ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)> 平成30年度第12回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会議事録(2019年3月11日)

 
 

2019年3月11日 平成30年度第12回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

医薬・生活衛生局 医薬安全対策課

○日時

平成31年3月11日(月)16:00~

 

○場所

田中田村町ビル8F 会議室8E

○議事

○医薬安全対策課長 医薬安全対策課長の関野です。本日はよろしくお願いいたします。定刻よりも少し前ですが、委員の先生方が全ておそろいでございます。それから、事前に登録していただいた傍聴の方もほぼお見えですので、これより、本日の調査会を始めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
本日、平成30年度の第12回目になりますが、医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開催いたします。本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日の調査会は御案内のとおり、いつもどおり公開で行っております。カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、傍聴の方におかれましては御理解と御協力のほど、よろしくお願いいたします。
まず、医薬品等安全対策部会安全対策調査会につきましては、本年1月25日に、薬事・食品衛生審議会の委員の改選が行われており、本調査会についても、委員改選の対象となっておりました。その結果、いずれの委員も引き続き再任されておりますので、その旨を報告させていただきます。
また、本調査会は医薬品安全対策部会の下に設置されている調査会ですが、医薬品安全対策部会の部会長につきましては、1月25日の委員改選時に、五十嵐隆委員が選任されておりますことを報告させていただきます。
次に、本調査会の委員を50音順で紹介させていただきます。まず、五十嵐隆先生、伊藤清美先生、柿崎暁先生、佐藤薫先生、舟越亮寛先生、最後に望月眞弓先生です。以上6名です。どうかよろしくお願いいたします。
本日は委員改選後、初めての会議ですので、本調査会の調査会長を決めさせていただきたいと思います。事務局としては引き続き、医薬品等安全対策部会長をされております五十嵐先生にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
ありがとうございます。よろしければ、五十嵐先生に本調査会の会長をお願いいたします。五十嵐先生におかれましては、調査会長席に移動をお願いします。
続きまして、本調査会の会長代理を決めたいと思っております。調査会長から御指名いただくことになっておりますが、五十嵐先生、いかがでしょうか。
○五十嵐調査会長 それでは、望月先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 それでは望月先生、よろしくお願いいたします。続きまして、本日の委員の出欠状況について報告をいたします。調査会の委員の先生方は6名ですが、6名全員に出席していただいております。したがって、薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立しておりますことを報告申し上げます。また、本日は議題の関係で、参考人の先生方に来ていただいておりますので紹介させていただきます。議題の順番で紹介をさせていただきます。まず議題1の関係で松尾幸治先生、議題2の関係で多田紀夫先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。それでは、このあと議事に入りますので、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。御理解、御協力のほどをお願いいたします。それでは、以後の進行を五十嵐調査会長、お願いいたします。
○五十嵐調査会長 では、早速議事に入りたいと思います。はじめに事務局より、審議参加に関する遵守事項について御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは事務局より、審議参加について御報告いたします。本日、御出席の委員及び参考人の方々について、議題1及び議題2の対象品目、競合品目の製造販売業者からの過去3年度における寄付金、契約金等の受取状況を御報告いたします。競合品目、競合企業については、事前にリストを各委員にお送りして確認していただいております。柿崎委員より、ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社から500万円を超える受取、MSD株式会社及びエーザイ製薬株式会社から50万円~500万円以下の受取、アステラス製薬株式会社、サノフィ株式会社、塩野義製薬株式会社、興和株式会社、大日本住友製薬株式会社及び第一三共株式会社から50万円以下の受取、舟越委員より、持田製薬株式会社、MSD株式会社、アステラス製薬株式会社、ファイザー株式会社、マルホ株式会社、協和発酵キリン株式会社、大日本住友製薬株式会社、第一三共株式会社、田辺三菱製薬株式会社、日医工株式会社、日本新薬株式会社、大塚製薬工場株式会社、大鵬薬品株式会社、エーザイ株式会社、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社から50万円以下の受取、望月委員より持田製薬株式会社、ファイザー株式会社、田辺三菱製薬株式会社及び日医工株式会社から50万円以下の受取と御申告いただいた他は、受取の御申告はありませんでした。よって、議題1の審議について、柿崎委員におかれましては、抗生物質についての審議又は議決が行われている間、会場から御退出いただきます。また、柿崎委員におかれましては、アモバルビタール、セコバルビタールナトリウム、ペントバルビタールカルシウム、バルプロ酸ナトリウム、ペニシラミンについて意見を述べることはできますが、議決に加わることはできません。
なお、そのほかの委員におかれましては、意見を述べ、議決にも加わることができるとともに、全ての参考人におかれましても意見を述べることができます。これらの申告については、ホームページで公表させていただきます。
続いて、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事分科会規程第11条においては、委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならないと規定しております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。審議参加に関する遵守事項についての説明、薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果の報告は以上です。
○五十嵐調査会長 ただいまの御説明に対して、よろしいでしょうか。特にないということですので、協合品目、協合企業の妥当性を含めて御了解いただいたものといたします。
では、今日の資料の確認を事務局からお願いいたします。
○事務局 事務局より、本日の資料について御説明いたします。厚生労働省では、業務全体においてペーパーレス化の取組を推進しており、本調査会も資料はタブレットで閲覧する方式で実施いたします。各委員、参考人におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。はじめに、タブレット端末の操作方法について御説明いたします。お手元には、タブレットと操作説明書を配布しております。いずれも調査会終了後に事務局にて回収いたしますので、机の上に置いたまま退室してください。また、タブレットにはカバーが付いておりますが、このカバーは外さないようにお願いいたします。
それでは、タブレットの表面にある丸いホームボタンを押していただき、画面が表示されましたら再度ホームボタンを押してロックを解除してください。そして、ホーム画面が表示されることを御確認ください。続いて、ファイルブラウザと書かれた青いアイコンをタップして資料一覧が表示されることを御確認ください。資料を閲覧する際には、各資料のアイコンをタップしてください。資料のページをめくる際には、指を画面上でスライドさせてください。資料を切り替える際には、画面左上のマイプライベートファイルの文字をタップすることで、資料一覧のページに戻ることができます。その他の操作方法については、操作説明書に記載しておりますので、各位御参照ください。
なお、一定時間操作しておりませんと、画面がスリープ状態になるよう設定しております。スリープ状態になりましたら、再度、起動の操作をしていただくようお願いいたします。また審議中、誤って別のアプリケーションを開いてしまった際には、ホームボタンを押すことでホーム画面に戻ることができますので、再度ファイルブラウザのアイコンをタップしてください。御不明な点、不具合等がございましたら、事務局員にお申し出ください。
続いて、資料の御説明をいたします。委員、参考人の皆様は、資料一覧のページを開いてください。本日の資料は、議題1について資料1-1から資料1-7、議題2について資料2-1及び資料2-2となっております。委員、参考人一覧、競合品目、競合企業リストもございますので、適宜、御参照ください。不足資料等がございましたら、事務局員までお申し出ください。以上です。
○五十嵐調査会長 何かトラブルはありますか。大丈夫ですか。うまくいっているようです。
では、議題1の添付文書記載要領の改正に伴う原則禁忌の取扱いについて、審議をしたいと思います。事務局から概要の説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、事務局より御説明申し上げます。資料1-1を御覧ください。まず、背景です。医療用医薬品の添付文書については、現在、平成9年に発出された記載要領についての通知に基づいて作成されているところです。より理解しやすく、活用しやすい内容にするため、平成29年6月に新しい記載要領を発出しております。新しい記載要領における主な改正点としては、「原則禁忌」の項目の廃止、「特定の背景を有する患者に関する注意」の項目の新設等があります。
資料の3ページに主な点をまとめています。主な改正事項としては御覧のようなものがありますが、その中でも本日の議題と関係するのは、2番の「原則禁忌」「慎重投与」の廃止です。原則禁忌については、記載要領の改正に先立って実施された厚生労働科学研究において、原則禁忌の解釈が医療関係者の間でも分かれていることがアンケートによって示されていました。そのような背景もあり、この項目を整理、廃止することにしたところがあります。原則禁忌の廃止に伴い、現在こちらの項目に記載がある注意喚起については、新設される特定の背景を有する患者に関する注意等、その他の適切な項へ移行することとしております。
4ページは、記載要領の改正前後に伴う項目の比較をしたものです。改正前側の上から3番目に、緑色で「原則禁忌」と書いてあり、こちらについては矢印の実線で、9の特定の背景を有する患者に関する注意に矢印が引っ張ってあります。基本的に、原則禁忌については改正後の記載要領では特定の背景を有する患者に関する注意という項目の中で、注意喚起を行うこととしています。
ただ、こういった基本はありながら、原則禁忌に現在記載のある内容を見た場合に、禁忌に移行したほうが適切なものがあるのではないかという観点で検討を行ってまいりました。これに際しては、国内外の関連するガイドライン、類薬あるいは海外の添付文書における禁忌の記載等を考慮しつつ検討を行い、製造販売業者にも見解を聴取して、対象を選定して改訂案を作成しております。
資料1-2は、本日御検討いただく薬剤の一覧です。今回、選定した医薬品の禁忌移行に関する検討については、当該薬品を主に使用する診療科に関連する学会より、医療現場における使用状況を踏まえ、「禁忌」に移行することについて、あらかじめ御意見を伺っております。
資料1-1にお戻りいただき、2ページです。3.の今後の予定といたしましては、「原則禁忌」とされている事項のうち、「禁忌」に移行することが適当と考えられる記載については、「使用上の注意」の改訂通知として発出し、「禁忌」に設定する予定としております。なお、記載要領に基づく添付文書において、新旧の記載の相違による臨床上の使用の混乱を避けるために、通知発出後には、旧記載要領に基づき作成された添付文書においても、「原則禁忌」から「禁忌」への移行を行っていただくこととしています。新しい記載要領については、平成29年に通知されていると申し上げたところですが、施行はこの4月からとなっており、経過措置期間は5年を予定しております。そのため、新記載要領への移行については、その期間に順次行われることとなっておりまして、当面の間、新旧の記載要領が混在する状況が発生するための取扱いです。
なお、禁忌に移行しないこととされた内容については、旧記載要領に基づく添付文書では「原則禁忌」の記載が維持されますが、新記載要領に基づく添付文書では、「特定の背景を有する患者に関する注意」の項目に移行する予定です。本日、資料1-2で御覧いただいた薬剤を御議論いただきますが、引き続き「原則禁忌」から「禁忌」への移行について検討を行っている医薬品もあり、それらについては今後の安全対策調査会において御審議いただく予定としております。
資料1の最後のページは「参考」で、現在、原則禁忌としてはどのようなものがあるかという例です。例えば、シクロスポリンの神経ベーチェット病の患者、コデインリン酸塩水和物の細菌性下痢のある患者などの原則禁忌が、現在の添付文書に記載されております。
5ページの2.ですが、原則禁忌が、新しい添付文書において特定の背景を有する患者に関する注意に移行する場合に、どのような書き方になるかというものを例としてお示しています。シクロスポリンの場合は、9の特定の背景を有する患者に関する注意の下の項目に、9.1.7 神経ベーチェット病の患者とあり、その中で「治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと」と、こういった書き方になる予定です。資料1-1及び資料1-2の説明については以上です。
○五十嵐調査会長 何か質問等はございますか。よろしいですか。それでは、個別の品目の審議に入ります。はじめに、アモバルビタール、セコバルビタールナトリウム、ペントバルビタールカルシウムの3つの薬剤について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-3のアモバルビタール、セコバルビタールナトリウム及びペントバルビタールカルシウムについてを御覧ください。まず、1.の品目の概要です。一般名としては、今申し上げた3つ、販売名としてはイソミタール、アイオナール、ラボナ錠です。効能・効果といたしましては、不眠症、不安、緊張状態の鎮静、睡前投与等の効能がそれぞれの薬剤に付いております。
2.の「禁忌」への移行を検討する「原則禁忌」の記載状況です。現在、こちらの薬剤には、①アモバルビタールについては急性間歇性ポルフィリン症の患者、②③についても同じく、急性間歇性ポルフィリン症の患者とあります。括弧内の禁忌の理由が若干違いますが、いずれも急性間歇性ポルフィリン症の患者が原則禁忌に記載されています。
3.の海外添付文書における関連記載ですが、米国における記載としてContraindicationsの中に関連の記載があります。
4.は、ガイドラインの関係です。②セコバルビタールナトリウムの関連のガイドラインにおいては、急性間歇性プロフィリン症を有する症例には禁忌であると書いてあり、ペントバルビタールカルシウムについても同様の記載があります。
5.は、「禁忌」とする理由です。①②③は全て共通です。海外のセコバルビタールナトリウム、ペントバルビタールナトリウムの添付文書、類薬の添付文書、並びにガイドラインの記載で「禁忌」とされていることから、「禁忌」に改訂することが適当であると判断しております。
6.は、改訂案です。いずれも現在の原則禁忌にある内容を「禁忌」に記載するというものです。
次ページの7.です。これらの薬剤の検討に当たっては、日本精神神経学会、日本麻酔科学会に御意見を伺っており、こちらの改訂については、いずれも異論はないという御回答を頂いております。事務局からの説明は以上です。
○五十嵐調査会長 それでは、この件について御意見、御質問等はいかがでしょうか。特にございませんか。本日は、日本精神神経学会から松尾参考人においでいただいていますが、学会としては改訂案に対して異議はないという御返事を頂いております。何か追加で御意見はございますか。
○松尾参考人 特にございません。全面的に異論なしということで、お願いいたします。
○五十嵐調査会長 それでは、特に御意見はないようですので、議決を取りたいと思います。柿崎委員におかれましては、議決への参加は今回は御遠慮願います。この3つの薬剤であるアモバルビタール、セコバルビタールナトリウム、ペントバルビタールカルシウムの添付文書については、事務局の提案どおり、使用上の注意を改訂することでよろしいでしょうか。ありがとうございます。異議なしとさせていただきます。それでは、今後の予定について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 御議論ありがとうございました。ただいまの御議論を踏まえまして、アモバルビタール、セコバルビタール、ペントバルビタールの製造販売業者に対し、使用上の注意を改訂するよう指示いたします。ありがとうございました。
○五十嵐調査会長 それでは続いて、バルプロ酸ナトリウムについて事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 続いて、バルプロ酸ナトリウムに移ります。資料1-4を御覧ください。バルプロ酸ナトリウムは一般名で、販売名はデパケン錠あるいはセレニカR錠です。効能・効果は、各種てんかん、躁病及び躁うつ病の躁状態の治療、片頭痛発作の発症抑制です。
2.「禁忌」への移行を検討する「原則禁忌」の記載状況は、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人という記載があります。3.海外添付文書における関連記載は、原文の関連部分が大分長いので抜粋しています。別添1の①に原文を記載していますが、抜粋版で簡単に説明させていただきます。米国では、てんかんについては妊婦への投与は禁忌でなく、双極性障害の躁病についても妊婦への投与は禁忌ではない。ただし、片頭痛について妊婦への投与は禁忌であるとなっています。欧州については、各種てんかんで、代替療法がある場合は禁忌である。双極性障害の躁病で、リチウムが禁忌又は忍容できないものについて妊婦への投与は禁忌であるとされております。片頭痛については米国と同じく、妊婦への投与は禁忌となっています。
次ページの4.ガイドライン、文献等です。日本神経学会監修のてんかん診療ガイドナインにおいて、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対して、本剤の使用方法は記載されていない。うつ病学会治療ガイドラインの双極性障害において、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対し、本剤の使用方法は記載されていないということです。慢性頭痛ガイドラインは、「妊娠の可能性が疑われる場合には、バルプロ酸の服用を中止して主治医と連絡を取るよう指導する」と記載されております。これらの状況を踏まえ、事務局といたしましては、効能・効果のうち、躁病及び躁うつ病の躁状態の治療及び片頭痛発作の発症抑制については、海外添付文書で「禁忌」とされていることから、「禁忌」に改訂することが適切と判断いたしました。
6.改訂案です。原則禁忌の記載としては、先ほど御紹介いたしました内容があり、それを改訂する案として、禁忌に、躁病及び躁うつ病の躁状態の治療及び片頭痛発作の発症抑制の場合として、効能を限定し、妊婦又は妊娠している可能性のある女性を「禁忌」に記載するという改訂案を作成しています。てんかんについては、この禁忌には含まれないという改訂案です。
続いて、3ページ、7.関係学会の御意見です。各種てんかんについては、禁忌に引き上げないという案でもありますので、日本てんかん学会からは、この意見に賛成するという御意見を頂きました。片頭痛については、「禁忌」にするという案ですが、日本神経学会、日本頭痛学会からは「禁忌」ということで、意見に賛同するという御意見を伺っております。躁病及び躁鬱病の躁状態については、日本精神神経学会より御意見を頂き、各種てんかんの場合と同様、特定の背景を有する患者に関する注意とすることにとどめ、禁忌とすべきではないという御意見を頂きました。理由については、諸外国においても一律禁忌とされているわけではないということ、本邦においても、てんかんを含め、双極性障害では若年で発症する方が非常に多く、必然的に発症後に妊娠や出産を迎えられるケースが多々あり、そういった場合に急に薬剤を切り替えることが不可能な場合が多いといった理由を挙げていただいています。
4ページです。こういった関係学会の御意見を踏まえた改訂案として、新たに検討し直した案が8.です。現行の禁忌に記載の1~3については省略しておりますが、新しい禁忌としては、片頭痛発作の場合のみを新規に「禁忌」とするという案としております。そのほか、9.特定背景を有する患者に関する注意という、新しい記載要領に基づく添付文書で新たに設置される項目において、そのうちの9.4の生殖能を有する患者については、「妊娠する可能性のある女性に使用する場合には、本剤による催奇形性について十分に説明し、本剤の使用が適切であるか慎重に判断すること。本剤で催奇形性が認められている。」と記載する案にしています。また、9.5の妊婦の項の片頭痛の発症抑制については、禁忌と同内容ですが、「投与しないこと」としています。各種てんかん、及び躁病及び躁うつ病の場合については、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないことという記載にしています。事務局からの説明については以上です。
○五十嵐調査会長 この議題に関しては、日本精神神経学会の松尾先生においでいただいておりますので、御意見を頂きたいと思います。
○松尾参考人 まず最初に、こういった発言の機会を与えていただき、どうもありがとうございます。この説明文だけですとちょっと分かりにくいかと思うので補足的な説明をしようと思います。今回の意見以外で、34ページに我々が幾つか調べた海外の動向に関してのいろいろ説明書きがありますので、それもざっと御参考に見ていただけたらと思います。フランスとかEUとか、FDAとかそういう所で、いろいろバルプロ酸に関しての妊婦への投与に関して意見があって、必ずしも全部が駄目というわけではないということと、複数の団体は条件付きでの使用を認めているということです。
2つ目は、この病気自体の好発年齢が大体20代から30代ぐらいと言われていて、発症後に妊娠する可能性が非常に高い疾患であるということが言えます。これは経験則なのですけれども、一部の双極性障害患者さんは、バルプロ酸しか効かない患者さんというのが確実におりまして、中止すると仮に躁状態になった場合は、興奮とか暴力とか、危険運転といったような母子ともに非常に危険な状態に陥る可能性があるということで、危険性が1つです。双極性障害の場合はうつになることもあるのですが、急に薬を切ったりすると、例えばうつになっての双極性障害は自殺率が一般人の5~10倍と言われておりますので、うつ状態になった場合に危険度が高じて自殺のリスクが上がるということで、飲んでいたほうが良いという重要性が非常にあるということです。もちろん、妊娠中に新たにバルプロ酸を投与することは、基本的には考えていません。
あとは、先ほど9.4にあったように、我々もリスクとベネフィットを十分に患者さんと相談して、慎重に継続投与するという対応には変わらないというところが補足の説明です。
○五十嵐調査会長 それでは、本件について御意見、御質問等を頂きたいと思います。
○望月委員 片頭痛に対しては「禁忌」にして、それ以外は特定の背景を有する患者というところに入って、ベネフィットリスクを考えながら投与をするしないを決めていくというところは賛成です。ただ、一般の方も医療者向けの添付文書を見られる時代になっており、片や片頭痛に対しては禁忌になっていて、ほかの疾患では禁忌ではないというところを、もし患者さんが見られたときのことも考えますと、「特定の背景を有する患者に関する注意」の所に入った部分の疾患群について、妊婦さんにどのような形で医療関係者が説明をするのか。通常、禁忌若しくは原則禁忌で、どうしても患者さんに投与するときというのは、かなりしっかりインフォームドコンセントも含めて説明をした上で投与をするのが医療現場の現状だと思いますが、そこが禁忌でないところに移ったときに、どのような対応になるのかということについて、少し教えていただけたらと思います。
○事務局 事務局から回答させていただきます。今回、禁忌にしないという判断となった双極性障害についてですが、現在、てんかんに使用する場合については、情報提供資材等を用いて患者さんに対する情報提供活動が行われております。双極性障害については、そういった患者さん向けの情報提供資材等が作成されておりませんので、原則禁忌の項目が新しい項目になったとしても、注意喚起レベルは従来と同様であるということを適切に情報提供できるよう、情報提供資材等を作成して、医療現場に伝わるようにしていきたいと考えております。
○五十嵐調査会長 よろしいですか。そのほかはいかがでしょうか。
○柿崎委員 参考人の先生にお伺いいたします。意見を求めた4つの関係学会のうち、躁病及び躁鬱病の躁状態についての禁忌かどうかということに言及しているのは、日本精神神経学会だけなのですが、これは日本精神神経学会が躁病及び躁鬱病の患者さんを診療されているということで、一番現場の声に近い意見ということでよろしいわけでしょうか。
○松尾参考人 そうですね、精神科関係の学会の中では一番大きな学会で、多くの会員を持っております。私は薬事委員会で活動していて、今日は委員長の三村先生の代わりに来ているのですけれども、こういった議論はずっとしてきていますので、現場の先生の意見を代表していると御理解いただいて構わないかと思います。
○柿崎委員 分かりました。
○望月委員 もう一点です。米国の添付文書を読みますと、かなりIQに対する影響に言及されているのですけれども、今回、添付文書の改訂内容の中では、そういったところに全く触れていない形になるのですが、この辺りについてはどのような見解に現時点ではなっているかを教えていただけたらと思います。
○五十嵐調査会長 胎児への影響ですね。胎児のIQの低下についての記載が。
○望月委員 成長してからのIQなのですか。
○五十嵐調査会長 小児神経を専門とする先生方から論文が出ています。IQが出生後に軽度低下していることが少なくないとのことです。出生後に長期服用することにおいても、ほかの薬剤を使った場合と比べてみても、やはり多少IQへの影響があることも報告されています。しかしこの薬しか効かない疾患には、使わざるを得ない状況です。
○事務局 てんかん患者からの出生時のIQの低下等については、資料の39ページですが、現在の添付文書を掲載している所を御覧いただくと、右側の5)に研究結果という形で情報を掲載させていただいています。
○望月委員 そうしますと、「特定の背景を有する患者に関する注意」の所に、この記述がそのまま残る形になるのでしょうか。
○事務局 その理解で結構です。
○五十嵐調査会長 そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、幾つか御指摘を頂きましたけれども、議決を取りたいと思います。柿崎委員におかれましては、議決への参加は御遠慮いただきたいと思います。幾つか質問はありましたけれども、基本的にバルプロ酸ナトリウムの添付文書については、事務局の提案どおり使用上の注意を改訂することにしたいと思いますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。御異議なしとさせていただきます。
では、今後の予定について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、ただいまの議論を踏まえまして、バルプロ酸ナトリウムの製造販売業者に対し、使用上の注意を改訂するよう指示をいたします。ありがとうございました。
○五十嵐調査会長 ありがとうございました。松尾参考人におかれましては、貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。これ以降の議題については、特に御意見を求める予定はありませんので、途中で御退席をしていただいても差し支えございません。どうもありがとうございました。
それでは、次に移ります。ヒドロキシエチルデンプン70000について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは資料1-5、「ヒドロキシエチルデンプン70000について」を御覧ください。こちらは、一般名ヒドロキシエチルデンプン70000です。ヘスパンダー輸液、サリンヘス輸液6%という名前で販売がなされております。2剤とも、各科領域における出血多量の場合、体内循環における血液希釈液という効能・効果となっております。
2.「禁忌」への移行を検討する「原則禁忌」の記載状況は、発疹等過敏症の既往歴のある患者です。3.海外の関連記載は、欧米とも、いずれも販売なしという状況です。4.その他のガイドライン等についても、特段該当なしです。5.禁忌とする理由です。類薬であるヒドロキシエチルデンプン130000は、分子量の違うヒドロキシエチルデンプンの製剤ですが、こちらの添付文書において「禁忌」とされていることから、禁忌に改訂することが適切と考えております。
6.改訂案です。原則禁忌は現在、「発疹等過敏症の既往歴のある患者」ですけれども、改訂案では「本剤及び本剤の成分に対し発疹等過敏症の既往歴のある患者」としております。書き方が若干違っておりますけれども、これは一般的な禁忌の過敏症の注意喚起の書き方に倣ったものです。関係学会として日本麻酔科学会の御意見を伺っており、これについては異論がないと承っております。事務局からの説明は以上です。
○五十嵐調査会長 では、この件についても御意見、御質問を頂きたいと思います。特に御意見がないようですので、議決を取りたいと思いますが、よろしいでしょうか。ヒドロキシエチルデンプン70000の添付文書については事務局の提案どおり、使用上の注意を改訂することでよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議なしとさせていただきます。では、今後の予定について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 ただいまの議論を踏まえ、ヒドロキシエチルデンプン70000の製造販売業者に対し、使用上の注意を改訂するよう指示をいたします。ありがとうございました。
○五十嵐調査会長 続いてペニシラミンについて、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 続いて資料1-6、「ペニシラミンについて」を御覧ください。まず品目の概要です。一般名はペニシラミンです。販売名はメタルカプターゼカプセルです。効能・効果ですが、関節リウマチ、ウィルソン病、鉛・水銀・銅の中毒があります。
2.原則禁忌の記載状況は現在、関節リウマチに使用する場合に関して、骨髄機能の低下している患者が記載されております。3.海外添付文書における関連記載ですが、ドイツにContraindicationsとして、「bone marrow damage」という記載があります。5.「禁忌」とする理由です。海外の添付文書で「禁忌」とされていること、並びに類薬であるブシラミンでは、「血液障害のある患者及び骨髄機能が低下している患者」が「禁忌」とされていることから、本剤においても「禁忌」に改訂することが適切であると判断しております。
6.改訂案です。現行に記載してある関節リウマチに対して、骨髄機能の低下している患者というのが原則禁忌ですけれども、こちらについては類薬のブシラミンの記載に合わせて、血液障害のある患者及び骨髄機能の低下している患者について「禁忌」とするという案としております。なお、「血液障害のある患者」の部分については、資料において下線を引いてありませんが、これは本剤について血液障害のある患者が既に禁忌となっているためで、それと骨髄機能の低下している患者を一緒に並べて書くという改訂案としております。7.関係学会の意見ですが、日本リウマチ学会に御意見をお伺いしたところ、この意見に賛同であるという回答を頂いております。事務局からの説明は以上です。
○五十嵐調査会長 では、この件について御意見、御質問等をお願いいたします。特にありませんか。それでは議決を取りたいと思います。柿崎委員におかれましては、議決への参加は御遠慮願います。ペニシラミンの添付文書については事務局の提案どおり、使用上の注意を改訂することでよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議なしとさせていただきます。では、今後の予定について、事務局からお願いいたします。
○事務局 ただいまの議論を踏まえ、ペニシラミンの製造販売業者に対し、使用上の注意を改訂するよう指示をいたします。ありがとうございました。
○五十嵐調査会長 続いて、抗生物質についての議論を行います。柿崎委員におかれましては、抗生物質に関する審議及び議決が行われている間、御退室をお願いしたいと思います。
                                (柿崎委員退室)
○五十嵐調査会長 では、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは資料1-7、「抗生物質について」を御覧ください。1.品目の概要です。対象品目ですが、今回は非常に数が多くなっております。以下の薬剤のうち「原則禁忌」に過敏症の既往歴に係る記載がある品目としており、セフェム系抗生物質、ペニシリン系抗生物質、グリコペプチド系・ペネム系・カルバペネム系抗生物質ということで、詳細な品目については3ページからの別紙にあるものを御覧いただければと思います。
2.「禁忌」への移行を検討する「原則禁忌」の記載状況です。これも剤によって、若干書きぶりが違う内容になっております。セフェム系の①、⑤、⑫~㉟、㊷については「本剤の成分又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者」となっており、②③⑥~⑪、㊳、㊺~㊼については、「本剤の成分又はペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者」となっております。④については「本剤の成分又はテイコプラニン,ペプチド系抗生物質,アミノグリコシド系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者」となっており、㊱、㊲、㊴~㊹については「本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある患者」となっております。
3.海外添付文書における関連記載です。こちらもいろいろなパターンがあり、幾つか抜粋して御紹介いたします。④のグリコペプチド系抗生物質に関しては、「Vancomycinに対し過敏症の既往歴のある患者」という記載がされております。なお⑫の例では、この剤とセファロスポリン系の抗生物質に対し過敏症の患者というのが禁忌になっているという状況です。欧州についてもおよそ似たような状況で、④は、その剤又はその添加物について過敏症のある患者という記載になっております一方、⑫については、本剤のみでなく、同じグループに属するものについて過敏症のある患者が禁忌とされているという状況です。なお、薬剤によってはこういった関連する記載がないものもあり、海外の添付文書も剤によりかなり記載が異なるような状況となっております。4.その他のガイドライン等については特段ありません。
5.「禁忌」とする理由です。今般、ペニシリン系抗生物質であるタゾバクタム・ピペラシリン、注射用バンコマイシン塩酸塩の類薬であるテイコプラニン等の抗生物質では、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある者」が禁忌となっていることから、本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある患者を禁忌とするものです。こちらは若干ややこしい議論になっておりますが、「禁忌」とする理由に書いてありますように、「本剤の成分に対し」ということで、「本剤の成分又は○○系」というのが入っていないものです。こちらについて禁忌とするものです。
6.改訂方針です。原則禁忌に記載のある過敏症既往歴に係る記載のうち、「本剤の成分に対する過敏症の既往歴」については「禁忌」として本剤の成分によるショックの既往歴と統合すると。「原則禁忌」に、本剤の成分以外の薬剤に係る過敏症既往歴の記載がある場合に、当該記載は「原則禁忌」のままとするものです。もう少し平たく申しますと、先ほど申し上げた「本剤又は何々系抗生物質」の「何々系」について、当該記載は原則禁忌のままとするという案としております。その例が以下に示した改訂案です。⑫の例では、「本剤の成分又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者」というのが現行で原則禁忌になっておりますが、これを「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」を禁忌に設定し、残りのセフェム系抗生物質については原則禁忌のままとするというものです。
関係学会の御意見です。日本化学療法学会、日本感染症学会からは、特段の御意見なし、御異論なしと承っております。事務局からの説明は以上です。
○五十嵐調査会長 では、この件についても御意見、御質問等を頂きたいと思います。
○佐藤委員 過敏症というのが、この添付文書の禁忌の中にあるのですけれども、それ以降で「過敏症」と言ったときにどこを指すのかが具体的に伝わりにくいと思います。こういうものは説明しなくてもいいのですか。禁忌の所に「ショックの既往歴のある患者」というのはあるのですけれども、原則禁忌の項で「過敏症」と言ったときに、副作用を全般的に指しているということでいいのですか。
○事務局 ちょっと文言は違うのですが、過敏症に相当する注意喚起は、「重大な副作用」の項に書かれている、ショック・アナフィラキシーのことというように理解しております。
○佐藤委員 アナフィラキシーということで皆さん了承ということなのですね。最初に目に飛び込む文言として過敏症、と囲み記事があるがその後の説明がないなと思っただけです。
○五十嵐調査会長 つまり、過敏症の中身を示していただいたらどうかという御意見ですか。
○佐藤委員 いや、具体的に、添付文書の「どこを参照」などと書いていただければすごく分かりやすいだろうと思ったのです。
○事務局 先ほどの説明でちょっと不足していましたので、補足させていただきます。「重大な副作用」のショック・アナフィラキシーに加え、「その他の副作用」の項目にも、過敏症という項目を書いております。そこにも具体的に、どういうことが起きるかということも書かせていただいています。ただ、禁忌の項に、その他の項目のどこで過敏症に関する注意喚起を書いているか紐付けるような書き方は、ほかの添付文書でもしていないので、一般的にもそういう書き方をしているということで、御理解いただければと思います。
○佐藤委員 では、禁忌の「過敏症」は「その他の副作用」の「過敏症」を指しているのですね。
○事務局 「重大な副作用」と「その他の副作用」、両方です。
○佐藤委員 両方ですか。「過敏症」という言葉を使いながらも、定義が上と下とで違っていていいのかなというのが少し気になったのですが。
○医薬安全対策課課長 今まで結構長い間、こういう「過敏症」という書き方できているのですけれども、今、実際に添付文書をお使いになられている現場の先生から見ると、どのように受けとめておられるかというコメントをいただけたら、今後の参考になるかと思います。
○望月委員 余り参考にならないかもしれないのですが、禁忌にショックが入っていて、原則禁忌では過敏症ということが、添付文書では時折あります。「過敏症」と言うと、発疹とか紅斑といったものが中心になって、「ショック・アナフィラキシー」になると、本当にその場で対処しないと死に直結するようなレベルなのです。ですから過去にショックの経験のある人は、絶対に使ってはいけないという意味で禁忌になっていて、発疹程度の場合にどうするかというのが微妙なところですので、原則禁忌になっているという理解です。今回、それが禁忌に上がりますから、レベルとしては上がるわけです。確かに過敏症の方がショック・アナフィラキシーを起こすリスクはお持ちだと思うので、注意が必要ですから、今回の改訂はある意味で妥当なのかなと思っています。
○五十嵐調査会長 一般的に「過敏症」と言いますと、最重症はショック・アナフィラキシーですが、それを含む、かゆみや発疹といった比較的軽微な合併症を含めた病態を指していると思うのです。そのように御理解いただきたく思います。よろしいでしょうか。そのほかにいかがですか。
それでは、議決を取りたいと思います。抗生物質の添付文書については事務局の提案どおり、使用上の注意を改訂するということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないものとさせていただきます。では、今後の予定について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 ただいまの御議論を踏まえ、抗生物質の製造販売業者に対し、使用上の注意を改訂するよう指示をいたします。ありがとうございました。
○五十嵐調査会長 では、柿崎委員にお入りいただきたいと思います。
                                (柿崎委員入室)
○五十嵐調査会長 続いて議題2、「要指導医薬品のリスク評価について」に移りたいと思います。個別成分の審議の前に、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料2-1、「要指導医薬品のリスク評価について」を御覧ください。表に掲載されている品目は現在、要指導医薬品に指定されており、この度、製造販売後調査期間の終了見込みに伴い、一般用医薬品としての適切性を確認するためのリスク評価をお願いするものです。
初めに、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順について、簡単に御説明させていただきます。2ページを御覧ください。スイッチOTC薬等のリスク評価については、リスク評価手続について、平成25年12月に開催された医薬品等安全対策部会において決定していただいたものです。本日の御審議は、この部会決定に基づいて実施していただくこととなります。
背景から順に御説明いたします。平成25年の旧薬事法改正により、適正使用のために薬剤師による対面による情報提供や、薬学的治験に基づく指導が必要な医薬品として、一般用医薬品とは別に要指導医薬品という、新たな医薬品カテゴリーが設けられました。この要指導医薬品のうち、スイッチOTC薬やダイレクトOTCには、それぞれ一定期間の製造販売後調査の実施が義務付けられており、この製造販売後調査が終了すると一般用医薬品に移行することとなるため、移行の際には一般用医薬品としての販売の可否を確認するためのリスク評価を行う必要があります。
2ページの2.のとおり、一般用医薬品としての販売可否に関する評価については、原則3年間の製造販売後調査の終了までに行うこととし、製造販売後2年以降の時点において、製造販売後調査の中間報告の結果などを基に、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないことを確認していただくこととなります。この確認については3.に記載されているとおり、本安全対策調査会にて行っていただくこととしております。また、本日の審議結果は医薬品等安全対策部会に御報告させていただくこととしております。
4ページを御覧ください。要指導医薬品から一般用医薬品への移行についての流れを説明いたします。企業は販売開始後、原則3年間の製造販売後調査を実施し、その間は要指導医薬品と区分されます。調査期間中は、1年ごとに年次報告書が提出され、製造販売開始後2年以降を経過し、特別調査の目標症例数(内服薬であれば3,000例、外用薬であれば1,000例)を集めた時点で中間報告書が提出されます。中間報告書をもって安全対策調査会で、一般用医薬品としての販売の可否を確認するためのリスク評価をいたします。リスク評価によって一般用医薬品への移行が認められた場合、製造販売後調査期間が終了した時点で第1類医薬品に移行いたします。
なお、今回のイコサペント酸エチルについては、販売開始から3年で目標症例数に達しなかったため、製造販売後調査の期間が3年延長され、合計販売開始後6年間の製造販売後調査が行われております。今後、製造販売後調査終了後1年の間に企業から提出される最終報告などの結果から、一般用医薬品としてのリスク区分を安全対策調査会及び安全対策医薬品等安全対策部会の審議などを経て決定することになります。今回お願いする評価は、第1類医薬品としての販売可否を確認するためのリスク評価です。資料2-1についての御説明は以上です。
○五十嵐調査会長 それでは、イコサペント酸エチルの審議をしたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料2-2を御覧ください。販売名は、エパデールTです。効能・効果は、健康診断等で指摘された境界領域の中性脂肪値の改善で、以前に医療機関を受診された人に限ります。用法・用量は20歳以上で、1日3回、食後すぐに1包を水又はぬるま湯で服用いたします。
1ページ中ほどにある製造販売後調査の概要を御覧ください。ここにある特別調査とは、個別に薬局と契約をしてモニター店舗でアンケート調査票を配って、アンケートによる調査を実施するものです。この特別調査は調査症例数3,090症例で、副作用が58例77件ありました。内訳は下痢11件、腹部不快感6件、そう痒感5件などです。このうち重篤と判断された症例はありませんでした。また、使用者若しくは薬剤師からの自発報告という形で行われる一般調査については、報告された副作用は5例7件でした。内訳は、熱感2件などでした。このうち重篤と判断された症例はありませんでした。
医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく副作用報告ですが、中間報告書のデータロック後に報告された重篤な副作用報告はありませんでした。また、使用上の注意の改訂の指導もありませんでした。なお、本剤の承認時に一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、使用実態に関する調査を実施することにより、本剤の適正使用に必要な措置を講じることとされており、適正使用に関する調査が実施されております。
資料2-2の29ページを御覧ください。委員のメインテーブルの資料については、網掛けとさせていただいております。この網掛けの部分は、傍聴席又は一般公開している資料は黒塗りとさせていただいておりますので、御発言の際には御留意いただきますようお願いいたします。では、29ページの御説明をさせていただきます。製造販売後に薬剤師が適正に服用対象となる消費者を選定し、適切な服用指導、受診勧奨などを行えるかどうかを確認することを目的としたもので、こちらは2013年4月15日から2015年11月17日まで実施されております。調査例数は668例で、薬剤師による服用に適格な消費者の選定等について調査を行っております。適格率は93.1%であったことなどの結果が得られております。資料2-2の説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○五十嵐調査会長 ありがとうございます。それでは、本日は多田参考人にお出でいただいています。はじめに多田参考人から御意見を頂きたいと思います。
○多田参考人 本薬剤をエパデールとして医療で使った推移です。それをいかにスイッチ化して一般の中で、薬局で使っていけるかどうかということです。その認定のときに、かなり厳しい、従来のOTCのチェック機構プラスアルファと言っていいような、いろいろな形のチェック機構がそこに組み入れられまして、こういう状況になったと。そういうわけで、かなり時間が掛かったわけですけれども、ある程度、期間を経ることによって予定の数の調査はできたということです。私は医者ですけれども、市販で一番気にするのは、やはり副作用の有無ということです。その結果、ここで見ている限りでは、ある程度、非常に妥当な値が出ているのではないかと。
もともと、このEPAというのは必須脂肪酸の1つであり、私どもの体の中で作れないものであることです。これに中性脂肪と言いますか、トリグリセライドを低下させるような作用があるのだということで、なかなか実際的にはトリグリセライドを下げる薬というのは、うまいものがないという今までの状況がありました。また先ほど、原則禁忌の所であったのですけれども、なかなかスタチン薬と一緒に使えない薬があったのです。これは使えるということで、臨床にもよく使っていたし、実際に、ほかの高脂血症剤というか脂質代謝改善剤とともに使っても大きな問題はないということが、我が国をはじめ、最近では諸外国のデータでも出ているということです。ある意味では、望ましい結果が出ているのではないかと私は思っています。
○五十嵐調査会長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。
○柿崎委員 EPA製剤は、医薬品にも使われてますけれども、手術の前とか、観血的処置を有する検査・治療の前には一定期間の休薬が必要な薬剤です。医薬品として出ている場合には、お薬手帳などで分かるのですが、患者さん自身が飲んでいる場合には、患者さんからのメモを聴取したり、自己申告しないとチェックが漏れてしまうケースがあります。一般用医薬品に移行した場合には、薬剤師さんから患者さんへの指導などは、どの程度変わるのでしょうか。
○事務局 今般、御審議いただいておりますのは、第1類への移行です。第1類であれば、引き続き、また薬剤師が販売するということになっていますので、その薬剤師が関与するという点については、引き続き同様であると考えています。
○五十嵐調査会長 私から質問なのですが、先ほど適正使用調査についてという29ページの資料が出ているのですけれども、これはこの薬剤に限っての、調査ということでよろしいですか。
○事務局 こちらについては、エパデール本剤について実施されたものです。
○五十嵐調査会長 服用開始後の血液検査の実施率が8割弱と示されています。血液検査は本来やるべきだけれどもやっていないと解釈するものなのでしょうか。
○事務局 エパデールということで、そういった高脂血症が悪化した場合には使用を止めてくださいということもあります。やはり、その辺りをしっかり確認をしていただく必要があろうと考えています。
こういった結果が出ておりますので、例えばお手元の資料の31ページになりますけれども、添付文書の用法・用量の中の注意の(6)に、「服用3か月後には健康診断等で血液検査を行い、中性脂肪の改善を確認することをお勧めいたします」という形で、患者さんには促す形にはなっている状況ではあります。
○五十嵐調査会長 しかし、「お勧めします」という表現ですと、絶対にやらなきゃいけないとは思いませんね。割と控え目な表現なので、服用開始後の血液検査実施率が8割には及ばなかったのでしょうか。この実施率77%というのは、満足のいく値なのでしょうか。
○事務局 これは特に、最初の販売開始後2年半ほどの結果ですので、特にこの剤は出始めで、よく注意するようにという状況であったところではありますが、やはりこのぐらいの数字となっています。ほかの調査項目は比較的、良好な数字が得られているものの、この剤についてはそこまでには及んでいないという状況であると受け取っています。
○五十嵐調査会長 多田先生にお伺いしますが、この薬剤を使って、例えば先ほど事務局からお話があったように、中性脂肪の値が上がってしまうということはあるのですか。
○多田参考人 いえ、ないですね。下げる薬でありますので、そういうことは経験がないのですけれども。実際的に、血圧の薬の場合は、今はどこでも血圧を測れるのですが、脂質の薬に関しては、わざわざ病院に行かなくてはいけない。または、特定検診という方法もあるわけですが、これは40歳以上だけになってくるので、40歳以下の方はどうかというと、これはなかなかフォローアップできないということがあり、難しいところがあります。今、並行して各薬局の店頭に検体測定室を作って、これは3年ぐらい前から厚労省が認めてくれて、こういう所で自分の脂質を測りながら薬を飲んでもらうと、こういったこともやっていただくと、今後こういった薬のより良い効果、安全性はもちろん大事ですが、効果がやはり大事ということで、それをチェックしながら実際にOTC上で薬が使えるのではないかということです。実はそういった普及も、この薬がうんぬんではなくて、やっているわけです。そういうのがどんどん進んでいけば、先生のおっしゃるようなチェックポイントができるのではないかと、効果という意味で、です。安全性に関しては、そういった薬をチェックするよりも実際の自覚症状や臨床症状が大事になってきますので、そこは一応、これで担保できたのではないかという気がします。
○五十嵐調査会長 ありがとうございます。安全性については、この3,000例を超えた時点で、大きな問題はないという結論ですね。委員の先生方から何か御意見はありますか。
○舟越委員 12ページ目なのですけれども、一応、歯肉出血の報告が1例上がっているのです。これは一類にしていくときに、先ほどの29ページに、副作用発現時に23例中、フォローアップできているのが4例、8例でしたか。その辺の部分が、この症例は、しっかりと薬剤師が受診勧奨した上でという症例なのでしょうか。
○事務局 12ページの症状経過を見ますと、中止後23日にいずれの症状も軽快と書いてありますので、症例のフォローアップというのはある程度できているのかなと思います。その際どの程度、受診勧奨があったというのは、ここの情報だけでは分からないところではあります。
○舟越委員 この調査から今回のOTC一類に移行するに当たって、そこが一番大事なのかなと思っていましたので、発言だけさせていただきました。
○佐藤委員 29ページの調査項目の、意味がよく分からない部分について教えていただきたいのですけれども、調査項目の一番上の「薬剤師による服用に適格な消費者の選定」というのは、どういう意味なのでしょうか。これは、そもそも検診や受診をして飲んだほうがいいということで、使うお薬だというお話だったと思うのですけれども、これはどういう意味ですか。
○事務局 正にその点ですが、このお薬は、効能・効果が健康診断等で指摘された境界領域の中性脂肪の改善となっています。これに関しては45ページですけれども、セルフチェックシートが作られております。健康診断で中性脂肪の値に異常があったか、その結果を受けて病院又は診療所を受診したか、さらに、受診の結果、医師から、すぐに病院や診療所で通院治療を始める必要はないと診断されたかという点、これらが全て「イエス」になった上で、かつ4番の禁忌に該当するような事項に該当しないか。そして、薬剤師に相談の必要な他の併用薬等の情報がないかということを確認した上での使用ということになっています。これらを確認したところで、適格者が一定程度減ったと申しますか、その時点で適格な消費者ということで、はじかれた方が若干いらしたと、そういうことと理解しています。
○佐藤委員 ありがとうございました。
○柿崎委員 では、残りの6.9%の方は薬剤師さんが適格でないと判断しても、買っていった方ということですか。
○事務局 その上を見ていただきますと、調査例数668例、調査開始622例となっていますので、要は調査に入る前の段階で落ちてしまった方ということだと思います。
○柿崎委員 では、実際には飲んでない方と解釈してもいいわけですか。
○事務局 解釈できると考えています。
○望月委員 先ほどの、舟越委員の御質問にちょっと関連するところでよろしいでしょうか。現在は要指導医薬品として販売していて、そこの中できちんとルールにのっとった販売がされていくのかどうかを、さっきの調査項目等々で確認をしていたところだと思うのですけれども、最終的には、もし一般用医薬品に移っていく場合には、この添付文書にしたがってきちんと薬剤師も、消費者の方も行動ができるということがとても重要だと思っているところです。特別調査という形で調査した結果として、12ページの辺りの表が出てきていますので、これは確実に薬局が把握した症例ということになっていて、添付文書に基づいた行動をすれば、出血や月経過多などが起こったときには、すぐに服薬を中止して医師、薬剤師に相談することという指導がされるという内容になっていますので、恐らく添付文書に基づいてきちんと行動ができた結果、重症化せずに、そのまま何日間か経て出血傾向はなくなったというような結果をもたらしているのではないかと、私は判断していいのではないかと思ってこれを拝見させていただきました。
○五十嵐調査会長 そうしますと、一般用医薬品にすることに対しては、注意喚起をする機会が減る可能性があるので少し心配であるという御意見ですか。
○望月委員 いえ、私自身は今の注意喚起で十分行動が取れているのでないかと思っています。
○五十嵐調査会長 ほかはいかがでしょうか。
○伊藤委員 ちょっと視点はずれているのかもしれないのですが、この要指導医薬品に既になっているものの安全性ということで、医療用医薬品のほうの最近の副作用など、そういったことは、もう全く参考にしないものなのでしょうか。
○事務局 医療用医薬品は、一般用医薬品と成分は同じではありますが、若干その効能・効果が異なるところもあり、必ずしも、そこのところは比較をしていなかったところです。
○多田参考人 その点でありますけれども、このオメガ3脂肪酸というのは、御案内のように薬としてもあるわけですが、まず日本人の摂取基準を5年ごとに厚労省が出しています。この中の非常に大事な1つの要素としても捉えられているわけです。たまたま前回の摂取基準のデータを集めましたので、こういう発言をするわけですが、2010年まではどれぐらい取ればいいかという安全域というか目安値ということで、これを出しているわけです。大体1gというデータだったのです。それからデータが集まってきて、2015年においては、今、手元にありますが、大体30歳から40歳ぐらいまでの方で1日に2.1mg。これが目安値で安全域であるということです。今年は、また2020年度が、今、出ておりまして、まだ公表はされていませんが、もうちょっと高い値であると。これはどういう形で決めたかと言うと、オメガ3脂肪酸の実際的な摂取量はどのくらいなのかということで、それは取りもなおさず、ある意味で安全域であると考えております。
それから、先ほど申し上げましたように、必須脂肪酸ですので、ある程度取らないと、かえって出血や肌が荒れたり、いろいろな病態が出てくるものです。そういう中で日常の摂取ということと、薬剤ということと、こういったOTCで話されると、3つの要素というところで捉えていかないといけないのではないかと思っています。
○五十嵐調査会長 先生の御意見としては、これを一般用医薬品にすることに対しては、特に反対しないという御意見でしょうか。
○多田参考人 反対はしないというか、安全性はある程度保たれているということが証明されています。これはJELISという日本人が対象となった大規模臨床試験が施行されたわけですが、有用性があったと報告されています。それから、最近のデータというのはなかなか有用性がないということもあるのですが、2018年のデータで大規模臨床スタディがありました。1日4g以上取れば冠動脈系疾患が減ってくると、こういった大規模なデータがアメリカでありますので、有用性もあるということです。そういったものを比較的日常の中で使えるような形になれば非常に有り難いと思っております。ただ、効果をどうやって見ていくか、安全性というのもそうですけれども、我々は一緒に見ていかなくてはいけないのではないかということで、先ほど申し上げました検体測定室というものを運用していければいいのではないかと、そういうように考えています。
○五十嵐調査会長 先生がおっしゃっている測定室は、始めたのはいつからのことなのでしょうか。
○多田参考人 ちょうど3年前ですね。科研費を頂きまして、3年前からその有用性の検定を開始しました。
○五十嵐調査会長 そうしますと、29ページにあるような2015年までの調査の後というように理解してよろしいですか。
○多田参考人 大体、並行してですね。今、AMEDのお金をもらったり、厚労省の科研費をもらったりして、どうすればうまく運用できるかということを検討しています。
○五十嵐調査会長 しかし、それはまだ研究の段階ということ。
○多田参考人 もう実際に運用されて、各薬局の店頭に置かれているところもあります。
○五十嵐調査会長 全ての。
○多田参考人 募集しているところです。
○五十嵐調査会長 実施率は、どれくらいなのでしょう。
○望月委員 多分、私の知る範囲なのですけれども、届出制というものを取っています。薬局が検体測定室を設置したいということで、要件を満たすかどうかを届出て、それで認められるという形です。今、2,000件までいっているかどうか分からないですが、全国でそのぐらいの件数だと思います。
○五十嵐調査会長 この薬剤を薬局から購入した方の何割がその検査をお受けになっているのでしょう。
○望月委員 また、答えにならないのですが、そもそも薬局の検体測定室で検査をして、異常値や境界領域だった人が対象ではなく、健康診断等で境界領域であった方が対象になりますので、そこはちょっと分からないのですが、対象は違うのかなと思います。
○柿崎委員 その検査ができる薬局というのは、調剤薬局などではなくて、いわゆるOTCを売っているドラッグストアみたいな所でもできるのですか。
○望月委員 私が答えるべきかどうか。
○多田参考人 今、それを広めているという、これはもともと糖尿病の患者さんで、血糖をしっかり見て、しかもHbA1cを把握しながら生活の場で自己管理していこうというところが発端なのです。それと同時に脂質も測れるということで、POCTシステムと言って、その場ですぐ測れるということを特徴とするものです。是非、それを導入していけば、これは実は今回のデータとは直接関係ないのですけれども、多種職連携の中でほかの脂質異常症や冠動脈系疾患をいかに減らしていけるかという予防医学の一環で、今、これはそうした流れをしめしています。
○五十嵐調査会長 大変貴重な御活動だと私も思います。ただ、服用開始後の血液検査の実施率が77%であった点をどのように評価するかが重要と考えます。添付文書の書きぶりが、そもそもお勧めいたしますという程度ですから、逆に、その割にはいいのかなとは思いますけれども。安全性については問題はないだろう。しかし効果があるとの検証なしに飲み続ける方がいるとしたら、それは問題です。先生が今やっていらっしゃる御活動がもっと広まって、この薬剤を服用している方も含めて、効果を確認できる体制が日本全国あまねくできていれば、非常にいいと思うのですが、今のお話を伺うと、まだそこまではいっていないということですね。
では、委員の先生方はどのようにお考えでしょうか。患者さんをたくさん見ておられるのが、柿崎先生と思います。いかがですか。
○柿崎委員 安全性には問題がないわけですけれども。だから、患者さんへの指導をどのような形で続けていくかということが問題になっているのかと思います。それで要指導医薬品か、第1類かということになるかと思うのですけれども。その患者さんへの啓発の程度や対面指導などの程度の違いによるのではないかと思いますけれども。
○五十嵐調査会長 つまり一般用医薬品(第1類)にすると、今までのような指導そのものが手薄になる可能性はないかということですね。
○柿崎委員 そうですね。現行の体制が継続できるのであれば、いいと思います。
○五十嵐調査会長 一般用医薬品(第1類)にすることは、まだ早いのではないかという御意見ですか。
○事務局 貴重な御意見、ありがとうございます。今、中心に御議論いただいている適正使用調査ですが、調査期間は、2013年4月が販売開始日ですけれども、およそ2年半となっています。2015年で終わっているというところがあります。この剤については、冒頭の説明で申し上げましたとおり、販売開始当初の症例収集が余り思わしくなかったというところがあります。実のことを申しますと、販売開始3年で収集できたのが367例ということを、この延長したときに報告されているような状況でした。その後、急速に症例収集を増やして、今は3,000例に至っているところです。そういったところを考えますと、この時点で血液検査ができているのは適正使用調査の77%であったということを考えますと、やはり当初、非常に慎重に使っていたところが今はどうなのかというところについては、データがない部分があるのではないかなと思われるところです。
○五十嵐調査会長 ありがとうございます、これは同じような調査を今後もやるつもりはあるのでしょうか。
○医薬安全対策課課長 ありがとうございます。多分、今、御議論いただいていますように、少なくとも把握できている今日の資料にしている内容から見ると、少なくとも適正使用調査についても3年半前までの2015年11月までの状態としてはお示しできたわけですが、その後の約3年を超える部分についての実態がよく分からないというところが少し気になるところです。加えて、その辺りは今現在どのくらい過去に遡って結果が残っているかというのは、少し関係者にも聞いてみないと分かりませんが、この辺りは追いかけていくのが、なかなか難しいのではないかという気もしています。今後については、どのようにこの医薬品を、カテゴリーが要指導か第1類はともかくとして、添付文書の内容にしたがってきちんと適正に販売され、かつ使っていただくという状態をつくれるかというところに関して、どのような措置や対応が必要なのかに関して実態の調査をするというのも1つのオプションではないかと思います。この辺りは、先生方に御議論いただく中で、妥当な対応というものをこちらで考えていきたいと思っています。
○五十嵐調査会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。今お話がありましたように、このまま一般用医薬品とすると服用開始後の血液検査の実施率がどうなっているかは分からないなどの不安な点があると思います。そういう点からすると、今日の調査会では決定をしないで、今月開催予定の薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会で今日の議論を御報告して、御意見を伺うという手もあると思うのですけれども、どうでしょう。あるいは、一般用医薬品(第1類)に変更することでよろしいでしょうか。
○柿崎委員 部会のほうが多くの委員の方もいらっしゃいますので、そこで意見を聞くのも1つの方法だとは考えます。
○五十嵐調査会長 ほかの委員の先生方はいかがですか。それでよろしいですか。この調査会で決めないで部会の御意見を聞くことは、これまでの私の経験ではありませんでした。薬剤服用開始後の血液検査の実施率が高くないという点が気にはなるので、そのような提案をしました。望月先生、いかがですか。
○望月委員 いえ、上の部会の御意見をお聞きするということは、私もそのほうがよろしいかなと思います。ただ、その場合に、先ほども五十嵐調査会長がおっしゃったように表現の問題の所を、解決しておかないといけない部分が何か出てくるのかなと思います。この3か月での血液検査という所ですね。この添付文書上の「お勧めいたします」ということでは、きちんとした行動が取れないとか、3か月時点でチェックをすることが、とても重要なことであるとすれば、そこは検討しなければいけないことで、それも含めて、部会で御検討いただくということでしょうか。
○五十嵐調査会長 本来、この薬を服用して、食生活も特に変わったことがなければ、血中の中性脂肪は下がるのが普通です。ただ、実際には、中性脂肪値が10%以上悪化した方もいらっしゃるということです。治療効果を確認することは、非常に重要と思います。
今日は御議論をいただきましたが、3月末に行われる医薬品等安全対策部会で、多数の先生方の御意見を頂くことと、そのときに望月先生がおっしゃいましたように、31ページの添付文書の用法・用量の所の記載がこのままでいいのかどうかを、考えていただくことも御報告することにしたいと思います。そのような方針でよろしいでしょうか。
○多田参考人 そうしますと、現状、私どもは、先ほど申し上げました検体測定室を普及しようとしているのですけれども、現実問題として受診勧奨をいかに進めていくかということになります。そして、受診勧奨のやりかたをどうするかということを一緒に決めていかないとならないと思います。本剤イコサペント酸エチルを薬局で購入して飲んでいる方が薬局からとにかく血液を測ってくれと受診勧奨された場合、それで実際に受診が成り立つかどうかということも含めて、うまい受診の仕方を御検討いただいたほうがよろしいかと思います。
○五十嵐調査会長 大変貴重な御意見をありがとうございます。それも付して、一緒に御報告したいと思います。
そのような方針でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
では、今後の流れについて、お話をお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。本剤イコサペント酸エチルについては、適正な使用や、フォローアップの問題について御意見を頂いておりますので、今月22日に開催予定の薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会に、本日の結果を御報告申し上げて議論していただき、部会の御意見も伺って必要な対応を検討してまいりたいと存じます。
○五十嵐調査会長 ありがとうございました。ここまでの御議論について、何か御意見、御質問等はございますか。それでは、多田参考人におかれましては、貴重な御意見を頂きまして、本当にありがとうございました。以降の議題につきましては、特に先生に御意見を求める予定はありませんので、御退席をいただいても差し支えございません。どうもありがとうございました。
議題2については、以上で終わりですけれども、そのほか事務局から何かありますか。
○事務局 特にございません。本日の議事録については、後日、送付させていただきますので、内容の御確認をお願いいたします。なお御確認いただいた後は、厚生労働省のホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。本日は、どうもありがとうございました。
○五十嵐調査会長 それでは本日の調査会は、これで閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)> 平成30年度第12回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会議事録(2019年3月11日)

ページの先頭へ戻る