ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)> 令和元年度第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会議事録(2019年5月31日)

 
 

2019年5月31日 令和元年度第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

医薬・生活衛生局 医薬安全対策課

○日時

令和元年5月31日(火)13:30~

 

○場所

厚生労働省共用第6会議室(3階)

○議事

○医薬安全対策課長 それでは、当初御案内していました定刻になりましたので、これより会議を始めたいと思います。本日は、令和元年度第3回医薬品等安全対策部会安全対策調査会でございまして、これより開会したいと思います。
まず、本日御出席の委員の先生方、そして参考人の先生方におかれましては、月末、しかも週末のお忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日の調査会は、御案内のとおり公開で行っております。傍聴の方々におかれましては、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解と御協力のほどお願いいたします。そして、あらかじめお伝えしております留意事項の厳守も、併せてお願いしたいと思います。
次に、本日の委員の先生方の出欠状況でございます。本日は、あらかじめ柿崎委員より欠席との御連絡を頂いております。したがいまして、調査会委員6名のうち、5名の先生方に出席いただいているところでございまして、薬事・食品衛生審議会の規定によりまして、本日の会議が成立しておりますことを報告申し上げます。
続きまして、本日は参考人の先生方に御出席いただいておりますので、今から紹介をしたいと思います。操作方法を説明する前なので恐縮なのでございますが、タブレットの中に委員と参考人の一覧を入れてございますので、それも御覧いただければと思います。まず下のボタンを2回押していただくと、フォルダーのようなものが出てまいります。その後資料が並んでおりますが、02という資料が委員・参考人一覧というタイトルでPDFファイルを用意しています。こちらを可能であれば見ていただきながら紹介をさせていただきたいと思います。
紹介する順番は、議題の順とさせていただきます。まず、議題1、メトホルミン含有製剤における禁忌「腎機能障害」等に係る「使用上の注意」の改訂についての関係でございますが、植木浩二郎先生に本日御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
議題2、抗コリン作用を有する製剤における禁忌「緑内障」等に係る「使用上の注意」の改訂についての関係で、相原一先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
議題3、一般用医薬品のリスク区分についての関係で、2つの品目を本日は扱いますが、まず紹介しますのは、眞木吉信先生でございます。よろしくお願いいたします。それから、矢野哲先生でございます。よろしくお願いいたします。それから、本日は御欠席でございますけれども、埼玉医科大学の石原理先生におかれまして、あらかじめ御意見を伺っておりますので、議題の中で紹介させていただきたいと思います。
最後に議題4ですが、要指導医薬品のリスク評価についての関係で、新井貞男先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。それぞれ議題の順番に行ってまいりますので、後の方の議題の先生におかれましては、この会議の中で少しお時間を頂く形になってしまいますが、御了承いただければと思います。
それでは、これより議事に入りますので、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしければ、以後の進行につきまして、五十嵐調査会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。では、早速議事に入りたいと思います。初めに、事務局から審議参加に関する遵守事項について御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より、議事参加について御報告いたします。本日、御出席の委員及び参考人の方々について、議題1から議題4の対象品目、競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄付金・契約金などの受取状況を報告します。競合品目・競合企業については、事前にリストを各委員にお送りして確認を頂いていますが、五十嵐委員より武田薬品工業株式会社から50万円以下の受取、伊藤委員よりアステラス製薬株式会社から50万円以下の受取、舟越委員より大日本住友製薬株式会社、ノバルティスファーマ株式会社、武田薬品工業株式会社、MSD株式会社、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社、小野薬品工業株式会社、第一三共株式会社、及びアステラス製薬株式会社から50万円以下の受取、相原参考人よりアステラス製薬株式会社から50万円以下の受取、新井参考人より久光製薬株式会社から50万円以下の受取、植木参考人より大日本住友製薬株式会社、ノバルティスファーマ株式会社、武田薬品工業株式会社、MSD株式会社、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社、及び小野薬品工業株式会社から50万円~500万円以下の受取、株式会社三和研究所から50万円以下の受取、眞木参考人よりライオン株式会社から50万円以下の受取と御申告いただいたほかは、受取の御申告がありませんでした。全ての委員におかれましては、意見を述べ、議決にも加わることができるとともに、全ての参考人におかれましても、意見を述べることができます。また、これらの申告についてはホームページで公表させていただきます。
続いて、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告します。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しています。今回、全ての皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を提出いただいており御負担をおかけしていますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。審議参加に関する遵守事項についての説明、薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果の報告は以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。ただいまの御説明に、何か御質問、御意見はございますか。よろしいですか。特にないようですので、競合品目・競合企業の妥当性を含めて御了解を頂いたこととしたいと思います。
では、事務局から今日の資料の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より、本日の資料について御説明します。厚生労働省では、業務全体においてペーパーレス化の取組を推進しており、本調査会も資料はタブレットで閲覧する方式で実施します。各委員、参考人においては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。
まず初めに、タブレット端末の操作方法について説明します。お手元には、タブレット、操作説明書を配布しています。いずれも、調査会終了後は事務局にて回収しますので、机上に置いたまま退室してください。
また、タブレットにはカバーが付いています。このカバーを外さないようにお願いいたします。
それでは、タブレットの表面にある丸いホームボタンを押していただき、画面が表示されましたら再度ホームボタンを押してロックを解除してください。すると、ホーム画面が表示されることを御確認ください。表示されない場合は、事務局員までお声掛けください。続いて、ファイルブラウザと書かれた青いアイコンをタップし、資料一覧が表示されることを御確認ください。資料を閲覧する際は、各資料のアイコンをタップしてください。資料のページをめくる際は指で画面上をスライドさせてください。資料を切り替える際は、画面左上のマイプライベートファイルの文字をタップすることで、資料一覧のページに戻ることができます。その他の操作方法については操作説明書に記載していますので、各位御参照ください。御不明な点、不具合などございましたら、事務局員までお申し出ください。
続いて、資料の御説明をします。委員、参考人の皆様は、資料一覧のページを開いてください。傍聴の皆様におかれましては、議事次第・資料一覧の2ページ目を御覧ください。本日は、議題1について資料1-1~1-4、議題2について資料2及び参考資料、議題3について資料3-1~3-3、議第4について資料4-1~4-2となっています。また、委員・参考人一覧、競合品目・競合企業リストもありますので、適宜御参照ください。不足資料がありましたら、事務局員までお申し出ください。以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。何か、御質問等ありますか。よろしいですか。
○事務局 すみません、事務局より先ほどの冒頭の発言について訂正をさせていただきます。審議参加に関する遵守事項についてですが、植木参考人よりのところで、株式会社三和研究所と申し上げてしまったのですが、正式には株式会社三和化学研究所になりますので、訂正させていただきます。失礼いたしました。
○五十嵐座長 ありがとうございます。そのほか、よろしいですか。では、議題1にいきたいと思います。メトホルミン含有製剤における禁忌「腎機能障害」等に係る「使用上の注意」の改訂について審議したいと思います。初めに、事務局から概要の説明をお願いします。
○事務局 よろしくお願いいたします。メトホルミン含有製剤における腎機能障害患者の禁忌等、乳酸アシドーシスに係る「使用上の注意」の改訂について、御審議いただきます。資料については、資料1-1の概要をメインに説明したいと考えています。
まず最初に、品目の概要です。メトホルミン含有製剤には、1日最高用量を2,250mgとするメトグルコに代表される製剤と、1日最高用量を750mgとするグリコランに代表される製剤があります。また、メトホルミンと他の成分との配合剤なども製造販売されており、メトホルミンは肝臓で糖新生を抑制するビグアナイド系の糖尿病治療薬となります。本件については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構から調査結果報告書が提出されています。
次に経緯です。今回、検討に至った背景、経緯について説明します。海外において、ビグアナイド系薬剤であるフェンホルミンによる重篤な乳酸アシドーシスの副作用が報告されて以来、国内及び海外において、同じくビグアナイド系薬剤であるメトホルミンの添付文書にて乳酸アシドーシスに関連する注意喚起がされ、腎機能障害患者について腎機能の程度に応じて使用が制限されています。今般、腎機能障害患者におけるメトホルミンの安全性に関する最新の科学的知見に基づき、海外の添付文書が改訂されたことを鑑み、日本糖尿病学会の賛同を得て、メトホルミン含有製剤の添付文書における腎機能障害患者及び乳酸アシドーシスの注意喚起について、見直しを検討することとしました。なお、日本糖尿病学会からの意見については、資料1-4に付けていますので、併せて御確認いただければと思います。
続いて調査結果の概要です。まず、国内外における規制の状況です。最初に、米国の添付文書です。腎機能の評価指標である推算糸球体濾過量(eGFR)で30未満の患者は、禁忌とされています。30以上45未満の患者は、投与開始を推奨しないとなっています。英国での添付文書では、eGFRで30未満の患者に禁忌というのは米国と一緒ですが、加えて最高用量が設定されています。30以上45未満の患者は、1日最高用量が1,000未満、45以上60未満の患者は、1日最高用量が2,000mg未満、60以上90未満の患者は2,000mg未満、腎機能正常患者の1日最高用量は3,000mgとなっています。米国と英国の添付文書上の記載は、資料1-2の64ページ以降にあるので、適宜御確認ください。
続いて、本邦の添付文書です。本邦においては、先ほど申し上げたとおり、1日最高用量を2,250mgとするメトグルコをはじめとする高投与量製剤と、750mgとするグリコランをはじめとする低投与量製剤があります。腎機能障害患者については、高投与量製剤は中等度以上の患者が禁忌で、低投与量製剤は軽度から重度の患者が禁忌とされています。この違いは、低投与量製剤より後に承認された高投与量製剤の承認審査において、国内臨床試験成績等を踏まえ、高投与量製剤は軽度の腎機能障害患者に投与可能と判断されたためです。添付文書上の記載は、資料1-2の76ページ以降にあります。
続いて、メトホルミンの薬物動態です。メトホルミンは腎排泄型の薬剤であるため、腎機能障害がメトホルミンの薬物動態に及ぼす影響について調査しました。試験結果より、メトホルミンの血中濃度は、腎機能障害の程度に応じて高くなります。減量により、中等度腎機能患者におけるメトホルミンの血中濃度を、腎機能正常の患者と同程度に低減可能であるということが推察できます。また、メトグルコの申請資料に、外国人と比較し日本人におけるメトホルミンの血中濃度が高かったとする報告があり、この報告を踏まえ、海外の1日最高用量は3,000mgであるのに対し、本邦では2,250mgとされています。論文の詳細については、資料1-2の4~7ページにあるので、併せて御確認ください。
続いて、国内外の公表文献、ガイドラインです。公表文献では、軽度から中等度の腎機能障害患者でも、メトホルミンを用いた場合は薬物濃度はおおむね治療範囲内にとどまり、乳酸濃度は大幅に上昇しないとされています。また、乳酸アシドーシスの発現リスクは、製剤により違いがあるという記載はありませんでした。日本糖尿病学会の「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」では、腎機能をeGFRで評価し、30未満は禁忌、30以上45未満は慎重投与とすることが記載されています。また、海外の複数の診療ガイドライン等において、中等度までの腎機能患者へのメトホルミン投与は可能とされています。文献、ガイドラインの詳細は、資料1-2の7~12ページにあります。
最後に、国内副作用報告です。資料1-2の13~15ページを御覧ください。約15年間のメトホルミン含有製剤の重篤副作用で、乳酸アシドーシスの副作用は347例でした。そのうちのeGFRが把握できる73例のうち、中等度の腎機能障害患者は43例でした。この中等度の腎機能障害患者の大半は、腎機能以外のリスク因子、脱水、心血管疾患等のリスク因子が認められていました。
最後に対応方針です。上記の調査結果を踏まえ、メトホルミン含有製剤の添付文書について、以下の改訂を行ってはどうかと考えます。まず1点目、腎機能障害患者に係る禁忌は、重度の腎機能障害患者のみとする。具体的には、eGFR30未満とする。腎機能評価については、欧米の添付文書、日本糖尿病学会のRecommendationでeGFRによる評価が推奨されていることから、eGFRとしたいと考えています。続いて、腎機能障害以外のリスク因子、経口摂取が困難な場合などの脱水のリスクや、軽度のアルコール摂取には特に注意が必要である旨を追加するとともに、そのほか乳酸アシドーシスの注意に関して整理します。また、eGFRに基づいた腎機能障害患者に係る1日最高用量の目安量を記載します。こちらは海外の75%の用量で、あくまで目安量として記載します。
最後に、メトホルミン含有製剤間の乳酸アシドーシスに関する注意喚起のリスクも是正したいと考えています。これらの添付文書の改訂案については、資料1-2の20~60ページに記載しています。メトホルミン含有製剤の「使用上の注意」の改訂に関する説明は以上です。よろしくお願いします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。本日は、植木先生に参考人としておいでいただいておりますので、植木先生から御意見を頂きたいと思います。お願いいたします。
○植木参考人 資料1-4を参考にしていただければと思います。事務局から御説明がありましたように、日本糖尿病学会では「メトホルミンの適正使用に関するRecommendation」をまず2012年に発出しております。もともと海外と異なり、我が国ではメトホルミンの最高使用量が2010年までは750mg以下とされていましたが、2010年に現在の2,250mgまで用量が拡大になり、その際に使用が増えてくるのではないかということでRecommendationを作った次第です。
米国では、メトホルミンが第1選択薬として広く使用されております。これは、これまでの大規模臨床試験の合併症抑制のエビデンスが多く、米国や欧州では肥満の糖尿病が多いので、インスリン感受性を改善する薬であって、かつ薬価も非常に安いことなどによります。我が国の成績でも、我が国の患者さんでは肥満は欧米に比べて少ないのですが、HbA1cの低下作用は十分にあることも分かっており、現在、使用が非常に増えています。
2016年にFDAがRecommendationを発出していますが、内容は、事務局から今回お示しいただいたのとほぼ同様の腎機能別の使用注意を含むRecommendationになっています。それを受けて、2016年に私ども日本糖尿病学会でも、どのような患者さんが乳酸アシドーシスを起こしているのか、その頻度はどうなのかということも、メーカー各社の協力を得て調査しまし、Recommendationの改訂を行いました。結果として、乳酸アシドーシスの発症は必ずしも腎機能によらず、先ほど御説明がありましたように、やはり経口摂取ができない状態で漫然と投与することが非常にハイリスクになっていることがわかりました。しかし、もちろん腎機能低下者はそのリスクが高いということもありますので、そういう意味での腎機能低下者に対する注意喚起は必要であろうということで、私どもの改訂でも腎機能別の用法上の注意喚起をいたしました。また、我が国の糖尿病患者さんは、現在実に70%近くが65歳以上でして、eGFRを計算しますと、年齢の要素がありますので、多くの方が潜在的な腎機能低下者ということになりますから、軽度の腎機能低下も全て禁忌にしてしまいますと、この薬がほとんど使えないということも生じてしまいますので、今回の添付文書の改訂は、非常に適切ではないかと考えております。
今後、注意すべきこととして、腎機能もそうですが、最後のほうでおっしゃっていただいたように、経口摂取不能な場合にはきちんと休薬するとか、過度のアルコール摂取を戒めるということも強調されるべきではないかと考えております。以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。それでは、事務局の説明と植木先生の御説明に関して、何か御意見、御質問等はございますでしょうか。
○伊藤委員 今回の改訂は、低投与量製剤でも軽度の腎機能障害では投与できるようになるということと、最高用量を高投与量製剤と同じように設定するということになるのでしょうか。
○事務局 事務局より説明させていただきます。用量自体は、低用量製剤は750mgのままで変わりません。腎機能障害は、低用量でも高用量でも同じく、重度の腎機能障害患者のみを禁忌とさせていただく予定です。
○伊藤委員 そうしますと、資料1-1の一番最後にある「1日最高用量の目安を記載する」というのは、片方の製剤だけの話ですか。
○事務局 失礼いたしました。高用量製剤のみの話です。
○伊藤委員 そこは統一しないで、腎機能に応じた禁忌を外すというところだけを統一するということですか。
○事務局 腎機能障害が重度の患者のみを禁忌にするというところを統一させていただいております。最高用量は、低用量製剤が750mgで高用量製剤が2,250mgです。こちらは安全対策というよりは、薬事の用法・用量の承認の話になってまいります。承認事項で企業から承認申請があれば検討することもあるかもしれませんが、安全対策の話というところでは、今回の範疇ではないということで理解しております。
○五十嵐座長 どうぞ、補足してください。
○医薬安全対策課長 補足というか、シンプルに言わせていただくと、まず大前提にあるのはそれぞれの製剤ごとに、各社が出しているブランドごとですが、用法・用量が承認事項で定められていて、その中には最高用量が2,250mgのものもあれば750mgまでを上限として承認されているものもあり、そこがばらついているのは確かです。それぞれが用法・用量は大原則で守らなければいけないので、その範囲内で、今回、腎機能に着目してこういった表にまとめてあるような腎機能に応じた目安量を定めますので、おのずと各製剤によって上限量は、承認事項としての用法・用量に縛られた範囲内で、この表の中の目安量が運用される形になります。
○伊藤委員 分かりました。そうしますと、低用量製剤のほうが先に出ていたわけですよね。その試験のときに、用量の決定は高用量まではやらずに低用量までしかやっていなかったから、低用量ということなのですかね。腎機能障害に関しては、軽度の腎機能障害については、最初の製剤が承認されたときには禁忌にする理由があったわけですよね。そこは大丈夫なのですか。
○五十嵐座長 どうですか。
○医薬安全対策課長 資料1-1の2ページの一番上の表の下を見ていただくと、どちらかと言うと今までの禁忌という扱いが、本邦の話ですが、高用量製剤と低用量製剤とで2種類の書き分けをしていますけれども、それぞれ中等度以上という書き方と軽度から重度という中の扱いになっていますので、低用量製剤が先に承認されている中で、当時の判断としては、軽度から重度といった範囲内で禁忌とすることが妥当となっておりました。しかしその後、それぞれ承認された製剤は、申請資料に基づいて承認された内容がそのままになりつつも、他の申請のあった製剤については、最高用量も3倍に高まり、使用範囲も中等度以上というところで個別に評価されているといった、ある意味、製剤によって食い違いというか、整合が取れていなかった部分もあったということになるかと思います。
今回その辺りも、腎機能に着目した取組において、今御紹介したもろもろの評価の結果、低用量製剤についても軽度のところに関しては、最終的には禁忌ではなくなるという3ページのような取扱いで、30~45の間というところに対して目安量750mgまで使えるものに関しては、その範囲内までは使えるといった取扱いに変わると。そこは変化があるということで、その妥当性について我々が検証した結果を今日、紹介させていただいていますので、それについて少し懸念等があれば、また御意見として頂ければと思います。
○伊藤委員 つまり、最初の製剤が承認されたときに、腎機能障害患者での臨床試験の結果とか、そういうものを踏まえて禁忌になったということではないのでしょうか。
○事務局 資料1-2のPMDAの調査報告書にあるのですが、2ページです。今回の調査の経緯の所の5行目なのですが、1970年代、海外でビグアナイド系薬剤でのフェンホルミンによる乳酸アシドーシスの死亡例が複数例報告されたと。なので、乳酸アシドーシスに関してリスクを抑える目的で、国内外のメトホルミンに関しては、添付文書で使用患者とか投与量を制限する旨の記載がされたと。この段階で、古くからある低用量製剤は腎機能障害患者には使わないということになっていたところです。その後、新しい高用量製剤が出てきた中で、メトホルミンに関しては、軽度の腎機能障害患者に対しては使っても問題がないであろうということが情報として集まってきたため、高用量製剤は軽度の腎機能障害患者には使えるというように変わっていったところです。したがって、もともと古くからあった製剤で何か試験を行っていたわけではありません。
○伊藤委員 高用量製剤のほうは臨床試験をして、軽度の腎機能障害ならOKというのが分かっているのだと思うのですが、いろいろ添加剤とかが違う中で、低用量製剤のほうも併せてOKにしてしまってよいのかどうか、ちょっと気になりました。
○審議官 伊藤先生が疑問を呈されているところは、正しくおっしゃるとおりです。高用量製剤が承認された際は、それまでの750mgというのが上限のところに、用量を大幅に上げるものですから、やはりきちんとした臨床試験をやってもらって、そのデータを評価してやりましょうということで、新薬扱いで高用量製剤が高用量の内容とともに承認され、したがって再審査が付いています。
それ以前の低用量の製剤は、しばらくそのまま、再審査期間が終わるまで従前のままになっている状態が何年か続いて、再審査が終わってしまえば、メトホルミンとしての用法・用量の上限が2,250mgまでとなっているので、製剤間でよほど動態の違いがあるとか、そういうことでもなければ、同じ用法・用量に基本的にはそろっていくのが道行きとしては多分、妥当なのだろうと思います。まだそれが完全にそろい切っていない状態で、ただ腎機能を指標にした調節が科学の進歩によってできるようになった、あるいは臨床現場でもeGFRを使うというのが一般的に行われるようになってきたということを受けて、次第に統一化を図っていくというところが今動いているということであると思います。
恐らく、ここは植木先生のほうが、臨床側のお立場からこうあってほしいとか、このようになっているというのが、おありになるのではないかと思います。行政としても、製剤ごとに余り凸凹している状態をいつまでもそのままにしておいてよいとは思っていませんが、基本的には個々の製品に責任を持っている各企業が承認内容をきちんと変更するという手続も必要ですので、その道行きとしては恐らく皆そろってくる方向に行くのではないかと。そうしないと現場で混乱しやすいので、取り違えるというようなことがなるべく起きないように。今回の整理も、基本的には腎機能障害に対する用量調節の方法については、統一化された格好になってきておりますので、方向性としてはそうなのかなと考えていると、こういうことではないかと思いますが。
○五十嵐座長 ほかはいかがでしょうか。
○佐藤委員 乳酸アシドーシスの問題で、肝臓の乳酸代謝がすごく関与しているように書いてあるのですが、重度の肝障害が起こっている時の使用基準がこの添付文書ではよく分からないというのが1点と、乳酸の代謝能というのが過度のアルコール摂取によって一過的に下がる可能性についても、改訂案の中で触れられているので、その辺の整理がどのようにされているのかがわかりにくいと思いました。腎機能に対しては、数字がきっぱり書いてあるのですが、肝臓に関しては根拠となる数字がないので、そこまでシビアではない、と考えて良いのかどうかというのを少し教えていただきたいなと思います。
○五十嵐座長 植木先生、重度の肝障害というのはGOT、GPTの値等から判断できるものなのでしょうか。
○植木参考人 おそらくかなり難しいと考えます。乳酸アシドーシスが非常に問題となりましたのは、先ほど御説明がありましたように、1970年代のフェンホルミンという別のビグアナイド薬で非常にたくさん起きたことによります。その結果、一旦メトホルミンも含めてビグアナイド製剤は全世界的に使われなくなりました。90年代に大規模臨床試験でメトホルミンの有効性や安全性の見直しが行われて、その後、先ほど申し上げたように、欧米ではファーストラインのお薬として非常にたくさん使われてきて、乳酸アシドーシスのリスクというのは余り高くないことも認識されています。米国では、メトホルミンを使っている人と使っていない人で、乳酸アシドーシスの頻度はほとんど変わらないという論文もあります。
ただ、メトホルミンは古くからあるのですが、作用機序は余りよく分かっていない薬です。メトホルミンも他のビグアナイド薬と同じように肝臓でグルコースから乳酸への移行を促進させると言われていまして、一定のリスクはあるだろうということで、いろいろな規制が掛かっております。先生が御指摘のように、肝機能障害がどのぐらい重度だと肝臓のミトコンドリアの乳酸の蓄積がこのお薬によって増えてしまうのかというのは、余りよく分かっていませんが、やはり食べられないとか脱水等の際にリスクが高まるのではないかと考えられます。例えば、脂肪肝程度のものであれば、メトホルミンは脂肪を燃やす力もあり、むしろ投与される場合も多いかと思いますので、そこをトランスアミナーゼの数字のようなもので縛ってしまうと、臨床の現場では混乱してしまうのではないかなと思います。
○五十嵐座長 よろしいですか。
○佐藤委員 ありがとうございます。
○五十嵐座長 そのほかは、いかがですか。
○望月委員 FDAのほうで、eGFRが30~45の間の場合は、新たな投与の開始を推奨しないというような指示になっていると先ほど読ませていただきました。そこは今回、どのように考慮されるのかというところを教えていただけますか。
○事務局 事務局よりお答えさせていただきます。基本的には添付文書改訂案は資料1-2の20ページ、関連するものに関しては21ページです。こちらに改訂案をお示ししておりまして、用法・用量に関連する「使用上の注意」の所を御覧ください。冒頭に中等度の患者さんということで注意喚起をさせていただいているのですが、日本においてはeGFRが30~45未満の患者さんについては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ使用してくださいということで、注意喚起させていただこうと考えています。
○望月委員 FDAの見解が、どうして投与の開始を推奨しないとなっているのかが分からなかったので。多分、途中でeGFRがどんどん悪くなってきて、用量調節が必要になる方については、用量調節をすればということで、そのままFDAでも容認していると。だけれども、新たな投与について制限しているのが、どうしてなのかがちょっと理解できなかったのです。
○事務局 科学的なデータとしては、ばく露量の問題とか、安全性の問題とか、eGFRが30~45未満の患者さんの使用を制限するだけのエビデンスはないと考えて、個々の患者さんの状態を見ていただいて、臨床の現場の先生に判断していただくのが適切ではないかと考え、日本においては投与開始に当たって推奨しないという文言は省いた次第です。
○望月委員 そうすると、EMAのほうは、ただ単にeGFRの程度に合わせた投与のことしかまとめには書いていなかったのですが、向こうはそういう投与の開始を推奨しないなどというようになっていると理解していいですか。
○事務局 基本的には、慎重に使っていただければ投与が開始できるというような記載になっております。
○五十嵐座長 そのほかは、いかがですか。
○舟越委員 同じく資料1-2の23ページですが、EMAやFDAですと、腎機能を少なくとも年に1回測ることと具体的に書かれていますが、現場で働いていると、大体全て定期的にという文言になっています。今回、海外の部分とある程度合わせていく中で、腎機能は年に1回は測っている、普通にこの領域ですともっと頻回に測っていると思いますが、具体的にそれを反映しなかった理由等はあるのでしょうか。
○事務局 患者さんの年齢とか、もともとの腎機能の悪さというか、ベースの腎機能を見ながら、現場の先生でモニタリングの頻度に関しては調節されているかと思いますので、添付文書上では定期的にということで、具体的に縛ることは現場の負荷にもなると考え、「定期的に」という言葉を使用させていただいております。ただ、資材等においては、「1年等での推奨」等も、情報提供ができないかは考えたいと思っています。
○五十嵐座長 現実に糖尿病で外来に掛かっていらっしゃる方で、特にコントロールが難しければ難しいほど、生化学検査は定期的に測定が必要と思われます。血清クレアチニン値と患者さんの身長、体重などから計算されるeGFRは、植木先生、恐らく現場では年に1回以上は測定されておられますね。
○植木参考人 私どもの施設で、保険のデータベースから糖尿病診療のクオリティ調査をしたことがありますが、クレアチニンに関しては100%に近く、年に1回以上は測られておりました。全国のデータは持っていませんので、全員がということは分かりませんが、恐らくはかなり測られているものと思います。
○五十嵐座長 よろしいでしょうか。そうしますと、他に御意見はいかがですか。よろしいですか。では、議決をしたいと思います。今回の添付文書については、事務局の提案どおり「使用上の注意」を改訂するということについて、特に反対はなかったと思いますが、それでよろしいでしょうか。それでは、御異議はないということにいたします。ありがとうございました。
では、今後の予定について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございました。それでは、ただいまの議論を踏まえまして、メトホルミン含有製剤の製造販売業者に対して、「使用上の注意」を改訂するように指示したいと思います。
○五十嵐座長 ここまでに関して、委員の先生方、何かございますか。よろしいですか。ありがとうございます。では、植木先生におかれましては、貴重な御意見を頂きまして、今日は本当にありがとうございました。これ以降の議題については、特に先生に御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席されても差し支えありません。どうもありがとうございました。
それでは、議題2に移ります。抗コリン作用を有する製剤における禁忌「緑内障」等に係る「使用上の注意」の改訂について御審議いただきます。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 続きまして、抗コリン作用を有する薬剤の「使用上の注意」の改訂について、御説明いたします。タブレットに入っております資料2を御覧ください。また、こちらの資料2中に記載しております脚注の資料は参考資料として、委員の先生のみに配布しておりますので、必要に応じタブレットに入っております参考資料を御確認いただければと思います。
それでは、まず経緯について御説明させていただきます。本件ですが、現在多くの抗コリン薬の添付文書に記載されている禁忌「緑内障」という記載について、平成31年3月24日付けで、日本眼科学会より要望書が提出されたことを受けまして、検討したものです。
日本眼科学会からの要望は、タブレットの資料の1ページの冒頭に記載してある2点です。1つ目は禁忌「緑内障」という記載を「閉塞隅角緑内障」に変更してほしいというものです。背景ですが、緑内障は、「開放隅角緑内障」と「閉塞隅角緑内障」の2種類に分けられまして、抗コリン作用により安全性の懸念が生じうるのは、「閉塞隅角緑内障」のみと考えられること。「開放隅角緑内障」において、抗コリン作用により安全性の懸念が生じるとの記載は、我が国や欧米の成書等にも記載がないこと。開放隅角緑内障患者に本来安全であるはずの抗コリン薬が服用できなくなるという不利益が生じているということが、要望の理由です。2点目については、現在、添付文書の「使用上の注意」に記載されております「狭隅角緑内障」という用語について、本邦のガイドラインに倣いまして、「閉塞隅角緑内障」に変更してほしいというものです。
本件の対象となる医薬品についてですが、2.に記載しておりまうとおり、1つ目の要望については、「禁忌」の項に緑内障に係る記載がされており、かつ、その設定理由が抗コリンの作用によると考えられる薬剤が対象になると考えております。ただし、学会からの要望書にも記載がありますとおり、眼局所製剤については、薬物の眼内移行量が、その他の投与法と比べまして高くなり、瞳孔散大を引き起こす可能性が高いため、検討の対象外と考えております。2つ目の要望については、「使用上の注意」に「狭隅角緑内障」が記載されてあるものが対象の範囲となります。該当すると考えられる具体的な医薬品については、本資料6ページの別紙2に記載しておりますので、こちらも併せて御確認ください。
続きまして、各要望の教科書やガイドラインの状況等について御説明させていただきます。3.の(1)を御確認ください。まず要望①の緑内障についてです。1つ目のポツに記載しております薬理学の国際的な教科書でありますGoodman&Gilman’sや、2ページ目に移っていただきまして、1ポツ目の欧州緑内障学会のガイドライン、2ポツ目の国内の主な診療ガイドラインの記載状況を確認しましたところ、一部、現行の添付文書の記載に倣い、緑内障の患者が禁忌とされているガイドラインがございますが、ほとんどのガイドライン等において、閉塞隅角緑内障の患者ではリスクが高く、抗コリン薬の投与は禁忌とされている一方で、開放隅角緑内障の患者では特段リスクが高いといった記載はされていない状況でした。また、3ポツ目に記載しておりますが、平成22年以降に承認された医薬品では、「緑内障の患者」を「禁忌」としたものはなく、「閉塞隅角緑内障の患者」又は「狭隅角緑内障の患者」を「禁忌」として記載しており、比較的古い添付文書において、禁忌「緑内障」の記載が残っているという状況です。
開放隅角緑内障の患者における学会の見解については、(2)に記載したとおりです。要望の際の説明とも重複してしまいますが、隅角所見を示すShaffer分類において、Grade3以上の開放隅角では、急性緑内障発作を起こす可能性はないとの見解を頂いておりますが、表1に示すShaffer分類のGrade1~2の狭隅角眼の方では、急性緑内障発作が生じる可能性は否定できないとの見解を頂いております。
続いて3ページに移りまして、4.要望②について御説明いたします。こちらは冒頭にも御説明しましたとおり、用語の記載整備です。(2)の学会からの見解を御確認ください。日本眼科学会からは、これまで狭隅角緑内障と閉塞隅角緑内障という病名は同一視され、混在して使用されてきておりまして、狭隅角緑内障という病名は、閉塞隅角がある緑内障なのか、閉塞隅角がない緑内障なのかが曖昧だったため、上記(1)のガイドラインの記載のとおり、狭隅角緑内障の用語を用いることは適切でないと提言し、狭隅角緑内障は閉塞隅角緑内障に統一されたとの見解を頂いております。
これらの状況を踏まえた対応案については、5.対応方針に記載したとおりでございまして、抗コリン薬の医療用医薬品の添付文書について、こちらに記載したような改訂を行ってはどうかと考えております。具体的な改訂案を見ていただきながらのほうが分かりやすいかと思いますので、4ページの改訂案を御確認ください。まず要望の①の禁忌「緑内障」についてですが、現行、「緑内障の患者」と記載されている部分については、安全性の懸念が生じるとされる「閉塞隅角緑内障の患者」に変更することが適切であると考えております。ただし、開放隅角緑内障の患者の取扱いについては、学会からの見解も踏まえまして、これまで緑内障として広く注意喚起を行ってきたこと及び作用機序等を考慮しまして、急性緑内障発作のリスクを完全に否定することができないと考えたことから、「慎重投与」の項に追記し注意喚起することが適切であると考えております。なお、「禁忌」や「慎重投与」の設定理由として記載している、現行のところに記載される[略]の部分については、現在、各製剤でばらついているところですが、緑内障発作等を誘発するリスク等が共通であることから、同じ文言に統一することを予定しております。
続きまして下に移りまして、要望②の狭隅角緑内障についてです。こちらは単純な読み替えとなりますので、こちらに記載した改訂案で対応させていただきたいと考えています。資料2の説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。それでは今日は相原先生においでいただいておりますので、相原先生から参考人として御意見を頂きたいと思います。
○相原参考人 ありがとうございます。一応、分かりにくいかと思いますので、資料の図2を御覧いただければと思います。散瞳した際に隅角閉塞が起きるというのは、aとbがありますが、aというのは狭隅角眼、隅角が狭い、この隅角というのは角膜の周りに360度ありまして、その一部分を切り取って画像にしているだけのものなので、それを御理解いただいて、このような状態の方に、たまたま瞳孔を開くようなお薬を使うと、bのように見かけ上、隅角が閉塞するようなことがあると。これが起きても通常の場合、眼圧が急に上がることはないのですが、特殊な例では、これで急に眼圧が上がってしまうということで、それで禁忌となっていたわけです。これは古い分類で、もともとこういう眼圧が非常に上がるようなものを1800年代から緑内障と呼んでいたために、最初はこういうものが全部緑内障ということになりまして、その後、隅角が広いものが出てきたという経緯があります。
ちなみに図3ですが、そこにShaffer分類が書いてあります。12ページです。Shaffer分類でもう一度御覧になっていただければと思うのですが、aが完全な開放隅角緑内障で、このような方に瞳孔を開くような抗コリン剤を使っても、全く隅角が閉じないのは容易に想像できると思います。dのような方、完全に360度のうち一部分でも、このように閉塞がありますと、更に瞳孔を開くようなことをしますと、ほかの部分も閉塞してしまうので、眼圧が上がることがあるということで、dが閉塞隅角緑内障ということです。これは完全にアウトの症型になります。cとbが微妙に隅角が狭いということですが、こういう患者さんで上がることもあり得るということで、これは開放隅角なのですが、そういう患者さんももしかしたら眼圧が上がることがあるよということで、今回、慎重投与のほうに入れさせていただいたということになります。
これが機序でありまして、実際にこういう方がどれぐらいいるかと言いますと、緑内障というのは40歳以上で5%、60歳以上で10%も有病率がありまして、日本の失明原因の第1番なのですが、そのうちの95%ぐらいは開放隅角緑内障でありまして、5%ぐらいがこの閉塞隅角緑内障です。したがって、今までのように緑内障全部を禁忌にしてありますと、OTCの薬、風邪薬などにもほとんど入っております、この抗コリン剤などを使う際に、非常に多くの疑義照会がありまして、現場では薬剤師、あるいは我々のほうにも問合せ等がたくさんありますので、今回このような要望を出させていただきました。これをお認めいただければ、かなりの患者さんは問題なく、こういう抗コリン剤が入ったお薬を使うことができますし、我々のほうへの疑義照会も大分減りますので、非常に有用な改訂になるのではないかと思っております。よろしくお願いします。
○五十嵐座長 御説明ありがとうございました。それではこの件について御意見、御質問等、いかがでしょうか。
○望月委員 今、参考人からの御説明にもあったのですが、この抗コリン作用のある薬剤リストを見ていると、OTCに入っている成分がかなりたくさんあります。先ほどのあの添付文書の例は、医療用医薬品の添付文書の改訂例だと思うのですが、OTCがどういう書き方になっていたのか分かっていないので、どんなふうになっていて、このアナウンスをすることも含めて、どういうふうに対応されるかを教えてください。
○事務局 御質問いただきありがとうございます。事務局よりお答えさせていただきます。OTCについてですが、説明させていただきましたとおり、今回の措置の対象範囲は医療用医薬品のみと考えております。OTCの添付文書については、記載要領上、使用される一般消費者に対し、分かりやすい表現で添付文書を作成するということになっており、現在のOTCの添付文書は「緑内障」というように記載されているところです。今回、「閉塞隅角緑内障」という、病名かなり細かい情報を記載しますと、販売される医療現場の先生方でも伝えるのがなかなか難しいと考えられ、また、購入される一般消費者の方も自己判断が難しい考えられることから、今回の措置の対象は医療用医薬品のみと考えております。
○望月委員 そうすると、参考人が期待するような問合せは、減らないような気もするのですが、ちょっとその辺が気になりました。また、抗コリン作用のある成分は第2類医薬品とかも結構あり、販売に携わる方が必ずしも薬剤師だけではないような気がするのです。そういう方々には医療用医薬品での改訂情報は伝わらないように思います。少なくともOTCを販売される皆さんに、今回こういう改訂がされて、こういう対象は使ってはいけないという情報が伝わるようにしていただいていたほうがいいと思うのですが、いかがでしょうか。
○医薬安全対策課長 御指摘のとおりだと思いますので、そうしたいと思いますし、また、OTCについても成分的には同じような考え方が多分、できるのではないかという気もしますので、そこは段階を追って、引き続きのテーマとさせていただきたいと思います。
○五十嵐座長 そうですね、非常に重要なことだと思います。一般薬のほうにも、今回はすぐにはできないかもしれないけれども、計画をして、アナウンスを広めていくということを、是非検討していただきたいと思います。よろしいでしょうか。それではほかに御意見がないようでしたら、議決を取りたいと思います。どうぞ。
○事務局 追加で御説明させていただきます。OTCの添付文書ですが、おそらく今は「相談すること」に「緑内障」というように記載がされていると思いますので、情報提供という観点の中でどのようなことが可能か検討させていただきたいと思います。
○五十嵐座長 是非お願いしたいと思います。よろしいでしょうか。それでは議決を取りたいと思いますが、よろしいですか。抗コリン作用を有する製剤の添付文書については、事務局の提案どおり、「使用上の注意」を改訂することでよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議ないということにしたいと思います。では、今後の予定について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 御議論いただきましてありがとうございました。ただいまの御議論を踏まえまして、抗コリン作用を有する製剤の製造販売業者に対しまして、「使用上の注意」を改訂するよう指示させていただきます。ありがとうございました。
○五十嵐座長 ありがとうございます。ここまでについて、委員の先生方、何かございますでしょうか。相原先生におかれましては、今日は貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。以降の議題については、特に御意見を先生に求める予定はありませんので、途中で御退席いただいても差し支えございません。どうもありがとうございました。
続きまして、議題3に移りたいと思います。一般用医薬品のリスク区分についてですが、個別品目の審議の前に、一般用医薬品のリスク区分の評価手順について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料3-1、製造販売後調査又は適正使用調査の終了に伴うリスク区分の検討についてを御覧ください。表に記載されている品目は、現在、第1類医薬品に指定されており、この度、製造販売後調査及び適正使用調査の終了に伴い、一般用医薬品としてのリスク区分の検討をお願いするものです。
次に、一般用医薬品のリスク区分の変更手順について御説明いたします。2ページの一般用医薬品のリスク区分の変更手順についてを御覧ください。手順といたしましては、3.(1)として、安全対策調査会の調査審議に当たり、必要に応じ関係学会等の有識者等の出席を求め、意見を聴取し、事前整理を行い、その結果リスク区分等の変更を行う必要があるとされた場合、厚生労働省は変更案についてパブリックコメントを行う。(2)として、安全対策調査会における事前整理の結果、パブリックコメントの結果について医薬品等安全対策部会で調査審議を行い、リスク区分の変更の要否について答申を得るといった手続をすることになっております。本日は(1)の位置付けです。
続いて、一般用医薬品のリスク区分を説明させていただきます。6ページ、一般用医薬品のリスク区分を御覧ください。第1類医薬品は、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品であって、その使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの、新一般用医薬品として承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないものとされており、薬剤師により販売され、患者に対する文書による情報提供の義務があります。
第2類医薬品については、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品で、第1類医薬品を除くものであり、厚生労働大臣が指定するものとされております。薬剤師又は登録販売者によって販売され、情報提供については努力義務とされております。第2類医薬品のうち、特別な注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するものについては、指定第2類医薬品とされております。販売は第2類医薬品と同様に薬剤師又は登録販売者によって行われ、情報提供についても努力義務ですが、情報提供するための設備から7m以内の範囲に陳列する、指定第2類医薬品を購入する場合は、禁忌を確認すること及び専門家に相談することを勧める旨を購入者が確実に認識できるようにするなどの措置を取ることとされております。
第3類医薬品は、第1類医薬品、第2類医薬品に分類されないもので、薬剤師又は登録販売者により販売されます。説明は以上です。
○五十嵐座長 一般的なお話が終わりましたので、具体的にフッ化ナトリウムについて審議をいたします。事務局から説明をお願いします。
○事務局 フッ化ナトリウムについて御説明いたします。資料3-2を御覧ください。販売名はエフコート及びクリニカフッ素メディカルコートです。効能・効果はむし歯の予防です。用法・用量は4歳以上で5mL、6歳以上で7~10mLの本剤を口に含み、歯面に十分行きわたるようにブクブクうがいをし、吐き出します。
製造販売後調査概要を御覧ください。特別調査とは、個別に薬局と契約してモニター店舗でアンケート調査票を配って、アンケートによる調査を実施するものです。この特別調査では、エフコートは調査症例が1,207症例で、副作用は0例でした。クリニカフッ素メディカルコートは調査症例が512例で、副作用が4件でした。内容としては、適用部位刺激感2件、舌の感覚鈍麻が1件、下痢1件でした。このうち重篤と判断された症例はありませんでした。
使用者若しくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、報告された副作用はエフコートで35例38件で、内訳は口内・舌・口唇のピリピリ感が7件、口渇3件、歯の変色・着色2件、味覚異常2件などでした。このうち重篤と判断された症例はありませんでした。クリニカフッ素メディカルコートでは、9例9件でした。内訳は、適用部位刺激感6件、舌の感覚鈍麻1件、腹痛1件、適応部位乾燥1件でした。このうち重篤と判断された症例はありませんでした。
医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく報告です。報告書のデータロック後に報告された重篤な副作用報告はありませんでした。また、「使用上の注意」の改訂指導はありませんでした。資料の説明は以上です。
○五十嵐座長 本日は、参考人として眞木先生においでいただいております。眞木先生から御意見を頂きます。
○眞木参考人 フッ化ナトリウムについてということです。2015年にようやく医療用医薬品から要指導医薬品となって、実は昨年のちょうど同時期に一般用医薬品の第1類に変更させていただいたものです。その間、今回の調査結果及び内外の学会報告、それから論文報告を注意して見てみましたが、特に副作用の報告はありませんでした。今回、副作用と言っているものは、日常生活に支障を来す健康被害の報告ではないというように考えられます。理由ですが、ほぼ今回のコメント、副作用の報告というのは歯磨き剤と変わりありません。同様な報告が年間10件以上あります。
それから、フッ化ナトリウムの洗口剤はフッ素の濃度として225~250ppmになるかと思います。実際に日本で市販されているものは225ppmということで、これは欧米を含む海外で言うと、日本の医薬部外品扱いということで、スーパーでもどこでも手に入れられる製品です。
このようなこれまでの経緯からすると、今回は一般用医薬品の第1類から第3類とするのが妥当かと考えております。以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。第3類の医薬品にすることのお話を頂きました。委員の先生方はいかがでしょうか。
○伊藤委員 よく知らなくて申し訳ないのですけれども、副作用の中に歯の変色とか着色が2件あるのですけれども、日常生活には確かにもちろん影響ないと思うのですが、何かメカニズム的にそういうことはあり得るものなのでしょうか。
○眞木参考人 前回も同じような質問が、第1類医薬品にするときにあったかと思うのです。今回も資料3-2の7ページに、「歯の変色」と「歯の着色」2例の報告に関して、その後歯科医院で歯を磨いたり、ブラッシングをしたりすることで、比較的簡単に除去できたという報告があります。ということは、これは色素の沈着であって、フッ化物で問題になるような歯のフッ素症ではない、これは慢性の毒性で、フッ素を食した場合、それも長期間数年間にわたって、エナメルの形成期にという定義がありますので、全く問題ないと考えています。
○伊藤委員 ありがとうございました。
○五十嵐座長 ほかにはいかがでしょうか。特に御異議はありませんか。それでは議決に入ります。今御指摘いただきましたように、フッ化ナトリウムについては第3類医薬品とすることでよろしいでしょうか。御異議はないということにいたします。ありがとうございました。それでは、今後の予定について事務局から説明をお願いします。
○事務局 御議論いただきありがとうございました。本日御審議いただきました結果に基づいて、パブリックコメント実施のための手続を進めさせていただきます。ありがとうございました。
○五十嵐座長 ここまでの御議論について、委員の先生方から何かありますか、よろしいですか。眞木先生におかれましては、本日は貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。これ以降の議題については特に先生に御意見を求める予定はありませんので、途中で御退席いただいても差し支えありません。どうもありがとうございました。
○眞木参考人 どうもありがとうございました。
○五十嵐座長 続いて、一般用黄体形成ホルモンキットの審議に進みます。事務局から説明をお願いします。
○事務局 一般用黄体形成ホルモンキットについて御説明します。一般用黄体形成ホルモンキットとは、生体中の尿検体を用いて黄体形成ホルモンの検出をすることを目的としたキットで、使用者自ら検体を採取して、排卵日予測の補助として使用するものです。
経緯について御説明します。資料3-1の8ページを御覧ください。図の左のほうになりますが、「体外診断用医薬品の一般用検査薬への転用について」の通知に基づいて、黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬ガイドラインが策定されたことを受け、平成27年度第8回安全対策調査会及び平成28年度第1回安全対策部会で、リスク区分の検討が行われました。審議の結果、まずは第1類医薬品として販売し、適正使用調査の結果を踏まえて再度リスク区分の検討を行うこととされました。今般、適正使用調査結果報告書が提出されましたので、その結果を踏まえて再度リスク区分を検討いただくものです。
続いて報告書の概要について御説明いたします。資料3-3の1ページを御覧ください。今回行われた適正使用調査は、使用者に対する調査と、販売店に対する調査があります。購入者の理解度調査では、購入目的、購入時に受けた説明等、チェックシートや説明書に対する理解度、検査結果の理解度及び使用後のフォローアップについて調査を行いました。購入目的については、2年間を通じて2,069例中2,063例は適正な使用目的と考えられた一方で、6例は避妊目的で購入したとの結果でした。薬剤師による情報提供は、83.9%で実施されていました。医師の診療を必要とする結果であったのが、全体の25.3%でした。そのうち医師の診療を受けようと考えている方の割合は66.7%でした。
販売店に対する調査では、使用目的、確認項目、陰性が続いたときの対処方法、検査のタイミング、使用方法、チェックシートの活用方法に関して、購入者に対する情報提供等が適切に行われたかについて確認を行いました。避妊目的に使用しない旨の説明については、初回購入者に対して80.7%、購入履歴がある方に対しては60.4%でした。最も説明割合が高い項目が検査のタイミングで、初回購入者に対して96.1%、購入履歴がある方に対しては72.0%でした。情報提供を行わなかった理由としては、不妊治療や性交に関するデリケートな内容のため、購入者の心情に配慮して他人の前での説明を差し控えたケースや、薬剤師の判断により必要な項目に絞って説明されたケースなどが挙げられています。
資料の1ページに戻ります。こちらの適正使用調査の結果については、平成31年度第1回医療機器・体外診断薬部会において報告され、以下のような対応を行うこととされました。製造販売業者による対応としては、製造販売業者のウェブサイト等を活用し、今後も購入者への情報提供を十分に行っていくこと。引き続き、避妊目的には使用できないことを各製品のパッケージに記載するとともに、説明書等の同梱に取り組むこと。チェックシートについては、販売店の薬剤師から渡される場合と、製品に同梱している場合と、各社により対応が分かれていたが、チェックシートが確実に購入者の手元に届き、使用前のセルフチェックを通じて適正使用を推進できるよう、製品パッケージへの同梱も検討を行うこと。問合せ窓口あるいはアンケート等により、引き続き不適正使用に関する情報収集を行い、問題のある兆候が見られた場合には、業界内で共有し対応を検討することが挙げられました。
行政による対応としては、医薬品等安全対策部会におけるリスク区分の検討結果も踏まえ、販売店における説明の徹底等、適正使用のための必要な対応を検討することが挙げられました。資料の説明は以上となります。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 本日は、参考人として矢野先生においでいただいております。矢野先生から御説明、御意見を頂ければと思います。
○矢野参考人 この検査薬は、不妊症患者さんの検査を我々がしていく時に補助診断的に使われてきたものです。一般の方がこれを使うのは、ある程度の知識がないと難しいと思います。
一般の人が何故これを使いたいかと想像するに、御自分が排卵している正常な状態であるかどうかということを知りたいからではないかと思うのです。この場合、月経周期のうちのどこで使ったらいいのか、まずそれを正確に知っているかどうかということが重要になります。適当に試みても陽性反応は出てきません。ある時は、いきなり陽性反応が出てくることもありますが、それは妊娠しているかもしれないのです。胎盤から分泌される絨毛性ゴナドトロピンと、このLHというホルモンは構造が非常によく似ていますので、妊娠していると検出されます。妊娠しているかもしれないし、あるいは排卵機能が正常であったとしても、排卵前に起きるLHサージを同定することができない日に検査をすると陰性反応になりますので、一般の方にとっては非常に難しいのではないかと思います。我々が診察を数回して知識を授けると、その後は御自分で使って自然に妊娠されている方も多いです。
7ページの図は私がいつも患者さんにお示しするものと同じです。このLHサージは、普通の多くの女性の月経周期は28日ですので、真ん中の14日目辺りで起きます。卵の入っている卵胞が正常に発育すると、そこから女性ホルモンと言われるエストロゲンが産生され、それが脳下垂体に作用して、LHをサージ様に多量に産生・放出させます。その多量のLHが卵胞に作用し、卵胞が割れて排卵するという仕組みです。
LHサージが立ち上がってから排卵するまで、約36時間です。検査日が排卵日辺りということが分かっていても、半定量的ですのでLHサージが立ち上がってくる時、あるいは本当に頂点まで行ってまた下がってくる時には、同じような弱い陽性反応が出ます。ですから、実際にはこれが上がっている途中なのか、下がっている途中なのかが分かりません。マックスの時であれば、非常に強い陽性反応が出ますので、「間もなく排卵です」と言えますが、一方で正確に言えないこともあるのです。
不妊患者さんは、この検査薬を基礎体温表と併用して使うこともあります。基礎体温表で、卵胞発育期は低温期ですが、排卵期には急激に温度が上がり高温期になります。基礎体温を測定するのは、朝の起床時です。排卵期には、朝晩、朝晩と1日2回検査をします。陽性反応の強度と基礎体温表の変化とを合わせて、排卵時期を予測します。陽性反応が強くなっていくのを見たり、または弱くなっていくのを見自己学習します。卵胞が発育し排卵するかどうかは、我々が超音波検査で3日間ほどフォローします。基礎体温表、卵胞の大きさ、排卵チェックの検査薬の3点セットを使って、もうあと何時間ぐらいで起きるということが予測できますので、このあたりの時刻に性交渉をもってくださいとアドバイスしています。
そのようにして学習された方は御自分で使用方法を御存じです。しかし、初めて使われる方は全くどう使っていいのか分からないと思うのです。薬剤師からの説明で、今妊娠しているかもしれないとか、避妊には使えないとか、全くその時期に合っていないかもしれないとか、いろいろなことを説明しておいてあげることは大事です。薬剤師に説明をしていただくということでは、第1類医薬品のままにしておいた方がよいと思います。使用経験がある方は、「使ったことがあります」と言っていただければ、薬剤師も手間が省けます。
初めて使用する方がいることを想定すれば、第1類医薬品のままにしておくのが無難でしょう。
○五十嵐座長 御意見をどうもありがとうございました。もう一方、埼玉医科大学の石原先生から御意見を頂いておりますけれども、本日は御欠席ですので事務局から御説明願います。
○事務局 本日御欠席の埼玉医科大学の石原先生より御意見を伺っておりますので、事務局より御紹介させていただきます。尿中黄体形成ホルモン測定キットは、医療用として、医療機関からの指示、医学的管理の下に、長期間にわたり患者の自宅で用いられた後に、利便性を拡大するために一般用検査薬として転用、承認、市販されたものであり、その必要性、有効性に関する議論を改めて行う必要はない。日本臨床検査薬協会による2016年から2018年における適正使用調査結果報告書によれば、一定数の需要があることは明らかである。また、報告書の範囲で適正に使用されていると判断できると考える。日本臨床検査薬協会による2016年から2018年における適正説明調査結果報告書によれば、薬局における説明が適切に行われており、購入者の相当数が反復購入者であると判断できる。
尿中黄体形成ホルモン検査薬は、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずるおそれは全く考えられないため、ヒトへの直接的なリスクという面では、第2類医薬品又は第3類医薬品でもよいと考えられる。また、使用者の多くが医療機関を受診した上で本品を購入しており、そのようなケースではほぼ適正に使用されると考えられるが、受診していない人が資材による説明が十分行われることなく購入し使用することには、一定の懸念が残る。
今回の調査結果は良好であり、今後もこの状態を確保するためには、資材による説明を引き続き行うことが必要となる。一方で、本品の入手可能性が制限されることがないようにすることも必要と考える。尿中黄体形成ホルモン測定キットは、妊娠を希望する女性が用いるキットであり、そのプライバシーを十分に守るためには、購入時の障害を極力少なくすることが必要である。例えば、通信販売を含む販売方法を考慮することも十分検討に値すると思われる。以上です。
○五十嵐座長 お二人の先生からの御意見を頂いておりますけれども、委員の先生方から御意見、御質問等はありますか。
○望月委員 2人目の参考人の先生から、通信販売等の購入方法もという御意見があったということをお聞きしましたが、もう既にこれは第1類で販売されていたのですよね。そうすると、ネット販売はできていたと思うのです。今回それの割合とか、そういうものは分かっているのでしょうか。例えば通販のほうが店頭販売より多かったとか。
○事務局 事務局より回答いたします。今回の調査において、ネット販売であったか、それとも店舗での販売であったかの区別は調査項目に含まれていないということですので、それぞれの場合でどうだったかということについては、今回の調査結果からは分かりません。
○望月委員 先ほどの御説明で、やはりいつ検査をするのかというのがとても重要だとお聞きしました。実際に検査日については90何%、100%にほぼ近いぐらいの薬剤師たちが説明をしているということでした。やはり、ここの一番大事なところは、しっかり説明していただける環境があったほうがいいのかという感じをこれで受けました。万一きちんと説明をされない形になるようであれば、今現在示していただいている添付文書案だと、その検査日の注意喚起がきちんと伝わる形になっていないという感じがしました。そこも含めて、もし薬剤師の説明が行きわたらない販売方法を使うのだったら、そこはもう一度きちんと検討していただいたほうがいいかと思いました。
○五十嵐座長 そのほか御意見はいかがですか。
○佐藤委員 どういう形で販売されるのかわかりにくいので確認させていただきます。今の御質問にも関連しているのですけれども、要はエストラスサイクルを自分で把握しないといけないというのが、本質的にあると思うのです。1日1回6周期使ってくださいというように読めますが、それを1パックとして売ってしまうのですか。そうなったときの品質管理は大丈夫なのでしょうか。今のこの形だと物によって違うみたいに読めてしまいます。これは抗原抗体反応ですし、結局データはクオリテイティブなのですよね。バンドの濃さなど。しかし、バンドの数が増えたときに、コントロールよりバンドのデンシティが低くなっているときでも陽性と判断する場合がある。この例示の2はそうですよね。従って、かなり使い慣れないと駄目なのだということをすごく思いました。あとは、やはり、そのような長期間の使用にあたっての品質管理面はどうなっているのか、どのような売られ方をするのかところを教えていただけたらと思います。
○矢野参考人 大概6回分ぐらいがセットになっているようです。どうしてそうなったか私もよく知りませんが、実際のところは、初めて使う人でも、目の前でドクターが診察してやる場合でも、その練習用として大体1周期6個ぐらい要るという感じなのです。月経周期1回で練習するのです。どこで濃くなっていくのかを見るために6個ぐらい使うこともあります。朝晩、朝晩、朝晩と3日間やるから6個ぐらい使うこともあります。ですから、多分6個なのです。6か月間それをやるという意味はないと思うのです。1周期朝晩、朝晩、朝晩とやって6個要るからだと私は思っていました。
それでどこが濃く出るのか。自分の基礎体温の一番下がったところから上がっていく途中で、大体多くの人は深夜に排卵しているのです。それを本人が分かってくると、朝晩、朝晩、朝晩とやっていくと、濃くなるところが分かるのです。そこで、パートナーがいるときに必ずやったほうがいいですよと言っていますが、すぐに性交渉ができるような状況でやっていただくと妊娠しやすいというか、そういうのに使っていただいているので、6個というのは1周期。1周期で6個使います。慣れてきても、6個は使わなくても、やはり3個ぐらい使ったり4個ぐらい使ったりするという形でしょうか。1周期大体6個以内で賄えるかなという感じで我々は考えています。
○五十嵐座長 よろしいですか。
○佐藤委員 はい。
○五十嵐座長 そのほかにいかがでしょうか。矢野先生は、第1類医薬品として今のままがいいとおっしゃっていましたね。
○矢野参考人 そうです。初めての方は使用方法が分からないので、最初に説明して差し上げるのがよいでしょう。陽性反応が出た場合、それは排卵しているのか、あるいは妊娠しているのかのチェックも要りますので、そのこともあらかじめお伝えしておく必要があります。いきなり陽性反応が出た場合には、驚いてしまうでしょうから。使用経験の無い方には丁寧な説明が必要ですが、使用経験者にはそれほど必要ないでしょう。本検査薬は、第1類医薬品のままにしておくのが妥当と考えます。
○五十嵐座長 石原先生も、その辺は十分配慮しながら、理解が得られるならば第2類医薬品か第3類医薬品でもいいけれども、しかし慎重な説明は必要だとおっしゃっていました。もう1つは、インターネット等で購入することもできる状況にはしていただきたいという御要望がありました。
○矢野参考人 今はアマゾンで簡単に買えますか。
○五十嵐座長 そうですね。
 
○舟越委員 そのチェックシートが今回260何件配布されていなかったというのが2年間の中であります。企業側の対策としては、そのチェックシートを箱の中に梱包するということしか書いていないのですが、ネット販売では、こういうチェックシートを全部やって評価してからでないと買えないような流れになっているのでしょうか。そこがちょっと分からないのです。
○五十嵐座長 御存じですか。
○矢野参考人 最近インターネット上で販売されているものを実際に私は見たことがないので、コメントできません。
○事務局 事務局からですけれども、インターネットで購入する際にも薬剤師の確認があって、その薬剤師とのやり取りがあったことの確認ができてから出荷されるというようになっているようです。
○舟越委員 その中にあるチェックシートというのは、実際にセルフチェックなのでしょうけれども、しっかりと活用するのかどうかというのが気になったのです。2年間で263件配布されていなかったという回答に対する対策がこれだと、どうなのかなというのがちょっと。
○医薬安全対策課長 今の現状について、我々が十分把握できていない関係で、現状についてお答えはできないのですが、先生の御指摘がセルフチェックシートをしっかり使ってインターネットでも販売すべきということであるならば、本日の御意見を踏まえ、今後そういう形で指導したいと思います。
○五十嵐座長 そのほかにはいかがでしょうか。それでは、今後どうするかの議決を取りたいと思いますけれども、委員の先生方からは第2類医薬品ないし第3類医薬品にするという御意見はなかったと思います。矢野先生がおっしゃるように、一般用黄体形成ホルモンキットについては、これからも第1類医薬品としていくという御意見だったと思いますが、それでよろしいですか。ありがとうございます。それでは御異議なしということにしたいと思います。今後の予定について事務局から説明をお願いします。
○事務局 御議論いただきましてありがとうございました。本日御審議いただいた結果に基づいて、パブリックコメント実施のための手続を進めさせていただきます。どうもありがとうございました。
○五十嵐座長 ここまでで何か委員の先生方からありますか。よろしいですか。矢野先生におかれましては、本日は貴重な御意見をどうもありがとうございました。これ以降の議題について特に先生に御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席を頂いても差し支えありません。どうもありがとうございました。
議題4に移ります。要指導医薬品のリスク評価についてです。個別品目の審議の前に、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 では、資料4-1、要指導医薬品のリスク評価についてを御覧ください。表に記載されている品目は現在、要指導医薬品に指定されており、この度、製造販売後調査期間の終了見込みに伴い、一般用医薬品としての適切性を確認するためのリスク評価をお願いするものです。
初めに、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順について、簡単に説明させていただきます。2ページ目を御覧ください。スイッチOTC薬などのリスク評価については、リスク評価手続について、平成25年12月に開催された医薬品等安全対策部会において決定していただいたものです。本日の御審議は、この部会決定に基づいて実施していただくこととなります。
背景から順に説明いたします。平成25年の旧薬事法改正により、適正使用のために、薬剤師による対面による情報提供や、薬学的知見に基づく指導が必要な医薬品として、一般用医薬品とは別に要指導医薬品という新たな医薬品カテゴリーが設けられました。この要指導医薬品のうち、スイッチOTCやダイレクトOTCには、それぞれ一定期間の製造販売後調査の実施が義務付けられており、この調査期間が経過すると一般用医薬品に移行することとなるため、移行の際には一般用医薬品としての販売の可否を確認するためのリスク評価を行う必要があります。
2.のとおり、一般用医薬品としての販売可否に関する評価については、原則3年間の製造販売後調査の終了までに行うこととし、製造販売後2年以降の時点において、製造販売後調査の中間報告の結果などを基に、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないことを確認していただくこととなります。3.に記載されているとおり、この確認については本安全対策調査会にて行っていただくことにしており、また、本日の審議結果については、医薬品等安全対策部会に報告させていただくこととしております。
要指導医薬品から一般用医薬品への移行についての流れを説明いたします。4ページ目を御覧ください。企業は販売開始後、原則3年間の製造販売後調査を実施し、その間は要指導医薬品と区分されます。調査期間中に、1年ごとに年次報告書が提出され、また、製造販売後2年以降経過し、特別調査の目標症例数、内服薬の場合は3,000例、外用薬であれば1,000例を集めた時点で、中間報告書が提出されます。中間報告書をもって、安全対策調査会で一般用医薬品としての販売の可否について評価いたします。
一般用医薬品への移行が認められた場合、製造販売後調査期間が終了した時点で第1類医薬品に移行いたします。今後、製造販売後調査終了後の1年の間に、企業から提出される最終報告などの結果から、一般用医薬品としてのリスク区分を安全対策調査会及び部会での審議などを経て決定することになります。繰り返しになりますが、今回お願いさせていただきます評価は、第1類医薬品としての販売の可否についての評価になります。説明は以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。それでは、具体的な品目としてロキソプロフェンナトリウム水和物の審議をしたいと思います。事務局から説明をお願いします。
○事務局 ロキソプロフェンナトリウム水和物外用剤について説明いたします。資料4-2を御覧ください。販売名はロキソニンSテープ、ロキソニンSテープL、ロキソニンSパップ及びロキソニンSゲルです。効能・効果は腰痛、肩こりに伴う肩の痛み、関節痛、筋肉痛などです。用法・用量はロキソニンSテープ、ロキソニンSテープL及びロキソニンSパップは1日1回、患部に貼りつけます。ロキソニンSゲルは1日3~4回、適量を患部に塗擦します。
製造販売後調査概要を御覧ください。特別調査とは、個別に薬局と契約してモニター店舗でアンケート調査票を配り、アンケートによる調査を実施するものです。この特別調査では、ロキソニンSテープとロキソニンSテープLでは調査症例数2,038症例で副作用が61例71件ありました。内訳は接触皮膚炎28件、そう痒症23件、皮膚刺激8件などでした。このうち重篤と判断された症例はありませんでした。使用者若しくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、報告された副作用は44例81件でした。内訳はそう痒症12件、紅斑8件、接触皮膚炎7件などでした。このうち重篤と判断された症例はありませんでした。
ロキソニンSパップの特別調査では、調査症例数1,205例で副作用が23例24件ありました。内訳はそう痒症10件、接触皮膚炎7件、紅斑3件などでした。このうち重篤と判断された症例はありませんでした。一般調査で報告された副作用は12例21件でした。内訳はそう痒症4件、紅斑3件、発疹3件などでした。このうち重篤と判断された症例はありませんでした。
ロキソニンSゲルの特別調査では、調査症例数1,223例で副作用が6例7件ありました。内訳は腹部不快感3件、上腹部痛1件、接触皮膚炎1件、皮膚刺激1件、疼痛1件でした。このうち重篤と判断された症例はありませんでした。一般調査で報告された副作用は18例26件ありました。内訳は紅斑3件、感覚鈍麻2件、腹部不快感2件、そう痒症2件などでした。このうち重篤と判断された症例はありませんでした。
医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく報告ですが、報告書のデータロック後に報告された重篤な副作用報告はいずれもありませんでした。また、使用上の注意の改訂の指導により、[相談すること]の項にショック(アナフィラキシー)がまれに起こることがある旨を、2017年7月4日に追記しました。資料の説明は以上となります。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。今日は参考人として新井先生においでいただいております。新井先生、御意見をよろしくお願いします。
○新井参考人 ロキソニンは非常に使いやすい。今回の副作用報告にはなかったのですが、喘息の患者さんへの使用注意というのがあります。NSAIDs入りの湿布の使用では、喘息発作を重篤化しやすいので、今後も十分な注意喚起が必要だと思います。また、整形外科医からは、副作用報告はしなかったが、光線過敏症があったということは聞いております。
ただ、問題がありまして、ロキソニンというのはNSAIDsの代表的な薬で、鎮痛薬といえば、すぐ患者さんはロキソニンと言う、痛み止めというとロキソニンをくださいと自分から言うぐらい、非常にポピュラーで広く行き渡った薬ではないかと思います。ただ、ロキソニンの経口薬と湿布薬というのは違うものですよね。飲むロキソニンと、貼るロキソニンというのは、全く効果が違うわけなのです。ところが、患者さんの場合は、そのように受け取っていない節があります。患者さんと噛みあわなかったこともあるのですが、「私、ロキソニンをずっと使っているんだけど、痛みが取れない」という話を聞いて、第一印象としてはロキソニンを飲んでいるのだろうと思っていたのですが、ずっと貼っていた、だけど効かないのだということが、よく話を聞いていて分かってきた。
問題なのは、痛みというのはいろいろな重篤な疾患の初期症状として出てくるわけなのです。それを、湿布を貼ることによって紛らわすということ。いわゆる筋肉痛とか、運動後のものというのは問題ないのですが、別なもの、例えば脊椎腫瘍とか。これは実際にうちで経験しているのですが、半年間ずっとロキソニンテープを貼り続けた人がいる。痛みが治らないからということで来た。その患者さんが同一の薬局からロキソニンテープを買っていたのか、それとも幾つかの薬局で買ったのかは分からないのですが、改善しないということで来た。それで診まして、レントゲンを撮ったら何かおかしいなということで、MRIを撮りましたところ脊椎腫瘍だった。恐らくはスローグローイング、なかなか急速に大きくなるものではなかったから、分からなかったということだと思うのですが、長期で使われてしまうと、ロキソニンに対する信頼感がありすぎるがゆえに、かえって手遅れになることがある。実はつい最近も、膝痛が1か月間続いているということで中学生が来まして、ずっとロキソニンを貼っていたんだ、治らないんだということで来て、レントゲンを撮って、ちょっとおかしいなと思ってMRIまで撮って、骨肉腫の疑いという形で出てきました。
非常に手軽で、非常に便利です。医者も非常に有効な治療手段としている。ただ、診断の遅れにつながるおそれが非常にあります。ですから、余り長期間使われることは、非常にまずいのではないかなと懸念しております。
これを言うと怒られるかなと思うのですが、ロキソニンという名前を貼付剤ロキソニン、湿布という形で言われると、患者さんはロキソニン=痛み止め、それは飲み薬でも湿布でも効くと、そういうイメージ連鎖というか、そういう形になっているのではないかと思うのです。そこら辺のところを考慮しないと、健康被害と言いますか、もっと早くというものが手遅れになる可能性がある。痛み止めとして非常に有効なので、私は非常によいと思うのですが、そこら辺を考慮していただかないとまずいのかなと思っています。以上です。
○五十嵐座長 そうしますと、この薬は要指導医薬品というのが今の状態なのですが、一般用医薬品第1類にすることについては、先生の御意見はいかがでしょうか。
○新井参考人 薬剤師を通さなくてもいいということですか。ではなくて、今までと同じということですか。
○医薬安全対策課長 資料にもありますが、要指導医薬品と一般用医薬品、これは第1類から第3類までありますが、その違いは、対面での販売を求めるかどうかといったところが一番大きいと思っています。仮にこれが要指導医薬品から、1年が経過したことをもって第1類医薬品になるとしますと、そこでは先ほどの別な品目もそうなのですが、薬剤師の関与というものが必要で、情報提供も文書で行うという位置付けに変わりはありません。
○新井参考人 6か月間ずっと、それも薬剤師が何をやっていたのかなと思ってしまうのですが、やはりサロンパスのイメージとちょっと違うのです。患者さんも完全に分けています。サロンパスとロキソニンテープは全く違うものだと、はっきり分けています。サロンパスは手軽で、ロキソニンはもう少しグレードが高いものだと完全に分けています。そういうことを考えると、だらだらと長く使われるのは、いろいろな病気の初期症状を見逃すことになるのではないかなと思いますので、私は第1類であったほうが安全だとは思うのですが。
そうでなければ名前を変えていただく。一番手っ取り早いのはそれだと思うのです。例えばジクロフェナクテープというのがあるのです。これは意外に使っていないのです。ところがジクロフェナクテープというのは、これはボルタレンテープなのです。ボルタレンといったら、患者さんは自分から言う人もいるぐらい。ボルタレンという言葉から受けるイメージと、ジクロフェナクという言葉から受けるイメージが全然違います。
ですから、ロキソニンという名称を使わなければ、別にこういうことは起きないとは思うのです。ロキソニンが余りにも信頼性が高すぎてしまうがゆえに起きる弊害と言いますか、こういう健康被害かなと思っているのですが。そのようにならなければ別に通さなくてもいいと思うけれど、やはりそういうことを考えると、ロキソニンのままいくのであれば薬剤師さんを通さないと、痛みを初期症状とする病気を見逃すことになるのかなと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。いずれにせよ要指導医薬品として今まで販売されていて、これが一般用医薬品になる場合には、第1類に移行します。最初から第2類、第3類にいくことはないわけですね。
ですから、販売時に薬剤師による患者さんへの説明は必ずあると、そのように御理解いただきたいのですが。そのような条件がついていることですので、よろしいでしょうか。
○新井参考人 薬剤師さんがちゃんと説明してくだされば問題ないのだけれど。
○医薬安全対策課長 今、先生から、長期に漫然と使うことに対する懸念も示されましたので、少し補足させていただきます。タブレットの資料4-2の50ページ目以降に、今市販されているロキソニン外用剤の関係の添付文書をお付けしていますが、いずれも「使用上の注意」の中で、5~6日という形で使用しても症状が良くならない場合は使用を中止し、外箱を持って医師・薬剤師に相談してくださいというのがあります。ほかにも注意を、連続して2週間以上使用しないということも含めて、かなり書かせていただいています。これに気付くかどうかというところに関しては、先ほどの販売名に基づく外用か内服かの誤解も含めて、ここは薬の専門家としての薬剤師が間に入ることによって、今、先生から御指摘を頂いたような懸念というものに関して、きちんと正していくといったことは、改めて必要かなと思いました。そのようにさせていただきたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございました。それでは、委員の先生から意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
○佐藤委員 このチェックシートというのは、ずっと使われるのですか。患者さんにチェックしていただくというのは変わらないという理解でいいのでしょうか。「連続して2週間以上使用しないでください」と書いてあるのが56ページにあって、ここに至るまで結構時間が掛かると思います。重要な点はここかなと思いますので、チェックシートなどで注意喚起の仕方の工夫をきちんとしていただければいいのではないかなと思いました。
○五十嵐座長 先生がおっしゃっている55ページのロキソニンSテープ・テープL、ロキソニンSパップ、ロキソニンSゲルのチェックシートの上の2つのボックスは、これは服用を開始するときのチェックですね。
○佐藤委員 そうですね。アレルギーに関して、今はそうなっていますけど。
○五十嵐座長 先生がおっしゃっている2週間というのは、その下のほうですね。
○佐藤委員 そうです。今後、例えば患者さんの判断がかなり重くなってきたときに、先ほどおっしゃっていたような状況を考えると、長期使用ということを避けるためには、下に赤字で書いてあることが結構大事ですよね。そのところを、もう少し工夫して目に入るようにしたほうがいいのかなと思ったのですが。
○五十嵐座長 貴重な御意見だと思います。チェックシート、特に55ページのチェックシートに関して言うと、下の所の「使用の際は、以下の事を守ってください」というのは、字も少し小さいし、赤字ではないので読んでくれない可能性があるので、字を大きくしたり赤字にするなどの配慮してもらいたいという御指摘ですね。ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。
○伊藤委員 余計な心配かもしれないのですが、今回、第1類にということは問題ないと思うのですが、NSAIDsで飲み薬と貼り薬が両方ともOTCにあるという状況は、これで初めてなわけですよね。なので、使い分けと言いますか、患者さんが両方あったときに、飲み薬のほうが適切なときに貼り薬のほうが便利だから使ってしまうとか、それでどんな問題が起きるかというところは分からないのですが。例えば血中濃度推移とかがどのくらい違うのか、よく調べていなくて申し訳ないのですが、このロキソプロフェンというのはプロドラッグですよね、それを経口投与した場合と経皮投与した場合で、活性体の濃度推移が違ったりするのかなと思ったりもします。そういうのを患者さんが知らずに、同じような感覚で使ってしまうと問題があったりということが、第1類である以上は問題ないのかと思うのですが、少し今後は気をつけたほうがいいのかなと思いました。
○五十嵐座長 薬物血行動態というか、薬物動態的には非常に重要な御指摘ではないかと思います。ほかはいかがでしょうか。それでは、議決を取りたいと思いますが、よろしいでしょうか。一般用医薬品の第1類にすることについては特に反対の御意見はなかったようですが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議なしということにしたいと思います。
では、今後の予定について御説明をお願いします。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございました。製造販売後調査終了までの間、報告される副作用報告などを評価し、本日御審議いただきました結果に変更がないことを確認しつつ、一般用医薬品に移行する手続を進めてまいります。また、本日の結果については、次の医薬品等安全対策部会に報告いたします。どうもありがとうございました。
○五十嵐座長 ありがとうございました。委員の先生方、特に何かここまでで御意見はありますか。よろしいですか。
○望月委員 第1類で販売するときに、先ほどの検査薬のほうでもそうだったのですが、第1類になるとネット販売と両方できるようになるのだと思います。以前にほかのお薬でも、ネット販売とそうではないほうでどうだったのかという議論があったような記憶があるのですが、この先、副作用報告を集めるときに、どういう販売形態であったのかということを収集することは、かなり厳しいのでしょうか。
○審議官 副作用報告の様式の中に、インターネットで買った場合かどうかというのを欄として入れた経緯が確か過去にありまして、今も多分そうなっていると思うのです。そこをちゃんと書いてもらっていれば分かるという格好にはなっていると思います。多分、OTCとしてやっているところでのネット販売の部分を確実に捕まえるということを、どうやったらやれるのかということについては、まだ工夫の余地があるのではないか。それから、副作用報告の集め方に関しても、患者さんからの副作用報告を本格化するという御報告を最近したところですが、そうした際にも、報告を頂く内容でネットで買ったものなのかどうかというのを区別できるような、そういう工夫をしていくというのも、これもあるのではないかなと思われます。
ただ、どちらがどうだというのが、どう比べられるのかというのは意外と難しくて、そういうところをどのように分析したらいいのかということについても、ちょっと課題かなと思います。過去に得られたデータ、限られたデータですが、そこを分析して本当にうまく比較できるかなというのが、なかなか難しいというのが実感としてありますので、どういう方法で弁別をして、どういう観点で何をどう比較するのかということについては、また先生方からもアドバイスを頂いて、検討を更に深めていくことが大事と思っています。
○五十嵐座長 よろしいですか。
○事務局 先ほどのネット販売の副作用報告に関してですが、現状の市販後の副作用報告において、様式上、どういった販売方法で行った副作用であるかについて記載する項目があります。入手した情報についてどこまで何かできるのかという点については、課題があると思いますが、様式上は記載できる項目があるというところです。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。では、今日は新井先生には参考人としておいでいただきまして、貴重な御意見、どうもありがとうございました。
では、最後の議題5はその他なのですが、今日予定していた議題は全て終えておりますので、何か事務局からありますか。
○事務局 特にありません。最後に事務局から、本日の議事録につきましては後日送付させていただきますので、内容の御確認をお願いします。なお、御確認いただいた後は、厚生労働省のホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。事務局からは以上になります。
○五十嵐座長 それでは、今日の調査会はこれで終了といたします。御協力、ありがとうございました。

 

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)> 令和元年度第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会議事録(2019年5月31日)

ページの先頭へ戻る