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2018年4月23日 第1回労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの在り方に関する検討会 議事録

○日時

平成30年4月23日(月) 14:00~16:00


○場所

労働委員会会館 講堂


○議題

(1)健康情報の事業場内での取扱いルールに関することについて
(2)その他

○議事

  ○秋山室長補佐 定刻になりましたので、ただいまより「第1回労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの在り方に関する検討会」を開催いたします。本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。私は司会進行を務めます事務局の安全衛生部労働衛生課の秋山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
  本日は第1回の検討会ですので、委員の皆様を御紹介させていただきたいと思います。お手元の資料2が先生方の名簿になっておりますので、名簿の順に御紹介させていただきます。電力総連総務・財政局長の石塚様、法人英知法律事務所弁護士/京都大学大学院医学研究科講師の岡村様、全国労働衛生団体連合会理事の栗原様、日本産業保健師会副会長の椎葉様、日本商工会議所産業政策第二部課長の高野様、三井化学株式会社本社健康管理室長・統括産業医の土肥様、本日御都合により欠席の日本看護協会常任理事の中板様、関西労働者安全センター事務局長の西野様、全国中小企業中小企業団体中央会労働政策部副部長の菱沼様、イオン株式会社グループ人事部イオングループ総括産業医の増田様、公益社団法人日本医師会常任理事の松本様、近畿大学法学部法律学科教授の三柴様、本日御欠席の産業医科大学産業生態科学研究所教授の森様、公益財団法人労災保険情報センター理事長の山口様、日本労働組合総連合会雇用対策局次長の若月様です。
  続きまして、事務局のメンバーも紹介させていただきます。久知良計画課長、神ノ田労働衛生課長、毛利産業保健支援室長、富賀見産業保健支援室長補佐、私は室長補佐の秋山でございます。よろしくお願いいたします。
  開会に当たり、神ノ田労働衛生課長より御挨拶申し上げます。
○神ノ田労働衛生課長 皆様、こんにちは。労働衛生課長の神ノ田です。本日は、大変御多忙のところを本検討会に御参集いただきまして誠にありがとうございます。また、委員の皆様方におかれましては、日頃から産業保健行政の推進に格別の御理解・御協力をいただいているところです。この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。
  本検討会におきまして御議論いただくことになります労働者の健康情報につきましては、従前より労働安全衛生法令のほか、個人情報保護法令等の関係法令に基づきまして取り扱っていただいてきたところです。適切な運用を期すべく、通知等もお示ししてきたところです。
  そのような中、平成28年12月に「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会報告書」が取りまとめられ、その中で、既往歴等の機微な情報については、その取扱いについて、別途、検討等を行う必要がある旨の御指摘をいただいたところでございます。
  また、昨年3月に決定されました「働き方改革実行計画」におきましては、長時間労働の是正のための時間外労働の上限規制等と併せて、働く方が健康の不安なく、働くモチベーションを高め、その能力を最大限に発揮するため、産業医・産業保健機能の強化についても盛り込まれました。これを受けまして、労働政策審議会において御議論をいただき、昨年6月にその議論の結果を建議として取りまとめていただいたところでございます。
  建議におきましては、労働者の健康情報につきまして、労働者が雇用管理において不利益な取扱いにつながる不安なく安心して産業医等による健康相談等を受けられるようにするとともに、事業者が必要な情報を取得して、労働者の健康確保措置を十全に行えるようにするための適切な取扱いが必要であること、また、必要な健康情報の具体的な取扱いについては、事業場ごとに衛生委員会等を活用して労使の関与のもと検討し定めることが適当であること、こういったことが指摘されたところでございます。
  本検討会におきましては、これらの御指摘を踏まえ、労働者の健康情報の取扱いについて、事業場が実施すべき事項の検討を進めていただきたいと考えております。委員の皆様方におかれましては、働く人、事業者、産業保健や個人情報の専門家など、それぞれの視点から、労働者の健康情報の取扱いに関する制度の構築・改善に向けて忌憚のない御議論をいただくようお願いを申し上げます。以上、簡単ではありますが、検討会開催に当たっての御挨拶とさせていただきます、どうぞよろしくお願いします。
○秋山室長補佐 続きまして、座長の選出を行いたいと思います。事務局としましては山口委員に座長をお願いしたいと考えておりますが、委員の皆様、いかがでしょうか。
                                   (異議なし)
○秋山室長補佐 ありがとうございます。山口先生、どうぞよろしくお願いいたします。先生、座長席のほうにお移りいただけますでしょうか。
○山口座長 山口です。改めまして、皆様どうぞよろしくお願いいたします。最初に資料の確認からお願いします。
○秋山室長補佐 資料につきまして事務局から御説明いたします。まず、配布資料一覧を御参照ください。今回、資料を4点、参考資料として8点お付けしております。
  資料につきましては、資料1が開催要綱、資料2が検討会委員の一覧名簿、資料3が「労働者の健康情報の取扱いに関する実施事項」ということで骨子案をお付けしております。資料4として、平成29年度に議論いただきました労働者の健康情報の適切な取扱いなどに関する調査及び検討事業実施報告書を添付させていただいております。
  資料4以降、ファイルの中で言いますと赤い紙が挟まれておりまして、そこから先が参考資料となっております。参考資料は1つ飛ぶごとに黄色い紙が挟まっておりますので、それに沿って入っていると思っていただければと思います。ここでは細かい説明は割愛させていただきます。以上、資料等々に過不足はございませんでしょうか。それでは、資料の説明については以上になります。
○山口座長 ありがとうございました。本日、第1回目ですので、この会の趣旨、重要な事項について事務局から説明をお願いします。
○秋山室長補佐 本検討会の趣旨と今後の議論の進め方につきまして、資料1を御覧ください。資料1、開催要綱に基づき本検討会の検討事項等について御説明いたします。1の「趣旨・目的」につきましては、先ほど課長の挨拶においても述べさせていただいたとおりでございます。経緯としては、平成28年12月の定期健康診断等の在り方に関する検討会報告書、平成29年3月の働き方改革実行計画及びこれを踏まえた労働政策審議会の同年6月の建議、これらにおける労働者の健康情報の取扱いに関する提言を踏まえ、その現状と課題を把握しつつ、事業者が行う措置の具体的な内容について検討を行うものになります。昨年度は主に現状と課題の把握のため、委託事業による実態調査及び検討会を開催し、本日の資料3にございます骨子案を取りまとめていただいた次第です。今年度は引き続き検討会を、労働衛生課長が参集の行政検討会として開催し、年度前半を目途に議論を取りまとめてまいりたいと考えております。以上です。
○山口座長 ただいまの事務局の説明について何か御質問等ございましたらどうぞ。よろしいでしょうか。
  それでは本題に入っていきたいと思います。最初に、昨年度既に議論をいたしました、資料3の骨子案をもう一度御説明いただいて、そこから議論を始めるのがよろしいかと思います。事務局、どうぞお願いいたします。
○秋山室長補佐 資料3について事務局より御説明させていただきます。こちらは昨年度中、委員の皆様方に取りまとめていただいたものになります。確認のため読み上げさせていただきます。少し時間が掛かりますが御容謝いただければと存じます。
 資料3の「労働者の健康情報の取扱いに関する実施事項(骨子案)」です。
 1.趣旨・総論。
  (1)労働者が、雇用管理において労働者の不利益な取扱いにつながる不安なく、安心して産業医等による健康相談等を受けられるようにするとともに、事業者が必要な情報を取得して労働者の健康確保措置を十全に行えるようにするために、労働者の健康情報の適切な取扱いのためのルールの明確化が必要。
 (2)労働者の健康情報の適切な取扱いのためのルールについては、雇用管理に必要な健康情報の範囲は労働者の業務内容等によって異なり、また、事業場の状況に応じて適切に運用されることが重要であることから、以下に示す原則を踏まえて、事業場ごとに衛生委員会等を活用して労使関与のもと検討して定め、運用を図ることが必要。
 (3)なお、以下に示す事項は、事業場における労働者の健康情報の取扱いに関する原則であり、事業者は、事業場の状況に応じて、労働者の健康情報が適切に取扱われるようその趣旨を踏まえて、異なる取扱いを労働者に説明した上で行うことも可能である。
 2.労働者の健康情報の取扱いの原則。
 (1)事業場における労働者の健康情報の取扱いの一義的な目的は、労働者の健康確保や事業者の安全配慮義務の履行であり、事業者は、労働者が、自らの健康情報が健康確保以外の目的のために使用(第三者提供を含む。以下同じ。)され、不合理的な不利益取扱いを受けるという不安がないようにするために、当該事業場における労働者の健康情報の取扱いのルールを定める。
  以下、斜体の部分につきましては、今回検討していただく参考としていただくため、ストレスチェック指針より抜粋をしているものになります。そちらの読上げは割愛をさせていただきます。2ページ目に移っていただき、中ほど下の(2)になります。
 (2)ルールに定める事項には、健康情報の取扱いの目的、取り扱う健康情報の範囲、健康情報を取り扱う者とその権限、本人同意の取得等がある。
  (3)健康情報を取り扱う者とその権限については、事業場における健康情報を収集する目的や健康情報を取り扱うための体制等の状況に応じて、部署や職種ごとに、その権限の範囲を定めることが必要。例えば、・産業医等の産業保健部署の医療職種が健康情報の収集、保管及び他部署への情報提供に当たっての加工を行う等。
 (4)ルールを定めるに当たっては、衛生委員会等を活用して労使関与のもと検討する、又は衛生委員会を設置していない小規模事業場においては、事業者が定め労働者に通知し、同意を得る等のプロセスを踏むことが必要。例えば、・同意の取得方法としては、労働者への周知義務がある就業規則に記載する等。
 (5)ルールを検討して定める単位については、当該企業及び事業場の実情を踏まえ、事業場単位ではなく、企業単位とする場合も考えられる。
 (6)事業者は、労働者が健康情報の取扱いに同意しないことを理由とした不合理な不利益取扱いを行ってはならない。
 (7)事業者は、健康情報の取扱いのルールについて、関係者への教育やルールの見直し等の措置を行うことが必要。
 (8)事業者は、ルールに基づく運用が適切に行われなかった場合は、原則として、労働者にその旨を説明するとともに、再発防止に取り組むことが必要。
 3.労働者の健康情報の収集・保管・使用。
 (1)労働者の健康確保や事業者の安全配慮義務の履行及びそれ以外に、労働者の健康情報の収集・保管・使用を行う正当な事由は以下のものが考えられる。
      ・法令に基づく場合、・本人が同意している場合
      ・労働者等の生命、身体の保護のために必要がある場合であって、本人同意を得ることが困難であるとき等。
 (2)労働者の健康情報の収集・保管・使用の範囲は以下のものが考えられる。
      ・労働衛生法令に基づき、当然に、又は本人の同意を得て、事業者が取得することとなっているもの(例:法定の一般定期健康診断の結果、法定の特殊健康診断の結果、健康診断後の事後措置に関する医師の意見、長時間労働者に対する医師による面接指導の結果、ストレスチェックの結果高ストレスと判定された者への医師による面接指導の結果等)
      ・ストレスチェックの結果、・事業場として取得することとして労働者の同意を得られているもの(例:がん検診の結果、人間ドックの結果のうち法定の一般定期健康診断の項目以外の項目、健康保険組合等の医療保険者が労働者から入手した情報、職場復帰支援のための主治医の診断書等)
      ・労働者から任意に提供を受けたもの(例:労働者が健康保険組合等の医療保険者から入手した情報、治療と仕事の両立支援のための主治医の診断書・意見書等)。
 (3)労働者の健康情報については、そのほとんどが機密性が高い情報であることから、その収集・保管・使用に当たっては、組織面、技術面等で十分な措置を講じることが必要であるが、小規模な事業場では大規模事業場と同等の体制を整備することが困難であるという実情もある。そのため、小規模事業場においては上記2.に掲げるような措置を講じるとともに、事業場規模に応じてより充実した措置を講じることが必要。
 (4)労働者の健康情報の収集・保管・使用の原則は、その種類に応じて以下のとおり。
    この部分は論点案ということで事務局で記載させていただいているものになります。ここも同じく読み上げさせていただきます。
   ・一般定期健康診断等の結果。【論点案】誰がどの程度把握し、誰が収集・保管・使用すべきか(法定保存期間:5年保存)。
   ・特殊健康診断の結果(二次健康診断の結果を含む)。【論点案】職業性疾病の予防のための項目に限定されることから、事業主や人事労務管理部門の担当者等も含めて把握すべきか(法定保存期間:5年~40年保存)。
   ・健康診断等の未受診の情報。【論点案】受診等勧奨のために必要な人全員が把握して良いか。
   ・ストレスチェックの結果。【論点案】実施者等に限って取得できることとするなど従前と同様の整理でよいか(法定保存期間:取得した場合5年保存)。
   ・健康診断後の措置等に係る医師の意見。【論点案】誰がどの程度把握し、誰が収集・保管・使用すべきか。
   ・健康診断後の再検査・精密検査の結果。【論点案】誰が、どのように把握すべきか。
   ・法定外健診の結果や労働者が任意に提供する健康情報等(治療と仕事の両立支援のための主治医の診断書等を含む)。【論点案】収集・保管・使用に当たって必要な手続は何か。
   ・特定健診の健診項目の情報。【論点案】誰が、どのように医療保険者に提供すべきか。
   ・疾病管理のための情報。【論点案】事業者の安全配慮義務を履行するために、事業主や人事労務管理部門の担当者等も含めて把握すべきか。
  (5)事業場ごとにルールに定めるべき事項は具体的に以下のものが考えられる。
      ・労働者の健康情報の収集・保管・使用の目的
      ・労働者の健康情報の収集・保管・使用の方法
      ・収集・保管・使用を行う労働者の健康情報
      ・必須情報の範囲、・労働者の健康情報の収集
      ・保管・使用を行う者の権限
      ・本人への通知及び同意の取得方法
      ・第三者提供に際しての留意事項
      ・労働者への周知方法
      ・労働者の健康情報を含む勧告内容の衛生委員会への報告における留意事項
      ・ルール策定前の情報の取扱い等。
 4.労働者の健康情報の適正管理。
 (1)労働者の健康情報の適正な管理のために事業者が講ずべき安全管理措置等は具体的に以下のものが考えられる。なお、これらの措置は個人情報の保護に関する法律においても規定されており、同法も踏まえながら、事業場ごとの実情を考慮して、運用を図ることとする。
      ・健康情報を必要な範囲において正確・最新に保つための措置、・健康情報の漏えい、紛失や改ざん等防止のための措置(健康情報の取扱いに係る組織的体制の整備、正当な権限を有しない者からのアクセス防止のための措置等)
      ・保管の必要がなくなった健康情報の適切な破棄等。
 (2)労働者の健康情報の適正管理について、(1)を踏まえて、事業場ごとにルールを定める。
 (3)労働者が有する自身の健康情報の開示や必要な訂正等及び利用停止等を求める権利についても適切に対応するとともに、ほとんどの健康情報が、機密性が高い情報であることに鑑みて、特に配慮が必要。
  骨子案としては以上になります。下にあります「今後の検討に当たって」という部分も、今回の案を検討していただく上で必要となる部分だと思いますので、こちらで読上げをさせていただきます。こちらは、昨年の検討の過程で言及いただいたものを挙げさせていただいております。
  今後の検討に当たって。
 (1)不合理な不利益取扱いの防止やプライバシー保護の観点と事業者が行う労働者等の安全・健康確保対策の充実の観点とで両立を図るべき。
 (2)国や自治体による政策を踏まえつつ、事業場と医療保険者による労働者の健康保持増進措置の適切な促進に寄与するように検討する必要がある(労働者の健康情報は、利用目的の達成に必要な範囲内で取り扱う必要があるが、この利用目的の範囲を過度に限定することがないよう留意が必要)。
 (3)個人情報保護法等の法令の規定を踏まえて、適切に定められるように検討する必要がある。
 (4)産業保健スタッフだけが把握する情報の位置付けについても検討する必要がある。
 (5)事業主、人事労務部門、産業保健部門等以外に労働者の健康情報の取扱いに関係する者は以下の者が考えられる。
      ・外部健診機関(がん検診の精度管理等)、・EAP機関、・両立支援コーディネーター
      ・医療保険者、・産業保健総合支援センター及びその地域窓口(地域産保センター)等。
 (6)労働者の健康情報の第三者提供の手続や提供後の情報の取扱いについて必要な規定は何か。
 (7)国は、原則を示した上で、労働者の健康情報の適切な取扱いを推進するために、以下の例のようなツール等を整理すべきである。(例)手引き、事例集、Q&A、事業場ごとのルールの雛形。
  長くなりましたが以上です。
○山口座長 あと90分ありますので、本日は委員の皆様から自由な意見、あるいは意見交換をしていただいて、この骨子案の議論を深めていきたいと考えますが、いかがでしょうか。骨子案全体、どこでもいいので、御意見がありましたらお伺いしたいと思います。
○岡村委員 岡村でございます。大体、骨子は出尽くしているようだとは思いますが、2点ほど指摘させていただきたいと思います。まず、全体に関して、できるだけ労使双方とも迷って萎縮してしまうようなことがないように、Q&Aレベルでも結構ですので、早い話が肯定例、否定例ということ、できるだけ具体化をお願いしたいと思います。併せて、その事例集的なもので非常に先進的な事例等々があれば、そういうものが明確化されるとよいのではないかと思っているところです。
  もう1つの問題は、4ページの(4)に関わることだとは思いますが、前の年度の中で保管場所の問題が事業場ごとにするのかどうかということが、論点として意見が出たのを覚えております。その際は、もう今やコンピューター管理で本社に一括保管していると。それに対して、各事業場で保管することが果たして適正かどうかという御意見だったと記憶しております。現在、クラウドなどがありますので、セキュリティを図るためには、できるだけ固い、つまり適正に厳格に管理ができるところで集めて管理するのがトレンドになっていようかと存じます。
  他方で、やはり公的な調査等々の必要もあるということを考えると、各事業場の労働者の分に限って、正当な場合に端末からID、パスワードで閲覧、印刷等ができるようにすれば、それで済むのではないかと。これは万一、漏えいなどが起こると、労使ともども大変大きな不利益を受けることになりますが、私の実務的な経験から申し上げると、本社ではかなり厳格管理をされている場合でも、地方の小さな支社などに行くと、守ろうと思っても守るだけのファンダメンタルズがないようなところが多いので、どうかそうした集中的な厳格管理を行うとともに、端末を用いて必要最小限度のものだけ、安全に見られるような形を、できれば事例的なもので肯定例として示していただければ有り難いと思いますし、必要であれば、現行のままではなかなか難しいということであれば、また制度等の見直し等々も含めて御検討いただければと思います。長くなりましたが以上です。
○山口座長 ありがとうございました。今の岡村委員からの御意見について、御意見、あるいは御質問はありますか。1番目におっしゃったことは、そのとおりだと思います。2番目の点は、多様な在り方の1つというような御意見ですか。それとも、もうクラウド的に、電子的に、一括管理が望ましいというところまで踏み込んだほうがいいという御意見でしょうか。
○岡村委員 企業の規模、形態は様々ですので、あくまでも企業の規模、形態に応じて、ふさわしい手段を取るものの選択肢の1つという意味です。
○山口座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
○三柴委員 初回ですので、この検討会で議論を進める上で、念頭に置いて頂きたい点について、お話を差し上げたいと思います。これは前の委託の委員会のときにも冒頭に申し上げたのですが、安全衛生との関係で情報管理について論じる以上、安全配慮とか安全管理の必要性と両立を図る必要があるということが1つです。それから、これは安全衛生関係に限らないのですが、日本では労使関係に連続性があるという特殊性がありますので、そうした日本的な特徴、慣行を踏まえる必要があるということ。この2点を、まず基底に置く必要があると思います。
  その上で、今回の検討会で打ち出す指針なり、あるいは綱領なりが、今までかなりの数出てきたガイドライン、行政が発信してきたガイドラインと何が違うのか、どういう価値を持つのかといえば、恐らく、これまでに行政から発信されてきたメッセージの交通整理、それから水先案内、そうしたメッセージを適正に履行するにはこういう方法があり得るのだというガイドの役割ですね。その両方があるのだろうと思います。
  そこに加えて言えば、新しい問題、岡村先生が言われたクラウドのような技術の発達に対応する新しい問題への対応、つまり、今までルールを設けてもよかったのですが見落とされていた部分の補充が求められるのかなと思います。有意義な議論を展開していただくために、今申し上げたようなところを踏まえていただければ有り難いなと思います。以上です。
○増田委員 増田です。今回は事業者側の代表として出ていますので、事業者側の意見を述べさせていただこうと思います。よろしくお願いいたします。全体的なところで1点だけ、1の(3)にありますように、今回の骨子案についてのお話かもしれませんが、原則を示すとなっておりますので、まず原則を示して、それから枝葉といいますか、別のところの議論に広げていくというような議論ができればと思っております。例えば、もう既に骨子案の中で、大規模事業場と小規模事業場の違いについての論点がありますが、事業場の規模によって個人情報の取扱いが変わるというのは、本来あるべきものではなくて、どのような事業場や規模の所に勤めていても、それは等しく扱われるべきだと思いますので、まずそういった文字どおり原則の所を明確にしてから、枝葉の所に進むという議論をしていただければと思っております。それ以外の所については、またおいおい発言させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○土肥委員 土肥でございます。まず、1点目は、今回の議論は労働者が安心して健康相談を受けられるようにすることが趣旨に入っておりますが、労働者が安心して健康相談を受けた場合の健康情報は収集されることになるわけですが、例えば3の(4)に書かれているような中では、どこにどのように位置付けていくのかということがあるかと思います。つまり、労働者から見たら、事業者に対して健康情報の提供ではないと感じているかもしれないようなシチュエーションは、たくさんあるわけです。でも、事業者から見れば、それは収集に当たって、記録として保管されていくということが生じるわけです。その辺をある程度はっきりしておかないと、個別に決められた情報が収集されて、どう管理されるかということ以外にも情報が発生してくることについて、留意する必要があるかなと思っています。
  そういう意味では、「雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について」の中で、第1番目に産業医、保健師、衛生管理者その他の労働者の健康管理に関する業務に従事する者が労働者の健康管理等を通じて得た情報という書き方をしておりますので、このような今まで法律上の枠に入らないような情報についても、どう取り扱うかということを議論したほうが現実的ではないかと感じるのが1点目です。
  2点目は、先ほどの増田委員のお話がありましたが、余り細かくではなくて原則を示した上で、それをどう活用することが適切なのかという例を出すことと、ここで何か手引や事例集を作った場合に、あくまでも事例であって、これがゴールドスタンダードではないという立ち位置を取らないと、これに縛られてしまう可能性があるということ。併せて、このような事例集を作るときに逆に重要なことは、こういう取扱いの事業場内での取扱いは望ましくないのであれば、そのことをはっきりと記載しないと、事業所ごとに定めていくことは、もしかしたら望ましくない取扱いを事業所で定める可能性があるということなので、そこもある程度はっきりとしたほうがいいのではないかと思っております。
○若月委員 私の場合、労働者の立場ということになりますが、今、増田委員や土肥委員がおっしゃられたように、原則について議論を深めていただいた上で、1の(3)に「異なる取扱い」といった表現も気になりますが、他の議論を深めていくべきと思います。
○岡村委員 事業の規模等々で、個人情報について異なった取扱いをすべきではないというのは、増田委員がおっしゃること、そのまま当てはまると思います。ただ、安全管理措置の部分だけは、個人情報保護委員会自体が、中小規模事業者の例外的措置を別途ガイドラインに規定しているような状態になっています。その理由ですが、中小規模事業者への負担がどうのこうのということをおっしゃるような嫌いもありますが、私はむしろいわゆる内部統制という観点から見ると、大企業の場合には、各支店、支社がたくさんある場合にはどうしても目が行き届かないところがありますが、それに対して中小規模事業者の場合には、直接目を行き届かせたほうが安全管理が図りやすいというような、もともと構造的な特色がありますので、おっしゃるとおり原則は同じ扱いにして、ある程度異なるものは若干、例外は認めていくような方向にしないといけないということがあるのと、先ほど正に三柴委員がおっしゃったように、新たな時代に即した形でやっていかないと、結局作っても利活用されないような内容のものになっては困りますので、そこは今の時代に即して、どう良い結果を得ていくかということを、我々は常に念頭に置いて議論しなければならないのではないかと思っております。以上です。
○西野委員 西野です。企業規模にこだわらずといいますか、差別なく健康情報の扱いについて大切にされるべきであるということになりましょうけれども、小規模な事業所の場合ですと、結局は50人未満でしたら産業保健職はなくて、社長とか総務担当者が取り扱うことになりましょうから、当然に手引とか事例集とかQ&Aなどというのは最小限で、これだけはということを非常に分かりやすい形でまとめていただいて、地域産業保健センター等で積極的に周知されるということがあれば、戸惑っている事業主の健康情報の管理対策には非常に役に立つのではなかろうかと思いました。
  4ページの(4)、(5)に該当する部分になろうかと思いますが、個人情報保護法のガイドラインなどを見ていますと、開示の問題があると思うのですが、例えば労働者本人が自分の情報について開示請求を行うと。あるいは、元労働者であった方とか、場合によっては特殊健康診断の結果などでしたら、遺族などということがあろうかと思います。開示のルール付けなどというのも非常に大切ですし、現実の問題としては、健康情報の管理をするときに、事業者が最低限理解しておかなければならないことの1つであろうかと思いますので、3の(5)の辺りでは、その辺りも加えていただいたらと思います。以上です。
○三柴委員 度々になって恐縮です。先ほど申し上げた交通整理という趣旨に近いと思いますが、要するに、まずルールの取扱いに当たっての原則を議論して、細部についてはその後にという御意見には、私も賛成いたします。そしてその観点では、既に骨子案の2に、原則について、かなりまとめていただいています。その中でも(2)、(3)、(4)と、戻って(1)、この辺りが核になるのかなと思います。つまり、健康情報の取扱いについては、従前のガイドライン等でも、まず、本人同意を得て取り扱ってください。2つ目が、情報を産業保健スタッフ等に集中させてください。産業保健スタッフが無理であれば、代替する者に集中させてください。3つ目が、それ以外の者には、情報を加工して提供してください。4つ目は、取扱いのルールを衛生委員会等で話し合ってくださいと。この4つを衛生管理上の情報取扱いの原則としてきた。それを明確にしていただいている。
   他方、不利益取り扱いに関する(1)の記載は、結局、安心が健康情報の取扱いの前提になるから、安心作り、労働者がちゃんと安心できるようにするための担保を書いていただいているということで、全体に、取り扱いの原則はとても明快に示されていると思うのですが、あえて1つだけ加えるとすると、要は保護の必要性も取扱いの必要性も高いというところに健康情報の取扱いの難しさがあるとすると、その隘路に落ち込んでしまうと、前に進まなくなるわけです。だから、そこを突破するためには、やはり信頼関係を作らなければいけない。個別同意を取れるようにしなければいけないのですが、過剰に秘密主義で、事業者を困らせてしまう例がある。であれば、事業者が十分な安全配慮の措置、安全管理の措置、そして情報の安全管理の措置、こういうものを講じた場合には、これは信頼されて当然の事業者なのだと解釈して、擬制といいますが、そういう事業者には、より多くの取扱いを許す、認めるという方向性があり得るのかなと思っています。以上です。
○山口座長 ほかにはいかがでしょうか。大体出尽くしましたか。かなり広範囲にわたって御意見を頂きましたが、原則をきちっと定めて、細部にという趣旨なので、産業保健スタッフに固定してということがあって、産業医の権限とか義務が少し強化されるということもあって、方向性としては私もそういう方向性で進んでいくのかなという気持ちがある一方で、先ほどから出ている、規模感によって違いますよね。産業保健スタッフの位置付けが、50人未満と、非常勤・嘱託の産業医がいるような職場と、さらに常勤というか専属の産業医がいるような。それに付随して、それ以外の職種の産業保健スタッフの充実度も全然違うと思うのです。
  その中で、規模にかかわらず適用できるような原則が必要だろうという御意見もあったのですが、いつも最後にはそこが結構、肝になることが多いと思うのですが、その辺について何か御意見はありますか。
  他方で、その昔、健康診断が血圧と身長、体重とみたいなことで、非常に限られた情報であったときは、皆さん、そんなに意識しなかったと思うのですが、健康診断の情報も随分充実してきて、事業者に実施責任があって、それに基づいていろいろな安全配慮義務を履行すべしということになっていますが、そもそもそこのところで土肥先生のお話にもあったように、少しアレンジが必要な部分があるのではないかということが、多分たくさんの皆さんの感じていることで、健康診断の情報に限らず、疾病管理ですよね。どんな病気に掛かっているかみたいなことについて事業者が把握して、それを医学的に適切に解釈をして、何らかの安全配慮義務の履行に結び付けると、事業者が全てそれを一括してやっていくというのは、余り現実的ではないということです。
  そういう意味で、産業保健スタッフの位置付けを、健康情報の取扱いについて、より明確にしていく必要があるのではないかと思っております。その辺について、もしも御意見がありましたらお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。その辺については、皆さん賛成ということでよろしいでしょうか。小規模の場合にそれがどうなるかということなのですが、三柴先生、何か御意見がありますか。
○三柴委員 余り発言が重なってもよくないかなとは思うのですが、端的に申し上げます。小規模事業であれば、自前の人員でやれることをやるというのが基本になると思うのです。ですから、その組織の中で、その役割を果たせる人に一定の規制を掛けながら、また能力の涵養を図りながらやっていただくことを基本としつつ、機が熟せば、取扱いの状況について、例えば産保センターの方々にチェックをしていただくとか、今は、人員的に難しいとは思いますが、何か第三者の監視が効くような形もあり得るかなとは思います。
○松本委員 現在、私も産保センターの地域窓口代表もやっていますが、地域産保で小規模事業場のそういうところまで担当するというのは、人員的にはちょっと難しいかなと。大事な点だとは思いますが、現実はちょっと難しいかなという気がします。
○山口座長 栗原委員、事業場外の労働衛生機関の立場で考えると、その辺はいかがでしょうか。
○栗原委員 栗原でございます。私たち、特に全衛連関係の健康管理機関となりますと、はっきり申し上げて、中小企業というよりも、集団健診の場合、特に大企業がどうしても中心になってしまいます。ですから、基本的には、前にもちょっとお話しましたように、健康診断というのは、今、我々が一番困っているのは、一発勝負で健診をやらなくてはいけないということ。ですから、産業医の先生方がやっていらっしゃるように、継続して管理するというのは、なかなか難しいというのがあります。隣にも保健師さんたちがお出でになりますが、健診から上がってきたデータを保健師さんたちに引き継いでという形、あるいは産業医の先生方に引き継いでという形ではやってはいるわけですが、そこがうまくできるかどうかということが非常にあります。
  健診機関の所も、はっきり言って規模によって千差万別ありまして、きちっとしたデータが出せる所と、必ずしもそうでない所があって、これは私たち全衛連としての非常に大きな課題になっており、可能な限りきちっとしたデータを出すことが、今、我々として一生懸命やっているところで、精度管理についてやっています。そのためには、この間もお話しましたように、一連の流れがきちっと把握できるような形でないと、先ほど申しましたように、このときだけ頼むと言われたやり方というのは、非常に偏った形でしかデータが出せないということが今後、課題だと思っております。
○山口座長 例えば病気を持ちながらお仕事をしていらっしゃる方が、健康診断を受けて、そういう治療中の病気の情報等々についても、把握がなされるわけですね。今の栗原委員のお話だと、その後ですよね。例えば治療が必要と分かっても、その後どうなってしまうのか分からない。精密検査を含めて、そういうことが往々にしてあると。
○栗原委員 おっしゃるとおりで、健診をやりまして、去年、要精検で指摘して、特に死の四重奏ということで、高血圧、高脂血症の方、糖尿の方などについては、厚生労働省のほうで補助を出して、精検を受けるようにという形でしているにもかかわらず、結果的にはそのまま何もしないで、次の年に受けに来る。この人は去年の健診のデータは結局、何にも生かされていなかったということになり、我々としてはこれは非常に問題だと思っています。
  ところが、先ほど申しましたように、我々としては健診の結果として、事業者にデータとしてはお預けするわけです。その辺のところのフォローがなかなかできていない。自分が所属している神奈川県予防医学協会では、企業と定期的に健康管理をする協議会を設けて、健診が終わった後、そういったデータがこういう形で出ましたということを、企業と意見交換する場を設けてやっている場所もあります。そういった所でのデータ交流は今後やはり必要になってくるかと思いますが、その辺は手間隙がかかるものですから、なかなか全てにはできていないです。でも、そういうのが必要だと思っております。以上です。
○山口座長 あと1時間です。
○西野委員 先ほど、地域産業保健センターの話がありましたので少し思うのですけれど、地域産業保健センターが出来て間もない頃でしたか、割と目新しかった頃、地域産保のコーディネーターが非常に熱心に活動されている地域センターと何箇所かお付き合いさせていただいたことがありました。その頃は、小規模の事業所に出歩いて、そこで社長の相談に応じるということで、かなり成果を挙げておられたということがありました。
  今は、現実的になかなかそうなっていないということがあると思います。この健康情報の取扱いのマニュアルは1つのツールということで、コーディネーターの方々のそれなりの活動の意欲が湧くようなものとして位置付ければ、意外に何か形のあるものが出てこないかということを思ったりもします。以上です。
○山口座長 ほかに何かございますか。
○松本委員 地域産保の話も出ましたので、確かに、今でもコーディネーターの方で非常に優秀な方や熱心な方は、実際にそういうことをしておられます。ただ、ほとんどの地域産保は県内に数箇所から、せいぜい10か所程度までで、そこのコーディネーターは非常勤で1か所に大体1名が普通ですので、事業場を訪問していろいろなお手伝いをすることはできますが、今、問題になっているような情報の取扱いまで踏み込んでとなると、時間や人員的になかなか難しいところがあります。それから、地域窓口でも、ほとんどは非常勤や兼任の職員でやっておられますので、そういう意味でどこまでできるのかとなると難しい状況です。非常に良い事例等、効率的な事例を示していただければ何かの役には立つかと思います。
○山口座長 ほかにはいかがですか。
○増田委員 健康管理の在り方のようなお話が少し出てきて、それはそれで重要な議論だと思いますが、あくまでも、この検討会では健康情報の取扱いに関する内容なので、そちらの議論をもう少し詰めていただいたほうがいいかと思いました。
  あと、せっかく、ここに骨子案があるので、その中身について意見や質問をさせていただいてもよろしいでしょうか。たくさんあるのですが、先ほど三柴委員から2の(1)~(4)が重要だということがありましたので、まず、そちらについてです。(1)の3行目の辺りから、不合理な不利益取扱いを受ける不安がないようにするために、これこれのルールを定めるとなっています。これは、不安がなければそれでOKなのでしょうか。そもそも、目指すべきなのは不合理な不利益取扱いをなくすためであって、不安がないようにするためにのレベルでいいのかどうかというところが気になったのですが、そこは事務局でしょうか、お伺いさせていただければと思います。
○神ノ田労働衛生課長 委員の趣旨は、不合理な不利益取扱いを受けるという不安ということではなくて、不合理な不利益取扱いはあってはいけないから、この「不安」というところは除いたほうがいいのではないかという御指摘でよろしいでしょうか。
○増田委員 端的にはそうです。不安がないようにすると書かれたのは何か理由があるのでしょうか。。
○神ノ田労働衛生課長 これは、建議の表現をそのまま引いておりますが、本検討会での御議論の結果、そこが変わることはあり得るかと思います。
○増田委員 分かりました。不安がないようにするということでいいというように読んでしまいましたので確認しました。座長、あと何点かあるのですがよろしいでしょうか。
○山口座長 どうぞ。
○増田委員 2ページの(2)で、ルールに定める事項には目的と範囲と権限と同意等があるとあります。これは、そもそも労働安全衛生法や個人情報保護法で、ある程度枠が固まっているものだと思います。これは、例えば、それぞれの事業場における健康情報の取扱いの目的、範囲の明確化、権限の明確化、あとは本人同意の取得の要領をイメージするということになるのではないかと思うのですがいかがでしょうか。
○神ノ田労働衛生課長 そのようなことでよろしいかと思います。
○増田委員 あと、もう1点、(3)の「体制等の状況に応じて」と、これは事業場規模等のことだと思うのですが、下に例示として、産業医等の産業保健部署の医療職だけが扱うようにするということが書かれています。この例示はかなり望ましい内容が書かれていて、例示としてはレベルが高すぎます。3ページの3の(3)の下から2行目の所をよく読むと、「小規模事業場においては上記2に掲げるような措置を講じる」と、つまり、最低限の内容という位置付けのはずなのに、一番ハイレベルな例示がなされています。ここは、一番望ましい状態の例示ではなくて、補足的にこのくらいの内容でいいという例示をしたほうが、後ろの「小規模事業場においては」の所とつながると思うのです。
  もう一度繰り返すと、2の(1)~(4)に書かれているのは、最低限の内容のはずなのですが、ここに最上級の内容が例示として書かれているので厳しいのではないかという指摘です。
○神ノ田労働衛生課長 ここでは例えばということで例示でお示ししておりますが、理想型をお示ししてしまったということかと思います。整理の仕方として、御指摘を踏まえて、具体的なものについては3以降で整理させていただければと思っております。
○増田委員 ありがとうございました。
○山口座長 増田委員、よろしいでしょうか。
○増田委員 はい。
○山口座長 ほかに何かございますか。
○三柴委員 今の増田委員の御意見に私も賛成です。その上で、先ほど出た中小零細事業ではどうすべきかについて改めて申し上げたいと思います。中小零細事業者がきちんと守ってくれそうな考え方というと、私なりに調べている限りでは、利益につながる、分かりやすい、今、悩んでいる課題に即応できる、罰則がかかる、などになるようです。その観点では、やはり、骨子になる原理・原則、これだけは守ってくださいという部分を明確化し、なおかつ、事業場なり労使関係の特質に応じてある程度アレンジできるようにするということだと思います。その意味でも、先ほど申し上げた通り、2の(2)~(4)が大切だと思います。
  それから、先ほど、増田委員から、健康管理の問題と健康情報の取扱いの問題は分けて考えたほうがという趣旨の御発言がありましたが、ここには異論があります。むしろ、中小ほど健康管理をしっかりすることで、健康情報の取扱いがスムーズにいくようにする方向性のほうが現実的でもあるし望ましいのではないか。繰り返しになりますが、安全衛生政策において健康情報の取扱いを論じる場合、1の趣旨・総論の最初に書いてあるように、「健康確保措置を十全に行えるようする」ことが大目的になるので、その中身まで詳細に論じるかはともかくとして、方向性としてそちらに収れんするような議論が望ましいように思います。
○山口座長 多分、増田委員がおっしゃりたかったことは、余り外れていないと思います。私も同じ意見で、中小規模の事業場に焦点が当たりましたが、やはり、健康診断は義務としてやって、その最大の目的は就業上の適切な措置をする。例えば定期健康診断があるわけですが、目的とその間が健康情報としてどのようにつながるのかというふうに考えると、ただ健康情報が適切に使用されるだけではなくて、目的に合った使用のされ方を目指さないと、やっても意味がなく、年に1回やってどんどん過ぎ去っていくというイメージになってしまうのではないかと思ったので、健康情報の適切な管理と活用ということを両面から見ていったほうがいいのかと思いました。
  今、半分時間が過ぎて、あと45分になりました。そろそろ、骨子案の中身をもっと議論したほうがいいという御意見を頂きましたので、特に論点として、具体的に我々がこの委員会で検討したほうがよさそうなことが、4ページの3の(4)にどのようにやったらいいのかということで論点案として出されています。後半はここに絞って議論を深めていくと、今まで頂いた御意見がもう少し具体的に見えるようになるかと思いますので、後半はここを議論していただけたらと思います。
  まず、「一般定期健康診断等の結果」というところから始まっていますので、今、私も少し定期健康診断のことを申し上げましたが、誰がどの程度把握し、誰が収集・保管・使用すべきかという論点について、事業場の規模等も考えながら御意見を頂けたらと思います。いかがでしょうか。大規模の場合は土肥委員が前に出してくださったような、それでなくてはいけないということではないと思うのですが、やはり、産業医、あるいは産業保健機能を十分にいかした形で活用していくのがいいのかなというイメージを持っていますが、いかがでしょうか。
○土肥委員 私の意見としては、大規模事業場でなくても産業保健職が常態として機能している、常勤でいるかどうかではなくて、やはり、常態として機能しているのであれば、基本はそこに健康情報が集約され保持されていくということが望ましい形であると考えます。
  なので、常勤かどうかではなくて、やはり、そういう形で専任されてきちんと機能しているという前提に立っておけば、逆に、きちんと守られるということが起こるのではないかと。この際に1つ隘路になるところは、衛生管理者をどこまで位置付けるのかは微妙な場合があるかと思います。その理由は、申し訳ないのですが、名前だけの衛生管理者となっていて、実態的に衛生管理者として機能していない場合です。つまり、その事業場において、産業保健職としての役割を担えていない場合、この辺りをどのようにするのかということが、隘路になる可能性を持っていると考えます。
○山口座長 最後の衛生管理者のところは、十分な能力をお持ちであっても、例えば、人事労務系のラインの一員であったりみたいなこともあり得るので、そういう場合に、別な意味で少し問題かということはあります。
 定期健康診断について、何か御意見ございますか。
○土肥委員 定期健康診断という意味では、もう一点、機微な情報が先ほどの議論の中でも存在しております。既往歴という言葉が現病歴も含むという理解をしているわけですが、ここの問診内容は非常に機微になるわけです。したがって、ここで言われている一般的健康診断等の結果を一括して誰がというように、医療専門職、産業保健専門職が収集、管理して目的に応じて使うというのであればそれでよろしいかと思いますが、それ以外の者が使うという前提に立たざるを得ないような状況にある事業所においては、その部分をどのように、逆に言うと、労働者にとって不安のないような使い方、若しくは、利用の仕方になるのかということを検討しておかないと、ここが最も不安の種になる可能性を持っていると思いますので、一般定期健康診断の情報が全て一括でいいのかというと少し違うのではないかと考えます。
○山口座長 ほかに何かございますか。よろしいでしょうか。
  後で戻ることも可能ということで、次は「特殊健康診断の結果(二次健康診断の結果を含む)」ということになっております。論点案としては、職業性疾病の予防のための項目に限定されることから、事業主や人事労務管理部門の担当者等も含めて把握すべきか(法定保存期間:5~40年保存)と書かれております。ここについては、いかがでしょうか。
  これも、産業医、産業保健スタッフが何らかの形で、特殊健診の立て付けもそのようになっており、実施した所の医師の意見、さらに、その事業場の担当する医師の意見が付記される。二次健診の要否も含めて判定されるということを考えると、生データそのものを事業主や人事労務担当の方がそれを把握してというよりも、むしろ、産業医や医師、そういう方の意見が適切に事業主や人事労務管理担当に伝わればいいような気もしていますが、その辺りはいかがでしょうか。
○西野委員 それに関連して、私がもう一つよく分かっていないかもしれないのですが、例えば特殊健康診断で30年、40年の保存義務がある石綿や特化則関係では、作業の記録や環境測定記録という情報もあります。それは、実際、どこが管理するのかということがあります。それは、健康診断の結果とセットで管理することになると思うのですが、その辺りはいかがなのでしょうか。
○山口座長 事務局、いかがでしょうか。用紙の中では一体になって書かれていますが、多分、業務的な管理は会社が、産業保健スタッフではない所が、多分、やっているケースが多いのではないかと思っています。
○栗原委員 私たち健康管理機関の中では作業環境測定を同時にやっている機関があり、私の所もそうです。実際、今、企業によっては分かれている所もありますが、おおむね健康管理をやっている所でそのまま委託している場合があります。特に、御案内のように作業環境測定は労働安全衛生法第65条に書かれており、健康診断よりも1条前に条項文としてあります。
  ですから、我々としても、これは非常に重要な項目であろうと。特に、労働衛生管理においては、作業環境の問題は非常に重要だということを認識して我々も動いております。企業においては、大体、今、私たち神奈川県予防医学協会が担当している所は同一の所でやっている場合もあり、そうでない所もあるので、ですから、これは企業によってまちまちな状況です。
○山口座長 人事労務ではない所ですよね、環境安全担当みたいな所が所管している企業や事業所もあるということですね。
○栗原委員 はい。
○増田委員 特殊健康診断に関しては、まず、受診した労働者個人への結果返却が義務付けられたのが、結構、最近だったと思います。それから、じん肺健診に関しては、じん肺法という別の法律で規定されていますので、そもそも産業医はタッチしないという立て付けになっています。産業保健スタッフを通してうんぬんということを言い出すと、過去のことが全部、矛盾ですし、そもそも適切な就業措置につながらなくなるはずです。
 実態としては、事業主や、ここに書かれている人事労務管理部門の担当者等が把握するという運用がなされてきたところだと思います。それを、今、無理矢理変えるのも現実的ではないのではないかと思います。以上です。
○土肥委員 じん肺法等に絡むのはおっしゃるとおりかと思うのですが、安衛法に位置付けられている特殊健康診断については、もともとの趣旨が有害環境における生体影響を調べるということを趣旨に作られている項目だと理解しております。
  実際、そこにおいては、有害環境に伴って発生した健康影響としての特殊健康診断の結果なのか、一般的な日常生活習慣に基づいて発生した特殊健康診断の結果であるのか等については、やはり、きちんと判断した上で、その解釈を事業者に伝えるということが適切だと考えますので、ここにおいても、やはり、別途、法律で規定されているものは除いたとしても、医療保健専門職が収集した上で適切に活用していくというスタンスは同じではないかと理解しております。
  それと、先ほどの作業環境測定の結果については、職場のプライバシーは持っているとしても、基本的にいわゆる個人情報には紐付かない情報ではないかと考えますので、作業環境測定の結果については、ここでは余り議論の対象にならないのかと思います。逆に、議論の対象になるものは、その方の有害業務の作業歴は個人情報であり、健康情報でもあり、労務管理情報なので、ここの取扱いについては、事業者によって取扱いの仕方が幾通りか存在するという前提で書いていけば、それでいいのではないかと考えております。
○山口座長 では、どんどん論点を少し出していくということで、次に進んで、「健康診断等の未受診の情報」、論点案は、受診等勧奨のために必要な人全員が把握してよいかと書いてあります。これについてはいかがでしょうか。特にございませんか。これは、何となく産業保健スタッフに限る必要もないような気がいたしますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
  では、次は、「ストレスチェックの結果」、論点案は実施者等に限って取得できることとするなど、従前と同様の整理でよいか。法定保存期間は、取得した場合5年保存となっております。ストレスチェックについて、健康情報の観点から現行の制度を変えたほうがいいという御意見がありましたら、お出しいただけたらと思います。特にございませんか。
○土肥委員 私としては、実施者に限らず、ストレスチェックの個人情報の扱いが余りにも厳密であるために、逆に私は十分、産業医等、産業医療保健職が活用できる状況になっていない場合もあり得るかと思いますので、定期健康診断と同じように扱える可能性を、例えば、非常にきちんとした個人情報保護の規定が定められている場合において、当然、そこには不利益を被らないということが前提に作られているわけですから、そうであれば、今のような取扱いの厳密さが、多少、緩くとは言いませんが、大きく解釈して、産業医や産業保健スタッフが使えるような仕組みがあってもいいのではないかと思います。実際、それを強く望むという意味ですが、そういう考え方もあるのではないかと考えます。
○山口座長 例えば長時間労働の医師の面談等の場合には、当然ながらその方の健康情報も十分参照し、それを配慮しながらいろいろなことを決めていると思うのですが、ストレスチェックの場合は余りにも制度が違っているために、そのようなつながりを持ってストレスチェックのデータを活用するのが、なかなか難しいのかなと。例えば健康診断や疾病管理で見つかってくるような情報と、ストレスチェックの情報を結びつけて、医療のいろいろな対策をとるみたいなことが、今の制度的にはちょっと難しいのかなみたいに、それは、やってはいけないという整理でいいのですかね。
 健康診断のデータとストレスチェックのデータをパッと結びつけて、こんな人はストレスが高いなといった見方をするみたいなことは、今の制度的には望ましくないという整理でよろしいのですかね。
○神ノ田労働衛生課長 実施者レベルであれば、突合しながらということはあり得るという。事業者に行くということになると、申出をしたということの事実は行くようにはなりますが、中身までは行かないという整理です。
○山口座長 ありがとうございます。
○三柴委員 ストレスチェックの結果については、行政が公表した文書の中でも、実施者が、この人は放っておいたらまずいのではないかと思った人について、注意喚起を事業者に促すのは構わないと述べた経緯があるので、今の文案ではやや消極的な表現になっていますが、注意喚起等の加工情報であれば、一定のリスクが窺われる前提では、実施者や実施事務従事者でなくても扱える旨を明記してもいいかもしれない。
  それから、ちょっと遡るのですが、未受診情報については、私も先ほど決議された通りの立場です。他方、特殊健診の結果については、土肥先生が言われたところと私も同意見で、基本的には作業環境整備への活用を目的に行われる健診なので、なるべく広範囲に共有されることが望ましい。ただ、その共有の形態について、ある程度アレンジしていくことが望ましいのだろうと。従前のガイドラインも、そのような書き方をしていたと思うので。
  一般健診については、要は作業関連疾患の増悪防止等々が主な趣旨ですが、これまでその結果情報を把握できる事業者について、定義がはっきりしていなかったのです。そこで、ストレスチェック制度を練っているときに、改めて考えようという動きがあったのですが、過去の通達では、事業者というのは事業利益の帰属主体であると。法人そのものを含め、会社が儲かったら、一緒に儲かる人という、そういう理解できたのですが、基本的に組織の経営者と産業保健スタッフを基本として、それ以外の人については事業場自治でルール化をして、必要な人に必要な形態でということを、過去のガイドライン等も言ってきたし、その方針を変えなくてもいいのかなと思っています。
○山口座長 一般定期健康診断の項目を議論したときのことを、今ちょっと思い出したのですが、特殊健康診断というのは、本当に限定された有害業務、有害物質などに限られていて、健康診断の全てではないと思うのですが、例えば自他覚症状みたいなところでは、特殊健康診断も実は自他覚症状で構成されている場合が多くて、特殊健康診断としてきちんと規定されていないような、いろいろな作業関連の業務については、定期健康診断がそれをカバーするみたいな議論がありましたよね。
  ですから、そういうことも定期健康診断の中で少し考えておいたほうがいいということと、そうしますと、先ほど土肥先生からの既往歴、現病歴を含めて、病気や服薬など、そういう情報と、検査結果みたいな情報と、今申し上げた自他覚症状的な情報と、ちょっとレベル感が違うかなみたいなこともあって、その辺を少し項目群に分けてものを考えたほうがいいような気がします。
○三柴委員 1点だけ追加させていただきます。今、安衛法の104条が、情報の機密性をかなり守っていて、例えば刑法の134条などにある、正当な事由があれば情報を漏らすことがあっても構わないという例外を定めていないのです。正当な事由による漏えいを認めず、例外抜きに守秘しなさいという書き方になっている。これをそのままにしていいかということは再検討しても良いと思っています。
○山口座長 ありがとうございました。では、時間もありますので、最後までとりあえず行くことにしまして、次は「健康診断後の措置等に係る医師の意見」、論点案は、誰がどの程度把握し、誰が収集・保管・使用すべきかと書かれています。これについては、いかがでしょうか。この「医師の意見」というのは、事業場内の産業医が事業者に対して出す意見というのもありますし、両立支援等々のことも想定しますと、事業場の外のドクターの意見というのもあるかもしれないと思いますが、いかがでしょうか。
 これは産業医が、事業者あるいは事業所に対して出した意見もあり、事業者に必要な事項を伝えるという意味では、もちろん事業者がそれを把握しなくてはいけないということだと思いますが、その範囲を少し考えなくてはいけないということかと思います。
○栗原委員 字面だけ追っていると、健康診断の措置等に係る医師の意見とその下の再検査・精密検査の結果をどのように把握すべきかということの区別がよくわからない。上の場合は、例えば精密検査になった人、要治療になった人に対して、指導を行うための情報ということではないのですか。今、字面を追っていると、よく分からないのですが。
○山口座長 いろいろな場面が想定されると思います。医師というのは、どこのどういう立場の医師かによって、これは全部変わるかなと思いますので、それは分けて考えたほうがいいかなと。産業医なのか、今おっしゃったように、外の医師からの意見なのかという、幾つかパターンを分けて考えたほうがいいかなと思います。これについて何か御意見はありますか。
○増田委員 ここについては、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」に載っている、通常勤務か就業制限、要休業の所の内容を言っているのですよね。であれば、もう答は明確で、健康診断の結果を見て意見をする医師が、事業者に対してというので、余り場合分けの必要性なども考えなくていいのではないかと思います。
○岡村委員 むしろ小さな所の場合は、例えば弁護士会などであれば弁護士会で健診しますし、それからいわゆる人間ドックへやって、その結果を返してもらうというスタイルでやっている所もありますが、結局のところ、再検査や精密検査を要求されて、ドクターに相談しても、それは再検査・精密検査の結果待ちだよねという話になって、その結果に応じてどうするのかという話になっていくパターンというのは、少なくとも小さな所にははるかに多いと思います。
  とすると、どちらかというと先ほどの話ではないですが、順番的には、健診で引っ掛かってしまいました、再検査・精密検査をすすめられました、それを受けて、その結果で手術したほうがいいということになってしまいましたので、休ませてもらいますとか、あるいは今の職場よりももう少し軽い所へ配置転換をお願いしますとか、そういう形になるほうが、少なくとも小さい所のほうは現実的だと思うのですけれどね。
○椎葉委員 厚労省側に質問させていただきたいのですが、各労基署が全国の会社に入って、定期健康診断も含めて、安全衛生に関してもお聞きになりますが、企業規模に拘わらず、会社側で対応の窓口になるのは、大抵は人事労務担当者です。医療職がいない会社はもちろんのこと、いる会社でも医療職が最初から対応することはないと思います。その際、健康診断の生データと、産業医の意見とをそろえて、何人分提示してください等の要請があります。その現状と今ここで検討していることに関し、温度差があるように思います。健康診断の生データを、医療職でない人事労務担当者が扱うことが望ましくないとなった場合は、労基署の対応も相応に変えるということも視野に入れていらっしゃるのでしょうか。どうも昨今の監督署の入り方と、この検討会での議論が私の頭の中ではどうもつながらなくて、どのように考えているのか、伺えたらなと思っています。
○富賀見室長補佐 多分、先生がおっしゃった現場の監督署の対応というのは、1つは、私どもも先ほど来、健康診断のやりっ放しみたいなものがないように、事業場に立ち入ったら、健康診断結果の個人票の医師の意見欄に、ちゃんと医師のコメントがなされているか、その後、事後措置はどういったことを講じたかというところを、事業場に立ち入った場合は、監督官が確認するというところまで突っ込んで指導させている状況もありますので、指導方針としたらそういうことです。一般的に、監督署が立ち入ったらそれに応対するのが、事業者と人事労務部門が、なかなか産業保健スタッフが対応してくるということよりも、まずは人事労務部門のほうで対応されますので、現状の指導の場面では、そういった方から出してもらって確認するということでやっているのが事実です。
  今後、事業者がそういった情報まで全て持たないべきかとか、持つべきかとか、産業保健スタッフが日頃そういったところを管理するかどうかという、ここで議論している内容とは、今おっしゃるとおり、現状、監督署の現場指導の場面とは違うなと思われた部分もあるかもしれません。ですが、そういった部分を、この指針でどのように整理した後、現場でどのように対応させるかという指導の手法については、またちょっと別問題で、私たちが考えなければならないところかなと思います。なので、そこの部分をまずは気にされずに議論いただいて、結果、指導に行ったときに、そういう情報を出してもらう窓口、対応するときの窓口は、やはり事業者とかそういった対応をされた方がなっていただくのかもしれませんけれど、実際に立ち入って、わざわざ産業保健スタッフさんを呼んでもらって、そこで管理してということにならないのかもしれませんが、そこはまた指導の手法のところの整理で考えさせてもらいますので、この場はまず情報を事業所内で誰が取り扱って管理すべきかというところで、純粋に御議論いただければと考えています。
○山口座長 多分、この検討の結果に合わせて、監督官の査察、臨検の仕方も改善されていくという、そういうことでよろしいのですよね。
 では、次は「健康診断後の再検査・精密検査の結果」、誰がどのように把握すべきかとありますが、これも産業医を中心とした産業保健スタッフがきちんとしている所は、そこがきちんと把握する。それから、栗原委員から再三にわたり御意見を頂戴していますが、縦にきちんとつながって、健康管理がきちんとできるということについて、健康情報の管理が適切になされるようにということを、是非ここに盛り込んでいけたらと考えます。これについて、ほかにありますか。よろしいでしょうか。
 そしたら、時間が意外になくなってきましたので、次の「法定外健診の結果や労働者が任意に提供する健康情報等(治療と仕事の両立支援のための主治医の診断書等を含む)」とあります。これも収集・保管・使用に当たっての必要な手続は何かという論点案がありますが、これについて何か御意見がありましたらお願いします。いかがでしょうか。
 ここも何か産業医を中心とした産業保健スタッフがきちんといる所では、やはり一義的にはそこが管理して、必要な意見等を事業者に対して出すと。中小規模の所で、こういうことをどのようにするかというのを、引き続き知恵を出していただくという、そういう整理かなと思いますけれど、いかがでしょうか。よろしいですか。
 最後は駆け足になってしまいましたが、「特定健診の健診項目の情報」。これは、特定健診の実施主体は保険者でありますが、労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の情報を提供するという形がとられているということですが、これについて何か御意見はありますか。よろしいですか。
○土肥委員 特定健診のデータにつきましては、法律上、保険者に渡すことが義務付けられているということですので、法律上、義務付けられていることは、逆に事業主が介在せずとも健診機関等が直接契約に基づいて出すということも可能ではないかなと思いますので、そういうやり方としての方法論はあるのかなと思います。
○山口座長 ほかにはいかがですか。
○三柴委員 私は、大まかには、人事労務管理担当者に情報を管理してもらうという方向性は、推進していいのではないかと思っています。というのは、先ほど富賀見補佐が奇しくも言われたように、要するに、何かあると、事業の経営者と一体の存在として人事労務管理担当者が出てくるという、要するに人事労務管理担当者が事業者の履行補助者や代行者の役を果たしているのではないかということが1つ。これは解釈論の問題ですが。それと、実態として、以前、厚労科研で社会調査をやったときに、人事労務担当者が、メンタルヘルス情報、それも生データまで取り扱うべきと考える回答者が非常に多かったのです。これが日本の特質なのだろうと。それを今後どうするかという議論は、もちろんあり得ると思うのですが、私は解釈論上も、それから日本の文化を考えても、そちらの方向で良いのではないかと思います。ただし、そういう権限を持つ部分には責任が課されるわけですから、その分だけきちんと健康管理の教育なり体制なりを求めていくということになるのだと思います。この考え方は、(4)に挙げられた論点の幾つかに関わるのですが、先ほどの椎葉委員からの事務局へのお尋ねにも関わるかなと思います。
○栗原委員 先ほど土肥先生のほうから、特定健診については保険者のほうにということですが、前回も協会けんぽさんが来られたときもお話したかと思うのですが、基本的には私たち労働安全衛生法でやられている限りのデータにつきましては、事業所のほうにお返ししていますから、事業所から保険者のほうにデータを送る。そこはどうしてもワンクッション置かざるを得ないということは、ちょっと御理解いただきたいと思います。
○山口座長 ほかにはいかがでしょうか。では、最後の項目で結構大きいのですが、「疾病管理のための情報」、事業者の安全配慮義務を履行するために、事業主や人事労務管理部門の担当者等も含めて把握すべきか、というように論点案として出ておりますが、この疾病管理について御意見がありましたらお願いします。
○増田委員 これについては、どういう経緯でここに上がってきたのか。昨年度の委託事業のときに記憶がないので、確認をさせてください。2つ上のポツの、法定外健診の結果や労働者が任意に提供する健康情報等との違いがちょっと見えないのと、それから具体的にどういったものを扱うかによって、事業主や人事労務管理部門の担当者が把握できるかどうかが変わってくるかと思いますので、ここはどういったものを想定していらっしゃるか確認させていただければと思います。
○神ノ田労働衛生課長 委員からの御指摘もあって、この「疾病管理のための情報」というのを設けたのですが、確かに重なる部分が多いかと思いますので、議論のしやすさとしてまとめたほうがよければ、まとめて御議論いただけたらと思います。
○山口座長 例えば血圧が高い高血圧の方が、適切に治療を受けて、ちゃんと健康を守る範囲の血圧をきちんと維持しているかどうかということ、あるいは、そうではなくて服薬中断、治療中断して180~200みたいな血圧のまま仕事を続けているかどうかみたいな、私が疾病管理という言葉でイメージしたのはそういうことなので、それはほかのこととまたちょっとニュアンスが違うのかなと思ったのですが、それは現場ではいかがですか。
○増田委員 私は通院の有無、通院の頻度、あるいは労働時間、睡眠時間、そういったものが該当してくると考えたのですが、ここは全然分からなかったので、具体的な中身によってまた違ってくるのかなと思いました。確認です。
○山口座長 通院も含みますよね。通院しているかどうか、ちゃんと服薬しているかどうかというのは、多分非常に機微な情報ですよね、恐らく事業所の中では。
○増田委員 一方で労働時間は、そこまで機微な情報として扱うのかどうか、これはまた意見が分かれるところだと思いますし、そこまで扱うものなのかどうかとかですね。
 ですから、この検討会の最初のほうで土肥委員がおっしゃった、ここにおさまらない情報というのは、入るのだったらそれでいいと思うのですが、あとは名称の問題になってくるのかなと思いました。
○山口座長 そうですね。もう少し具体的に何を表すかを、ちょっときれいにしていったほうがいいということもありますね。ほかにはいかがでしょうか。あと3分ぐらいになってしまいました。
○松本委員 先ほどの座長の御発言の確認です。ストレスチェックのところなのですが、ストレスチェックの面談で、一般健康診断の結果との結びつきについて、何かお話があったと思います。私が誤解していたら申し訳ないのですが、ここのストレスチェックは御存じのとおり、産業医だけではなくて、普通の医師でもできるので、そのときに一般定期健康診断の結果等は、そちらには提示してはいけないという、そういうことなのでしょうか。
 実際、面談しようとすると、やはり就業状態とかデータがないと、ストレスチェックの結果だけでは何も言えないことも多い。その辺を先ほど座長から厚生労働省に振られたのですが、お答えがはっきりなかったので、実際の面談に当たって、ほとんどは産業医がやっていると思いますが、そうではないケースも一応想定されているので、その辺はどうしたらいいのか。産業医であれば当然、定期健康診断の結果等は把握していると思いますが、その辺だけもう一度、はっきりさせていただきたいと思います。
○山口座長 いかがでしょうか。多分、今の松本委員のお話の中に答えが含まれていたような感じがします。制度設計上、産業医が望ましいというようにストレスチェックはなっていますから、産業医がやるとは決められていませんので、産業医の中にはストレスチェックはやりませんという産業医もおられることもあるので。
○神ノ田労働衛生課長 御指摘のとおり、全て産業医がやるということにはなっていないので、保健師さんなどがやることもありますし、そういった場合にどう取り扱うかということかと思いますが、一応、守秘義務が掛かっている中での情報のやり取りということで、例えば保健師さんが実施者になりますというときに。
○松本委員 面接指導は医師についてですが・・・・
○神ノ田労働衛生課長 実施者ではなくて、面接指導のほうですね。
○松本委員 はい。
○神ノ田労働衛生課長 面接指導は医師がやりますので、当然、守秘義務が掛かってきますから、御指摘のような健診情報なども併せて提供して、より効果の上がるような形で面接指導をしていただくということは可能だと思います。
○山口座長 それでは、時間がまいりましたので、本日の議論はこのくらいにします。事務局から今後の予定等についてお願いします。
○秋山室長補佐 本日は熱心な御議論をありがとうございました。本日頂いた御意見は事務局で整理をさせていただきまして、次回の議論につなげていきたいと思っています。次回の日程は5月21日(月)を予定しています。改めてこちらについても事務局より御連絡を差し上げたいと思います。また、本日の議事録については各委員の方々に御確認をいただいた上で、公開することとさせていただきますので、御承知おきをお願いします。
  それでは、本日の検討会はこれで閉会といたします。お時間を頂きまして、どうもありがとうございました。


(了)

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