座長 よろしいでしょうか。

 ほかに何かございますか。

 特にないようですので、今年度の実績の中に今日の企画検討会の検討結果も盛り込んで完成させていただくようにお願いいたします。

 それでは、次に議事2について、事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料2-1を御覧ください。平成25年度からこの中期発がん性試験の対象物質の選定を行っておりまして、「2 平成29 年度中期発がん性試験対象物質の選定方法について」の(1)の基準で選ばれた物質について、製造・輸入量、性状、社会的な必要性、予算等を考慮し、絞り込みを行うということで、これまでに毎年6物質を選んでおりまして、来年度も同様に6物質を選んで実施する予定です。

 本日は、3の「(1)平成30 年3月22 日の企画検討会で選定方法を確認し、候補物質の選定を行う。」のところで、候補物質の絞り込みを行うこととします。その結果を踏まえ、発がん性評価ワーキンググループで、実際に試験ができるのかといったところについて、分析が可能か、試薬が買えるかなどの状況等を見ながら最終決定していくというものでございます。

 予定する物質のリストということで、遺伝毒性が強い物質と形質転換試験で陽性が出たものについては次の資料2-2-1に示しております。昨年度の企画検討会で議論が出ましたのが、グルコン酸カルシウム一水和物です。当時の意見としましては、「医薬、医薬部外品、食品添加物の用途が示されており、既に有害性評価が行われているのではないか。」という内容でしたので、当方で確認したところ、JECFAではグルコン酸については1998年にグルコン酸塩類のグループADIとして「特定せず」と評価しているということでした。よって、グルコン酸カルシウム一水和物につきましては、製造量等区分ではでしたが、次の資料では、落としております。

次に、ふるい分けした結果ということで、資料2-2-2をごらんください。大体1516物質ということになっております。この中から6物質を選んでいただくということになりますけれども、その中には平成28年度企画検討会候補物質ということで引き続き残っているものが5物質ほどございます。この5物質ほど残っているものにつきましては、最終的な確認等をいたしましたところ、それらの物質については、「試験を行うのが難しい」や「試薬の購入が難しい」などの問題があり、残っているということでございますので、できましたら、この16物質の中から試薬が買えるか、試験ができるかといった状況を確認しながら行っていただくのが、先ほどの資料2-1の考え方から見ても適当ではないかと事務局としては考えております。御検討をよろしくお願いいたします。

○櫻井座長 ただいま、資料2-1に記載された内容に沿いまして、事務局から選定方針についての説明がございました。その方針そのものについて、まず、御質問、御意見がございましたらいただきたいと思います。

 事実上、たくさんある候補の中から、資料2-2-2では製造・輸入数量が多いものが選ばれているということでありまして、さらにそのうち、28年度企画検討会の候補物質だった5物質は、事実上、困難性があるということで、これら以外のものを優先的に選ぶ方向がいいのではないかという事務局からのサジェスチョンも念頭に置きながら選ぶということですが、そういう方向性でよろしいでしょうか。

(異議なし)

○櫻井座長 それでは、残っている物質について上から番号でいきますと、10番、39番、43番、45番、83番、91番、94番、96番、98番、99番、100番、101番とございます。それと、やはり候補を選定する上で重要視されている製造・輸入数量が多いものというのを見ますと、それはこの表のちょうど真ん中あたりに製造量等区分というところでとか○とかがついているところをごらんいただいて、が下の注)にありますように10,000t以上、○が5,00010,000t、1,0005,000tとなっております。2つあって矢印で書いてあるのは、26年度が左側、27年度が右側ということでごらんいただいて、いかがでしょうか。

 まず、こののついているものを見ますと、一番下の101番のヘキサン酸が10万トンということで、26年度、27年度、両方とも。それから、その上のメタクリル酸エチルが2万トンでいずれも。この両方は液体ですが、ここへ挙がってきた理由としては平成29年度の形質転換試験で陽性であったということです。この2つが優先度が高いかなと、まず思われるところです。

 見ながら申し上げていきますが、その後、御自由にいろいろ御意見をいただきたいと思います。

 さらにその1つ上の99番の3,4-ジメチルフェノール、これは27年度が7,000トンということでかなり多いですね。その下に2,000トンと書いてあります。7,0002,000とに分かれているのはCAS番号が違っているということでしょうか。

○平川化学物質評価室長補佐 この物質につきましては、2つの化審法の官報公示整理番号を持っておりまして、それぞれの番号に対応する製造・輸入量を示しております。

○櫻井座長 わかりました。これは、2,000トン以上ということかもしれません。これも候補になるだろうと。

 このほかがついているのは上のほうの81番はもう28年度の当検討会で一応候補にしたけれども分析できないという理由と聞いております。先ほど、何らかの困難があるということで、これはですが今回は選択しない方向だろうということになりますと、945,000トンですね。酢酸亜鉛。○から○。これも今のように、まず、製造・輸入量でいきますと優先順位が高いということになりますね。

 そうすると、今まで挙げた4つをまず優先するとしますと、あと2つは横並びになっておりまして、いずれも1,000トンということでしょうか。失礼しました、43番が2,000トンですね。同じですけれども、これは1,000トンではなくて2,000トンなので、これも優先するということになれば、これで5つになります。

 そうしますと、残ったものは1,000トンで、その中から1つ選ぶというようなことになるわけですが、以上を見ていただいた上で、忌憚のない御意見を賜れればと存じます。内容等を見て、御意見があればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○漆原委員 連合の漆原でございます。今、座長からのご発言は、まさにそれはそのとおりだと思っておりますが、その一方で、試験ができなかった、いわゆる28年の対象物質でになっているものが何故なのか疑問があります。

 例えば100番のメタクリル酸エチルは引火点が極めて低い液体であるため、そういった特性の物質だと評価がむつかしいということであれば理解できます。それぞれの物質にできなかった理由があると思いますので、●のところが何でできなかったのかということを、もし簡単に伺えれば、今回、対象物質を選定するのが楽になるのではないかと思いました。

○櫻井座長 事務局、いかがでしょうか。

○平川化学物質評価室長補佐 28年度の企画検討会の候補物質でがついていて今回もリストに残っているものについて、順番に説明させていただきます。

 まず2番でございます。日本国内の試薬メーカー等の情報をインターネットで確認しましたところ、販売されていないという状況でございます。

 2つ目の物質、これは1,000トン未満ですが、昨年度●であったので抽出されたものと思います。これは量が少ないのでリストとしては落とされるべきものだと思うのですが、念のため申し上げますと、分析可能であれば実施可であるけれども試薬については二水和物あるいは水溶液として販売されているということでした。

 次に、40番、3-メチルベンゼン-1,2-ジアミンですが、これについては試薬代が非常に高いということで、前回は落としております。昨年と今回の状況について、試薬の状況を見たところ、昨年よりは若干安くなっているのではないかと推察します。

 次に、81番でございますが、水との接触でホルムアルデヒドに分解し、強い刺激性物質ということですので、実際に操作を行う側の方からいっても、これはちょっと難しいのではないかということでございます。

 次が、95番の硝酸バリウムでございますが、これについては分析の仕方が難しいということです。

 以上です。

○櫻井座長 これらは今後、全く俎上に上げないというわけではないけれども、どちらかというとそれ以外の、直ちに試験に乗せられる物を選ぶほうが効率的だということになるのでしょうね。

○平川化学物質評価室長補佐 そのように考えます。基本的には今回、がないものについて改めてまた精査いたしまして、場合によっては今回、優先順位が高いものでも、28年度のようなケースで試験等が難しいというものが出てくる可能性がございます。

○櫻井座長 そうですね。いずれにしましても、ここで選んだ候補物質について、その後、発がん性評価ワーキンググループで御評価いただき、さらに実施に当たって困難があるかどうかということで決まってくると理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。物質を見て、何か優先すべきかどうかというような御意見をいただければと思うのですが。

 今までに5物質を製造・輸入量で候補としておりますが、それについて特に御異存がなければ、それはまず決めさせていただいて、あと1つを決めるとしたら何かということになった場合、どうでしょうか。特殊なものとして上のほうに気体で一酸化窒素というものもありますが、気体はそもそもどうなのでしょうか。

○平川化学物質評価室長補佐 一酸化窒素について、状況を説明させていただきますと、一酸化窒素につきましては右側の法規制等の欄に記載があるとおり、一酸化窒素として試験をするというのは難しくて、酸化物である二酸化窒素について試験を行うことで代替することとし、現在、遺伝子改変動物を用いる発がん性試験を実施しております。また、中期発がん性試験では、気体の被験物質をこれまで取り扱っておりませんので、除外されるべきものと考えます。

○櫻井座長 除外になるのですね。

○平川化学物質評価室長補佐 はい。

○櫻井座長 10番の一酸化窒素は除外ということになります。あとは39番、45番、83番、91番、96番、98番と、6つありますね。その中で、どちらかというと、例えば分子量の小さいものを選ぶというような考え方もあるでしょうか。今、何かございますか。

○櫻井座長 45番とか83番とか91番のあたりは、割合、私としては気になるのですが、宮川委員から何か御意見はございませんか。

○宮川委員 いえ、今のところ決め手になるものが、なかなか。

○櫻井座長 そうしますと、備考のところで網かけになっているものは一応、行政指導の対象となっている物質で、今回、96番と98番はまだそういう形にはなっていないものですね。9698のどちらかを選ぶとしたらどうでしょうか。

 なかなか、どれか1つを選ぶというのは難しいですね。

○平川化学物質評価室長補佐 あと1つを決められないということでしたら、先ほど座長のほうでおっしゃっていただいた物質について、横並びとしてまた改めて試薬の状況等を調査させていただいた上で、最終的に決めていきたいという形にさせていただければと思います。また、先ほど試薬の有無ということで申し上げました2番と40番につきましても、あわせて、先ほど座長から提案のありました物質と横並びで、改めて試薬の状況等を確認させていただいて、候補ということで追加していくということでよろしいでしょうか。

○櫻井座長 そうですね。そうさせていただきたいと思います。

 この場では、あと1つについて優先順位をつける根拠がございませんので、5つの物質を選んだということで、それ以外については事務局あるいはワーキンググループ等で情報を追加した上で候補にしていただいて、その中から選んでいただくという方向に。事務局からの、そのような御提案でよろしいでしょうか。

(異議なし)

○櫻井座長 ありがとうございます。

 では、そのようにさせていただきます。

○平川化学物質評価室長補佐 それでは、事務局のほうから、物質の確認をさせていただきます。

 優先度の高い5物質について、まず、番号を申し上げます。43番、94番、99番、100番、101番。横並びでその次の順位として検討するものが2番、39番、40番、45番、83 番、 91番、96番、98番。

○櫻井座長 よろしいでしょうか。

 では、そういうことで、この議題については結論を得ました。

 ありがとうございました。

 それでは、次の議事に入ります。議事3について、事務局から説明をお願いいたします。

○上月査察官 25ページ、資料3「今後の発がん性試験の予定について」をごらんください。

 まず、「1 長期発がん性試験」の関係については、日本バイオアッセイ研究センターで実施しているものですが、昨年3月の企画検討会で初めて御説明したとおり、日本バイオアッセイ研究センターについては、耐震性能の不足ということがあり、平成32年度から耐震改修工事を予定しております。耐震改修工事前に実施できる試験数が限られていることから、長期発がん性試験については耐震工事前までに、ここに書いております4試験を行い、新たな対象物質での試験については平成31年度から予備試験、フィージビリティー試験を再開する予定としております。

 「2 肝中期発がん性試験」については、これはバイオ実施分は休止することになりますが、従前どおり委託事業として継続実施していく予定です。

 「3 遺伝子改変動物による発がん性試験」ですが、平成29年度から多臓器の標的性を調査するために開始したこの試験につきましては、耐震工事にかかわらないバイオの既存施設を改修して耐震工事中も継続する予定としているところであります。

 以上であります。

○櫻井座長 ただいま説明いただいたような状況になっておりますが、何か御質問、御意見はございますか。

 特にないようですので、その方針で今後の予定どおり進めていただくということでお願いいたします。

 では、次の議事に入ります。

 「平成30年度リスク評価方針(案)」について、事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 資料4-1、4-2に基づきまして、「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(案)」等について説明をさせていただきます。

 まず、資料4-1をごらんください。「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(案)(平成30年度)」でございます。「職場における化学物質の取扱いによる健康障害の防止を図るためには、事業者が自らの責務として個々の事業場でのばく露状況等を把握してリスクを評価し、その結果に基づきばく露防止対策を講ずる等の自律的な化学物質管理を適切に実施することが基本である。しかし、中小企業等においては自律的な化学物質管理が必ずしも十分ではないことから、平成18年度から、国は重篤な健康障害のおそれのある有害化学物質について労働者のばく露状況等の関係情報に基づきリスク評価を行い、健康障害発生のリスクが高い作業等については、リスクの程度に応じて、特別規則による規制を行う等のリスク管理を講じてきている。

 さらに、平成27年度に顕在化した、オルト-トルイジン等を経皮吸収することによる膀胱がん発生事案の教訓も踏まえ、化学物質の経皮吸収等についても反映したリスク評価を行っていく必要がある。

 このため、平成30年度においては、以下の方針により、化学物質のリスク評価を実施する。」としております。そこで、次のとおり、各検討会におけるリスク評価等の内容をお示ししております。順番に説明させていただきます。

 「1 各検討会におけるリスク評価」ということで、各検討会の役割を記載しております。

 初めに、「(1)化学物質のリスク評価に係る企画検討会」ということで、まず「リスク評価に係る方針の策定」で、平成30年度のリスク評価にかかる方針の策定を行うということで、これから検討する内容です。

 次に、「リスク評価対象物質の選定」ということで、物質選定の優先順位について整理し、明確化するとともに、過年度選定した物質について、測定手法開発の困難性、ばく露実態調査対象事業場数の不足、有害性情報の不足等が見られることから、選定に当たっての対応策を明記するため、「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方」を修正する。これは後の議題としております。

 次に、「スクリーニングとして行う中期発がん性試験の候補物質の選定」ということで、平成31年度に実施予定の中期発がん性試験(ラット肝中期発がん性試験)の候補物質を選定します。

 次に、「リスクコミュニケーションの推進」ということで、リスク評価に関する関係者間の相互理解を促進するため、労働分野におけるリスクコミュニケーションの実施について検討します。

 さらに、「通知対象物質の検討」については、労働安全衛生法施行令別表第9に追加すべきものがあれば、この企画検討会で検討していくことになります。

 次に、「(2)化学物質のリスク評価検討会について」でございます。化学物質のリスク評価の加速化を図るため、事業場におけるばく露実態調査は、経皮ばく露実態調査も含めて行っているところです。これを年間通じて実施し、初期評価と詳細評価の対象物質の中からリスク評価を行い、評価結果を「化学物質のリスク評価検討会報告書」として取りまとめ、また、経皮吸収による健康障害のおそれのある化学物質に関し、平成29年度に検討したリスクの判定方法を踏まえ、リスク評価を進めることといたします。

 2つの小検討会についても検討事項を記載しました。

 「有害性評価小検討会」においては、国内外の疫学、毒性等にかかる情報をもとに、リスク評価を行う物質の有害性評価を行うとともに、評価値について検討を行います。さらに、国によるがん原性試験(吸入試験)の結果についても評価を実施いたします。一方、有害性評価小検討会の下に設置した「発がん性評価ワーキンググループ」と「遺伝毒性評価ワーキンググループ」においては、発がん性に重点を置いた化学物質の有害性評価の加速化を図るため、既存の情報(知見)に基づく発がん性の評価を行うとともに、各種の発がん性スクリーニング試験(中期発がん性試験、遺伝子改変動物による発がん性試験、微生物を用いる変異原性試験、Bhas42細胞を用いる形質転換試験)の対象物質の選定と試験結果の評価を行うこととしております。

 「ばく露評価小検討会」におきましては、「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン」に沿って、化学物質の経皮吸収等にも配慮しつつ、平成30年度までにばく露実態調査を終了したものの中から評価を実施いたします。また、今後リスク評価を行う物質の測定分析法についても検討を行うこととします。

 次の「(3)化学物質による健康障害防止措置に係る検討会」では、健康障害発生のリスクが高い物質、作業等について、関係事業者、保護具メーカー等からもヒアリングを行うなどして、最新の技術開発動向や規制の導入に当たって考慮すべき事項を積極的に聴取し、円滑かつ適切な健康障害防止措置の導入を目指すための検討を行うこととしております。来年度におきましては、化学物質のリスク評価検討会において取りまとめられる報告書を踏まえ、物質ごとに健康障害防止措置の検討を行うとともに、その結果について、措置検討会報告書に取りまとめることとしております。また、労働者への健康障害のリスクが高いと認められる化学物質に係るばく露防止措置、労働者への健康障害のリスクが高いと認められる化学物質に係る作業環境中の濃度の測定及び評価の基準についても検討を行うとしております。さらに、有害性評価小検討会において行われる国のがん原性試験結果の評価及び職場における化学物質のリスク評価推進事業(ばく露実態調査)の成果を踏まえ、必要に応じ、労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づく指針(がん原性指針)に関連する技術的検討もここで行っていただくということでございます。

 次に「2 リスク評価に係るリスクコミュニケーションの推進」でございます。後ほどの資料でも説明いたしますが、概略を述べます。

 規制措置の導入に際して、パブリックコメントを通じて、国民の意見を積極的に募集するとともに、リスク評価の節目に意見交換会を実施し、意見交換を行うこととします。また、パンフレットの作成やホームページへの掲載などを通じて、国民にわかりやすい情報提供に努める。このほか、ばく露実態調査のために策定された測定・分析方法についても、積極的に情報提供し、事業者みずからのリスク管理の導入を支援することとします。

 以上が「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針(案)」です。

 次に、資料4-2を御覧ください。「平成30年度のリスクコミュニケーションの進め方(案)」です。

 リスクコミュニケーション(以下「リスコミ」という。)は、単に国が決めたリスク低減措置について一方的に説明を行い、その内容に理解を求めるものではなく、リスク評価の開始からリスク低減措置の導入に至る各段階において、利害関係者の双方向の情報交換や対話を通じて、相互理解を促進し、適正なリスク低減措置を取りまとめ、措置の円滑な導入を図ることを目的とするものです。

 このことから、来年度においても引き続き双方向の意見交換の促進を基本にリスコミを実施することとし、各段階において行政手続法に基づく意見募集も並行して実施するとともに意見交換会も開催することといたします。

 「1 パブリックコメント」について、「(1)実施時期」は、国におけるリスク評価において対象物質の追加選定、リスク評価を踏まえた健康障害防止措置の導入等が予定されていることから、各段階において行政手続法に基づく意見募集を実施することになります。規制を導入する直前ということになります。

 「(2)実施方法」は、専門家による検討会等における検討結果等の情報提供もあわせて行うこととし、パブリックコメントの実施について、関係事業者団体等への周知を行い、化学物質にかかわる者(製造・取扱いのみならず、流通や消費者も含む。)からの意見の提出の機会が確保されるよう配慮するとともに、ここで示された疑問、意見等に丁寧に対応することとします。

 「2 意見交換会」について、「(1)開催時期」ですが、リスク評価結果を踏まえた健康障害防止措置の検討及びその制度化に当たって、関係者の意見を幅広く反映させる観点から、次のテーマに沿って年間3回、リスコミを開催することといたします。テーマについてはリスク評価、健康障害防止措置の検討結果、労働安全衛生法施行令別表第9の追加を予定しております。「(2)開催要領(効率的・効果的な開催方策)」に関しましては、まず、平成29年度の状況を示しております。3回の会合では一般募集型の国のリスク評価全般やリスクアセスメント等の説明を目的とするリスコミとして、これに関する講演者の説明の後、当日参加者から募集した質問・意見に答える形でパネルディスカッションを行い、意見交換を実施いたしました。

 来年度におきましては、次の点に留意し、効率的かつ効果的な開催に努めることといたします。

 まず、「参加者の募集」ですが、地方開催については、特に参加者への周知が必要であり、化学物質にかかわる者に幅広な情報提供を行うことに留意する。

次に、「開催地及びテーマの設定」ですが、テーマごとに参加者の利便性を考慮した開催地を選定することが重要、来年度においても地方の事業者の参加が容易となるよう、東京のほか、主要地方都市での開催も検討する。関係事業者の参集しやすい場所、機会に開催することを考慮する、としております。

 次に、「会合の持ち方」ですが、開催時間は最大でも現在実施しているリスコミ時間(全体3時間、意見交換1.5時間)とする、意見交換の方式は、参加者から当日募集した質問・意見に答える形で、パネルディスカッションを行う現行方式が有効であると考えるため、出席者から意見・質問が出しやすいよう、あらかじめ質問・意見提出用シートを配付する方式とする、参加者については100名程度の会合とする、としております。

 「(3)その他」ですが、リスクコミュニケーションの普及促進の観点から、国は事業者や業界団体にリスコミの開催を呼びかけるとともに、事業者等の主催するリスコミへの講師派遣、資料提供等を行うなどして連携の強化を図ることとする。また、国はリスコミにかかるPDCAサイクルを成立させるため、リスコミの事業評価を行う必要がある。評価手法の一つとして、リスコミ会合参加者へのアンケートを行っているが、次年度においてもアンケートやパネラーへのインタビュー等の結果を踏まえ、ニーズにマッチした効率的・効果的な開催を行うこととする、ということで、アンケートの結果については、各委員にもお送りしているところです。

 次に「3 パンフレット」ですが、リスク評価対象物質の周知やリスク評価を踏まえた健康障害防止措置の導入に当たっては、その趣旨をパンフレット等に記載し、相互理解を促進するとともに、意見交換会で特に質問、意見が多かった議題、案件については制度改正を説明するパンフレットにQ&Aを掲載し、改定等の際に更新する等、情報提供の方法を工夫することが必要であるとしております。

 最後、「4 ホームページ」です。リスク評価に係る最新の情報を事業者、労働者にわかりやすく見やすい形で一層充実させ、提供することが必要であるということでございます。

 このような形で来年度、評価方針に沿ってリスク評価を行ってまいりたいと考えております。

 事務局からは以上でございます。

○櫻井座長 ただいま資料4-1と4-2に沿って説明がございましたが、いかがでしょうか。これらのリスク評価方針について、御意見をお願いいたします。

○宮川委員 リスクコミュニケーションについて、まず、参加者の募集のところ。資料4-2の2ページ、通し番号で32ページの上のほうですが、参加者の募集のところに「化学物質にかかわる者に幅広な情報提供を行うこと」と書いてありますけれども、今までの参加者の中には化学物質関係の事業所で働いていらっしゃる産業医の方がいたようなことがほとんどないような気がするのです。産業医の方々に参加していただけるような広報の仕方を、関係団体を通じてやっていただくのがよろしいのかなと。私は大阪のほうを担当させていただいていますけれども、化学物質を提供する側の事業者の方はよくいらしているようですけれども、使用者の直接の代表というのはなかなか難しいかもしれませんから、そこでそういうところの産業医の先生方に、ぜひ参加していただくのがよろしいのではないかと。

 それから、もう一点、下のほうでPDCAのことが書いてあります。意見を参考にしていろいろ改善をしていくという趣旨だと思いますけれども、ちょっと伺ったところだと、それぞれの説明が短くて、もう少し時間が欲しいというような趣旨のコメントが若干あったような気がします。ただ、全体3時間というところで今のディスカッションの時間を削るのもちょっともったいないですから、なかなか難しいところだと思いますけれども、ちょっと御検討いただければと思います。

○櫻井座長 ありがとうございました。

 今の御指摘について何かありますか。

○穴井室長 産業医の出席ということに関しては、うちの部内にも担当課があったりしますので、そことお話をして、どのような集め方がいいのかということもありますので検討したいと思います。

○櫻井座長 ありがとうございます。

 それと、説明の時間がもう少し欲しいというような御意見もありましたが、なかなか難しい点はありますね。必ず一部の方からはそういう意見が出るし、3時間が最適という判断も一つはあって、一応そういう御意見を承ったということで、検討課題としてお願いするということにしたいと思います。

 その他、何かございますか。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○櫻井座長 ありがとうございます。

 それでは、現在提示されている案を平成30年度の「労働者の健康障害防止にかかる化学物質のリスク評価方針」とすることにしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、今年度のリスク評価対象物質・案件の選定の考え方について、事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 リスク評価対象物質・案件の選定の考え方について、資料5を御覧ください。

 基本的には昨年度から記載ぶりが大きく変更しているところはございませんけれども、前回の企画検討会の中で有害物ばく露作業報告ができないでリスク評価が進んでいないというような意見等もございましたので、2の一番下、下線部のところを今回新しく追加しております。

 「また、必要に応じ、有害物ばく露作業報告を省略することができるものとする」ということで、その例として木材粉じん、溶接ヒューム、ナノマテリアルといったものを、有害物ばく露作業報告を省略することができる対象ということで、例示として挙げさせていただいております。

木材粉じんということですけれども、別添1(1)を御覧ください。「木材粉じんによる発がんに関する最近の文献調査」ということで、平成27年度の厚生労働科学研究の中で文献調査の結果がまとめられております。研究要旨のところに下線部がありますので、そこを読ませていただきます。「国際がん研究機関(IARC)が木材粉じんの発がん性に関する2009年までの文献を体系的に整理した結果を2012年にMonographs100cとして公表し、木材粉じんへのばく露による鼻腔・副鼻腔・鼻咽頭がんをGroup 1に分類した後も、国際学術誌に関連分野の原著論文やメタ分析が公表されていた。鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭のがんについては、IARCと同様に有意に相関するという結論であった。また、肺がんについて盛んに研究が実施されており、その結果は有意ではないとする論文が多いが、有意と結論づけているメタ分析もあった」ということです。これについては木材粉じんが、IARCGroup 1ということで分類されていて、実は昨年の企画検討会の中でも木材粉じんについてはIARCGroup 1になっているということで列挙はされているのですが、今後の検討ということになっておりました。

 これについては、このように厚生労働科学研究が取りまとめられて有害性の情報も集まってきております。では、ばく露の状況はどうかということで、独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所が行政要請研究として調査を実施しました。別添1(2) を御覧ください。この中の4~5枚目のスライドを御覧いただきますと、ACGIHTLV-TWAや米国NIOSHRELが1mg/m3 であるにもかかわらず、ばく露濃度が1mg/m3 を超えているものが何点か現に存在しているという状況がございました。既に木材粉じんについては、ばく露評価としては何かしらの対策をとらなければいけないようなレベルに来ているのではないかという状況にあるものと考えられます。

 内容等を見ると化学物質も関与している可能性もありますので、今後、化学物質のリスク評価の中で進めてまいりたいという例の一つでございます。

 次の、別添2「Carcinogenicity of welding, molybdenum trioxide, and indium tin oxide」を御覧ください。英文で申しわけございません。アーク溶接についてはUVが原因であるというようなところの記載も一部ございますけれども、それ以外の化学物質的な要因等、そういったところも英文の中で書かれているようですので、こういったものを詳細に見つつ、必要な対策、評価を行っていく必要があると考えております。溶接の関係といいますと、大体、団体等も絞られてくるのではないかということがあります。これは各リスク評価に関係する委員の先生方との協議、調整、御相談をいただく中で該当する団体が見つかれば、ばく露作業報告なしでも対応できる可能性があるので、そういった形で対応していければということで考えているところでございます。

 次に、別添3「ナノマテリアルのリスク評価の方針(平成23年12月「化学物質のリスク評価検討会」とりまとめ)」を御覧ください。前回の企画検討会でもナノマテリアルについてリスク評価が進んでいないという指摘がございました。「(参考1)ナノマテリアルのリスク評価の当面のスケジュール(想定)」には、ばく露実態調査を行うということで書かれているところではあるのですが、有害物ばく露作業報告を行うということが前提では、年間500キロ以上取り扱っていなければ、報告が上がってこないという状況もございます。

今回の「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方(案)」では、有害物ばく露作業報告を行わないルートで調査を行うことも可能と整理したいと考えております。

 有害物ばく露作業報告の物質の選定は、大体、毎年7~9月ごろに行っておりますので、またそれぐらいの時期に企画検討会で物質の設定等を御議論いただくことになるのではないかということで考えております。

 事務局からは以上でございます。よろしくお願いいたします。

○櫻井座長 方針について、若干の変更を提案しておられるわけですが、いかがでしょうか。もしも御意見があればお願いいたします。

○名古屋委員 今、木材粉じんと溶接と。ナノマテリアルは別にしても、今までのルールだと企画検討会で選定物質になって、12月に選定物質を出して、1年間の数量に応じて、次の年の1月~3月に報告書を提出するというのが例年の対応ですが、今年は委託で木材粉じんに関してもばく露濃度測定結果が出ているし、溶接についてはもう調査しなくても実態が明らかであるから、報告書の提出を飛ばして、リスク評価のための測定をすぐに実施するという形の考え方でいいのですか。

○平川化学物質評価室長補佐 明らかに大量ばく露がわかっているようなところについては、実態調査を迅速に進めていく必要があると考えますので、そうした物質・案件については、企画検討会でリスク評価対象物質ということで決めていただいて、あとの進め方については、ばく露作業報告なしでいくのか、有害物ばく露作業報告をきちんとやるのかというところのすみ分けは、この企画検討会でやっていただくというのも一つのやり方としてはあろうかと思いますけれども、実際に例示で挙げた3物質をどうやるかというのは、また今後検討させていただければと思います。

○名古屋委員 わかりました。ただ、そうすると、木材のようなものはもう、ある程度、安衛研がやっているデータが出ていて、ばく露が高いという報告が提出されているので、初期リスクを飛ばして、詳細リスクへ行き、詳細リスク評価の中で測定対象の作業場を選定するのですが、報告書から結構現場が限られているので、もう少し増やして詳細リスク評価に行くという考え方ですね。溶接なんかは当然、別段、IARCGroup1になっていても、今までじん肺則で規制をかけていますし。ましてや、これからマンガンなど、いろいろなもので規制がかかってくるから、あえて測定しなくても規制をかけられますねというような形の中で報告書の提出や初期リスク評価を省略していって、早いものはどんどん進めていこうという考え方と理解してよろしいですか。

○平川化学物質評価室長補佐 この検討会で、この3つの物質についてリスク評価を進めるようにということで御同意がいただけたということであれば、リスク評価検討会で進め方を検討するやり方はあろうかと思います。

○宮川委員 今、ここで議論してもいいということで伺ったので、その意味で、別添1(2) の4~5枚目のスライドを見ると、先ほども説明にありましたように、インハラブルでもってACGIHが1mg/m3 のところを既に研究所の調査では5とか6といった数字が並んでいる。その数字を見て、来年度やるかどうかを決めろということであれば来年度検討してもいいわけですけれども、一応承っておきますということで、このまま放っておくのは望ましいことではないだろうということで、ぜひ、私としては進めていただくのがよろしいかと思います。

 ただ、問題は、これは木材粉じんとしてはかっているだけですけれども、ちょっと見ると、木の質、かたい木、やわらかい木というようなことで、それによって発がん性に違いがあるかもしれないし、それから粒径など、これもインハラブルではかられたということですけれども、それでいいのかどうかという議論もあると思いますので、その辺はまだ技術的に検討することも残っているような気はいたします。

○漆原委員 労働者側としてもこの3つはぜひ実施していただきたいというところはそうなのですが、今の御意見にもあったように、一口に木材粉じんと言っても性質が異なるものもありますし、家具などの素材であるマホガニー、チーク、あとはエボニーやポプラも発ガン性があるとは思います。しかし、国内の製材所ですと、やわらかい木を加工しているところが多いですので、調査は硬い木を扱う家具等の製造工程のところを中心に実施するのか、あるいは一般的な製材所まで全部含めて調査するのでしょうか。粉じんの濃度もあると思いますが、扱う木材の種類なども勘案すべきです。この現場測定のところを見てみますと、45ページの上の四角の、例えば上から3つ目のところは、これはサーフェス作業なので、砥の粉みたいなもの塗った上でのグラインディングなので、木材以外の粉じんも一緒に吸引している可能性があります。

○穴井室長 今、先生方がおっしゃったとおり、ただ単に木材粉じんといっても原因が何かというのは非常にわからないところがありますので、多分、いろいろな論文がありますが、それをまず我々で色分けといいますか、ハード・ウッドからソフト・ウッドまで、いろいろあったりしますし、木くずそのものの影響なのか、それに含まれている化学物質の影響なのかなど、いろいろ、毒性の問題もあろうかと思いますので、その辺の基本的なところをまず検討していただいて、では、どこに焦点を置いて特にやりましょうという形で進むのかなと、今のところ我々はそう考えています。

○櫻井座長 よろしいでしょうか。

 基本的にはそういう方向で前向きに調べていく必要はあるという御意見と承りました。

 そのほか、何かございませんか。

○名古屋委員 ということはもう、確実に選定物質になるのだけれども、今までのように企業に対して1年間で500キロ以上だったからやりますよといってデータをとらなくても、もう、選定物質としてリスクに入っていいよというように考えてよろしいですね。それはありがたいです。

○櫻井座長 よろしいでしょうか。

 そのほか、特にございませんか。

 それでは、資料で示されているとおり、30年度の「リスク評価対象物質・案件選定の考え方」を採用するということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○櫻井座長 ありがとうございます。

 資料5「リスク評価対象物質・案件選定の考え方」を採用するということで御結論をいただきました。

 ありがとうございました。

 最後に、今後の予定について、事務局から説明をお願いいたします。

○平川化学物質評価室長補佐 事務局より、今後の予定について説明をさせていただきます。予備日として設定して既に御連絡させていただいておりました「平成30年度第1回化学物質のリスク評価に係る企画検討会」でございますが、平成30年度の第1回で検討する予定であった、本日の議事4、5の内容について合意が得られたところでございますので、この予備日につきましては開催しない方向とさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 来年度の予定ですが、リスク評価対象物質の選定、有害物ばく露作業報告対象物質の選定を7~9月に予定しておりますので、その時期が近づきましたら改めて第1回目の日程調整をさせていただければと思います。

○櫻井座長 今後の予定はただいまの御説明にあったとおりでございますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上をもちまして閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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