ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)> 令和元年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会議事録(2019年6月26日)

 
 

2019年6月26日 令和元年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

医薬・生活衛生局 医薬安全対策課

○日時

令和元年6月26日(水)15:00~

 

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター新館ホール11A

○議事

○医薬安全対策課長 これより、令和元年度第4回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開会いたします。本日、御出席の委員の先生方、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。本日の調査会は、御案内のとおり公開で行っております。カメラ撮りについても議事に入る前までとしておりますので、御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。傍聴の方々におかれましては、あらかじめお伝えしている留意事項の厳守をよろしくお願いいたします。
 次に、本日の委員の出欠状況です。調査会委員のうち柿崎先生から10分程度遅れるという御連絡を事前に頂いております。現時点で5名の先生方に出席していただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規程により、本日の会議が成立していることを報告申し上げます。
 次に、本日の調査会に出席していただいている参考人の先生方を紹介いたします。全て、議題1「フェブキソスタットの安全対策について」の関係で本日来ていただいております。50音順で紹介いたします。東京大学の小出大介先生です。次に、東京大学医科学研究所の森崎隆幸先生です。続きまして、医療法人財団順和会山王メディカルセンターリウマチ・痛風・膠原病センター長の山中寿先生です。また、本日は御都合により出席がかないませんでしたが、東京女子医科大学の谷口敦夫先生にも参考人をお願いしておりまして、後ほど、議題の中であらかじめ頂いている御意見を紹介させていただきたいと思います。なお、参考人の先生方、あるいは委員の先生方の御所属等に関しては、お配りしている名簿等を御覧いただければと思っております。
 それでは、この後、議事に入りますので、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。それでは、五十嵐先生、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 皆さん、こんにちは。これから議事を始めます。初めに事務局から、審議参加に関する遵守事項について説明をお願いします。
○事務局 それでは、事務局より審議参加について報告いたします。初めに、薬事分科会審議参加規程第5条についてです。「申請資料作成関与者である委員等は当該品目についての審議又は議決が行われている間、審議会場から退出する。ただし、当該委員等の発言が特に必要であると分科会等が認めた場合に限り、当該委員等は出席し、意見を述べることができる」と規定されております。山中参考人におかれましては、フェブリク錠の申請資料作成に関与している旨の御申告を受けておりますが、日本痛風・核酸代謝学会の代表者として、その発言が特に必要であるため、御意見を伺いたいと思いますがいかがでしょうか。
○五十嵐座長 事務局の説明のとおり、山中参考人の御意見は特に必要と考えますが、委員の先生方いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、異議がないということで、山中参考人から御意見を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。本件の取扱い及びその他の審議参加に関する遵守事項について、改めて事務局より説明をお願いします。
○事務局 それでは、議題1の審議については、山中参考人におかれましては御意見を述べていただき、審議又は議決が行われている間は会場から御退室いただきます。
 続いて、本日、御出席の委員及び参考人の方々について、議題(1)及び議題(2)の対象品目、競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄附金、契約金などの受取状況を報告いたします。競合品目・競合企業については、事前にリストを各委員にお送りして確認いただいております。柿崎委員よりエーザイ株式会社及びMSD株式会社から50万円を超える500万円以下の受取、興和株式会社、第一三共株式会社及びサノフィ株式会社から50万円以下の受取、舟越委員より帝人ファーマ株式会社、エーザイ株式会社、第一三共株式会社、田辺三菱製薬株式会社、キッセイ薬品工業株式会社、MSD株式会社から50万円以下の受取、谷口参考人より帝人ファーマ株式会社及び株式会社富士薬品から50万円以下の受取、山中参考人より帝人ファーマ株式会社から50万円を超える500万円以下の受取と御申告いただいたほかは、受取の申告はございませんでした。全ての委員におかれましては、意見を述べ議決にも加わることができます。また、参考人におかれましては、意見を述べることができます。これらの申告については、ホームページで公表させていただきます。
 続いて、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員から薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので報告いたします。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出していただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。審議参加に関する遵守事項についての説明、薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果の報告は以上です。
○五十嵐座長 ただいまの説明、特に審議参加に関する遵守事項に関して、何か御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。では、競合品目・競合企業の妥当性を含めて御了解をいただいたと理解したいと思います。それでは、事務局から、今日の資料の説明をお願いします。
○事務局 本日の資料について説明いたします。厚生労働省では、業務全体においてペーパーレス化の取組を推進しており、本調査会も資料はタブレットで閲覧する方式で実施いたします。各委員、参考人におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。まず、初めにタブレット端末の操作方法について説明いたします。お手元にはタブレットと操作説明書を配布しております。いずれも調査会終了後には事務局にて回収いたします。
 タブレットの表面にある丸いホームボタンを押していただき、画面が表示されたら再度ホームボタンを押してロックを解除してください。ホーム画面が表示されることを御確認ください。続いて、ファイルブラウザと書かれた青いアイコンをタップし、資料一覧が表示されることを御確認ください。資料を閲覧する際は、各資料のアイコンをタップしてください。資料のページをめくる際は、指を画面上でスライドさせてください。資料を切り替える際は、画面左上のマイプライベートファイルの文字をタップすることで、資料一覧のページに戻ることができます。その他の操作方法については、操作説明書に記載しておりますので、各位、御参照ください。なお、一定時間操作しない場合、画面がスリープ状態になるよう設定しております。スリープ状態になった場合は、再度、起動の操作をしていただくようお願いいたします。御不明な点や不都合等がございましたら事務局員にお申出ください。
 続いて、資料の説明をいたします。委員、参考人の皆様は、資料一覧のページを開いてください。本日の資料は、議題(1)について資料1-1~1-4、議題(2)について資料2-1~2-6、議題(3)について資料3-1となっております。また、「委員・参考人一覧」、「競合品目・競合企業リスト」もありますので、適宜、御参照ください。不足資料がある場合は、事務局員までお申出ください。以上です。
○五十嵐座長 委員の先生方から、何か御質問等ございますか。よろしいでしょうか。では、議題(1)「フェブキソスタットの安全対策について」の審議をこれから行います。初めに、事務局から概要について説明をお願いします。
○事務局 「フェブキソスタットの安全対策について」御審議いただきたいと思います。資料1-1の概要及び資料1-2の調査結果報告書をメインに説明いたします。
 資料1-1を御覧ください。1.品目の概要です。フェブキソスタットは、フェブリク錠という販売名で、帝人ファーマ株式会社が製造販売しており、尿酸生成抑制薬です。本件については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構から調査結果報告書が提出されております。
 2.経緯です。今回の検討に至った背景・経緯について説明いたします。2009年2月、米国においてフェブキソスタットが承認され、FDAは本薬の承認審査において心血管イベントの発生割合が対照群と比較して高い傾向が示唆されたことから、製造販売後臨床試験(CARES試験)の実施を指示しました。2011年1月、本邦において本薬が「痛風、高尿酸血症」の効能・効果で製造販売承認がされ、その際、国内臨床試験では対照群と比べて本薬群で心血管イベントの発現割合は特段高い傾向は認められなかったものの、欧米の対応等を踏まえ、特定使用成績調査にて心血管系リスクについて情報収集することが指示されました。
 2017年11月、FDAは、CARES試験の結果においてアロプリノールと比べ本薬において心血管死のリスクが高かったことから、2019年2月に心血管死に係る注意喚起を記載する添付文書の改訂を指示しました。具体的には、Boxed Warningにて心血管死について注意喚起するとともに、本薬の使用をアロプリノールによる治療が効果不十分又は忍容性が無い患者に限定しています。上記の海外での動向及び2019年5月に特定使用成績調査の結果が提出されたことを踏まえ、本邦における安全対策について検討することとした。
 なお、EUでは、欧州医薬品庁により本薬の心血管系リスクを評価する製造販売後臨床試験(FAST試験)を実施中です。現在、添付文書では、special warnings and precautions for useにて虚血性心疾患又はうっ血性心不全の患者への投与は推奨されない旨が記載されておりますが、心血管死に係る添付文書の改訂は現在、実施されておりません。
 3.調査結果です。(1)CARES試験の概要です。CARES試験は、心血管疾患を合併する痛風患者を対象に本薬とアロプリノールの心血管アウトカムを比較することを目的に実施された二重盲検無作為化試験です。主要評価項目は、①心血管死、②非致死性心筋梗塞、③非致死性脳卒中、④不安定狭心症に対する緊急血行再建術のいずれかの発現です。
 CARES試験の詳細については資料1-2の4ページの表1を御覧ください。一番上の行の主要評価項目に関しては、アロプリノール群に対する本薬群の非劣性が示されております。2行目からは、副次評価項目です。主要評価項目の4つのイベントのうちの1つ目の心血管死の発現割合は、アロプリノール群と比較して本薬群で高く、また、ほかの3つのイベントと緊急血行再健術以外の3つの複合エンドポイントでは同程度でした。また、全死亡の発現割合も、アロプリノール群と比較して本薬群が高かったとなっております。表2において、心血管死の内訳が示されております。
 資料1-1に戻ります。(2)国内外の公表文献です。本薬の心血管系リスク及び死亡リスクを評価した臨床試験・疫学研究、メタアナリシスの公表文献を抽出しました。抽出された7報のうち、1報については、対照群と比較して本薬群で心血管死の発現割合が高いとする報告がありましたが、ほかの6報では、対照群と比較して本薬群で心血管系リスク又は死亡リスクがあるという報告はありませんでした。
 (3)特定使用成績調査です。本邦で本薬が承認されたときに課された特定使用成績調査の結果です。2012年4月から2018年6月までの間に、安全性解析の対象集団として3,245例が収集され、脳血管死及び心血管死の発現例数は35例で、調査開始時の想定例数と同程度でした。続いて、(4)国内副作用報告です。機構に報告された重篤副作用397例555件のうち、心血管関連事象の報告は63例70件(転帰死亡は18例18件)でした。心血管疾患の合併のある症例、本薬と同時期に使用した併用薬がある症例、同時期に発現した他の有害事象が起因となっている可能性がある症例等の因果関係の判断が困難な症例も含まれておりますが、報告された副作用情報からは、本薬と心血管関連事象又は死亡との因果関係が否定できない症例はありませんでした。
 4.対応方針です。上記の調査結果を踏まえ、本邦においては、以下のとおり安全対策を講じてはどうかと考えております。(1)本薬の位置付けを変更する必要性についてです。以下の理由より、現時点で本薬の適用患者を限定する等の本薬の位置付けを変更する措置は必要ないと判断します。まず、1点目は、CARES試験の結果はプラセボとの比較ではなく、本薬群とアロプリノール群との相対的なリスク比を示したものであり、アロプリノールは心血管系イベントを抑制するとの報告及び全死亡を低減するとの報告もあることを考慮すると本薬自体が心血管死のリスクを高めると必ずしも解釈できないと考えます。
 2点目は、一般に心血管系リスクは欧米人と比較して日本人で低いとの報告があり、東アジア民族において、本薬群とアロプリノール群で心血管イベント及び心血管死において差が認められていないとの研究報告があることを踏まえると、アジア民族の組入れが3%であったCARES試験でのアロプリノールと本薬の心血管死のリスク差が日本人に外挿可能か否かは不明であること。3点目は、本薬とアロプリノールの心血管リスク又は死亡リスクに差異はなかったとする人口ベースコホート研究が複数報告されていること。4点目は、CARES試験において本薬の尿酸降下作用は認められており、本薬の尿酸生成抑制薬としての有用性は否定されていないこと。以上の4点から、本薬の使用をアロプリノールによる治療が効果不十分、又は忍容性がない患者に限定する必要はないと考えます。
 (2)添付文書における注意喚起の必要性についてです。CARES試験の結果は一定の精度下での結果であり、また、認められた事象が心血管死という重篤な事象であることを踏まえ、添付文書の「その他の注意」にて当該試験結果について情報提供するとともに、「重要な基本的注意」において予防的観点から心血管疾患の発現について注意喚起をする必要性があると判断します。具体的な改訂案は資料1-2の19ページにありますので、併せて御確認ください。
 (3)今後の対応についてです。日本人における本薬の心血管系イベントに関する情報収集及び評価を行うために、データベース調査等で、本薬と他のアロプリノール等の尿酸生成抑制薬における心血管系の事象の発現の発生について比較する等の情報収集を検討するよう予定しております。
 (4)類薬における注意喚起の必要性についてです。本薬と同様にキサンチンオキシダーゼ阻害作用を有するトピロキソスタット(効能・効果:痛風、高尿酸血症)については、審査時点で心血管死リスクの懸念が示されておらず、キサンチンオキシダーゼ阻害作用と心血管リスク発現の関係は不明であるものの、CARES試験において類薬で差が認められた事象が心血管死という重篤な事象であることを踏まえ、添付文書の「その他の注意」において当該試験結果について情報提供をする必要性があると判断します。フェブキソスタットの安全対策についての説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 今日は3名の先生に、参考人としておいでいただいております。初めに、小出参考人から、御意見を頂きたいと思います。
○小出参考人 東京大学の小出でございます。私は臨床研究支援センターの安全性情報部門長も兼務しているのですが、こういうリスクの評価は日頃の仕事の中でもなかなか難しいと感じているところです。
 今回のフェブキソスタットの心血管死に関して、まず、1点目のCARES試験についてです。これはFDAがもともと臨床試験のデータを基に実施を依頼したという結果を受けて、その中で、全死亡が多かった。また、心血管死が多かったという事象自体は非常に重く受け止めるべきかと思います。ただ、CARES試験の患者背景などを見ると、両群でアジア人がそれぞれ3%しか含まれておらず、非常に少ないということ。日本のこれまでの臨床試験のデータを見ても、また、特定使用成績調査を見ても、特段、心血管リスクを上げるという懸念が得られていないということです。
 あと、もともと日本人においては、欧米と比べると心血管イベント自体が少ないということを考えると、本剤の安全宣言をするわけではありませんが、日本人に対してですが、心血管リスクを外挿できるわけではなく、FDAと同等の対応は必ずしも必要ではないと、私も考えるところです。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。森崎参考人から、御意見を頂きたいと思います。
○森崎参考人 東京大学医科学研究所の森崎です。私は循環器疾患領域の立場から、この問題、この課題について意見を申し述べさせていただきます。まず、高尿酸血症、痛風は、心疾患のリスクであるということは医学的にこれまでも指摘されております。したがって、心血管疾患のリスクのある人、あるいは、現に疾患を有している人に対して、尿酸値を下げる薬として尿酸生成抑制薬は実臨床で使用されているところです。アロプリノール並びに、今回挙がっているフェブキソスタットの両剤、プラスほかの薬が使われているところです。
 CARES試験自体は、米国で承認の際に提起された心血管死との関係を検証するために行われた割付け試験です。結果は、心血管死はフェブキソスタットのほうが多いというとなっております。一方で、参加者のかなりの人数が、この研究の過程の途中で脱落しているという問題は論文の中でも指摘されているところです。したがって、この論文の結果だけをもって尿酸生成抑制薬としてのフェブキソスタットの有害事象を取り上げるということは、必ずしも、これだけのデータを根拠にするのはまだ少し不十分ではないかということを考えるわけです。
 また、既に小出参考人から御指摘がありましたように、日本人においては、糖尿病、心血管病と血管障害の頻度は、欧米に比べると遺伝的に少し違いがあるということは指摘されているところですし、今回の対象は、既に心血管疾患を持った方で、なおかつ、かなりはっきりとした痛風と診断される患者に対して割付けを行ったところです。先ほども述べましたように、高尿酸血症や尿酸値が高いということ自体が心血管疾患のリスクになるという医学研究の結果から、それを下げるという目的でアロプリノール、あるいはフェブキソスタット等を使用するということは医療上かなり根拠のあることを考えると、それを使うべきでないということを示すためには、今回、アロプリノールとフェブキソスタットの2者の比較試験であり、フェブキソスタット自体の心血管疾患、あるいは心血管系リスクをどう高めるかということを検証した試験ではないということも踏まえると、このことだけをもってフェブキソスタットを使うべきでないという結論は、まだ早いのではないかと思います。
 一方で、この事例は、個々の患者さん、使用を予定している患者さんについてのことを予測するわけではありませんので、特に、欧米で認められる場合に該当するような方について全く問題がないという安全宣言ができるものではありませんし、欧米とひとくくりするのも少しよくないのかもしれませんが、アメリカでのCARES試験に加えて、欧州でも現在、検討が進められているところですので、その結果を待ち、また、なおかつ、既に国内での使用後の検討についてもデータが少し出ておりますが、それについても再検討した上で最終的に判断すべきではないかと考えます。
 したがって、現時点では、直ちにフェブキソスタットを使うべきではないという結論ではありませんが、この事象を、実施医療機関に対して広く知らしめるという意味で、添付文書の中で、この事象について紹介して知らせるということは有用ではないかということを考えるわけです。私からは以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。続いて、山中参考人から、御意見を頂きたいと思います。
○山中参考人 山中でございます。私は痛風、高尿酸血症を長年診療してきた立場、それから、高尿酸血症、痛風の病因、病態を研究してきた立場から意見を述べさせていただきます。現在、この対応方針については、本剤の位置付けを変更する必要がないということに対しては賛同いたします。というのは、フェブキソスタットは2011年に発売されましてから、有効性・安全性ともに非常に高く非常に使いやすい薬剤であるということで、日常の診療でも非常に多く使われております。現在では、アロプリノールを上回る量で処方されております。
 その1つの理由は、アロプリノールのように腎排泄性だけではなく肝排泄性ですので、腎障害があっても、ある程度使える。アロプリノールの場合は腎障害があると低用量から始めるというのがコンセンサスになっており、そこが1つのバリアになっておりましたが、フェブキソスタットではその危険が少ない。
 もう1つは、病型分類という、いわゆる排泄低下型、尿酸産生過剰型が不要であるというところも1つポイントです。少し長くなりますが、なぜ、病型分類が必要であったかということになると、尿酸降下薬には2種類あります。特に産生過剰型に排泄促進剤を使うと尿路結石の頻度が増えるという懸念あります。それから、排泄低下型は尿酸の排泄が低下しているわけですが、アロプリノールは、プリン骨格を持っていて尿酸に非常に近い構造をしております。
 尿酸の排泄が低下する個体においてはアロプリノールの排泄も低下する可能性があり、それが副作用につながる可能性があるということで、アロプリノールとベンズブロマロンの2剤体制のときは、病型分類が推奨されておりましたし、私もそういうことを推進しておりました。ところが、フェブキソスタットにおいては、プリン骨格を持っておりませんので、病型分類にかかわらず尿酸値を低下させて安全であるということが、既に我々が行った「FORTUNE-2」という臨床試験において明らかにしております。そういうことがあり、フェブキソスタットの使用頻度が増えているのは、この薬剤が非常に優秀なものであると我々も信じているからです。
 今回のCARES試験の結果ですが、先ほどからも御指摘のあるような点がいろいろあり、実は世界の痛風や高尿酸血症の専門家の間でもかなり批判があります。というのは、結果に対して、まだまだ十分な検証ができていないのではないか、中には、中止後に心血管死が起きているという報告、サブ解析もあります。こういう薬剤を中止した後のリスクに関しても、これからまだまだ検討するべきではないかということであり、そういう疑問が出てきております。
 それから、もう1つ指摘しておきたい点があります。アロプリノールのHyper sensitivity syndromeの問題です。スティーブンス・ジョンソンシンドロームを初めとする重篤な湿疹がアロプリノールでたまに出るのですが、HLA-B*5801と強くリンクしているということが明らかになっております。そのHLA-B*5801を持っている頻度なのですが、欧米人はそのアレルギーを持っている頻度が0.4%、日本人も0.4%です。ところが、中国人は7%、台湾人は10%ということで、アロプリノールを使うことに対してアジア民族は非常にリスクが高いということも言われております。
 ですから、フェブキソスタットを安易にアロプリノールに切り替えるようなことがあると、こちらのリスクを高める可能性が否定できないという点もあり、現在のところ、帝人ファーマのPMSでも、そのようなシグナルが、心血管疾患のリスクが日本人で上がっているということがない限り、軽々しく切り替えるべきではないと思います。
 もう1つ指摘させていただくと、日本では高尿酸血症の時点から、ガイドラインで尿酸値が非常に高いと、こういう薬剤の使用が推奨されております。ところが、欧米では、重症の痛風だけ尿酸値を下げるというガイドラインになっております。その結果として、非常に面白いデータがあるのですが、フェブキソスタットの臨床試験、フェーズ3の試験を日本人と米国人のベースラインのデータで見ると、米国人の場合は、痛風結節という重症の痛風の1つのマーカーを24%の人がベースラインで持っていました。ところが、日本人では、臨床試験に入る人で1.3%しかそれがなかったということです。日本の痛風患者が軽症であることに比べて、米国の痛風患者は全部、かなり重症の患者さんが多い。すなわち、長く痛風を放置して、いろいろコ・モビリティも多いという患者さんが対象になっている可能性があると思います。実に、CARES試験に組み込まれたのは、そういう患者さんである可能性があり、少なくとも、現在、日本で我々が治療している痛風患者さんとは大分、ポピュレーションが違う可能性が高いと思います。
 先ほどお示しいただきました対応方針に関しては、賛同するものです。また、この情報は森崎参考人も御指摘されましたように、公開するべきであろうと考えますので、適切な方法で公開されることを望みます。
 ただ、1つ疑問があります。類薬ですが、確かにフェブキソスタットでこういう報告がされているわけですが、トピロキソスタットに関してはそういう報告はまだないと思います。キサンチンオキシダーゼということで類薬ということになると、アロプリノールも含まれるのかと思ってしまうのですが、そこで、トピロキソスタットだけが類薬とすることは少し違和感があり、それはいかがなものかと先ほど感じました。以上です。
○五十嵐座長 後任の3人の先生からの御意見を頂いたわけですが、それ以外に東京女子医科大学の谷口先生からも書面で御意見を頂いておりますので、御紹介いただきたいと思います。
○事務局 谷口先生から書面で頂いておりますので、内容を読み上げさせていただきます。「CARES試験の結果を踏まえたフェブキソスタットと添付文書改訂についての私見」ということで頂いております。1つ目として、「CARES試験について」です。CARES試験の結果では2次エンドポイントながらフェブキソスタットがアロプリノールに比べて有意に全死亡及びCV死が多いという結果であった。既に指摘されているように多くの問題のある試験であるが、NEJM誌に掲載された論文であり、試験の欠点のみをもって結果を軽く扱うべきではないと私は考えている。
 この問題が大きく取り上げられたもう1つの理由は、試験に対するいろいろな問題点が指摘される中で、アメリカリウマチ学会が2012年に作成した痛風のガイドラインで尿酸降下薬の第一選択としてアロプリノールとフェブキソスタットとしていたことに対して、CARES試験の結果をもってアロプリノールのみを第一選択とすることが示されたことである。この背景には、世界的に影響の大きい4つのガイドラインにおいて、アメリカのリウマチ学会以外の3つでは、もともと尿酸降下薬の第一選択をアロプリノールにしていたということも要因として考える必要がある。すなわち、ほかの3つでは第一選択を変える必要がない。ただし、アメリカリウマチ学会以外の3つのガイドラインでも、今後フェブキソスタットとCVリスクについて、より明確な記載が行われる可能性はある。
 2剤でのCV死の結果の違いについて、2剤が一酸化窒素に与える影響の差異を推測している報告もある。これはCARES試験の結果に理論的な根拠を与えるものかもしれない。アロプリノール過敏性症候群のリスクがない場合は、まずアロプリノールを用い、更にコントロールが必要な場合、心疾患があれば尿酸排泄促進薬を用いるようにすべきという意見もある。また、CARES試験にはいろいろな問題があるが、新たな検討結果が出るまではアロプリノール第一選択が妥当とする意見もある。
 2つ目として、「CARES試験の問題点」です。痛風患者を対象にして、CVリスクについて前向きの長期大規模な検討がこれまで行われたことがなかった。したがって、このような治験を行うについてのノウハウは、欧米の専門医ですら十分ではなかったと思われる。CARES試験の問題点は既に指摘されている。例えば、50%以上が脱落し、脱落の40%程度がVoluntary Withdrawalであった。痛風患者はもともとアドヒアランスが悪く、このような長期の試験で痛風患者の脱落を防ぐためには別に対策をする必要があったと思われる。両群とも試験を終了したのは約1,350人であり、薬剤をVoluntaryにやめたのは約300人であるので、両群で同じ脱落があったとしても結果に与える影響は無視できないのではないかと私は考える。
 ChoiらはCARES試験の欠点を幾つか示しているが、この中でも、試験中の痛風発作が詳細に示されていないことに私は注目している。通常、痛風では尿酸降下薬を徐々に増量する。尿酸降下薬投与開始後に生じる痛風発作をできるだけ抑制するためである。この試験では、血清尿酸値低下作用が強いフェブキソスタットは、まず40mg/日で投与し、2週後に目標値の血清尿酸値6.0mg/dLに達していなければ80mgに増量される。フェブキソスタットより血清尿酸値低下作用の弱いアロプリノールでは300mgで開始し、1か月ごとに100mg/日増量するという方法になっている。両群は痛風結節を20%有し、罹病期間10年以上の痛風症例である。ベースラインの血清尿酸値は十分に高く、試験開始2週間後の血清尿酸値6.0mg以下の症例はフェブキソスタット群で有意に多い。この試験では尿酸降下薬開始に伴い、全員に痛風発作予防としてのコルヒチンを投与したとある。しかし、Fig.2にはコルヒチン予防投与をしたのは10%程度と記載されているので、全員が服用したかはよく分からない。本文中に、gout flaresの頻度は両群で変わらなかったとあるが、gout flaresの程度は不明である。論文のFig.S2には経過中のNSAID useがあるとフェブキソスタットはアロプリノールよりもCV死のリスクが高く、NSAID useがないとリスクに差がないことが示されている。痛風発作の重症度が高ければNSAIDの投与量や投与期間は増加する。特に、心筋梗塞の既往がある症例では短期間の投与でも死亡が増加することが既に示されている。CARES試験は二重盲検比較試験でありながら、フェブキソスタットとアロプリノールの尿酸降下作用を比較した場合のdose escalationは同等ではなく、フェブキソスタット群において痛風発作の重症度が高かった可能性は否定できない。このことがFig.S2で示されるような、NSAID use 例においてフェブキソスタットでCV死が多かったことにつながった可能性はある。コルヒチン使用例でも差が見られているが、コルヒチン使用例は痛風発作がよく起こった症例であった可能性がある。痛風発作が生じてコルヒチンにNSAIDが併用された可能性は否定できない。この検討においてNSAID投与で統計学的に調整されたかどうかは不明である。このように、CARES試験はCVの発症を調べるのが目的の試験でありながらCVに関する痛風患者の要因が網羅されていないのが特徴である。今後の同様の研究では、CV発症に関わる痛風独自のリスク要因が評価されていないと、結果の解釈は困難であると思われる。CARES試験のlimitationsを重視する意見もある。
 また、CV死の多くが血清尿酸値中止後に生じていることは因果関係の解釈を困難にしている。尿酸降下薬投与中及び中止後30日以内の死亡103例のうち66例が尿酸降下薬中止後の死亡症例であった。このことのほうが、フェブキソスタットとアロプリノールのCV死の差よりも重要であるとの指摘がある。すなわち、アロプリノールかフェブキソスタットの選択ではなく、尿酸生成抑制薬の中止のほうがCV死について重要であるとの解釈である。
 最後に、CARES試験が罹病期間11年で20%が痛風結節を持ち、BMI33、体重97kg、心筋梗塞の既往と糖尿病が各々38%である集団に対して行われた研究であることも念頭に置く必要がある。
 3つ目として、「添付文書改訂についての私見」です。痛風治療の目標は関節内に沈着した尿酸塩結晶の縮小あるいは消失である。痛風は慢性腎臓病のリスク要因であり、慢性腎臓病を有する症例も多い。フェブキソスタットはアロプリノールに比べて血清尿酸値低下作用が強く、腎機能低下例でも、より使いやすい。コントロールが不良であれば、痛風発作の頻度も増し、NSAIDの使用も増える。CVリスクが高い痛風症例で、NSAIDの使用が増えるのは好ましくない。痛風患者においては尿酸塩結晶消失のために血清尿酸値をできるだけ6.0mg以下に保つ必要があり、尿酸降下薬を用いる理由はここにある。血清尿酸値の選択に当たっては、個々の症例の痛風の状況や合併症、併用薬を考慮して尿酸降下薬を選択する必要がある。CARES試験はアロプリノールとフェブキソスタットの選択の要因の1つにCVリスクがあることを示しているのかもしれない。長期罹患したコントロール不良の痛風で、かつ、CVリスクが高い症例において示された結果であることは念頭に置くべきである。フェブキソスタットに対する注意喚起のために痛風のコントロールが不良になったり、腎機能低下の症例にアロプリノールが優先して使われるような状況は避けるべきである。
 これらより以下を私見とします。「CVリスクが高い症例を含む痛風患者を対象としたCARES試験で、フェブキソスタットのほうがアロプリノールに比べてCV死が高かったという結果が示された。両剤の選択において、有効性、副作用、肝機能異常、腎機能障害、併用薬などとともに個々の痛風患者の持つCVリスクも考慮する」とのことです。
 一応、読み上げさせていただきましたが、この内容を頂いた後で確認させていただいたところでは、基本的に機構の改訂案に賛同するということを御意見として頂いています。
○五十嵐座長 これから審議に入ります。山中先生におかれましては、フェブキソスタットに関する審議及び議決が行われている間は、御退室をお願いしたいと思います。
                                (山中参考人退室)
○五十嵐座長 それでは御審議いただきたいと思います。委員の先生方から御意見、御質問はありませんでしょうか。
○柿崎委員 参考人の先生方に非常に詳細に説明していただいて、フェブキソスタットの取扱いについては参考人の先生方の御意見に異論はありません。最後に山中先生も述べられていましたが、トピロキソスタットの取扱いなのですが、海外の添付文書ではどのような扱いになっているのでしょうか。
○事務局 トピロキソスタットに関しては日本国内でのみ販売しておりまして、海外では販売されておりません。
○五十嵐座長 柿崎先生にお伺いしますが、森崎先生にも御指摘いただきましたが、類薬への記載というのはどのように考えたらいいのですか。
○柿崎委員 類薬というのは、3剤とも類薬になってしまいますので、アロプリノールのほうにも記載するのかどうかという点があります。それと、必ずしも類薬であっても同じような副作用が出るかどうかというのは言えないと思うので、その辺の取扱いは難しいところだと思います。
○五十嵐座長 そのほかに御意見、御質問はいかがでしょうか。
○舟越委員 この話と一緒なのですが、トピロキソスタットに関してはin vivoもin vitroも治験の段階でリスクがないということがコメントとしてあるので、載せなくてもいいのかなと思っています。
 あと、このフェブキソスタットの添付文書の改訂のところに話が飛んでしまうのですが、デザインの全ては見ていないのですが、CARES試験だけを載せて、ほかの6報は一応評価されているのであれば、現場で薬剤師として見るときに、この試験だけを見るというよりは、ほかの6報に関して、ボリュームがどうか分からないのですが、そういったものも載せていただけていると判断しやすいと思います。
○五十嵐座長 そのほかはいかがでしょうか。
○伊藤委員 先ほどの参考人の先生の御説明の中にも少し出てきたのですが、FDAとは今回は異なる対応をするという理由の1つの中に、一般に心血管系リスクが欧米人と比較して日本人は低いということを根拠にされていると思うのですが、そのことに関しては何か遺伝的な、そもそも心血管リスクを起こしにくい要因とか、あるいは例えばアロプリノールとかフェブキソスタットによる心血管リスクが起きにくいということなのか。その辺りについて、何か情報があれば教えていただきたいと思うのですが。
○事務局 まず、心血管リスクに関して、欧米人に比較して日本人が低いという根拠に関して御説明いたします。WHO等のデータに基づいて発出された心血管による年齢調整死亡率の国際比較の2013年のデータがあります。米国と日本で、年間10万人当たりで比べたデータで説明いたします。
 心血管疾患の場合は、男性の場合が米国で234人に対して日本人が132人、女性の場合が米国は114.5人に対して日本が48.4人です。要するに、米国と日本で比べて日本が約半分程度であったというところです。冠動脈疾患においても、男性が米国は128人、日本は43.8人です。女性が米国は48.8人、日本は11.5人ということで、こちらも米国に比べて低いというデータが出ております。遺伝的な要因などに関しては、森崎先生から補足などを頂けると助かります。
○森崎参考人 医学的な検討結果は事務局から言われたとおりです。遺伝的背景については、私はバイオバンクジャパンに関わっておりますが、その結果でも、日本人と、「欧米人」と一括りにするのは余りよろしくないと思いますし、人種によってリスクに関係するような遺伝的な変化のバリアントは同じではないという結果があります。
 さらに、今回の試験については、先ほど私も発言いたしましたが、対象とする患者は、薬剤を使っている患者あるいは使おうとする患者です。先ほど既に山中先生からも指摘されましたけれども、長期に高尿酸血症が続いていて、かなり強い痛風の症状を示している方を対象として通常は使われるのですが、リスクがある方には治療を推奨することが心血管リスクを減らすということを根拠にして、かなり強い、はっきりとした痛風結節を持つような患者でない場合にも、現在、治療として日本で用いられているということを考えると、その方々に対して違いがあるのかということは同等には扱えないということは言えるかと思います。
 もちろん、今申し上げたことは、対象となる治療を受ける可能性のある方々全体の話ですので、人種の違いと言っても、個人個人を見ると、もちろん日本人でもこういった条件に合致する方はおられる可能性はあります。したがって、今回の結果は全く意味のないものだということを申し上げるつもりは毛頭ありませんし、本当にかなり高い高尿酸血症で痛風の状態が長く続いている方、かつ心血管の変化があるような人で、本当に薬剤による違いがあるかどうかということをきちんと検証するための他の検討結果というものは今後も必要だと思いますし、そのことが全ての患者にとって安全に薬剤を投与するという根拠になるのではないかということは考えられるところです。以上です。
○望月委員 このフェブキソスタットに対する対応というのは、PMDAが検討されて、今回こちらの会議に提案されているような添付文書上の注意喚起の必要性があるということで、私も適切であるのかなと思います。
 その上で、この中の「今後の対応」の中の対応方針の4ページの(3)の今後の対応についてという所に関してなのですが、日本人で、今まで特定使用成績調査などでやって分母が分からない状態で見ているので、これからきちんと対照群を置いた形の解析をするという意味で、ここに「本薬の心血管系イベントに関する情報収集及び評価を行うためにデータベース調査等を検討する」となっていて、今注目されているところではあります。本日は、参考人として小出参考人がいらっしゃっているのでお聞きしたいのですが、まず今の日本人のデータベースで、きちんと心血管系イベントを把握することができるのかどうかということと、海外の結果で有意差がついたのは心血管死なので、その死亡をきちんと今のデータベースで調査ができるのでしょうか。私は素人なのでよく分からないのですが、そこを確実に行えないと、やる意味が半減してしまうという気がするので、お願いします。
○小出参考人 非常に重要な御指摘かと思います。私自身は、東大がMID-NETに参加するようになりまして、その最初の頃に担当としていろいろとバリデーションをしまして、急性心筋梗塞などのバリデーションはしたのですが、非常に大変であるというところはありますし、そこで特に重要な死亡がきちんと取れるかというと、そこは難しいかなと思います。
 私の同僚であって、現在、薬剤疫学会の理事長をされている久保田先生たちも、健保のレセプトデータを基に死亡のバリデーションをされたのですが、健保の中のアウトカムとして死亡と入っているもののバリデーションとしては、6割から7割ぐらいしかないと。それに加えて、保険者が保有している埋葬料とか、脱退の理由が死亡であるというような、紙情報によって何とか9割を超えるぐらいのバリデーションが得られるというような話になっています。
 ただ、バリデーションをMID-NET等を使って、死亡は別ですが、ある程度のイベントは追えると思っております。
○望月委員 私もイベントは追えるのではないかと思っていて、有意差が付いたのが死亡のほうだったので、相当きちんと計画をしてやっていかないと、意味のないことをすることになってしまうといけないと思っていますので、是非、日本人でしっかりと確認していただきたいと。先ほども、人種差の問題があるということでしたので、確認していただくことが大切なのかなと思っています。よろしくお願いします。
○五十嵐座長 ほかはいかがでしょうか。
○事務局 先ほど頂きました御指摘についてです。まず、類薬としたトピロキソスタットの今回の注意喚起の必要性に関する提案ですが、トピロキソスタットについては2013年に日本で承認されて海外では販売されていないようなお薬であって、十分な知見が得られていない状況でもあります。
 一方、アロプリノールはかなり古いお薬で、それをもってしても海外でこういった心血管系リスクの注意喚起がなされていないということもあり、トピロキソスタットには、まだ分からないような状況のところもあるので、情報提供をしていくことが適切ではないかといった御提案をさせていただいた次第ですが、先生方の御意見をお伺いできればと思います。
 もう一点、参考文献で、舟越先生から頂いた件ですが、今回、添付文書に記載するのは、米国で行われた製造販売後臨床試験ということで、リスクに関する内容でもあることから、記載するものです。それ以外のデータについては、企業からの資材等で医療現場に対する御説明はできると考えております。以上です。
○医薬安全対策課長 私も頂いた意見についてコメントさせていただきます。類薬の話としてのトピロキソスタットに関してです。今、事務局から説明したことに加えて、当時のトピロキソスタットの審査報告書を見ると、先ほど参考人の先生からも頂いていますが、類薬と言ってもアロプリノールとトピロキソスタットと今回のフェブキソスタットに関しては、排泄のところで、トピロキソスタットも今回審議していただいているフェブキソスタットと同様に腎臓に対しての心配はないという区分けができるという結果が出ています。キサンチンオキシダーゼ阻害という意味では、同じカテゴリーに入れるのですが、若干その中でも距離感という意味では、アロプリノールと、その他の2剤とでは違うのかなと思います。
 加えて、現状で国内での使用状況も、使用数量を含めて若干の違いがあります。確かに、情報を得る、シグナルを捕えるのが難しいという状況もあるのですが、今回提案させていただいているのは、資料1の最後に書いてあるとおり、フェブキソスタットについては、重要な基本的注意も含めた対応を考えているのですが、類薬のトピロキソスタットに関しては、我々は類薬と言えると思っていますので、少なくともそういった報告があるといったことの紹介は必要ではないかということで、今回は資料1の書きぶりをさせていただいております。
 論文の紹介の仕方についてはいろいろな方法があると思いますので、やはりCARES試験とは若干の濃淡を付けた形での提供がふさわしいかなと考えているところです。
○五十嵐座長 いかがでしょうか。
○舟越委員 よく分かりました。ありがとうございました。フェブリク錠、フェブキソスタットのほうは、もともとリスクマネジメントプランのほうでも特定されたリスクで記載はされていまして、トピロリックのほうはRMP自体が見当たらないですか。ありますか。
○事務局 トピロキソスタットについては、RMPの制度が始まる前に承認されたもので、RMPは作成しておりません。
○舟越委員 それなので、先ほどのキサンチンオキシダーゼというところの部分の薬効薬理のメカニズムから、潜在されたリスクという形であったら、現場的には、こちらはこうなのだ、あちらはこうなのだと分かるのと、追加の安全性対策がRMPのほうに更新されるのかというのも気になっているところです。それとも、添付文書の改訂だけで終わりにするのかというところです。
○事務局 RMPについては作成要件には当てはまらないので、RMP自体は作成の予定はありませんが、企業の安全性監視活動に関しては、類薬から想定される潜在リスクとして扱っていく予定です。あとフェブリクのRMPに関しては、今回の情報を踏まえて内容の更新をさせていただく予定です。
○望月委員 いろいろな結果が出ていて、今回はCARESだけが、死亡で差が出たという形なので、確かに先ほど舟越委員がおっしゃっていたように、その他の差がないというメタアナリシスをたくさんやって、そういうのもしっかりと見せていただけると、薬剤師が評価をしたり、医師が評価をするときに参考になると思うのです。そこで注意していただかなければいけないのが、ポジティブとネガティブの情報の伝え方が、企業にとっては微妙なところがあると思いますので、今回こういう結果が出てしまったという事実は事実として伝えていただき、その先はそれぞれの職能団体等で、もう少ししっかりとした何かコメントを出すなり何なりという対応のほうがバランス的には取れるのかと思って聞いておりました。
 それから、トピロキソスタットですが、今、事務局からも話があったように、先ほど山中参考人もおっしゃっていたように、明らかに構造式が違っていて、構造上で気になる分子も入っているのです。そこのところが、代謝物がどういうものが出てくるのかも分からないので、そこを見ていくと、もしかしたら何かあるのかもしれないということは、いつも私たちは気にしながら見ておく、差がないかもしれないし、もっと別のベネフィットがいろいろとたくさんありますから、そのバランスで考えると、ここで第一選択をアロプリノールにしてしまうとか、そういうことが適当だとは私も思っていませんけれども、気にしておいたほうがいいというインフォメーションを流しておいたほうがいいだろうと思います。
○五十嵐座長 そのほかはよろしいですか。そうしますと、類薬への注意喚起を含めまして、フェブキソスタットの添付文書については、事務局の提案どおり、使用上の注意を改訂するということでよろしいでしょうか。
                                  (異議なし)
○五十嵐座長 では、そのようにしたいと思います。それでは、フェブキソスタットに関する審議と議決が終わりましたので、山中参考人に御入室をお願いしたいと思います。
                                (山中参考人入室)
○五十嵐座長 今後の予定について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただきまして、ありがとうございました。添付文書改訂については、原案どおり認められたというところですので、ただいまの御意見を踏まえまして、フェブキソスタットとトピロキソスタットの製造販売業者に対して、使用上の注意を改訂するように指示したいと思います。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。ここまでについて、委員の先生方から何かございますか。では、小出先生、森崎先生、山中先生におかれましては、貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。これ以降の議題につきましては、先生方に御意見を頂く予定はありませんので、途中で御退席いただいても差し支えございません。どうもありがとうございました。
                              (参考人3名退室)
○五十嵐座長 では議題2、「添付文書記載要領の改正に伴う原則禁忌の取扱いについて」、審議をしたいと思います。事務局から概要について、説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より「添付文書の記載要領改正に伴う原則禁忌の取扱いについて」、御説明いたします。資料2-1を御覧ください。
 こちらの議題については、今年の3月11日の安全対策調査会におきましても、御審議いただいたものです。その続きのものになります。まず背景から御説明します。医療用医薬品の添付文書等については、「医療用医薬品添付文書の記載要領について」(平成29年6月8日付け薬生発0608第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)により記載要領の改正を行っています。
 新記載要領における主な改正点としては「原則禁忌」の項目の廃止、「特定の背景を有する患者に関する注意」の項目の新設などがあります。新記載要領は、平成31年4月より施行されまして、現在、各医薬品の添付文書等について、新記載要領に基づく改訂作業を順次、実施しています。
 続きまして、移行に当たっての論点を御説明します。「原則禁忌」の項目に記載されている事項は、基本的には「特定の背景を有する患者に関する注意」の項目に移行する予定です。しかし、中には「禁忌」の項目に移行することが適切と考えられる記載もあります。本日は、「禁忌」に移行すべきと考えられる記載のうち、フェニレフリン塩酸塩、エチレフリン塩酸塩、オザグレルナトリウム、スキサメトニウム塩化物水和物、精製ツベルクリンの「原則禁忌」の記載について御審議いただきたいと考えています。
 これらの記載については、事前に当該医薬品を主に使用する診療科に関連する学会から、医療現場における使用状況を踏まえて「禁忌」に移行することに対する意見を聴取しています。
 2ページ目に、参考の表があります。「原則禁忌」の取扱いに関する検討対象品目の一覧をお示ししています。また、資料2-2に、本日の審議項目をまとめています。「原則禁忌」全体の説明については以上です。
○五十嵐座長 はい、ありがとうございました。では、この件について御意見、御質問を頂きたいと思います。特にありませんか、よろしいですか。
○事務局 よろしければ個別の審議に移らせていただきたいと思います。
○五十嵐座長 では、説明をお願いいたします。
○事務局 はい、それでは個別の品目の説明をさせていただきます。資料2-3、「フェニレフリン塩酸塩及びエチレフリン塩酸塩」について説明させていただきます。フェニレフリン塩酸塩、エチレフリン塩酸塩の効能・効果は、フェニレフリン塩酸塩については各種疾患若しくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助療法、発作性上室頻拍、局所麻酔時の作用延長です。エチレフリン塩酸塩については、起立性低血圧、各種疾患若しくは状態に伴う急性低血圧又はショック時の補助療法とされています。
 「原則禁忌」の記載状況は、本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者です。この記載については、海外添付文書などで禁忌とされていることから、この度、「禁忌」に改訂することが適切と判断しました。2ページ目の6番に改訂案をお示しさせていただいています。この改訂案について事前に、日本循環器学会に御意見をお伺いしましたところ、改訂案に対して異議なしという御意見を頂いています。
 3ページ目に、実際の学会からの御意見、4ページ目以降には添付文書をお示ししています。資料2-3の説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 では、改めて先生方の御意見を頂きたいと思います。柿崎先生、これは内科では古くから使われている薬ですけれども、何か御意見がありますか。
○柿崎委員 実際、領域が違うので余り使用したことがないのですけれども、学会で特に改訂に関して異議がないようですので、よろしいのではないかと思います。
○五十嵐座長 はい、その他いかがですか。よろしいですか。では議決を取ってもよろしいでしょうか。フェニレフリン塩酸塩、エチレフリン塩酸塩の添付文書については、ただいま事務局が御提案されたとおり、「使用上の注意」に改訂するということでよろしいでしょうか。異議ないということで、皆さんから賛同いただいたと思います。ありがとうございました。では、これについて今後の予定を事務局から説明してください。
○事務局 はい、御審議ありがとうございました。フェニレフリン塩酸塩、エチレフリン塩酸塩の添付文書について、使用上の注意を改訂するように指示をいたします。
○五十嵐座長 はい、ありがとうございました。では次に「オザグレルナトリウム」について、御説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして「オザグレルナトリウム」について、御説明させていただきます。資料2-4を御覧ください。オザグレルナトリウムの効能・効果は、クモ膜下出血術後の脳血管攣縮及びこれに伴う脳虚血症状の改善、脳血栓症(急性期)に伴う運動障害の改善となっています。こちらの添付文書の「原則禁忌」の記載状況ですが、重篤な意識障害を伴う大梗塞の患者(大梗塞の患者は出血性脳梗塞が発現しやすい。)というものがあります。こちらの「原則禁忌」の記載について、現行設定されている「禁忌」と同義であると考えられるため、「禁忌」に改訂することが適切と判断しました。
 改訂案については、その下の6.を御覧ください。禁忌の中に「重篤な意識障害を伴う大梗塞の患者」という文言を盛り込むこととしています。こちらの改訂案についても、事前に日本脳卒中学会に御意見を伺いましたところ、改訂案に賛同するという御意見を頂いています。
 3ページは日本脳卒中学会からの御意見、4ページ目以降には添付文書をお示ししています。資料2-4の説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 はい、ありがとうございます。では、これについて御意見、御質問等、いかがでしょうか。特にありませんか、学会からも御了解済みであるということのようですので、議決を取りたいと思います。「オザグレルナトリウム」の添付文書については、事務局の提案どおり「使用上の注意」として改訂することでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。「異議なし」とさせていただきます。では、これにつきまして今後の予定を御説明お願いいたします。
○事務局 はい、御審議ありがとうございました。ただいまの御審議を踏まえまして、オザグレルナトリウムの製造販売業者に対して、使用上の注意を改訂するよう指示をいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。では続きまして、「スキサメトニウム塩化物水和物」について、事務局から説明をお願いいたします。 
○事務局 「スキサメトニウム塩化物水和物」について、御説明いたします。資料2-5を御覧ください。スキサメトニウム塩化物水和物の効能・効果は、麻酔時の筋弛緩、気管内挿管時・骨折脱臼の整復時・咽頭痙攣の筋弛緩、精神神経科における電撃療法の際の筋弛緩、腹部腫瘤診断時となっています。主に麻酔科領域で使用する医薬品です。
 スキサメトニウム塩化物水和物の添付文書の「原則禁忌」の記載状況ですが、重症の熱傷、広範性挫滅性外傷、尿毒症、四肢麻痺、ジギタリス中毒の既往歴のある患者あるいは最近ジキタリスを投与されたことのある患者(血中カリウムの増加作用により、心停止を起こすおそれがある。)という記載になっています。
 こちらの「原則禁忌」の記載については海外添付文書において「禁忌」とされていることから重症の熱傷、広範性挫滅性外傷、四肢麻痺については、「禁忌」に改訂することが適切と判断しました。改訂案は6番にお示ししています。重症の熱傷、広範性挫滅性外傷については、高カリウム血症となる期間が傷を受けた直後の急性期だけではなく、急性期を過ぎた後の期間であるということから、「禁忌」としては、急性期後の重症の熱傷、急性期後の広範性挫滅性外傷としまして、それ以外は「特定の背景を有する患者に関する注意」に移行することと考えています。また、尿毒症、ジギタリス中毒の既往歴のある患者あるいは最近ジギタリスを投与されたことのある患者の記載については、海外添付文書で「禁忌」とされていないことから、「特定の背景を有する患者に関する注意」の項に移行することが適切だと考えています。
 この改訂案について、事前に日本麻酔科学会に御意見をお伺いしたところ、改訂案について適正であると判断したという御意見を頂いています。また、本剤とジギタリスの併用を「禁忌」とすることに対して、日本循環器学会に御意見をお伺いしましたところ、ジゴキシン製剤とスキサメトニウムの項目は禁忌としないことを提案する、禁忌としないことがよいのではないかという御意見を頂いているところです。
 5、6ページ目に日本麻酔科学会及び日本循環器学会の御意見、7ページ目以降に添付文書を掲載しているところです。資料2-5の御説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。それでは、この件について、御意見、御質問等いかがでしょうか。
○舟越委員 スキサメトニウムのある現場でも、大分、使用量は本当に減ってきているので、こういった資料どおりだと思うのですけれども、添付文書の改訂の方針について、現場的に急性期後というのが、ちょっと違和感を感じています。軽快でも寛解でもなく、病院だと急性期、慢性期ではないのですけれども、急性期後というのが何日と定義付けられないのかなと。アメリカなどの、まだ読んでいないのですけれども、CONTRAINDICATIONSの所には、術後ではないですけれども急性期後、何日後にカリウム値がなどということを、欧州とアメリカでは、ちょこちょこと書いてあるような雰囲気なのですけれども、こちらは何かそういったことというのを、どこかに「その他の注意」などの解説のようなものは考えているのでしょうか。急性期後は、麻酔科医だけではなくて薬剤師も、今はオペ室にいたり等があるので、判断がちょっとつかないなと思います。重症度分類などであれば分かると思うのですけれども、この急性期後というのは、どういう判断で急性期後にしているのかを教えていただければと思います。
○五十嵐座長 どうぞ。
○事務局 急性期後に関して、具体的な数字を記載できないかという点については検討させていただきました。今回、改訂の根拠となりました欧米の添付文書の記載状況ですけれども、舟越先生からも少しお話がありましたとおり、資料2-5の1ページ3.海外添付文書の記載状況に関するところで、まず3.の米国記載状況ですが、7行目辺りに期間に関して記載されています。高カリウム血症のリスクに関しては、「受傷後、徐々に増大して通常7日から10日が最大となり、そのリスクは受傷部位、範囲により決められ、正確な時期や期間は明らかでない」とされています。
 一方、2ページの欧州添付文書のContoraindicationsですが、5行目から7行目辺りに該当の記載があります。欧州では「重度の外傷や熱傷から回復している患者が「禁忌」の範囲になっており、これらの患者では、受傷後5日から70日後の期間が、高カリウム血症のリスクが上昇している期間である。」と規定されています。ただ実際は、状態によっても、かなり異なるということが欧米ともに記載されていまして、添付文書に具体的な期間を設けることが難しいという状況でございました。
 本件について、日本麻酔科学会にも御意見をお伺いし、現場でもこういった患者に使用されるケースは多々あり、現行の記載のされ方で患者の状態に応じて医師が判断することが適切であると考えている旨の御意見もいただいたことから、今回の改訂案に至ったというところでございます。
具体的な期間について、添付文書でなかなか記載するだけの根拠がないというところではありますが、目安となる期間を医療現場の先生方に情報提供することは重要なことであると考えておりますので、情報提供資材等で情報提供することを検討したいと考えています。
○五十嵐座長 よろしいですか。では議決を取りたいと思います。スキサメトニウム塩化物水和物の添付文書については、事務局の提案どおり、使用上の注意を改訂することでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。「異議なし」とさせていただきます。では今後の予定について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 はい、御議論いただきありがとうございました。ただいまの御議論を踏まえまして、スキサメトニウム塩化物水和物の製造販売業者に対しまして、使用上の注意を改訂するよう指示をいたします。
○五十嵐座長 はい、ありがとうございました。続きまして、「精製ツベルクリン」について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 「精製ツベルクリン」について説明いたします。資料2-6を御覧ください。精製ツベルクリンの効能・効果については、結核の診断に用いるとされています。こちらの記載について、「原則禁忌」は6項目あります。このうち3番の蔓延性皮膚病にかかっているものを除いて、1、2、4、5、6については「禁忌」に移行することを当初検討していました。これに対する学会の御意見を3ページにまとめています。また、6ページから12ページに学会からの意見書をお示ししています。
 3ページの7.関連学会の意見を総称しますと、海外添付文書における「禁忌」は著しい副反応が生じる場合と検査自体が全く無意味である場合が含まれているが、現行の「原則禁忌」はこれに該当しない事項が含まれているということ、また、診断の記載「原則禁忌」を禁忌とした場合に診断に支障が生じる可能性があるという理由から、1、2、5については禁忌とせず、4番のように、ツベルクリン反応検査においてツベルクリン反応が水ほう、壊死等の非常に強い反応を示したことがある者、また6番のように、上記に掲げる者のほかツベルクリン反応検査を行うことが不適当な状態にある者のみを「禁忌」にすべきであるという御意見を頂いています。これらの学会の意見を踏まえ、8番に改訂案をお示ししています。
 併せて、この品目については「併用禁忌」の記載についても御審議いただきたいと考えております。4ページ目を御覧ください。現行の添付文書の「原則禁忌」の5番に記載されている「副じん皮質ホルモン剤」については、「併用禁忌」の項においても以下のとおり、「正確な反応が出ないおそれがあるので、本剤を使用しないこと」とされています。この「併用禁忌」については、現行の「原則禁忌」の対応する記載を「特定の背景を有する患者に関する注意」に移行すること、また関連学会の御意見を踏まえまして「併用注意」の項目に移行することとしてはどうかと考えています。こちらについても、併せて御審議いただきたく考えていますので、よろしくお願いいたします。こちらの「併用禁忌」に関する御意見は4ページの下半分、学会の意見書を13ページから18ページに掲載しているところです。19ページ以降に添付文書をお示ししており、最後の23ページについては、添付文書の生物学的製剤に係る添付文書上の項目の考え方をお示しした図を掲載しています。資料2-6についての説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。それでは、何か御意見、御質問等いかがでしょうか。
○望月委員 ツベルクリンではないのですけれども、生物学的製剤基準に載っているワクチンがあると思うのですけれども、製法の概要の所で鶏の卵を使用しているという製法になっているのですけれども、この鶏の卵を使用していることによって卵アレルギーの人などが「禁忌」になるということ、インフルエンザワクチンHAみたいなことは、特に何か言及する必要はないのでしょうか。
○事務局 御意見ありがとうございます。事務局よりお答えします。この「不適当な状態にある者」の中には、ニワトリの卵を製造工程で使用しているため、御指摘いただいた卵に対するアレルギーを有する者も対象に含まれるとは思いますが、それ以外にも海外の添付文書で禁忌とされている「広範囲の熱傷を負っている者」も含まれてくると思われます。最終的に、投与の必要性や適切性に関しては、それらも含めて総合的に勘案し医師が判断されるものと考えていますので、現在の添付文書上の記載としては現行の「原則禁忌」の記載どおりの表現で設定することが適切であると考えています。もし必要であるならば、添付文書以外の情報提供資材等も含めて、卵アレルギーに関する注意喚起をすることも検討したいと思います。
○五十嵐座長 いかがですか、よろしいですか。
○望月委員 はい。きっと、この検査をしっかりしないといけないという患者さんで、卵アレルギーの人もいるかなとは思いますので、それはきちんと、これは卵が原材料だということを明記されているということが伝わる形になっていればよろしいのかなと思いました。
○五十嵐座長 ほかはいかがでしょうか、よろしいですか。では、議決を取ってもよろしいでしょうか。精製ツベルクリンの添付文書については、事務局の提案どおり使用上の注意を改訂するということでよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。「異議なし」とさせていただきます。では、今後の予定について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 はい、御審議いただきありがとうございました。ただいまの御議論を踏まえまして精製ツベルクリンの製造販売業者に対して、使用上の注意を改訂するよう指示をいたします。
○五十嵐座長 はい、ありがとうございます。ここまで特に何かありますか、よろしいですか。
 では、議題3のその他に行きたいと思います。「コデインリン酸塩等の12歳未満の小児における使用の禁忌移行について」、事務局から説明をお願いいたします。
○医薬安全対策課長 先生、その前にちょっとお詫びの時間をいただきたいのですけれども、コデインリン酸塩に入る前に、お手元に本日あらかじめタブレットの中に入れておくべき資料がありまして、今からお配りしたいと思います。競合品目・競合企業リストの資料をいつもお付けしているのですが、タブレットの中に入れ忘れましたので、今、遅ればせながらですが、配布させていただきたいと思います。傍聴の方におかれては、当初からホームページ上にアップされていて入手可能になっているということで特に問題はないかと思っていますが、委員の先生方には、今日の資料としてタブレットの中に入れていませんでしたので、紙としてお配りさせていただきます。すみませんでした。それでは議題3ということでお願いいたします。
○五十嵐座長 では事務局、説明よろしいですか。
○事務局 はい、それでは「コデインリン酸塩等の12歳未満の小児における使用の禁忌移行について」、御説明します。資料3-1を御覧ください。こちらについては審議事項ではなく、報告事項とさせていただきます。
 経緯から御説明します。平成29年4月、米国FDAが、呼吸抑制の副作用の危険性などから、コデイン類及びトラマドールを含む医療用医薬品の12歳未満の小児等への使用を禁忌等とすることを発表しました。これを受けて、同年6月の平成29年度第3回医薬品等安全対策部会安全対策調査会において、我が国における安全性の評価と今後の対応を検討しました。その結論としては、予防的な対応として、コデイン類含有製剤及びトラマドール含有製剤が12歳未満の小児に使用されないよう、医療現場での周知や製造販売業者の準備のための経過措置期間を設定した上で、12歳未満に投与しない旨の注意喚起を行うことなどを結論付けました。
 この度、この経過措置期間が終了しましたことから、全てのコデイン類含有製剤及びトラマドール含有製剤について、12歳未満の小児を禁忌にするなどの使用上の注意の改訂を行うこととしましたので、御報告させていただくものです。
 3ページから11ページに具体的な改訂案、また12ページから18ページに平成29年度第3回安全対策調査会の資料の抜粋をお示ししています。資料の説明は以上です。
○五十嵐座長 はい、ありがとうございます。いかがでしょうか、何か御質問、御意見等ありますか。海外との比較という点では、2ページに、EUと米国での対応状況が記載されています。特段、御意見や御質問はありますか。
○医薬安全対策課長 今日の、今、見ていただいている12歳未満の取扱いに関する観点とは少し違うのですけれども、この措置はこの措置ということで、以前、御議論いただいた内容に即して、時期が来たということで対応させていただくということですが。加えて、コデインの関係に関しては、やはりいろいろ社会的にも話題と言いましょうか、少し指摘を受けているところです。今回の12歳未満の対応というものは、呼吸抑制に対する安全対策ということでの捉え方ということになります。一方で、コデイン類そのものが持つ作用と言いましょうか、そのプロファイルから見ても、使用に関しての依存と言うか濫用といったところに関しては市販薬にも広く含有しているということもあり、若干そういった指摘が出てきているところですので、また引き続きコデイン類の取扱いについて、実際の適正使用という観点での検討というものは、我々としても考えていかなければいけないと思っています。
 また、一方で市販薬等については、なかなか実際の販売の実態や使用の実態がつかみにくいところもあるのですが、何か良い方法があれば御相談させていただきたいという点を含めてこのコデイン類の取扱いに関して引き続き御協力いただきたいと思っている次第です。今日の本題とは違いますけれども、一言述べさせていただきました。
○五十嵐座長 ありがとうございます。これについてはMID-NETを使って調査をしていただいて、具体的な使用状況が明らかにされたのだと理解しています。何か委員の先生方から御意見はありますか、よろしいですか。特に御意見はないようです。どうもありがとうございました。
 今日、予定していました議事はこれで全て終了ですけれども、事務局から何かありますか。
○事務局 はい、本日も活発な議論を頂きありがとうございました。本日の議事録については、後日、送付させていただきますので内容の御確認をお願いします。なお、御確認いただいた後に、厚生労働省のホームページに掲載しますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。これで終了したいと思います。

 

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