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2018年4月23日 第1回雇用政策研究会(議事録)

職業安定局雇用政策課

○日時

平成30年年4月23日(月)15:30 ~17:00


○場所

職業安定局第1・2会議室


○出席者

委員

樋口座長、黒澤委員、玄田委員、鶴委員、清家委員、神林委員、堀委員、鶴委員、神吉委員、大竹委員

小川職業安定局長、小林大臣官房審議官(職業安定担当)、坂根職業安定局雇用開発部長、田中職業安定局総務課長、田中職業安定局雇用開発部雇用政策企画課長、松下労働基準局総務課政策企画官、岸本雇用環境・均等局総務課長、志村人材開発統括官参事官(人材開発総務担当参事官室長併任)、奈尾政策統括官参事官(労働政策担当参事官室長併任)、弓職業安定局雇用政策課長、西川職業安定局雇用政策課長補佐

○議題

(1)我が国の経済・雇用情勢と課題(論点提示)
(2)その他

○議事

○ 西川雇用政策課長補佐

 ご多忙の中、皆様お集まりいただきましてありがとうございます。

当研究会の委員につきましては、資料1のほうに名簿を付けさせていただいております。15名の先生にお願いしております。当研究会の座長は引き続き樋口先生にお願いしております。

また本日は、阿部先生、荒木先生、黒田先生、佐藤先生、宮本先生、山本先生がご欠席と伺っております。なお、神林先生は遅れていらっしゃいます。

それから、鶴先生は、16時頃までとお伺いしておりますので、ご了解いただければと思います。

それでは、平成30年の研究会の開催にあたりまして、局長の小川から挨拶申し上げます。

 

○ 小川職業安定局長

 職業安定局長の小川でございます。皆様方には本当にお忙しい中お集まりいただいてありがとうございます。また、樋口先生には引き続き座長をお引き受けいただきありがとうございます。

この雇用政策研究会は非常に長い歴史を持つものでございまして、前身としては、たぶん昭和40年代からあったものだと思いますが、今のように雇用政策研究会という名前になったのは、昭和59年で、そのときは梅村又次先生が座長というふうに聞いております。

その後、ずっと安定局長が随時参集をお願いして、雇用関係に関する基本的な問題についてご議論いただくということでございますが、私も個人的には、2007年に雇用政策課長をやったときに、確かそのときから樋口先生が座長をお引き受けいただきまして、ちょうどそのときから比較的に雇用情勢が良かったことなどで、ワークライフバランスとか、そういう問題をテーマとして扱いました。

その後、翌年2008年にリーマンショックがあって雇用が非常に悪化し、そういう中で政権交代もあり、2010年、2009年から10年にかけて、もう一回研究会を行い、リーマンショック後のものを対応するためにやったという感じでございました。

その後、その景気がずっと、景気および雇用失業情勢はずっと改善はしていきまして、今では有効求人倍率は1.58とか、トヨタの賃上げ率は3パーセントを上回るというふうな段階になっているということで、まさに高度成長期以来の好調な雇用失業労働市場の状況になっていると、という中でございますが、同時に、働き方に関する世間の関心というのは高まってきたわけで、昨年は、3月には樋口先生も有識者で入られました働き方改革実現会議において、働き方改革実行が決定されているということで、それに基づいて働き方改革法案が現在国会に提出されているという状況でございます。

こういうふうに、労働市場の状況、環境も変わっておりますし、また、最近は昨今そのAIIoTなど、科学技術の進歩が働き方に影響を与えるのではないかというご議論もございます。

こういった様々な課題につきまして、これからご議論いただければというふうに考えております。一応スケジュール的には、本年12月に取りまとめるということを目標としてご活発なご議論をお願いします。よろしくお願いします。

 

○ 西川雇用政策課長補佐

続きまして、樋口座長からご挨拶をお願いいたします。

 

○ 樋口座長

 はい。前回、この雇用政策研究会、平成27年の12月ということで、そのときのテーマはですね、人口減少下での安定した成長を目指してと、という副題で報告書を取りまとめさせていただきました。二年半が経ちましたが、状況、そのときのテーマはまさに人口減少化っていうことが、ある意味では着実に進展してきてる、また厳しさを一層増してきてると、というようなこともございますので、引き続きこの問題についてですね、やはり注目して、そして今小川局長のほうからお話しありましたように、新技術の発展と、というようなものが、どういうふうに雇用に影響を及ぼしていくのか、あるいは労働市場としてこういった問題にどのように政策として考えていったらいいのかと、ということについてもこの研究会で取りまとめることができればと、というふうに考えております。

まあ、人生がやっぱり有意義に、そして職業生活がより自分たちの考えに基づいて自分の価値観を実現できるような、そういった社会にどうすればしていくことができるのかと、ということについて検討ができればと、というふうに思っております。

人生100年時代構想会議と、といったものも開催されまして、大きなテーマにつきましては、グランドデザインをそちらでも検討すると、というようなことでございますが、まさにそういう政府の動きっていうものも見極めながら、ここでも報告書をまとめればと、というふうに思ってます。

先ほどお話ありましたように12月までに報告書を取りまとめるようにと、ということでございますので、それに向かって全力で取り組んでいきたいと、というふうに思いますので、ご協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。

 

○ 西川雇用政策課長補佐

 樋口先生ありがとうございました。カメラ撮影はここまでといたしますので、よろしくお願いいたします。

それでは、議事に入りますので、議事進行は樋口座長からお願いいたします。

 

○ 樋口座長

 はい、それでは早速ですが、当研究会の開催要領および議事の公開について事務局から説明をお願いいたします。

 

○ 西川雇用政策課長補佐

 それでは、資料2、3についてご説明したいと思います。右肩に資料2と振っております、開催要領をご覧ください。1番、目的、それから研究課題につきましては挨拶のとおりでございます。3番、構成の部分ですけれども、1番として安定局長が学識経験者の皆さんを参集して開催すると。研究会の参集者は15名程度、それから座長が研究会の運営に関する事務を取り扱うということとしております。4番として、運営ですが、研究会は必要に応じて開催します。また、研究会は研究課題によって分科会を開催することができるとしております。研究会の議事については、別に研究会で申し合わせた場合を除き公開するといたしております。後ほど資料3のほうでもご説明いたします。その他、5番ですが、研究会の庶務は、私ども職業安定局雇用政策課で扱わせていただきます。この要領に定めるもののほか、研究会に関し必要な事項は安定局長が定めるものとします。

続きまして、右肩に資料3と振っておりますものをご覧ください。先ほどの要領の4の(3)にある、上の議事取り扱いについて関連しまして、議事の公開についてご説明したいと思います。研究会は原則公開とします。ただし以下の4つの場合に該当する場合であって、座長が、非公開が妥当と判断した場合には非公開とします。1として個人情報の保護の観点、2としまして公開すると外部から圧力や干渉等の影響を受けることにより、率直な意見交換等ができなくなると、委員の適切な選考が困難となるおそれがあるということでございます。3つ目として公開することにより市場に影響を及ぼすなど、国民の誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合。最後の4つ目ですが、特定の者に不当な利益を与え、または不利益を及ぼすおそれがあるというものでございます。

以上で資料2及び3についてご説明を終わります。

 

○ 樋口座長

 はい、それではただいまの説明につきまして、何かご質問、ご意見ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。ないようでしたら、資料のとおりの扱いとさせていただきます。

それでは、続きまして今回の当研究会で議論を行う論点および今後の進め方について事務局から説明を行います。

 

○ 弓雇用政策課長

 はい、雇用政策課長の弓でございます。それでは私の方から資料の4と5、引き続きましてさらに西川のほうから、6と7につきましてご説明申し上げたいと思います。すみません、座らせていただいてご説明します。

 資料の4をご覧ください。一枚紙でございます。こちら、雇用政策研究会における議論等についてということで、事務局として考え方を取りまとめたものでございます。これからご説明申し上げますが、この論点に限らず、先生方からご意見を頂戴できればと考えているところでございます。

まず、現状における主な課題でございます。まず、労働市場の課題ということで、3点主なものを挙げさせていただいています。

まず、1点目が先ほどから局長のご挨拶、また、座長からのご挨拶でもございましたように、人口減少・少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少でございます。下に簡単な説明を書いてございます。総人口2008年の1億2,800万人をピークに減少局面に入っているということでございまして、足下では人口は毎年約20万人、生産年齢人口につきましては毎年約60万人が減少していると。

また、生産年齢人口、これは若干将来の話になりますが、現在7,600万人から2030年には7,000万人を下回る水準まで減少すると、こういった状況が予想されているところでございまして、こうした人口減少・少子高齢化にどのような対応を行っていくのかということが課題として挙げられるところでございます。

2点目が限定的な就労の増加、多様な就労へのニーズの拡大でございます。女性・高齢者を中心に非正規雇用は増加している。地域限定正社員に応募したいと考える学生は多く、兼業・副業を希望する者やシェアワーカーは増加傾向。一方、限定的な働き方と無限定な働き方との間には待遇差があり、転換も困難といったことが挙げられるところでございます。

3点目が、産業・職業・企業規模間の労働力需給のミスマッチでございます。建設、運輸、介護等の分野では人手不足が深刻な状況となっております。職種別の有効求人倍率につきましては、事務につきましては1倍以下の水準である一方で、建設ですとか自動車運転、また介護関係の職種につきましては3倍を超えるといった状況になっているところでございます。

また、企業規模で申し上げますと、欠員率については企業規模が小さいほど高いといった状況でございまして、外部労働市場の更なる整備が必要と考えられるところでございます。

次に経済構造とまとめております。労働市場の課題の背景ともいえます経済構造についての課題を主に3つ挙げさせていただいています。

まず1つ目が、我が国経済を牽引する産業の不在でございます。人口減少による成長制約を乗り越えるためには、革新的なサービス、新たなサービス・製品による市場拡大を実現しなければならないが、例えばプラットフォーマーの多くはGoogleですとかAppleですとか、そういった海外の企業となっているといったところでございます。

2つ目が中小企業・小規模事業者等において、おける低い生産性です。我が国の生産性1人当たり、及び時間当たりでみても、低水準でございまして、比較的生産性の高い製造業をとってみましてもですね、企業規模間の1人当たりの売り上げの格差、こういったものが、諸外国と比べて大きい傾向がみられるといったところでございます。これは後ほど資料のほうでもご説明したいと思っております。

3点目は雇用吸収力の高いサービス産業等における低い生産性でございます。就業者数に占める非製造業の割合は上昇しているところでございますが、傾向としまして生産性が低い傾向がございます。また、その人手不足分野におきましては賃金が低く、労働条件は相対的に悪い傾向があるといった問題が挙げられるところでございます。

次に、将来見込まれる社会的変化としまして3点挙げております。

1点目が、こちらも人口の話でございますが、労働力人口が長期的には減少すると。こうしたことによりまして、我が国全体としての経済的プレゼンスが低下する可能性ということでございます。人口の規模が減少することによって経済的なプレゼンスの低下が、可能性が高いというところでございます。

2点目は、少子高齢化が更に進展する一方、平均寿命・健康寿命の延伸が見込まれるといったところで、こちらが社会的な変化として挙げられるところです。

また、3点目、AIICTIoT等の進展やビックデータの活用等に、活用によりまして、革新的なサービスやビジネスモデルの創出や、業務の効率化により、労働力人口の減少による労働力の需給、需給ギャップを緩和する可能性があると。一方で、省力化効果が人手不足を上回れば、失業が生じる可能性があるといったところでございます。

検討の方向性でございますが、人口減少・労働力の需給ギャップ等が見込まれる中で、持続的に我が国が成長していくためには、働き方をめぐる諸課題や構造問題等に対応することで、働く意欲を持つすべての人が職業生活全般にわたってその能力を最大限発揮できるようにするとともに、社会全体として付加価値の最大化を図ることが必要というかたちで論点をまとめさせていただいております。以上が資料の4のご説明になります。

資料の5をご覧ください。雇用政策研究会のスケジュールでございます。まだすみません、1回目と2回目しか具体的に記載しておりませんが、2回目につきましては、6月1日金曜日、10時から12時を予定しているところでございます。人手不足分野等の現状把握についてということを予定しています。

また、こちらまだ記載ございませんが、すでに皆様方に年内のですね、ご予定をお伺いしているところでございまして、早急に年内すべてにつきまして、予定を確定しまして、ご連絡申し上げたいと考えているところでございます。今後につきましては、月1回程度のペースで開催しまして年内に報告書を取りまとめる予定をしているところでございます。以上が資料5についてのご説明でございます。

 

○ 西川雇用政策課長補佐

 それでは、続きまして資料6について、ご説明したいと思います。横置きのパワーポイントの資料になっておりまして、雇用を取り巻く環境と諸課題についてと題しまして、先ほど資料の4でご説明しました課題にまつわるデータ・統計を幅広く集めてございます。全部で54ページございまして、大きく6つのセクションに分かれてございます。

一つ目が中長期の人口等のデータ、2つ目が最近の雇用情勢・人手不足の状況、3つ目が生産性、4つ目が転職・中途採用の情報、5つ目が人的資本の質的向上と能力開発の状況です。最後に六つ目として、潜在的労働力についてまとめております。分量が多いので、駆け足でのご説明になることをお許しください。

 まず、中長期データでございます。2ページ目でございます。5年刻みで1950年からみた実績、それから2016年以降につきましては、人口推計の数字を書いてございます。皆さんご承知のとおり、人口、人口及び生産年齢人口は減少していくという見込みでございます。

次のページにまいります。3ページです。労働力人口につきましては、左側の図ですが、2005年以降概ね横ばいになっております。一方で、人口が減っている中でも、就業者のほうは増えているということでありまして、女性や高齢者の社会進出が人口減を補っているという状況にございます。

 次のページにまいります。4ページ目です。就業者の推移を男性、女性、あるいは高齢者というカテゴリに分けてご覧いただいています。左側ですが、男性のほうは97年をピークに下がっておりますけれども、女性、あるいは男女計の高齢者ですけれども、増えております。それから、右側が正規・非正規別ですけれども、正規につきましては、男性は長期的に減少傾向ですが、女性は増えていると。非正規は、女性・高齢者におきまして顕著に増えているということでございます。

 次のページが、引き続きまして正規・非正規別の雇用者数の推移でございます。2007年に、雇用者全体の3分の1を非正規が占めるに至りまして、その後も、増えているという状況でございます。一方、正規雇用につきましても、27年度にプラスに転じまして、3年連続で増加しているという状況になっております。

 続きまして、6ページ目は、外国人労働者の推移になっております。直近の15年、16年、17年を見ていただきますと、年間20万人弱増加しているという状況です。

 その次が7ページ目です。GDP・就業者に占める産業構成の推移ということでございます。左側の赤いラインが製造業になります。それから、緑色が建設業でございますけれども、長期的には低下傾向にございます。一方で黒い太い線ですが、保健衛生、あるいは情報通信といった業界では大きくなっているという状況になっております。就業者数の産業構成比が右側になりますが、製造業のほうは減っている。建設も減っている。一方で保健衛生・社会事業についてはプラスで推移しているということになっています。

 8ページ目をご覧ください。就業者数のシミュレーションでございます。前回の研究会時に実施しました推計を棒グラフにしたものでございます。2014年が基点となっております。2014年、6,351万人就業者数になっておりますけれども、2020年、2030年と、経済成長と労働参加が適切に進まないケースと進むケースで分けまして数字を載せております。2030年のほう見ていただきますと、経済成長と労働参加が適切に進むケースでは、マイナス182万人にとどまるということになっております。

 次のページが、この全体の数を産業別に見たものになっております。見ていただきますと、2014年と2030年を比較をしていますが、大幅増になっているのが、真ん中より少し下ですが、医療・福祉でございます。経済成長と労働参加が適切に進むケースでは、215万人プラスに増加するというものになっております。一方で大幅に減るというところが、卸・小売業でございます。

 次にまいりたいと思います。10ページ以降が雇用情勢、人手不足の現状というものになります。11ページをご覧ください。現在、最新の公表しているデータでございますが、完全失業率が2.5%、それから有効求人倍率が1.58倍ということになっております。下の図は左軸が有効求人倍率、右軸が失業率でございます。

12ページをご覧ください。いわゆる日銀短観でみた企業の人手不足感の推移でございますけれども、2011年、12年を境に、下方に、つまり不足という状況が、一貫して続いているということになってございます。

 次のページです。13ページです。企業の人手不足の規模の推移ということでありまして、未充足、充足していない求人数をフルタイムとパートタイムを分けた形で、お示ししているものでございますが、2013年以降フルタイム・パート共に大きく増加、未充足求人が増えているという状況になっております。

 次に、14ページですが、こちらは職業別に有効求人倍率をみたものでございます。わかりやすさの観点から、年間求人が100万件以上、それから有効求人倍率が2.5倍を超えているものを抽出して赤い破線で囲っております。下の図ですけれども、赤い破線のところに、建設・採掘の職業、あるいは接客・給仕の職業等々が並んでいます。こちら職業別でみたときに2.5倍を上回る有効求人倍率になっているものということになってございます。

 次の15ページにまいります。15ページは産業別企業、産業別で企業の人手不足の現状と離職率をみたものになっております。左側が過剰から不足を引いたDIになっておりまして、棒グラフになっております。欠員率のほうが赤い破線、折れ線グラフということになっております。えんじ色の運輸、サービス業、それから医療・福祉、宿泊・飲食サービス業などが、不足感が高いということになっております。一方で、右側ですが、フルタイムとパートでみた場合のものになっておりまして、離職率を産業別にみたものになっております。

 次が16ページになります。企業規模別で今度はみた人手不足感ですけれども、欠員率と未充足求人を抱える事業所の割合ですけれども、右側をご覧ください。棒グラフが小さい企業になるほど高まっているということになっております。右側が産業別・企業規模別の欠員率になっております。

17ページにまいります。求人条件別に被紹介率・充足率を、違いをみたものになっております。たとえば完全週休二日制ですけれども、充足率のほうを見ていただきますと、二日制をとっている場合は18.3%、未実施は16.2%ということで、2.1ポイント高くなるといったことがわかります。

 その次18ページでございますが、女性・高齢者の希望職種というものをみております。介護関係職種は女性の希望者が比較的多くなっておりますが、その他のものを見ていただきますと、建設・採掘などでは希望者がほとんどいないということになっております。高齢者では、建設・採掘の職業などが比較的他産業に比べると多いということになっております。

 それから19ページですが、完全週休二日制と充足率をみています。どの産業でも週休二日制をとっている求人のほうが、充足率が高いといったことがわかります。

 続きまして、20ページ、生産性に係る現状についてご説明したいと思います。21ページをご覧ください。各国の生産性を比較したものです。1人当たりと時間当たりでみております。縦軸が時間当たり、横軸が1人当たりですけれども、日本が低調な位置にあるということがわかると思います。

 それから22ページですが、今度は全体ではなく、製造業を抽出してみた場合の1人当たりのもの、それは中程度ということが左のほうでわかると思います。右図ですが、製造業の労働時間をみますと、日本はかなり長いということでありまして、時間当たりでみると生産性が低いという水準になっております。

 それから製造業に代わりまして非製造業の生産性の現状でございますが、1人当たりでみても時間当たりでみても、主要先進国では最低というのが左図でございます。労働時間も長いという状況です。

24ページですが、産業別・企業規模別の生産性です。製造業よりも生産性が高い産業は非常に少ないという状況になっております。また、規模別でみますと、右側の図ですけれども、縦の棒が長いほど規模によって生産性が大きく違うということを意味しておりますけれども、このような状況になっております。

25ページにまいります。人手不足分野の生産性や労働条件です。左図が産業別の労働生産性でございまして、宿泊・飲食サービス業等、生産性が低いということになっております。また、右側ですけれども、産業別にみた労働条件につきまして、やはり相対的に良くない状況ということになっております。

26ページをご覧ください。製造業における企業規模別の1人当たりの売上というものでありますけれども、先ほど見ていただいた生産性と同様、中程度の水準になっているのが日本ということになっております。右側のほうが企業規模別の雇用者の割合なんですが、中規模あるいは小規模の企業にお勤めの方が日本では多いということがわかります。

 それから27ページですが、能力開発と情報化投資の現状ということでありまして、左図が産業別で見たものです。飲食サービス業等で、生産、製造業よりも低い水準ということになっております。あるいは規模別、経常利益に占める割合でみた場合には、飲食サービス業等がやはり低いというようなことで投資が進んでいないというのかなというふうに思います。

28ページですが、デフレ下での賃金・投資抑制という題にしておりまして、左側の赤い線ですが、サービス業の賃金です。黒いほうが物価ということでありますが、2000年以降を見ていただきますと、賃金の伸びが物価の伸びを下回って推移しているということになっております。それから右側がフルタイムの時給の推移、あるいはその下、設備投資額の推移ということで、ほとんど伸びていないということがわかると思います。

 それから29ページですが、産業別の賃金でございますが、棒グラフ、縦に伸びておりますけれども、赤い縞々の人手不足分野というところにおいては賃金が低い傾向にあります。

 それから30ページですが、賃金カーブの推移というものを2002年から5年刻みでみたものですが、現在に近づくにつれてカーブがフラット化しているということがわかると思います。産業別では少し状況が違うという状況です。

 それから次が各国のサービス物価とサービス事業における賃金の推移ですけれども、サービス物価は我が国と異なりどの国も上昇し、賃金も上昇しています。

 それから32ページですが、必要なサービス水準との比較ということで、日本では過剰なサービスを行っているのではないか、ということに疑問に対してのアンケート調査になります。左側に日本のサービス水準がありますけれども、右に伸びているほど必要な水準よりも高いサービスを提供しているということを意味しています。右側のサービス品質の相対価格・相対品質比というところですが、下を見ていただきますと、日本が品質に対して割安というものが左のほうに伸びているというものでありまして、コンビニなどですね、相対的に価格が安いということになっています。以上が生産性です。

転職の現状でございます。34ページご覧ください。入職者が年間で768万人おりますけれども、転職入職者というのは右側の一番下の枠囲みですが、478万人ということで、6割の方が転職入職者になっているということがわかります。

 その次、35ページですが、転職者は長期的に増加傾向と、規模別でみても増えてきているということでございます。

36ページですが、年齢別に今度はみたものでございますが、34歳以下で若年層は多いですけれども、その上、30代後半からということでございますが、2000年からみますと増えてきているということでございます。

 企業規模別の転職入職者の構成比というものでございますが、いちばん顕著にわかるのが大企業1,000人以上の赤い折れ線グラフ、伸びてきているという状況です。

38ページですが、離職理由を割合でみたものということでございますが、正社員のほうがオレンジ色、正社員以外が赤色ということでございますが、正社員では会社の将来への不安、労働条件、仕事内容、賃金、その他、そのような理由が高く挙げられてきています。

39ページは転職への障害ということでございますが、左側のグラフ見ていただきますと、35歳から54歳にかけて、希望はしているけれども転職している割合が3割程度ということになってございます。賃金低下や失業の不安があるということが理由であろうというふうに思います。

40ページですけれども、年齢別にみた転職後の賃金変化についてですが、2016年のものでございますが、1割増加というものがピンク色の部分です。1割以上減るというのがオレンジ色ということでございますが、年齢が上がるにつれて賃金が減っていくという可能性が高まるということでございます。

41ページですが、年齢別の採用方針ということでありまして、年齢が高くなるにつれて、中高年を採用する意欲が小さくなるというようなデータになってございます。

42ページが転職後の活躍状況でございまして、同業種・同職種への転職というのは、それは3割程度といったこと、それから職種や業種にかかわらず転職後に活躍してるのは、皆同じ程度と、というものになっております。

 次は43ページ以降ですが、能力開発につきまして、ご説明したいと思います。

44ページご覧ください。正社員についてですが、OFF-JTOJTともに、一度は低下しましたが回復してるということでございます。そしてまた正社員のほうが実施はされているということになります。

 次が45ページになりますけれども、計画的なOJTOFF-JTの実施割合というものですけれども、オレンジとピンク色を比較していただきますと、正社員のほうが正社員以外よりも高いということになります。

 次が46ページになります。計画的なOJTOFF-JTの実施状況は、産業別でみたものですけれども、凸凹しているとおり、大きく異なっているというのが現状でございます。

47ページですが、人材育成に関する課題・問題点ということでございますが、7割の事業所が、問題があるとしております。その理由がこの下のグラフにおいて、右のほうに並んでいるとおりでございます。

48ページにまいります。人材育成を効果的・効率的に行うために必要なことということで、アンケートをお答えいただいておりますけれども、左のほうから上司の育成能力や指導意識の向上が必要という企業が非常に多いということになってございます。

49ページですが、今度は自己啓発を行った労働者の割合ということでございますが、正社員のほうが正社員以外より高いと。それから、リーマンショックで一度低下はしましたけれども、足下では自己啓発を行っている労働者の方が増えてきているということでございます。

 一方、50ページですが、自己啓発の問題点ということでございまして、7割の方が自己啓発に課題があると。仕事が忙しい、費用がかかるといったことを理由に挙げられております。

 それから最後ですが、潜在的労働力についてです。全員参加社会についてご説明したいと思います。52ページですが、性別・年齢別非労働力人口ということで、2012年と2017年を比較してございます。男性では55歳から64歳で大きく減少、非労働力率も低下しております。それが左側でございます。女性のほうを見ていただきますと、こちらは非労働力のほうからみておりますので逆のM字型になっているんですけれども、少し改善がみられるというところではございますが、解消はしきれていないということになっております。

53ページですが、我が国の潜在的労働力ということで、就職希望の非労働力人口を調べました。369万人おられるというものです。この左の図のですね、灰色に塗りました棒グラフ合計が369万人です。そのうち緑色の部分が、前職があるということでお答えいただいている方ということになっております。それから右側が働く意欲を持っていないが前職がある非労働力人口ということで、全年齢計で549万人おられます。

 最後、54ページですけれども、60歳以降の就労希望年齢と就労希望形態というのを整理してございます。65歳を超えて働きたいと回答された方が、上のグラフですが、7割を占めておられると。それから60歳以降の希望する就労形態としてパートタイムが最も多いということになっております。以上で、駆け足ですけれども、資料6のご説明を終わります。

 最後に資料7についてもご説明したいと思います。全部で7ページになっております。平成27年度に、実施しました前回の研究会の報告書のフォローアップになってございます。5つのセクションに分かれておりまして、生涯を通じた能力開発、2番目として個々の能力を最大限に発揮できる環境整備、3つ目として賃金の改善、4つ目として人手不足分野への対応、最後に5つ目として地域雇用対策ということになっておりまして、その中で、全部で項目としては16ございます。フォローアップの中身につきましては、時間の関係上割愛させていただければというふうに思っております。以上でございます。

 

○ 樋口座長

 はい、詳細な説明ありがとうございました。それでは、ただいま説明のありましたことも踏まえまして、あるいは別のことでもございますので、自由討議に移りたいというふうに思います。ご意見ご質問がございましたらよろしくお願いいたします。はい、玄田先生。

 

○ 玄田委員

 ご説明ありがとうございます。大変詳細にわたり示していただきまして、いろんな事実が確認できたかと思います。私あの一点、資料4について意見というか、一点だけ意見を申し上げさせていただきたいと思います。

前回の研究会の議論、正確に覚えてないんですが、生産性という言葉がここまでこう全面的に現れるようになったのは、今回のひとつの特徴かなというふうなことを思っておりました。その中で私自身が、正直、若干こう肩透かしといいますか、やや違和感を感じましたのは、検討の方向性のところでございまして、赤字で書いてある部分でございます。

能力を最大限発揮できるようにするとともに云々までは、これまでの厚生労働省の政策、特に雇用政策としてはまだ違和感ないですが、その次の文章が、社会全体として付加価値の最大化を図るっていうふうになったことと、今詳細にご説明があったことが、果たしてこう、ぴったり合うのかなっていう。あの非常に意地悪な見方をすると、社会全体としての付加価値の最大化っていうのは、昔でいうとマクロ経済、実質経済成長率を高めましょうみたいな話とほとんど変わらないわけで、あまりこう今GDPを増やすっていうことは、この詳細のご説明の意味だったかっていうと、ちょっとそうじゃないっていう感じがいたしました。だから、具体的な少し提案を申し上げると、やはり今生産性という議論がいったい何をしていくのかっていうのをまたいろいろ話し合うと思いますが、ひとつやはりこの時間っていうのが隠れテーマで、今までと同じ時間をかけてさらに付加価値を高めるっていうこともあれば、一方で付加価値そのものはこれまでとそれほど変わらなかったとしても、すごい短い時間で実現するっていうことについては、かなり今いろんなところで労使含めて合意ができつつあるのではないかと。そうすると少なくとも付加価値だけではなく、たとえば、たとえばですけど時間当たりの付加価値といいますか、社会全体で一定の、500兆なら500兆というGDPを、今より少ない労働時間で実現してみせるっていうと、とても、政策っていうのは大いにあり得るのかなと。あと最大化っていうところがやはりちょっと気になりまして、生産性を上げる、まあ労働生産性を上げるっていうことを非常に、あのなんていいますか、意地悪く申し上げると、どうそれを実現するかっていうと、付加価値低い部門であったり、まあそういう方々に対して退出をしていただくっていうことも形としては付加価値を高めるっていうことになるわけで、果たしてそれは雇用政策で目指しているものかっていうと、私としてはちょっと違うような気がいたします。やっぱりこう付加価値を上げたくても上げられにくいところがあるっていうことを、今詳細に西川さんのほうからご説明いただいたと思いますので、たとえば私だったら、こう付加価値を、一丸となって付加価値をこう底上げするっていうことのほうがむしろずっと、今考えられる大事なところじゃないかと。ただ一部のサービス業であったり中小企業であったり、非正規の方々であったりとか、非常に付加価値を上げたくても上げられない、時間当たり付加価値を上げる術っていうのが今のところなかなかこう見出せないと、非常にこう市場活動の中でそれを上げられる部門っていうのは大企業、情報通信等あるかと思うんですが、なかなかこう市場活動だけでは付加価値、時間当たり付加価値を上げられないところについて、いったい何ができるのかっていうことは、この時期の雇用政策研究会のひとつのテーマだと思いますので、ちょっと長くなりましたけれども、ちょっとこの検討会最後の文面についてはもう少し議論があっても良いのではないかというのが意見であります。以上です。

 

○ 樋口座長

 はい、ありがとうございました。いかがでしょう。はい、大竹委員。

 

○ 大竹委員

私も、今玄田さんがご指摘された点と同じところが気になりました。社会全体としての付加価値の最大化を図ることが目的だという部分です。各個人の付加価値を高めるというのはわかりますが、社会全体としての付加価値だけ考えると、分配問題は考えないという形になります。社会全体の付加価値が上がったとしても、もし特定のグループの人だけ大きく生産性が上がって付加価値が高くなり、一方で別のグループの人たちの生産性が下がってその結果分配が悪化してもいいのかということです。それは、どうも雇用政策研究会が目指す議論の方向には必ずしも一致しないと思います。そのため、ここの文章には何か限定が必要かというふうには思います。

この表現は、雇用政策はパイを最大化することに注力して所得分配の問題については、税や社会保障という再分配政策に任せるべきだという基本的な経済学の考え方を表明したもので、経済学者としては、賛成したいのですが、本当にこれだけを雇用政策研究会の政策目標としていいのか、というのは若干疑問に思います。

 

○ 樋口座長

 他にどうでしょう。

 

○ 清家委員

 今おふたり意見言われたこと、全て同感です。まず玄田さんの言われたことに関して申しますと、本当に面白いなと思いましたのは、この資料の6の、たとえば24ページ。産業規模別の生産性です。これを見ると、あまりカジュアルオブザベーションでものを言ってはいけないかもしれないのですけれど、だいたい楽そうな仕事ほど生産性が高く出てるっていうことですね。きつそうな仕事は生産性が低い。これまさに玄田さんが言われたような、中小企業ほど生産性が低いっていうのも同じですけれども、付加価値を市場競争の制約で高め得ない部分がある。そういう面で言いいますと少し危ないなと思っていますのは、たとえば働き方改革の目的として、働き方を変えると生産性が上がるというふうによく言われますけれども、それは玄田さんが言われるように、時間当たりについていえば、付加価値変わらないで時間短くなれば時間当たり生産性は高くなりますけど、たとえばこういう産業別とか規模別をみた場合に、これ以上もう、雑巾を絞っても生産性を上げようもないところでもっと生産性を上げようっていうと、もっと変なことが起きる可能性があって、そのへんは注意しなきゃいけないんじゃないかなと思いました。

それから、大竹さんが言われた分配の問題もとても大切だと思っています。この中長期で言われている技術革新の影響なんてまさにこれですよね。釈迦に説法ですけど、産業革命のときにラッダイトムーブメントとか起きたわけですけど、結果として産業革命による生産性の向上でモノの価格が下がって需要がものすごく増えて、結果的に雇用も増えた。あるいはフォーディズムなんかもそうですよね。ああいう自動車生産のアッセンブリーラインみたいなものが考案されて生産性がものすごく上がってしまったわけですけれども、フォードは日給を倍ぐらいにして、その結果フォードの工場で働いている人は自分の作っている自動車を買えるようになった。それで生産もまた飛躍的増加となって、結果的に雇用も増えて労働条件も改善した。おそらく戦後の日本もそうですよね。海外から技術導入をして生産性が上がったんだけども、それがきちんと賃上げに分配されて内需中心の成長によって雇用も増えていった。

ですから、おそらくここでちょっと言われている将来見込まれる社会的変化の中の技術進歩、AIなどの影響っていうのは、おそらくテクノロジーそのものよりも、テクノロジーが進歩した結果、生産性の向上分がどのように働いている人たちに分配されるか、そこのところが鍵だと思います。単に技術進歩によって雇用がどれだけ奪われるかというのはそれはそれで大切なんだけど、しかしより大切なのは、そのことによって、その分配が適切に行われないと大変なことが起きるかっていう、そこがまあポイントじゃないかなというふうに思いまして、玄田さんと大竹さんに触発されて、おふたりの意見とても大切だと思いまして、私もちょっと言わせていただきました。ありがとうございます。

 

○ 樋口座長

他にどうでしょうか。確かに人口減少、特に少子高齢化っていう話になったときに、直感的に労働力人口の減少っていうことだけど、見方を変えると消費者の減少っていうようなところも無きにしも非ずと。そうなってくると、まさに人口減少即人手不足化と、というようなところにも影響を及ぼしてくるわけで、たぶん雇用政策研究会では、これまで分配の問題っていうのはあまり扱ってこなかった。むしろそれは特に賃金に関してはですね、労使のまさに積極的な議論、交渉によってというようなところで、そこに政策っていうような話っていうのはあまり入ってこなかっただろうというふうに思うんですね。そこについて、ここで議論をやっぱりする必要があるんじゃないかと。特に生産性、特に付加価値の向上、これは必ずしも効率性の、狭い意味での効率性の向上とは違うっていうようなところもあるわけで、そこを併せて考えていく必要があると、というようなご指摘だろうというふうに思うんですが、この点はたぶん神林先生は何かご意見はあるんじゃないかなというふうに思いますけど、いかがでしょうか。

 

○ 神林委員

 いいですか。

 

○ 樋口座長

 ええ、なんでも。

 

○ 神林委員

 やはり所得分配に関しては、労使自治が現在の規範だと思いますので、また、経済学の研究からも、ある特定の労働分配率が望ましいというような結論を出すことはおそらくできないと思います。ですので、あまりこういう場所で、労使分配の現状を評価する、あるいは将来的なターゲットを定めるっていうような方向は望ましくないのかなというふうに私は思います。

 

○ 玄田委員

 ちょっといいですか。

 

○ 樋口座長

 はい、どうぞ。

 

○ 玄田委員

 今と反対で、たぶん大竹さんとかが言いたかったことは、分配問題を扱わないことによって、事実上の不平等というのを是認する方向性になる可能性がないかと。たぶん一番生産性を上げる方向としていちばん大事なのは、強者をより強くすればたぶん生産性は上がるっていうふうな簡単な結論にならないためにも、やっぱり分配っていうことは事実上問題になるっていうことをたぶんわざわざ大阪から来て指摘されているわけで、そういう、そういう論点の立て方もこれはこの雇用政策研究会として分配問題を扱わないっていうのは事実上無理だっていうふうに私は思いますが。

 

○ 樋口座長

 分配がこうあるべきだっていうよりも、現状としてどうなってきて、でそれによって良い面悪い面っていうのが労働市場にどういう影響を与えてきてるかと、というような、できれば客観的にこう議論できればと。だからじゃあ分配どうあるべきだっていうのはちょっと濃霧の話が少し入ってくるところもあってですね、意見が分かれるかというふうに思いますんで、議論しないっていうのはちょっとどうかなっていうのは、重要な点を素通りしちゃうんじゃないかと。大竹先生はどうでしょうか。

 

○ 大竹委員

はい。ターゲットを決めようという話ではなくて、ここで書かれているのは標準的な経済学の一つの価値観ですよね。社会全体で付加価値が高くなればいいということまで言い切っていいのかなということだけです。再分配政策と効率性の向上策は別で、雇用政策研究会は効率性だけを考えるということまで言い切らなくてもいいような気がします。生産性を高くしていくというのはいいとは思うのですけれども、その他いろいろなことが犠牲になっても社会全体で付加価値が最大化すればいいのだというような価値観まで言い切るのは、経済学者でさえ、どうしても違和感があるかなというだけです。この研究会の方向性というところに、これが目標だとなってくると。

 

○ 樋口座長

 まあちょっと検討の方向性のここのところっていうのは、違和感を持たれる先生が多いので、これはもう、もう一度見直したらどうでしょうかということだと思います。

 まあ、今までの雇用政策研究会の流れとして、いつまでをターゲットにというか、いつをみてこう議論するのかっていうような話っていうのも少しあると思うんですね。まあ、まさに短期的にこの景気が好転してる中における話なのか、もう少し構造的な話として2030年とかあるいは35年とかをターゲットに、それまでにやっていかなくちゃいけない問題点と、というような解決していかなければいけない問題点とか、というようなところっていう。だいたいそこらへんをターゲットに入れるっていうことでよろしいですかね。2030年、35年、40年。

 

○ 弓雇用政策課長

 前回、研究会のときには2030年ということでターゲットまで入れてご検討いただいたと思っています。ですので、今回につきましては、2035年を軸に考えています。場合によりましては2040年っていうのはあり得るのかもしれませんが、今のところ事務局としましてはですね、35年を中心に考えさせていただいているといった状況でございます。

 

○ 樋口座長

2035年っていうと、同じ少子高齢化人口減少でも、特に少子高齢化、高齢化のスピードがすごく上がる。その後はわりと落ち着きを見せてくるんじゃないかということで、喫緊の課題として2030年、35年、40年までにまずやらなくちゃいけないところっていうのは、やっぱりテーマに。たぶん、その後の流れを決める時代に、この30年、2030年や35年はなっていくんじゃないかな、というふうに思うんでですね、

社会保障の方もそうですよね。そこらへんまですごく懸念を持たれるところがあって、その後になってくると、わりと出生率が多少上がってくるということもあって。

 

○玄田委員

2035年っていうのがどこからどう合意ができたかちょっとよく覚えてないんですけど、すごく2025年をどう乗り切るのかっていうことのほうが、より大きな直近の課題だっていうふうな認識のほうが一般には強くないですかね。つまり、いわゆる団塊世代の方々が70歳に突入してきて、それはどういう社会にインパクトを与えるのかと。ある部分、人手不足である部分をかなりこう補っていたのが非常にサイズの大きい団塊世代のところが、まさにこれから引退過程に入っていくときに、人手不足の状況がどうなっていくのか、加えてそういう方々がこれから後期高齢者に入っていくときに、そういう人たちを支える産業構造とか就業構造がどうなるかってことは、もしかしたら生産性を長期的に上げる以前に、まず乗り越えていかなければいけない課題のような認識の方が強いような気がいたしますし、逆にいえばそこをなんか上手く生産性の向上に繋げるような高齢社会へのシフトができるならば、それがたぶん2035年のヒントになるので、ちょっと今その、これから東京オリンピック後の多くが想定する非常に公共投資の削減という向かい風の中で、どういうことが起こりそうかっていう2020年の姿をもうちょっとこうみんなで共有しないと、なかなか35年の議論っていうのは、ややこう、遠すぎるような印象が、多くの方がお持ちなんじゃないですかね。どうですか。

 

○ 弓雇用政策課長

 資料6の8ページにもございますように、前回シミュレーションしていただいたときにですね、2020年と2030年という形でのシミュレーションという形になっておりまして、今回、2035年と申し上げましたが、この場合には2025年と2035年というような形でのシミュレーションということで、2025年も見据えながらというような形での2035年という形になろうかとは思っております。

 

○ 玄田委員

 今どっちのシナリオですか、ちなみにこれ。真ん中と右と。中間報告的にいうと、これは右でしょう。右ですかね。いい感じで進んでいるんですね。

 

○ 樋口座長

 まあ女性と高齢者の就業が多くなっているので。それが非正規というのかパートとかそういう形での就業になっている。ただこれ見たら時間の問題だと。

 はい、どうぞ。

 

  黒澤委員

  今ので気になったのですが、確かに女性の労働力率は全般にどの年齢層でもかなり上がってきていますよね。それは素晴らしいことだし、定着率も顕著に上がっていることがわかってきてはいます。ただ、たとえば女性管理職比率をみますと、全体でみると上がっているのですが、女性の管理職がいる事業所の比率をみると、実は減っているんですね。少なくとも係長については確かに減っています。課長でも横ばい。そうやって考えると、女性が定着していることはし始めているのだけれど、その女性を本当に戦力としてというか、能力を最大限に活用できている事業所は、実は減っているんじゃないかと。一方で上手く回っているところはどんどん増やしているという状況を示している可能性もあると感じているところです。そうやって考えますと、先ほどの話にも戻りますけれども、能力を最大限発揮できるようにするというのは非常に大事だけれど、効率性というか生産性を上げるという部分ばかり全面的に出すと、働き方改革も改革にならない可能性がある。働き方改革で、在宅勤務、フレックスとなったときに、諸外国の例をみると、長時間労働を良しとする、それを理想の労働者像とするような職場であるほど、結局そういう働き方を解禁することで労働強化が起こっているんですよね。ワークライフコンフリクトが高まる状態があるわけで、そういったことにきちんと歯止めをかけないで、付加価値の最大化ということばかりに旗を振ると、逆にその働き方改革が中長期的に考えても、日本人の働き方を幸せな社会とは逆の変な方向に動かしてしまうんじゃないかなということに懸念を感じております。

 

○ 樋口座長

 堀さん、どうでしょう。

 

○ 堀委員

 先生方の議論と全然ちょっと違ってしまうんですけれども、私は教育社会学者としてここに参加させていただいているので、ちょっと我田引水で教育についてもちょっと扱っていただけないかと思っております。

昨今ですとリカレント教育に代表されますように、職業生活が長くなって、その後どうやって過ごして、それをどう過ごしていくのかということにおいて、他の国では非常に高等教育機関が重要な役割を果たしているわけですけれども、日本ではこれまで十分ではなかったということがあって、今リカレント教育が注目されているわけなんですが、これまでなぜ上手くいってなかったのかということと、それから、なぜ上手くいってなかったっていうのっていうことと、それからまた日本型雇用が非常に上手くいっていたということがまあ表裏一体かと思うんですけれども、それがどう上手く共存して高等教育機関ないしは様々な教育機関との連携の上で、労働において非常に労働者にとってプラスになっていくのかということについても、ちょっと議論をしていただけないかというふうに考えております。前回の雇用政策研究会におきましては、もう少し早い段階の、高等教育機関以前の議論につきましては、非常に議論をしていただいたというふうに認識しておるんですけれども、今回は高等教育機関につきましても、もし可能であれば議論していただけると高等教育機関側にとっても、労働の側でどう考えているのかということをお伝えすることは、非常に意義があることではないかと思っておりますので、ご検討をお願いできれば幸いです。

 

○ 樋口座長

 はい、ありがとうございました。要はキャリア形成の在り方というところに話が教育も含めてですね、日本で職務選択・職業選択っていうのはどこまで実際に働く者がイニシアティヴをとって行っているのかと、という逆をいえば、先ほどの限定正社員の話の中で職務限定とか、あるいは地域限定とかいうような話っていうのが、ある意味では働く側の選択っていうものでは必ずしも十分行えていないのではないかと、というような問題意識でここへ出てきているところもあるわけですよね。だから、能力を身につけてそれを生かせるっていったときに、その選択が無いと。なかなか、まさに教育と実際にそれを発揮するところでのミスマッチというか、不一致っていうか、そういったものが大きな問題になってきてるということだろうと思いますので、そういう形でもっていうことですよね。他にどうでしょうか。

 

○ 清家委員

 この資料4のところの検討の課題で、もし場違いだったら申し訳ないのですけど、雇用政策研究会というのは、過去の政策の検証みたいなものはやらないのか。将来どうなるかっていうのが中心なのか。

○ 小川職業安定局長

 基本的には将来の話が中心になると思いますけども、ただ、もちろん過去の政策の検証をしたときもございます。たとえば雇調金なんかを増やすときにですね、その政策の検証をすべきっていうことが確かその近況報告に盛り込まれたような気もしますし、ですから、この場でやるか、それともここからオーダーを出すかは別ですけれども、そういうのはあり得るかもしれません。

 

○ 清家委員

 細かい政策の検証というよりは、大きな政策の検証はそろそろあり得るかなと思っているのは、私自身もちょっと参加したから責任はあるんだけど、今から15年ぐらい前に、総合規制改革会議などからの提言で、雇用の規制緩和・改革が行われましたよね。それで、そのとき私は総合規制改革会議の委員だったのですけれど、私の記憶でもこの職安局関係の派遣とか紹介とかの規制緩和について厚生労働省ともいろいろ議論した記憶なんかもあるのですけれど、細かいことはよいとして、雇用の規制緩和ないしは規制改革が、当時からそれは我々も意識してましたけど、あらゆるものにはプラスとマイナスあるんだから、その効果と副作用両方あるでしょうと。あるいは、その規制緩和するときには同時にセーフティネットもきちんと準備しましょうねと、そういう議論がされてたわけですけど、それがいったいどのぐらい実現したのかとか、今の格差の問題などを議論する際には、そういうのも一応整理する必要があるのかなと。私なんかその規制改革会議側にいた者として、あのときやったことがどうだったのかなというのは、やっぱり知りたいというか、検証したほうがいいんじゃないかなと思うのです。それはちょっとこの会議の目的じゃないのかもしれないのですけれども、まあ一応雇用政策研究会ですから、まあ過去の政策も、細々としたものはともかく、政策の大きな転換の結果は今どんなになっているか知りたい気はします。それは今でも色々な形の雇用の規制緩和などについて、規制改革会議も意見を言っていたりしているわけだから、それが将来どんなことになるかっていうのを知る上でも、ちょっと意義があるかなと思ったわけです。あまり関係なかったらすみません。

 

○ 樋口座長

 はい、かなり論点がありそうな。はいどうぞ。

 

○ 玄田委員

 今までの少し繰り返しみたいになっちゃって申し訳ないんですけど、やっぱりこう、8ページのこのシミュレーション、資料6ですか、やっぱり前回のところとても大きな目玉だったわけで、いろいろ新聞報道にも取り上げられて、それでさっき言った中間評価ってやっぱりやったほうがいいんじゃないかと思うんですよね。今こうやって上手くいった場合には、たとえば2020年には6,381万人っていうシミュレーションだったのが、2017年平均6,530万人っていう今就業者数ですから、これ想定して今相当上手く、少なくとも数字だけ見るとすごく上手くいってるわけですよね。ただ、じゃあそれで本当に、じゃあなぜ数字の上では上手くいったのかっていうことをやっぱりこう、丁寧に議論することと、先ほど黒澤さんが言われたように、じゃあ数字さえ改善されていればいいのかっていう。実はこの数字の改善の裏にはまだ課題っていうのが隠されているのではないのかっていうことを、やっぱり研究会の中で明確にしていくっていうのは、とても大事なもの、進め方のような気がいたします。さっき時間当たりっていうことを申し上げたのですけど、今日は佐藤博樹さんいらっしゃらないので、たぶんいらっしゃったらたぶん言ったのは、残業時間の削減だけが働き方改革じゃないよと。もっと働き方の質っていうものをやっぱりこう、多様性を高めなければ、残業時間削減だけになっちゃうと、黒澤さんが言われたように、非常に残った部分に歪みが出ちゃうのでっていうようなこと、たぶん仰ったと思うので、そういう数字で表れた部分の良かった部分、それは何故だったのかと、あと残された課題と、数字に表れてはこないけれどもやっぱりこう、かなり認識をしていかなければならないっていう社会全体に問題提起する部分っていうのをやっていくことが、検討の方向性のところに上手く文面化されると、ちょうど今の時期の研究会としてはいいんじゃないかなってことを改めて思いました。以上です。

 

○ 樋口座長

 はい。雇用政策研究会、ずっとここのところの動きを見ると従来やっぱり雇用政策すごく狭い意味で、ある意味では産業政策とかあるいは産業構造の変化、あるいは企業規模の構成の変化とか、それを予見としてその中で雇用、労働市場いかにあるべきかと、というような議論っていうのが主だったのかなと。それがここのところちょっと変わってきて、社会保障への影響とかね、あるいは特にその産業構造への影響、雇用、労働市場からみて、むしろあるいは個人からみて、産業はどういうふうにあるべきかと、というようなことの議論っていうのがちょっと広がってきたのかなっていう。守備範囲が産業、雇用政策の守備範囲が広がってきたっていう感じがすごくするんですよね。そういった意味では、やっぱり産業のところについても、経済構造って書いてあるけど、これ予見じゃなくてね、むしろ、それぞれの人たちが意欲と能力を発揮できるような状況にするのにはどうしたらいいのかと、というようなことっていうのもありだし、僕がいちばん気になっていることの一つは、この2025年、30年って言ったときに、企業の経営者の年齢っていうのが相当に高まってる。特に中小企業における経営者、もう70代の団塊の世代に入ってきて、後継者問題が明らかに起こってきて、その中小企業って数が、企業の数が相当減るんじゃないかと。というような懸念が、懸念なのかどうか、見方によっては生産性の低いところが市場から退出するっていうのは当然だと、というようなこともありながら、そこによって生まれてくる雇用問題ですか。やっぱり新規開業がこれだけ停滞してて、そして企業が市場から撤退してると、というようなことになったときの、労働市場へのインパクトっていうのはかなり、特に地方で起こってくるっていう問題は考えておかなくてよろしいんでしょうかっていう感じがしますけれど、なんとなく企業が永続していくようなイメージで雇用政策っていうのを語れなくなってきている。

 

○ 小川職業安定局長

 今回の経済構造というのはですね、構造改革など常に一体というほどまではいかなくても、その経済構造がやはり雇用問題に影響を与えるということは当然ありますし、それから検討の方向性もその課題からみる諸課題や構造問題とあり、経済構造の問題を含んだふうに考えてますので、当然そういったものは入ってくるのかなというふうには考えています。

 

○ 樋口座長

 そうですね。

 

○ 神林委員

 皆さんお静かなので、私も喋るとさせていただいて。

 

○ 樋口座長

 はい、どうぞ。

 

○ 神林委員

 よろしいですか。何点かあるんですが、1点目はやはり先ほどの議論からずっとお聞きしていると、生産性っていう言葉と、付加価値という言葉の使い方を少し注意したほうがいいと思います。特に付加価値になると、コストを引いて成立するものですから、やはりコストを圧縮すれば付加価値は大きくなりますよね。なので、いくつか付加価値を、高めるやり方っていうのはありまして、それの全てのやり方がいわゆる雇用政策が関与するもの、あるいは雇用政策が今までカバーしてきたもの、雇用政策が今まで大事にしてきたものと、矛盾しないわけではないと思いますので、ここの部分はちょっとどのページにも、その生産性ということに関しては、上手く、注意深く使ったほうがいいだろうというふうに思います。

あともう1点、大きな印象といたしまして、今まで雇用政策の在り方ってどちらかというとマクロのレベルっていうのをターゲットにしてきたと思うんですけれども、バラつきっていうのがちょっとこう、前面に出てきたのかなという、そういう印象を持っています。前回はおそらく地域間のバラつきっていうのがひとつ課題になったと思うんですけれども、今回結構企業規模間のバラつきっていうのが前面に出てきてるような気がします。たぶん、これと関係しているのは、仕事の質のバラつき、雇用の質のバラつきっていう概念だと思うんですけれども、そういう側面でみると、やっぱり中小企業の生産性が国際的にみて低いと。中規模あるいは大規模クラスの企業においては国際的にみて遜色のない生産性を持っていたとしても、中小企業のところではなぜか生産性が低いと。この原因がなぜかっていうのはいろいろあるとは思うんですが、今までのその雇用政策の在り方や、昨今のその有効求人倍率の動き、あるいは職業紹介の動きというのが、この中小企業の低い生産性とどういう関係にあるのかっていうのを、こう明らかにしていくっていうのはひとつの方向性なのかなというふうに思います。

自分自身は所得分配に関しては、あまり意見はないんですけれども、生産性の格差が増大するということに関しては、やはりいくつか意見がありますので、その低生産性部門というのがなぜ改善されないのかっていうのはひとつの大きなターゲットとして認識してもいいのかな、というのが私の意見です。

 

○ 樋口座長

 神吉さん。

 

○ 神吉委員

 ありがとうございます。私は今回から参加させていただきます。労働法を専門にしておりますが、社会保障も大学では担当していますので、その視点から若干気になったことを、まあちょっと何を申し上げていいものかちょっと、これまでの報告書も経緯もはっきり存じているというふうに申し上げにくいので、ちょっと不適切かもしれませんけど、意見を述べさせていただきます。

 この資料4を見ながら、気になっていたところなんですけれども、赤い丸でいうと労働市場課題の3つ目のところで、その、需給のミスマッチというところが、私の大学で教えている体感からしても、かなり気になっています。というのは、新規学卒者が労働市場に参入するときなんですが、私の普段接している文系学生なんかだと圧倒的に事務というものを志望していきます。意欲・能力をどうやって活かすかっていう、とありましたけれども、ただ将来見込まれる社会的変化っていうところを見ていきますと、まさにここのAIICTなどの進展やビッグデータの活用により、一番こう減っていく分野がこの事務という分野で、求められている需要が多いというところは、今の人手不足の状況なんかも、この資料6で見ますと、サービスで、いわゆる労働集約型の介護であるとか建設であるとか、あるいは対人サービスであるとか、そういう部分か、あるいは高度な情報技術、この駆使する側に回るか、その二極化になっていて、その中間に当たるようないわゆるホワイトカラー事務というところが一番少なくなるところで、その学生は一番そこに行きたいんだけれども、一番空洞化する部分というところで、その二極化が進むというのが将来的な課題になってくるんじゃないかというふうに考えています。

 ただ、じゃあその学生にとってその事務っていうのは将来性があまりないんだと、じゃあどっちに進むかといった場合に、その高度な情報技術を駆使するようなところに行けるかというとなかなかちょっとそれは難しいなと。じゃあ、かといってこれから需要が高まることが確実な、じゃあ介護に行けばいいというふうに進められるかというと、なかなかまあそれも難しいと。特にサービス労働集約型の産業というのは、特に消費をこれからどんどん喚起していくということもなく、生産性向上っていうのがどんどんどんどん進むかというと、もうその見通しも明るくなく、且つ今現在のところ労働条件はそれほど良くないというところで、じゃあその人たちの意欲能力をどういうふうに生かすかっていうことを常に課題として突きつけられているところです。マクロでみていた場合には高度な情報技術を駆使する、そこで上げられた生産性でですね、そこの成果を分配していけばいいというふうにいえばまあ簡単なんですが、じゃあそれをどういうふうに分配していくのかというのを、個別の個人個人のレベルでみたときに、なかなかその分配の理屈が難しいなというふうに考えてます。ひとつ最近上がってくる言説として、やはりこのベーシックインカムで無条件分配をひとつの解に上げるという議論が出ている中で、そういったその分配というのは完全な社会保障マターで、極論すればベーシックインカムで良いっていう立場が一つあるんですが、それに対してこの雇用政策で何かできることがあるのか、それが示せれば、示すべきかというか、何らかの立場を示す必要があるのではないかというふうに考えています。そしてもう雇用政策の中でその労働契機とした、何らかの無条件ではない分配の在り方があるのかないのか、そのへんについては私も答えを持ってるわけではないんですが、この研究会を進めていく中で、ちょっと考えていければというふうに思ってます。以上です。

 

○ 樋口座長

 はい、ありがとうございます。他にどうでしょうか。よろしいですか。

 

○ 玄田委員

 何を雇用政策で目標、ターゲットにしていくかっていう議論は、なんか研究会の中でやっぱり大事じゃないかなっていう、思っております。完全失業者がやっぱり200万人を割るっていう、20何年前以来の状況で、昔、不況期であればやっぱり雇用政策のターゲットといえば完全失業率をどう下げるのかとか、有効求人倍率を上げるっていう、もう王道があったわけですけど、今はそういう意味ではそのへんの目標っていうのはかなりクリアに確保してると。要するに研究会でたぶん、確か座長が言ってたと思うんですけど、就業率にもっと目を向けていったほうがいいって話は、非労働力が非常に増えていく中で、失業者だけではなく非労働力からの就業者が必要なんじゃないかとか、さっきのその開業・廃業の話からすると、もう全然最近流行りませんけど、雇用創出率とかね、雇用消失率っていう、特に開業や廃業の影響なんていうのは、統計のあれで、今JILPTで毎年ハンドブックなんか出してて、いろんな今指標がだいぶ出揃っていると思います。

 あともう一個、ILOの勧告で、今年から統計局はいわゆるLU1からLU4っていう新しい指標も提供するようになって、やっぱりいろんな見方がこれから登場してくるので、たぶん労働生産性をどうみるかっていうのは、たぶんいくつかのパッケージでもうこれから政策目標をみていかなきゃいけないっていうふうな多少こう結論めいたことを申し上げて恐縮ですけど、なっていくんじゃないかなと。さっきのいろんな懸念からすると単に生産性が上がれば良しだけではなくて、何と何と何からみるとやっぱり総合的にはやっぱりこう、生産性を上げる環境が整ってきたとか、これから政策目標を2020年代30年代どのへんをこれからみていくのかっていうことも、どこかで議論があるといいんじゃないかなと思います。それは神林さんが言ったように、マクロ的な市場もあるでしょうし、もう少しこうセクター間といいますか、もう少しこう全体ではなくて、部分部分をみたものになるかもしれませんし、それはいろんな議論ができれば良いかなっていうようなことを思いました。以上です。

 

○ 樋口座長

 はい、非常に貴重な、皆さんからご意見いただきましたが、事務局から何かありますか。聞いておいたほうがいいとか。

 

○ 弓雇用政策課長

 非常に貴重なご意見ありがとうございました。私どもが整理したものが言葉足らずな部分もあったかと思います。皆さんからいただいているご意見を加えまして、また後ほど整理させていただければと思います。

 

○ 樋口座長

 それではそろそろ時間、まだ10分前なんですが、時間もありますので、本日の議論は以上としたいと思います。次回の日程等について事務局から、さきほど次回の話ありましたが、いかがでしょうか。

 

○ 西川雇用政策課長補佐

 次回、第二回の研究会は6月1日火曜日10時からを予定してございます。後日改めてご案内を送らせていただきます。よろしくお願いいたします。

 

○ 樋口座長

 はい。それでは事務局は本日の議論を踏まえまして、少し検討していただきたいと、というふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

では、以上で本日の会議を終了します。どうもありがとうございました。


(了)

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