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2018年5月21日 第2回労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの在り方に関する検討会 議事録

○日時

平成30年5月21日(月) 14:00~16:00


○場所

厚生労働省 中央合同庁舎5号館9階 省議室


○議題

(1)健康情報の事業場内での取扱いルールに関することについて
(2)その他

○議事

   ○秋山室長補佐 それでは、定刻前でございますが、皆様おそろいになりましたので、始めさせていただきたいと思います。本日は、大変お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。ただいまより、第2回「労働者の心身の状態に関する情報の取り扱いの在り方に関する検討会」を開催いたします。
 なお、本日、中板委員、森委員が諸事情により御欠席という形になっておりますので、御承知おきいただければと思います。
 それから、カメラ等々の撮影につきましては、ここで終了となりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、座長のほうからよろしくお願いいたします。
○山口座長 皆さん、こんにちは。きょうも一日よろしくお願いいたします。
 それでは最初に、事務局から資料の確認をよろしくお願いいたします。
○秋山室長補佐 それでは、私のほうから本日の資料の御説明を差し上げたいと思います。
 お手元、クリップどめになっているものが配付資料となっております。1枚目が議事次第になっておりまして、配付資料の一覧をおつけしております。
 1枚目をめくっていただきまして、資料1ということで、骨子案の修正版をつけさせていただいております。
 続きまして参考資料3点をおつけしております。参考資料1が前回の検討会の議事録になっております。続きまして、参考資料2が開催要綱、参考資料3が先生方の名簿となっております。
 こちらについて、不備等ございませんでしょうか。
 よろしいですね。
 加えて、机上配布資料といたしまして、ファイルの資料、こちらの青いファイルの中の参考資料を今回4つおつけしております。前回までは8までの資料となっておりましたけれども、9~12が加わっておりますので、詳細等の説明は割愛させていただきますが、資料が加わっているということを御承知おきいただければと存じます。
 私からは以上になります。
○山口座長 ありがとうございます。
 それでは、資料1の実施事項(骨子案)ですね。事務局のほうから修正点について説明をよろしくお願いいたします。
○秋山室長補佐 資料1の点について、私より御説明を差し上げます。
 まず初めにですけれども、今回の修正内容につきましては、骨子案の構成をイメージしていただくことを前提として作成させていただいております。記載内容については不適切なものが含まれている可能性もございます。記載内容については今後の検討会においての議論、それから局内関係各所ですとか関係局、あとは個人情報保護委員会等と調整を踏まえまして適切なものにしてまいりますので、今回の修正点についてはあくまでも構成のイメージを持っていただくために記載していると御理解いただくようにお願いいたします。
 それでは、具体的な修正内容について御説明を差し上げたいと思います。
 まず、3ページ目をお開きいただきまして、3の(2)をごらんいただければと存じます。こちらにつきまして、「・」の小項目ですね。前回は独立して表示しておりましたストレスチェックの結果を、1つ目の「・」、「労働安全衛生法令に基づき、当然に又は本人同意を得て、事業者が取得することとなっているもの」の例に含める形に変更を加えております。
 続きまして、同じページの3の(4)の文章のところになります。前回の議論を受けまして、波線部分を追加しております。ここの部分、私のほうから読み上げをさせていただきます。
 (4)労働者の健康情報の収集・保管・使用を担当する者及びその権限については、法令上の整理は、情報の種類ごとに以下の表のとおり。なお、以下の取り扱いは、主に、産業医等の医療職種が機能している事業場を対象としてのものであり、医療職種が関与していない事業場においては、健康情報の取り扱いのルールを定めた上で、事業者が取り扱う情報を制限せずに事業者自らが適切に取り扱う、衛生推進者を選任している場合は衛生推進者に取り扱わせる等の方法によることが考えられる。
 なお、各項目についてのより詳細な取り扱いについては、表の下に記載した例も参照のこと。
 という形に文章を加えさせていただいております。
 続きまして、ページをめくっていただきまして、4ページ目の表について御説明させていただきたいと思います。前回御議論いただいた内容を含めまして、表上にこちらで記載させていただいているものになります。
 表の縦軸に健康情報と考えられる項目、横軸に労働安全衛生法令により事業者が情報を取り扱うことについてと、健康情報取り扱いのルールにより事業者が取り扱う情報を制限することの可否について記載しているものになります。縦軸と横軸をあわせて可否を記載しているものになっております。
 横軸の部分になりますけれども、まず、「労働安全衛生法令により、事業者が情報を取り扱うことについて」の可否につきましては、文字どおり、安衛法によって事業者が取り扱うことの可否を期待しているものとなります。なので、こちらに「可能」「不可能」というような形で記載させていただいているものになっております。
 続いて、「健康情報の取り扱いルールにより、事業者が取り扱う情報を制限することについて」の「可能」「不可能」について御説明させていただきます。まず先に「不可能」のところから御説明させていただきますが、こちらについては、法令から判断して、事業場のルールでは制限することができないと考えられる項目、例えば「面接指導後の医師の意見」ですとか「面接指導の申出」といったところは情報の制限がかけられないだろうと判断いたしまして、「不可能」という記載をさせていただいております。
 一方で「可能」と記載されている部分につきましては、参考資料8におつけしております雇用管理に関する個人情報のうち、ページでいきますと3ページ目の真ん中の第3の健康情報の取り扱いについて事業者が留意すべき事項の3の(1)、それから3の(2)の部分ですね。
 ちょっと読み上げさせていただきますと、「事業者が健康情報のうち、診断名、検査値、具体的な愁訴の内容等の加工前の情報や詳細な医学的情報の取り扱いについては、その利用に当たって医学的知識に基づく加工・判断等を要することがあるから、産業保健業務従事者に行わせることが望ましい」。それから(2)ですけれども、「事業者は産業保健業務従事者から産業保健業務従事者以外の者に健康情報を提供させるときは、当該情報が労働者の健康確保に必要な範囲内で利用されるよう、必要に応じて産業保健業務従事者に健康情報を適切に加工させる等の措置を講ずること」というこの2つに照らし合わせまして、これらにつながると考えられる項目について、表上、「可能」というような記載をさせていただいている形になります。
 また、安衛法令上によって事業者が情報を取り扱うことについて「不可能」と記載されているものについては、ここに該当しないという意味で「—」を入れさせていただいているという次第になります。
 こちらについては、「可能」「不可能」という表現を使用しておりますけれども、例えば「望ましい」ですとか、ほかの表記方法も含めて今回の検討会の中で御議論いただければ幸いかなと思っております。適切なというか、表現の仕方を御議論いただければ幸いだと考えております。
 表の説明は以上になりまして、続きまして、下についております(例)というものを御説明させていただきます。
 こちらについては、表に加えて健康情報ごとに詳細な取り扱いを記載していくイメージで、その一部を載せているものになります。例えば過去の通達等でさまざまなところで示してきたものをこの部分に集約していければと考えているものになっております。
 本日の記載内容については、まず構成のイメージとして記載しておりますので、個人情報保護委員会ですとか関係法令との調整はまだ行っていないものも含まれております。その点、御了承いただきまして、委員の皆様にも御意見をいただきたいと考えております。
 現在、マル1からマル4まで記載しておりますので、その内容について一つ一つ説明させていただきたいと思います。
 まず、マル1につきましては、森委員からの指摘を受けて記載したものになっております。こちらについて、「健康診断の結果について、既往歴及び業務歴は労働安全衛生法令に規定する項目であるが、家族歴等は法定外の項目であり、本人の同意なく事業者が取り扱うことはできないため、運用上、産業医等の医療職者が加工を行い、就業制限のために事業者が取り扱う必要がある場合は、本人の同意を取得することが必要となる」という形で記載させていただいております。
 続きましてマル2につきましては、増田委員からの御指摘を踏まえまして、今回、参考資料9という形で、特定健康診査等の実施に関する協力依頼についてというものをおつけさせていただいております。
 こちらにつきまして、別紙1ページ目の1ですね。定期健康診断の服薬歴及び喫煙歴の聴取の実施並びに医療保険者への情報の提供というこの部分を含むような形で記載させていただいたものになっております。マル2の部分をちょっと読み上げさせていただきます。
 「労働安全衛生法令に基づき行われた健康診断の結果のうち、特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準第2条に定める項目については、事業者は保険者の求めに応じて健康診断の結果を提供しなければならないこととされているため、労働者の同意なく事業者から保険者に提供できる」という書き方をさせていただいております。
 続きまして5ページ目に移りまして、マル3になります。こちらにつきましては、前回の御議論の中で松本委員から御指摘いただいた内容について記載させていただいているものになっております。
 読み上げさせていただきますと、「事業者が、高ストレス者の面接指導の実施に当たり、健康診断の結果等の情報を医師に提供することは、安衛法に基づく事業者の義務を遂行する行為であり、本人の同意を得なくても第三者提供の制限を受けないが、予め事業場のルールとして定めた上で行うことが望ましい。なお、医師が、面接指導の実施に関して取得した情報については、安衛法第104条に基づく守秘義務の対象となる」と記載させていただいております。
 続きましてマル4につきましては、参考資料10から抜粋してきたものになっております。参考資料10、労働安全衛生法等の一部を改正する法律等の施行についてから抜粋したものをお手元にお配りさせていただいております。7のウのあですね。2ページ目に係る部分になりますけれども、こちらを引用させていただいて記載しているものになっております。
 「長時間労働者の面積指導後の医師の意見について、衛生委員会等又は労働時間等設定改善委員会へ報告する場合、医師からの意見は個人が特定できないように集約・加工するなど労働者のプライバシーに適正な配慮を行うことが必要である」という形。
 今回、4つを記載させていただいております。先ほども申し上げたとおりですけれども、こちらについては、過去の通達等でさまざまなところで示してきたものをこの部分に集約していければと考えておりますので、一旦例として4つを挙げているとお考えいただければと思います。
 以上、ちょっと長くなりましたけれども、前回からの修正事項になります。繰り返しになりますけれども、今回の修正は、構成のイメージを持っていただくことを優先に行っております。記載内容について今後精査を進めてまいりますので、その点を御理解いただいた上で、本日の議論としていただきますと幸いです。
 私からは以上になります。
○山口座長 ありがとうございます。今の事務局からの説明について、まず質問がございましたら、どうぞ。
 よろしいでしょうか。
 そうしたら、内容について議論を進めてまいりたいと思います。最初に一番大きく変わった3ページの3の(3)の表、あるいはその下の例も含めて、一番大きな修正ですので、ここから議論をスタートさせたいと思いますが、どなたからでも、どの点についても結構ですので。
 増田先生。
○増田委員 4ページの表の中で、「健康診断の結果(法定項目)」と「長時間労働者の面接指導の結果」と「高ストレス者の面接指導の結果」について、事業者が取り扱う情報を制限することが「可能」となっていますが、一方で、保管義務が課せられていたかと思いますので、この場合の保管義務はどうなりますでしょうか、教えてください。
○神ノ田労働衛生課長 事業者自らが保管するということではなく、産業保健スタッフなりに委任して管理させるということで、事業者としての保管義務が果たされているという整理も可能ではないかということで、制限可能というような整理をさせていただいています。
○増田委員 イメージとしましては、ストレスチェックの結果については、事業者は直接個人結果を見てはいけないけれども、保管義務が課せられている、いわばアクセス権を制限するというような形になっているかと思いますが、それをほかの健康診断の結果や長時間労働の面接指導の結果についても拡張するというようなイメージでしょうか。
○神ノ田労働衛生課長 つまり、ここの表の右の欄は、事業場ごとにルールを定めて、うちの事業場では全てを事業者に渡さなくてもいいのではないか。これぐらい制限してもいいのではないかと。労使で話し合っていただいて制限することも可能ではないかということで整理させていただいていますので、法的にどうかということではなくて、事業場ごとのルールとしてどうするかというところを御議論いただくという、その結果としての制限が可能というようなことで御理解いただければと思います。
○増田委員 いや、あくまでも保管義務は課せられておりますので、そのお話で可能なのであれば、保管義務を免除とかでないと整合性がとれなくなると思うのですが。
○神ノ田労働衛生課長 御指摘の点もぜひ法律の先生方に教えていただきたいと思っているのですが、事業者自らが保管するということではなくて、先ほども申し上げましたけれども、その事業場のスタッフである産業保健スタッフ、産業医なりに管理させるということで、事業者の保管義務というのが果たされているのではないかと。そういう整理が成り立つということであれば可能ではないかということで整理させていただいていますが、それがちょっと法的に無理だと、事業者自らが全部管理しなければいけないということであれば、ここの整理はまた変わってくるかなあと思います。
○山口座長 三柴先生。
○三柴委員 過去に出された通達等では、法定健診や面接指導の結果に当たる情報について、法令上は事業者が保管する前提に立っているのだけれども、加工情報に情報を加工した方が良いなどと書いているので、要するに、保管義務と、その情報の加工というのは少なくとも矛盾しないのだなということがそこからは読み取れたのですけれども、それ以上に、そもそも保管者を事業者が委任する者にすることで事業者がタッチできる情報を制限する方法が現実的かどうかは、ちょっと要検討かなとは思います。もっと言うと、そうなると、この右側の升のタイトルにある「事業者が取り扱う情報」という表現自体も考えないといけなくなってくるだろうな、と思います。
○山口座長 どうぞ。
○岡村委員 今お話を聞いていますと、要は、法的というのは事業者があくまでも主体でありますので、事業者単位で見ていって、それよりも、あとは見られたり取り扱うことができる担当者を制限するという、むしろ担当者を限定するという問題と2つあるのが一緒に書いてあるような嫌いがあるので、少しわかりにくいのではないでしょうか。
 要は、例えば監督署から出せとかそのような話になると、事業者は持ってこさせなければいけないというのは事実ですから、そして、法定保存義務があるものを保存していなかったとか出してなかったという場合にはペナルティが下るというのは、事業者に対して下るわけですから、要は、義務とか保管の法的な主体と、現実に取り扱う担当者の限定、制限というのは一応分けたほうがわかりやすいのかなと思ったりいたします。
 以上です。
○神ノ田労働衛生課長 教えていただきたいのですが、その場合、担当者を制限する際に、事業者も制限の対象に入り得るのでしょうか。
○岡村委員 会社という観点からすると、役員による閲覧を限定するということはあり得る話だと思います。そういう場合には、要は、厳重に梱包したりして、内容を確認できないような形で持ってこさせるという形で役所のほうへ閲覧に供するという形になるのかと思います。
○三柴委員 済みません。過去の通達等がいってきたことって、実をいうとちょっと矛盾があるように思うのは、一方では、健診情報等は、実施者が事業者だから、事業者に帰属するのが当たり前であると言っている。だけれども、健康情報なので、プライバシー保護が必要などの趣旨から、情報は加工して、事業者がアクセスするにも、加工情報に限定することが望ましいと言っているものもあったのですね。
 そうすると、まず整理しないといけないのは、情報には法的に所有の概念はないのだけれども、帰属という言葉で、誰が一次的に取り扱うべきかは論じられると。実際、健診については、事業者に実施が義務づけられ、事業者が費用を負担していることからも、その結果情報の帰属性はやはり事業者にあると。にもかかわらず、そこにアクセスできる情報を制限することは法的に可能か、また現実的に妥当か、という問題になると思います。
 私自身は、実をいうと、健康管理の必要性と、それから情報の帰属性の問題から、情報加工まではいいと思うのですけれども、そのアクセス自体を制限してしまうというのは難しいのではないかと考えているのです。
○岡村委員 今おっしゃったとおりだと思います。ただ、問題を整理するとすれば、サイバーセキュリティなどではneed to knowという大原則があります。要は、必要な者以外には見せるなとか。これは安全管理措置としての問題です。したがって、不必要な人であるとか、あるいは不必要な場合に見られるような状態にしておくということは、制限することにはリーズナブルさがあるというようになろうかと思います。
 ただ、場合によっては、要は、さっき言った梱包したものを持ってこさせて、役所のほうへ閲覧に供したら、これ、抜けていますよとか、えっ、本当ですか、確認しますという、それは保管義務を果たしていたかどうかということについて確認するのにその場面では必要になってくる場合もあり得ると。ただ、必要もないのに見せるというのはいけない形になろうと。その場合に、法令によって、いざというときに、これは役所のほうに報告を徴集したりの対象になりますよというような場合にとっては、これはこれで法令が認めている目的の範囲内だということになろうかと思いますし。そのときには、だから、お叱りを受けるべき事業者の代表者などの者が、これ、本当に抜けていますねということを確認して、だったら保管義務は守られていないですよねという話は、それはそれでリーズナブルさはあると。
 ただ、そうでなくて、日ごろ、用もないのに、最近、セクハラなんていうのがはやっていますけれども、全く無関係に、どれどれ、この従業員、どういう身長で、どういうあれなんだということを興味本位で見るとか、それはやはり役員とか代表者であってもあってはならないことだしというような形で、利用目的とか法令上必要かどうかということの範囲内で、言ってみれば、帰属主体と、それから取り扱える担当者の範囲というのは分けることによって安全管理を図るということ、あるいは利用目的の範囲外の利用を防ぐということは合理的だと思います。
○土肥委員 例えば「健康診断後の医師の意見」のところで、「健康情報取り扱いルールにより、事業者が取り扱う情報を制限することについて」、ここは「不可能」となっているのですが、事業者という定義が余りにも幅広くて、事業者に全く見せないとか報告しないということはあり得ないし、活用することは当然だけれども、先ほどの議論のように、実際に取り扱える人を制限することは可能だとしておかないと、事業者の定義自体がどこからどこまでかということによって取り扱い方法が変わってくること、取り扱う人間が変わってくることになるので、先ほどの御意見のとおり、利用目的に応じて必要な人が取り扱うことは認めるけれども、不必要に取り扱うことは認めないという制限は当然できるのだという理解をさせてほしいなと思います。
 一言で「不可能」と書くのはよろしくないのではないか。
○山口座長 ほかにはいかがでしょうか。
○増田委員 4ページの図に関して、次は法定項目と法定外項目の区別について確認させていただければと思います。
 昭和47年9月18日の基発第601号の1という少し古い通達になるのですが、健康診断の自覚症状、他覚症状についての解釈が示されておりまして、33の第43条関係、雇い入れ時健診の第2号のところに、ちょっと読み上げますと、「当該労働者が就業を予定される業務に応じて必要とする身体特性を把握するための感覚器、循環器、呼吸器、消化器、神経系皮膚及び運動機能の検査が含まれ、その検査項目の選定は当該労働者の性、年齢、既往歴、問視診等を通じての所見などもあわせて医師の判断に委ねられるものであること」となっております。
 そして、第44条関係につきましても同じように、第2号は、第13条第1項第2号に掲げる業務、これはいわゆる特定業務ですが、に従事する受診者については、「その者の業務の種類、性別、年齢等に応じ必要な内容にわたる検査を加えるものとすること」とあります。
 つまり、健康診断で実施する検査項目については、かなり医師の判断による裁量が認められているということになろうかと思います。ですので、労働安全衛生規則の第43条とか44条に書かれていない項目も、この通達の解釈に従えば含まれてくるということになります。
 ですので、もちろん、前提としまして、43条のほうは医師の判断というものがありますので、そのような検討を経て実施されるものについては法定項目として扱ってよいかどうかという点を確認させていただければと思います。
 さらに追加しますと、もしこの解釈が成立するのであれば、就業可否判定をする産業医が必要だという意見に沿って、4ページの(例)のマル1にある家族歴とか、あとは現病歴などは健康診断として実施していいのではないかということにもなってくるかと思います。
○山口座長 事務局、いかがでしょうか。
○神ノ田労働衛生課長 ここは恐らく個人情報保護法との関係を整理しなければいけないのかなと思っていまして、本当に大ざっぱにこの表をまとめさせていただいているのですが、労働安全衛生法に基づき取得できるような情報については、個人情報保護法は適用されないでしょうということで、本人の同意をとらなくても取得可能ということで、法定の項目については同意なしに取得が可能という整理をさせていただきました。
 今、先生がおっしゃったような、もうちょっと法定の項目というのが柔軟に拡大できるような解釈が成り立つとすれば、その範囲が変わり得るのかなあとは思うのですが、そこは個人情報保護法の関係で確認させていただけたらなと思います。
○星田個人情報保護委員会事務局企画官 個人情報保護委員会でございます。
 まず1点コメントさせていただきます。以前も申し上げたかもしれませんが、法定の場合は、個人情報保護法が適用されないわけではなくて、個人情報保護法上、法令に基づく場合は第三者提供等、取得等が許されるという規定になってございます。
 その上で、ご質問の点については、今直ちにはお答えしかねますけれども、法令に基づく場合というのは、通常はその法令に明記されているものでございます。お尋ねのものが法令に基づくと整理できるのか、労働安全衛生法等の規定ぶりも踏まえながら整理が必要かと思ってございます。ちょっと直ちにはお答えが難しいかと思っております。
 以上でございます。
○岡村委員 ちょっと覚えている範囲内のみで申しわけないですが、個人情報保護法制定当時から、目的外利用の除外規定というのは16条4項各号で、それから、本人の同意なき第三者提供の除外規定というのも23条1項各号で認められておりまして、その中に法令に基づく場合などと並んで、例えば人の生命、身体、財産を保護するため必要な場合であって、本人の同意を得ることが困難な場合というのがございます。
 例えば末期の重病だとわかったと。ちょっと極端な例で申しわけないですが、それで、このままトラックを運転させるということになると、もしかすると途中で気を失うようなかなり重い状態で、本人は無理して働いているということが初めてわかったというのであれば、それは事業者としても、もちろん事故を起こさせるわけにいきませんから、安全配慮義務という側面からも本人を守る必要がありますし、それからあと、事故でも起こった場合には、そんな状態で車に乗せるということ自体が使用者責任を問われるような事態になりますから、やはり除外規定というのが一般法に戻って、個人情報保護法の中で認められる余地というのもあり得ると。
 ただ、何でもかんでもというのではなくて、一般論で、これは法律で「義務の衝突」と呼んでいますけれども、2つの義務があるときにどちらが優先するのかというのは、後でできた法律のほうが破るのだというような原則もありますけれども、その趣旨からして、どちらがどうなのだということがかなり事細かに解釈されていくという性格がありますので、今、個人情報保護委員会がおっしゃったのは、そういうさらなる具体的なケース・バイ・ケースで踏み込んだ検討をしなければいけないという趣旨でおっしゃったのだと思います。ただ、そうなりますと、ある程度具体例で、こういう場合はどうなのだ、ああいう場合はどうなのだと言わないと、一般論で、これはこっち、原則、優先しますよとか、それも保護委員会としてもおっしゃりにくいのではなかろうかと思いますので、その点だけちょっとつけ加えさせていただきます。
○山口座長 松本先生。
○松本委員 今までの委員の方々の意見を聞いていると、この表だけで、特に左側の行は良いとしても、右側の行がなかなか皆さん理解しにくいところだと、ちょっと納得しがたいところがあるような形もあるので、もう少し、例えばこれは健康診断の受診、結果とか、ストレスチェックとか長時間とか並べてあるけれども、逆に、幾つかの枠にして、ここの項目のグループはこういう捉え方とかいうふうにしてしまったほうがむしろわかりやすいのかと。
 例えば左側の情報を取り扱うことについて、可能なところと右側の制限をすることについてという、これももともとなかなかわかりづらい表現であって、そこのところを、先ほどの増田先生の、保管者とか取り扱う者がどの程度取り扱いということも含めて、もう少し、幾つかのグループごとに分けて、むしろここのグループはこういう扱いできるとかとしてしまったほうが僕はわかりやすいのかなと思いました。そうすると、土肥先生のおっしゃられたことも含めてもう少し整理できるかなという感じはしました。
○土肥委員 松本先生の言われているとおりだと思うのですが、余りにもそこを細かくやり過ぎると非常に扱いづらくなっていく部分があるかなと思うのですね。だから、逆に、このようなことを決めなければいけないよということははっきりしておいていただきたいけれども、それを例えば、ここでいう収集だとか保管だとか使用、使用もいろんなパターンがあるので、それを細かく分けて、ここはこういうのがいいのではないかと見せるのは、出たもの自体が非常にゴールデンスタンダードになり過ぎて使いづらいものになる可能性を持っているので、逆に、ここら辺をきちんと分けなければいけないよということは明示していただくことのほうがよろしいのではないかと思います。
 もう一点、この図表は、当然、労安法を例により事業者が情報を取り扱うことについて「不可能」と書いたものについて、ルールについては横線が引かれていますけれども、これは、私の考えで言うと、取り扱うルールを決めて、労働者が同意した場合に取り扱うことが可能であると考えることが適切ではないでしょうか。したがって、不可能なものを可能にしたのだったら、ここのルールは必須だと考えるのが僕は妥当ではないかと思うのです。だから、「—」という表現は非常に曖昧で、どちらでもいいというふうに捉えてしまうので、そこははっきりしておいたほうがよろしいかなと逆に思います。
○神ノ田労働衛生課長 ちょっとこの表頭の書き方が言葉足らずだったかと思うのですが、「労働安全衛生法令により、事業者が情報を取り扱うことについて」というのは、趣旨は、本人の同意を得なくても取り扱うことが可能かどうかということで整理させていただきました。つまり、ここでいう「不可能」と書いてある「保健指導の結果」のところは、当然、本人の同意を得なければ事業者は取り扱うことはできないということで、「不可能」ということで書かせていただきました。
○土肥委員 おっしゃるとおりです。ですから、そこは不可能なものを、逆にいうと、同意を得て可能にするのであれば取り扱えるルールをつくることは必須だと。
○神ノ田労働衛生課長 そうですね。つまり、もともとそういうことで制限されているので、右側の欄のところの「制限することについて」という、事業所ごとにルールを決めるということについては「—」ということで書かせてもらったのですが、確かにちょっとわかりにくいかなと思いますので。
○土肥委員 私が思うのは、労安法で取り扱うことが許可されているものについては、どう取り扱うかについて制限することは可能だと思うのですが、取り扱うことができないものを可能にした場合は、ルールがなければそういうことをしてはいけないというのが個人情報保護の本質的な考え方ではないかなと。ですから、逆に、不可能なものを可能にしたのだったら、ここは必須だと言っておくのが僕は適切ではないかと思います。よくわかっておりませんので、先生方の御意見を聞いて。
○岡村委員 済みません。個人情報保護法そのものについてでありますが、基本的には、15条で、事前に利用目的を特定しなければならないと。16条で、その利用目的の範囲内でのみ原則取り扱えると。18条で、取得の際に利用目的を明らかにしなければならないと。特に文書で取得する場合には明示しなければならないと。こうなっていますので、ざっくりいうと、文書で本人から直接取得するような場合は、少なくともあらかじめこういう利用目的ですよということを示して、それで納得するのであれば同意するし、納得しないのであれば同意しないと、こういうことになろうかと思います。
 だから、極端な例で言えば、あなたを誹謗中傷するためという利用目的を示されて、それでも同意しますかと言われて同意する人はいないわけで、こうこう、こういう目的で使いますからそれで納得してもらえますかということで、はい、わかりましたと。それが少なくとも文書で直接取得する場合の原則になっていると。こういうことであります。
○土肥委員 ということは、同意して収集した段階で既にいろんなルールが決まっているという前提になるわけですね。
○岡村委員 少なくとも利用目的は決まっていると。利用目的というのがこうこう、このような用途で使えますよという話ですから、要は、その勤務にたえられるかどうかとか、例えばもう少し楽な職場のほうへかえたほうがいいのではないかとか、そのような意味になってくる。おまけに、17条で、不正な取得が禁止されている。つまり、だまして、例えば本来は全然違う用途に使うにもかかわらず、うその利用目的を言って取得したということはできないと。
 また、少なくともこれはデータベース化が最終的にはされますから、個人データという形であれば、ほかのあれも変わってきますけれども、それ以前に、要配慮個人情報になりますから、医療診断の情報ですから、だから本人同意が要るのは原則だという形になる。まず、その上に、特別法というか、特例として、個人情報と一般法があって、その上にこの法律の個人情報関係の部分が乗っかっていると。つまり、クロスオーバーする部分があるのだと理解しております。
○山口座長 岡村先生、今の、よくわからなかったのですけれども、土肥先生のおっしゃった趣旨は、私が間違えているかもしれないですが、今、可能な場合は労働安全衛生法令のところですね。制限が可能かどうかというのが可能、不可能になっていて、不可能のほうは、制限でなくて、何かルールを決めて、可能にすることのほうを先生はおっしゃったように思ったのですが、そういうことでよろしいですかね。
○土肥委員 そうでございます。
○山口座長 それはもう全然不可能ということになるのでしょうか。
○岡村委員 いえいえ。済みません。僕ばかりしゃべって。要は、この分類よりも前の分類として、一般法としての個人情報保護法がかかってくるという。その上で、例えば利用目的がこの範囲で当社の場合は限定しますよとか、利用目的以外の項目をいろいろルール化しますよということはあり得る話だろうということであります。
○山口座長 ありがとうございます。そうしますと、この縦の2つの列がありますけれども、3番目の列を加えたほうがいいと考えてよろしいのですか。不可能な場合に、ルールをもって可能にするということが可能かどうかみたいなですね。
○岡村委員 いや、ちょっと言葉不足なので、まず、当然取得可能な部分と、それから、同意を得て取得が可能な部分と、それから、同意を得ても取得が不可能な部分と、というような分け方というのも1つはあり得るのではないかなと。ただし、それはあくまでも原則であって、同意が要るとかいうのは、さっき言った、例えば一番わかりやすいのは緊急行為、人の命にかかわるような場合については除外とか例外を認められるというような形にしておかないと、現状にそぐわないのではないかと。
○山口座長 それが事業場ごとのルールという中に含まれるということでよろしいのですよね。
○岡村委員 の一つにはなり得ると思います。それから、またそういう除外規定みたいな、あくまでも原則だということによって、さっき言った緊急性が高いような、命を守らなければならないといったことからすると、先ほどおっしゃった、ドクターの意見で、法定外項目でも当該労働者に対する安全配慮という見地から、医師の裁量で事業者に直接告知すべきような場合も例外的には出てこようかと思いますので、余り硬直的にその3形態分けるだけでなくて、ある程度柔軟な形をやらないといけないと思います。
○三柴委員 この表を事務局がお出しになった趣旨は、私の理解では、これまでの議論で、要は、目安というか、基本的な原則はわかりやすく示して、それをどう履行するかについてはガイドをなるべく親切に示すということでいい方向に持っていこうという意見もあったので、それに即していただいたのだろうと思うのですね。だから、例外まで含めて議論し始めると、この表自体が多分崩壊すると思うのです。どんな細かくつくっても、要するに切りがないということに多分なるのですね。だから、例えば土肥先生が言われた趣旨は、私の理解だと、本来原則不可能なものを取り扱えるようにしたのだったら、それだけ事業場内でしっかり規律しなさいよという御趣旨だったと思うのですけれども、それはどこか張り出しでもはみ出しでも注釈でいけるのかなと。
 それから、増田先生が言われた、問診で、医師の裁量でいろんな情報がとれてしまうのだけれども大丈夫でしょうかという、その御所見は、要は、取り扱う情報の中身の問題だと思うのですね。だから、それはこの表自体で言及することでは多分ないのかなと思うのです。だから、この表は表として例えば尊重して、もう少し精緻にするなり修正するなり、松本先生がおっしゃるようにグループ分けするなり、いろいろ洗練度を高める方法はあると思うのですけれども、例外はちゃんと書いておいてあげてもいいのかなと。それは、岡村先生が言われたように、16条の中にも、緊急性の高い場合、生命・身体云々、法令に基づく場合云々ということが書かれているから、そういう場合は、この表も異別の取り扱い、この表と異別の異なった取り扱いが認められるのですよということですね。そういうことは例外として書いておいていいのかなと。
 ただ、個人情報委員会の方にちょっと教えていただければと思ったのは、法令に基づく場合というのは、解釈本を見ると、大体罰則つきの義務規定とか、ああいうものが例としては挙げられているのだけれども、例えば安衛法上の努力義務規定とか、それから労働契約法の5条とか、ああいうものを法令と考えていいのかというのは、これは入る入らないで大分その例外の幅が違ってくると思うのですよ。だから、それは教えていただきたいなと思ったのですけれども、表自体はなるべくシンプルにすることが大事かなとは思います。
○山口座長 事務局から特にございませんか。
○星田個人情報保護委員会事務局企画官 直ちにちょっと網羅的には答えづらいのですが、法令に基づく場合に該当するかどうかは、一義的には法令の所管部局を主体とする整理によってくるのですが、まず、必ずしも罰則が常についているわけではございません。また、努力義務規定も含み得ると考えますが、今ぱっと思い浮かぶ中では、努力義務で認めた例が思い当たるものはございません。労働安全衛生法については、これまで安全衛生部と整理させていただきまして留意事項を示してございますが、その中で法令に基づく場合とされているものについては、基本的にすでに整理ずみということでございます。
 済みません。結局、法令に基づく場合に該当するか否かは個別の整理によってまいるという形になると思います。
○岡村委員 これは有名な京都市弁護士照会最高裁判決というのがありまして、どういうものかというと、弁護士法に基づいてある人の前科がどういうものなのかということを照会したのに対して京都市が応じたことについて、プライバシー権侵害が認められた。つまり、違法だというような形になったと。これは法律に基づくものであってもだめだった例なのですね。
 ですので、その法律の趣旨と、それから個人情報保護法であるとか当該安衛法とかの各規定の趣旨に照らし合わせてどちらが優先するかというような話になってくる部分がありますし、先ほど三柴先生がおっしゃったような、余りにも細かいことにこだわるとわけわからなくなってしまうので、そこは各省庁等々、特殊分野に関しては、やはり個別のガイドラインをつくった上で、必要に応じてさらにQ&Aとかをつくって、役所のほうに同じ質問が、次から次に、来る日も来る日もやってくるようでは困りますので、そのような形で、必要に応じて具体化するということがありますので、この間私が、Q&Aなんかも必要に応じておつくりになるのも一つの方法ではないかと申し上げたのはそういう趣旨も含めてだったわけでございます。
 以上です。
○山口座長 ほかにはいかがでしょうか。
○土肥委員 先ほどの続きからいきますと、三柴先生が言われたとおりだと思うので、ただ、この表を見たときに、この表によって受ける印象が余りにも違う表にでき上がると間違った理解をしていくので、この表を見て、どのように健康情報を取り扱うかがわかるようにはつくってほしいなと。このままだとちょっと誤解を招く。「可能」「不可能」と「—」だけの整理では誤解を招く可能性があるかなと思っているところでございます。
 その他、これから、この表が使われていくであろうという前提に立ちますと、縦軸は多分いろいろなパターンが出てくるだろうと思うので、例示の一部であるという理解をしているのですが、「健康診断後の医師の意見」「長時間労働者の面接指導後の医師の意見」となっているのですが、下から3行目に「治療と仕事の両立支援のための主治医の意見書」と書いてあるのは、ここは意図して区別されたのか、そうでないのだったら、「医師の意見書」のほうが後々適切ではないか、産業医が意見書を書くことも十分あるのでと思いました。細かな点ですけれども。
 もう一点、「ストレスチェックの集団分析の結果」のところで、法令に伴って取り扱うことが「可能(労働者数10人未満の事業場に限り不可能)」と書かれていますが、これは現状とは若干、ガイドライン等にはそう書いてあるものの、厚生労働省の実運用上のQ&Aではこうなっていない部分があるので、ここでこのような明記をすることが適切かどうかというのについても検討をお願いしたいなと思います。
○山口座長 ほかにいかがでしょうか。
 今改めて見直してみると、例えば「長時間労働者の面接指導の結果」が「可能」となっていますが、産業医が面談すると、かなり詳細な記録をとるのですね。その中には、そのまま事業者にそれを見せてはいけないようなものも含まれていたりすることは多々あります。それが、この面接指導の結果が「可能」となってしまうと、もう書けないと、記録残せないみたいな、あるいは二重の記録にしなくてはいけないとか、いろんな面倒なことが起きて、実際にそういうことは現場では起きている場合もあるのですね。
 ですから、土肥先生が前、省庁ヒアリングで強調してくださったように、やはり加工というプロセスをきちっとどこかで明確にこの中に入れ込まないと、今の誤解とか勘違いとかいうのが常につきまとうのではないかと思いますので、そこの部分をちょっとどこかで書き足していただけたらなあと今ちょっと感じましたけれども、いかがでしょうか。
○神ノ田労働衛生課長 この「可能」とか「不可能」という整理の仕方がちょっとまずかったのかなあと思っています。ここでいう「可能」というのは、同意が不要と、そのように読みかえてもらえたらと思います。同意が不要ということイコール、本人の同意なしに全部事業者が取り扱えるということではないと。「不可能」としているのは、事業者が取り扱うのであれば必ず本人の同意が必要と、そのように読みかえてもらえたらと思います。この場合、同意が必要なので、事業場ごとにそのルールを決めてもらったらどうかと。
 同意が不要な場合も整理が幾つかあって、先ほど、ルールをつくって制限が可能かどうかということで、これは加工によって制限するということもありますし、あと、アクセスできる人を制限するというやり方もあると思うのですが、その制限の仕方についても事業場ごとにルールを設けてもらえたらということで、ここで表でまとめた趣旨としては、事業場ごとにルールを決めて、人事担当者とか事業者に自分の健康情報が筒抜けになるようなところをルール化しましょうというときに、どういった部分をルール化したらいいかというのが整理できるようにしたつもりだったのですが、まだまだ十分整理できていませんので、つくりかえたいなとは思っています。
○山口座長 土肥先生。
○土肥委員 山口先生が言われたとおり、「長時間労働者の面接指導の結果」は取り扱うことが可能なので、ルールを定めてちゃんと制限するようにしなさいよという意味で「可能」と書いてあるという理解ですよね。
○神ノ田労働衛生課長 長時間労働者の面接指導の。
○土肥委員 面接指導の結果は事業者が取り扱えます、可能ですと。だから、制限をつけることが可能というのは、自分たちでルールをつくってやりなさいよと書いてあるということですね。可能という意味は。
○神ノ田労働衛生課長 はい。ですから、法令上は事業者として面積指導をやって、その結果、事業者として実施していますので、同意なしに取得することは可能ではあるのですが、制限することは可能なので、そのルールをつくってくださいねと。そこは事業場ごとにいろいろと事情が違うと思いますので、バスの運転手みたいなことであれば、相当多くの情報を事業者、あるいは人事担当者が把握しなければいけないということにもなるでしょうし、デスクワークをしているということであれば、そんなに情報を全て把握する必要はないので、その事業場でルールを決めて思い切り制限してもらうということもあり得るのではないかと。
○山口座長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
 どうぞ。
○三柴委員 済みません。3ページの(4)の波線の「なお」以下の部分の趣旨をちょっと起案者の方に、事務局の方に教えていただきたいのですけれども、基本的に産業医等が機能しているようなそれなりの規模の事業場が対象ですよと言った上で、そうでないところについては、事業場ごとのルールが必要だけれども、事業者自らが適切に取り扱う等の方法が考えられると。要約すれば、そのように書かれていると思うのですけれども、これは、平たく言うと、中小・零細で産業保健体制もちゃんとしてないようなところだったら、この表に書いてあることは全て無視していいということでしょうか。
○神ノ田労働衛生課長 ここの、事業場ごとのルールを決めて取り扱うところのオプションが小規模事業場ではかなり限られてくるのではないかなと思っているのですね。小規模なところは産業医もいませんし産業保健スタッフもいないという中では、事業場でルールを決めて、加工したり、あるいはアクセス権を制限したりということで取得を制限するというのはなかなか難しいのではないかということで、そういうところでは、こちらの表で言うと、左のほうの段ですね。法令上可能か不可能か、つまり、同意が必要か不要かというところで、必要なものについては事業者の判断でどうするかということはあると思いますけれども、だから、制限可能となっているところについても、小さいところではなかなかその制限の仕方が難しいので、事業者、あるいは人事担当者が直接扱うということもやむを得ないかと。そのような趣旨です。
 今回いろいろ議論しているのは、人事担当者とかに健康情報が筒抜けになるということだと、安心して産業保健スタッフに相談できないということなので、そこのルールを決めましょうということですが、小さいところですとそのオプションがかなり狭まってきますので、事業者が直接扱わざるを得ないと。ただ、直接扱わざるを得ないということをもって、それはだめだとは言えませんねということです。
 ちょっと説明が難しいのですが。
○松下係長 済みません。ちょっと補足ですけれども、小規模の事業場なんかの場合だと、対象者が少ない分、例えば同意取得なんかはとりやすい面もあると思いますので、ソフトな対応にはなると思うのですけれども、同意の取得を促進するとかそういった方向性はあると思うので、そこも含めて検討いただければと思います。
○三柴委員 済みません。発言回数が増えてしまって申しわけありません。
 では、次の課題として、この検討会で同意の取り方についても踏み込みむかどうかが問われると思います。というのは、これまでに発出された通達等の中で、これは必要な情報の取り扱い方だけれども、法的にはちょっと問題があるな、というようなところについては、例えば就業規則に同意を書くことで一般的に同意をとったということにするとか、そういう方法もあると、わざわざ書いてあったり、あるいは同意があることにする、擬制ですね、みなしをするといったことまで書かれているのですね。例えば、職場におけるメンタルヘルス対策のあり方検討委員会報告書には、治療と就労の両立支援のために事業場と主治医間で本人の健康情報をやりとりする必要がある場合には、就業規則等で一般的に同意を定めておいて、逐一個別の同意をとらなくて良いようにしておく方が良いなどと書いています。
 JAL労組事件というケースがあって、これなんかは、労組が正当な活動を行ううえで必要な情報を会社から得る場合などには、たとえ個人情報であっても本人の同意があることとするというようなことを言っていて、要するに、常識的に見て、この情報の取り扱いは必要でしょうと。法令上の制限はあるけれども、衡平感覚で必要だと思うようなものは、本人の同意をつくってしまうということもできるとしてきた経緯があり、通達等は、その可否など細かいことは事業場で決めてくださいと、そのように言ってきたと思うのですね。今、小規模な事業場については、同意をうまくとれるように誘うというお話もあったので、その点についてのお考えを、事務局として何かあれば教えていただきたいのです。
○松下係長 同意の取得方法というところも、5ページの(5)になりますけれども、事業場ごとにルールに定める事項として一応入れています。なので、同意どうやってとるかというところは、そこで検討はいただくという方向ではいるのですが、ではその同意の取得の仕方としてどういった方法がいいかとかいうところはちゃんと示すべきだということで、この検討会の中で合意形成がとれるのであればそれは検討いただきたいと思っていますし、そこは事業場にある程度任せて、幅持たせたほうがいいのではないかということであれば、特にそこまでは示さないということになろうかと思います。
○山口座長 ほかにはいかがでしょうか。
 3の(4)を中心に、今、御議論していただきましたけれども、それ以外の部分でも何かございましたら。
○若月委員 3のところを読み返して気がついたところのですが、不利益取り扱いに関して、この中に含まれてないもので、例えば均等法ですとか育介法による指針で示されている典型事例の中に、就業環境を害すること、減給、降格、あと、有期雇用の場合の雇用の短縮など、結構具体的なところまで書かれていまして、その辺の文言も入れていただき、手厚くしていただけたらと感じたのが1つです。
 あと、不利益取り扱いに関して、(6)ですが、これは不利益取り扱いのところに統一しても良いと思います。
 以上です。
○山口座長 今の点について、事務局から何かございますでしょうか。
○松下係長 調べてみて、次回、適宜反映させていただきます。
○山口座長 ほかにはいかがでしょうか。
○土肥委員 ちょっと教えていただきたいのですが、5ページの(5)のところですね。「収集・保管・使用を行う労働者の健康情報・必須情報の範囲」とありますが、健康情報と必須情報というのはどのように分かれていると考えればよろしいのか、ちょっとわからなくなったのでお教えいただければと思います。
○松下係長 趣旨としては、「健康情報」というのは健康情報全般のことを指しているのですけれども、「必須情報」というのは、先ほど課長のほうからも説明ありましたけれども、例えばバスの運転手の場合なんかに、第三者の安全確保の観点からそもそも困るとかいうような情報については、同意取得等の手続を抜きにして取得しなければいけないという考えもあると思うので、そういった情報を「必須情報」という言い方で載せているものになります。
○土肥委員 まだイメージがつかめませんが。
○松下係長 必須情報というのはどういうものがあるか、業種によってもかなり変わってくるものかなと考えていて、その辺をこの検討会で全部一つ一つ示していくのはかなり難しいと考えています。先ほど岡村先生からもありましたけれども、Q&Aだとか、マニュアルだとかそういったものを整備していく中で、また別途考えていくというような方向かなと考えています。
○山口座長 ほかにはいかがでしょうか。
○栗原委員 ちょっとお聞きしたいのですけれども、先ほど来、3ページの(4)のところで、「主に、産業医等の医療職種が機能している事業場を対象」、それ以下はそれ以外だということですけれども、(3)のところは、先ほど来出ているように、小規模とか大規模という表現の仕方をしているみたいですけれども、こことの表現の整合性はどうなのかなというのはちょっとありましたので、ちょっと確認させていただきたいのですが。
○松下係長 次回までに(4)に合わせて修正させていただきます。
○山口座長 ほかにはいかがでしょうか。
 もう出尽くしましたでしょうか。
 どうぞ。
○西野委員 小規模事業場の(4)ですが、先ほどのお話にちょっと戻りますが、本人の同意の取得方法というのは、そういうことから考えますと、やはり詳しくある程度、こういうことが考えられるというものを出したほうが小規模事業場に対しての例示としては非常に大事になってくるのではなかろうかと思うのと、それから、小規模事業場の場合に医療職は外部に頼るわけでして、その外部との関係について、何かその情報を外部にお願いするとかいうところについても、それとの関連で具体的に書いたほうがわかりやすいかなあと思います。
○山口座長 事務局、よろしいでしょうか。
○松下係長 検討させていただきます。
○山口座長 よろしくお願いいたします。ほかにはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 では、時間はまだたっぷり残っているのですが、一応委員会としての議論は本日は出尽くしたということで、ここで事務局にお返ししたいと思いますが、いかがですか。よろしいですか。
○秋山室長補佐 それでは、本日も熱心な御議論いただきまして、どうもありがとうございました。本日いただいた御意見につきまして事務局で整理させていただきまして、次回の議論につなげさせていただきたいと思います。
 次回の日程でございますが、改めて事務局より御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、本日の議論につきましては、前回同様、各委員の皆様方に内容を御確認させていただいた上で公開することとさせていただきますので、あらかじめ御承知おきいただければと思います。
 それでは、本日の検討会はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
○山口座長 ありがとうございました。


(了)

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