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2018年11月16日 第7回雇用政策研究会(議事録)

職業安定局雇用政策課

○日時

平成30年11月16日(金) 10:00 ~12:00

 

○場所

厚生労働省議室

○出席者

委員

樋口座長、阿部委員、神吉委員、神林委員、玄田委員、鶴委員、堀委員、宮本委員、山本委員
土屋職業安定局長、田端大臣官房審議官(職業安定担当)、北條職業安定局雇用開発部長、岸本職業安定局総務課長、河野職業安定局雇用開発部雇用政策企画課長、富田労働基準局総務課長、堀井雇用環境・均等局総務課長、志村人材開発統括官参事官(人材開発総務担当参事官室長併任)、高松政策統括官付労働政策担当参事官室企画官、弓職業安定局雇用政策課長、大野職業安定局雇用政策課長補佐

○議題

  雇用政策研究会報告書(素案)について

○議事

                                
 

○職業安定局雇用政策課長 ただいまより、平成30年度雇用政策研究会第7回を開催いたします。委員の皆様におかれましては、御多忙の中お集まりいただきありがとうございます。私、事務局の雇用政策課長の弓です。本日は、荒木委員、大竹委員、黒田委員、黒澤委員、佐藤委員、清家委員は御欠席です。

 本日の資料ですが、資料1として「委員名簿」、資料2として「雇用研究会の開催スケジュール」、資料3として「雇用政策研究会報告書(素案)」となっております。御確認いただければと思います。また、本日の研究会については、ペーパーレスでの開催とさせていただいております。使用方法については、卓上の操作説明書を御確認ください。御不明な点は事務局職員までお申し付けください。

 それでは、議事に入ります。進行については、座長である樋口先生にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○樋口座長 よろしくお願いいたします。これまでの研究会でも、皆様から報告書について御議論いただいてまいりました。本日も引き続き、議論していきたいと考えております。それでは、事務局から資料の説明をお願いします。

○雇用政策課長 それでは、資料3「雇用政策研究会報告書(素案)」に基づいて説明します。前回、骨子の素案という形で提出いたしました。様々な御意見を頂く中で、構成を変更しております。まず、目次を使い、構成の変更について簡単に説明します。素案の下の所に仮置きとして副題を付けております。「人口減少、社会構造の変化の中での雇用の質と生産性の向上の一体的推進と、多様な活躍に向けて」というタイトルを付けております。

 まず、序章があります。第1章は、我が国の経済・労働市場の変化です。項目が2つあります。景気回復・雇用情勢の改善と、労働市場の変化です。第2章は、人口減少、社会構造の変化の中での課題です。項目の1つ目は、多様な働き方の実現に向けた課題、もう1つは、人口減少、社会構造の変化の中での女性・高齢者等の活躍推進です。

 第3章は、雇用の質の改善と生産性向上の一体的推進です。最初の○は、雇用の質の改善(雇用面からの「ウェル・ビーイング」の実現)です。これを4つの項目に分けております。①多様な働き方の実現、②労働者の主体的なキャリア形成の支援、③外部労働市場の機能強化、④副業・兼業、雇用類似の働き方に関する検討等としております。次の○として、企業における人材育成・生産性向上の推進としております。

 第4章は、多様な人々が活躍できる社会の推進です。6つの項目を設けております。1つ目は、長寿化に対応した高齢者の活躍促進、2つ目は、女性の活躍推進に向けた社会環境の整備、3つ目は、様々な事情を抱える人の活躍支援、4つ目は、外国人材の受入れ環境の整備、5つ目は、地域の実情に応じた雇用対策の推進、6つ目は、働き方に中立的な税・社会保障制度の確立等としております。

 第5章は、2040年までの日本の姿です。2040年までの労働市場、AI・自動化の進展による雇用への影響という項目を設けておりますが、本日は需給推計等の関係があり、こちらについては内容を記載しておりません。

 中身について説明します。2ページです。第1章「我が国の経済・労働市場の変化」です。1つ目は、景気回副・雇用情勢の改善です。簡単にポイントだけ申し上げます。我が国の経済は景気回復局面にあるということ、名目GDP60兆円、実質GDP40兆円増加し、名目GDPの伸びが実質GDPの伸びを上回っているという状況で、経済の好循環が広がっています。こうした中、有効求人倍率は約45年ぶりの高水準となっており、失業率については約25年ぶりの低水準となっております。地方においても、有効求人倍率については全ての都道府県で1倍を超えています。

 「また」の以下に書いてあることについてですが、我が国の人口は2008年以降、生産年齢人口は1997年以降減少している中にあり、女性や高齢者の就業が進んだことにより、就業者数は、2012年からの5年間で251万人増加している。このうち、220万人は非正規ですが、正規雇用についても2015年から前年比プラスに転じており、3年間で135万人増加していることを述べています。

 2つ目は、労働市場の変化です。その中で、(深刻化する人手不足の状況)です。まず、人手不足が顕在化しているということで、有効求人については270万人、有効求職者は179万人と、求人が求職を大幅に上回って推移している。日銀の「雇用人員判断DI」では、全規模全産業においては、-33ポイントと、人手不足感が強くなっているところです。3ページです。産業別に見ても、特に「運輸業・郵便業」「サービス業(他に分類されないもの)」「医療・福祉業」「宿泊業、飲食サービス業」「建設業」などにおいて人手不足感が強いという状況です。企業規模別に見ると、入職率、離職率の状況で申し上げると、大企業では34歳以下の高い入職率と低い離職率により若手の確保に成功している。一方で、中小企業においては、若手の入職率は高いものの離職率も高いということで定着しておらず、むしろ60歳以上の層の労働力が活躍しているという状況です。また、34歳以下の層の離職の理由として、「会社の将来性」や「職場の人間関係」を理由としているというところで、エンゲージメント強化に向けた対応が重要であるということを記載しております。

 次に、(企業収益が拡大する中での人的投資・労働分配率の低迷)です。企業収益は過去最高を更新しております。2段落目からですが、人的投資については低迷しているという状況です。リーマンショック期の落ち込みから回復しているものの、GDPに占める割合については、他の先進国と比較しても低いという状況になっております。4ページは分配率の記載です。労働分配率については、長期にわたって低い状況です。産業別に見ると、「製造業」「飲食・宿泊業」「情報通信業」等において低い水準となっております。

 3つ目に、(賃金は改善傾向で推移)です。名目賃金については、1997年から低下傾向で推移しており、1999年と比較して2012年には10%低下しておりました。こちらについては、パートタイム労働者が増加したことなどの影響が考えられるところですが、2017年にかけてパートタイム労働者の割合が上昇する中にあっても、賃金の上昇は見られるところです。400万円以上の層の厚みが増しているということで賃金の改善が見られるところです。

 賃金分布を産業別に見ると大きな差があるところですが、いずれの産業においても賃金が比較的高い層の厚みが増しているということが確認されています。ただ、国際比較をすると、我が国では、生産性水準と比較して相対的に賃金の水準は低い状況にあり、伸びは緩やかという状況になっております。

 (生産性の企業規模間格差)です。産業別に生産性を見ても、どの産業においても規模が小さいほど生産性が低いという状況です。製造業について1人当たりの売上げを比較すると、日本については、250人以上の企業と19人の企業で、5倍程度の差です。この差がアメリカは3倍程度、オランダは4倍程度ですので、我が国の1人当たりの売上げの格差は大きいという状況です。

 (AI等の普及・進展)です。2015年度に実施された調査については、ビッグデータについて、「関係がない」「わからない」という回答が全体の70%を示しております。異なる調査ですが、2017年に行った委託調査においては、85%以上の企業がビックデータを「既に活用している」「活用する計画・予定がある」と活用意欲を持っております。AI等の活用目的については、「既存業務の効率・生産性を高めるため」という目的が主な回答で、再教育の必要性など、人材育成の重要性が高まっていることが見て取れるところです。

 (雇用慣行の変化)です。生え抜き正社員の割合を見ると、大卒正社員は、2005年で57.5%、高卒正社員で36.0%であったものが、2016年で見ると、それぞれ52.2%、29.9%ということで低下傾向となっております。6ページです。賃金カーブで見ても、フラット化する傾向が見られるというところです。また、非正規雇用については、その占めるウェイトが拡大している。また、非正規雇用という雇用形態を積極的に選択する方も増えているという状況です。ただし、正社員と非正規の間の賃金格差については大きな状況があり、その差は縮小している状況ですがパートタイムと正規雇用の賃金の格差は5割程度という状況です。

 「また」以下の段落に書いているのは、「不本意非正規」についてです。不本意非正規の割合については低下しているところですが、273万人の方がいらっしゃるという状況です。特に4554歳の男性の非正規雇用労働者のうち、不本意非正規の方の割合が高いという状況です。

 (正社員において低い働き方の柔軟性)です。ここでは、「勤務日」「勤務時間」「勤務場所」を選べるという観点からの正社員の働き方の柔軟性を捉えておりますが、正社員の働き方の柔軟性は低いという状況です。7ページの「また」からの段落で記載しているのは、正社員の実労働時間と希望する労働時間の関係について見たものです。長時間労働に従事する方の中には、現在の労働時間を減らしたいと考えている方が多く存在しているということを指摘しています。

 (転職ニーズが高まる中で、転職市場は緩やかに拡大)です。転職等を希望される方は増加しています。転職市場については長期的に見ると拡大傾向となっています。一方で年齢別に見ると中高年齢層における転職については低い水準となっています。2段落目から「この背景には」と記載しておりますが、年齢が上がるにつれて、転職先での賃金低下や失業等への不安があるということを挙げています。4行目の後段からです。企業から見ても3545歳については採用に積極的である状況ですが、45歳以上については、「あまり採用は考えていない」という状況です。

 (地方から首都圏への労働力流出)です。我が国全体の人口が減少する中で、首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)一極集中の傾向が高まっている状況で、前年と比べて14万人増加です。下のほうに記載しておりますが、地方から首都圏に移動される方が増加することと相まって首都圏から地方へ移動する方が減少しているという状況です。

 中段からは、第2章「人口減少、社会構造の変化の中での課題」です。まず、人口については長期的な減少傾向に直面しており、この10年間で100万人以上減少しています。また、2040年には11,000万人程度まで減少し、人口に占める65歳以上の人口の割合については、2017年時点の27.8%から2040年には35%を超えるということが予想されております。また、生産年齢人口は、1997年の8,697万人をピークに減少を続けているところで、2017年には7,604万人と20年間で1,000万人程度減少しており、2040年には5,978万人まで減少することが予想されています。併せて、長寿化による職業生活の長期化や、AI等に代表される技術革新の急速な進展による働き方も含めた社会のあり方の変容が生ずることが見込まれる中で、我が国が、将来的に経済を維持・発展させていくためには、多様な働き方の実現による人々の就労参加や、女性・高齢者の活躍支援、さらには、長寿化・AI等の進展に対応した雇用の安定を図る必要があるとしております。

 9ページの最初の四角ですが、多様な働き方の実現に向けた課題です。その中の1つ目は、(人手不足が深刻化する中での労働者の待遇改善)です。人手不足の深刻化については、企業における事業の発展・継続に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、労働者にとっても時間外労働の増加に結びつきやすいという面があります。その一方で、企業の生産性の向上、労働条件の改善、公正な待遇の確保、雇用の質の向上の好機でもあるということが言えます。

 労働者の処遇の改善を目指す観点からは、産業における発展・継続を阻害しない程度に緩かに引き締まった労働市場が望ましいものと考えられます。労働者の処遇の改善に当たっては、生産性の向上が必要であり、特に中小企業における生産性の向上が重要であるということ。また、質の高い雇用を享受し、その能力を最大限発揮することができる環境の整備を進める必要があるということを述べています。

 最後の段落です。賃金について見ると、年齢構成・産業構成・雇用形態の変化という構造の中で賃金が向上しないということが見られるところですが、企業が将来的に賃金に下方圧力が生じるような事態になっても賃下げは難しいということにより、あえて賃金を上げないという「賃金の上方硬直性」が働いていることも考えられるとしており、賃金が上昇する環境を整備していく必要があるとしています。

 (働き方改革の推進、働き方の選択肢の拡大)です。我が国の労働供給の中心は、59歳以下のフルタイムの労働者である。10ページです。こうした職務等が必ずしも限定されていない正社員の方々については、多くの利点を持ち、労使の合理的な選択の結果として、多くの企業や労働者に選択されている就業形態という状況です。しかしながら、依然として長時間労働の実態などが見られることから、「働き方改革関連法」において、時間外労働の上限規制、また、年次有給休暇の時季指定の仕組みの整備等が図られたというところで、こうした取組を着実に推進していくことが必要であるとしています。一方、非正規雇用労働者については、柔軟性が非常に高いわけですが、低賃金、不安定雇用、職業能力開発機会や正社員への転換機会の欠如という問題が依然として存在しています。同一労働同一賃金や、多様な働き方の推進が重要であるということを述べています。

 (産業構造の変化、職業生活の長期化に対応した雇用の安定の充実)です。AI等の新技術に代表される第四次産業革命と呼ばれる技術革新という中において、ビッグデータ・ビジネスやシェアリング・ビジネスなど、様々なビジネスが生まれております。第5次科学技術基本計画においても、「Society 5.0」という形で強力に推進していくこととされているところです。こうした一連の変化については、仕事を取り巻く環境や働き方にも大きな変化をもたらし得る。

 次の段落ですが、特にAI等の技術革新が雇用・労働に与える影響については、複数の試算があり、一概には、雇用の総量を増加させるか減少させるかについては評価が定まっていないという状況です。しかしながら、今後は、こうしたAI等の進化によって一人ひとりの仕事に求められるスキルが劇的に変わっていくという可能性があります。

 また、健康寿命が延伸している状況の中で、職業生活の期間が延伸していくことが見込まれます。最後の段落ですが、こうした産業構造の変化や職業生活の長期化が進展する中においては、1つの企業に勤め続ける場合のみならず、転職により就業する企業が変わった場合においても、雇用の安定が継続的に図られることがますます重要となるとしています。

 12ページです。(転職ニーズが高まる一方、中高年層では希望に見合う転職が困難)です。中高年層では必ずしも希望に見合う転職ができていないという状況が見られます。我が国では、業種・職種にかかわらず共通して発揮される職務遂行能力の適切な評価が行われていないことや、人材確保を志向する企業においても、具体的な能力やスキルを特定できていない場合も見られるところです。中高年層が処遇を維持しながら円滑な転職を実現するためには、職務遂行能力の適正な評価がなされる環境の整備を図るとともに、また労働者が、業種・企業横断的な専門性を身に付けることが重要と考えられます。

 次の○は、人口減少、社会構造の変化の中での女性・高齢者等の活躍推進です。1539歳、及び4059歳の男性フルタイムの割合は、現在、50%程度まで低下しているという状況です。一方で、女性や高齢者のフルタイムの割合が増加しております。また、女性、パートタイム労働者の割合自体も増加しており、その主な内容については、女性や高齢者の就業率の上昇ということが言えるところです。「このように」からの段落ですが、我が国の労働供給については、女性や高齢者が支え手としての存在感を高めている反面で、女性や高齢者が十分に活躍できる環境が必ずしも整っていないということを指摘しています。

 13ページです。まず、女性についてですが、出産等により離職した後の再就職は非正規雇用が中心となっています。また、女性の非労働力人口のうち、就業を希望しつつ、すぐには就業できない方が約200万人程度存在しています。理由については、「出産・育児のため」が半数を占めていますが、育児をしながら希望に応じて就業できる環境の整備が重要であるとしています。

 高齢者については、就業を希望しつつ就業しなかった理由については、「適当な仕事が見つからなかった」であり、その内訳は、「条件にこだわらないが仕事がない」「職種が希望に合わなかった」など、ミスマッチが生じているところです。女性や高齢者が自らのライフステージや希望に応じて就業できる環境の整備が急務となっています。

 また、地方においては、若者や女性を中心に労働力の流出が続いている中において、高齢者の活躍を推進するということは、地方創生という観点からも重要となっていると考えられます。さらに、外国人労働者についても適切な労働条件の確保など、雇用管理の改善に取り組み、その有する能力を有効に発揮できる環境の整備が必要であると考えています。

 14ページです。第3章「雇用の質の改善と生産性向上の一体的推進」です。労働者一人ひとりが自ら望む生き方に沿った豊かで健康的な職業人生を安心して送れる社会を築いていく。(雇用面からの「ウェル・ビーイング」の実現)のためには、公正な労働条件の下、失業を経ても職業キャリアの安定が図られ、かつ、労働者が自らの希望に応じて働き方を選択できる多様性が確保された、いわゆる「質の高い雇用」の実現を図ることが重要であるとしています。

 また、企業の経営の効率化及び競争力の確保を図らなければならないのですが、この2点については、相反するものではなく、「雇用の質の改善」と「生産性向上」は、一体的に推進することが望ましいとしております。

 最初の○は、雇用の質の改善(雇用面からの「ウェル・ビーイング」です。①多様な働き方の実現で、(長時間労働の縮減)です。無限定性が強い正社員の多くは、これまで長時間労働を厭わない働き方をしてきたところです。働き方改革関連法において、上限規制等が設けられました。こうした施策を着実に推進するということが必要であると書いてあります。

 15ページです。(同一労働同一賃金の実現)です。我が国の労働市場における格差を解消して、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる待遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにするということから、同一労働同一賃金も、働き方改革関連法において規定の整備等の改正が行われたところです。ガイドラインの策定等を通じて、こうした格差の是正に向けた取組を着実に推進していくことが必要としています。

 (賃金引上げ、最低賃金の引上げに向けた支援)です。賃金については、最も重要な労働条件の1つです。また、現時点では働くことを考えていない方々にとっての就労の魅力を高めて、新たな労働参加を促進する可能性があります。企業が積極的に賃金を引き上げられるような環境の整備等を図っていくことが重要としています。次の段落ですが、最低賃金については、これまでも20円台後半の引上げを実現しているところですが、労働者の処遇等の底上げを図るために引き続き積極的な引上げが期待されるところです。

 16ページは、(不本意ながら非正規雇用で働く者に対する正社員転換の支援)です。不本意非正規の正規雇用への転換を推進することが求められるとしています。特に、就職氷河期世代については、「長期不安定雇用」という状況にあるので、正社員化を強力に支援する必要があるとしており、課題に応じた就職支援や職業的自立の促進を強化することが重要であるとしています。

 (働き方を労働者が主体的に選択し、円滑な移動や転換、マルチキャリアパスを可能とするための環境整備)です。正社員の中では、一定程度限定された働き方をしたい方もいらっしゃるところです。勤務地限定正社員・職務限定正社員・勤務時間限定正社員等の多様な正社員について、労使の十分な話し合いを前提としつつ、多様な正社員の普及・拡大に取り組むことが必要であるとしています。また、正社員と、その多様な働き方との双方向に転換が可能となるような制度とすることが望まれるとしています。

 17ページです。(企業による個人の希望・特性等に応じた雇用管理の推進)です。前段は、日本型雇用における利点について書いています。そうした中においても、労働者の価値観が多様化しているところで無限定性が強い働き方の中でも、希望するライフスタイルの実現や育児・介護を両立しながら働き続けることができる環境整備、限定的な働き方や非正規雇用からも登用等の機会を設けるためのマルチキャリアパスを設けることを可能とするなど、個人の希望・特性に応じて柔軟で、よりきめ細やかな雇用管理を推進することが重要であるとしています。

 2段落目です。さらに、優秀な人材を社内に確保するためにも、本人の希望に配慮した配置の実施や軸となる専門分野の確立等を支援していく必要があるとしています。また、最後の段落ですが、労働者においても、将来のキャリアを会社任せにすることなく、望ましいキャリアに沿ったスキルアップの機会を得られるように、自らのキャリアプランを人事担当者に伝え、話し合うことも重要であるとしています。

 (雇用契約内容や雇用ルールに関する労働者の理解促進)です。労働者の方の中には、有期雇用契約を結んでいる場合であっても労働者の方が認識していない場合も見られるところです。また、経営者の方についても、労働関係法令、各種ルールに習熟していないところが見られ、労働関係法令等に関する周知を図ることが重要となっています。また、現在働いている方に限らず、高校生等に対して、学校段階からの職業意識の啓発、18ページですが、労働関係法令、社会保障に関する教育を推進することが必要としています。

 ②労働者の主体的なキャリア形成の支援です。その中で、(ライフステージに応じたリカレント教育の整備)です。2段落目ですが、個々人の人生の再設計が可能となる社会を実現するため、何歳になっても学び直し、職場復帰、転職が可能となるリカレント教育の推進に向けて、夜間・土日の教育訓練コースや、オンラインを活用した学習サービスの提供等の環境整備を推進する必要があるとしています。また、リカレント教育で身につけたスキルが適正に評価され、それを活用できる選択肢の確保も必要である。さらに、そうした人材育成のニーズに対応した教育プログラムの開発・実証を行うことも求められています。「加えて」の段落ですが、教育訓練休暇制度や、時間面や金銭面での労働者の学び直しに向けた環境の整備が求められるとしています。

 (キャリアコンサルティング、セルフ・キャリアドックの普及促進)です。自らのキャリアについて立ち止まって考える「気づきの機会」も必要ということで、キャリアプランの再設計や学び直しを促す、また、ジョブ・カードの活用普及促進ということにより、学び直しに資する環境の整備をすることが重要としています。

 19ページです。③外部労働市場の機能強化です。初めに、(転職・再就職機会の拡大に向けた施策の推進)です。2段落目からですが、転職・再就職者の受入れ促進のための指針の周知や助成金、また、職業能力評価の整備、更に、転職・再就職の受入れ促進のための企業の醸成を図ることが重要としています。「また」以下の段落です。卒業後3年程度以内の就職・再就職も適職選択課程と捉え、適切な支援も重要としています。

 (職場・職業に関する情報提供等)です。安易で準備不足な転職については、それまで培ってきたキャリア・スキルを活かすことができず、労働条件の低下や転職先における早期離職の原因となると考えています。次の段落です。「ジョブ」「タスク」「スキル」等の観点から分析し、データベース化する職場情報提供サイトの整備などにより、職業情報の「見える化」を図ることが必要である。「加えて」からの段落ですが、職場情報や雇用管理の状況等が優良な企業の認定・表彰に関する情報、例えば、ユースエール、えるぼし、くるみん等の紹介を積極的に進めていく。さらに、企業においては、賃金等の条件や内容に限らず、職場情報や企業文化等の情報提供に取り組むことが必要であるとしています。

 (中途採用に対応した賃金制度等の整備の促進)です。年齢が上がるにつれて転職後の賃金が上がりにくい状況があります。外部労働市場における賃金相場に加え、社内の賃金水準や、個別事情も加味し、必要に応じて個別に労働契約を結ぶなどにより、公正な処遇の柔軟な決定や昇進・配置等を行うことが望ましいとしています。

 ④副業・兼業、雇用類似の働き方に関する検討等です。(働き方の変化等を踏まえた労働時間管理、雇用管理等の在り方の検討)です。副業・兼業を希望する方については近年増加傾向にあります。日本は諸外国と比べて、自営業等以外の副業を持つ方の雇用の割合は低いという状況です。21ページです。「副業・兼業の促進に関するガイドライン」がまとめられているところです。最後の段落ですが、こうしたものの周知を進めることが望ましいとしています。

  (雇用類似の働き方に関する保護等の在り方の検討)です。雇用類似の働き方については、検討会において、その保護等の在り方について、検討を行っていくこととしています。

 次は、企業における人材育成・生産性向上の推進です。(企業による職業能力開発支援の推進)です。生産性向上を図るためには、企業による人材育成が重要となっています。職業訓練に対する一部助成、職業能力開発支援促進センターとか、在職者訓練のコーディネート、コンサルティングと様々な後押し、こうした取組を更に進めていくことが必要と考えています。

 22ページです。「なお」として、JEEDが行っているオーダーメイド型の訓練について紹介しています。汎用性と企業特性とを組み合わせた訓練という取組を推進していくことが望ましいとしています。また、企業特殊的なスキルばかりを求めるのではなく、外部労働市場を通じた人材確保を考えるならば汎用性のあるスキルを重視することも重要としています。加えて、AI等の技術により補完的な付加価値を生み出すような人材の育成が重要である。次の段落ですが、AI等の新技術に関しては、高度な専門性に限らず、橋渡し的な人材の育成など、新技術を活用できる人材の育成が必要であるとしており、最後の文章ですが、様々なニーズに対応した教育プログラムを教育訓練機関等に普及させていくことが重要としています。

 (取引環境・過剰サービス等の見直しに向けた取組)です。23ページです。働き方改革推進支援センター等を通じた業務プロセスの改善の支援に加え、商慣習の見直しや、取引条件の適正化を推進することが必要ということです。例えばとして、労働時間等設定改善指針に基づいて改善を図ることとしています。また、飲食業や宿泊業について、サービス水準の高さについて高い評価でしたが、過剰なサービスを提供しているという指摘もあるところです。また、ローカルマーケットの独占の状態という市場機能が十分に働いていないという意見もありました。市場の機能が適正に働くような市場環境の整備を図る必要があるとしています。運輸業、建設業についても、労働条件の改善を進めることの必要性についての記載を行っています。

 (企業による個人の希望・特性等に応じた就業形態の推進)です。一人ひとりの希望・特性に応じた就業形態を推進する必要があり、例えば、テレワーク等の柔軟な働き方を推進することの必要性について述べています。

 24ページです。(非正規雇用労働者に対する職業訓練の実施等による生産性の向上)です。非正規雇用労働者を含めた全体の底上げが重要だということを記載しております。公的職業訓練や教育訓練給付等によるキャリアアップの支援の必要性を述べています。

 第4章「多様な人々が活躍できる社会の推進」です。様々な事情によって働けない人々について、こうした事情を一つ一つ取り除いていくことにより活躍の機会を提供することは、単に収入を得る手段ではなく、社会参加の手段の1つとして人々の生活を豊かにすると考えられるところです。また、人口減少が進む我が国において社会としての活力維持の観点からも重要となっているということを、まず述べています。

 ○長寿化に対応した高齢者の活躍促進です。65歳までの安定的な雇用の確保に加え、65歳を超えても、現況において多くの方々に就業継続意欲が見られるところです。年齢にかかわりなく希望に応じて働き続けられることができるよう雇用・就業環境の整備を図るとともに、社会保障制度についても必要に応じた見直しが求められるとしています。

 また、高齢者については、今後、高齢者の活躍を推進していくという観点から捉えると、柔軟で多様な働き方を一層推進することが必要としています。下の所に、「なお」でシルバー人材センターの話を記載しております。労働に加えて福祉的視点も併せて持つことを踏まえつつ、支援が必要な高齢者についても働けるような環境整備をしてはどうかという御意見もございました。

 ○女性の活躍推進に向けた社会環境の整備です。女性活躍の場の拡大は、生産性向上・経済成長の重要な柱の1つである。全ての労働者が継続して就業して活躍できるように、育児・介護休業制度や短時間勤務制度の定着を図ることにより、育児・介護と仕事を両立しやすい職場環境の整備を進めることが重要としています。

 「また」以下ですが、まずは、ハローワーク事業の拡充及び機能強化、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき、行動計画の策定・情報公表などの推進が重要としています。さらに、今は働いていない方に対して就労参加の働き掛けを行うこと、労働条件の緩和を必要に応じて促すことが望ましいとしているところです。

 ○様々な事情を抱える人の活躍支援です。まず、障害者の方について、地域の就労支援機関が障害者等に関する就労支援や企業に対する相談支援を行い、雇用率の上昇や雇用者数の増加という雇用の量的な拡大を推進するとともに、就労定着支援等を一層推進していくこととしています。

 26ページです。「また」として、治療と仕事の両立を希望する方に対する支援の重要性についての記載、さらに、経済的に生活に困窮されていらっしゃる方に対する支援の重要性、また、刑務所出所者やホームレスの方についての支援の必要性についての記載をしているところです。

 ○外国人材の受入れ環境の整備です。新たな在留資格に基づく外国人材の受入れを進めるに当たり、受け入れる分野の生産性の向上、女性・高齢者等の国内人材の就業促進を推進して、外国人材を受け入れることの重要性について記載しております。「また」以下ですが、外国人が一層増加することが見込まれる中で、円滑なコミュニケーションの実現に向けた日本語教育の充実等を通じて、共生社会の実現に向けた環境整備の重要性を述べています。加えて、高度外国人材の専門性の発揮や公正な評価・処遇に繋がる雇用管理の改善の必要性を記載しています。

 27ページです。○地域の実情に応じた雇用対策の推進です。地方における人口減少を克服して将来にわたって成長力を確保するためには、地域に魅力ある良質な雇用機会を創出する取組が重要ということを述べています。

 最後は、働き方に中立的な税・社会保障制度の確立等です。働き方の多様化を踏まえ、様々な形で働く人をあまねく応援する等の視点から、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大など、女性が働きやすい税制・社会保障制度等の見直し、また、高齢者の就労意欲の高まりを踏まえた年金受給開始時期の選択肢の拡大を進めることが必要としています。また、こうした点も含め、国民の誰もが長く元気で活躍できるように、「全世代型社会保障」の構築を併せて進めることが重要としています。長くなりましたが、以上です。

○樋口座長 どうもありがとうございました。丁寧な説明を頂きました。それでは、皆様からの御意見を頂きたいと思います。これまでにも皆様から御意見を頂いて、一部修正した上で今回提示されているかと思います。前回、一番大きな議論になった点が、こういった章立てと言いますが、特に具体的には言わないほうがいいかもしれませんけれども、章立てについていろいろ御意見を頂きました。まず、章立てで第4章まで、第5章はこの後追加されるということですので、第4章までの章立てで、こういう章立てでよろしいかどうかということについて御意見を頂き、その後、個別の問題について議論していきたいと思いますが、どうでしょうか。特に、これが落ちているのではないかというようなことがありましたら、重要な論点でありましたらお願いいたします。どうでしょうか。いいですか。

 私が振っておきながら自分が言うのも変なのですが、散りばめて入っているのですけれども、賃金分布、賃金格差の問題が、この10年ないし20年でどう変わってきたのかと。そして、今後の中において、それに対する、特に賃金の低い人たちへの支援というか、最低賃金の話だとかというのは入っていて、あるいは企業規模間の生産性の格差の問題とかは入っているのですが、どうでしょうかね。特に最賃の前とか、あるいは能力開発支援の前の所で、非正規の問題という形で入っているところ、最近はかなり詳細な賃金構造基本調査とかを使った分析というのも出てきているのだろうと思います。男女で大分違った動きをしているなどというような指摘もあったりするので、ちょっと入れたほうがよいのではないかなと思っています。

 今後を見通せば、特にAIの進展というのは、業務によって定型的なものを減らし非定型を増やしていけると同時に、賃金格差に今までの産業技術革新というのは大きな影響を及ぼしてきたという経験が世界各国である中において、これもその可能性があるということがありますよね。あるいは外国人労働者の受入れで、その人に対する改善というか処遇の改善は当然あるのですが、一方でその人たちの供給が増えることによって、単純に考えると、そういった日本人の賃金格差にも影響を及ぼしてくる可能性とかというのもあるのではないかと思いますので、今後を見通したときにもコーションとして、どういう支援があるのかというのも含めて、何か入れておいたほうがよいのではないかと。

○雇用政策課長 御指摘を踏まえて、もう少し賃金格差について何か分析なり、記載ができないか検討させていただければと思います。

○樋口座長 もし、全体のストラクチャーがこれでよろしければ、それぞれの個別の論点について御議論いただきたいと思います。どなたでも結構ですので、よろしくお願いいたします。

○鶴委員 章は分けなくてもよろしいのですか。第1章から第4章といったようなことはやらなくてよろしいのですか。

○樋口座長 特に、全体としては第3、第4章を御議論いただきたいということですが、もちろん、その前の章でもあれば結構です。

○鶴委員 今の座長からのお話の所は、多分、第1章にいろいろ分析的な話があって、そこで賃金の動きとか業種別の話、あとは生産性の規模間格差のところがあるのですが、そこに先ほどおっしゃった格差の推移とか分析的なものがあるのであったら、そこに話をやはり一度出していただいて、後の章で、その対応というのを踏まえる形でやや書き加えるというやり方があるのかなと思いました。

 私からちょっと申し上げたい点としては、6ページの下に(正社員において低い働き方の柔軟性)というのがあります。非正規のほうが「勤務日」、「勤務時間」、「勤務場所」を選べるという書き方で書いてあって、柔軟性という言葉が雇用システムを議論するときに非常に微妙な、いろいろな多面的な意味を持つなと思います。これまで日本の雇用システムが柔軟的だと言われてきたときは、例えば正規と非正規という二重構造ということである意味柔軟性を確保するし、日本型の無限定正社員的な正社員というのは、使用者、企業側から見て非常に配置がいろいろ自由にできるということで、非常に柔軟的だという形でいろいろ言われてきたり、労働時間による調整とか、そういうのが柔軟的にできるというような文脈だったと思うのです。

 ここでは非正規が、確かに非正規の特徴がどんどん強くなって、学生アルバイトみたいになれば、この日しか勤務できないとか、この時間しか駄目だとか、ある意味ではそういう自由度というのが大きくなるのかもしれないのですけれども、ここで柔軟性という言葉をどうしても使わなければいけないのか、非正規のほうが非常に柔軟性が高いと。私は、より限定した働き方を、それはある意味では多様性ということだと思うのですけれども、より限定した働き方を選べるということは非正規の特徴ではあると思うのですが、それを柔軟性という言葉でまとめてしまっていいのかなと、やはりちょっとここの記述については気になりました。とりあえず、以上です。

○樋口座長 どう変えていったらよいかを言ってくださると、事務局としては助かると思います。

○鶴委員 そうですね、正社員の場合だと労働時間がフルタイムということなので、より限定的な働き方を選べるという、何かそういう利点ということで言っていただくのがよいのではないかと。そういう意味では、限定的な働き方を選べるという選択肢があるということだと思います。そういう言い方にしていただいたほうが正確なのかな、だから、柔軟性という言葉を使わずに、おっしゃりたいことは多分言えるのだと思うので、その言葉を使わないということだけがポイントになってくると思います。

○樋口座長 事務局、いいですか。

○雇用政策課長 表現ぶりについては、検討させていただきます。

○樋口座長 他にいかがでしょうか。

○神林委員 ちょっと批判的な視点で、ずっと聞いてみていたのですけれども、やはり1つ気になるのは、時系列を示すときの基準年の取り方が結構ばらばらかなと思いました。基準年の取り方によって上昇傾向がどのように見えるのかというのが、ばらばらになりますので、できれば一つ一つの時系列を解説するときに、ちょっと気を付けていただいて、統計上の制限というのはもちろんあるのですが、恣意的に基準年を取ったというように解釈されないようにしたほうがよいかと思います。

 2005年とか2013年、まあ2002年が景気の底だったので、2002年ぐらいを基準に取って、ここ十数年ぐらいの傾向を見るというのが基本だと思うのですけれども、アベノミクスが始まる前後ぐらいを基準に取るとか、そういうのもあると思います。ただ、なぜこの基準を取ったのかというのが分かるように、明示的に示す必要はないと思うのですけれども、聞かれたときに、これはこういう理由でここを基準年に取ったのだというように答えられるようにしておいたほうがよいかなと思いました。これは全体に関してです。

○樋口座長 これは、今回は図表が付いていないのですけれども、図表は別添という形で付くのですか。

○雇用政策課長 図表についても整理して付けてまいりたいと思いますし、今頂いた御意見、基準年の整理について、おっしゃったように統計上の制限の部分もあれですが、そこをきちんと説明できる形で整理させていただければと思っております。

○鶴委員 私もこれを見て、神林委員と同じ感想を持っていて、図表を見てみないと、この基準年の取り方が適切かどうかというのは、ちょっと我々は判断の仕様がないのです。そうすると逆に、図表をお出しになったときに見て、やはりここを基準にして取るのはちょっとおかしいのではないかとか、そういうのも当然出てくるので、今の段階ではなかなか判断仕様がないという部分が幾つかあったように思います。なので、最終的にもう一回図表を見て、気になる所があれば委員から「意見あり得べし」というふうに御理解していただいたほうがよいのではないかと思います。

○阿部委員 すごく細かい所なのですけれども、20ページの一番下から始まる副業・兼業の話です。20ページの一番下に、「日本は諸外国と比較して、自営業者及び家族従業者以外の副業を持つ雇用者の割合が低い」と断定的に書かれているのですが、前回の研究会で頂いた資料では、そんなに低いのかなという感じがしていて、確かに北欧2か国に比べれば低いのでしょうけれども、それ以外の国とそんなに違いがあるのかと言われると、どうなのだろうなという感じはするので、ここを低いと断言してよいのかどうかというのは、ちょっと気になるというのが1つです。

 同時に、私は副業・兼業の研究は余り知らないので分からないのですが、副業・兼業が進んでいる国というのは、どういう労働環境にあるのだろうかなどというのも調べておかないといけないのかと。多分これを見ると、北欧の国々というのは労働時間とか有給だとか、日本とは全然違うレベルにある国だろうと推察するのです。そうすると、そういうワークシェアリングとかも活発に行われていると聞くと、そういったことが副業・兼業の大きさというか、割合の高さにつながっている可能性があるのではないかとか、いろいろ思われるので、そういったことも少し検討したほうがよいのかなと。

 私が言いたいのは、別に副業・兼業が増えたほうがよいとか、ないほうがよいとか、そういう価値判断はしませんけれども、ここに書かれてあるようなガイドラインがあって、認める方向にしていけば副業・兼業が増えるのかというと、やはり労働環境が変わらないかとか、あるいは時間が変わらないかとか、休暇日数が増えなければとか、そういった問題もあるのではないかというところはあるのではないかと思います。なので、どのように書くのかというのは、ちょっと分かりませんが、ここをクローズアップさせるよりはその前の段階で、やはり働く環境を変えることで個人が残った、経済学だとよく「余暇の時間」と言いますけれども、余暇の時間を増やすことでそれをどう使うかという個人の選択肢を増やすというような書きぶりだったら私はよいと思いますが、ちょっとそういう形で書いたほうがどうなのでしょうと、個人的にはここを読みながらいろいろと思いました。以上です。

○樋口座長 何かありますか。

○雇用政策課長 おっしゃるように、先般お示しした資料では、ここまでの断定は確かに言葉が足りない部分もありましたが、ただ、おっしゃるような背景というか、ちょっとどこまで調べられるかという部分はありますけれども、そういったことも確認しながら記載ぶりについては検討させていただければと思います。

○樋口座長 他にどうでしょうか。

○宮本委員 第4章の長寿化に対応した高齢者の活躍促進の所に関して2点ほどです。まず1つは、ここで提起されていることが具体的に何なのかということに関わって、言うまでもないことですけれども2040年を展望したときに、特に退職後の男性が地域で労働資源になるのかお荷物になってしまうのかということで、地域の明暗は大きく分かれてくると思います。

 今、長寿化に対応した高齢者の活躍促進という点では、「高年齢者雇用安定法」の見直しで、65歳までの雇用継続義務を70歳までで、恐らくここで社会保障の柔軟化という言い方をされているのも、それに対応して年金の支給開始年齢の引上げということになるのかもしれない。それはそれで、私は大事だと思っているのですけれども、先ほどの地域と定年退職後の男性とのつながりということを考えると、一般的に非常に弱いのです。70歳を超えてから地域デビューを果たすというのは、非常に難しいのではないかと思っていて、同じ会社で働き続けるというメニューに加えて、早い地域デビューを果たしていく。それも年金の支給開始年齢の引上げだけではなくて在職老齢年金の活用ということで、年金兼業型の就労というオプションもメニューに加えていかなければいけないのではないかと。

 去年のネタで恐縮ですけれども、私はPPAPと言っていまして、最初のPがペンション、ペンションに加えて2番目のPがパーソナルサービス、福祉、育児、介護等に関わっていく。3番目のAがアグリカルチャーで、4番目のPがプロフェッショナルスキルで、そば打ちでも何でもよいのですけれども何か、そういう技能を身に付けていく。そのPに加えて、他のPAPで活躍していくといったようなオプションというのが、これから高齢者が地域に居場所を見いだしていく上で非常に重要なのではないかと。厚労省の中高年者縦断調査をベースにした一連の研究でも、やはりそのようなつながりが、健康の度合いや医療費とも密接につながっていることが分かっているわけで、少し、特に男性高齢者の場合、地域デビューという問題を何か考えていかなければいけないのではないかと思っています。これが1点です。

 もう1つは、シルバー人材センターの話が出ていまして、これはちょっと日程の関係で欠席が2度ほど続いてしまったのですけれども、どういう議論だったのか承知していなくて、もし見当外れだったらお許しください。シルバー人材センターは、もともと福祉的視点を押し出してきたと思います。大河内一男さんがこのシルバー人材センターを設計したときも、年金が安定しているということを前提に、でも年金だけでは生きがいが得られないということでプラスアルファーとして、主には請負で、皆がワイワイ、ガヤガヤと仲良く働ける条件を作って、生きがい就労を作っていくというのがシルバー人材センターの基本だったわけです。

 今、シルバー人材センターには平均70万人以上の人が登録していて、平均月収が35,000円ぐらいということで、むしろ福祉的視点に加えて就労的視点というか、そちらを、例えば請負だけではなくて雇用の幅を広げる、派遣の幅を広げるような形で雇用の視点も併せて重視していかなければいけないタイミングなのかなと思っております。その辺りも1つ反映させていただければと思います。以上2点です。

○樋口座長 これは、担当のほうからお願いいたします。

○雇用開発部長 高齢者の関係です。地域の中で高齢者が居場所を作って生き生きと生活、仕事ができるという社会、生涯現役社会を作っていくということが1つの方向性だろうと思っています。そのためには、今までは60歳定年の上に65歳までの継続雇用というものを重ねていくと。65歳になった後どうするのかと果たと気付くと、地域との関わりが全くないということで、居場所がないという状況が出てきているわけです。

 今後の高齢者雇用を考えていく上で、年金と本人の雇用をどう組み合わせていくのかということを、いろいろなバリエーションで考えていかなければいけないと思いますし、地域の中で生活をしていくという上では、65歳になって、果たと、どうしようかと考えるわけではなくて、その前から考えていかなければいけない。もっと遡っていくと、中年期ぐらいから自分のキャリア全体を見渡して物を考えていかないといけない。そういった意味で、能力開発行政、人材開発行政では、キャリアドックという取組をしていて、定期的に自分のキャリアを人間ドックに入るように見直して、高齢者になったらどういう働き方をするかも含めて考えていこうと、そういう取組もしております。この研究会報告の中に、どこまでそれを盛り込めるかどうかは分かりませんけれども、そういう視点がありますので、どういう表現ができるかは事務局と相談していきたいと思います。

 シルバー人材センターのほうですけれども、おっしゃるとおり、当初は福祉的な就業というところから始まりました。ところが最近は、実際は会員数がどんどん減っている状況にあります。これはどういうことかというと、企業の継続雇用がどんどん進んできているために、そちらの企業で働く方が多くなってきて、そこら辺の層は雇用のほうにどんどん移ってきているという部分があります。この点は見直していかないといけないわけですけれども、シルバー人材センター自体が既に福祉的な就業から雇用の色合いがだんだん強まっているという実態が確かにあります。前回の高齢者雇用安定法の改正の中でも、派遣については臨時的・短期的就業という制限が掛かっていたものを規制緩和をして、週40時間までは派遣ができることにしておりますので、時代の流れだと思いますけれども福祉的就業から雇用のほうに実際だんだん移ってきています。それもシルバー人材センターの今後の方向の1つなのかなと思っています。これについても研究会報告の中にどこまで盛り込めるかは、事務局と相談していきたいと思います。

○樋口座長 よろしいですか。

○宮本委員 1点だけです。在職老齢年金については、廃止するとか、そういう話ではなくて、もうちょっと減額部分を緩やかにすることで、必ずしも4,000億も掛からないのではないかと思っておりますので、そこはいろいろなオプションを。

○雇用開発部長 御議論のあった年金支給開始年齢の話ですとか在職老齢年金の話は高年齢者雇用との関係で当然議論になるわけですけれども、所管が年金局ということもあって、ここにはなかなか正面から書きにくいところはあり、そこを踏まえて、どういう対応ができるか考えていきたいと思います。

○樋口座長 この間、前回だったかな、清家さんから在職老齢年金についての廃止というのがありましたけれども、どのように廃止するのかは分かりませんが、ちょっと出たこともあって、今の所をどう書くかというのを御検討いただければと思います。

○阿部委員 今ちょっと気になったのは、シルバー人材センターの在り方のところで、支援が必要な高齢者等と書いてあるのですけれども、支援というのが具体的にどこまで広がっていくのかというのがちょっと気になっています。というのは、障害者雇用のところを考えると、今、障害者雇用のところで議論されているのは、健常者に比べて障害者が比較的早く引退していくという議論も出ていて、それがシルバー人材センターにという話なのか、全然違うのかで話が違ってくるような気もするので、この支援というのが言葉としては気になるかなというところで、もう少しどういう支援なのかというのをお書きいただいたほうがよいかと思います。それでよいというのなら、このままでもよいと思います。

○樋口座長 どちらですか。

○雇用政策課長 今回この記載を設けたもともとの御発言は、黒澤委員からの御発言で、黒澤委員が例示として出していらっしゃった軽度の認知症的な方、そこまではいかないかもしれないけれども、働く能力が一般的な就労をするにはなかなか厳しい高齢者の方というようなイメージでおっしゃっていたのかなと理解しております。実際の記載の仕方については、また改めて検討させていただければと思います。

○山本委員 詳細な報告書の作成をありがとうございます。とても網羅的で、メリハリもできていて、とても良いと思っています。その中で、第4章の位置付けなのですが、第3章で雇用の質と生産性の両立をしていこうという話を打ち出して、第4章は人に焦点を当てて高齢者とか女性活躍推進とかということだと思うのですが、第4章の位置付けが、いまひとつ分かりにくくて、つまり、第3章の雇用の質とか生産性とは全然関係ないところにあるような書かれ方なのですけれども、人に焦点を当てていくことで雇用の質と生産性について、もう少し触れてもいいのかなという印象を受けました。

 例えば、高齢者についても活躍推進をすれば、日本全体の生産性が高まっていくはずですし、外国人労働についてもそうだと思います。そういうところを少し、質と生産性についていろいろなところで多少言及しても、第3章とのつながりが出てきてよいのかなと思いました。

 26ページの外国人材の受入れなのですが、2段落目で、短絡的に外国人を受け入れて人手不足解消でいいですねというのではなくて、いろいろな取組は続けていかなければいけないということを打ち出しているのは、とても良いと思います。ここもやはり、雇用の質を考えるならば、例えば外国人労働者が育児サービスにかなり供給してくれて、女性の就業がしやすくなるという形で、国内の労働者の雇用の質が上がるというような側面もあるでしょうし、あるいは先ほど樋口先生が言われたように、市場全体としては賃金を引き下げてしまうおそれもあったりするということもあるので、ここについては、もう少し側面も入れて、ここでは受入分野についてのことしか書いていないのですけれども、もう少し幅を広げて書くとよいのかと思いました。以上です。

○樋口座長 いいですか。

○雇用政策課長 特に、新たな受入れの部分については、今、正に国会で御審議いただいている段階というところで、なかなか詳細について記載することがまだ難しい部分もありますが、第4章全体としても少し質的な側面にも着目しつつ記載をしたほうがよいのではないかという御意見を承りまして、そういった工夫ができないかを検討させていただければと思います。

○樋口座長 他にどうでしょう。14ページの「多様な働き方の実現」という所で、会社に雇われて働くことが前提というか、その範囲の中での考え方になっているかと思うのですが、これは厚労省の施策で考えるのか、要は自営であるとか、あるいは最近のプラットフォームのプラットフォームワークなどというのが、技術革新の中で既に増えてきているし、更に増えていく可能性があって、働き方の選択としては、会社に勤めるのではなくて、正にフリーランスであるとかいう働き方もあるだろうし、あるいは正に会社を自分で経営するという、神林さんのような、自営業の分析の必要性であるというところもあるかと思いますが、そこはここは書かないで、雇用類似の働き方というので項目が後でちょっと出てくるのですが、ここのところは、そのように多様な働き方というと、会社に勤めるということの枠の中での話でいいのですか。

○雇用政策課長 全体の整理の問題かと思っております。我々としても、厚生労働省として、主に多様な働き方の実現の中では、正に会社に勤めていらっしゃる方々中心に書かせていただいて、ただ、先生が御指摘のように、雇用類似の働き方についても、今後の対応についての記載は21ページに設けた中で、様々な施策、いろいろな側面があるとは思いますが、こういった整理をさせていただいているところです。

○樋口座長 そうですか。

○鶴委員 重なるようですが、1つの提案としては、④の所を上のほうに持ってきてしまうという手はあるのではないかと思います。1個、落として、①の一番最後のほうに、雇用契約内容や雇用ルールに関する労働者の理解促進、17ページとあって、その下につなげてしまうという手はあるのではないかと思います。わざわざ節出しして、後ろに持ってくると、これは違う問題ですよというように、役所のほうは考えているという意思表示になると思いますので、もしかすると、ここは結構大きい話かもしれません。

○阿部委員 でも、そういう意思表示なのではないですか。

○神林委員 そういう意思表示であれば、それではっきりと言っておいたほうがよいのかなと思います。厚生労働省としてはこう考えている、ここは線を引きますというように考えているという間接的な意思表示になっていると理解してよいということでしょうか。こういうことは、はっきりこういう所では言わないのですか。

○阿部委員 これはちゃんと煮詰めたほうがいいと思います。というのも、やはり、どこまでを政策対象にしていくかという議論になるはずなので、例えば自営業者まで雇用政策というか、労働政策なのでしょうが、そこまで入れていくとなると、今度は雇用保険だとか、労災だとか、いろいろな所に波及していくはずですし、雇用類似も、今のところ狙っているのは、私の理解では多分、家内労働の延長線上にあるようなイメージで、自営なのですが、指揮命令はある程度受けるというところがあるから保護が必要だという理解で、雇用類似というのを多分、これから議論していくと思うのですが、指揮命令はどこまで関わってくるのかとか、保護すべき対象はどこまでなのかと、いろいろなことを煮詰めていかないといけないような気はするのです。だから、やるなというわけではないですが、今はまだそこまで、どこまでやるかというのをここでも余り議論していないはずですし、そこをちゃんと整理してからでないと、ちょっとどうなのかなという気はします。

○樋口座長 ちょっと議論のあるところで、私がそう思ったのは、フリーランスの話もあるのですが、実は60代の就業と言ったときに、労調とかを見ると、40%ぐらい自営なのです。残りのところで今まで議論してきたのですが、今度の70歳までの雇用をどうするかなどという話の中でも、自営なのか、開業なのか分からないですが、かなり意見が出てきているところで、働き方というところになってきたときに、会社に勤めるという雇用の範囲の中での議論をしていくのかどうかというのは、かなり違ってくるのかなと。少なくともそこにまた新しい展開がある中で新しい課題もあるのかもしれないし、今、雇用類似うんぬんと言っているのが、実は労働者性が非常に高い働き方の自営という形でやっていると思うのですが、それを整理しないと、なかなか議論が難しいなと。今後の課題なのか、それとも、もうそこは別ですというようにしていくのかというところで。神林さんは、むしろ。

○神林委員 それは個人的な意見ということですか。

○樋口座長 もちろん、個人的。

○神林委員 私の個人的な意見は、もちろん拡大というか、①の所に全部入れてしまったほうがいいだろうとは考えています。

○阿部委員 反対しているわけではないですよ。

○神林委員 けれど、確かにこの研究会の中で議論を尽くしているとは思えませんので、そこは座長にお願いするほうがよいのかなと思いますが。

○樋口座長 これは冒頭に、1回目のときに私が申し上げたと思うのですが、雇用政策研究会となっていて、片方は労働政策審議会なのですよね。それを識別しているのかと言ったことがあって、何となく一緒に、ごっちゃに議論してきたところがあるのですが、どうなのかなという、もやもや感を持ったまま、まだ自分自身でも回答が出ていないのですけれども。

○鶴委員 自営業の世界だけで、これまで完結というか、自営業からまた雇用者になったり、また雇用者が自営業になったりということがない、完全に割と分離されていたような世界であれば、線引きをすることがすごく意味があると思うのですが、先ほどの座長のお話で、高齢者でそういう人たちの割合が高くなっているというのは、もともと例えば定年まで勤めていたのですが、例えば60以降、定年後の働き方として、そういう働き方を選ぶことが出てきているということであれば、そこの間の行き来をする人たちが選択として出てくることになれば境界のところが非常に曖昧になってくると。そういうことであれば、そこもちょっと含んだ形で考えなければいけないというのは当然の成り行きだと思うのです。雇用政策研究会が、「いや、それは雇用者を見るんですよ」という線引きをしたとしても、そういう新しい動きが出てくるのであれば、やはりそれは無視はできないですよね、というスタンスだと思うのですよ。

○樋口座長 例えば兼業・副業の話も、実は主たる仕事として企業に勤めていて、兼業・副業といったときに、そっちも会社に勤めるという兼業・副業というのは、実はそう多くないですよね。そうなってきたときに、兼業・副業をうんぬんという議論をする以上は、それを保護するかどうかは別にして、それを視野に入れていかないと、正に行き来なのだろうし、同時に行うこともあるだろうしということを感じるのです。多分、今後そういう企業と、働くというのは、べったりではないものがすごく増えていく社会になってくるのではないかという中で、どうするかはすごく重要な問題になってくるのだろうと思いますが。どうでしょうか。

○玄田委員 それ以外も含めていいですか。

○樋口座長 いいです。

○玄田委員 いわゆる臨時・日雇い的な自営業というところが、多分1つの大きなポイントになってきて、今アメリカで高齢者はリーマンショックだとノマドワーカーという、本当に臨時日雇いのような、非常に不安定な形式上は自営業のところが増えてきて、そこが雇用者だろうが労働者だろうが分かりませんが、非常にトラブルの多いところなので、労働政策で対応しないという選択はないのではないかということは思いますね。だけど、私も賛成で、この点については十分な議論をしていないので、研究会報告で余り大胆なことを書くことはやや課題で、次回の研究会か何かでなさるのがいいのではないかと思いますが、併せていいですか。

○樋口座長 課題として書いて、それに対する対応は正に検討していくべきだという。

○玄田委員 課題自体がまだ整理されていない気がするのですけれど。ただ、同じような問題がアメリカとかヨーロッパでも起こっているはずだから、どういう政策を今、検討しているかという情報収集は必要ではないですかね。

 併せて、3点ほど、全部、非正規雇用周りの話で提案させていただきます。2つ目は17ページで、17ページの上の「企業による個人の希望・特性等に応じた」うんぬんの所の1段落目が非常に分厚く書かれているのですが、2段落目、3段落目は、やや言葉をまだこれから埋めるのかなという印象があるのです。特に2段落目の所は1つの提案で、人手不足の中で、優秀な人材を社内に確保することが必要だと書いてありますが、もうかなり進んでいると思うのです。特にいろいろな家庭の事情などで短時間で働くことを希望しながら、一方で、希望という意味では、安定した長期雇用を求める人たちが、特に正社員以外で非常に多いと。だから、特に正社員以外でも専門性を持っている人に対しては長期雇用、具体的には無期雇用を保証する形で短時間勤務をさせていると。これは統計にあるわけで、労働力調査などを見ても、今400万人台が無期雇用の正社員以外であると。つまり、いわゆる正社員以外に4人から5人に1人は、もう既に無期雇用の時代に入っていると。この背景を考えると、もちろん将来というか、もう始まっている無期転換ルールへの事前対応もあるけれども、明らかにこの可能性は人手不足というので、人材を確保するために無期契約を結びながら短時間勤務をしているということが、やはりデータとしてあるので、この辺りはこういう取組が既に進んでいるのだということの情報提供も、政策の1つの重要なポイントだとすれば、もう少し踏み込んで、無期契約の非正社員の増加というのが、こういう動きが起こっていることの1つの示唆だということをおっしゃってもいいのではないかなということが、まず1点目です。

 2点目は、17ページの下の(雇用契約内容のうんぬん)の所は、この辺りを非常に明確に書いているのはとても大事で、今回いろいろな所で、特に外国人労働への対応の所と関連するのではないかと思うのですが、特に契約を認識していない場合も見られるという言葉が書いてあって、この辺りは、もっと事実をしっかりと示したほうがいいと思っています。2017年の就業構造基本調査では、有期契約を結んでいるけれども雇用期間が分からないという人が195万人、一方で、有期か無期かすらも分からないという人は478万人、合わせて673万人。5,900万人の就業者のうちの673万人、つまり10人に1人以上が自分の契約期間について不明だというのは非常に大きな問題で、有期を結んでいる場合に限らず、有期かどうかも分からない場合も含めて、労働者が契約を認識していないということは、脚注などを補足してちゃんとデータを示しておくべきだと思います。この問題を解決していかないと、多分、外国人労働問題などが広がったときに大きなトラブルになるので、この辺りはもう少し踏み込んで言及されてはいかがでしょうか。

 3点目は、研究会報告で常に難しい、いわゆる非正社員の能力開発をどうするかというところで、24ページの上の段落の(職業訓練実施等による生産性向上)で、恐らくこういう書きぶりになるのだと思うのですが、もう1つは事実から踏まえていくと、非正社員に対し職業訓練が実施されているのは、やはり有期契約であっても比較的長期の契約である。先ほどの臨時・日雇いではなくて、いわゆる……言葉で、常雇の非正社員とか、無期の非正社員であるとか、契約期間が長くなると、それを見込んで会社も職業訓練を実施するし、ある程度の安定した雇用があれば、それに見合った自己啓発もするということは、これが就業構造基本調査を見ても明らかな事実として分かっているので、こういういろいろなキャリア・コンサルティングも大事ですが、やはりある程度の長期の働き方が非正社員に広がらない限り、職業訓練は普及しませんよ。しかも、流れからすると、非正社員の長期雇用化というのは、2000年台、2010年台は流れなので、決してそれは矛盾していない。そういうことも事実として示して、比較的長期の有期雇用が広がっていくことも、職業訓練の向上や改善にはつながるのだということは示しておくべきだと思います。以上、3点です。

○樋口座長 事務局、よろしいですか。

○雇用政策課長 貴重な御指摘を頂きました。御指摘を踏まえて、記載の充実に努めたいと思います。

○樋口座長 近年いろいろな政策の展開、あるいは法律の変更があったから、それに伴う変化がかなり起こっていると思いますので、今の例もそういったところを含めて書いてもらうといいかもしれませんね。他に、堀さん、ボランティアとかジョブ・カードというのが一切出てこないのですが、いいのですか。どこかに出てきましたか。多様な働き方は、ボランティアというのは違うのかな、あれは働き方とは。

○神吉委員 2点あります。最初、15ページの所で、(賃金引上げ、最低賃金の引上げに向けた支援)というのがあるのですが、この最賃のほうです。2段落目の所で、最低賃金については、全国加重平均20円台後半の引上げが続いていて、それは直接、賃金介入に有効な政策手段なのでということで、「引き続き積極的な引上げが期待される」というように結ばれています。これが2040年まで考えていくという中で、余りにも短期的ではないかと思うのですね。というのは、単に積極的に引上げしていってよいのか。既に、もう全国加重平均で1,000円を目指すという政策目標には、あと数年で近付いているという状況にあって、その先をどうするのかということがまず1点ですし、このままどんどん物価上昇を上回る引上げを実現させていったときに、その影響を検証する必要があるのではないかと思うのです。

 さらに、ここで最低賃金とまとめていますが、これは地域別の最低賃金で、特定最賃との関係もありますし、ここで単に最賃と書くだけではなくて地域別と言わなければいけないのと、地域別最賃の役割を再検討する必要があるのではないかと。何のためにどこまで引き上げていくかということを検証しながら見ていく段階に、もう既に来ているのではないかと思います。それが単なる「引上げが期待される」でいいのかなというところが1点です。

 2点目は25ページなのですが、(女性の活躍推進に向けた社会環境の整備)という所で、流れが分かりづらいなと思って見ていました。2行目に、「女性を単なる労働力として見るのではなく、活躍の場が広がることが、多様性を生み、付加価値を生み出す原動力となるという認識を持つことが不可欠である」という文章については、単なる労働力と見ることがどのように悪いのかということと、認識を持つというのは、誰が認識するのかなというところ、その辺りが気になっています。

 その後、幾つか段落がありますが、全ての労働者に対するものと、女性労働者に対するものが入り混じっていて、最後は30代から40代の女性の労働参加率が余り高くないので、労働参加を積極的に促しましょうと、結局、労働力の数で見ているだけなのではないかなという気がしたのが1点です。この辺はすごく分かりにくいので、こうしたらいいというのはないのですが、活躍というのは、どういう意味内容をここで持たせているのか。単なる労働力の参加率を上げるということではなくて、活用するという付加価値まで求めているのか、この辺がちょっとよく分かりませんでした。以上です。

○樋口座長 女活法というのはあるけど、そこで活躍というのは定義しているのですか。

○雇用環境・均等局総務課長 「活躍」自体の定義はないと思うのです。ただ、やはり意図しているところの中で含まれる中身としては、就業・就労の場における女性の参画ということに加えて、例えば政府全体として今進めている政策方針決定の女性の参画とか、そういうことがあります。ですので、女活法のスキームの中にも、そういったことについての目標設定のようなことも含意されていますし、そういう幅広い意味合いを込めたものが活躍ということにつながるのかなと考えております。以上です。

○樋口座長 ここの文章をちょっと直してほしいということですよね。今の「女性を単なる労働力として見るのではなく」という文章を特に。事務局は。

○雇用政策課長 記載ぶりについては、もう少し分かりやすい文章になるように工夫させていただければと思います。ただ、全ての労働者と書いてあるのは女性に限定されないで、例えば育児とかというところについては、そういった意味では女性に限定された話ではないということで、全てということで書かせていただいたりということがあります。おっしゃるように確かに、読んでいて分かりにくいという御指摘があるかと思いますので、分かりやすいように工夫させていただければと思います。

○神吉委員 今の点なのですが、結局ここで言っているのは、やはり労働参加率の向上と、政策に関する女性の意思決定の割合的参加率の向上というのがあって、だから私もここにいるのだと思うのですが。企業に関しては、そういう管理職割合を高めるとか、そういうことが推進されているとは思うのですね。それはいいとして、それは数として見ているだけで、実際には結局、全ての労働者への課題だと書いてある育児休業の取得であるとか、育児・介護の責任というのが、建て前として全ての労働者のためだと書いてあるのですが、現実としてはそれが女性に偏っているので、そこを何とかしないといけないと。そこがきれいな建て前を書いているがゆえに、逆に分かりづらいと。ケア責任の偏在ということを正面から認めて、そこをどうにかしていかないと、女性の未活用、労働力の参加率の向上にはつながらないのだという流れにしたほうがいいのではないかと思います。以上です。

○樋口座長 これはまた元に戻って、堀井さんの所の話ですかね。

○雇用環境・均等局総務課長 ありがとうございました。御指摘の趣旨は、また事務局と相談をして修文案を考えてみたいと思います。私どもの局の施策としても、仕事と家庭の両立支援と女性の活躍をワンセットで進めていくと。さらにはそれだけではなく、男性も含めた働き方の見直しということで敷衍させた形で進めていくというスタンスであるところですので、ちょっと文章の中でどういった形でそれを反映できるか相談して記載して、また委員の先生方に御相談させていただきたいと思います。

○樋口座長 今のお話だと、働き方だけではなくて、それこそ生活における男女の役割みたいなことも、むしろおっしゃったように思うのです。雇均は、そこまで入っているのですか。どうなのですか。

○雇用環境・均等局総務課長 職業生活と家庭生活の両立ということは、代表的なものは育児・介護ということではありますが、その裏打ちとして当然出てくるのは、例えばそういう家庭責任、育児・介護に代表されるような家庭責任を担うことは女性が多くなっているということがあると思います。施策として付いてくるのは、そういう現実を踏まえた女性に対する両立支援に加えて、さらには男性も含めた育児休業の取得促進などもやっておりますから、家庭の中におけるそういう部分、性別固定的な役割分担について着目したような施策かなとは思っています。

 さらに、もちろんそれ以上に、そういった職場、あるいはそれに関連する家庭の中の役割分担を超えた形で社会全体で意識を持つという部分の施策は必要ですし、当然あり得て、そこは省庁全体として、ナショナルマシーナリー的な役割を果たしている内閣府の男女共同参画局の施策も相まって進めていくというイメージを持っております。

○樋口座長 いろいろ議論のあるところだと思いますが、富田さん何かありますか。

○労働基準局総務課長 神吉先生からありました前段の最低賃金の話です。15ページの所で、特に最後の文章が「引き続き積極的な引上げが期待される」ということが書いてあって、先生がおっしゃるとおり、全国加重平均で1,000円というのが現在の目標なのですが、それを達成した後、2040年を見据えたら、次のフェーズになるのではないかという御指摘かと思うのですが、2018年、現時点で874円という状況で、1,000円まで、まだ少しあるということで、毎年25円ずつ上げていってもすぐに達成できる状況にはまだないと。これを何とかしなければいけないという状況にあるのですが、それを達成したことにして次のフェーズというのは、ちょっと時期尚早ではないのかなという気はしております。ただ、他にも最低賃金の課題については先生からいろいろ御指摘があり、雇用政策研究会の文書に書くかどうかは事務局の中でちょっと相談させていただきたいと思いますが、もちろん課題は認識しておりますので、最低賃金制度の検討の中では、しっかりと議論させていただきたいと思っています。

○樋口座長 では、問題提起いただいたということで、どう書くかはちょっと事務局と相談します。他にどうでしょうか。

○山本委員 雇用政策の範囲の話になるかと思って言うのをやめておこうかと思ったのですが、やはり気になりますので、3章で「ウェル・ビーイング」のことを扱っていて、そこが「健康的な職業人生を安心して送れる」というような書き方で、「健康」という言葉が出ているのですが、当然、「ウェル・ビーイング」を追求していくときの要素の大きなところに「健康」があると思うのですが、余り健康について触れられていないというのが気になります。普通にこれを読む人は、ウェル・ビーイングなのに、何で健康がないんだろうと思うのかなと思いまして、例えば21ページは、「企業における人材育成・生産性向上の推進」と書いてありますが、世の中では健康経営ということが大事だということで、違う章になりますが、推進をしているというところもあり、企業の中でウェル・ビーイングを高めようとしたときに、スキルだけではなくて、健康面に関してもビジネスの場では関心が高まっていますし、厚労省の政策としても、ここは触れておいたほうがいいのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○樋口座長 「ウェル・ビーイング」と私が言い出して、日本語でと言われたのですが、日本語にならないので、ウェル・ビーイングとそのまましてしまっているのですが、今の御質問で健康のところも含めて強調してほしいということですが。

○雇用政策課長 例えば、先般の働き方改革の関連法においては、労働者の方と健康確保といった側面等もありまして、そういった対策も盛り込まれているところですので、もう少し健康面についての記載ができないかを工夫、確認させていただければと思います。

○樋口座長 よろしいですか。

○山本委員 企業の取組として、健康に関することを進めていくというのは、そこについては、この研究会では確かに余り話はしていないと思うのです。ただ、健康については扱うべきだという意見は述べたと思うのですが、企業と健康、従業員の健康の管理については、報告書ではどのように扱っていったらいいのでしょうか。

○樋口座長 これは基準がやっているのですか。安衛法とかの。

○労働基準局総務課長 企業における健康づくりということで、健康確保の観点と健康増進という、いろいろな側面があり、先生がおっしゃっているのは健康増進のほうが近い概念なのかなという気がするのですが、確かに労働基準局安全衛生部において、もちろん最低限、安全であるとか、もちろん健康確保をやった上で、更に健康増進と。特に高齢者とか、社会保障などの関係も含めても重要なことですので、高齢者向けの健康増進策とか、そういうことも、もちろん考えなければいけないと思っております。ちょっと古い言葉になるのですが、THPというTotal Health Promotionという形で、スポーツとか運動も取り入れながらやるような施策も考えてやっておりますので、そういうことを組み合わせてやっていくと。文章はどう書くのかは事務局で相談させていただきますけれども。

○樋口座長 健康確保、健康促進の企業の役割、責任という。

○山本委員 そうです。

○鶴委員 今の山本先生のお話も、健康経営をやれば企業のパフォーマンスが高まるという意味で、3章の雇用の質と生産性向上の一体的推進というところに、やはり健康経営というのは結構大事なものとして入るのだというお話だと思うのです。なので、議論はしていないのですが、観点としてはこの中に入ってくるべき話であると私も理解しています。

 3点あるのですが、15ページの(同一労働同一賃金)なのですが、「欧州等と比較して正社員と非正規雇用労働者の間の待遇差が大きく」とありますが、これは政府としては、パートタイム労働者の時間当たりの賃金を比較して格差が大きいということで、この文章と、決まり文句になっていると思うのです。一方、有期とか派遣ではどうなのかとか、いろいろな属性を調整すると、本当に欧州よりも格差が大きいのかということは、必ずしもきちっと分かっていないので、ここはパートタイム労働者と非正規雇用労働者、何かパートタイムという言葉を実際にここで比較して、このエビデンスとして認識しているということで、パートタイム労働者という言葉を何とか入れていただいたほうがいいのではないかと。

 2点目は、最後の24ページの高齢者の所なのですが、確かに、国際比較をしても日本の場合は高齢者の就業意欲が非常に高いと。今後は健康寿命の延伸で更に高まるということで、確かに健康寿命が伸びていることによって、どのぐらい高齢者の労働参加率が高まるのかと、押尾先生なども試算をされているので、かなり効果を見込めるのではないかと。私は、その理解はそれで正しいと思うのですが、就業意欲がどんどん高まるとかということを、余り楽観的になりすぎるのもちょっと問題かなと。書き方としても、健康寿命の延伸がくれば就業意欲が高まる可能性があるとか、断言的にどんどん高まっていくのだというのはどうかと。ということを申し上げるのは、平均として健康も高まっているけれども、格差も増えていて、就業したくない、健康上の問題でという人も、もちろん中にいる。一方、ものすごく健康な人もいる、やりたい人もいる。働き方によっても、最近、私のグループがやった調査などを見ると、働き方によって65歳以降の就業意欲が異なってくると。どうも継続雇用をやっている人は、65歳以降の就業意欲が余り高くない。

 先ほどちょっと出たフリーランスとか、割とそういう働き方をしている人は非常に就業意欲が高いと、そういうところによっても違う。もうちょっと細かく見ていかないと、健康だから、みんなどんどん就業意欲を高めて、どんどん働かせることができるんだよという一方的な見方はどうかなと。ここは少し、健康寿命の延伸に伴い、そういう効果はあるのですが、一方、高齢者の就業者の中にはいろいろな多様な方々がやはりいるということ。働き方とか健康状態によっても、就業意欲は異なっている。そういうことを認識しながら、政策を進めていくことを、少し文章を書き加えていただいたほうがいいかなと思います。

 これも先ほど山本先生がおっしゃった点で、4章のつながりということを考えると、先ほど多様性による付加価値という話も女性の場合に出たので、生産性ということを私も強調すべきだと思います。一方で、人口減少社会の中で、雇用の質と同時に量の話も大事で、労働参加率を高めていくというところにおいて、4章のポイントとしては、3章で質の話をしたのだったら、4章で参画を高めていくというところの視点ということで、3章、4章があるのかなという感じにも思っていますので、両面、量と質の話が4章にかかってくると思いますが、そういう感じの整理をしていただいたらバランスが取れるのかなと思います。以上です。

○樋口座長 この高齢者の所をもう少し細かく書いたほうがいいということだと思うのですが、実は私がこれを入れてもらった経緯があって、どういうことかと言うと、確かに、このように就業継続意欲が高まるという話は、要は最近、高齢者の資産が激減しているのです。1つは30代、40代で貯蓄できなくなってきている。それが以前はむしろ蓄積していくほうだったのが、取崩しになってきて、マイナスの貯蓄率になってきていると思うのです。ジツセービングになってきて、このままのシミュレーションでいくと、60歳のときの資産は、ずっと大きく落ちてくる。もう現実に全国消費実態調査を見ても、この15年で、資産が何と、平均で1,000万円ぐらい落ちてきているという中で取り崩すものがなくなって取り崩す期間が長くなったら、働かざるを得ないよねという人も増えてくるのではないかと、楽観的な話ではなくて悲観的に見ているというところがあって。

○鶴委員 何かそういうものも少し、雰囲気を入れていただいて。

○樋口座長 そういうのをちょっと書いたほうがいいかもしれない。だから、今までだと日本では、高齢者の就業意欲が高いという話でずっと言ってきたのですが、そこの分析は余りやっていなくて、むしろ企業の好事例で高齢者が活躍するのにはどういう企業に雇用管理が望ましいのかとかという話で、本当に無限に継続就業者、希望者がいるような話をしてきたのですが、確かに特に60代後半になってくると、そこのところはどうなるんだというのは重要なポイントになってくると思うので、少し丁寧に書いたほうがいいかもしれないですね。

○宮本委員 少し細かい点で2つほどです。1つは第4章の様々な事情を抱える人の活躍支援の所で、障害・病気・困窮と、やや縦割的な議論の組立てになっているのかなと。要するに就労できない要因は複合的になっていて、厚労省としても地域共生社会とか全世代対応型の地域包括だとか、少し包括的な支援をしていくという流れがあると思いますので、その辺りを少し反映させていただければと思いました。最後の困窮の所は、経済的な要因と、先般の生活困窮者自立支援法の改正も、地域からの孤立というのが非常に重要なモーメントだと思いますので、経済的な要因と地域からの孤立によって生活に困窮した者等の書きぶりにしていただければなと。「生活困窮者」という言葉も使っていただいてもいいのかなと思います。

 その下、さらに、地域の実情に応じた雇用対策なのです。全くこのとおりだと思いますが、少し地域が雇用作りに動いているので、その動向みたいなものも、どこかに反映させていただければなと思います。ハローワークとも緊密な連携を保ちつつですが、特に自治体が無料職業紹介事業等で、企業と交渉して、就労が困難な人たちに間口を広げていくために、仕事をカスタマイズしていく。業務分解をして仕事をカスタマイズしていくと。今度、富士市でユニバーサル就労の条例ができるし、大阪府でもユニバーサル就労の条例を検討していると伺っています。

 先日、三重県の鳥羽市で旅館業のユニバーサル就労の取組を見てきたのですが、旅館業の仕事は長時間で、朝から晩までで、ときには接客で、にこやかに振る舞わなければいけないし、ときには徹底して裏方に、全体として非常に重いので、離職者も多い。住み込みで働いていたのですが、離職すると、すぐ生活保護になってしまうという中で、業務分解を徹底して、時間帯や対人関係がある・なし等で、非常に細かいプチ勤務カタログを自治体が作って、これは困窮者だけではない、広く住民に旅館業との接点を提供しているというような興味深い取組もありました。そうした地域の頑張りみたいなものも、少し書き込まれるといいのかなと思いました。特に2040年を展望するという話になってくると、東京圏と地方、全く事情が異なってくるということもありますので、その辺りも関連して、ここの書きぶりについても、今申し上げたようなお願いをしたいと思います。以上です。

○樋口座長 ありがとうございました。事務局、よろしいですか。そろそろ時間もきているのですが、議論はまだあるかと思いますが、本日はここまでにしたいと思います。事務局には、本日の議論を踏まえて、報告書の取りまとめに向け、引き続き検討していただきたいと思いますが、次回の日程等について御連絡をお願いします。

○雇用政策課長 次回は第8回の雇用政策研究会となりますが、1221日の13時からの開催予定となっております。後日、改めて御案内を送らせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○樋口座長 次回は、報告書の取りまとめを予定するということで、前もって何かありましたら、皆さんからあらかじめ事務局に言っていただくと、それを考慮した上で出せると思いますので、よろしくお願いいたします。本日は以上で終了します。どうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

(了)

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