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2020年11月27日 第3回雇用政策研究会(議事録)

職業安定局雇用政策課

○日時

令和2年11月27日(金) 1400 16:00

 

○場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館
厚生労働省 省議室(中央合同庁舎5号館9階)

○出席者

委員

樋口座長、阿部委員、神吉委員、神林委員、黒澤委員、黒田委員、玄田委員、清家委員、鶴委員、堀委員、宮本委員、山本委員

志村大臣官房審議官(職業安定担当)、達谷窟高齢・障害者雇用開発審議官、蒔苗職業安定局総務課長、宮原職業安定局雇用開発企画課長、石垣労働基準局総務課長、田中雇用環境・均等局総務課長、河野人材開発統括官参事官(人材開発総務担当)、高松政策統括官付政策統括室労働経済調査官、溝口職業安定局雇用政策課長、戸田職業安定局雇用政策課長補佐

○議題

 アフターコロナを見据えた雇用政策の方向性について(論点整理3)

○議事

  

○雇用政策課長補佐 それでは、定刻になりましたので始めさせていただきます。
 ただいまより令和2年度第3回「雇用政策研究会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、荒木委員、佐藤委員、大竹委員が御欠席となっております。
 また、清家委員は14時45分を目途に、宮本委員は15時10分を目途に、途中で御退出される予定となっております。
 それでは、早速ですが、議事に入らせていただきます。
 今後の議事進行につきましては、樋口座長にお願い申し上げます。
○樋口座長 それでは、始めたいと思います。
 本日ですが、まず、事務局から資料2及び資料3について説明をいただきまして、次に、人材開発統括官参事官室から資料4について、その後、首席職業指導官室から、資料5について説明をいただいて、その後、自由討議に入りたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、まず、資料2、3について説明をお願いします。
○雇用政策課長 雇用政策課長の溝口でございます。資料2を御覧いただければと思います。
 この資料は、冒頭、四角囲いの部分に記載しておりますけれども、第1回、第2回での委員の先生方の御議論について、新型コロナの影響により加速していることと、新型コロナの影響で新たに顕在化したことに分けて整理したものでございます。
 1ページ目の新型コロナの影響で加速していることにつきましては、コロナ禍でのテレワーク等のデジタル技術を活用した働き方の拡大を挙げておりますが、様々な気づきを得るきっかけとなって、中長期的にも促進・定着を図っていくことが必要との御意見がありました。
 その認識のもとで雇用管理の課題や経営層のイニシアティブの問題、労働者側での問題の御指摘がございました。
その下をいきますと、新型コロナは、社会を大きく変化させているわけでございますけれども、そういった社会の変化に個人や組織がどう対応していくのかが重要との御意見がございました。
 その下で、本日の資料にもございますけれども、対応力を高められるような環境整備が必要であるとの御指摘をいただいております。
 2枚目でございますけれども、新型コロナの影響で新たに顕在化したことということで、まず、足下の雇用・失業情勢の影響について、非正規雇用労働者や女性への影響、急激な休業の増加などの特徴を踏まえて対応を図っていくべきとの御意見がございました。
 さらに、感染状況との不確実性が高いので、柔軟な対応が必要との御意見ございました。その認識のもとで、特に課題として、レ点として3つ挙げてございます。
 その下にいきまして、デジタル化の動きでございますけれども、新型コロナを契機にさらに加速することが予測されることから、それに対応するための課題について、例えば、入社後の若手の人材育成の在り方ですとか、第二の就職氷河期世代を生まないための対応、職業経験が少ない労働者への対応などの御指摘がございました。
 また、デジタル化の影響は広範囲に及ぶため、オンライン化等での多様な方法で能力開発機会を提供する必要があるなどの御指摘がありましたので、併せて整理をしております。
 次ページでございますけれども、3ページ目、前回の議論の中では様々な格差が生じている、または、生じているのではないかとの懸念が指摘されております。正規、非正規、性別、事業規模などについて、原因を明らかにして必要な対応を図るなどの御指摘を整理しております。
 最後、その他のところですけれども、学生アルバイトの減少ですとか、賞与の動向、フリーランスについても議論がございましたので、その実態、併せて副業・兼業の状況、新卒採用動向など、今後注視が必要なものを整理しております。
○雇用政策課長補佐 続きまして、資料3について御説明いたします。雇用政策課課長補佐の戸田と申します。よろしくお願いいたします。
 資料をめくっていただいた2ページ目に目次がございますが、資料は6つのセクションに分かれております。
1ポツ目の「新型コロナウイルス感染症が雇用・失業情勢に及ぼしている影響の基本的な特徴の整理」につきましては、前回の御議論を踏まえ、事務局で追加をしており、赤字の部分となっておりますが、加筆・修正すべき点がございましたら、御指摘をいただければと存じます。
 2ポツ目につきましては、前回、企業規模の観点からの御議論がございましたので、企業規模等に着目した新規求人数・雇用者数の動向について、リーマン・ショック後の状況と比較しながら、データを整理しております。
 3ポツ目につきましては、外部労働市場におけるデジタル化への対応といった資料5での御議論にも関連し、足下の転職等の動向についてデータを整理しております。
 4ポツ目につきましては、11月17日に公表された「令和2年度大学等卒業予定者の就職内定状況」について、10月1日時点の状況を整理しております。
 5ポツ目では、民間企業の求人広告掲載件数についてデータを整理するとともに、6ポツ目ですが、テレワークと家庭内の夫婦間の役割等に関連する調査を御紹介させていただきます。
 以上のような資料が、全部で90ページございまして、分量が多いので、かなりの駆け足でポイントを絞った説明となりますが、御容赦いただければと存じます。
 早速ですがページを飛んでいただきまして、10ページから12ページですが、新規求人数の前年同月比を事業所規模別に寄与度分解したものについて、全数・常用等・パートタイムに分けて、データを整理しております。
 さらに、13ページから15ページでは、事業所規模を固定した上で、新規求人数の前年同月比を産業別に寄与度分解したものについて、同様に分けて、データを整理しております。
 17ページで、分析結果を小括しておりまして、1ポツ目ですが、新規求人数は、リーマン・ショック後と比較すると、新型コロナウイルス感染症禍では、相対的には、事業所規模「29人以下」の小規模事業所から提出された求人数の減少が顕著となっております。
2ポツ目ですが、事業所規模「99人以下」の事業所では、緊急事態宣言の発令された4月には、「卸売業,小売業」「サービス業」「宿泊業,飲食サービス業」などで新規求人数の減退が強く、また、足下でも同業種において、前年同月比のマイナス寄与が大きい状況が続いております。
 3ポツですが、事業所規模「100人以上」の事業所では、4月には「製造業」「医療,福祉」「運輸業,郵便業」などで新規求人数の減退が強く、また、足下では「製造業」「卸売業,小売業」「運輸業,郵便業」において、前年同月比へのマイナス寄与が大きい状況にあります。
 続きまして、18ページ以降では、雇用者数の前年同月比を企業規模別に寄与度分解しており、20ページでは、性別も考慮して寄与度分解しています。
 21ページと22ページでは、企業規模を固定した上で、雇用者数の前年同月比を産業別に寄与度分解しておりまして、21ページが企業規模100人未満の中小企業、22ページが企業規模1,000人以上の大企業となっております。
 また、23ページから26ページでは、産業を固定した上で、雇用者数の前年同月比を企業規模別に寄与度分解しております。
 27ページ目で分析結果を小括しておりまして、詳しめ記載が括弧内にございますが、ポイントといたしましては、1ポツ目ですが、雇用者数の前年同月比を企業規模別・性別に寄与度分解すると、リーマン・ショック後は、男性への影響が強かった一方で、「卸売業,小売業」「医療,福祉」「宿泊業,飲食サービス業」などを中心とし、大企業の女性の雇用には増加がみられました。
 他方、新型コロナウイルス感染症禍では、大企業の女性の雇用にも減少がみられる点が、リーマン・ショックとは異なるのではないかと考えられます。
 2ポツ目ですが、従業員規模100人未満の中小企業に着目し、雇用者数の前年同月比を産業別・性別に寄与度分解すると、リーマン・ショック後と新型コロナウイルス感染症禍において、影響を受けた業種に共通点もございますが、「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」に影響がみられる点が、リーマン・ショックとは異なるのではないかと考えられます。
 3ポツ目ですが、業種を固定し、雇用者数の前年同月比を企業規模別・性別に寄与度分解すると、業種による差異がみられるものの、一部の業種では、企業規模間による差が生じている可能性も示唆されるのではないかと考えております。
 続きまして、29ページですが、雇用失業率と欠員率との関係をみると、赤い線の左上に向かっている部分でございますが、2020年1月以降、需要不足失業率の上昇がみられ、6月以降には構造的・摩擦的失業率が上昇し、ミスマッチの緩やかな拡大がみられており、今後の動向に注視が必要であると認識しております。
 こうした認識の下で、30ページから37ページでは、労働力調査における転職者の動向について、性別・年齢別・雇用形態別・前職の離職理由別・離職期間別・産業間の動きに着目し、特徴を整理しております。
 飛んでいただきまして、39ページから57ページでは、ハローワーク・システムを活用し、令和2年1月以降に、「前職」と「ハローワークを通じて再就職した現職」の2つが把握可能なデータを整理し、令和2年1月から3月と4月から9月のそれぞれにおける「再就職者全体を分母にした構成比」を比較することで、その特徴を分析しています。
 なお、今回は、常用・パートタイム別と性別にも着目して整理をしております。
 58ページで、その分析結果を小括しておりまして、1ポツ目でございますが、足下では、転職者数の減少が続いており、前職の離職理由として「人員整理・勧奨退職」を挙げる転職者数は、2020年以降に増加幅が拡大し、また、「会社倒産・事業所閉鎖」を挙げる転職者数も、2020年第Ⅲ四半期においては、前年同月差がマイナスからプラスに転じており、引き続き注視が必要だと考えております。
 2ポツ目ですが、リーマン・ショック後には、転職に要する離職期間の長期化が見られましたが、2020年第Ⅲ四半期では、転職者の離職期間は、比較的に短いことがうかがえます。
 3ポツ目でございますが、そもそも同業種間・同職種間で転職される方も多いといった状況であるものの、足下では、同業種間の転職が減少しており、他職へ再就職される方の割合も上昇しています。
 性別や希望する雇用形態によって差異があるものの、「接客・給仕」「飲食物調理」をみれば、記載のような転職先が増加しています。
 続く59ページから80ページは、転職・再就職への支援について、関連する施策のポンチ絵をまとめております。
続きまして、ページが飛びますが、82ページでは、2021年3月大学等卒業予定者の就職内定率、これは10月1日現在となりますが、69.8%と前年同期と比較すると、7ポイント低下しました。
 10月1日現在の状況であり、企業の採用活動が後ろ倒しされている影響なども想定されるため、現時点で予断はできないものの、引き続き注視が必要だと考えられます。
 85ページですが、民間企業の求人広告掲載件数の説明をまとめておりまして、説明は割愛させていただきます。
最後に、89ページと90ページですが、90ページの方を御覧いただきますと、新型コロナウイルス感染症の「拡大前」と「影響下」を比較すると、家事・育児の負担について妻から夫へシフトが起こった家庭では、それ以外の家庭と比べて、新型コロナウイルス感染症の拡大前からの生活満足度の低下幅が、妻だけでなく、夫でも最も小さくなっており、テレワークという経験が家庭内労働分業の在り方をかえるきっかけとなり、それが夫婦の生活満足度を高めている可能性が示唆されています。
 私からの説明は以上となります。
○樋口座長 ありがとうございました。
 皆様からいただきました御意見をもとに、データを整理していただきました。この後、雇用政策を考えていく上で役立つものもあるかと思います。また、不足しているものがございましたら、御指摘いただければと思います。
 それでは、続きまして、これも皆様から能力開発について重要ではないかというようなことがございましたので、資料4に基づきまして人材開発統括官参事官室から説明をお願いし、皆様の御意見をいただきたいと思います。
 それでは、お願いします。
○人材開発統括官参事官 人材開発総務担当参事官の河野でございます。資料の4を御覧ください。
 IT関連の職業訓練、介護関係の職業訓練、新卒等の就職支援の3点について御説明を申し上げます。
 資料の2ページを御覧ください。
 1点目、IT関連の職業訓練についてでございます。
 下のほうの右の赤枠囲みのところ御覧いただければと思います。
 IT利活用人材、これはピラミッドを表示しておりますけれども、この下のリテラシーを持つ人材の育成に関し、離職者訓練といたしまして、都道府県が民間の教育訓練機関に委託して実施をいたします委託訓練、また、非正規雇用労働者の方々を対象とする求職者支援訓練におきましてもを行っております。
 在職者に対しては、独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構、JEEDにおいて、IT理解活用力セミナー、生産性向上支援訓練を行っております。
 また、事業主が行う人材開発に対する助成金ということで、人材開発支援助成金も設けております。
 さらに、労働者が主体的に学ぶものに対する支援ということで、雇用保険の教育訓練給付がございますけれども、そこにおきましても在職者、離職者は問いませんけれども、基礎的な講座を提供しています。
 左の青枠囲みのところを御覧いただければと思いますけれども、IT人材の育成ということに関しましても、事業主が行う訓練を支援する人材開発支援助成金、また、教育訓練給付に関しましても、少し高度な講座を指定しているというところでございます。
 また、委託訓練や求職者支援訓練におきましても、例えば、Javaのプログラミング能力認定試験等に向けた訓練等を実施しているころでございます。
 ピラミッドのところを御覧いただきまして、ミドルスキル、ハイエンドの人材につきましては、プログラムの開発や普及を行っております文部科学省や経済産業省と連携をしながら、厚生労働省としては、助成金や教育訓練給付による支援を行っているという状況でございます。
 2点目、介護関係の職業訓練でございますけれども、7ページを御覧いただけますでしょうか。
雇用と福祉の連携による離職者への介護分野での就職支援パッケージといたしまして、来年度予算を新規に要求しているところでございます。
 新型コロナウイルスの影響による離職者の再就職や、介護分野における人材確保を支援するという観点で、ハローワーク、訓練機関及び都道府県の福祉人材センターが連携をして、資格取得から就職までを一体的に支援をしていこう、また、図の右端になりますけれども、福祉人材センター等において、貸付金といったようなものも新たに設けながら、雇用と福祉の連携により、介護分野での就職を支援していくという事業でございます。
 次のページを御覧いただきますと、こちらは、昨年度のものでございますけれども、公共職業訓練、離職者訓練の実施状況です。介護関連の訓練につきましても実施をいたしておりまして、受講者数等のデータ、実績をお示ししております。
次のページは、求職者支援訓練制度の実施状況でございます。
 最後に3点目、新卒関連の施策でございますけれども、11ページを御覧いただけますでしょうか。
 背景の欄に記載をいたしているとおりでございますけれども、まず、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえまして、就職支援の強化が必要であるということ、
 また、内定を得ることが困難な学生というのが、一定数存在をしているということ、さらに、3点目といたしまして、卒業後に進学も就職もしていない方や早期に離職をしてしまう方がいらっしゃること、といった問題意識を持っておりまして、対策のところにあるとおり、就職活動を十分に行うことができなかったり、不安を抱える学生等に対しまして、新卒応援ハローワークにおいて、きめ細かな個別支援を行うということをやっております。
 また、大学や高校等と連携をいたしまして、早期離職のリスクを抱えた学生生徒や就職活動が困難な学生・生徒などにフォーカスした支援策を実施しております。
 就職をした後も、フォローアップとして企業への定着支援といったことも行っているところでございます。
12ページを御覧いただけますでしょうか。
 こちらは、今年の10月に内閣官房、文科省、厚労省、経産省におきまして、新卒者等の採用維持促進に向けた取組として、対策を取りまとめたものでございます。
 先ほど説明がございましたけれども、10月1日時点での大卒の内定率は69.8%でございまして、前年同期比で7.0ポイントの減という状況でございました。
 第2の就職氷河期を作らないという観点で、下に3つの箱を示ししておりますけれども、緑色のところにございますように、新卒応援ハローワークの積極的な利用を周知するとともに、大学のキャリアセンター等との連携を強化して取り組んでいこうということが1点ございます。
 また、オレンジの箱のところでございますが、企業に対する支援ということで、採用意欲のある中小企業とのマッチングというのもしっかりやっていこうという取組をしております。
 3番のところにございますように、10月末に関係大臣から経済4団体に対して、中長期的な視点に立った採用を行うよう要請をしているところでございます。
 私からの説明は、以上です。
○樋口座長 どうもありがとうございました。
 これまで皆様と議論する中において、例えば、テレワークの定着といったものを進める上で、インフラの整備、支援と、企業におけるインフラ整備、それに対して政府がどう支援するのかというようなこととか、あるいは人材、特にIT人材の支援、時には、今までの働き方あるいは仕事の進め方といったものもテレワークにおいては、変えていく必要があるかもしれないというような、その定着をめぐっての人材の在り方ということについても御議論いただいたと思います。
 さらには、今度は、人の足りない分野といったものもかなりある。そういった分野へ、人が短期に失業期間あるいは無業の期間というのを長期化する傾向があるのですが、それを短期化するといった上では、やはり能力開発支援といったものも不可欠であって、これについて、厚労省の枠を超えて政府としてどんなことをやっているのかということについて、皆様から要望がございまして、例えば、福祉介護といったような分野あるいはIT関連の分野といったものに就業を希望する人に対する支援をやっているということについて、御説明いただいた上で、また、皆様から御意見いただきたいと思って、資料4を作ってもらったということになります。
それでは、続きまして資料5について、これも首席職業指導官室から説明をお願いいたします。
○職業安定局首席職業指導官 それでは、資料5を御覧いただきたいと思います。
 表紙に「日本版O-NETの開発及びハローワーク職業相談のオンライン化の取り組みについて」と書いてある資料でございます。
 恐縮です、3ページ目をお開きください。
 まず、これらのテーマに関する政府方針でございます。
 白丸が3つございますけれども、上2つがO-NETに関するものでございまして、未来投資戦略の2017と、これは最初に出たものでございます。
 また最新のもの、今年の7月に出ました令和2年度革新的事業活動に関する実行計画から抜粋しておるものでございます。
 日本版O-NETにつきましては、毎年のように政府方針の中に出てきておりますけれども、最初に出てきたものと、最新のものだけということだけを御紹介しております。
 一番下の3つ目の白丸でございますけれども、これはハローワークの業務のデジタル化について、デジタルガバメント実行計画に、そのように出されております。
 4ページ目を御覧いただきたいと思います。
 日本版O-NETの構成といいますか、データの構造について御説明いたします。
 まず、4ページの左上、オレンジの四角囲みのところでございますけれども、これが、日本版O-NETに掲載されておりますデータでございます。
 そこにありますように、約500の職種につきまして、まず、それぞれ職業解説のテキスト情報、写真、動画なども盛り込んでおります。
 また、労働市場情報なども入れております。
 最後、これが日本版O-NETの御本尊でございますけれども、スキルやタスク、職業適性等に係る数値データ、これも入っておるということでございます。
 右上の黄色い四角囲みを御覧いただきたいと思います。
 まず、それぞれの職業情報を検索いたしますと、そこにありますように、テキスト情報と。その写真・動画が出てくるということになっております。
 また、このページから、ハローワークインターネットサービスも求人検索や「しょくばらぼ」にも飛ぶことができるとなっております。
 このページを、ロールダウンしていきますと、今度は左下でございますね。各職業に必要なスキル、タスク等の数値データ、これがグラフで出てきます。これは、それぞれの職業について掲載されているものでございます。
 左下の一番下でございます。今年度中に、リアセックとキャリアアンカーによる適性検査機能を日本版O-NETの中に実装いたします。利用者は、まず、この適職検査を受けて、そのまま自分の適職はということで職業検索をすると、こういったこともできるように考えておるところでございます。
 右下に、3つ四角囲みが並んでおりますけれども、これは、日本版O-NETの数値データを生かして、こんなことができますということでございます。
 1つだけ例を申し上げます。一番上に「キャリア分析機能」というのがございますけれども、求職者が、これまで培ってきたキャリアと、これから目指したい職業、これの差分というのを調べることができるというものでございます。
 例えば、それまでSEをやってきた方が、今度はプロマネになろうということになりますと、その両者を比較しますと、「これから資金管理とか人材管理を勉強しなくてはいけませんね」という結果が出てくるということでございます。
 今、私はシンプルな例を申し上げましたけれども、当然、これまでついた職業が複数あれば、その複数の職業を組み合わせるというカスタマイズをするということもできるとなっております。
 次に5ページを御覧ください。
 日本版O-NETに保有されているデータの内容でございます。
 一番上の職業解説と書いてあるグループでございます。水色の部分でございますけれども、これは4ページで言いますと、右上のところに載っておったものでございます。
 中ほどのオレンジのグループでございますけれども、タスク、スキル等というものがございまして、これがいわゆる数値データの部分でございます。
 この中で、上から6つ、興味というところから仕事の性質までの部分でございますけれども、これは職業横断的にとっているそのデータでございまして、これら職業横断的なデータを使いまして、次の6ページで御説明するような、職業間の距離というのをはかることができます。これは後ほど御説明いたします。
 また、オレンジのグループの一番左下でタスクというのがございまして、これは現時点では職業横断的でないのですが、これも今年度中に、職業横断的な項目に切り替えていこうとしております。それは後ほど9ページで御説明したいと思っております。
次に6ページを御覧ください。
 日本版O-NETの保有データを使って職業間の距離というものをはかることができます。
 これは、前のページで申し上げました6項目、職業興味から仕事の性質まで、全部で113項目ございます。
 この113の項目、これを例えばグラフの横軸に並べて、それぞれの項目の数値をプロットしていきますと、ヒストグラムとか折れ線グラフのようなグラフができ上がってきますけれども、そのグラフの近さをはかるというロジックがありまして、一番下に書いてありますバタチャリヤ距離というものでございます。これは声紋分析に使う手法なのですけれども、このバタチャリヤ距離を使いまして、それぞれの職業のグラフの波形の近さといったものを出すといったことをやっております。
 これは日本版O-NETでも、それぞれの職業を検索いたしますと、この職業は、これに近いよということが出てくるというものでございます。
 1つだけ、お時間がありませんので御紹介いたしますと、中ほどちょっと下に、寿司職人とか、そば・うどん調理人といった、料理人グループがございますけれども、例えば、寿司職人、そば・うどん職人、中華料理職人、それぞれ行き来ができそうな、近いグループだなというのが、類似職業を見ると何となく分かるのですけれども、対しまして、ソムリエやバーテンダーというのはちょっと違うのだなということがお分かりいただけるかなと思っております。
 次に7ページ目でございます。
 日本版O-NETの民間活用の例でございます。
 日本版O-NETは、今、御紹介しました数値データがCSVデータなどでダウンロードできますので、外部の方が自由に使うことができます。それを活用している例でございます。パソナグループは、例えば、自分の登録派遣スタッフなどにマイページを設けておりまして、その中でそれぞれにキャリアを考えてもらうページというのを作っております。そこに商品名が書いてありますけれども、その中で、日本版O-NETの数値データを使って、そのキャリアビジョン、適職をレコメンドする機能があるのですけれども、その時に、日本版O-NETの数値データと、パソナが持っておるAIをこのかけ合わせまして、精度の高いレコメンドを実現しているということでございます。
 次に8ページ目でございます。
 今度はプロファイルズ株式会社さんというところなのです。ここは企業の人事担当向けに、人材配置のためのツールを商品としていますが、そのツールにはパフォーマンスモデルというものが設定されています。
 真ん中の四角囲みの下ほどにありますが、これは望ましい人材像というほどの意味ですが、このパフォーマンスモデルを作り出すために、アメリカでは米国のO-NETを使っておりましたし、今度、日本版O-NETができましたので、日本版O-NETも使っていこうということだそうでございます。
 次に9ページ目を御覧ください。
 これは、JILPTの取組でございます。
 上の白丸でございますけれども、日本版O-NETの精度を高めていくために、数値データをバージョンアップするということでございます。
 先ほど、タスクはまだ職業横断的ではないと申し上げましたけれども、今年度、仕事活動(新規)とありますけれども、各職種ばらばらのタスクを、上位概念で抽象化して、職業横断的な項目に整理し直して、それを取るということでございます。
 したがいまして、来年度以降は、タスクによっても職業横断的な比較が可能になるということでございます。
 下の仕事の性質は、もう既に現在ありますけれども、最近、コロナ禍でテレワークのニーズ等が高まっておりますので、特にそれらに関する職場環境についての仕事の性質を追加していこうということでございます。
 下の白丸でございますけれども、この日本版O-NETを研究分野でも使っていこうという試みがございます。
 これが政策立案への貢献が期待される部分でございますけれども、黒丸1つ目でございますけれども、職業適性に着目したコロナウイルスの労働への影響を調査しているということでございます。
 また、今年5月には、みずほ総研も、アメリカ版O-NETと日本版O-NETのデータを使って、テレワーク可能な労働者は3割といったような報告を出していくということでございます。
 次10ページ目を御覧ください。
 ここから、話題は転じまして、ハローワークのオンライン化でございます。
 本年1月より、ハローワークインターネットサービスで求人求職の申込みが可能になっております。
 現時点では、求人は最後まで申込みが完了するのですけれども、求職の申込みは、来年9月に完了までいくようになります。
 これが、双方完了いたしますと、求職者はネット上で、直接求人の応募ができるようになり、求人者は、ネット上で公開された求職者の情報から検索して逆指名、リクエストといったことが可能になるということでございます。
 最後11ページでございます。
 コロナウイルスの感染拡大をきっかけといたしまして、ハローワークもオンライン職業相談に取り組んでおるところでございまして、趣旨、経緯等、そこに書いてあるとおりでございます。下の点線の四角囲みにありますように、コロナ禍が仮に収まったとしても、将来的には、来所に制約のある方、障害者とか疾患をお持ちの方とか、一方でITリテラシーの高い若者の方々、こういった方々において、そのオンライン職業相談のニーズがあるのではなかろうかということで、今年11月から試行を始めているところでございます。
 私からは、以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
 これまでの議論で、時には企業の中において、やはり状況、環境の変化に応じて仕事の中身を変える、あるいは職種を変えるといったことも必要ではないかと。あるいは時には企業を超えて転職をしながら、自分のキャリアをアップしていくというような、そういったときに、今まで以上に、やはり職種といったものの特性といったものに対する知識のニーズというのが高まっているのではないかというようなことから、こういったO-NETの議論というのも始まっているかと思います。
 これまでの身につけた能力、それに一体どういうものをプラスすると、今度、そういった適職探しといった場合に役立つのだろうかというような視点から、これが求められてきたということだと思いますが、なかなかO-NETを使って、まさにミスマッチを解消するといったところまで、どこまでいっているのかというような指摘もございます。
 また、職業ということを考えたら、まさに今のところ、テレワークの可能性あるいは対人サービスが必要な職種とか、あるいは仕事によって感染の程度というのが大分違っているのではないか、そういったことも職業特性といったところに数値化して入れていく必要があるのではないかというような御指摘もあったかと思います。
 そういったことから、今、資料5に基づきまして、日本版O-NETといったものの現状について説明をいただき、皆様から、また、デマンド、要請をしていただきたいと思いますが、これから自由討議に移りたいと思っております。
 御質問、御意見がございましたら、手を挙げるボタンをクリックしていただきまして、お名前をおっしゃってから発言をお願いしたいと思います。
 なお、清家委員、宮本委員が時間の制約もあるということで、まず、御発言を求めたいと思いますが、まず、清家委員、いかがでしょうか。
○清家委員 ありがとうございます。
 事務局の資料は、大変充実していて勉強になりました。
 2点だけ申し上げたいと思います。
 1つは、前回から議論しているように緊急事態宣言下で大分テレワーク、在宅勤務あるいは時差出勤等が進んで、これは、現下の対応というだけではなくて、中長期的な働き方改革あるいは女性や高齢者の就労促進のためにも、できるだけ続けていくべきだということだったかと思います。ただどうも最近、大分また元に戻ってきているような傾向も見られるわけでございまして、これは単に緊急事態宣言が終わったので、当然のようにまた元に戻すのだというような、いわば惰性的に戻しているのか、それとも、先ほど樋口先生も少し御指摘になったような、いろいろな課題もあり、続けたいのだけれども続けられなくて戻っているのか。このことをもう少し調べていただいて、できるだけ早く、せっかく進んだものが元に戻らないように、そして、そのためにはどんな支援を必要とし、あるいはどんなインセンティブスキームなら有効かといったようなことも考えていくべきではないかなと思いました。
 2つめは、これも前回少しお話あったかと思いますけれども、今回、比較的雇用を持ちこたえている、失業率は少し上がっておりますし、有効求人倍率は相当下がりましたけれども、しかし、雇用はなんとか持ちこたえている1つの理由として、その直前に、かなり人手不足状況が続いたために、雇い主のほうも、この人手不足経験の記憶から、容易に人を手放さないとか、あるいは求人も急には減らさないというのがあるのではないかということであったかと思います。ただ、今日の資料なども拝見しますと、そういう人手不足感の記憶といいますか、あるいは、そのために人を余り減らさない、あるいは求人も減らさないという効果の大きいと考えられる人手不足のより厳しかったのは中小企業ではないかと思うのですけれども、今日拝見する資料ですと、むしろ求人を大きく減らしているのは、やはり規模の小さいほうだと。つまり、そういう面では人手不足で大変だった規模の小さいところほど、最近ではやはり求人もより減らしているというような傾向が見られるのかなと思います。そういうことを見ますと、この人手不足経験による雇用維持効果というのが、少し薄れてきてしまっているのではないかという気もするわけで、その辺りも少しまた精査していただければなと思います。
 今般、雇調金の特例が、2月までですか、延長されるということが決まったので、そこまでは何とかこの効果が、もしかしたら持続するのかもしれません。その点について、もう少し検討をしてはどうかと思いました。
 以上でございます。ありがとうございます。
○樋口座長 どうもありがとうございました。
 確かに、これまでの不況あるいは景気後退に比べて、やはりそのショックが非常に長期化してきている。いつショックが薄れていくのかというのも見えない中において、長期化するにしたがって、企業としては人材を確保したい、あるいは雇用を守りたいと思いながら、だんだんに体力が失われてきて、破綻とは言いませんが、そういう局面が来ないとも限らないというようなことについても、やはり視野に入れたような対策、対応というのが必要ではないかという御指摘だろうと思います。
 それでは、続きまして、宮本委員、いかがでしょうか。
○宮本委員 ありがとうございます。すみません、この後、臨時教授会が入ってしまいまして、先に発言をさせていただきます。
 本来、私はどちらかといえば、福祉分野との接点についてお話しするような役回りだと思っていますので、口火を切ることは余りよくないのですけれども、そういう事情でお許しください。
 事務局からの資料、ふだんからこういう政策研究会の事務局の豊かな情報提供力には、もう頭が下がる思いなのですけれども、ふだんにも増して圧倒的な情報量の中で、ここからどういうふうに政策を紡ぎ出して行けばいいのかと、逆に立ちすくんでしまうところがあります。
 特に、これまでの皆さんの議論の中でも指摘されてきたとおり、この期に及んで3%の失業率というのは、やはりこの国の雇用の仕組みの驚くべき根強さというのを物語ると同時に、特に前回以降話題になっている様々な格差、この3%という数字に表れない様々な格差というのに、いかに対処していくのか。単に対症療法的に、コロナ対応ではなく、その先をにらんだ施策と希望を紡ぎ出していくのかというところを、この豊かな情報を前に考えてしまうというところであります。
 1つは、これも樋口座長のほうから何度か言及されているとおり、テレワークの可能性ということなのですけれども、現状では、テレワークが可能な管理的業務、これが困難な、いわゆるエッセンシャルワークのような格差が固定的に機能してしまっているわけですけれども、本来テレワークというのは、格差是正的な機能を持ち得るポテンシャルがあると。
 実際、ちょっと分野は異なるわけですけれども、障害者雇用の分野、就労移行支援の事業所だとか就労継続支援事業所、これまでテレワークというのは、本当に例外的に認められたのですけれども、今度、これが全面化したことで、非常に多くの新たな取組が生まれているということで、例えば、障害者雇用の分野に限定しなくても、メディアなどでも話題になっていますけれども、正社員全員リモートワークだと、700人いる正社員、ほとんどリーマンショックであるというような企業が話題になっていて、そのうちの従業員の9割が女性であるということなのですね。
 つまり、女性は、今、格差の焦点なっているわけですけれども、その可能性を一挙に開くのがテレワークであったり、あるいは去年引きこもりの問題に取り組む自治体が集まったサミットで紹介されたのですけれども、一瞬奇妙な会社名なのですが、うちらめっちゃ細かいのでという会社で、これはひきこもっている若者たちがひきこもったまま、彼らのひきこもっている部屋オフィスにして、ホームページの作成ビジネス、ITネットワークのビジネスをやっている企業、まさにリモートワーク全面的に駆使している企業なのですけれども、この奇妙な会社名が承知をしているのは、彼らの細かさ、繊細さというのは、通常の職場では、生産性のマイナス要因になってしまうのですけれども、リモートワークの現場に転じると、一挙にこれがディテールのよくできたホームページを作る生産性のプラス要因に展開するいうことにもなっています。
 このようなテレワークの格差是正的な機能というのを、どういう政策的な働きかけで引き出せるのかということ、この辺りが大変気になるところです。
 2点目は、やはり雇用の流動化という点なのですけれども、そもそも足元では、転職が減少している、当然だと思います。失業なき労働移動というよりは、本当にその会社がつぶれたということをきっかけに、失業ある労働移動になっている。
 これをいかに失業なき労働移動であると同時に、この間、失業なき労働移動に取り組まれてきたわけですけれども、しばしば、例えば、介護の現場に向かってもらうというのは、雇用条件の大幅な低下に結びついたりして、厳しいところがあった。
 そういう意味では、失業なき労働移動が、変なシャレみたいになって申し訳ないですけれども、失望なき労働移動でなくてはいけないと思うわけなのですけれども、その条件をいかに確保していくのかと、これを考えたときに、今まさに、例えば介護の現場というのは、エッセンシャルワークの典型で、感染拡大の状況からして一番行きたくないところでもあるというジレンマがあるわけで、この点では、例えば、老健局と労働関係の部局や社援局、まさに縦割りを超えたフォーメーションで対処していく必要があるのではないか、逆にそれができたときに、非常に大きな可能性が開かれるのではないかと思います。
 長くなりましたが、以上です。
○樋口座長 どうもありがとうございました。
 1つはテレワークのメリットを引き出すことのできるような支援の在り方というような、特に、格差縮小というお言葉を使っていらっしゃいましたが、そういったものに誰もが働くことができるというような、そういった状況を作る上でのテレワークの在り方あるいは普及の進展の在り方というようなこと。
 もう一つは、労働移動についても、やはり職を失ってしまったという人たちが、できれば短期間のうちに、そして、また能力を、これまで見つけたものを生かしながら雇用条件の方も改善できるような仕組みといったものをどう作っていくかという、それが時には、局どころか省を超えて検討していく必要があるのではないかということだろうと思います。
 それでは、手を挙げていらっしゃる方、阿部委員、いかがでしょうか。
○阿部委員 ありがとうございます。
 1回目はお休みで、2回目は授業があったため途中で発言もせずに退席しましたので、今日、改めて、1回目、2回目も含めまして発言をさせていただきたいと思います。
 資料のほう、事務局の方々ありがとうございました。いろいろと勉強になる資料でありました。
 私が、まず、思っていることを言いますと、このコロナ影響というのが、緊急事態宣言が出た4月ごろと現在では、このコロナの影響の受けとめ方も相当違っているのではないかと思います。
 3月、4月時点ですと、コロナも比較的短期決戦で、ある程度何とかなるのではないかというような思いが、皆さんがあったかどうか分かりませんが、比較的私のほうはそういうふうに思っていて、多分そんなふうに思っていたところがあったと思います。
 ところが、今、コロナがいつ収束するのかというと、多分誰も分からないような状況で、ワクチンが開発されたとしても、それが果たしてどういう影響をもたらすのかというのも、まだ分かっていないということで、比較的長期戦の様相を呈してきているのではないかと思います。
 そうなってくると、我々、労働市場考える場合でも、短期決戦の場合の政策と長期決戦では相当違ってくるのではないかなと思います。
 まず、そういったもとで考えると、長期的な影響を考えたときに、宮本先生もおっしゃったような失望なき労働移動というのを、職業構造なり産業構造が変わる可能性があるとすれば、やはりその点は非常に重視すべきだろうと思います。
 短期決戦であれば、例えば、休業で何とかやっていくということもあり得ると思いますが、既に長期決戦になってしまって、雇用保険の財政も相当悪化しているというのが現状だと思いますので、どのように長期的な視点で労働移動を進めていくのか、失望なき労働移動を進めていくのかというのは、非常に重要な視点であろうと私も思います。
 先ほど清家先生から、中小企業の求人が大きく減っているということがありましたので、それについて1つコメントをすると、この話も、前回、山本先生が研究されていた中で、女性の問題というのが取り上げられたと思いますが、同じようなことにあるのではないかと思います。
 というのは、中小企業が多い産業で求人が減っているのではないかということです。特に飲食ですとか、そういったところは、比較的中小企業が多いと考えられますので、求人減の多い産業が比較的中小企業が多かったといったところで、求人減があった可能性があるので、そういった分析もされたらどうかと思います。
 失望なき労働移動で、宮本先生も言及されていました、エッセンシャルワーカーの動向については、やはり非常に注視すべきだろうと思います。
 特に、今後、長期的な影響が続くという中で、エッセンシャルワーカーの需要や求人というのが、戻るのか戻らないのか、戻らないとすれば、この人たちをどのように労働移動をさせていくのかといった点、この辺りを考える必要があるだろうと思います。
 現状では、転職期間が短いということが資料で示されていたと思います。それから、まだまだ同業種あるいは、同職種内での移動が多いように思いますが、もし、これが、さらにエッセンシャルワーカーの求人が減ってきて、異業種あるいは異職種への移動というのが増えた場合に、そのエッセンシャルワーカーの人たちのタスクということを考えた教育訓練や、あるいは転職への支援ということを考える必要はあるだろうと思います。
 それから、事務局には何回かお話をしているのですが、これまでの議論で、少し抜け落ちているのではないかと思っているのが、地域の労働市場への影響、地域労働市場の視点というのも、比較的必要ではないかと思います。
 コロナの影響が非常に多く出ていると考えられるのは、比較的都市部ではないかと思います。そうした都市部での労働を環境と、地方部での労働環境がどのように、今、違っているのかとか、今後どのようになっていくのかとか、それに対して都市部への支援と地方部へ支援というのをどのように考えていくべきなのかというのは、議論としてはあるのではないかと思います。
いろいろなことをしゃべってしまいましたので、すみませんが、今、思いつくことをだらだらと述べました。
 以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。
 1つは、やはり、コロナの問題として、長期化してきていると、その長期化というのが短期の、一過性の景気後退に対する対策と、やはり違ってきて、多くのこれまでの不況と違って、コロナの感染と関連して波を打ち、かつ産業別などを見ると製造業は立ち直っているのに、飲食・宿泊などはその立ち直りのスピードが遅いなど跛行性がある。そして不況が長期化するに従って、構造転換も起こっている。少し構造転換の問題も視野に入れたようなことが必要ではないかということ。特にエッセンシャルワーカーの問題というような御指摘だったと思います。
 もう一つが地域の問題という形で、都市部と地方で、大分、今回のコロナの影響あるいはそれに対する対策、例えば公共交通機関を片方は利用しなくてはいけないのに、片方は車での移動といったところでも違いがあるし、感染にも大きな違いがある中において、対策につきましても、都市部と地方で時には違ったような対策が必要ではないかというような御指摘だったと思います。
これもまた事務局とよく相談してまとめていきたいと思いますが、ほかにいかがでしょうか。
 黒澤さん、どうですか。
○黒澤委員 ありがとうございます。
 事務局の方々、またまたすばらしい資料を本当にありがとうございます。
 そうしましたら、1点、前回の資料にもどってしまうのですけれども、前回、JILPTの調査で、コロナ前にテレワークが適用されているかどうかで、その後のテレワークの日数が変化したのかというのを見させていただいて、そこでちょっと気になったのが、テレワークの適用をされているかどうかによって、コロナ前の段階での在宅勤務の日数は全然変わっていなかったですね。
 それは、実は日本でもあると思うのですけれども、米国の調査などでも、すごく如実に出てきていて、つまり制度の有無というのは、実はそんなに関係なくて、もちろん制度があったほうが長期的にはいいのだけれども、実際にどうやって運用をするのかというのが大事だという話があるのです。
 前回の資料の中でも、柔軟な働き方は一般的ですけれども、特にテレワークの実施状況に、すごく企業規模間格差が物すごくあったですね。だけれども、例えば、日本ではテレワークとか、中小企業に勤めていたら、そんなの無理に決まっているではないかと思われている方が多いのではないかと思うのですけれども、財力がないのだから無理でしょうという感じの。
 だけれども、米国では、実は状況が異なっていて、ナショナル・スタディ・オブ・エンプロイヤーズという人事部に対して全米規模で、50人以上の企業に定期的に実施している調査があるのですけれども、それを見ると2005年の段階から500人以上の大企業と、そうではない50人から500人未満というので比べると、中小のほうがテレワークも含めたいろいろな働き方の柔軟性というものが、実質的にできているという比率は高かったのです。
 リーマンショックのときに、その有意な統計的な差がなくなって、その後、また、最新の調査は2014年なのですけれども、それでも、中小のほうがよくやっているのですよ。
 その中身というか、その実態をもうちょっと深掘りして見てみると、例えば、中小だと実質的に柔軟な働き方をすることに対する上司の理解があるとか、サポートがされているとか、従業員との、いわゆる顔を合わせる時間、フェイスタイムではなくて、成果できちんと評価されている度合いが高いとか、つまり制度を設けるだけではなくて、それを実際にどう運用するのかということがすごい大事なのだということだと思うのですね。
 そうやって考えると、それこそ今回のコロナを契機に、これが収束した後も働き方改革をより一層どんどん推し進めていくということの、それをするためには、制度の成立を促進させるだけというのではなくて、そういうノウハウを情報提供する必要がすごくあるのではないかと思っています。
 どうやってやるのかということなのですけれども、例えば、今回の人材育成の資料で見せていただく、その枠組みの中で、例えば、生産性向上人材育成支援センターにおける生産性向上の支援訓練とか、あと在職者訓練の中に、こういった柔軟な働き方とかテレワークというものの導入ということの訓練というものを入れて、その中に、これは本当に重要だと思うのですけれども、企業へのコンサルティングを、その中に組み込んだ形で提供するというのはいかがかなと思った次第です。
 今回のこの人材支援のいろいろな実際なさっている支援、もう本当に、私がすごくいろいろ勉強していたときと比べても、本当に変わっているなと思って、すばらしいなと思って拝見していたのですけれども、例えば、私、在職者訓練のヒアリングに、機構さんの御支援で行ったりすると、やはり、在職者訓練でも長い時間がないと駄目で、大掛かりな訓練しかやってくれないというのが、ある程度意見として伺ったりしていたのですけれども、今回の資料を拝見すると、そうではなくて、3時間、生産性向上支援訓練は6時間から可能ですし、IT活力セミナーに至って3時間からでもセミナーを提供してくださっていて、より気軽に、そういった訓練を受ける、そういった支援がもうなされているということで、それはすばらしいなと。
 ただ、これは、本当にそれが必要となるような中小企業の方々に周知されているのかというところが、ちょっと不安に感じているので、そういったところは本当にぜひ、特にITのセミナーとか、本当にボトムアップするためには気軽に、そういう辺りの訓練を提供することは非常に大事だと思うので、その辺りの広報もぜひ頑張っていただければと感じました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
 必ずしもほかの国、アメリカですか、そのお話を伺うと、中小だからテレワークをやっていないというよりも、むしろ、逆にそこが進んでいるところもあるのではないかというような、どうもその中身を見てみると、やはり単に教育とか人材というか、ノウハウをどう、その企業へのコンサルティングを含めて広げていくのかというようなことも重要ですし、そういう支援をしている、カウンセリングとかをしているのであれば、もっと周知を、企業にあるいは国民に対してするような取組というのが必要ではないかというような御指摘だと思います。
 それでよろしいですかね、黒澤さん。
○黒澤委員 はい。
○樋口座長 ありがとうございます。
 それでは、ほかにどうでしょうか。
 画面だと、黒田さんが黒澤さんの下に、私どものほうでは映っているのですが、黒田さん、どうでしょう。
○黒田委員 御指名ありがとうございます。
 今回もたくさんの資料を用意してくださってありがとうございました。厚労省の皆さん、すごく長時間労働になっておられるようなので、どうぞ、皆様、お体を大事になさってください。
 今、黒澤先生の人材開発施策のところに関して、今回もたくさんの資料を用意していただいて、私自身も知らなかった施策があって大変勉強になりました。1点だけ簡単なコメントです。
 これらの施策が実際に、どれくらいの効果を生んでいるのかというところが気になるところです。シンプルなアウトカムとしては、例えば離職者支援に関しては、就職率とか、その後の賃金が上昇したかというところを見ることになると思います。ちなみに、今回御用意いただいた就職率を見ますと、7割ぐらいの方が就職しているという数字がでています。研修を受けても全ての方が就職できているわけではないとも解釈しうるところですが、実際のところ、この公的訓練を受けた人と受けなかった人で、どの程度就職率が違うのかというようなポリシーエバリュエーションのようなものが将来的には必要ではないかと思います。離職者だけではなくて就業しながら訓練を受けている方や、助成を受けた中小企業に関しては、これらの施策をうけたことでどういったプラスアルファがあったのかを測ることはさらに難しいと思うのですけれども、これまで計3回にわたってこの研究会でもミスマッチが問題になっているということが盛んに議論されてきたところです。ゆくゆくは、こういった政策評価をきちんと行っていくことによって、そのミスマッチを解消する上で、どの訓練がより実を結んでいるのかというところが見えてくると、より政策への提言につながるのではないかと、お聞きしながら思いました。
 以上となります。
○樋口座長 ありがとうございました。
 政策評価をエビデンスベースに基づいて、もっとやっていただきたいというふうにまとめていいのでしょうか。
 それでは、その下に、山本先生が映っていらっしゃるのですが、山本さん、どうですか、何か御意見がありましたら。
○山本委員 資料をありがとうございました。大変勉強になりました。
 それで、これまでのコメントに関連するところですが、まず、テレワークなどの働き方が急激に変わって、それが戻ることについてなのですけれども、戻ってきていて、一律戻ることが、必ずしも悪いことでもないと思うのです。やはり、テレワークがどうしてもなじまない職場とか、労働者はいるわけなので、そこの辺りを少し配慮しないと、報告書で、せっかく進んできた柔軟な働き方が、戻らないようにするべきだというのは、もう少し幅を持たせたほうがよくて、むしろ、1つは、私が思うのは、戻ったとしても、緊急事態のときに、またテレワークができるような、テレワーク可能性みたいなものが確認できるとか、高まると、準備ができているということが、まず第1で、次の感染拡大とかに対応できると。あるいは、感染だけではなくても自然災害が起きたときに、やはりテレワークができるような状況を作っておくというのは、コンティンジェンシープランとしても、とても有用だと思いますので、まず、できることが大事で、その後の、それを実際にするかどうかというのは、やはり職場の状況に合わせてするということが大事なのかなと思いますし、方向性としては働き方改革に合わせて、テレワークできる、希望した人ができるようにしていくというようなことを報告書で訴えていくと、いいのかなと思いました。
 それから、企業規模に関してですけれども、資料ありがとうございます。中小の影響が大きそうだというところが、如実に表われていて大変興味深かったです。
 リーマンショックと違って、中小企業への影響が大きいとすると、そこで働く人の数が多いということと、それから企業の数も多いということで、政策対応もかなり大変かなと思います。
 ちょっと本題とはずれるかもしれないのですけれども、そうなってくると、政策対応に当たるスタッフの方々の負担とか、コストというのは結構甚大なものになりそうで、さっき黒田さんから、厚労省の人たちが過労をしているのではないかということを心配されている声がありましたけれども、その辺りのところ、政策対応として、中小企業への影響が大きいとしたら、そこへの人員とか予算を増やしてもらうとか、そういったようなことも訴えていってもいいのかなと思ったりしました。
 中小という意味では、恐らく中小から大企業に行く、小さいところから大きいとこに行くというのは多分ないと思うので、労働移動が結構起きているとしたら、やはり中小企業同士ということなのかなと思うのですけれども、その辺りもちょっと確認できたらいいかなと思います。
 あと、阿部先生のほうから、長期的な視野ということで、そのとおりだと思うのですけれども、中小に関しても、最初はセーフティネットとして支援をすることが大事だと思うのですが、いつまで減り続けていけるかという問題もありますし、自然淘汰をどうしていくかというような、雇用を守るだけではない、より生産性を高めて、日本の企業の競争力を高めていくには、どういう政策をするべきかというところも、その点も視野に入れて御議論していくことも大事なのかなと思ったりしました。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
 政策を実施する上でのコストといいますか、必要なところへの政策担当者の人員配置あるいは増員というのが必要ではないかと、それも視点に入れるべきではないかというようなことと、まさにセーフティネットで雇用を守るだけというのではなく、長期化するにしたがって、今度は生産性のものとか、そういったものも視野に入れていく必要があるのではないかということだろうと思いますが、それでよろしいでしょうかね。
 今度は玄田先生のところに、玄田先生、お願いします。
○玄田委員 私、最終回はいないので、それも含めて申し上げたいと思います。資料2の課題の整理のところで、提案ということでもないのですけれども、「雇用政策自体のデジタル化」が、もう待ったなしの状況にあるのだということを書いていいのではないかなと。企業も頑張ってデジタル対応しろ、労働者もデジタル対応しろもいいのだけれども、雇用政策自体のデジタル対応は、今やっておかなくては、やばいのではないのという、そういうことをちょっと言いたい。
 人が頑張って雇用政策を担っていたりするという面もあるのだけれども、資料2の2ページ目のデジタル対応のところで、氷河期世代のところで、何か対応を考えられないかと書いてあって、もともと余り、こういう氷河期世代の支援は、デジタル対応は無理ではみたいなところがある。それはサポステなどにもあるのだけれども、ただ、やってみると、デジタルは、雇用政策で使えるところはたくさんある。例えば、さっきも出てきたひきこもりとかニートとかも、初動は、やはり対面がいいのだけれども(この辺は、堀さんに後で詳しく)、その後は、オンラインとかも使って、継続するとか、定着するまでちゃんと支援していく、デジタル対応は、とても大事なのです。そういうことを、今まで余り考えていなくて、僕らぐらいの世代までは、やはり支援というのはアナログでしょう、人でしょう、人が絡まなければ駄目でしょうみたいなところが、私などは、まだ、半分以上ある。ただ、そうも言っていられないなという感じは、すごくするのです。
 一番思うのは、例えば、氷河期世代などでも、今回、プラットフォームを作って、連携してやってくれとうたっておきながら、まだあまり進んでいないと思うのです。本当はデジタルというのは、縦割り打破の突破口のわけですね。一々会わなくてもいいのだけれども、こういう形で、みんなが連携し合って、情報共有し合ってやるということを、本当はやらなければいけないのに。まだ、それができるか、できないかのぎりぎりのところで、雇用政策自体、もっと本気でデジタル対応をしなよということは言ってもいいのではないかと思っているのです。
 雇用政策がデジタル化しなければ、多分、職場もデジタル化しないですよ。それに、さっき阿部さんも言ったことに賛成で、本当は、今回の雇用政策で一番議論するところは、こんなに財源を使ってしまって、本当によかったかと、就業者はある程度維持できているかもしれないけれども、この常識を外れたお金の使い方の中で、ただ雇用が守れてよかったというわけにはいかないだろう。もし、今度同じようなことが起こったときには、これほど金を使ったり、異常な特例措置をしなくてもできるようにするためには、何が必要かというと、やはりデジタル化はしておかないといけないという議論は当然あると。
 もう一個だけで終わりにしますが、さっきの資料2で中小企業のところを取り上げてもらっていて、3ページ目で、これからは、人口減少の地域で支える中小企業の役割をどうするかというところがある。やはり、生産性だけでははかれない中小企業の価値というのがある。地域の中で、この中小企業が残らなければ困るというのは、現実的にはある。いろんな意味で、中小企業が残っていないと、地域が成り立たないというのもある。
 ただ、それを感情論とか、印象論でそうだねというのを言っていても駄目なのだろう。やはりもっと中小企業の強み自体を情報化するとか、デジタル化するということを本気で考えないといけないなというのは、さっきの資料5を見て思った。だから、どんどんO-NETもやっていけば、いいと思うのだけれども、就職者自身の情報化だけではなくて、求人側の情報化ということもちゃんとやらないと、いつまで経ってもミスマッチは解消しない。本当に、今、中小企業政策に必要なのは、そういう中小企業の姿をもっとはっきりとみんなに見えるようにすることだろう。生産性は助成金だけでは上がりません。どんなに助成金をあげたって、中小企業の生産性は上がりませんよ。
 むしろ、本当に中小企業自身が、自分たちのどこに課題があって、どこに強みがあるかというのをちゃんと情報化しないと駄目。今回、日本シリーズでソフトバンクに巨人が全然歯が立たなかったのは、やはり情報化がなっていないからで(今、全然関係ないこと言いましたけれども)、そういう中小企業にちゃんとデジタルのスポットを当てていくということをしないと。お金で支援しても駄目と、そのために雇用対策のデジタル化を本気でやりましょうというのは、これまでの雇用政策研究会に出てきたけれども、今回が一番如実に、痛切に感じる。しかも、今回、それを本気でやらないと、多分、日本は永遠にデジタル後進国のままになる。雇用政策もデジタル後進国で、日本の雇用政策はアナログで成功してきたから、そのアナログ成功経験が、結局、デジタル対応に失敗したという歴史を残すだけになると思う。まずは隗より始めよということで、雇用対策のデジタル化ということを本気で考えていくということを、今回の研究会では提案されることを強く希望しておしまいにします。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
 力強い御発言、御意見だったと思います。
 雇用政策の議論をするときに、雇用政策の立案のところ、この政策がうまくいくのかどうか、そのフォローアップが必要だというのは、前からもずっと言われてきたと思いますが、今回、まず、給付のスピードの話も含めて、そこにやはりデジタル化の遅れというのが議論になっていたと思いますが、それだけではなく、やはり政策の効率性、フォローアップも含めてデジタル化というのが必要ではないかというような、それを強調すべきではないかというような御指摘だったと思います。中小企業の役割についても見える化あるいはデジタル化といったことによって、数字で捉えられるような生産性以外の役割というのが、中小企業にもあって、そういったところも含めたデジタル化によって、それを明らかにしていくということが重要ではないかということですが、さらにつけ加えること、もし、玄田先生、何かあったらお願いします。
 今のまとめのようなことで、よろしいですかね。もし、何かあれば。
○玄田委員 ありがとうございます。
 大変的確にまとめていただいて、それに加えて、なぜ、デジタル化が必要かというときに、やはり、これから雇用政策をどう使うかだけではなくて、財源ということを考えていかなければいけない。雇用政策の財源論をするためにも、やはりデジタル対応と、場合によっては、それ以外の伝統的な対応の使い分けをちゃんとするのだというところまで、できれば論点に入れてほしいなと思います。
○樋口座長 分かりました。
 それでは、堀さんに、玄田先生がちょっと言及なさったので、堀さん、何かありますか。
○堀委員 どうもありがとうございます。
 事務局は、大変充実した資料を御提供いただきまして、大変勉強になりました。どうもありがとうございます。
 今、玄田先生の雇用政策のデジタル化のお話をされたのですけれども、若者という論点ですと、若者なので、ITスキルは、比較的身につけやすいような状況にあるのですけれども、どうもオンライン環境から排除されていたり、オンライン環境が利用しづらいというような若者層がいるというようなことが最近分かってきました。例えば、スマホしか持っていない、あるいはスマホも持っていないような若者層というのがいて、そうなると、彼ら、彼女らがこういう状況下で就職活動をするというのは、大変難しい。あるいは様々な支援を受けることが非常に難しいような状況にあるということを聞く機会が多くなりました。
 したがいまして、もちろんITスキルの支援というのは大変重要だと思っているのですけれども、それだけではなくて、就労支援の一環として、このオンラインへのアクセスというものも併せて考えていく必要があるのかなと感じています。
 新卒応援ハローワークでは、オンライン面接を受けられるような体制が整いつつあるようなお話も伺っておるのですけれども、ぜひ広く充実していただければと思います。
 それから、2点目なのですけれども、先ほど大卒者の就職活動状況について、悪化しているという御説明がございました。
 確かに悪化はしているのですけれども、現状では、絶対値としては、それほど悪くないというような認識でおります。高卒者の場合、まだまとまっていませんけれども、恐らく似たような形で出てくるのではないかと思いますが、むしろ悪くなってくるのが、来年度以降だと思いますので、来年度以降の悪化に備えて、支援の拡充を積極的に進めていただけると大変ありがたいです。
 以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。
 オンラインアクセスあるいはオンラインを使いこなせる人材ばかりではないと。ITを使いこなせない人に対する対応も必要だというようなことですね。
 高卒、大卒の新規就職について、今回取りまとめでは大卒を中心に図表等々は出ていたのですが、今の御発言だと、高卒も似たり寄ったりのことかなということなのですが、そこはちょっとまだ、数字は拾ってもらいますので、また出たらということで、もしかしたら、この情報化の社会の中で、そこの違い、差というのは広がっているのかもしれないということもあるかもしれません。また、そこは見ていきたいと思います。
 続きまして、神林さん。
○神林委員 どうもありがとうございます。
 おはようございます。ちょっと朝早いので頭が余り働いていないのですけれども、大きくは2点で、マイナーなポイントも1点あると思います。
 1つは、コロナショックの性質、特徴なのですけれども、企業規模別あるいは産業別の雇用者数の動向等々を拝見しまして、やはりリーマンショックと比べるとかなり広範囲、経済全体に広範囲にわたって、マクロショックのような格好で起こっているのかなと。
 リーマンショックのほうは、製造業中心だったという、ちょっと性格の違いというのがあるような気がします。
 ただ、それが正しいとすると、そのセクターショックではありませんので、ミスマッチでありますとか、あと資源の再配分、リアロケーションといったような問題は、少し二次的になる可能性が多分あるのではないかと思います。
 ですので、どちらかというと雇用政策というのは伝統的な方向に回帰して、この一時的なコロナショック、マクロショックをどうやってやり過ごすかというモチベーションが強くなる可能性があるのではないかと思います。
 ですので、ここは報告書としては、しっかり、どちらといいますか、決め打ちする必要はないのですけれども、リーマンショックと比べたときに、今回のコロナショックの性質の違いというのがちょっと見えてきている。それによって、政策対応というのが、どういう政策対応がいいのかというのを考えるという道筋をはっきりさせたほうがいいのではないかと、自分は思います。
 ただ、今回の数字は、先ほどちょっと玄田さんがおっしゃいましたように、かなり様々な政策を発動した上での結果の数字ですので、そこをどう読み込むかというのは、ちょっと自分も判断しづらいところです。
 それを読み込んだ上で、今回はやはり、ある特定のセクターというところに発生したショックではなくて、大体どの人も、どんな産業も、どんな企業規模でも、どちらかというと平等にといいますか、均等にショックが起こっていると読むべきなのかどうかというところが、1つの論点かなと思います。
 もう一つは、求人サイドへの取組というのが、先ほど来、何点か出てきていると思うのですけれども、これはもう少し強調すべきだろうと思います。
 特に、職業訓練と、あとO-NET、ハローワーク、そういったものの使い方として、特にO-NETは、日本版O-NETを作る当初、かなり議論したところの1つに、求職側がO-NETを使うというのはほぼ自明といいますか、前提とされているのですけれども、求人がO-NETを使う。人事部がO-NETを使って、自分の会社の人事管理あるいは業績評価の職能資格制度の管理にO-NETを使うということをかなり重視してシステムを作るということを考えていました。
 その端緒が、1つの例として例示されていただきましたけれども、この機会といいますか、そういう傾向、つまり、職業訓練にも人事部がきちんと参加してもらうと。人事管理の訓練というのもちゃんと考えるとか、その求人サイドに対する積極的な取組というのも、
記述したほうがいいかなと思いました。
 最後にテレワークについてなのですけれども、前回欠席いたしましたので、どういう議論になっていたのかきっちりと把握はしていないのですけれども、そのコーディネーションの問題というのは、テレワークはどれぐらい重要なのかというのは、記述しておいたほうがいいと思います。
 それで、社内的なコーディネーションの問題と社外的なコーディネーション問題があると思うのですけれども、テレワークをするのだったら、みんな一斉にしないといけないのか、一人一人が、今日、自分だけテレワークしますと言って離脱できるものなのか、また、業界全体とか、顧客を含めてテレワークといいますか、デジタル化というのを一緒にしないといけないのか、うちだけ進行しますと、先にやりますということができるとかという観点というのは必要かなと思いました。
 あと、テレワークに関連いたしましては、先ほど堀さんがおっしゃったオンライン化というのを誰が負担するのかというのは、ある程度書いたほうがいいのかなと思います。これは大学に所属する皆さんも、如実に感じていると思いますし、ここフランスでも、かなり大きな話題になっているのですけれども、学生が、特に大都市の学生が、必ずしもオンラインに関して良い環境ではないと。
 それで、きちんとしたオンライン授業に参加できる環境を持っている学生と、そうでない学生の間の格差というのが、かなり真剣に議論されています。
 ですので、フランスではなるべく対面、大学も含めて対面に戻るということを議論しているのですけれども、今のところ、恐らく多く人たちはオンライン化というのを各世帯が担っている。補助を出している企業もあると聞いておるのですけれども、自分の大学も全く自宅のオンライン化にはお金を払ってくれませんし、その辺が、国の政策としてテレワークを推進するのであれば、各世帯のデジタル化というのも、ある程度公共的なインフラストラクチャーとして、水道や電気のように、きちんと5Gであるとか4Gというのをきちんと配分するというのは、国の責任であるということを書けるかどうか分からないのですけれども、そういう論点もあるのだということを確認しておいたほうがいいかなと思いました。
 以上3点です。
○樋口座長 ありがとうございました。
 今回のコロナ禍の中のショックといったものが、単に長期化しているだけではなくて、やはり、影響が広範囲に及んでいるのではないかと、特定の職種とか特定の業種というよりも、全般的にそれが起こっていると、そうなってくると、労働移動の話ではなかなか片づかない問題があって、むしろ、求人をしているような業種というのが、そう多くないのではないか。そういうことに対する視点というのも見ておく必要があるのではないかという話。
 あと、求人のO-NET利用といったものが、もともと想定されていたはずであって、そこについて、特に人事部の活用であるとかというようなことも当然視野に入れて、今後やってくべきではないかというようなこと。
 そして、最後がコーディネーションの話を含めて、特にコスト、これはソフトの問題もありますし、あるいは電力料金とか、そういう話もあって、その負担というものについて、まず、どうなっているのだろうかという実態もありますし、そこについて明確な視点というのを持つべきではないかというような御指摘だったと思います。
○神林委員 はい。特に1点目につきましては、前回までの議論ですと、自分が理解している限り、今回のショックというのは、やはり女性の雇用が減少したということと、あと休業が増えているということが、かなり大きな、リーマンショックと比べたときの特徴だという位置づけがあったと思うのですけれども、企業規模と産業というのを加味すると、何となく、女性であるとか休業が大きいというのも、企業規模や産業で説明できてしまうような気がするのです。
 そうだとすると、ちょっと報告書全体のニュアンスというのが変わってくるし、容易に反論を許すような筋書きになってしまうのかなと思います。自分が批判するとしたら、そういうふうに書くだろうなと思いますので、ちょっとこの辺の整理というのは、次回、私は欠席ですけれども、ちょっと委員の皆さんときちんと話して、集約をしたほうがいいだろうと思います。
○樋口座長 ありがとうございます。
 女性の雇用が男性に比べて減っているというのは事実だけれども、その要因が、もしかしたら、その業種とか職種の偏りによって起こっているのか、同じ業種の中でも男女の違いというのが寄与しているのかという意味でしょうか。
○神林委員 男性と比べて女性の雇用というのは大きく減少しているのですか。
 リーマンショックのときは、男性の雇用が減少して、女性の雇用は、むしろ増えていたのですね。
○樋口座長 そうですね。
○神林委員 リーマンショックのときと比べると、男性の雇用は、やはり減っていて、女性の雇用も減ったというところが特徴だと。
○樋口座長 女性の雇用のほうが大きくというか、女性の雇用も、今回は減っているということですね。
 その要因について、企業文化なり、どうするのか分かりませんけれども、何でそうなっているのだということについて、少し深掘りしていったらということだということでよろしいでしょうか。
○神林委員 はい、ありがとうございます。
○樋口座長 それでは、鶴先生、お願いします。
○鶴委員 どうもありがとうございます。
 事務局からの御説明も大変ありがとうございます。勉強になりました。
 いろいろ皆さんの御意見も聞きながら、ちょっと3点ほど申し上げたいと思うのです。
 まず、玄田先生のおっしゃった雇用政策のデジタル化の話というのは、私も非常にやはり重要だと思っています。ここは強調していただきたいと思います。
 特に、事務局からの資料5の御説明があったのですけれども、例えばO-NETの活用とか、それから、ハローワークのオンライン化というところもありますけれども、私は、マッチングの問題は、デジタル化とかAIも含めて、非常に大きな効果を及ぼすところだと思っています。別に人の話ではなくても、オークションマーケットとか、そういうところを見れば一目瞭然なのですけれども、ここをどれぐらい、デジタル化というところを推し進めるということができていくのかというところが、非常にマッチングの効率性を高めるという意味でも、私は非常に重要だと思っているのです。
 それで、ハローワークのオンライン化というところは、この資料でも11ページにちょっとあるのですけれども、オンライン職業相談(試行)の概要とか、そこはちょっと私、気になったのは、想定する利用者というのが、来所に制約がある者と、ITリテラシー高い若者と、では、普通の人は、余り利用するというのを想定していないのですかという話なのですけれども、これは僕も本当に、ここがまさに中心となるぐらいでいいのではないのか。
 オンライン診療と何か似ているような話が、もしかしたらあるのかもしれないのだけれども、私は、例えば、医者が実際に患者の心音を聞いたりとか、体を触ってみたりとか、実際に色を見たりとか、ある種、実際に対面でなければ難しいというところがあるのかもしれないのですけれども、職業相談というところが、本当にどれぐらいそういうものがあるのか、かなりオンラインで、それとそのデータベースを使いながら、O-NETというところも、もちろん組み合わせることできると思うのですけれども、かなりそれでできるのではないか、利用者の利便性というのは高まるのではないかという印象を持っているので、かなりこの部分は、本当に革新的にいろいろなものが変わる可能性がある、そういうものがあるのではないかと思っています。それが1点。
 2点目は、先ほど神林先生が、ちょっとおっしゃられた話にも関連するのですけれども、私は、もちろんリーマン等のショックもあるのですけれども、必ず、過去何回も景気後退とか、そのようなショックがあって、そのときに、日本経済を振り返ってみると、やはり製造業の部分というのは、非常に浮き沈みというのは激しくて、不況のときは、サービス部門、卸、小売とか、通常のサービス業、今回の飲食とか、そういうものも、もちろん含むわけですけれども、あと、建設ですね。
 そういうところが、非常に受け皿になるというのが、ずっとこれまでの通例で、リーマンのときも、輸出からかなり来たわけですから、当然、製造業というのは、非常に大きな影響を受けたと。
 でも、今回、いわゆるフェイス・トゥー・フェイス産業、ある意味では飲食とか宿泊とか、エンターテイメントのところ、旅行とか、非常に不況とか、そういうものに影響されにくかったところが、かなり影響を受けているということは、僕は事実だと思う。
それが今、Go To、何でGo To をやっているのですかと、まさにそこですね。そこが一番根本のところになっているわけで、通常ならば、そういう受け手になって、なおかつ対面のサービスというのは、敷居が高くないわけですね。例えば、製造業で失業しても、また、そこのほうに移るというのは、かつて非常にやりやすかった。
 これが、今、そういう最後の受け手になっているところが、壊滅的な被害を受けていて、では、その人たちがどこに行くのですかといったときに、ある意味で、行き場所がないというところが、結構もともとの、僕は、今のコロナの本質的な問題で、では、介護がいいのですか、医療がいいのですか、人が足りませんねと、非常にリスクがあるわけですね。
 そこの問題は、本当にどのように考えるのかというところが、必ずしも議論されていないなという印象を受けました。
 3番目は、テレワークの話も何回か出ているので、コロナの前の状況を御参考までにお話ししたいのですけれども、統計を取ると、例えば、総務省の通信利用動向調査などを見ると、昨年、令和1年で、やはり制度があると、オーバーオールの企業を見ると2割ぐらいなのです。
 ただ、先ほど御議論あったように、企業間格差は非常に大きい、資本金50以上だったら6割以上とか、1,000人以上だったら6割以上なのです。ただ、300人未満の企業は15%ぐらいしかないとか、そういう状況だったと思います。
 一方、大企業は、日経の、私は山本先生と一緒にスマートワーク調査などをやっているのですけれども、かなりコロナになる直前に、非常に制度の充実を図っていたなという印象を受けます。やはり、どんどん5割とか6割ぐらい制度を、ただ、私は、コロナ前のテレワークの一番大きな問題は、結構大きな大企業、上場企業についても、制度はある、制度は、例えば半分ぐらいあるのだけれども、制度があるのにもかかわらず、実際の利用者が非常に少ない、これが、やはりコロナの前の日本の問題点、だから大企業と中小企業、そもそも制度は悪くない、大きな格差があるし、大企業、制度があるところも、ほとんど結局使われていない。上場企業の従業員などを対象に見たら、やはり1割ぐらいの人たちが正社員中心だと思いますけれども、そのような状況だったのです。
 ですので、そこがコロナで一気に制度があるところは、わっと使う措置ができた。でも、制度がないところは、まさにそこからだったので、非常に大変な思いをした。そこが戻るか、戻らないかというところに決定的に影響を与えたということなので、一応、何回も議論になるので、その整理だけ申し上げました。
以上です。
○樋口座長 どうもありがとうございました。
 先ほど神林さんのほうから、今回のコロナに伴う景気後退あるいはショックというような特徴が、御指摘にあったわけですが、今の鶴さんのお話で、通常の不況あるいは景気後退なら、人材の受け手になるような業種あるいは職種、そういったものが今回は必ずしも受け手になっていない、あるいはそこでも雇用が減少しているというようなこと、あるいは、特に私にとって関心があったのは、従来、必ずしも高い技能を求められないような仕事で求人があったと。
 ところが今回は、むしろ、そういったところ、対面的な仕事、エッセンシャルワーカーのようなところでも、やはり資格だとか、あるいは技能であるとか、そういった高いものが求められるところでは、求人、人が不足していると言いながら、逆に今度、高い技能を求められないようなところでは、飲食と言っていいのかどうか分からないですけれども、むしろ求人が減っていると、こういったところで、ある意味では、そういった技能の重要性、それを持っていないと簡単には再就職できないというような問題の提起だったと受けとめたのですが、鶴さん、そういう解釈でよろしいですか。
○鶴委員 はい、結構です。
○樋口座長 ありがとうございます。
 では、その問題をどう考えていくか、そこでまさに技能形成なり、人材育成なり、そういったものに対する支援の在り方というのが議論になってくると、ある意味では、エッセンシャルワーカーのところの、まさに能力の向上というのを、どういう支援という形で進めていくのかという問題。
 もう一つは、テレワークの話も、制度があれば、テレワークを実施しているわけではないというようなところ、まさに働き方とか仕事の進め方全般について、見直しが求められていくということが、規模の大小にかかわらず必要ではないかというような御指摘だと思います。
 そんなことでよろしいでしょうか。
○鶴委員 はい。
○樋口座長 神吉さん、そうしましたら、お願いします。
○神吉委員 ありがとうございます。
 もうほとんど先生方の御指摘で尽きているかと思いますけれども、私から2点申し上げたいと思います。
大変大部な資料をいつもいただいて、非常に勉強になっているのですけれども、資料3の最後の部分に若干疑問があったので、テレワークと家庭内の夫婦の役割というところだけ、1点コメントします。
 89ページの家事、育児に関する夫婦間の役割分担、前回ちょっと私が発言したこともあって入れてくださったのかなと思います。
夫の役割が増加した割合は、夫の働き方に変化があった場合において、やや高くなっているというのに対応して、下の2つの分布図があると見ました。26.4%だったのが31.7%、夫の働き方に変化がありと答えた女性のほうが高まっているということですけれども、私は、逆に右側にある妻の役割の変化が気になってしまいました。これで見ると、夫の働き方に変化がありと答えた妻自身の役割が増えている割合のほうが大きいのです。妻の役割、やや増7.6%、妻の役割が増えているというのが20.4%もあるのが、逆に驚きというか、こっちの発見も結構大きいなと思いました。
 右上を見ると、そもそも働き方の変化に関して、労働時間の減少と増加が両方入っているみたいなので、もしかしたら増加した方が反映されているのかもしれませんが、増加した人が3.5%にもかかわらず、妻の役割が増えているというのはそれ以上です。、しかも夫と妻で見た場合に、「やや増」よりも「増」が、女性の場合は多いわけですね。夫は、ちょっと増えているけれど、妻は明確に増えたほうが高まっていて、上のグラフと下のグラフを見ると、夫の役割が増えた割合は、そんなに変わっていなくて、逆に妻の役割が「やや増」と「増」を合わせると16.7%から28%になっている。下のグラフを見ても、夫が増えたのが31.7%であるのに対して、妻が28%、実は余り変わっていない。この赤枠をどこにつけるかで、印象が大分違うなというのが感想です。
 実際は、夫が家にいることで、食事の世話だとか、妻側の家事分担の役割が増えたという話はよく聞きますので、一概に夫の役割が増えたとは言えないのかなと思った次第です。それが1点目です。
 2点目は、全体のまとめに関わる資料2のところで、2ページ目のデジタル技術を活用した働き方、デジタル化への対応の課題に挙がっている、このチェックの4つ目のところに出てくる就職氷河期世代の問題についてです。これまでのコロナ禍の中では、余りこういった世代問題というのはクローズアップされていなかったので、雇用政策の中での世代対策が、ここ数年課題に挙がってきたにもかかわらずどうなってしまったのだろうかという問題意識があります。
 上にも、「第2の就職氷河期世代を生まないために」と出ているのですけれども、これを考えるには、やはり、生まれてしまった就職氷河期世代への対応に関して、実際にはどういう問題があって、どういう対策が有効で、それがウィズコロナ、アフターコロナの時代に、どれだけ妥当するのかというような検証を、ぜひ入れていただきたいと思いました。
 でも、事務局に伺うと、そういう調査自体が余りされていない。政策としての歴史が浅いということもあって、一概には分からないということだったのですが、それは今後、必要となってくるのではないかと思います。
 第2就職氷河期世代を生まないための対策として、今回の資料でも、入り口の新卒対策がクローズアップされがちですが、そこを超えて、長期化していく場合、それを特定世代を対象とした雇用政策として、何らか特別なものがあるのか、それとも、ミスマッチ対策であるとか、教育訓練であるとか、非正規対策で吸収される問題なのか、さらに引きこもり対策のような直接の雇用政策以外の政策との連携が必要となる問題なのかといったことも含め、今後、世代対策としての雇用政策への示唆が、ある程度フィードバックできるような調査なり検証の仕組みが必要になるのではないかと思いました。
 私からは、以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。
 1つは、まさにこのテレワークと家庭内の夫婦間の役割というところの、これは、評価と言おうか、丁寧に読むと事実を言っているだけなのだけれども、どうもこれを要約して言うと、男の家庭の役割も変わりましたと言えないのではないかということですね。そう聞こえたのですが、それで、よろしいでしょうか。
○神吉委員 そうですね、いろいろな受けとめ方があると思うので、一概にまとめづらいなというところです。
○樋口座長 少しは変わったけれども、変わり方が少ないのではないかという見方も、そういう見方もあるのではないかというような御指摘だと受けとめました。
 もう一つは、世代間格差の問題で、就職氷河期の議論、どちらかというと、新卒、若者に焦点を当ててということで、そこに正規、非正規の問題はあるけれども、もう一つ、確かに高齢者雇用のところが、今回どう起こっているのだろうか、影響が出ているのかというところの議論がちょっとなかったのかもしれないなと。
 労調とかを見ると、65歳以上のところについては影響が出ているようだけれども、60から64とか、55から59とかというところが、どうもほかの国に比べて、あるいはこれまでに比べて、影響は少ないかもしれない。
 例えば、今までだと、すぐに早期退職優遇というような議論が出てたのが、今回なかなかそこのところが、なかなかというか、高齢法の影響もあるのかもしれませんけれども、目立った動きとして表れていないけれども、そういったところも含めて、ちょっと考えたほうがいいという受けとめを、私はさせていただいたのですが、それでよろしいでしょうかね。
○神吉委員 そうですね。世代問題としての切り取りという側面があったらいいのかなと。
 あと、具体的な資料2の関係でいいますと、就職氷河期世代の職業経験が少ない労働者が急速なデジタル化に対応できないという問題設定が少し狭いかなと思うのです。多分、職業経験の少なさとデジタル化への対応というのは、また、別の問題だと思いますし、就職氷河期世代の問題がそれだけではないということを、ちょっと述べておきたいと思いました。
○樋口座長 ありがとうございました。
 皆様から御意見をいただきましたが、一通り皆さんから聞いたかと。
 何か皆様から新たにつけ加えたいことを、あるいは問題提起したいことがございましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 玄田さん、よろしいですか。
 よろしければ、事務局で何か、今までの御発言の中で確認したいこととかがあったら、お願いします。
 よろしいですか。
○雇用政策課長 雇用政策課長の溝口です。
 貴重な御意見をありがとうございます。
 また、ちょっと御意見を整理させていただいて、樋口座長と相談の上、追加で資料を作成する必要なものがあれば、整理をした上で、先生方とまた御相談させていただければと思います。
 以上です。
○樋口座長 それでは、そろそろ時間も来ておりますので、本日の雇用政策研究会は、以上で終了したいと思います。
 各委員からいただいた御意見、もう一度、事務局と精査していただき、次回に提示したいと思います。
 次回の日程等について御連絡をお願いいたします。
○雇用政策課長補佐 次回第4回雇用政策研究会につきましては、12月21日の10時からの開催を予定しております。後日、改めて御案内を送らせていただきますが、どうぞよろしくお願いいたします。
○樋口座長 ありがとうございました。
 この間、皆様にも事務局の方からいろいろとコンタクトを取らせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 本日は、以上で終了いたします。
 どうもありがとうございました。
 

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